教育研究業績の一覧

吉田 雅昭
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 2017-00-00 ~ 国語科研究Ⅰ・Ⅱの授業で文学作品を取り上げる際、グループ活動を通して、簡易的な模擬授業を行ったり主題についての話し合いを行ったり、作品について絵と組み合わせてどのような表現ができるかを考えたり、理解を深める活動を行っている。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 2013-00-00 ~ 幼稚園での教育実習に向けた、学生向けの解説・手引きとして、仙台青葉学院短期大学で「教育実習の手引き 解説」を作成した。その中の「観察・参加の視点」として、幼児の生活や教師の服務といった項目を担当し、作成を行った。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 2019-00-00 ~ 奈良県での教員を目指す高校生を募集し、奈良県内の各大学で様々な講義を受講するのが教員養成塾の趣旨である。そこで、帝塚山大学での授業を徳永准教授と共に担当し、国語科の活動を実施している。(2020,2021年度は中断、2022年度より再開)
B 職務実績
1 外部資金の獲得
(科学研究費助成事業;研究代表者)
2020-04-00
~2023-03-00
科学研究費助成事業(基盤研究C)「国語教育学の発展における日本語学が果たした役割に関する研究-昭和前期を中心に-」(研究課題番号:20K02869  2020.4.1~2023.3.31)の研究代表者として、国語教育学関連の研究を遂行した。
2 帝塚山大学いこま教養講座 2022-01-00
~2022-03-00
奈良県生駒市在住の一般の方を対象とした教養講座において、<ヴィクトール・フランクル著『夜と霧』が伝えるもの>というタイトルで、『夜と霧』の記述を中心に、フランクルの体験や思想に関する、計3回の講義を実施した。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2002-04-00~0000-00-00 日本語学会会員
2 2003-11-00~0000-00-00 日本方言研究会会員
3 2004-04-00~0000-00-00 日本文芸研究会会員
4 2005-04-00~0000-00-00 表現学会会員、新潟県ことばの会会員
5 2013-04-00~0000-00-00 日本国語教育学会会員
6 2014-04-00~0000-00-00 日本保育学会会員
7 2015-03-00~0000-00-00 全国大学国語教育学会会員
8 2018-05-00~0000-00-00 社会人文学会会員
9 2019-05-00~0000-00-00 国語教育史学会
10 2022-04-00~2023-03-00 言語系学会連合事務局委員
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 生活を伝える方言会話 宮城県気仙沼市・名取市方言 分析編共著 2019-10-00ひつじ書房 本書は、東日本大震災の被害に遭った東北地方太平洋沿岸部において、急速に地域方言が失われている現状を踏まえ、方言の記録と分析を目的として編集されたものである。宮城県気仙沼市と名取市の方言会話を対象に、過去に生じた事態などの思い出し(想起)に関する項目(文法項目)を担当した。「ベ・チャ・ベッチャ」の使用実態が明らかとなった。
総頁数:322頁、本人担当:17頁(95-111頁)
編者:東北大学方言研究センター
共著者:太田有紀、大橋純一、川﨑めぐみ、櫛引祐希子、甲田直美、小林隆、作田将三郎、櫻井真美、佐藤亜実、澤村美幸、椎名渉子、竹田晃子、田附敏尚、玉懸元、津田智史、中西太郎、吉田雅昭
以上1点
Ⅱ学術論文
1 東北方言における文末表現形式「ケ」の用法単著 2004-03-00『国語学研究』43 東北大学大学院文学研究科「国語学研究」刊行会 古典語の「けり」に由来する文末形式「ケ」の東北諸方言での伝統的使用実態を調査した。過去起きた事態について「高橋サン駅ノ外サイダケヨ」等観察したこと、「昨日ハヤダラ(走ったら)ツカレタケ」等自分が経験したこと、「明日運動会アルケ(運動会あるよ)」等相手に何か思い出させる場面という、対話場面・平叙文での用法が、日本海側、北東北を中心とした地域で認められた。
