教育研究業績の一覧

橋口 昌治
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 質的調査の歴史、研究・調査倫理を踏まえた調査の進め方に関する助言・指導(立命館大学大学院先端総合学術研究科「リサーチマネジメントⅢ」2010年4月1日〜2012年3月31日) 2011-04-01
~2012-03-31
質的調査の歴史や研究倫理の講義、研究計画への助言などを通して調査の基本を指導した。調査対象との向き合い方に関するディスカッションや調査の依頼状の作成など、多角的な内容で調査能力が身につくよう工夫した。実践的な問題意識を持つ社会人大学院生や障害当事者など多様な受講生がおり、研究テーマも様々だったので、3名の講師で協力しながら担当した。
2 高等専修学校在学中の3年生対象の補習での、就職について個別の相談に応じ、求人票の見方や履歴書の書き方などの指導(大阪情報コンピュータ高等専修学校「就職補習」2010年4月1日〜2018年3月31日) 2011-04-01
~2018-03-31
参加者の多くが家庭の事情で就職を「希望」していたが、親や教員に言われているから就職活動をするという姿勢では内定はもらえないと説明し、補習に参加する意味を考えさせることから始めた。不登校、引きこもり経験者も多く、一人一人に向き合い時間をかけ指導することを心がけた。自信を持つことで大きく変化することに気づき、褒めることを重視した。
3 一貫制博士課程2年目(修士課程2年目に相当)の大学院生を対象にした演習形式での助言・指導(立命館大学大学院先端総合学術研究科「プロジェクト予備演習」) 2013-04-01
~2017-03-31
大学院進学後はじめて論文を書く院生を対象とする演習であり、研究計画の立て方や執筆中の論文への助言など、状況に合わせた指導を行った。博士号を取得して研究者になることを目標とする院生が主だったので、論文指導だけでなく申請書の書き方や研究生活の送り方に対する助言などもした。研究テーマは、障害者運動史や当事者研究、福祉政策、社会学史など多岐に渡り、3名の講師で担当し、協力しながら指導を行った。
4 コミュニケーションペーパーを用いた双方向の授業による理解の深化 2013-04-01 ~ これまで担当してきた学部生対象の全ての講義において、基本的に毎回コミュニケーションペーパーを配布するなど、質問やコメントに応答する双方向の講義を行ってきた。授業を行った大学は様々であり、同じテーマを扱っている場合であっても、反応が異なることが頻繁に起こる。そこで、学生の興味関心を高め理解を深めるため、反応を見ながら講義の内容を微修正し、より的確に学生の疑問に答えられるよう工夫をしてきた。
5 自分自身や周囲の人物が従事している仕事の内容、職場状況に関するレポートを、A4で2~3枚(3000~5000字程度)にまとめる課題(関西学院大学社会学部「仕事と社会A・B」/大阪国際大学人間科学部「働く人の健康と権利」) 2013-04-01
~2015-03-31
労働問題について学ぶ講義において、初回でレポート課題を提示し、講義の内容と関連させながらレポート作成を進めさせた。労働条件、職務内容などを正確に把握し具体的に記述していること、社会的・構造的な視点を持っていること、関連する文献を参照していることなどを基準に評価した。文章を書くことに慣れていない学生もいたが、下書きの段階で一度提出させてコメントを一人一人に返すなどの指導を行い、完成度を高めさせた。
6 自分自身や周囲の人物が従事している仕事の内容、職場状況に関するレポートを、A4で2~3枚(3000~5000字程度)にまとめる課題(関西学院大学社会学部「仕事と社会A・B」/大阪国際大学人間科学部「働く人の健康と権利」) 2015-04-01
~2017-03-31
労働問題について学ぶ講義において、初回でレポート課題を提示し、講義の内容と関連させながらレポート作成を進めさせた。労働条件、職務内容などを正確に把握し具体的に記述していること、社会的・構造的な視点を持っていること、関連する文献を参照していることなどを基準に評価した。文章を書くことに慣れていない学生もいたが、下書きの段階で一度提出させてコメントを一人一人に返すなどの指導を行い、完成度を高めさせた。
7 Microsoft Teamsを用いたアクティブラーニング(京都外国語大学「基礎ゼミナール」) 2020-04-01 ~ 新入生を対象に、小集団のアクティブラーニングで、メールの書き方やパワーポイントを用いたプレゼンの方法、レポートの書き方(1500字レポートの提出が主な課題)などを指導した。2020年度と21年度は新型コロナ感染対策のため、オンライン(Microsoft Teams)で行われた。学生が不安なく主体的に学べるように、質問に丁寧に答えることはもちろん、掲示板などで大事なポイントを繰り返し伝えた。
8 Microsoft Teamsを用いた遠隔授業(京都外国語大学「現代アジア地域事情Ⅱ」)

2020-04-01 ~ 2020年度、新型コロナ感染対策のため、2年次配当の授業(複数教員担当)をMicrosoft Teamsを用いて行った。あらかじめファイルにアップロードしておいたレジュメ・資料を用いてリアルタイムで授業を配信した。コミュニケーションペーパーを配布することは無理であったが、「投稿」や「チャット」の機能を用いて、連絡や質問への回答をこまめに行い、学生の疑問を解消することに努めた。
9 YouTubeを用いた遠隔授業(天理大学「労働と社会」)

