教育研究業績の一覧

平田 公威
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 コメントカードの効果的な活用 2018-04-01 ~ 滋賀県立看護専門学校および滋賀県堅田看護専門学校の非常勤講師として担当の「教育学」(専門科目、1年次配当、半期、必修2単位)において、各回の講義終了前にコメントカードの記入を課した。その際、講義内容に関連した問題を設定した。これにより、受講生は授業内容の振り返りを行うことができ、理解度が向上するとともに、受講生の理解度を把握することができた。
2 フィードバック時間の導入 2018-04-01 ~ 滋賀県立看護専門学校および滋賀県堅田看護専門学校の非常勤講師として担当の「教育学」(専門科目、1年次配当、半期、必修2単位)において、2回目以降の講義冒頭に、優れたコメントカードの内容や質問を紹介し、フィードバックを行った。その際、受講生の名前を伏せるとともに、パワーポイントに記入することで匿名性に配慮し、コメント内容を紹介する際には否定的なことは述べないように留意した。これにより、受講生は他の学生の物の見方を学ぶことができた。また、学生からの質問への回答や、講義中に十分説明できなかった点への補足説明を行うことができ、復習の機会を設けることができた。
3 グループ・ディスカッションの導入 2018-04-01
~2020-03-31
滋賀県立看護専門学校および滋賀県堅田看護専門学校の非常勤講師として担当の「教育学」(専門科目、1年次配当、半期、必修2単位)において、授業内容に関する問題を設定し、5〜7人程度でのグループ・ディスカッションを複数回行い、議論した内容について発表してもらい、その内容へのフィード・バックを行いつつ、その後の授業内容への導入とした。その際、フィード・バックでは否定的なことは述べないように留意した。また、意見を述べることが苦手な受講生には、コメントカードに考えをまとめるように指示した。これにより、受講生は自らの考えを言葉にしつつ他の学生の考え方を直接に学ぶことができるとともに、自分自身がどのような言葉を用いて考えることができるのか自覚することができ、その後の授業で扱われる内容に関心をもつことができた。
4 視聴覚資料の活用 2018-04-01 ~ 滋賀県立看護専門学校および滋賀県堅田看護専門学校の非常勤講師として担当の「教育学」(専門科目、1年次配当、半期、必修2単位)において、授業内容に関連する視聴覚資料(映画・NHKのテレビ番組・アニメ・マンガ)を用いた。これにより、受講生は関心をもって授業に臨むことができ、直感的に講義内容を理解することができた。
5 グーグルフォームを利用した授業評価アンケートの実施 2020-04-01 ~ 滋賀県立看護専門学校および滋賀県堅田看護専門学校の非常勤講師として担当の「教育学」(専門科目、1年次配当、半期、必修2単位)において、グーグルフォームを利用して講義内容の評価に関するアンケート調査を学期末に行った。これにより、匿名性に配慮しつつ、効率的に学生からの評価や意見を集め、次年度以降の講義のデザインへの改善を行うことができた。なお、アンケートへの参加は任意とし、講義への参加態度や、内容のレベルや進行速度、理解度、満足度に関する項目を、四段階評価で八つ設けた。2021年度に滋賀県立看護専門学校で行ったアンケートでは、74人中27人が回答し、「総合的にみてこの授業には満足している」の項目に、15名が「強くそう思う」、11名が「そう思う」、1名が「全くそう思わない」と回答した。また、自由筆記では、「アニメや映画など、普段ならただ楽しんで観るだけのものも、教育学の観点からみれば学べることが多くて面白かった」や「内容が難しいと感じるところもあったが、それがどういうことか自分で考えるきっかけになった。正解が一つではないからこそ多様な考え方があると感じた」などの意見があった。
6 小試験の効果的な実施 2022-04-00 ~ 大谷大学文学部任期制助教として担当の「フランス哲学文献を読む」において、小試験を複数回実施し た。これにより、講義内で解説する文法事項や思想内容について、受講生はとくに注意することができ、復習する機会ももつことができた。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 補助教材(プリント冊子) 2018-04-01 ~ 滋賀県立看護専門学校および滋賀県堅田看護専門学校の非常勤講師として担当の「教育学」(専門科目、1年次配当、半期、必修2単位)において、「教育」に関する基本概念について、哲学・思想史的に解説したプリントを作成配布し、受講生の理解考察の促進を図った。これにより、復習が容易になり、受講生の学習を促進することができた。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 ティーチング・アシスタントとしての採用 2015-04-01 優秀な大学院生として評価され、大阪大学のティーチング・アシスタントとして採用され、卒業論文の執筆に向けた文献講読会を組織・運営し基本的な文献読解や文書作成に関する教育・指導など、授業補助・学習支援に努めた。
2 ティーチング・フェローとしての採用 2017-10-01 特に優秀な博士後期課程に在籍する学生として認められ、大阪大学のティーチング・フェローとして採用され、授業の進行管理、展開実施を許可され、文献講読会の組織運営に加え、卒業論文の執筆に関する相談・指導を行った。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2014-09-00~0000-00-00 日仏哲学会
2 2020-05-00~0000-00-00 日本哲学会
3 2022-04-00~0000-00-00 社会芸術学会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 『ドゥルーズ=ガタリと私たち:言語表現と生成変化の哲学』単著 2023-11-24水声社 本書は、フランスの哲学者、思想家であるジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの思想を対象に、日常的な経験の構造と、そこから生成変化に至る理路を析出する文献研究である。本書では、ドゥルーズとガタリがさまざまな哲学・思想・芸術理論を取り入れるなかで一貫して言語論を重要な参照軸にしていたことに着目し、ストア哲学、ギヨーム、イェルムスレウ、ラボフ、デュクロ、バフチンらの議論に照らして解釈をした。それにより、ドゥルーズとガタリの主要著作の体系を再構築しつつ、その変遷を通時的に研究し、「私」と語らざるを得ない主体の経験の構造と、その構造の変化可能性について明らかにした。
(316頁)
以上1点
Ⅱ学術論文
1 『意味の論理学』における「表象」と「出来事」の理論単著 2017-03-00『年報人間科学』第
24号(大阪大学人間科学研究科社会学系)
本論文は、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの『意味の論理学』(1969)を対象に、初期ストア哲学からの影響に着目した文献研究である。この著作では、知覚対象が、どう意味づけられ、言語的に表現されるのかが、「表象」と「出来事」という概念とともに論じられている。本論文では、この「表象」と「出来事」への初期ストア哲学からの影響を指摘し、『意味の論理学』の認識論について考察した。
12頁(51-62頁)
査読有
2 ドゥルーズ『意味の論理学』における自由と実現主義について単著 2017-05-00『hyphen』第2号(Deleuze Guattari Labolatory)