13頁(320-332頁)、査読あり
2 新潟市方言におけるテンスとアスペクト単著 2005-10-00『ことばとくらし』17 
新潟県ことばの会
新潟市方言で、過去の出来事に使用されるタッタ・テタッタ形の使用実態について調査した。50代以上ではよく使用されている。3・40代では半数以下の使用にとどまっており、20代では1、2割程の使用しか見られない。全体では、タッタ形は過去の事態をひとまとまりの事態、テタッタ形はある程度継続した事態を表す。テタッタ形の方が、タッタ形よりも使用されているという結果が得られた。
12頁(29-40頁)
3 新潟方言の文末詞「コテ(コッテ)について‐方言文末詞研究の意義‐単著 2006-11-00『言語科学論集』10 
東北大学大学院文学研究科言語科学専攻
新潟方言で文末に用いられるコテ(コッテ)という形式の機能、用法について考察した。まず、発話場面という聞き手の存在を前提とした場面で成り立つことを指摘した。この形式に関し、ある事態の成立が当然であるという話し手の判断を聞き手に伝えることが基本的機能だと主張し、事態の自制の違いにより、事態提示、成立推定、成立提示の3用法に区別されることも明らかにした。
12頁(25-36頁)
4 東北方言における基本的時間表現形式について‐形式の変化と文法体系との相関‐単著 2008-04-00『日本語の研究』
4-2 
日本語学会
東北諸方言の伝統的基本的時間表現について過去時を中心に調査した。シテイタの意味で秋田県南部、太平洋側でシタッタ形が使用されていることを示した。テアッタからタッタへと音変化し、同時に表す時間性が継続性から非継続性へ変化したことを、分布をもとに明らかにした。
15頁(45-59頁)、査読あり
5 新潟方言の文末詞「ネッカ」について単著 2008-10-00『ことばとくらし』20 新潟県ことばの会 新潟方言で使用される「ネッカ」形について、意味、機能を明らかにした。現実に成立した事態や知識を<真>と捉える話し手の認識の表示が、基本的機能であると考えた。そこから、一般的事態については<知識伝達>、話し手や聞き手に関する事態では<思考受容>、共に経験した事態は<確認要求>といった意味や様々なニュアンスが生じることなども述べた。
12頁(21-32頁)
6 終助詞「ヨネ・ヨナ」の機能・意味について単著 2008-11-00『言語科学論集』12 東北大学大学院文学研究科言語科学専攻 終助詞という形式が事態に関し述べる対事的機能と相手に働きかける対人的機能が共存すると考えた。そして、複合終助詞のヨネ形を対事的に確言的(再)認識機能、対人的に共通認識の表出・受容要求という機能を担うと述べた。発話場面では当然性・共通性という意味を基盤とし、命令形ではヨナ形が使用され、話し手と聞き手の共通認識形成を目的にした形式であることを明らかにした。
12頁(37-48頁)
7 新潟方言の文末詞「テ(バ)」について単著 2009-03-00『国語学研究』48 東北大学大学院文学研究科「国語学研究」刊行会 新潟方言の文末表現で使用される文末詞の「テ(バ)」を考察した。元々接続表現である「といえば」という形式が「てば」と音変化し、文末詞化したものである。文で述べられる事態に対する話し手の判断が、叙述部分としては確立したものとして表示するという事態への態度を表し、話し手の判断を聞き手も同様に認識することをある程度強く求めるという聞き手への態度も表していると考えられる。
14頁(58-71頁)、査読あり
8 青森県津軽方言地域における文末・接続表現「キャ」の用法単著 2009-03-00『文芸研究』167 
日本文芸研究会
青森県の津軽方言で使われるキャという形式を考察した。過去の事態を表す用法の他、聞き手に対し事態の思い出しを求めたり、聞き手と同様の認識を持つことを同意の意味を込めながら表したり、人から伝え聞いた事態を聞き手に伝える際に使用される。接続表現では主節の過去に生じた状況を表すが、レバ形と融合し主節の事態生起が確実だと思いつつ従属節事態を仮定的に述べる際も使われる。