2021-04-01 ~ 感染対策のため、第2回よりYouTubeで動画を配信する方法に切り替えた。対面であれば、学生の反応を見ながら力を入れて説明をした方がいい箇所などを判断できるが、オンラインではそれが難しい。そこで、メールで提出させた感想や質問に答える「前回のおさらい」の時間を多めに取るなど、学生の疑問に気づき、答えられる工夫をした。学生からも、他の学生の意見や疑問を知ることで学びが深まったといった感想があった。
10 情報アクセシビリティを高める動画やレジュメの作成と配布方法の工夫(天理大学「労働と社会」) 2021-04-01 ~ パワーポイントを用いた授業用の動画やレジュメではUDフォントを採用し、読みやすさに配慮した。レジュメは、受講生に動画をアップしたYouTubeのURLをBCCで一斉送信する際に、PDF形式で保存したデータを添付して配布した。しかし、PDFよりテキストデータの方がアクセスしやすい学生もいるかもしれず、レジュメに載せたリンク先の資料へもアクセスしやすくなるので、本文にもレジュメの内容を貼り付けた。
11 映像教材としてNHK「高校講座」「アーカイブス」の使用(天理大学「労働と社会」) 2021-04-01 ~ 労働問題や福祉国家形成の歴史的背景を理解するために必要な世界史や日本史の知識を十分に持っていなかったり、忘れてしまっている学生がいるので、ウェブ上で見ることのできるNHK「高校講座」や「アーカイブス」の動画を授業において適宜紹介した。対面であれば複写した資料を配布して補足できることもオンラインでは難しかったので、無料かつ信頼度の高いNHKの資料を活用した。
12 オンデマンド授業における全盲の学生への配慮(京都外国語大学「基礎ゼミナール」) 2021-04-01 ~ オンデマンド授業において、パワーポイントを用いたプレゼンやレポート執筆の指導などを全盲の新入生に対して行った。当初パワーポイントの操作やワードの添削機能の使用などは難しいのではないかと思われた。しかし、できないと決めつけないことが大事であると考え、課題ごとにソフトの使い方を本人に確認することにした。そして大学の支援室とも協力することで、ほとんどの課題について提出が可能になった。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 「『就活』を考えるためのブックガイド」 2013-04-01 就職活動の特徴と問題点を客観的に捉えられるようになるためのブックガイド。明治期より「制度としての就職の歴史」を振り返ったり、日本企業における能力観の特徴に触れたりすることによって、ブックガイドでありながら、就職および就職をめぐる議論の歴史を総体として捉えられるようになることを目指した。『現代思想』(第41巻5号)に所収。
2 「若者をめぐる状況はどう変化したか?」 2013-07-15 状況が「若者」の定義を変えている点も踏まえて、若者をめぐる状況の変化を論じた。福祉社会学会が福祉社会学の入門書として編んだ『福祉社会学ハンドブック――現代を読み解く98の論点』(中央法規出版)に所収。
3 「権利を行使することの困難と希望――NPO法人『きょうと労働相談まどぐち』と労働問題講座の実践」 2015-02-25 キャリア教育に携わる教員を主な対象として編まれた居神浩編『ノンエリートのためのキャリア教育論』(法律文化社)所収の文章で、高橋慎一との共著。前半は労働法の出前講座の実践例の紹介で、後半は橋口が労働法教育の背景や教えるべき要点について、自己責任論やブラック企業論などに触れて解説した。
4 『<働く>ときの完全装備――15歳から学ぶ労働者の権利』 2016-12-05 教員が生徒・学生に労働法や生活保護など生きていく際に必要な制度を教えるための教材集であり、「仕事オークション」や「ロールプレイ」など教室全体で盛り上がりながら教えられる工夫が評価され、新版も発行された。共著者は、『反貧困学習――格差の連鎖を断つために』の共著者の一人である肥下彰男氏、『ストップ!デートDV――防止のための恋愛基礎レッスン』などの著書がある伊田広行氏である。
5 「労働相談の実践と研究の狭間で考える」 2017-03-28 立命館大学生存学研究センター監修・渡辺克典編『知のフロンティア――生存をめぐる研究の現場』所収のコラム。ユニオンの労働相談に応じる実践から社会的意味を引き出し、構造的に生存を支える状況を作り出すことに寄与することが、研究者として実践に関わる意味であるという考えを述べた。
6 「労働と社会」(天理大学)のために作成した動画 2021-04-14
~2021-07-15
「スライドショーの記録」機能を用いてパワーポイントに音声を入力し、MP4形式で保存し、登録している学生だけが見られる状態でYouTubeにアップした教材。黒板に線を引くように、パワーポイント上でも線を引いたり矢印で関係を示したりすることで、大事なポイントや概念・図の関係が理解しやすいように工夫をした。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 「パートナーシップ委員会の設計思想とその10年の歩み」(2011年度先端総合学術研究科パートナーシップ委員会企画、立命館大学) 2011-11-04 立命館大学大学院先端総合学術研究科において、ハラスメントを含む大学院独自の課題を析出し、研究環境の改善に向け、教員と院生が共に取り組んでいくことを目的として設置されたパートナーシップ委員会の活動を振り返る企画において、立ち上げに関わったものとして参加した。
2 学科講演会のアレンジメント 2022-11-10 現代社会学科主催の公開講演会「障害者自立生活運動の現状――社会からの排除に抗して」(講師は小泉浩子氏)をアレンジメントした。
3 学科講演会のアレンジメント 2023-11-08 現代社会学科主催の公開講演会「日本のトランスジェンダーの25年 規範、制度、医療をめぐって」(講師は吉野靫氏)をアレンジメントした。
B 職務実績
1 日本学術振興会特別研究員奨励費
2008-04-01
~2010-03-31
研究課題名「若年非正規労働者の労働組合の特質および意義に関する労働社会学的考察」。首都圏青年ユニオン、フリーター全般労働組合、ユニオンぼちぼち、フリーターユニオン福岡を「若者の労働運動」と位置付け、質的調査を行った。

