教育研究業績の一覧

小川 直人
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 課外での文献読解指導 2001-04-00
~2005-03-00
 大谷大学特別研修員(現任期制助教)就任時より真宗学科非常勤講師在職時にかけての四年間に渡り、文学部三、四回生及び大学院在学生を中心とした十人程度の輪読会を主催し、漢文文献読解指導を行った。毎週一回(各回三時間程度)の開催で『真宗聖教全書』一巻「三経七祖部」を通読した。
2 文学部三回生編入試験、大学院修士課程、博士後期課程入学試験受験者への英語指導 2002-07-00
~2006-03-00
 短期大学部仏教科からの依頼や本人の求めに応じて、標記各入学試験受験者への英語指導を行った。本人の学力状況に応じて指導方法を検討し、毎週一回(九十分)の継続的な指導を通年で行った場合と、入試直前の短期集中指導(各回二時間程度)を行った場合とがある。(指導人数 三回生編入試験三十人程度、大学院入学試験十人程度)
3 授業と課外指導の連携による習熟促進 2016-04-00
~2021-03-00
 大谷大学において、英語再入門クラスと学習支援室との連携により、教室内だけでは行き届かない点を、学習支援室での個別指導によってフォローした。また専用用紙(リアクションペーパー)を用意し、学生各自に毎回の授業の学習内容や理解度、質問などを記入させ、学生ごとの理解度や疑問点を把握するよう努め、双方向的な授業になるよう心がけた。
 また、学習支援室での個別指導では、可能な限り各学生の個性を把握し、それに応じて指導するよう心がけた。
4 通常授業における試験に向けた学習の工夫 2022-04-00 ~  通常授業の最後に試験対策学習の回を設け、学生の相互学習を促すと共に、巡回指導をして個別対応を行った。
 試験課題を告知しポイントを指摘することで、学生が個々にノートを見返して授業内容を復習し、かつ相互に確認し合い、また文章を添削し合うなどの相互学習の場をもつことができた。さらに、巡回指導をすることで、講義形式の授業では疎かになりがちな、学生個々の状況に合わせた個別対応の場を、短い時間ながらもつことができた。
5 課外での文献読解指導 2023-09-00 ~ 課外において親鸞思想を学ぶ上で必須のテキストである『観経疏』(善導)の読解指導を行なった。(週一回、各回90分)
6 大学院博士後期課程入学試験受験者への英語指導 2023-12-00
~2024-02-00
博士後期課程入学試験受験者を対象に、週2回の英語指導を行なった。計3ヶ月、27回
2 作成した教科書、教材、参考書
1 漢文読解教材の作成 2003-04-00
~2005-03-00
真宗学科非常勤講師在職時、文献研究の授業で使用する教材を作成した。具体的には漢文テキストに訓点を施したものを見開き右面上段に配し、下段に各自延べ書きを記入させる形式で、左面には語注の見本を掲載し、続けて各自で語注を作成させるもの。
2 「正信念仏偈」学習テキストの作成 2015-09-00
~2020-02-00
標記の期間に渡って開催された真宗仏光寺派第十一次聞法運動推進員養成研修会で使用した「正信念仏偈」テキストを作成した。具体的には見開き右面に「坂東本」『教行信証』「正信偈」該当箇所の画像を掲載し、左面に延べ書きと簡単な註釈を施したもの。
3 映画などを題材とした英語教材の作成 2016-04-00 ~ 英語再入門クラスの授業で用いる教材の作成。(映画を選定し、授業で用いる場面を文字化し、注釈などを付した資料の作成、及び当該資料に関する小テストの作成など。)
 2020年度前期のオンライン授業期間には、数点の解説動画を作成した。
4 「正信念仏偈」教材の作成 2022-04-00 ~ 授業において学生が漢文文献に習熟できるよう、書き下し文作成と音読の訓練を想定した教材を作成した。
5 『聖典入門』 ー真宗学演習サブテキストー』の編纂 2023-05-00
~2024-02-00
2023年度学長裁量経費採択事業「真宗学の基礎を把握し4年間の学びを深めるためのサブテキストの作成と刊行・配布」に従事し、三木彰円教授、本明義樹講師と共に、標記のテキストを編纂した。
6 『選択集』教材の作成 2023-09-00 ~ 授業において学生が漢文に習熟できるよう、書き下し文の作成と音読を想定した教材を作成した。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 “Cultivating Spirituality”翻訳事業の研究補助 1998-04-00
~2001-03-00
2013年に刊行された “Cultivating Spirituality : A Modern Shin Buddhist Anthology” に収録されている原稿の翻訳事業に、大谷大学真宗総合研究所の研究補助員及び客員研究員として関わり、翻訳研究のための資料作成などに従事した。
2 “Cultivating Spirituality”翻訳事業の研究補助

