教育研究業績の一覧

アマ ミチヒロ Michihiro Ama
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 日本語会話テーブルのアドバイザー
(アラスカ大学とモンタナ大学)
2010-00-00 ~ 学生の日本語の会話練習(週に1回)のアドバイザー
2 学生・教員のための推薦状作成(英語)、JETプログラム応募方法および面接指導(英語)
(アラスカ大学とモンタナ大学)
2010-00-00 ~ 学生の留学に際しての推薦状作成、卒業生の大学院進学に際しての推薦状作成、学生がJETプログラムに応募する際の推薦状作成やアドバイス、面接の準備などを指導する。
3 Eportfolio Mahara やMicrosoft Teamsを学生の習得経過の記録、クラスでの発表に使用(アラスカ大学とモンタナ大学) 2010-00-00 ~ Eportfolioは学生の日本語の習得課程を記録するツールとしてアラスカ大学で使用。
Microsoft Teamsで学生のグループスタディ、プレゼンを行う。

4 院生修士論文の指導(英語)およびティーチングアシスタント監督
(モンタナ大学)
2016-00-00 ~ 修士論文の指導をする。日本語プログラムではTeaching Assistants やgrading assistantを雇用するので、その監督と指導をする。
5 学生インターンシップの立案、監督
(モンタナ大学)
2016-00-00 ~ 日本および北米での日本語プログラム専攻の学生のためのインターンシップを立案し監督する。

6 Japanese Student Associationのアドバイザー(モンタナ大学) 2016-00-00 ~ 学生クラブ(日本でのサークルに該当)のアドバイザー
7 東北大学―モンタナ大学交換プログラム日英講師、熊本県教育委員会選抜高校生のモンタナ大学での英語プログラムにおける日英講師、熊本県立水俣高校のモンタナ大学での英語プログラムにおける日英講師。 2016-00-00 ~ モンタナ大学では多数の姉妹校が日本にあり、そのプログラムに日英講師として参加し、日本の大学生に日本語と英語で講義をする。
8 モンタナ州高校生の大学リクルート 2016-00-00 ~ モンタナ大学の所属学科では毎年3月に州内の高校生をリクルートするためのForeign Language Dayを1日開催し、高校生を対象とした日本語のクラスを担当する。
9 パワーポイントを使ったZoomオンライン授業(英語) 2020-04-00
~2021-05-00
コロナ禍による授業形態の対応
10 他の学科教員とのチームティーチング (team/co-teaching) 2021-01-00
~2021-05-00
ドイツ語とロシア語の教授と環境問題と文学について英語でteam-teachingをした。(日本の環境問題と環境問題を扱った文学について講義、およびディスカッション)
11 アメリカからのゲストスピーカー招聘  (大谷大学) 2023-04-20 アメリカのシカゴ仏教会の元理事長 Linda Whitted氏をゼミにゲストスピーカーとして招聘。太平洋戦争当時の日系人の経験を学生に話してもらった。
12 学外実習 (大谷大学) 2023-07-07 国際演習文化演習IIでの学外実習。東本願寺で外国人観光客へのインタビューを実施。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 講義のためのパワーポイント作成
(アラスカ大学とモンタナ大学)
2010-00-00 ~ 日本語の文法説明や日本文化・社会を英語で講義するクラスで使用。
2 講義を事前録画しオンラインアクセス化 2020-01-00 ~ コロナ禍による授業形態の対応のため、日本語の文法説明をLightboardやCamtasiaといった機器で録画してYoutubeに転載。
3 講義のために作成したパワーポイントをモンタナ大学の教育ツール
Moodleに転載
2020-01-00
~2020-05-00
コロナ禍による授業形態の対応
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
1 学科内のassessmentのデータ採集、分析と発表
(アラスカ大学とモンタナ大学)
2010-00-00 ~ アメリカの大学では各学科で、毎年教育目標が満たされているかどうか、データをとり、分析する。
2 Eportfolioの発表 2013-00-00 アラスカ大学アンカレッジ校では教育ツールとしてEportfolioを採用するために、パイロットプログラムとして日本語プログラムが参加。
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 アラスカ州内の日本語スピーチコンテストの運営と審査員 2010-00-00
~2016-00-00
アラスカ州では毎年3月から4月にかけて州内の日本語スピーチコンテストをアラスカ大学アンカレッジ校で開催。その運営や審査に携わる。Japan Foundation (国際交流基金)への運営費用の申請、獲得、報告をした。
2 在アンカレッジ領事事務所、および在シアトル日本国総領事館と提携して、日本学および日本文化をアラスカ州およびモンタナ州で推進。 2010-00-00 ~ 領事館から派遣される日本伝統文化継承者のイベントや、大学教授の講演のアレンジ、宣伝をする。
3 オンラインツールStarfishやNavigateによる履修学生とのコミュニケーション。 2016-00-00 ~ オンラインツールで学生に授業の遅れ、提出物の出し忘れ、クイズや中間試験の成績を学期中に幾度か定期的に連絡。
4 Japanese National Examの監督 2017-04-00 American Association of Teachers of Japaneseが運営するオンラインの日本語試験を日本語履修2年生が取れるように手配しテストの監督をした。
5 Japanese National Examの監督 2018-04-00 American Association of Teachers of Japaneseが運営するオンラインの日本語試験を日本語履修2年生が取れるように手配しテストの監督をした。
6 学術交流協定校エトヴェシ・ロラーンド大学からの招聘による集中講義 (大谷大学) 2023-03-20
~2023-03-24
エトヴェシ・ロラーンド大学にてJapanese Pure Land Buddhist Perspectives on Deathというコースタイトルで日本仏教の集中講義を行った。
7 学術交流協定校エトヴェシ・ロラーンド大学からの招聘による集中講義 (大谷大学) 2024-03-18
~2024-03-22
エトヴェシ・ロラーンド大学にて Japanese Pure Land Buddhism というコースタイトルで日本仏教の集中講義を行った。
B 職務実績
1 語学学習支援室運営委員(大谷大学) 0000-00-00 Global Squareと連携した語学学習支援業務の審議
2 大学内内部資金による研究活動 2010-00-00 ~ 研究費をアラスカ大学、モンタナ大学内部の各種基金に応募して獲得。