2 立命館大学衣笠総合研究機構における専門研究員としての業務 2014-04-01
~2015-03-31
専門研究員として研究活動を行いながら、立命館大学生存学研究センターにおいて、大学院生の研究指導、留学生対応、障害学生対応、書庫の管理、資料整理、広報(ホームページに毎月掲載される記事「研究の現場」の企画・編集、月刊のメールマガジンの企画・編集、ツイッターの更新、フェイスブックページの立ち上げ及び更新)、企画の運営補佐、企画報告の依頼・編集などを行った。
3 社会教育講座の講師としての講義
2014-09-28 京都市と公益財団法人 京都市ユースサービス協会が主催するユースシンポジウム2014の「第2部参加型セミナー 若者が語る 私の働きマインド」において講師兼ファシリテーターとして、講演・ワークショップを行った。その他、第7期ぎふ労働学校(2008年4月11日)、中京青少年活動センター(2009年10月17日)、Weフォーラム(ドーンセンター、2011年7月31日)などでワークショップを行なってきた。
4 全労済協会2014年度公募委託調査研究 2014-11-01
~2015-12-31
研究課題名「母子世帯の育児の困難をめぐる重層的要因の検証――大阪府における事例調査をもとに」(研究代表代表:村上潔)。分担として、大阪府にある母子世帯の支援団体への質的調査研究を担当した。
5 「マスダ・ボストン・チャレンジ――74歳の難病ALS患者。当事者だから伝えられる言葉を国際学会で。」READYFOR(クラウドファンディング実行者) 2017-11-17
~2017-12-18
特定非営利活動法人「日本自立生活センター自立支援事業所」の職務として、「マスダ・ボストン・チャレンジ」に必要な渡航および滞在費用をクラウドファンディングで集めることに成功した。「マスダ・ボストン・チャレンジ」では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の当事者である増田英明氏が、ボストンで行われるALS国際学会に参加し、人工呼吸器を装着しても自分らしく生きられる道があることを他国の当事者やその家族に訴えた。
6 日本学術振興会 基礎研究(C)(一般) 2019-04-01
~2024-03-31
研究課題名「地域社会におけるケイパビリティに基づく福祉行財政の基礎理論―自治と自立の検討」(代表:村上慎司)
※申請書を共同で執筆するなどしたが、研究者番号がない時期の申請であったので「研究協力者」として参加している。担当として、地域福祉実践の質的調査および「自治・統治・ネオリベラリズム」に関する理論研究に研究協力している。
7 立命館大学衣笠総合研究機構における専門研究員としての業務 2020-06-01 ~ 専門研究員として研究活動を行いながら、立命館大学生存学研究所において、書庫の管理、資料整理、広報などの業務に従事している。また、生存学オンライン事務局として関わった「障害学国際セミナー 」(2020年7月18日、2021年2月27日開催)では、英語や多言語で行われる国際セミナーの内容を同時通訳、手話通訳、文字通訳を付してZoomでリアルタイム配信することに成功した。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2005-04-00~2018-08-00 関西社会学会会員
2 2006-04-00~0000-00-00 社会政策学会会員
3 2006-04-00~0000-00-00 日本社会学会会員
4 2007-07-00~0000-00-00 日本労働社会学会会員
5 2008-04-00~0000-00-00 福祉社会学会会員
6 2013-04-00~2014-03-00 2013-14年度New Cultural Frontiers 専門委員
7 2020-09-00~0000-00-00 障害学会会員
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 『税を直す』 共著 2009-09-00青土社 第1部では、立岩真也が所得税や法人税をめぐる制度の変遷や言説を辿り、税の累進性の強化を提案した。第2部第1章では村上慎司が、所得税の累進性を1987年の水準に戻した場合、約7兆円の財源が得られるとの試算を行った。第2章は、2000年代の日本における格差・貧困問題のブックガイドであり、橋口昌治が執筆した。「『平等社会』に対する二つの批判から『格差社会』論へ」「格差から貧困へ」などの節から構成される。
総頁数:350頁
本人担当:第2部第2章「格差・貧困に関する本の紹介」(242〜311頁)
共著者:立岩真也、村上慎司、橋口昌治
2 『<働く>ときの完全装備――15歳から学ぶ労働者の権利』 共著 2010-09-00解放出版社 教員が生徒・学生に労働法や生活保護などを教えるための教材集である。
総頁数:126頁
本人担当:若者のおかれている状況、教材4~6、11~13、14(共著者で意見を出し合い作成)、コラム4
※2016年12月に新版が刊行された。旧版後に浮上した職場の問題に対応するために「履歴書と職場の差別」「レイシャル・ハラスメント」「『LGBT』と職場」などのコラムを加えた。
総頁数:127頁
本人担当:教材4〜7・14・16、コラム2・7〜9・12
共著者:橋口昌治、肥下彰男、伊田広行
3 『若者の労働運動――「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』 単著 2011-03-00生活書院 2000年以降結成された、若年労働者を中心とする個人加盟ユニオンによる運動である「若者の労働運動」に関する学術研究書である。参与観察とインタビュー調査によって、企業社会の標準モデルから排除された人々が関係性を再構築していく試行錯誤の一つとして運動を位置付けた。「『若者の労働運動』の社会学的考察」(2009年度課程博士学位請求論文)に加筆し、2010年度先端総合学術研究科出版助成制度を得て刊行した。
総頁数:322頁
4 『個人加盟ユニオンと労働NPO――排除された労働者の権利擁護』 共著 2012-06-00ミネルヴァ書房 日本的雇用慣行から排除される労働者の権利を擁護してきた個人加盟ユニオンと労働NPOに関する共同研究の成果であり、第4章「自己責任論と個人加盟ユニオン――『若者の労働運動』の事例から」を担当した。そこでは「認識論的誤謬」概念を参照し、ユニオンが若者の「自己責任」意識をいかに変容させるのか、「誤謬」が正された後「階級意識などの集合的アイデンティティ」を持つに至るのか、2人の事例を分析した。
総頁数: 264頁
本人担当:26頁(107-132頁)
編者:遠藤公嗣、分担執筆:上原慎一、福井祐介、チャールズ・ウェザーズ、橋口昌治、小関隆志、大山小夜、金美珍、澤田ゆかり
5 『大人になる・社会をつくる――若者の貧困と学校・労働・家族』 共著 2020-04-00明石書店 「シリーズ・子どもの貧困」の第4巻であり、第2章「仕事をして暮らす」を担当した。まず「若者の貧困」をめぐる議論における女性の軽視を指摘し、「若者」というカテゴリーの問い直しが必要であると論じた。その上で、家族と学校と職場に支えられてきた従来の成長のモデルが成り立ちにくくなっている現状があり、「新しい社会システム」が求められるが、最低賃金の引き上げがその形成を促す可能性があるという展望を示した。
総頁数:260頁
本人担当:21頁(44-64頁)
編者:杉田真衣、谷口由希子、松本伊智朗、分担執筆:橋口昌治、新藤こずえ、川北稔、林明子、永野咲、屋代通子
以上5点
Ⅱ学術論文
1 「若年者の雇用問題と『やりたいこと』言説」 単著 2006-03-00『Core Ethics』第2号,立命館大学先端総合学術研究科 フリーターの「やりたいこと」志向が矯正の対象になっているのに対して、大学生は「やりたいこと」探しを励行され、また若者の語る「やりたいこと」の背景にある労働問題が論じられていないことに着目し、「やりたいこと」に主体化された若者の就業行動が、労働市場を通じて結果として雇用者に都合のいいように使われる構造になっていること、研究者の論文などもそのような言説構造の一端を担っていることを明らかにした。
16頁(165-180頁)〈査読あり〉
2 「90年代日本における大学生の就職と企業の求める『人柄』の変化」 単著 2006-03-00『Core Ethics』第2号,立命館大学先端総合学術研究科 1990年代に「日本的経営」への評価が大きく変わったことに着目し、その前後において大学生の就職がどのように変化したか、日本企業による採用活動において長年重視されてきた「人柄」の内容がどのように変化したかを新聞記事や文献をもとにまとめた。その結果、「人柄」の内容は変化したが、「専門知識」や「語学力」などの「技術」的側面よりも「人柄」が重視される傾向は変化していないという結果が得られた。
14頁(271-284頁)〈査読なし〉
3 「偽装雇用の実態と抵抗」 単著 2008-03-00『Core Ethics』第4号,立命館大学大学院先端総合学術研究科 法定労働条件保障責任などの使用者責任を回避するために「偽装雇用」が広がっており、その実態と抵抗のあり様をインタビュー調査によって明らかにした。職場や地域で「共同体」を見つけにくい若年非正規労働者は、その時々で所属する場の人間関係を基盤に「仲間」関係を形成する。それは抵抗の基盤になりうるが、労働市場横断的な労働運動が存在しないなかで企業依存的にならざるをえないという限界があることを明らかにした。
14頁(277-290頁)〈査読あり〉
4 「働くこと、生きること、やりたいこと――「新時代の日本的経営」における<人間の条件>」 単著 2009-02-00立命館大学生存学研究センター編『生存学』Vol.1 1990年代以降、日本的雇用は変容したものの「人間中心(尊重)の経営」の理念が維持されているため、「働くこと」「生きること」「やりたいこと」が密接に結びついてしまっていると日本の労働をめぐる現状を分析した。
14頁(70-83頁)〈査読あり〉
5 「若者の労働運動――首都圏青年ユニオンの事例研究」 単著 2009-03-00『Core Ethics』第5号立命館大学先端総合学術研究科 「首都圏青年ユニオン」(2000年12月結成)へのインタビューおよびアンケートに基づく調査の結果をまとめた。違法な職場で働く可能性の高い不安定な若者が増えていることを背景に、自分の問題を解決すると同時に他の人の問題も解決したいという意識がユニオンの方針や運営上の工夫によって生まれ、それが活発な運動の要因となっていることを明らかにした。
9頁(477-485頁)〈査読なし〉
6 「『労働運動の社会運動化』と『社会運動の労働運動化』の交差――『若者の労働運動』の歴史的位置づけ」 単著 2010-03-00立命館大学生存学研究センター編『生存学』Vol.2