2003-04-00
~2005-03-00
2013年に刊行された “Cultivating Spirituality : A Modern Shin Buddhist Anthology” に収録されている原稿の翻訳事業に、大谷大学真宗総合研究所の研究補助員及び客員研究員として関わり、翻訳研究のための資料作成などに従事した。
3 『顯淨土眞實敎行證文類』の編纂 2004-11-00
~2012-03-00
真宗大谷派の宗祖親鸞聖人750回御遠忌記念事業として行われた、『顯淨土眞實敎行證文類』の翻刻・編纂事業に従事した。
4 真宗仏光寺派第十一次聞法運動推進員養成研修会の講師

2015-09-00
~2020-02-00
真宗仏光寺派において布教使養成研修として行われている第十一次聞法運動推進員養成研修会において講師を務めた。本研修会は毎年二月と九月に四泊五日の研修会を行い、五年間十回の研修を一次とするものである。本研修会において、「正信念仏偈」をテキストとし、各回計十時間から十二時間の講義を担当した。
5 真宗仏光寺派第十二次聞法運動推進員養成研修会の講師 2020-09-00 ~ 上記研修会第十二次の講師を務めている。コロナ禍の影響で予定通りの開催ができず、2021年2月と2021年9月の二回に渡って、各回四時間のオンライン講義を担当した。2022年2月より本来の形式で開催され、2022年2月、2022年9月に4泊5日の研修の間、各回10時間から12時間の講義を担当した。今後、2026年まで毎年2月と9月に4泊5日の研修会が開催される予定である。
6 大谷大学生涯学習講座
「開放セミナー」講師担当
2023-05-18
~2023-07-06
大谷大学開放セミナーにおいて、「正像末和讃」の概要、第一首から第十八首までを講義した。(各回90分 全6回)
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 1998-00-00~0000-00-00 真宗連合学会
2 2001-00-00~0000-00-00 大谷大学真宗学会
3 2001-00-00~0000-00-00 大谷学会
4 2009-00-00~0000-00-00 真宗教学学会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
以上0点
Ⅱ学術論文
1 現生正定聚
―その思想的源泉を尋ねて―
単著 2000-12-00『大谷大学大学院研究紀要』第17号
(大谷大学大学院)
親鸞の思想の根幹をなす主題に現生正定聚がある。この論文の主旨は親鸞によって、正定聚が現生の利益として明らかにされる上での思想的な源泉を探求し、これが如来の回向という知見であることを論究することである。 24頁(21~44頁)
2 「化身土巻」標挙の意義 ―「三願転入」以降の展開を中心として―

単著 2002-03-00『親鸞教学』第79号
(大谷大学真宗学会)
正定聚の機の内実を確かめようとするとき、看過されてはならないのが、邪定聚・不定聚の二機である。本論では、「化身土巻」の特に「三願転入」以降の展開に注目することを通して、これら二機が排除されるものでは決してないことを考察した。13頁(35~47頁)
3 親鸞の思想における三願 ―『浄土三経往生文類』を中心として― 単著 2003-01-00『真宗研究』第47輯
(真宗連合学会)
古来「三願三機三往生」と言われるように、正定聚を論究する際、三願、三往生との関係が重要である。本論文は『浄土三経往生文類』広略二本を対照することを通して、三願の関係を論じたものである。11頁(32~42頁)
4 親鸞の現生正定聚論
―その思想の根拠と内実―(博士論文)
単著 2004-03-00大谷大学 本論文は博士学位請求論文として大谷大学に提出したものである。親鸞が正定聚の位を現生に実現する利益であると了解する根拠と内実を推究した。根拠として如来の回向という知見が挙げられるが、親鸞がこの知見を得る背景を曇鸞の思想に求め、正定聚の位の内実が成仏道であることを論究した。249頁
5 現生正定聚
―「還相回向釈」、「観察体相章」の引文に注目して―
単著 2005-03-00『親鸞教学』第84号
(大谷大学真宗学会)
本論文は、特に還相の利益に注目して現生正定聚について論じたものである。
還相回向は古来、命終の後に穢土に還来することだと解されてきた。その視点に一石を投じ、現生正定聚の内容としての、作心の超克が還相の利益であることを論じたものである。16頁(107~122頁)
6 還相の利益
―「還相回向釈」、「善巧摂化章」から「障菩提門」への展開を中心として―
単著 2006-03-00『親鸞教学』第87号
(大谷大学真宗学会)