3 アラスカ州K-12スピーチコンテストの審査員 2011-00-00
~2016-00-00
アラスカ州では小学生・中学生・高校生を対象とした第二ヶ国語でのスピーチコンテストが毎年2月に行われ、アンカレッジ地区の日本語スピーチコンテストの審査員を務めた。

4 JETプログラム面接官 2013-02-00 在アンカレッジ領事事務所の依頼によりJET プログラムの応募者の面接をした。
5 Japanese Program Section Head 2016-00-00 ~ モンタナ大学のDepartment of World Languages and Culturesに所属する日本語プログラムの主任としてカリキュラム、教育、アドバイジング、留学など全般の職務を担当。
6 モンタナ州熊本県姉妹都市提携に関する活動 2016-00-00 ~ 熊本県モンタナ州姉妹提携35周年記念委員会を機に熊本県庁、熊本大学、県立熊本大学、熊本の高校との交流を推進。
7 外務省主催のKakehashi projectに参加
する学生の選考委員会委員
2016-09-00 モンタナ大学は外務省主催のKakehashi projectに2回選出された。それぞれ20名の学生を送るため200人近い応募者から適任者を厳選。
8 学科教員評価委員会委員 2017-10-00 モンタナ大学では教員のランクに合わせ1年、2年、ないし3年おきに教員査定が行われる。その評価委員を務めた。

9 外務省主催のKakehashi projectに参加
する学生の選考委員会委員
2018-01-00 モンタナ大学は外務省主催のKakehashi projectに2回選出された。それぞれ20名の学生を送るため200人近い応募者から適任者を厳選。
10 地域映画イベントのコメンテーター 2018-10-00 アニメーション映画Kuboにおける日本人の死生観などをパネルで話す。

11 学科教員評価委員会委員 2019-10-00 モンタナ大学では教員のランクに合わせ1年、2年、ないし3年おきに教員査定が行われる。その評価委員を務めた。

12 州立モンタナ大学総長の日本ツアー団のメンバーとして日本政府などを
訪問
2019-10-00 内閣府、外務省、文科省、国際交流基金、熊本県知事、熊本大学学長、県立熊本大学大学長を表敬訪問

13 Japanese American National Museumの展示アドバイザー

2020-09-00 ~ Sutra and Bible: Exhibition for Faith and the Japanese American World War II Incarceration展示委員会諮問委員会委員。
14 学術交流委員会委員(大谷大学) 2022-04-01 ~ 学術交流に関する審議、留学生の面接、など
15 仏教教育センターセンター員(大谷大学) 2022-04-01 ~ 仏教教育センターに委託された業務の遂行。「人間学Ⅰ」担当者会議、宗教行事の点検と改善、御命日勤行における感話担当学生の準備、「教化学演習」の一夜研修、「文芸コンテスト」(親鸞)2次審査、等
16 国際仏教研究研究員(大谷大学) 2022-04-01 ~ 欧米諸国における仏教研究の動向の把握と資料の収集・整理・公開
17 EBS編集委員会委員(大谷大学) 2023-04-01 ~ 雑誌、Eastern Buddhist Journalに関する業務
18 東方仏教徒協会運営委員会委員(大谷大学) 2023-04-01 ~ 東方仏教徒協会に関する業務
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2007-00-00~2018-00-00 Association for Asian Studies
2 2008-00-00~2015-00-00 日本移民学会
3 2010-00-00~2020-00-00 American Association of Teachers of Japanese
4 2010-00-00~2020-00-00 International Association of Shin Buddhist Studies
5 2023-04-12~0000-00-00 日本近代仏教史研究会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 Issei Buddhism in Americas

