教育研究業績の一覧

尾場 幸子
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 実習指導担当 2002-04-00 ~ 大谷大学短期大学部、京都華頂大学、京都府立大学等の保育実習ⅠおよびⅡ、京都大学臨床心理実習、大谷大学教育学部実践体験活動演習等で現場で学ぶ実習生の指導にあたった。特に、保育者養成においては、学生の子ども理解がより深まるよう、それまでの子どもの姿やその年齢段階における発達の特徴を具体的に伝えたり、保育計画のねらいや保育者の関わり、環境構成の意図が掴めるように言葉で伝えるようにしてきた。学生の意見や解釈についても、適宜、保育に取り入れるようにし、保育者間がいかに連携をとっていくのかが体験的に理解できるように心がけた。部分実習を行う際は、事前に相談し、配慮事項などをアドバイスし、事後の振り返りのために反省会を行った。
2 大谷大学短期大学部幼児教育保育科
2年生むけ特別講義
2017-07-15 大谷大学短期大学部幼児教育保育科の教育原論の授業内で、「子どもの発見を楽しむ保育〜青虫あそびを通して〜」という題で講義を行なった。乳幼児の発達を具体的な姿を通して復習した上で、『はらぺこあおむし』の絵本にそって造形、ごっこ遊び、青虫の飼育活動などを通して、保育所保育指針(幼稚園教育要領)に示される5領域の視点から見た保育計画、子どもの姿から計画を構成・再構成していく方法について具体的に解説した。パワーポイントを作成したが、学生の理解を促すため、事前に保護者に許可を得た上で写真を多く利用し、その時の子どもの姿をイメージしやすいよう、具体的な事例を通して説明することを心がけた。また現場経験年数が少ない若手の担任2名(実践当時5年目と1年目)とともに講義を行うことで、多面的に保育をとらえることができるようにした。
また、保育園での教材作成を体験できるように、実際に子どもたちのなりきり遊びに使用した教材を作ってみるワークショップを行った。
3 学生による授業評価 2023-03-23 優秀授業賞受賞

・2022年度後期 乳児保育Ⅰ
2 作成した教科書、教材、参考書
1 授業用資料の作成 2017-07-15 大谷大学短期大学部幼児教育保育科での授業で使用するため、プリント教材を作成した。また、実際の保育場面で作成した子どもたちのなりきり遊びのための教材作成ワークショップの材料、作り方などを解説する資料を作成し、使用した。