14頁(76-89頁)、査読あり
9 新潟方言の文末詞「(ン)サ」について単著 2009-10-00『ことばとくらし』21  
新潟県ことばの会
この形式は文末で使用される形式名詞のノの変形ンに、文末詞サが付加し、それが強く結びついて一体の文末詞として使用されているものである。対事的機能として「発話時点で頭の中にすでに定着している事柄の表明」、対人的機能として「<聞き手の知らない>話し手に関する事柄や一般知識の伝達」を有すると考えた。聞き手の反応は問題にせず、平叙文的伝達として使われている。
11頁(11-21頁)
10 テイル形の分析的考察単著 2009-12-00『言語科学論集』13 東北大学大学院文学研究科言語科学専攻 テイル形はアスペクトからの考察が主だが、本論では動詞のテ形と存在詞イルが結合した二単語的側面も認められると考え、テとイルの機能をそれぞれ考察した。テは事態の開始と完了の局面を表し、開始なら動作継続、完了なら結果継続の意味を表すが、静態動詞や反復ではテの機能が希薄になり、完了した事態が過去へと移行すると効力の意味になるとも考えた。
12頁(123-134頁)
11 文末詞の役割単著 2010-03-00『文化』73-3・4 
東北大学文学会
文の最後に位置し、終助詞とも呼ばれる文末詞という形式が文の成立においでどのような役割を担っているのかを考察した。文を完結させる表出、文を聞き手に投げかける放出という機能を共に担う存在として文末詞を位置づけ、文が成立するには文末詞が不可欠だと考えた。また、文の最後に来る形式には文末詞的役割が担われると主張した。
20頁(153-172頁)、査読あり
12 日本語文末表現の研究(博士論文)単著 2010-03-00東北大学 博士学位論文として。これまでの論文をまとめた構成となっているが、東北方言・新潟方言・共通語に見られる、時間に関する述語部分の形式の分析及び文末詞(終助詞)の考察を各章で行っている。大枠としては、東京方言を基盤とした共通語も含め、東日本地域の文末に見られる形式の記述、分析を行っているが、分析の基礎となる理論的側面の考察も盛り込み、日本語の文末表現を様々な角度から捉えている。
全145頁
13 言語過程説における主観・客観問題単著 2011-03-00『国語学研究』50 
東北大学大学院文学研究科「国語学研究」刊行会
時枝誠記が提唱した言語過程説に関する主観と客観に関する部分を考察した。言語をコトとして捉えた言語過程説の基本的考えは、現象学の世界観に由来するといえるが、この概念を日本語文法の説明と重ね合わせたことで、言語の成り立ちを説明するための枠組みとしては、有効に機能しなかったと考えられる。言語主体の概念を構築し直すことが、言語過程説の克服につながるといえる。
14頁(111-124頁)、査読あり
14 保育における領域「言葉」と教育論とのつながり‐フランクル教育論と「夜と霧」を通して‐単著 2015-03-00『研究紀要青葉』6-2 仙台青葉学院短期大学研究推進・紀要委員会 本論は、保育における言葉の領域の捉え方について、『夜と霧』の著者として知られる心理学者V.E.フランクルの教育論を通して考察したものである。子供が幼い時から努力を積み重ねて言語を習得すること、主体的に意味を獲得することを重視する必要性を、意味への意志の概念と結びつけながら述べた。
14頁(87-100頁)、査読あり
15 幼児教育における戦後の実践保育の位置づけについて‐保育における言葉・遊び・表現からの「口頭詩集ひなどり」「自由遊び」「伝えあいの絵画教室」の分析‐共著 2016-03-00『研究紀要青葉』7-2 仙台青葉学院短期大学研究推進・紀要委員会 保育実践活動の実態の歴史的な考察を目指し、『戦後幼児教育・保育実践記録集』に収録された文献を用い検討を行った。「口頭詩集ひなどり」には幼児の日常発する言葉が掲載されている。「自由遊び」には、子どもが自ら自由に展開した遊びの様子が述べられている。「伝えあいの絵画教育」は、技術育成を踏まえた絵画指導の実態を読み解く。
著者:吉田雅昭・守渉・鈴木純子
全17頁、担当11頁(107-114、121-123頁)、査読あり