共著 2010-00-00University of Illinois Press 北米と南米に伝播した日本仏教を日系人一世の視点から分析した著書。
全218頁
編者: Duncan R. Williams and Tomoe Moriya
共著者: Duncan Williams, Tomoe Moriya, Michihiro Ama, Noriko Asato, Masako Iino, Lori Pierce, Christina Rocha, Keiko Wells, and Akihiro Yamakura
本人担当部分:第4章The Legal Dimensions of the Formation of Shin Buddhist Temples in Los Angeles, 22頁 (65-86頁)を単著。
1910年代に発生したロスアンゼルスの西本願寺系三仏教会合同事件からロスアンゼルス東本願寺の誕生を当時の裁判記録、公文書アーカイブ、新聞記事、などを元に分析。北米で浄土真宗寺院の経営をめぐりアメリカ化と日本化が同時に起こり、その結果西本願寺系三仏教会合同が頓挫し、羅府仏教会の泉田準城開教師が東本願寺に転派することになった。アメリカの司法がこの事件に介入したことは注目に値する。査読有
2 Immigrants to the Pure Land:
The Modernization, Acculturation, and Globalization of Shin Buddhism,1898–1941.
単著 2011-00-00University of Hawai‘i Press 本著は博士論文の一部を削除・修正・加筆したものである。日本の近代仏教が太平洋戦争以前にハワイ・北米本土においてどのように変容したのかを日系エスニシティの形成と、移民の米国と日本という二つの国家への帰属意識を通して論じた。移民に支持されて北米で最も広がった浄土真宗に焦点をあて、真宗の近代化が北米においても引き続き継続すると同時に、アメリカ化が深化するという重層構造を解明。査読有 313頁。
3 Flowers on the Rock: Global and Local Buddhisms in Canada 共著 2014-00-00McGill-Queen’s University Press カナダの仏教をグローバルとローカルの関係性から分析した著書。
全468頁
編者: John S. Harding, Victor Sogen Hori, and Alexander Soucy
共著者: Michihiro Ama, D. Mitra Barua, Paul Crowe, Melissa-Anne Marie Curley, Mavis Fenn, Kory Goldberg, Sarah, F. Haynes, Jackie Larm, Paul Mclvor, James Placzek, and Angela Sumegi
本人担当部分:第2章Flying Sparks: Dissensions among the Early Shin Buddhists in Canada, 24頁(55-78頁)を単著。
太平洋戦前にカナダに伝播した浄土真宗の歴史を著述。1920年から30年代における主にバンクーバーでの浄土真宗西本願寺派と大谷派の展開に焦点を当て、同時に日系移民一世の労働環境、日系コミュニティの形成、カナダの排日運動などを考慮した。宗派間や開教師間の対立はアメリカ合衆国のみならずカナダでも行われていた。1929年に大谷派のバンクーバー仏教会は突如閉鎖されるが、その詳細は未だ明らかではない。査読有
4 Buddhism Beyond Borders: New Perspectives on Buddhism in the United States 共著 2015-00-00State University of New York Press 北米仏教の発展をグローバルな視点と多様な関係性から捉えなおした著書。
全306頁
編者: Scott Mitchell and Natalie Quli
共著者: Thomas A. Tweed, Jeff Wilson, Wakoh Shannon Hickey, Michihiro Ama, Jeannie Chandler, Helen J. Baroni, Richard H. Seager, Kimberly Beek, Mira Niculescu, Erik Braun, David L. McMahan, Scott Mitchell and Natalie Quli, and Richard Payne
本人担当部分:第4章 ‘First White Buddhist Priestess’: A Case Study of Sunya Gladys Pratt at Tacoma Buddhist Temple, 16頁 (59-74頁) を単著。
北米で初と言われる白人女性仏教僧侶グラディス・プラットのワシントン州タコマ仏教会における活動を、公文書アーカイブ、新聞記事、インタビューを通して分析。プラット自身イギリスからアメリカに移民しており、仏教への強い関心が彼女を日系社会へ導いた。1930年代以降日系移民に対する排日運動が激化していくが、プラットはタコマ仏教会と日系人コミュニティーに根ざし、太平洋戦争中も日系仏教徒を支援し続けた。査読有
5 Pure Lands in Asian Texts and Contexts: An Anthology 共著 2019-00-00University of Hawai‘i Press アジア圏と欧米に広まりつつもあまり知られてこなかった浄土教に関するオリジナルのテクストを英訳し解題を加えた著書。
全808頁
編者:Richard Payne and Georgios T. Halkias
共著者: Ryan Overbey, Anna Andreeva, Robert F. Rhodes, James Apple, Thomas E. Dreitlein, Aaron P. Proffitt, Charles B. Jones, Fabio Rambelli, Michihiro Ama, Clark Chilson, Ethan Lindsay, Natasha Heller, Jonathan A. Silk, Jacques Fasan, Ugo Dessi, Elisabetta Porcu, Daniel A. Getz Jr., Jacqueline I. Stone, Henrik Sorensen, Gabor Kosa, Vesna Wallace, and Richard D. McBridge II
本人担当部分:セクション3の第3章Translation with a Critical Note, “A Future of Shin Buddhism in America”: Tana Daishō’s Vision for American Buddhism, 17頁 (379-395頁) を単著。
1970年代に田名大正が著述した「アメリカ仏教の将来」を英訳し解題。太平洋戦争時の自身の日系人収容経験を踏まえ、田名は浄土真宗がアメリカ化していくための興味深い示唆を問答形式で提示している。例えばサンクスギビングを各家庭で親鸞を讃える日とするとか、クリスマスに各家庭で菩提樹に飾り物を施し成道会を祝う、などである。真宗を「個」の宗教ではなく、家族の宗教と捉え直し、真宗のアメリカ社会貢献を促している。査読有
6 The Awakening of Modern Japanese Fiction:
Path Literature and an Interpretation of Buddhism
単著 2021-00-00State University of New York Press 「私小説」として扱われてきた作品を「告白的文芸作品」と捉え直し、欧米の方法論に基づき「作品」と「作者の意図」(作者の仏教経験)を分けて作品を「テクスト」として分析する一方、作品に現れる仏教用語・仏教的シンボル・漢字用法に注目し、サブテクストのレベルでは作者の仏教体験または作者の仏教的意図を無視することができないことを提示。「構造主義」と「ポスト構造主義」の理論により「告白的文芸作品」の構造を解析。査読有 342頁。 