本論文は、ドゥルーズの『意味の論理学』を対象に、初期ストア哲学からの影響に着目して、その倫理学的な意義を検討した文献研究である。この著作では、ひとが生きるなかで世界を意味づけ認識することが、世界を引き受けることとして論じられている。本論文では、この議論におけるストア哲学からの影響に着目しつつ、カント倫理学との比較を通じて、世界を意味づけ受け入れることの倫理的意義について考察した。
11頁(28-38頁)
3 『意味の論理学』における動詞と時間——ドゥルーズにおける言語論の受容について単著 2017-09-00『フランス哲学・思想研究』第22号(日仏哲学会) 本論文は、ドゥルーズの『意味の論理学』を対象に、二十世紀フランスの言語学者であるギュスターヴ・ギヨームからの影響に着目した文献研究である。この著作では、ひとの出来事の認識が、言語構造により規定されていると論じられている。本論文では、その議論へのギヨーム言語論の影響を指摘し、とくに認識主体の出来事の認識に、動詞の活用や、時間=時制の表現が関わることについて、哲学・言語学的に考察した。
11頁(195-205頁)
査読有
4 ドゥルーズ(=ガタリ)の哲学における不定冠詞論について——ギヨーム言語論受容の観点にもとづいた此性にかんする考察単著 2018-05-00『hyphen』第3号(Deleuze Guattari Laboratory) 本論文は、ドゥルーズの『差異と反復』(1968)と、『千のプラトー』(1980、フェリックス・ガタリとの共著)を対象に、ギヨームの冠詞論との比較検討を行なった文献研究である。これらの著作では、物事の認識に「不定冠詞」が与える影響が論じられている。本論文では、ドゥルーズとギヨームの考察を比較し、名詞の意味内容を具体化する不定冠詞が、人間の認識構造に与える影響について哲学・言語学的に考察した。
8頁(35-42頁)
5 『千のプラトー』における抽象機械の理論について——イェルムスレウの言語素論における言語図式に着目して単著 2019-03-00『共生学ジャーナル』第3号(大阪大学人間科学研究科共生学系)