2000年以降に結成された若年労働者を中心とする個人加盟ユニオンによる「若者の労働運動」について、首都圏青年ユニオン、フリーター全般労働組合、ユニオンぼちぼち、フリーターユニオン福岡の結成過程と特徴についてまとめた上で、労働運動と社会運動の交差という観点から、その歴史的な位置付けを行った。
12頁(71-82頁)〈査読あり〉
7 「「若者の労働運動」の社会学的考察」

単著 2010-03-00立命館大学大学院先端総合学術研究科 立命館大学に提出した「2009年度課程博士学位請求論文」であり、2010年3月31日に「博士(学術)」の学位が授与された(甲第685号)。
2000年以降結成された、若年労働者を中心とする個人加盟ユニオンによる運動を「若者の労働運動」と名づけ、その実態と特徴を参与観察とインタビュー調査によって明らかにした。
133頁
8 「『若者の労働運動』の活動実態と問題意識の射程」 単著 2010-08-00『日本労働研究雑誌』No.602,労働政策研究・研修機構

〈日本労働政策研究・研修機構より依頼があり執筆〉「若者の労働運動」の定義を、2000年以降、若年層の労働をめぐる状況の悪化が社会問題となるなかで結成された、若年労働者を中心とする労働市場横断的な個人加盟労働組合による運動とし、実態と特徴を論じた。その上で、活動の拡大とともに貧困や引きこもりなどの課題に直面し、「若者」や「フリーター」というフレームの限界もあらわになりつつあるため、運動の再構築が必要ではないかと指摘した。
7頁(60-66頁)
9 「定着率を高める個人加盟ユニオンの戦略と構造――首都圏青年ユニオンの事例を中心に」 単著 2010-12-00『社会政策』第2巻第2号,社会政策学会 首都圏青年ユニオンの高い定着率の要因を、組合員へのインタビューやアンケート調査によって明らかにした。単に「リーダー層」の方針を他の組合員が受容するだけでなく、組合員の自律的な組合への関わり方を「リーダー層」が受容するなど、複線的で柔軟な組合運営がなされていること、それが集団主義と個人主義のバランスを維持することを可能にし、自律性の高い「今の若い人」が定着する要因になっていることを明らかにした。
13頁(59-71頁)〈査読あり〉
10 「メンタルヘルスに関わる労働相談をめぐる困難」 単著 2012-04-00『大原社会問題研究所雑誌』№642,法政大学大原社会問題研究所

労働組合の衰退や個人化によって、集団的に解決すべき労働問題を労働者が個々に対応すべき健康問題として捉えられる「労働問題の精神医療化」が進んでいる。それに対してユニオンは抵抗していると言えるが、同時に精神医療化と労働問題化の関係は必ずしも相反しないこと、特に集団紛争化の際も、精神医療化・心理主義化と見紛う関係性の構築が相談担当者と相談者の間で必要なことが分かり、そこに困難があることを指摘した。
15頁(30-44頁)〈査読なし〉
11 「債務・人口・保育――都心回帰時代の大阪経済と都市の行方」 共著 2013-03-00立命館大学生存学研究センター編『生存学』Vol.6. 大阪市の「都心回帰」現象を労働力配置の観点から検証し、待機児童問題が生じていることを指摘した。そして、都市において保育とそれに付随する社会保障の重要性が高まっているという事態は、「成長戦略」において求められてきた「改革」と債務削減という従来の組み合わせに代わる理論的枠組みの構築を要請していると論じた。
18頁(336-353頁)〈査読あり〉
本人担当:「はじめに」、1節、2節を箱田徹と担当
共著者:橋口昌治、箱田徹、村上慎司
12 「揺らぐ企業社会における『あきらめ』と抵抗――『若者の労働運動』の事例研究」 単著 2014-09-00『社会学評論』Vol.65,No.2,日本社会学会

〈日本社会学会より依頼があり執筆〉
政治的目的性や上昇アスピレーションを加熱か冷却かの二項対立で捉え、共同性が政治的目的性を「あきらめ」させるとする議論の検討を、「若者の労働運動」に参加する2人へのインタビューを通して行った。2人は、生きるために現状と折り合いをつけながらも、現状を全面的に受容するのではなく、組合活動を通して政治的目的性を加熱させていた。ここで冷却と加熱は二項対立的ではなく、また「あきらめ」が抵抗の基盤となっていた。
15頁(164-178頁)
13 「得体の知れないものとの闘い――『カウンター』黎明期の問題意識と方法について」

単著 2016-03-00立命館大学生存学研究センター編『生存学』Vol.9.