7 Adding Flesh to Bones: Kiyozawa Manshi’s Seishinshugi in Modern Japanese Thought 共著 2022-04-00University of Hawai‘i Press 清沢満之による精神主義運動をより広く日本の近代化のコンテクストで捉え直した著書。
全488頁
編者: Mark Blum and Michael Conway
共著者: Mark Blum, Michael Conway, Dylan Toda, Wayne S. Yokoyama, Mami Iwata, Setsuo Miura, Fumihiko Sueki, Yusetsu Nishimoto, Nobuhiro Yamamoto, Eiju Fukushima, Michihiro Ama, Micah Auerback, Robert F. Rhodes, Shoto Hase, James Dobbins, Melissa Anne-Marie Curley, Paul B. Watt, and Takeshi Kaku
本人担当部分:第8章Voices of Buddhist Women in Modern Japan: A Representation of Women’s Spirituality in the Seishinkai
38頁(173-210)を単著。
雑誌『精神界』における女性信徒の著述をジェンダースタディーズの視点から分析。従来の研究では明治・大正期に男性僧侶から女性門徒教化がどのように行われてきたか、そして女性門徒がどのように男性主導の教団に追随していたかが論じられてきた。しかし一部の真宗女性門徒にはそうした教化とは別に、自由に個人の信心を表現していたことが判明した。暁烏房子の和歌や秋山けいこの短編児童小説を解読。査読有
以上7点
Ⅱ学術論文
1 Shifting Subjectivity in the Translation of Shinran’s Texts 単著 2005-00-00The Eastern Buddhist n.s., 37 鈴木大拙の英訳『教行信証』では還相廻向の主体が原典と異なっていることに注目し、その原因を分析。欧米の翻訳論に言及しながら、日本語と英語の言語的構造の違い、キリスト教のレファレンス、翻訳者の意図などを考察する一方、英訳における廻向の問題を通して新たな仏教的解釈の枠組が生まれる可能性を示唆する。原点と異なる英訳から親鸞本来の廻向論に到達する方法を模索する。編集委員査読有
17頁(205-221頁)。
2 Rethinking Kaikyō,
Overseas Propagation
of Japanese Buddhism
Integrating Perspective
from Both Sides.
単著 2009-00-00The Eastern Buddhist n.s., 40

「開教」という仏教教団の概念(特に浄土真宗における「開教」の意味)を、開教使を送り出す日本の教団と開教使を受け入れるアメリカ真宗寺院の両方の視点から考察。また開教という言葉には植民地的ニュアンスが含まれること、開教と「仏教東漸」の関係、教えを開く或いは教えが開かれる主体は誰か、等に焦点を当て、北米で求めらる「開教」の本質的なあり方を考察する。編集委員査読有 18頁(121-138頁)。
3 Transcending Death in Departures (Okuribito)—A Case Study of Film, Literature, and Buddhism in Modern Japan 単著 2010-00-00Journal of Japanese and Korean Cinema 2, no.1 2008年に公開されアカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」を仏教的観点から分析。主人公は死から生を見つめることができるように成長するが、「おくりびと」は既成仏教教団と一線を画した日本特有の宗教観を継承しており、親鸞の世界観による原作『納棺夫日記』とは大きく異なる。既成仏教教団の教えに救済を求めず、自然に癒しを求める現代日本映画のルーツは戦後の日本映画さらには近代日本文学にも見出される。査読有
16頁(35-50頁)。

4 「日系移民宗教研究におけるアメリカと日本の研究方法の相違点および学術交流の提起」 単著 2010-00-00『移民研究年報』16号
日本移民学会

日本とアメリカにおける日系人移民研究の課題と方法論の違いを論じた。日本側の研究は主に日本をSending Nationと捉え移民の背景や日系コミュニティーの形成を論じるものが多いが、アメリカの研究ではReceiving Nationとしてエスニックスタディーズからアメリカの同化政策を中心に日系コミュニティとアメリカ社会の関係を分析する傾向が強い。この研究ノートでは北米の日系研究では宗教に関する研究が比較的少ない事も指摘している。研究ノート 査読有
13頁(109-121頁)。
5 Shin Buddhist Women in America