本論文は、ドゥルーズとガタリの『千のプラトー』を対象に、デンマークの言語学者ルイ・イェルムスレウからの影響に着目した文献研究である。この著作では、言語と物体が不可分な仕方で組み合わせられていることが「機械」に見立てられている。本論文では、この議論におけるイェルムスレウからの影響を詳らかにし、話し書く表現活動を通じて、言語と物体の組み合わせに生じる変化について哲学・言語学的に考察した。
25頁(1-25頁)
査読有
6 質料から器官なき身体へ——『千のプラトー』におけるイェルムスレウ言語素論の意味-質料受容にもとづいた考察単著 2019-08-00『hyphen』第4号(Deleuze Guattari Laboratory)

本論文は、ドゥルーズとガタリの『千のプラトー』を対象に、イェルムスレウの「意味-質料」概念の影響に着目した文献研究である。この著作では、言語や芸術などの「表現」で使用される音声、文字、身振りなどが取り上げられ、アリストテレス以来の「質料」概念が批判的に再定義されている。本論文では、この「質料」概念の再定義に、イェルムスレウの強い影響があることを指摘し、表現について哲学・言語学的に考察した。
18頁(6-23頁)
7 出来事は必ずや実現される——『意味の論理学』におけるcontre-
effectuation概念再考
単著 2019-09-00『フランス哲学・思想研究』第24号(日仏哲学会)

本論文は、ドゥルーズの『意味の論理学』を対象に、「contre-effectuation(伴実現)」概念に着目した文献研究である。この著作では、人生にはよい出来事だけでなく、悪い出来事が起きることが論じられている。本論文では、『意味の論理学』で提示される「実現」と「伴実現」概念の内実を解明し、出来事の不可避的な実現を否認するのではなく、意志することに倫理的な生き方があることを哲学的に考察した。
12頁(191-202頁)
査読有
8 動詞的になること——『意味の論理学』におけるアイオーンの現在にかんする文法論的考察単著 2020-09-00『hyphen』第5号(Deleuze Guattari Labolatory)

本論文は、ドゥルーズの『意味の論理学』を対象に、初期ストア哲学とギヨーム言語論の影響に着目した文献研究である。この著作では、ひとが出来事をどう認識し引き受けるかが、倫理的な問題として論じられている。本論文では、この議論の根幹に、「アイオーン」というストア派の時間概念からの影響があることを指摘し、これとギヨームの動詞と時制=時間の理論との関連を示して、倫理的な時間の生き方について考察した。
8頁(18-25頁)

9 ドゥルーズ(=ガタリ)の生成変化の思想にかんする人間学的研究
(博士論文)

単著 2021-03-00大阪大学大学院人間科学研究科

本論文は、ドゥルーズの『意味の論理学』と、ガタリとの共著『千のプラトー』と『哲学とは何か』(1991)を対象に、人間の経験の変容を究明した文献研究である。各著作では、人間の経験を可能にする構造と、その構造に生じる変化について論じられている。本論文では、各著作への言語学の影響に着目し、言語構造と、人間の経験の構造の関連を明らかにし、言語表現を通じて、人間の経験に生じる変化について考察した。
165頁(1-165頁)