3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
1 保育問題研究会における実践報告 2007-11-06 保育問題研究会の部会において、第47回全国保育問題研究集会文学分科会で提案する実践報告「うれしいしゅくだい」について発表。部会参加者の保育士・研究者・学生の意見を受け、議論を深め、「うれしい しゅくだい 〜「しゅくだい」という絵本を通して〜」(下記、研究業績Ⅲ―1)にまとめた。
2 保育問題研究会における実践報告 2007-12-04 保育問題研究会の部会において、第47回全国保育問題研究集会文学分科会で提案する実践報告「うれしいしゅくだい」について発表。部会参加者の保育士・研究者・学生の意見を受け、議論を深め、「うれしい しゅくだい 〜「しゅくだい」という絵本を通して〜」(下記、研究業績Ⅲ―1)にまとめた。
3 保育問題研究会における実践報告 2016-06-07 保育問題研究会の部会において、全国障害者問題研究会第50回全国大会で提案する「どの子も大事」について発表。部会参加者の保育士・研究者・学生の意見を受け、議論を深め、「どの子も大事~配慮の必要な子どもたちが多数いるクラスでの集団づくり~」(下記、研究業績Ⅲ―3)にまとめた。
4 保育問題研究会における実践報告 2018-11-06 保育問題研究会の部会において、第57回全国保育問題研究集会保育計画分科会で提案する「子どもの姿から出発する保育計画」について発表。部会参加者の保育士・研究者・学生の意見を受け、議論を深め、「子どもの姿から出発する保育計画」(下記、研究業績Ⅲ―7)にまとめた。
5 保育問題研究会における実践報告 2018-12-04 保育問題研究会の部会において、第57回全国保育問題研究集会保育計画分科会で提案する「子どもの姿から出発する保育計画」について発表。部会参加者の保育士・研究者・学生の意見を受け、議論を深め、「子どもの姿から出発する保育計画」(下記、研究業績Ⅲ―7)にまとめた。
6 保育問題研究会における実践報告 2019-02-05 保育問題研究会の部会において、保育士と研究者の協働をテーマに発表した。部会参加者の意見を受け、議論を深め、「保育士と研究者の協働」(下記、研究業績Ⅲ―10)にまとめた。
7 全国保育問題研究協議会第36回夏季セミナーにおける発表 2019-08-25 『保育問題研究』第290号にて発表した実践研究「子どもの姿から出発する保育計画」について、より詳細な事例エピソードを用い、新たな視点で提案し議論した。内容としては、乳児期から幼児期へ移行する1歳児高月齢と2歳児低月齢混合クラスでの実践において、子どもの興味関心と保育者のねらいに基づく計画がどのようにしたら整合性を持っていくのかについて解説した。その中でまず、子どもの興味関心に保育者が心を寄せ、あそびが本質的に楽しいものであることを確認し楽しいあそびを展開することの重要性であることや、また、その遊びは子どもの興味関心の個別性を重視するとともに、1・2歳児であっても、共感関係の広がりも重視しながら展開することが重要であることについて説明した。
発表内容については、当該セミナーの発表内容要旨集
5頁(37-41頁)にまとめている。
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 外国籍保護者への配慮、工夫等 2002-04-01 ~ 外国籍の保護者への支援担当として、入所面接通訳から入所後の支援全般を行う。具体的には、毎日の日誌やクラス会資料を英語表記にするなど、外国籍の保護者が理解しやすいように配慮をしたり、定期的に面談を行い、子育て、保育に対する不安を解消できるようにしている。また、宗教上の配慮等含め、他の保護者との調整、保育上の配慮事項の確認等を行っている。
2 クラス懇談会の運営 2002-04-01 ~ 月に2回、保護者とのクラス懇談会を持ち、A4用紙8枚~10、枚程度の資料を作成。資料の内容(個人の記録、保育内容、保育のねらい、子どもの発達に関する参考資料)に沿って、会を進める。保育において大切にしている視点を保護者に伝えることで子ども理解につなげる。保護者の子育てにおいての悩みや疑問などを交流し合い、共に育ち合う関係性を構築する。
3 幼児グループ責任者 2013-04-01
~2016-03-30
幼児クラスの運営の責任者として、保育勤務体制表の作成、ケガなど緊急時の対応、保護者対応、保育が安全に円滑に進められているかの確認、月に一度の幼児グループ会議の資料を作成し会議を進めるなどの業務を行う。月に2回の運営責任者会議に出席し、園長・主任・各責任者と園全体の運営について報告・議論を行う。
4 若手保育者の指導 2016-04-00 ~ 1年目〜3年目までの若手保育者のエピソード記録(子どもの姿・考察)を共に検討し、子どもの姿を見る視点を深める機会を定期的(約1ヶ月ごと)に作り、年間を通して継続的に指導した。また、若手ならではの困り感にたいして、共に考え、解決に向けてアドバイスした。
5 1,2歳児グループ責任者 2016-04-01
~2018-03-31
1・2歳児クラスの運営責任者として、保育勤務体制表の作成、ケガなど緊急時の対応、保護者対応、保育が安全に円滑に進められているかの確認、月に一度の1・2歳児グループ会議の資料を作成し会議を進めるなどの業務を行う。月に2回の運営責任者会議に出席し、園長・主任・各責任者と園全体の運営について報告・議論を行う。
6 業務副主任 2017-04-01
~2020-03-31
主任を補佐する立場で、園長・主任の不在時に緊急対応など現場の責任を担う。職員会議や運営責任者会議の司会を務め、会議を円滑に進める。保護者対応や職員のメンタルサポートを園長・主任と共に行う。
7 職員研修会における指導助言 2017-09-02 職員研修会において「子どもの発見から出発する保育計画」について20分程度パワーポイントを使い発表をした。その後の質疑応答、各クラス保育計画について検討した。

8 あそびワークショップ(保護者対象) 2017-10-27 「あそびワークショップ」を開催した。ワークショップに向けて冊子を作成し、1歳児クラスの保護者と子どもたちを対象にリズム遊び・触れ合い遊び・歌・絵本・ごっこ遊びなどを共に楽しみながら、親子でスキンシップをとる大切さやこの年齢の子どもにとっての楽しい遊びについて、体験を通して伝えた。また、保護者向けに遊びについてのアンケートを実施し、結果を報告した。その中で家庭での遊びや自分が子どもの頃に夢中になった遊びなどを項目に入れ、保護者同士が、子どもの遊びに関して交流しやすいよう工夫した。
9 保護者支援・子育て支援リーダー 2020-04-01 ~ 園全体の保護者支援・子育て支援を中心的に行う。特に、新入園保護者への支援、特に日本語でのコミュニケーションが困難な保護者に対して、英語で分かりやすく園の概要を伝えるなどの支援を行う。アレルギー児、発達障がい児の保護者や子育て不安を訴える保護者等と面談をし、子育て支援を行う。