単著 2011-00-00Religion Compass 5, no. 5

北米における日系人真宗女性門徒の動向を考察。アメリカでは連邦政府の移民政策のため、日系人を比較的容易に世代分類することができる。しかし日系一世・二世・三世では真宗理解や寺院とコミュニティーへの態度が異なる。例えば、二世女性門徒は寺院婦人会の活動などから遠ざかる傾向があったが、三世女性門徒は子供(四世)に自らの文化のルーツを伝えるため寺院を新たな拠り所と捉える傾向がある。査読有
12頁(180-191頁)。
6 A Transnational Development of Japanese Buddhism During the Postwar Period—The Case of Tana Daishō 単著 2012-00-00Pacific World 3rd series no. 14

北米仏教団の田名大正 (1901-1972)の研究。田名は太平洋戦争戦後、北米における仏教・浄土真宗のあり方を問い続けた浄土宗西本願寺の開教使であり、多くの著書を残している。北米の真宗寺院
が1950年後半から60年代にかけて
アメリカで起こった禅仏教ブームやビートジェネレーションに影響を受けていたなか、田名は本来あるべき浄土真宗の教えをどのようにアメリカ化すればよいかを模索し続けた。編集委員査読有
26頁(1-26頁)。

7 A Neglected Diary, A Forgotten Buddhist Couple: Tana Daishō’s Internment Camp Diary as a Historical and Literary Text

単著 2013-00-00Journal of Global Buddhism vol. 14 田名大正の『サンタフェー・ローズバーグ戦時敵国人抑留所日記』を欧米の日記文学の研究方法によって分析。 田名の日記は膨大で約千頁ちかくになる。収容所内での日系人の生活、仏教行事、教化活動、アメリカ政府の対応などを克明に記している。超宗派での日曜礼拝、宗派内の軋轢などに苦言を呈する一方、日本仏教の北米でのあり方を模索し、離れて暮らす家族を気遣う人間味溢れる日記である。査読有
18頁(45-62頁)。
8 Shinran as ‘Other’: Revisiting Kurata Hyakuzō’s The Priest and His Disciples 単著 2016-00-00Japanese Journal of Religious Studies vol. 43, no 2 倉田百三の『出家とその弟子』を欧米の「文学と歴史」の視点から再考。Michel de CerteauやPaul Ricoeurの言説とストーリーの時空間を通しナラティブを分析する。同時に「親鸞」と「他者」の関係を戯曲作品を通して見出すことを試みる。また歴史学では解釈できない親鸞の内面性や心理状態を「虚構」というメカニズムを通して倉田が表現したことで、近代以降の親鸞像が大きく変容したことを再認識する。査読有
22頁(253-274頁)。
9 Jewish Buddhist Priest: The Curious Case of Julius A. Goldwater and the Hompa Hongwanji Buddhist Temples in 1930–1940s Los Angeles

単著 2018-00-00Southern California Quarterly vol. 100, no. 3 太平洋戦争戦前のロスアンゼルスにおけるユダヤ人初の真宗僧侶の研究。ジュリアス・ゴールドウォーター(1908–2001)は一世開教師との信頼が厚く、日系人が収容されても、収容所内の日系仏教徒を献身的に支持した。その一方で、通仏教の教えをアメリカ全土に広める努力をする。「ジャップラバー」と白人社会から差別されつつも、自らの信念を貫いたゴールドウォーターの活動を公文書アーカイブ、新聞記事、インタビューを通して分析。査読有
27頁(297-323頁)。
以上9点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 Analysis of Shinranism in Mahayana Buddhism and the Modern World口頭発表 2001-08-00学会International Association of Shin Buddhist Studies 10th Biennial Conference at Otani University 1930年代に出版されたロスアンゼルス東本願寺別院輪番泉田準城と哲学博士高橋武市共著のShinranism in Mahayana Buddhism and the Modern Worldの解題。高橋は1920年代にシカゴ大学で博士号を取得しその後ロスアンゼルス東本願寺別院で勤務。この書物は二人が真宗のアメリカ化を論じることを目的とし、特に高橋はジョン・デューイのプラグマティズムから真宗を解釈し、真宗と民主主義・多元主義の関係などを論じている。発表時間15分

2 The Buddhist Dispute over the Authority Defined by American Legal System: The Case of the Slit of the Rafu Bukkyōkai

口頭発表 2003-11-00学会National Conference of American Academy of Religion, Atlanta, Georgia

1910年代に発生したロスアンゼルスの西本願寺系三仏教会合同事件からロスアンゼルス東本願寺の誕生を当時の裁判記録、公文書アーカイブ、新聞記事、などを元に分析し発表。後にThe Legal Dimensions of the Formation of Shin Buddhist Temples in Los Angelesとして出版される。(著書1を参照)発表時間15分
3 The Early History of the Americanization of Shin Buddhism: The Case of Kyōgoku Itsuzō