10 『千のプラトー』における言語学受容について

単著 2021-09-00『フランス哲学・思想研究』第26号(日仏哲学会) 本論文は、ドゥルーズとガタリの共著『千のプラトー』を対象に、言語学からの影響関係を解明した文献研究である。この著作では、ソシュール以降の言語学者の議論を取り入れることで独自の思想が練り上げられている。本論文では、イェルムスレウとウィリアム・ラボフへの言及を中心に考察し、ドゥルーズとガタリが言語学の概念を通じて提示した新たな哲学の内実と意義を示した。
12頁(263-274頁)
査読有
11 ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』における言語論について:指令語、前提行為、合言葉単著 2023-02-00『哲學論集』第69号、大谷哲学会 本論文は、ドゥルーズとガタリの『千のプラトー』を対象に、言語学からの影響関係を解明した文献研究である。この著作では、ソシュール以降の言語学の議論が取り入れられている。本論文では、とくにフランス語言語学者オズワルド・デュクロからの影響に着目して、対話相手を特定の社会状況に組み込む特殊な発話内行為としての「指令語」について、その内実と射程を哲学・言語学的に考察した。
12 ドゥルーズの芸術論について:鑑賞から創作へ 単著 2023-10-00社藝堂 本論文は、フランスの哲学者ジル・ドゥルーズの芸術論の変遷について研究したものである。本論文は、ドゥルーズの『差異と反復』(1969)と『哲学とは何か』(1991)の議論を整理し、前者の問題関心が鑑賞体験にかかわる経験論的な記述に向けられているのに対して、後者の関心が創作にかんする技法にあることを指摘し、それにより、芸術作品との偶発的な出会いに依拠せざるを得なかった前者の限界点が乗り越えられていることを明らかにした。
(18頁)
以上12点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 Claire Colebrook, Irony, Psychology Press, 2004

単著 2015-03-00『年報人間科学』第36号(大阪大学人間科学研究科社会学系) 本書評論文は、クレア・コールブルックのIronyを対象にしたものである。本書は、修辞学的な概念である「アイロニー」が哲学や思想においてどのように理解、実践されてきたのかを論じている。本論文では、ソクラテス以来のアイロニーをはじめ、関連する思想が整理されていることを評価しつつ、ドゥルーズのアイロニー概念への理解の不十分さを批判的に検討し、また、「ユーモア」の思想史研究の可能性を示した。
4頁(139-143頁)
2 把握的表象から動詞的表象へ——『意味の論理学』における表象概念の射程について口頭発表(一般発表) 2015-03-00日仏哲学会2015年度春季研究大会
(於:大阪大学、吹田市)