10 園内研修の企画運営 2020-08-04 園庭環境委員として園内研修「あそびってなんだ?」のワークショップを開催した。日本冒険遊び場づくり協会事務局長の天野秀昭氏による「あそびってなんだ?」(D V D)を参考に、主に園庭での遊びや園庭の環境構成についてのディスカッションを行った。参加者が園庭遊びの意義を踏まえたうえで、具体的に園庭環境作りを構想できるよう、ディスカッションのテーマ設定、方法を工夫した。
11 コロナ禍におけるクラス懇談会運営の工夫 2020-11-00 ~ コロナ禍でクラス懇談会(クラスに在籍する保護者との懇談会)をzoomで行うこととなり、保護者にクラス会に対する意見、話し合いたいテーマ(悩みや質問)などをアンケートで尋ね、それらの意見を反映したクラス懇談会を開催した。また、Zoomにて、テーマごとに保護者同士が交流しやすいよう小グループに分かれて話す機会を持つなど工夫した。
12 京都保育団体連絡会「連続講座」の講師 2022-06-02 保育士を対象とし、「しんどいけど、保育って楽しいね」をテーマに保育を取り巻く現状を踏まえた上で、保育のやりがいやあそびのおもしろさ、保護者との関係づくりなど、保育の魅力に改めて気づく機会となるよう講演を行った。
13 保育士等キャリアアップ研修「保護者支援・子育て支援」担当 2022-10-27 保育士を対象に保護者支援・子育て支援に関する講義を行った。保育士を対象に保護者支援・子育て支援に関する助言及び指導ができるよう事例も踏まえて講義を行った。主体的に学べるように、ブレイクアウトルームを設置しグループディスカッションを取り入れた。
14 遊びの環境設定の学習会を開催 2022-12-22
~2022-12-27
京都市の民間保育園2ヶ園において、保育者を対象にZoomと対面のハイブリッド形式で学習会を開催した。
自身が講師となり、遊び環境設定が充実しているへきなんこども園を見学した内容を取り入れて、保育園の遊びの環境設定についての話をし、意見交流を行った。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2000-04-00~0000-00-00 保育問題研究会 会員
2 2015-07-00~0000-00-00 日本保育学会 会員
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
以上0点
Ⅱ学術論文
1 人間関係を育む保育実践の可能性〜乳児期の子どもたちはいかにして人間関係を構築するのか〜単著 2017-03-00『大谷大学短期大学部幼児教育保育科研究紀要』第19号
大谷大学短期大学部幼児教育保育科
本論では、著者が担当した1歳児クラスの1年間の実践を分析し、1・2歳の子どもたちの人間関係づくりを目指した保育で重要なポイントとなる点について論じている。まず土台として個々の情緒の安定を保障する必要があり、そのために保育者の多面的な子ども理解が必要であること、それを可能にする保育者同士の連携の重要性に触れた。また子ども同士でイメージを共有したり思いに共感する機会を持つような保育計画と、子ども同士がつながろうとする過程を支える意図的な関わりの方法について具体的に論じた。
8頁(79-86頁)
2 乳幼児の「かみつき」をなくす保育方法―日課の見直しに着目して―単著 2021-03-00『大阪音楽大学教育研究論集』第6号
大阪音楽大学教育研究会
乳幼児期の「かみつき」について改善がみられた実践を取り上げ、協力保育者への聞き取り調査を行い分析した。調査の結果、昼食前の排泄・着脱から午睡への時間帯で、グループごとで援助することにより、子どもが滞留する場面が回避され、子ども間のトラブルそのものを減らせることがわかった。また少人数になることによって、保育者が子ども同士の葛藤に丁寧に関わることが可能となり「かみつき」という事態に至らなかったことが確認できた。
11頁(54-64頁)
3 「かみつき」を低減する保育方法に関する予備的調査~0歳児クラスにおける遊びの環境設定に着目して~ 単著 2023-03-17大谷大学乳幼児教育学会研究紀要第2号 0歳児クラスの遊びの環境設定に着目し、遊びの環境設定が子どもの「かみつき」数に及ぼす影響について検討した。3グループのうち、高月齢グループの過ごす部屋において、遊びのコーナーを設置し、おもちゃの数を多く配置した。その結果、「かみつき」がほとんど見られなかったことから、 遊びの環境設定と「かみつき」の発生数には関係があるのではないかと推測される結果となった。10頁(1-10頁)