〈立命館大学生存学研究センターより依頼があり執筆〉ヘイトスピーチへの集合的で直接的な抗議行動を「カウンター」と定義し、2009年から2010年を「カウンター」黎明期と位置付けた。その上で当時の関西における「カウンター」の実態や問題意識をインタビューや記録をもとに明らかにした。そして、戦後市民社会の露悪的なパロディとも言える「在日特権を許さない市民の会」を批判するためには、戦後民主主義を守るという意志と、批判し乗り越えるという矛盾した問題意識の併存が必要であったと分析した。
18頁(26-43頁)
14 「日本の特区政策の特徴と現状」 共著 2017-03-00『立命館言語文化研究』第28巻4号,立命館大学国際言語文化研究所 各国の「特区政策」の動向を整理した上で、日本の「特区」の特徴が、国土開発政策と産業立地政策の転換が進められるなか、規制緩和によるイノベーションの誘発が期待されている点にあると論じた。そして成果について評価が低いにもかかわらず継続していることに対して、政策理念として把握し、分析する必要性があることを指摘した。
※プロジェクト研究代表者として関わった「立命館大学国際言語文化研究所 萌芽的プロジェクト研究助成プログラム」(研究課題「現代都市政策イデオロギーとしての特区構想――理論・歴史・政策への学際的アプローチ」)の成果。
14頁(107-120頁)〈査読なし〉
本人担当:共同研究につき本人担当部分抽出不可能
共著者:箱田徹、橋口昌治
15 「道路交通法の誕生――1950年代の日本における「自由主義的統治への再編」と社会政策」 単著 2021-05-00『生存学研究』第5号、立命館大学生存学研究所 道路交通法に着目し、戦前から戦後にかけての統治のあり方の変化を論じた。内務省解体に伴う内政・警察の再編と道路交通行政の再編を背景に進んだ交通量の爆発的な拡大と事故の急増に対応するために、道交法は取締り一辺倒ではなく、交通安全運動などによって、統治される側である運転者の合理性にもとづいて規則づけようとした。ここに、自由を生み出しながら組織化する「自由主義的統治への再編」が見出せると論じた。
11頁(43-53頁)〈査読あり〉
16 障害者の就労と自動車運転免許 単著 2023-02-28『哲學論集』第69号 戦中から戦後にかけての傷痍軍人および障害者の移動に関する国の施策を振り返り、その上で、道交法および同法施行規則において障害者運転免許獲得を認められたことを、障害者の移動に対する国の施策の最初期のものとして位置付けた。そして、道交法と身体障害者雇用促進法が同時期に審議されていたことに着目し、両者の関係および厚生省、労働省、警察庁の法制定への関わりを明らかにした。
15頁(1-15頁)
以上16点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 「『やりたいこと』志向の研究の成果と問題点――フリーター論者の分析とその意図せざる帰結」

口頭発表(一般発表) 2005-05-00関西社会学会第56回大会
(大阪市立大学)
フリーター特有の就業意識として指摘された「やりたいこと」志向をめぐる研究を整理した上で、それを含めた「やりたいこと」言説の分析を通じて、1990年代末から2000年代前半のフリーター研究の問題点を指摘した。
発表時間:25分
2 「日本の若年者雇用対策を評価する視点――『逆接』論と『順接』論」

口頭発表(一般発表) 2006-06-00社会政策学会第112回大会
(立教大学)
若年者雇用対策の内容および背景にある政策思想・能力観を分析することによって、「若年者雇用対策」と内容の関係を「逆接」的に捉えて批判的に評価する立場を批判し、「順接」的に捉えながら批判する立場を提示した。その際、「人間力」概念の背後に「日本的経営」の能力観(いわゆる「人間中心(尊重)」)があるのではないかと指摘した。
発表時間:30分
3 「上海市調査報告書」 単著 2007-03-00『グローバル化の過程において一国民国家を越境する公共圏の諸相』 研究成果報告書(基盤B・15330114、代表・西川長夫)
編者:小川浩史、番匠健一
4頁(177-180)
4 「資料 高度成長に関わる年表」 単著 2007-03-00『「高度成長」再論』 2006年度報告書(基盤B・16330111、代表・立岩真也)
編者:「高度成長期」研究会
2頁(170-189頁)
5 「若者とユニオン運動」 単著 2008-02-00『科学的社会主義』No.118、社会主義協会 若年非正規労働者を中心とするユニオン運動の動向についての報告である。
6頁(36-41頁)

6 「非正規の若者たちの労組を結成」 単著 2008-04-00『月刊労働組合』No.518、労働大学出版センター. 若年非正規労働者がユニオンを結成し始めたことについて論じた。
2頁(22-23頁)
7 「日本における非正規労働者の運動について――簡単な歴史と現状」 口頭発表(シンポジウムのパネル) 2008-06-00「労働・雇用・保障のオルタナティヴ」立命館大学 《ゲストスピーカー》思想家マウリツィオ・ラッツァラートの来日企画において、日本の労働運動の歴史や非正規労働者の運動の現状について報告した。
発表時間:15分
8 「若年非正規労働者を中心とした労働組合運動の活動と位置づけ」

口頭発表(一般発表) 2008-06-00福祉社会学会第6回大会
(上智大学)
2000年以降結成された、若年労働者を中心とする個人加盟ユニオンによる運動の活動実態を、独自に開催するメーデーなどに触れて報告した。またそれを踏まえ、従来のコミュニティユニオンとの差異について考察した。
発表時間:30分
9 「『若者の労働運動』――首都圏青年ユニオンの事例研究」 口頭発表(一般発表) 2008-10-00日本労働社会学会第20回大会
(専修大学)
「若者の労働運動」の嚆矢とも言える2000年12月結成の首都圏青年ユニオンの成り立ちと運動の特徴を、書記長(当時)へのインタビューなどをもとに明らかにした。また組合員へのアンケート調査を踏まえて、加入を継続している動機などを分析し、活発な運動の要因を分析した。
発表時間:20分

10 「塾講師の待遇改善をめぐる2つの事例」 単著 2009-04-00『労働社会学研究』第10号、日本労働社会学会 待遇改善をめぐって動いた塾講師の2つの事例を、塾業界の動向と関連させて報告した。
3頁(167-169頁)
11 「繋がりの模索としての「若者の労働運動」――ユニオン・アソシエーション・コミュニティ」 単著 2009-08-00『季報唯物論研究』第109号、季報「唯物論研究」刊行会