本発表は、ドゥルーズの『意味の論理学』を対象に、「表象」概念の認識論的役割に焦点を当てた文献研究である。本書では、ひとが出来事に立ち会い、それを理解することが表象概念により説明されている。本発表では、この表象概念の内実を解明するべく、ドゥルーズが参照する初期ストア哲学との比較検討を行い、ドゥルーズが表象を把握的表象と動詞的表象の二種類に区別して自らの認識論を構築していることを明らかにした。
発表時間:40分
発表要旨:『フランス哲学・思想研究』第20号(2015年9月)、1頁(89頁)
3 『意味の論理学』における人称の問題について——誰が話すのかという問いを巡って口頭発表(一般発表) 2015-07-002015年哲学若手研究者フォーラム
(於:国立オリンピック記念青少年総合センター、渋谷区)
本発表は、ドゥルーズの『意味の論理学』を対象に、「人称」概念に焦点を当てた文献研究である。本書では、ひとが出来事に立ち会い、それを言語化することを問題にしており、そのなかで、人称の概念が主題のひとつをなしている。本発表では、ドゥルーズが参照する言語学者エミール・バンヴェニストの理論と比較することで、一人称や二人称での記述と、非人称的な表現での記述には、出来事の認識が異なることを明らかにした。
発表時間:60分
4 『意味の論理学』における動詞の理論について——不定法、直接法現在形、複合過去をめぐって口頭発表(一般発表) 2016-03-00日仏哲学会2016年度春季研究大会
(於:京都大学、京都市)
本発表は、ドゥルーズの『意味の論理学』を対象に、動詞の活用に焦点を当てた文献研究である。本書では、ひとが出来事を過去や現在といった時間上に位置付けて理解する際に、動詞による時間=時制(temps)が影響を及ぼしていると論じられている。本発表では、ドゥルーズがギュスターヴ・ギヨームの動詞論と比較することで、『意味の論理学』では三つの時制が特権的な時間表現として考察されていることを明らかにした。
発表時間:40分
発表要旨:『フランス哲学・思想研究』第21号(2016年9月)、1頁(110頁)
5 contre-effectuationにおける二側面について口頭発表(一般発表) 2017-03-00日仏哲学会2017年度春季研究大会
(於:立命館大学、京都市)
本発表は、ドゥルーズの『意味の論理学』の「contre-effectuation(反実現/伴実現)」概念に焦点を当てた文献研究である。本書では、ひとが出来事を解釈し理解することが「実現」と言われており、その出来事に別様の解釈の可能性を与えることが「反実現/伴実現」として論じられている。本発表では、この「contre-」には、実現に「反する」という意味と「伴う」という意味の二重性があることを指摘し、その差異を考察した。
発表時間:40分
発表要旨:『フランス哲学・思想研究』第22号(2017年9月1頁(81頁))
6 About the Effectuation of Event ——From the Representation to the Stratification 口頭発表(一般発表) 2017-06-00International Deleuze Guattari Studies in Asia the 6th conference
(於:National University of Singapore、シンガポール)
本発表は、ドゥルーズの『意味の論理学』と『千のプラトー』を対象に、両著作間の変化に焦点を当てた文献研究である。これらの著作では、出来事をどう認識するのかが問題になっている。本発表では、その認識を説明するモデルが、『意味の論理学』と『千のプラトー』では変化していることに着目し、その変化を詳細に検討することで、理論上の問題点が乗り越えられていることを示した。
発表時間:40分
7 『ドゥルーズ 没後20年新たなる転回』河出書房新社、2015年単著 2017-09-00『フランス哲学・思想研究』第21号(日仏哲学会) 本書評論文は、2015年に刊行された『ドゥルーズ 没後20年新たなる転回』を対象にしたものである。本書は、ドゥルーズの没後二十年を期に刊行された論文集で、日本語論文だけでなく、英語やフランス語、韓国語の論文を取りまとめたものである。本論文では、特に日本語とフランス語の研究論文を取り上げ、2015年当時のドゥルーズ研究の研究動向を整理紹介しつつ、ドゥルーズ研究の機運の高さと今後の発展の可能性を示した。
3頁(278-281頁)
8 ディオニュソス的人類学者
原書名:Dionysos Anthropologue
原著名:パトリス・マニグリエ
共著 2017-12-00『思想』(岩波書店) 本翻訳論文は、フランスの哲学者パトリス・マニグリエによる論文を翻訳したものである。この元になった論文は、ブラジルの人類学・哲学者ヴィヴェイロス・デ・カストロの思想的意義を整理し紹介するものであるが、その根底には、二十世紀フランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロースや、ドゥルーズ思想からの影響がある。この翻訳では、二十世紀フランス思想や構造人類学、ドゥルーズに関する文献調査を行い、翻訳した。
本人担当分:11頁(25-35頁)
共著者:小川歩人、平田公威
9 『千のプラトー』における言語学受容について——イェルムスレウの言語素論を中心とした考察口頭発表(一般発表) 2018-03-00日仏哲学会2018年度春季研究大会
(於:南山大学、名古屋市)
本発表は、ドゥルーズとガタリの共著『千のプラトー』を対象に、言語学からの影響に着目した文献研究である。本書では、二十世紀最大の言語学者であるフェルディナン・ド・ソシュールとノーム・チョムスキーの言語理解が批判的に検討され、言語の再定義が試みられている。本発表では、とくにイェルムスレウの構造言語学と、ウィリアム・ラボフの社会言語学の受容について解明し、どのような言語論が提示されているのかを示した。
発表時間:40分
発表要旨:『フランス哲学・思想研究』第23号(2018年9月1頁(113頁))

10 すれ違いとしての共生について——ドゥルーズの『襞』をてがかりにした試論口頭発表(一般発表) 2018-05-00大阪大学人間科学研究科第3回共生学研究会
(於:びわこクラブ、大津市)