『教行信証』「証巻」の中、前掲論文で考察した箇所に続く部分を通して還相の利益について考察し、「還相回向釈」全体から、前掲論文で論じた内容が読み取れることを究明したのが本論文である。
15頁(56~70頁)
7 現生正定聚の根拠
―至心回向と摂取不捨―
単著 2009-06-00真宗大谷派 本論文は真宗大谷派に提出した擬講請求論文で、至心回向と摂取不捨という二つの視点から現生正定聚の根拠を論究したものである。親鸞が正定聚を現生の利益であると了解する根拠としてまず踏まえるべきは至心回向である。しかし、親鸞は至心回向に関連して現生正定聚を語る際、しばしば摂取不捨に言及する。摂取不捨に留意することで、現生正定聚がどのような内実をもって明らかにされているのか、この点を究明したのが本論文である。118頁
8 現生正定聚
―摂取不捨の視点から―
単著 2011-11-00『真宗教学研究』第32号
(真宗教学学会)
本論文は、前掲擬講請求論文の概要をまとめたものである。15頁(38~52頁)
9 畢竟成仏の道路
―『浄土論註』親鸞加点本に注目して―
単著 2013-03-00『親鸞教学』第101号
(大谷大学真宗学会)
親鸞の思想形成に大きな影響を与えた著作の一つに、曇鸞の『浄土論註』がある。本論は、親鸞が八十四歳の時に加点した『浄土論註』に基づき、訓読に注意しながら、成仏に対する親鸞の視点を論究したものである。19頁(38~56頁)
10 難思議往生(上)
―還相回向釈の展開を通して―
単著 2019-03-00『親鸞教学』第111号
(大谷大学真宗学会)
難思議往生は『教行信証』「証巻」で主題的に論ぜられており、かつ「証巻」では往還二種の回向が言及されている。しかし、古来、難思議往生はもっぱら往相回向との関連のみにおいて論ぜられ、還相回向は往生して後のことだと解されてきた。本論文はその視点に一石を投じ、二種回向の利益両方を包むのが難思議往生であることを考察した論考の前半部分である。17頁(51~67頁)
11 難思議往生(下)
―還相回向釈の展開を通して―
単著 2020-02-00『親鸞教学』第112号
(大谷大学真宗学会)
前掲論文の後半として、「証巻」で言及される応化身が還相回向の願に値遇した念仏者を指標していることを論じ、還相回向の願にもよおされて作心を課題としていく歩みが応化身の内実であることを考察したのが、本論文である。
18頁(24~41頁)
12 慶喜の一念 ー親鸞の思想における「自」と「他」の問題ー 単著 2024-01-00『真宗研究』第六十八輯 本願成就文の「聞其名号信心歓喜」の語からわかるように、獲信は「よろこび」を伴う。そして、これは大半の聖教において歓喜と表現される「よろこび」である。しかし、親鸞は随所で慶喜の語を用いて、この「よろこび」を表現する。本論文は、「正信偈」の「慶喜一念相応後与韋提等獲三忍」の語を手がかりとして、親鸞が獲信の「よろこび」を慶喜と表現する背景に韋提希の得忍に関する理解があることを確かめ、慶喜が他者と共有される「よろこび」であることを論じたものである。(97~113頁)
以上12点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 我と一切群生海
―親鸞の人間観の一考察―
口頭発表(一般発表) 1999-09-00日本宗教学会第58回大会
(於 南山大学)
獲信によって確立される宗教的主体を世親は「我」と表白した。この表白は親鸞にも大きな影響を及ぼしている。しかし同時に、親鸞は「我」の内面的意味を「一切群生海」とも表白している。
 この発表は、これら二つの言葉を手がかりに、内面に「一切」と言い得るような広さを湛えつつ、現実的には「個」として生きる存在、というのが、親鸞の人間観であることを考察したものである。
(発表時間15分)
2 住正定聚についての一考察 口頭発表(一般発表) 2000-09-00日本印度学仏教学会第51回大会
(於 東洋大学)
親鸞は正定聚に住した行者について「必ず仏になるべき身となる」(『一念多念文意』左訓)と述べている。この発表は、『浄土論註』の「不虚作住持功徳」が本願力に値遇した存在に実現する利益として語る、「七地沈空の難を超える」という課題に注目して、「必ず仏になるべき身」という言葉の意味するところを考察したものである。(発表時間15分)
3 親鸞における「報」について口頭発表(一般発表) 2001-06-00日本印度学仏教学会第52回大会
(於 東京大学)
親鸞の思想における仏土は大悲の願に酬報した報土である。この酬報が何を意味するのかについて、『教行信証』「真仏土巻」所引『観経疏』の文言を通して考察したのが本発表である。
(発表時間15分)