以上3点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 うれしい しゅくだい 〜「しゅくだい」という絵本を通して〜

雑誌論文(共著) 2008-04-00『保育問題研究』
第230号 
新読書社
森長由美子とともに担当した4歳児クラスでの、絵本「しゅくだい」(いもとようこ作)を通した保育実践を検討した。この絵本は、「だっこ」を「しゅくだい」として出された子どもたちが、家で弟妹に遠慮するなどしつつも、甘えることによって大事な心の基地を得ていく過程を描いている。この絵本を紹介してくれたのは、自分自身が子どもへの愛情表現を苦手とする保護者で、当時担任の支援を受けていた母親である。この絵本の世界をクラスの子どもたちだけではなく、保護者たちとも共有することができ、絵本の世界を通して親子の人間関係づくりにアプローチした実践となった。
尾場が代表として、森長に意見をもらいながら実践研究をまとめ、執筆した。
4頁(162-165頁)

2 保育の中での学び〜保育園児の発見に着目して〜ポスター発表(個人) 2016-05-00日本保育学会第69回研究大会

4歳児クラスでの保育実践報告を通して、保育者の計画を超えた発見をしていく子どもたちの姿と、そこから保育を展開することの意義について論じた。子どもの姿から展開する保育においては、保育者が子どもの発見・学びを汲み取り、評価することが重要で、それにより、一人の発見がクラスの他の子どもたちの共感に繋がり、個から集団の学びへと繋がる。保育者が、子どもの学びを解釈し、個から集団へ展開するという視点を持ちつつ、臨機応変な保育計画の再構成を行なっていくことで、学ぶ集団を作ることが可能となるだろうと考える。
発表時間(責任時間)= 120分
発表要旨=日本保育学会第69回発表要旨集(日本保育学会)
1頁(933頁)
3 どの子も大事〜配慮が必要な子どもたちが多数いるクラスでの集団づくり〜口頭発表(代表者) 2016-08-00全国障害者問題研究会第50回全国大会 本論では、年中・年長の2年間の保育実践から幼児期における人間関係を通した育ちについて考察している。
このクラスには発達上、特別な支援を必要とする子どもが複数在籍していたため、集団づくりも容易ではなかったが、その過程で、個の理解や個の変化や成長の把握、子ども同士をつなぎ互いを知ることによる互いの成長を促すこと、保護者との密なコミュニケーションが重要であること、そして何よりも、幼児後期には、大人からの理解や共感だけではなく、子ども同士の相互理解、集団としての満足感などが個の育ちに不可欠であることが明らかになった。
澤井美都、十河悠衣子とともに担任を受け持ち、ともに議論を重ねた。尾場が議論をまとめ、要旨執筆、口頭発表を担当した。
発表時間=20分
発表要旨=全国障害者問題研究会第50回全国大会レポート集
2頁(35-36頁)
4 現場の保育士が実践研究をすること会報記事(単著) 2017-01-05『日本保育学会会報』No.167 この小論は、日本保育学会から依頼され、会報の特集テーマ「保育者は日々の保育からどのように実践研究を行うのか」に合わせて論考したものである。実践研究することによって、様々な立場から意見が得られ、自らの実践を多面的に振り返ることができ、実践に返ってくる点にメリットを感じている。特に学術研究の立場からの意見によって、実践の中にいては見えない視点を得ることができた経験について述べている。
1頁(3頁)
5 保育園における12 時間の子どもの育ち〜乳児期に大切な食について①〜  ポスター発表(共同研究者) 2017-05-21日本保育学会第70回研究大会 保育園で子どもたちが過ごす時間は最長12時間にも及ぶ。本発表では、0歳児の離乳食に向かう事例から個性的特徴を捉えながら離乳を進める必要性について述べている。また、担任間、担任と保護者間のコミュニケーションの重要性について論じている。
共同研究者として議論に参加し、ポスター作成を行った。
代表者:阿部素子
共同発表者:射場貴子、宮田隆子、尾場幸子
発表時間(責任時間)=120分
発表要旨=日本保育学会第70回発表要旨集(日本保育学会)
1頁(1023頁)