企業社会から排除された若年非正規労働者の労働運動を、新たな共同性の萌芽として検討した。
6頁(26-31頁)

12 .「『労働/生存組合』の誕生――フリーターユニオン福岡の事例研究」

口頭発表(一般発表) 2009-11-00日本労働社会学会第21回大会
(佛教大学)
フリーターユニオン福岡は「労働/生存組合」と称し、就労している「労働者」だけでなく、就労していない「引きこもり」に対しても組合加入を呼びかけている。実際に「引きこもり」当事者や経験者の組合員がおり、労働条件の悪い仕事ばかりの状況を改善しようとせずに進められる就労支援への疑問などから労働組合の活動に関わっていることを報告した。
発表時間:20分
13 「日本の所得保障制度と生活保護」 口頭発表(一般発表) 2010-11-00韓国障害学研究会・立命館大学生存学研究センター「第1回障害学国際研究セミナー」,イルムセンター(韓国・ソウル) 2000年代以降の日本における貧困をめぐる議論や反貧困運動、「年越し派遣村」などの運動の動向、そして生活保護の運用実態を説明した上で、生活保護が障害者の所得保障において果たしてきた役割について報告した。
発表時間:30分

14 「『ひきこもり』と労働」 口頭発表(シンポジウムのパネル) 2011-08-00ひきこもり臨床研究会第2回定例研究会
(日本福祉大学)
「現代社会とひきこもり臨床――医療・労働・民間支援」と題するミニシンポに荻野達史(静岡大学教授)とともに登壇した(司会は川北稔・愛知教育大学准教授)。フリーターユニオン福岡に対する調査の結果などをもとに、「ひきこもり」の当事者や経験者が「若者の労働運動」に参加している動機などについて報告した。
発表時間:40分
15 「若者の労働運動と生活保護」 口頭発表(一般発表) 2012-02-00福祉社会学会第35回研究会
(立命館大学)
非正規労働者の増加にともない、職を失うとすぐに生活保護申請が必要になるほど、生活基盤が脆弱な労働者が増えた。その結果、個人加盟ユニオンが労働相談のみならず生活相談に応じる必要性も高まった。「若者の労働運動」にも生活保護を受給している組合員がおり、働いていない状態にある組合員を包摂する労働運動の実態と労働観の位置付けについて報告した。
発表時間:40分
16 Youth labor movements in Japan: Their conditions and characteristics 口頭発表(一般発表) 2012-08-00The Second ISA Forum of Sociology, The University of Buenos Aires

日本の「若者の労働運動」の実態や特徴について、非正規労働者の増加などの背景も含め、英語で報告を行った。その際、「労働者」としてのアイデンティティを共有することが難しい点を、ケヴィン・マクドナルドの「経験運動」概念を用いて論じた。
発表時間:20分

17 「『労働問題』の現状――『問題』提起と秩序の受容」 口頭発表(シンポジウムのパネル) 2012-10-00第35回唯物論研究協会大会・第3分科会「働く/働かない――労働観の現在」
(法政大学)
《ゲストスピーカー》ともに登壇した伊原亮司(岐阜大学准教授・当時)の『トヨタの労働現場』など日本の職場における秩序受容の先行研究を参照しながら、「労働問題」を集合的に構成することが困難であることによって、問題の遍在(日本的雇用の本質と不可分)と偏在(問題化の限定)が生じているのではないかと論じた。また「ブラック企業」という表現は、個人の工夫や努力で避けられる個々の企業の問題へと矮小化してしまう危険性があると指摘した。
発表時間:90分
18 .阿部真大著『居場所の社会学』

単著 2012-12-00『日本労働社会学会年報』第23号、日本労働社会学会

阿部真大著『居場所の社会学』について、職場が居場所となる意味が、労働者と経営者とでは異なるのではないかという観点から論じた。
5頁(131-135頁)
19 「労働組合運動を『自分(たち)のもの』と感じてもらえるために」 単著 2013-04-00『経済科学通信』No.131、基礎経済科学研究所 特集「労働組合運動強化の課題」に対する紙面批評を、反原発運動における労組の旗に関する言説に触れながら行った。
4頁(80-83頁)
20 「『就活自殺』とジェンダー構造」 単著 2013-05-00『現代思想』第41巻7号、青土社 特集「自殺論――対策の現場から」のために「就活自殺」をテーマに執筆してほしいという依頼があり、男性性を問い直されるユニオンの“居心地の悪さ”が、むしろ「居場所」としての条件であり、そういう場が広がっていくことが、男性に偏る自殺を減らしていく土台になるのではないかと論じた。
10頁(140-149頁)
21 「『幸福な若者たち』を『組織化』するための試論」

単著 2013-10-00『労働法律旬報』No.1801、旬報社 「[特別企画]非正規労働者の組織化」のための原稿として、古市憲寿の「幸福な若者たち」論を踏まえつつ、熊沢誠の論じた日本の労働者像を参照して、年長世代による組織化よりも若者自身による自己組織化が重要ではないかと論じた。
7頁(76-83頁)

22 「労働問題研究と『ブラック企業』論」 口頭発表(一般発表) 2013-11-00日本労働社会学会第25回大会
(東北福祉大学)

「ブラック企業」が流行語となった背景にある企業社会の秩序受容の綻びを「労働問題研究」が捉え切れていないのではないかと問題提起した。
発表時間:20分

23 小谷幸著『個人加盟ユニオンの社会学――「東京管理職ユニオン」と「女性ユニオン」(1993年〜2002年)』 単著 2013-11-00『日本労働研究雑誌』No.640、労働政策研究・研修機構 小谷幸著『個人加盟ユニオンの社会学――「東京管理職ユニオン」と「女性ユニオン」(1993年〜2002年)』について、1990年代から2010年代にかけて、企業からの「自立」の意味とともに、ユニオンの運動方針の位置付けも変わってしまったのではないかという観点から論じた。
3頁(93-95頁)
24 「職場における無法状態の広がりと働くことへの信頼」 口頭発表(シンポジウムのパネル) 2013-12-00「資本主義の多様性と労働モチベーションに関する国際比較」、京都大学 《ゲストスピーカー》京都大学経済研究所・平成25年度プロジェクト研究「経済システムの多様性と労働モチベーションに関する比較経済学分析」主催の国際コンファレンスにおいて、依頼があり報告を行った。日本では、不当解雇や賃金未払い、ハラスメントなど法や人権を軽視した不公正な競争が蔓延し、働くことへの信頼が損なわれるような状態が続いているが、それは持続可能なのか、どのようにしたら公正な状態にできるのかという問題提起を行った。
発表時間:20分
25 「社会的排除と個人加盟ユニオン――労働/就労とどう向き合うか」