4 Tathagata’s Practice
-the Principle that Makes Practices Religious-
口頭発表(一般発表) 2001-08-00国際真宗学会第10回大会
(於 大谷大学)
この発表の目的は、親鸞の思想における大行について論究し、これがある特定の行為を指すのではなく、日常の様々な行為に宗教的意味を与える原理であることを明確にすることである。
(発表時間15分)
5 住正定聚についての一考察
―邪定・不定に注目して―
口頭発表(一般発表) 2001-09-00日本宗教学会第60回大会
(於 久留米大学)
親鸞の思想において正定聚に深く関わる概念に、邪定聚・不定聚がある。この発表は「化身土巻」を中心に、正定聚の対概念である邪定聚・不定聚の視点から、正定聚の位の内実を考察したものである。
(発表時間15分)
6 「化身土巻」・「善知識釈」をめぐって口頭発表(一般発表) 2001-12-00大谷大学特別研修員発表
(於 大谷大学)

化身土巻」において、「三願転入」へと展開していく論述として重要な位置にあるのが、いわゆる「善知識釈」である。この発表は、「善知識釈」の論述をもとに、行者が自身の歩みに固執することを批判し、常に歩ませ続ける用きとして、善知識を考察したものである。(発表時間30分)
7 親鸞の思想における三願
―『浄土三経往生文類』を中心として―
口頭発表(一般発表) 2002-06-00真宗連合学会第49回大会
(於 浄土真宗本願寺派津村別院)
本発表は『浄土三経往生文類』広略二本を対照することを通して、三願の関係を考察したものである。なお、本発表の内容は『真宗研究』第47輯に掲載されている。(発表時間20分)
8 親鸞の思想における三願
―三願転入の文を中心として―

口頭発表(一般発表) 2002-09-00日本宗教学会第61回大会
(於 大正大学)
本発表は「化身土巻」の三願転入の文を中心として、機の三願が相互に関係しながら、「選択の願海に転入せり」(「化身土巻」)と語られている事実を明らかにしていることを考察したものである。
(発表時間15分)
9 還相回向についての一考察 ―「証巻」所引『浄土論註』「畢竟平等」の語に注目して―口頭発表(一般発表) 2004-07-00日本印度学仏教学会第55回大会
(於 駒澤大学)
 『教行信証』「証巻」の主題の一つである還相回向について、「証巻」に引用されている『浄土論註』の文言の中、特に「畢竟平等」の語に注目して考察したのが本発表である。(発表時間15分)
10 慶喜の一念 ー親鸞の思想における「自」と「他」の問題ー 口頭発表 2023-06-17真宗連合学会第六十九回大会(於 京都女子大学) 獲信の「よろこび」を表現する語としての慶喜に注目し、これが他者と共有される「よろこび」であることを考察した。なお、本発表の内容をまとめた論文が『真宗研究』第六十八輯に掲載されている。(発表時間 20分)
11 大行・称名・正定業 親鸞の思想における実践をめぐって 口頭発表 2023-10-18大谷学会 称名念仏は親鸞の思想を通底する実践であるが、親鸞は「大行」と「正定業」という二つの視点から称名を確認している。本発表はこの点に注目しつつ、如来の「はたらき」としての大行と行者の行為としての正定業とがどのように関係するのかを論究したものである。(発表時間30分)
以上11点

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