6 保育園における12 時間の子どもの育ち〜乳児期に大切な食について②〜 ポスター発表(代表者) 2017-05-21日本保育学会第70回研究大会

本発表では、1・2歳児の子どもたちが、クッキングやごっこ遊びを通して、食への意欲を持っていった事例をもとに、保育士間だけではなく、給食職員との連携が、子どもの姿の理解から保育の流れを作っていくところまで必要であることについて述べている。
研究代表者:尾場幸子(事例整理、ポスター内容検討、発表要旨の執筆)
共同発表者:宮田隆子、射場貴子、阿部素子
発表時間(責任時間)=120分
発表要旨=日本保育学会第70回発表要旨集(日本保育学会)
1頁(1024頁)

7 どの子も大事〜配慮の必要な子どもたちが複数いるクラスでの集団づくり〜雑誌論文(単著) 2018-05-00『保育びと』第23号
京都保育問題研究会

本論では、2016年に全国障害者問題研究会において口頭発表した事例を、その時の議論などを踏まえて、より丁寧にまとめた。幼児期の個の成長に必要な集団づくりのポイントについて、以下の5点について論じている。①一人一人を知ることから保育を考える、②集団としての特徴を捉え保育を計画する、③個々の小さな成長に目を向け、それを他の子どもたちとも共有する、④遊びの充実、一緒に楽しむ経験を積み重ねる、例えば、ルール遊びにおいても子ども達がイメージを共有しやすい「忍者」などのモチーフを利用することで子ども同士が繋がり、ルールに従った遊びができるようになる、⑤豊かな大人の集団づくり(担任、他の職員、保護者)が豊かな子どもの集団づくりにつながる。
16頁(33-48頁)
8 子どもの姿から出発する保育計画雑誌論文(共著) 2018-08-00『保育問題研究』
第290号
新読書社
子どもの姿から出発する保育計画」を目指して実践した1・2歳児クラスでの1年間を通して考察した内容を論じた。特に、本当に子どもの主体性を引き出しているのか、子どもの本当の要求と噛み合っているのかに常に保育を振り返りつつ、展開してきた中で分かったことをまとめた。特に子どもの興味関心に心を寄せ起点とするとともに、それを子ども同士の共感関係の広がりに目をむけ展開することや、そのためにクラスをこえた職員間協働や保護者との共感関係構築が重要であることについて述べた。共著者の山口に意見をもらい、議論を深め、尾場が内容をまとめ、執筆した。
共著者:山口沙織
4頁(280-283頁)
9 保育で大切にしていること〜私の保育観〜雑誌論文(単著) 2018-12-00『保育問題研究』
第294号 特集:私の保育実践・保育観〜今だからこそ大切にしたいもの〜
新読書社

本小論は、雑誌編集者より依頼があり、特集記事として執筆した論考である。クラスにおいても園全体でも、保育者同士の合意形成が重要であることは確かであるが、それは難しいことも多い。ただ、その違いこそが複眼となり、子ども理解を多面的にすることとなるため、保育においては大変重要であることから、違いを大事にしたいと述べた。また、乳児・幼児の別にかかわらず、子どもたちが安心して人間関係を構築できる環境構成こそが保育計画であり、その安心感の中でこそ、成長は可能となる点に注目し、安心感こそが保育の質であると考え、事例をあげて解説した。
11頁(29-39頁)

10 保育者と研究者の協働雑誌論文(単著) 2019-08-00『保育問題研究』
第298号 特集:現場と研究者との「協働」を探る
新読書社
実践研究を行う保育者と、心理学や教育学などを専門とする研究者の協働について、保育を改善するという視点で、具体的な事例をあげて考察した。研究者との「協働」によって、保育実践を多面的に捉えることができる点、保育者自身が異なる価値観に出会うことができ、成長できる点を挙げ、それらが、保育の展開、子ども理解の質向上に示唆的であることを論じている。
9頁(56-64頁)
11 散歩の魅力〜なんでこんなとこ連れてきたんや!〜雑誌論文(単著) 2020-06-00『保育びと』第24号
京都保育問題研究会
4歳児(年中)の保育における散歩の意義について述べている。特に自然の中の散歩では、個々が大人に決められた遊びではなく自分で遊びを選び取り、作り出し、どう楽しむかを熟考する。その中で徐々に子ども同士の集団で試行錯誤するようになり、身体も頭も無自覚的に使い、経験を積み重ねることになる。特に幼児期においては、子ども同士の人間関係づくりがこの楽しい遊びの経験の中で起こってくることに大きな意義があると考える。
2頁(76-77頁)


以上11点

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