16 日本語学と国語教育学との関わり‐柳田國男について‐単著 2016-09-00『研究紀要青葉』8-1 仙台青葉学院短期大学研究推進・紀要委員会 日本語学と国語教育学の関係性について、柳田國男の考えを対象とし考察を行った。柳田はある単語の地域的広がりが通時的には日本語の単一性を示すことを主張した。言葉から一国の境界を定めることは、柳田の学問基盤を定める重要な試みだった。国語教育では話し言葉の指導を重視し、民衆の側から徐々に言葉が統一されることを目的としたが、柳田にとって不可欠の主張といえる。
15頁(41-55頁)、査読あり
17 保育雑誌を通じた終戦直後の保育実践の考察‐領域「表現」「言葉」「健康」を中心に‐共著 2017-03-00『研究紀要青葉』8-2 仙台青葉学院短期大学研究推進・紀要委員会 1946年から発行された復刊『保育』を材料とし、「表現」「言葉」「健康」に関わる記事を取り上げて考察を行った。「聴覚訓練」では和音による音感教育が取り上げられている。童話からは、当時の価値観が読み取れる。また、季節ごとの遊びも述べられている。子ども自らの世界創出に関する基盤の支援という根本的意義が存在すると考えられる。
著者:吉田雅昭・五十嵐雅子・守渉・鈴木純子・芳賀哲、査読あり
18頁、担当12頁(69-70,74-79,83-86頁)
18 時枝誠記における言語論と国語教育論との関わり単著 2018-03-00『文芸研究』185
日本文芸研究会
戦前から戦後にかけて活躍した国語学者である時枝誠記の、言語過程説に基づく言語論と技術を重視した国語教育論がどのように関わっていたのかを考察した。その結果言語主体が自覚的に言語を通じさせることを目指した努力と技術が要求される、悲観的言語伝達論が成立した。言語の伝達を成立させるための国語教育を時枝は構想し、戦後から積極的な主張を展開した。
15頁(29-43頁)、査読あり
19 『戦後幼児教育・保育実践記録集』を用いた、戦後の保育実践に関する考察共著 2019-03-00『研究紀要青葉』10-2 仙台青葉学院短期大学研究推進・紀要委員会 戦後日本の保育実践の事例を通し日本の保育の営みを歴史的観点から考察した。敗戦直後の教育計画と実践、1950年代の幼年文学、1970年代の絵画表現や幼児の身体活動を材料に、音楽・言葉・遊び・絵画という広い意味での表現に関する実践から幼児の生活世界に即した保育実践が行われていたことを検証した。 
著者:五十嵐雅子・吉田雅昭・守渉・鈴木純子、査読あり
19頁、担当9頁(75-79,86-89頁)
20 時枝誠記「国語科学習指導要領試案」と文部省「学習指導要領国語科編(試案)」との関わりについて単著 2019-03-00『帝塚山大学現代生活学部子育て支援センター紀要』4
帝塚山大学現代生活学部子育て支援センター運営委員会
1947年に文部省が発表した「学習指導要領国語科編(試案)」と1948年に国語学者の時枝誠記が発表した「国語科学習指導要領試案」との関わりについて考察した。文部省試案は民主主義体制の浸透と経験を与えることに主眼を置いていた。時枝試案は、訓練を施すことを目標とした技術主義といえる内容だった。時枝は、文部省試案に濃厚に見られる経験主義とは対照的な、技術を重んじる考え方を表明したのである。
13頁(1-13頁)
21 幼稚園教育実習指導の効果的な方法について-学生の学びの報告から-共著 2019-03-00『帝塚山大学現代生活学部子育て支援センター紀要』4
帝塚山大学現代生活学部子育て支援センター運営委員会
幼稚園教育実習指導の授業の現状分析からその成果と課題を考察した。まず、実習指導の内容を示し実習園と学生の実習後の評価の差を考察した。次に音楽・表現分野での課題や実習指導の授業成果及び問題点を述べた。教材研究や指導案・記録の書き方に対する学生の主体的な学習、実習園から求められるスキルへの可能な限りの対応が課題として明らかになった。
著者:吉田雅昭・宮田知絵・岡澤哲子
16頁、担当10頁(59-65,72-74頁)
22 文末形式「っけ(ケ)」の機能と用法-モダリティと文末詞(終助詞)との関わり-単著 2019-03-00『社会と人文』16
社会人文学会
現代の日本語の話し言葉で、何らかの事態の思い出し(想起)に関して使用される文末形式(文末詞・終助詞)の「っけ(ケ)」という形式について、使用場面や意味、機能の考察を行った。去に認識した事態の事実認識度の差により異なる用法が生じると考えられるが、平叙文・疑問文、共に使用され、また、対話場面・独話場面でも用いられるという幅広い用法を持つ文末形式だといえる。