口頭発表 2004-09-00学会Issei Buddhism at the University of California, Irvine 本派本願寺開教使でカリフォルニアのフレズノ別院に勤務した京極逸蔵の仏教思想について発表。京極は金沢出身で渡米前に暁烏敏から薫陶を受けており清沢満之の教えもよく理解していた。北米において、清沢の教えが京極を通してどのように展開したかを考察。後にImmigrants to the Pure Land:
The Modernization, Acculturation, and Globalization of Shin Buddhism,1898–1941の第5章として出版される。(著書2を参照)発表時間15分

4 Review of The Emergence of Buddhist American Literature, edited by John Whalen-Bridge and Gary Storhoff Albany: State University of New York Press, 2009 書評 2009-00-00Journal of Religion and Popular Culture 22, no. 3

近年のアメリカにおける仏教文学作品を分析・批評したThe Emergence of Buddhist American Literatureの書評。この書籍は11章からなり、文学が仏教の伝達手段となりうること、禅やチベット仏教を扱った文学作品の解釈、マイノリティー作家と仏教との関係を考察する三部構成になっている。アメリカにおける
仏教の関心が従来の枠を超えて、文学の領域まで及んでいることがよくわかる書物である。
1頁(8頁)。
5 ‘First White Buddhist Priestess’: The Case of Sunya Gladys Pratt at Tacoma Buddhist Temple 口頭発表 2010-03-00学会Buddhism Without Borders: Contemporary Buddhism in the West
at the Institute of
Buddhist Studies
北米で初と言われる白人女性仏教僧侶グラディス・プラットのワシントン州タコマ仏教会における活動を、公文書アーカイブ、新聞記事、インタビューを通して分析し発表。 後に‘First White Buddhist Priestess’: A Case Study of Sunya Gladys Pratt at Tacoma Buddhist Templeとして出版される。(著書4を参照)
発表時間15分
6 The Early Development of Shin Buddhism in Canada 口頭発表 2010-10-00学会Buddhism in Canada: Global Causes, Local Conditions,” at the University of British Columbia パネルDevelopments in Canadian Buddhismでカナダの浄土真宗移民史を発表。1920年から30年代における主にバンクーバーでの浄土真宗西本願寺派と大谷派の展開、日系移民一世の活動、カナダでの排日運動などを分析。後にFlying Sparks: Dissensions among the Early Shin Buddhists in Canada として出版される。(著書3を参照)発表時間15分

7 Buddhism and I-Novels: The Case of Shiga Naoya and Buddhism口頭発表 2011-11-00学会National Conference of American Academy of Religion, San Francisco パネルRecontextualizing Japanese Religions in Popular Culturesを企画し、他三人のパネリストと発表。本人は志賀直哉と仏教について発表。志賀直哉の仏教体験に加えて、『暗夜行路』をフロイドの理論や神秘主義を通して分析。後にThe Awakening of Modern Japanese Fiction: Path Literature and an Interpretation of Buddhismの第7章として出版される。(著書6を参照)発表時間15分
8 Literary Responses to Death and Funerals in Modern Japan口頭発表 2012-03-00学会National Conference of Association for Asian Studies, Toronto, Canada

パネルLoss and Recovery in/and Modern Japanese Literatureで近代日本文学における仏教葬儀と死の記述について発表。夏目漱石の『彼岸過ぎまで』では真宗の葬儀、田山花袋の『生』では仏教と神道が習合した葬儀が描写されており、そのナラティブを欧米の方法論を用いて解釈した。後にThe Awakening of Modern Japanese Fiction: Path Literature and an Interpretation of Buddhismの第8章として出版される。(著書6を参照)発表時間15分
9 A Neglected Diary, A Forgotten Buddhist Couple: Tana Daishō’s Internment Camp Diary as a Historical and Literary Text 口頭発表(招待) 2012-12-00ワークショップNew Approaches to the Study of Japanese American Buddhism” sponsored by the Center for Japanese Religions and Culture, the University of Southern California 田名大正の『サンタフェー・ローズバーグ戦時敵国人抑留所日記』を欧米の日記文学の研究方法によって分析。後にA Neglected Diary, A Forgotten Buddhist Couple: Tana Daishō’s Internment Camp Diary as a Historical and Literary Textとして出版される。(学術論文7を参照) 発表時間30分
10 A Buddhist Historical Novel Set in Modern Japan: The People Protecting the Dharma Castle, written by Matsuoka Yuzuru

口頭発表 2013-02-00学会 National Conference of Asian Studies Development Program, Phoenix Arizona パネルAsian Perspectives on Death and Meaningで松岡譲著『法城を護る人々』を解題し発表。本書は清沢満之死後以後の精神主義運動を小説化した大正期のベストセラーにも関わらず、文学研究者の興味があまりなかったこと、宗派の評価が低かったことなどによりほとんど研究されてこなかった。本発表では、欧米の歴史と文学の方法論による解釈を試みた。後にThe Awakening of Modern Japanese Fiction: Path Literature and an Interpretation of Buddhismの第5章として出版される。(著書6を参照)発表時間15分