本発表は、ドゥルーズの『襞』を対象に、共生の可能性について考察した文献研究である。本書では、ライプニッツ哲学を、神を前提にしない二十世紀的な観点から読み直している。本発表では、ライプニッツにとっては、神の力によって、他者と間接的に理解しあえることが共生のあり方であったのに対して、ドゥルーズの『襞』では、神がいないなかで、すれ違いながらも他者と共に生きる可能性が示されていることを明らかにした。
発表時間:40分
11 シモンドンと超越論的経験論の構築
原書名:Simondon et la construction de l'empirisme transcendental
原著者名:Anne Sauvagnargues

共著 2019-01-00『ドゥルーズの21世紀』(河出書房新社) 本翻訳論文は、フランスの哲学者アンヌ・ソヴァニャルグによる論文を翻訳したものである。この論文は、フランスの哲学者ジルベール・シモンドンが西洋哲学史においてもつ独自性を整理し、この哲学者がドゥルーズの思想形成に与えた影響を明らかにしている。この翻訳では、シモンドン哲学が当時の物理学や生物学をもとに哲学的概念を批判的に検討・再定義していたことを踏まえた調査を行い、翻訳した。
本人担当分:13頁(108-120頁)
共著者:上野隆弘、平田公威
12 ひとつの生の合成=創作をめぐる問い——『カオスに抗する闘い-ドゥルーズ・精神分析・現象学』へのコメント口頭発表(招待有) 2019-03-00メルロ=ポンティ哲学研究会第5回研究会
(於:大阪大学、吹田市)
本発表は、2018年に刊行された小倉拓也『カオスに抗する闘い』(人文書院)の合評会で行われたものである。本書は、ドゥルーズの哲学に人生論を見いだし、生まれて死ぬまでにひとがいかに生きるのか、その一生のなかで哲学や芸術といった表現活動がもつ意義について広く考察している。本発表では、小倉が着目するひとの一生と、表現活動の産物であり、創作者の人生を離れても存在し続ける芸術作品の関係性について考察した。
発表時間:30分
13 About the Concepts of Hjelmslev's Glossema-
tics and A Thousand Plateaus
口頭発表(一般発表) 2019-06-00International Deleuze Guattari Studies in Asia 8th conference
(於:東京大学、文京区)
本発表は、ドゥルーズとガタリの共著『千のプラトー』を対象に、デンマークの言語学者ルイ・イェルムスレウの言語論からの影響に着目した文献研究である。本書では、さまざまな箇所でイェルムスレウ言語論への言及がなされている。本発表では、こうした言及をつぶさに調査することで、ドゥルーズとガタリの思想形成が言語学への参照を通じてなされていることを明らかにした。
発表時間:40分

14 『哲学とは何か』を再読する為に——近藤和敬『ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』を精読する——〈内在〉の哲学試論』へのコメント口頭発表(招待有) 2020-09-00近藤和敬『ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』を精読する——〈内在〉の哲学試論』(講談社、2020年)合評会
(於:大阪大学、吹田市、オンライン開催)
本発表は、2020年に刊行された近藤和敬『ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』を精読する』(講談社)の合評会で行われたものである。本書は、ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』を、スピノザ『エチカ』の枠組みを通して再構成するものである。本発表では、本書がドゥルーズとガタリの哲学における倫理学的な萌芽を示しつつも、それを十分には展開していないことを指摘し、『哲学とは何か』の倫理的意義について考察した。
発表時間:40分
15 なぜ(地理)哲学か——ロドルフ・ガシェ『地理哲学——ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』について』へのコメント口頭発表(招待有) 2021-06-00ロドルフ・ガシェ『地理哲学——ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』について』(月曜社、2021年)合評会
(於:大阪大学、吹田市、オンライン開催)
本発表は、2021年に刊行されたロドルフ・ガシェ『地理哲学』(月曜社)の合評会で行われたものである。本発表では、本書がドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』の精読を掲げつつも実際には彼らのものではない暗黙の前提に支えられていることを指摘し、そのうえで、ガシェが主題化しえなかったドゥルーズとガタリ読解の方針を示し、ドゥルーズとガタリを再読する意義と、哲学することの必要性について考察した。
発表時間:40分
以上15点

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