17頁(41-57頁)、査読あり
23 『口頭詩集ひなどり』の言葉と表現性-昭和中期の長野県の児童の方言・言語的特徴を中心に-単著 2020-02-00『帝塚山大学教育学部紀要』1
帝塚山大学教育学部
1971年に「長野県幼年教育の会」が発行した『口頭詩集ひなどり』に書かれた言葉に関する考察を行った。この詩集は、1歳児から6歳児までの子ども達の言葉を記録したものである。この詩集は、4歳児以上の用例が全体の7割を占めていて、本論では、4歳児以上について特徴的な用例を抜き出して分析した。文末表現に、当該地方の方言形式が出現している。想像を働かせたやりとりも見られ、子どもの素直な気持ちが表現されている詩集といえよう。
9頁(57-65頁)
24 戦後における保育計画と実践の諸相―『戦後幼児教育・保育実践記録集』を用いて-共著 2020-03-00『研究紀要青葉』11-2 仙台青葉学院短期大学研究推進紀要委員会 戦後の日本における保育計画と実践がどのように行われていたのかを、『戦後幼児教育・保育実践記録集』に収録された資料を用いて考察したもの。戦後復興期の保育計画と実践、50年代の幼年文学、70年代の幼児の身体活動と地域連携、80年代の乳児保育の実践例を、各担当者が専門的知見から考察した。発達段階に応じた保育とは何かという、根本的な問題提起が行われている。
著者:五十嵐雅子・吉田雅昭・守渉・田中公一、査読あり
18頁、担当6頁(66-68,74-76頁)
25 藤原与一の国語教育論における日本語学的視点について単著 2020-03-00『国語学研究』59 
東北大学大学院文学研究科「国語学研究」刊行会
戦前から日本の方言研究の指導的役割を果たした日本語学者である藤原与一が、自身の日本語研究の知見を活かし独自の国語教育論を構築したことを、藤原の国語教育に関する各論を通して考察したもの。短作文教育・三段階法・抑揚論・方言生活指導論についての特徴と問題点に触れ、方言に近い「生活語」という概念を核に、藤原が日常生活に密着した国語教育論を提起したことを述べた。
15頁(244-258頁)、査読あり
科研費研究課題「国語教育学の発展における日本語学が果たした役割に関する研究-昭和前期を中心に-」(2020~2022年度)
26 時枝誠記と古田拡の論争について : 時枝国語教育論に対する実践的立場からの反応単著 2021-03-00『帝塚山子育て支援センター紀要』2
帝塚山大学子育て支援センター
時枝誠記の国語教育論は国語教育学の関係者から素直に受け入れられたわけではなく、時に批判や反論の形となって現れた。国語教育学者の古田拡からの批判があり、雑誌等で論争が繰り広げられた。一定の言語観に基づいた国語教育論に対する実践者の立場からの批判ともいえる論争だと考えられる。時枝と古田の論争を通し、戦後の国語教育学界における、時枝理論の捉えられ方を探る。
12頁(53-64頁)
科研費研究課題「国語教育学の発展における日本語学が果たした役割に関する研究-昭和前期を中心に-」(2020~2022年度)
27 時枝誠記の国語教育論の展開―『国語教育の方法』と『改稿国語教育の方法』について―単著 2021-03-00『国語学研究』60 
東北大学大学院文学研究科「国語学研究」刊行会
時枝誠記の国語教育理論の展開について、『国語教育の方法』と『改稿 国語教育の方法』を対比し、考察を行った。時枝理論は言語過程説の延長線上にあり、旧版から一貫して言語伝達を成立させることが国語教育において大切だと主張し、訓練等により言語技術を培い言語能力を高めることを目指した。改稿版では、能力主義、言語の継起的性格、たどり読み、鑑賞の否定など、時枝特有の考え方が明確に打ち出された。
13頁(118-130頁)、査読あり
科研費研究課題「国語教育学の発展における日本語学が果たした役割に関する研究-昭和前期を中心に-」(2020~2022年度)
28 文学教育に関する奥田靖雄の主観主義批判について-日本語学的立場からの国語教育論-単著 2022-03-00『国語学研究』61 
東北大学大学院文学研究科「国語学研究」刊行会