11 Buddhist Confession in Modern Japan

口頭発表 2013-05-00学会3rd Annual Conference of the Buddhism and Contemporary Society Program at the University of British Columbia, funded by The Tung Lin Kok Yuen Canada Foundation, and at the 16th Biennial Conference of the International Association of Shin Buddhist Studies

パネルNew Meeting Places: The Significance of Encounter for Contemporary Pure Land Studiesで暁烏敏の『更生の前後』など真宗僧侶の告白を近代日本文学の私小説と関連づけて発表。近代日本文学研究者はキリスト教を私小説の発端と位置づける傾向が強く、真宗僧侶や真宗門徒による懺悔や告白に関心を示してこなかった。本発表では暁烏が同時期の文学作家と交流をしていたこと、暁烏自身、「虚構」という形態に興味を示していたことを考察した。後にThe Awakening of Modern Japanese Fiction: Path Literature and an Interpretation of Buddhismの第4章として出版される。(著書6を参照)発表時間15分
12 Multiracial Buddhist Lawsuits in Postwar Los Angeles 口頭発表(招待) 2013-12-00ワークショップDharma Effects: Buddhism in Japanese America” sponsored by the Center for Japanese Religions and Culture, the University of Southern California 太平洋戦争戦前のロスアンゼルスにおけるユダヤ人初の真宗僧侶、ジュリアス・ゴールドウォーターの研究。後にJewish Buddhist Priest: The Curious Case of Julius A. Goldwater and the Hompa Hongwanji Buddhist Temples in 1930–1940s Los Angeles として出版される。(学術論文9を参照)発表時間30分
13 Displacing the Founder: Revisiting Kurata Hyakuzō’s The Priest and His Disciples 口頭発表 2014-08-00学会the 14th European Association for Japanese Studies International Conference, Ljubljana, Slovenia パネル Images of Shinran in Twentieth Century Japan—Perspectives from Inside and Outside the Shin Denomination (大谷大学井上尚実教授とマイケル・コンウエイ講師による企画)で倉田百三の『出家とその弟子』を欧米の歴史と文学の方法論を用いて再考。後にShinran as ‘Other’: Revisiting Kurata Hyakuzō’s The Priest and His Disciplesとして出版される。(学術論文8を参照)発表時間15分
14 Transpacific Postwar Developments of Shin Buddhism口頭発表(招待) 2015-01-00学会 Transpacific Re-Orientations: Religion, Spirituality and the Invisible Connections between Asian and the Americas at the University of Southern California パネルJapanese American Buddhism: A Transpacific Exchangeで浄土真宗の太平洋戦争終結後の北米の越境史を考察。本願寺派では1950年代に門主の北米仏教団訪問ツアーが開始されたのに比べ、大谷派では本山の北米開教区への直接的関与はあまりみられない。仏教教団の戦争関与と民主化のプロセスについてさらなる研究が必要であることを提言。
発表時間30分
15 Funerals, Narrative and Liminality: Natsume Sōseki’s Reponses to Buddhist Funerals 口頭発表 2015-03-00学会National Conference of Asian Studies Development Program, Branson Missouri パネル Asian Perspectives on Death and Meaningで夏目漱石の『坑夫』『彼岸過ぎまで』などに描写される葬儀のあり方をVictor TurnerのLiminalityの概念を使って分析。葬儀を人生の通過儀礼と捉え、その場で起こる人間関係の変化に注目。また漱石にとって、幼少の娘の死を小説化することはカタルシスとして作用していたことを考察した。後にThe Awakening of Modern Japanese Fiction: Path Literature and an Interpretation of Buddhismの第8章として出版される。(著書6を参照)発表時間15分
16 Shiran as ‘Other’: Revisiting Kurata Hyakuzō’s The Priest and His Disciples 口頭発表(招待) 2015-04-00シンポジウムModernization of Japanese Society and Buddhism” at Jodo Shinshu Center, Berkeley, California, sponsored by UC Berkeley Center for Japanese Studies, Center for Buddhist Studies, and Bukkyo Dendo Kyokai ゲストスピーカーとして倉田百三の『出家とその弟子』の再考を発表。
(口頭発表12とほぼ同じ)
発表時間30分
17 Voices of Buddhist Women in Modern Japan: A Representation of Women’s Spirituality in the Seishinkai

口頭発表 2015-06-00大谷大学でのシンポジウム“On Cultivating Spirituality: The Significance of Modern Shin Buddhist Thought in the History of Religions”

パネル Seishin shugi after Kiyozawaで雑誌『精神界』における真宗女性門徒の著述、短歌、児童小説などを分析し発表。従来の研究とは異なり、男性的な教団の価値観に縛られない真宗女性門徒の自発的宗教表現を明らかにした。2022年4月刊行予定のAdding Flesh to Bones: Kiyozawa Manshi’s Seishinshugi in Modern Japanese Thoughtの第8章として出版されることが確定している。(著書7を参照)発表時間30分