口頭発表(シンポジウムのパネル) 2014-05-00日本寄せ場学会
(龍谷大学)

《ゲストスピーカー》メンタルヘルスの悪化などで働けない組合員のいる個人加盟ユニオンが、労働/就労とどう向き合っているか、「社会的排除」概念を念頭に報告した。
発表時間:40分

26 「『若者の現在』とユニオン」 単著 2014-08-00『季報唯物論研究』第128号、季報「唯物論研究」刊行会 長期雇用や年功賃金が揺らぎ、「将来」というものが変容している現状において「若者」にとって「現在」というものも変容しているのではないかと論じた。
6頁(34-39頁)
27 「母子世帯の子育ての困難をめぐる重層的要因の検証」

ポスター発表(一般発表) 2015-01-00立命館大学人間科学研究所2014年度年次総会ポスターセッション
(立命館大学)
共同研究者として参加した「立命館大学人間科学研究所 インクルーシブ社会に向けた支援の<学=実>連環型研究・2014年度《社会的包摂と支援に関する基礎的研究》(研究課題名「母子世帯の子育ての困難をめぐる重層的要因の検証」(研究代表者:村上潔))の成果。
本人担当:共同研究につき本人担当部分抽出不可能
共著者:堅田香緒里、村上慎司、橋口昌治、村上潔
28 遠藤公嗣編著『同一価値労働同一賃金をめざす職務評価』 単著 2015-01-00『日本労働社会学会年報』第25号、日本労働社会学会 遠藤公嗣編著『同一価値労働同一賃金をめざす職務評価』について、同一価値労働同一賃金によって賃金が低い方に合わせられるのではないかという不安に対する配慮が、実践的な意味では必要だったのではないかと論じた。
5頁(191-195頁)
29 "Organizing Young Flexible Workers in Japan" 口頭発表(一般発表) 2015-05-00The Labor and Employment Relations Association (LERA) 67th Annual Meeting, Pittsburgh, PA. 社会政策学会とLERA のジョイントセッション "Organizing Precarious Workers in Japan and the United States." に応募し、鈴木玲(法政大学教授)と小谷幸(日本大学准教授)とともに参加した。若年非正規労働者の現状およびユニオンへの組織化の現状について、アメリカとの比較を念頭に報告を行った。参加に際して2015年度生存学研究センター若手研究者研究力強化型「国際的研究活動」の助成を受けた。
発表時間:20分
30 「母子世帯の子育ての困難をめぐる重層的要因――理論的考察と大阪府の支援団体調査から」 口頭発表(一般発表) 2015-06-00福祉社会学会第13回大会
(名古屋大学)

共同研究者として参加した「全労済協会2014年度公募委託調査研究(研究課題名「母子世帯の育児の困難をめぐる重層的要因の検証――大阪府における事例調査をもとに」(研究代表者:村上潔)の成果。母子世帯の子育てをめぐる困難の重層的要因を解き明かす概念装置として「子育て関連ケイパビリティ」という独自の分析視角を提起し、その有効性を検証した。
本人担当:共同研究につき本人担当部分抽出不可能
共著者:村上慎司、堅田香緒里、村上潔、橋口昌治
※なお調査結果全体は『母子世帯の子育ての困難をめぐる重層的要因――子育て関連ケイパビリティの検討と大阪府の支援団体調査からの分析』(全労済協会「公募研究シリーズ」65、2017年2月)として公開されている。
https://www.zenrosaikyokai.or.jp/znr_hp/wp-content/uploads/2017/04/koubo65.pdf
31 「高卒で働き始める若者をどう捉えるか」 口頭発表(研究会のゲスト講師) 2015-07-00ユースワーカー養成研究会
(キャンパスプラザ京都)
《ゲストスピーカー》乾彰夫ら「高卒者の進路動向に関する研究」グループによる研究成果や、筒井美紀・阿部真大によるヤンキー文化とブルーカラー労働に関する共同研究などを参照しながら、高卒で働き始める若者の現状や支援の課題などについて報告した。
発表時間:40分
32 .伊藤大一著『非正規雇用と労働運動――若年労働者の主体と抵抗』

単著 2015-07-00『社会政策』7(1)、社会政策学会

伊藤大一著『非正規雇用と労働運動』について、調査対象の非正規労働者労働者たちが自己責任意識にとらわれていない背景には何があるのか、もっと知りたいとコメントした。
5頁(191-195頁)
33 .「最低賃金の三つの顔――貧困対策、『成長戦略』、労働市場改革」 単著 2016-04-00『支援』第6号、生活書院 最低賃金は、貧困対策としてばかり注目されるが、経済政策や労働市場政策としての側面も持っていることを論じた。
5頁(79-93頁)
34 中嶌剛著『とりあえず志向とキャリア形成』

単著 2016-12-00『日本労働社会学会年報』第27号、日本労働社会学会

中嶌剛著『とりあえず志向とキャリア形成』について、学生の心理に着目しながら、学生に変わるよう促すことがない貴重な研究であると論じた。
5頁(172-176頁)
35 「路上と職場――最賃引き上げ運動の現状と展望」 単著 2017-01-00『市政研究』第194号、大阪市政調査会 最低賃金引き上げを求めるグループであるエキタスの動向について概観した上で、最低賃金の引き上げが初任給の引き上げを通じて、日本的雇用システム全体に影響を与えうることを指摘した。
9頁(34-42頁)
36 『母子世帯の子育ての困難をめぐる重層的要因―子育て関連ケイパビリティの検討と大阪府の支援団体調査からの分析』 単著 2017-02-00全労済協会「公募研究シリーズ」65