本論は、戦後の日本語学を牽引しつつ、民間教育運動に身を置き、独自の国語教育論を展開した人物である奥田靖雄の文革教育の考えを考察したものである。奥田は作品の客観的な理解目指し、主観主義的な意見に批判を浴びせる主張を展開した。読者が勝手な解釈をするのを戒めることが奥田論文の骨格であり、その趣旨を冷静に捉えることで、文学教育を考える際の、有効な指標となると考えられるのである。
15頁(16-30頁)、査読あり
科研費研究課題「国語教育学の発展における日本語学が果たした役割に関する研究-昭和前期を中心に-」(2020~2022年度)
29 藤原与一の初期国語教育論について-1930、40 年代の言説-単著 2023-02-00『帝塚山大学教育学部紀要』4
帝塚山大学教育学部
本論は、藤原与一の国語教育に関する1930~40年代の代表的論考を対象に考察を行った。この時期の特徴として、日、生活語の向上を国語教育の主な目標とすること、自分自身の国語の実態を自覚すること、地方の実態に即した教育を行い、地方語を母胎とした標準語の実現を目指すこと、表現力の向上と共に人間性の向上も目指すこと、などが挙げられる。生活場面の言葉の教育を取り上げるなど、初期の頃から先駆的な側面を有していたといえるのである。
10頁(18-27頁)、査読あり
科研費研究課題「国語教育学の発展における日本語学が果たした役割に関する研究-昭和前期を中心に-」(2020~2022年度)
30 鈴木重幸の学校文法批判について-戦後文法教育をどう捉えるか-単著 2023-03-00『帝塚山大学子育て支援センター紀要』4
帝塚山大学子育て支援センター
本論では鈴木重幸という戦後から平成期に活躍した日本語研究者を中心に、当時の民間教育運動や学校文法批判と共に、戦後の学校文法の内容について考察した。鈴木は学校文法を批判したが、日本語における単語認定が曖昧で、活用形などは文語文法を受け継いだままの、単語を無意味に分離するような考えだと捉え、学校文法の問題点を鈴木は厳しく批判した。鈴木の批判を通じ、戦後の文法教育に関する問題点が見えてくる。
10頁(36-45頁)
科研費研究課題「国語教育学の発展における日本語学が果たした役割に関する研究-昭和前期を中心に-」(2020~2022年度)
以上30点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 想起表現共著 2012-03-00『宮城県・岩手県三陸地方南部地域方言の研究』 
東北大学大学院文学研究科国語学研究室
2005年度から2007年度に三陸地方南部地域の方言を調査した、東北大学国語学研究室による報告書である。
著者:大橋純一、川越めぐみ、櫛引祐希子、小林隆、作田将三郎、佐藤亮一、澤村美幸、椎名渉子、竹田晃子、武田拓、田附敏尚、田中宣廣、玉懸元、中西太郎、吉田雅昭
286頁、担当19頁(99-117頁)
2 国語教育と方言研究-藤原与一の理論的体系に関して-口頭発表(一般発表) 2022-05-00第142回 全国大学国語教育学会東京大会(オンラインZoom発表) 藤原与一の方言研究が、彼の国語教育理論の体系とどのように関わるのかを考察した。<高次共時方言論>という考えの中で、未来の日本語の実現と国語教育を結び付け、豊かな標準語の体系を構築しようとしたことを述べた。
(紙面で学会HPに公開)
3 教育科学研究会・国語部会の読解指導について
-宮崎典男『読み方指導 その指導過程をめぐって』を例に-
口頭発表(一般発表) 2023-05-00第144回全国大学国語教育学会島根大会(於島根大学、松江市) 本発表では、戦後の民間教育研究団体の中でも活発に活動し、独自の理論を展開した、教育科学研究会・国語部会において、どのような読解指導の方法が編み出されたのかを、宮崎典男(1975)『読み方指導 その指導過程をめぐって』を題材に考察した。彼らにとっては一次読み段階の、文章の言語的知覚こそが重要だといえる。二次読みは文章の主観的側面を表すためどうしても雑多な内容を含み、指導上も揺れのある不安定な段階になってしまうと考えられる。
発表時間30分
以上3点

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