【再掲】「全労済協会2014年度公募委託調査研究(研究課題名「母子世帯の育児の困難をめぐる重層的要因の検証――大阪府における事例調査をもとに」(研究代表者:村上潔)の成果。
37 「日本の抱えるジレンマと最賃引き上げ運動」 口頭発表(シンポジウムのパネル) 2017-03-00The 5th Hokkaido Dialogue, Tsinghua University, Taiwan 《ゲストスピーカー》北海道大学東アジア研究所主催「第 5 回北海道ダイアログ」(台湾の国立清華大学)において、台湾、中国、韓国から来た参加者にも伝わるように、日本の「正社員」および非正規労働者の特徴を説明した上で、その格差を縮小するために最低賃金引き上げの運動が行われていることを報告した。
発表時間:20分
38 On AEQUITAS:
The Movement to Raise
The Minimum Wage
In Japan
口頭発表(シンポジウムのパネル) 2017-09-00The 2nd Japan-Korea CSR Workshop: Collaboration among the Government, Business, and Civil Society, Ritsumeikan University 《ゲストスピーカー》「企業の社会的責任」に関する日韓の共同研究の成果中間報告を行うワークショップにおいて、主催者より依頼があり、日本の最低賃金引き上げ運動を牽引するエキタスについての報告を行った。
発表時間:20分
39 富永京子著『社会運動と若者──日常と出来事を往還する政治』 単著 2018-03-00『立命館産業社会論集』第53号第4号、立命館大学産業社会学部

富永京子著『社会運動と若者──日常と出来事を往還する政治』について、「若者」の範囲が年齢なのか、同じサブカルチャーを共有している人たちなのか不明確な部分があるのではないかと指摘した。
7頁(103-109頁)
40 「若者の連帯の位置付け」 口頭発表(シンポジウムのパネル) 2018-12-00社会文化学会第21回全国大会
(立命館大学)
《ゲストスピーカー》「個人化」が進んでいるとの議論に、社会運動論や若者論、あるいは「学校から職場への移行」に関する研究も影響を受けてきたが、近年は女性や障害者など属性による連帯、抗議行動が広く見られるようになり、かつ異なる属性間の連帯も様々な形で模索されている。そのような状況において「若者の連帯」が特権的に語られやすい言論状況について批判的な検討を行った。
発表時間:40分
41 .中根多惠著『多国籍ユニオニズムの動員構造と戦略分析』 単著 2019-06-00『東海社会学会年報』第11号、東海社会学会

中根多惠著『多国籍ユニオニズムの動員構造と戦略分析』について、初期の個人加盟ユニオン研究で見られた「そもそもユニオンは研究対象たりうるのか」という問いが見られず、ユニオン研究が定着したことをうかがわせる成果であると位置付けた。
4頁(116-119頁)
42 「障害者の就労と道路交通法の制定」 オンライン発表(一般発表) 2020-09-00障害学会第17回大会報告
(オンライン開催)
1960年制定の道路交通法において「免許の欠格事由」(第88条)が定められたことによって、その事由にあてはまらない身体障害者の免許取得が制度的に可能になった。その背景に、障害者の就労問題があったことを、当事者による運転免許獲得運動や国会での審議などに触れながら明らかにした。
報告内容:ウェブ上で閲覧可能
http://www.arsvi.com/2020/20200919hs.htm
43 「身体×社会アーカイブの構築――報告と招請」 オンライン発表(一般発表) 2020-09-00障害学会第17回大会報告
(オンライン開催)
専門研究員として働く「生存学研究所」では、病者・障害者運動史や各種の制度の変遷に関する資料・記録のアーカイヴィングを行っている。運動は多岐にわたり、関わった団体や個人も非常に多いため、資料を散逸させず収集することは重要であるが難しい。そこで本報告では、研究所のアーカイヴィング活動の概要を報告した上で、障害学会会員に対して参画・協力の依頼を行った。
本人担当:共同研究につき本人担当部分抽出不可能
共著者:橋口昌治、中井良平、立岩真也
報告内容:ウェブ上で閲覧可能
http://www.arsvi.com/2020/20200919hs3.htm
44 「「障害学国際セミナー 2020」における、生存学オンライン事務局の取り組み その2 ――障害学国際セミナーの様子と、今後への課題」 オンライン発表(一般発表) 2020-09-00障害学会第17回大会報告
(オンライン開催)
英語によるオンライン上の国際セミナーを英日通訳、手話通訳、文字通訳を付けてリアルタイムでオンライン配信するという「障害学国際セミナー 2020」における、生存学オンライン事務局の情報保障の取り組みを報告した。
本人担当:共同研究につき本人担当部分抽出不可能
共著者:中井良平、橋口昌治
報告内容:ウェブ上で閲覧可能
http://www.arsvi.com/2020/20200919nr3.htm
45 松永伸太朗著『アニメーターはどう働いているのか――集まって働くフリーランサーたちの労働社会学』 単著 2022-03-31『社会政策』13(3)、社会政策学会 松永伸太朗著『アニメーターはどう働いているのか』について、日本的雇用とは異なる働き方が求められ、かつ請負労働者の「保護」も議論される現状において、参照されるべき貴重な事例であることなどを指摘した。
4頁(164-167頁)
46 労働相談から考える働き方 単著 2022-06-01『保健の科学』杏林書院 裁量労働制やテレワークなどの「新しい働き方」が広がる一方、労働者が集団的に労働条件の改善を要求する力が弱くなっている。そのようななか、ユニオンによる労働相談は、個別の相談から集団的な問題の解決へとつなげる役割を果たしている。そのことは、個人や医療の問題とされがちな職場のメンタルヘルス問題も労働問題として捉える契機ともなっている。 5頁 392頁〜396頁
47 コロナ禍における生存学研究所の情報保障についてーー総括編 単著 2022-08-31『立命館生存学研究』vol.6 「特集2 情報アクセシビリティのいまとこれから」に、コロナ禍に開催された生存学研究所の企画、特に日本、韓国、中国、台湾を結んで行なった障害学国際セミナーや、障害学会のシンポジウムにおいて、どのような情報保障を行い、課題があったのかなど総括的な報告を寄せた。
5頁(51-55頁)
48 日本における最低賃金の引き上げとその影響 単著 2023-03-30大谷大学社会学会 2023年3月15日に開かれた「政労使会議」において示された最低賃金に関する方針にも触れながら、日本における最低賃金の引き上げとその影響について報告した。
発表時間:20分
49 ゼネラルユニオンにおける苦情処理制度 単著 2023-10-07社会政策学会第147回大会 苦情処理制度は、一般的に企業内に設けられるものであるが、「産別志向」の労働組合であるゼネラルユニオンでは、協約を結んでいる企業だけでなく結んでいない企業に対しても苦情処理制度を活用し、組合員の問題に取り組んできた。その特徴を、コミュニティ・ユニオンによる団交の活用を比較し、明らかにした。
発表時間:40分
以上49点

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