18 Nirvana, Death, and Self-Transformation: Natsume Sōseki’s Grass on the Wayside as a Narrative of Path 口頭発表 2016-03-00学会Annual Meeting of the American Comparative Literature Association at Harvard University パネルBuddhist Literature as Philosophy,
Buddhist Philosophy as Literatureで夏目漱石の『道草』におけるナラティブと仏教の関係を考察。私小説を書くことと自己内省には深い関わりがあること、私小説を書くことで漱石が幼少期のトラウマを克服しようとしたこと、漱石自身執筆当時に「道」を求めていたことなどをふまえ、『道草』を新たな視点から解釈。後にThe Awakening of Modern Japanese Fiction: Path Literature and an Interpretation of Buddhismの第3章として出版される。(著書6を参照)発表時間15分
19 Translating Hōnen: An Examination of Hōnen the Buddhist Saint, His Life and Teaching 口頭発表(招待) 2016-03-00ワークショップ “Japanese American Studies: New Perspectives on History, and Society” sponsored by the Center for Japanese Religions and Culture, the University of Southern California 1925年に英訳された『法然上人行状絵図』(英訳An Illustrated Life of Hōnen Shōnin)をめぐる翻訳の問題を分析すると同時に、同書の文学的価値を再認識した。英訳は翻訳者である石塚龍學と日本在住のカナダ宣教師の意図を強く反映させたため、An Illustrated Life of Hōnen Shōninは仏教学的性格をおびた書籍として欧米に紹介された。よって中世の「往生伝」等にみられる文学的伝統要素の解釈がなされなかった。
発表時間30分
20 Review of Jan Van Bragt, A Soga Ryōjin Reader, edited by Wamae Muriuki and introduction by Michael Conway. Nagoya. Chisokudō Publications, 2017 書評 2017-00-00Reading Religion, A Publication of American Academy of Religion

曽我量深の著作を生前に部分的に英訳していたヤン・ヴァン・ブラフトの翻訳を集成したA Soga Ryōjin Readerの書評。
曽我量深の真宗学を欧米に紹介する初の本として高く評価。また曽我量深の思想を紹介する序章があることで、難解な曽我の真宗教学の概略を知ることができる。翻訳の難しさと課題は残るものの近代真宗教学と世界の対話が始まることが期待される。
オンライン出版 (1000 words)
21 仏教と音楽 ハンドブック項目(単著) 2017-00-00仏教史学会編『仏教史研究ハンドブック』(法蔵館) 仏教音楽は声明・ご詠歌・雅楽など伝統的なものと西洋的旋律による両方をふくみ、多目的に演奏され鑑賞されている。従来の研究は近代仏教教団によるものが多いが、近年では教団教化面からの分析では不十分と捉え、鑑賞目的や意図しない仏教音楽の普及が研究されている。今後の研究として仏教音楽研究の学際的研究(例えば社会学的、宗教学的見地)から捉える必要があることを指摘。本人執筆2頁(364-365頁)。
第3部「日本」第4章「日本近代」に所収。
22 仏教と文学

ハンドブック項目(単著) 2017-00-00仏教史学会編『仏教史研究ハンドブック』(法蔵館) 近代以降「仏教」と「文化」の細分化が加速したことで、近代日本文学と仏教の相互関係を扱った研究は十分とはいえない。先行研究として仏教教義および仏教史学的解釈を反映させた近代日本文学の類型化、仏教と文学を学際的に捉える二つの方法が考えられる。今後の展望として文学者が理解した仏教の中身を精査すること、宗教と芸術の矛盾を文学者どのように認識したか、など四点を挙げる。
本人執筆1頁(367頁)。
第3部「日本」第4章「日本近代」に所収。

23 American Buddhism during World War II Internment

百科事典項目(単著) 2018-00-00Oxford Research Encyclopedia of Religion 太平洋戦争勃発直後の1942年に発令されたルーズベルト大統領のExecutive Order 9066に始まる日系人強制収容から戦後混乱期の日系仏教教団と門信徒の動向をまとめた。日系仏教徒はアメリカ社会からの迫害に耐えつつ、政府の戦時転住局と交渉し、さらなるアメリカ化を模索した。仏教の教えは日系人のアイデンティティーの確立に貢献した一方、日系二世からなる第442連隊戦闘団の多くが仏教徒であったことは仏教と戦争の関係を考える上で留意を要する。
オンライン出版、27頁。

24 Revisiting Euro-American and Japanese-American Buddhist Interactions in 1930s and 1940s 口頭発表(招待) 2018-12-00ロスアンゼルス日系博物館シンポジウム“Allied With Japanese America: New Stories of Supporters During World War II,” organized by the University of Southern California Shinso Ito Center for Japanese Religions and Culture 太平洋戦争戦前の北米における白人浄土真宗僧侶と日系浄土真宗僧侶・門徒との交流についての発表。アーネスト・ハント、ロバート・クリフトン、スンヤ・プラット、ジュリアス・ゴールドウォーターの仏教伝道活動と日系社会との関係をまとめた。(発表の一部は口頭発表4、11と重複)発表時間30分

25 Imamuras and the Making of American Buddhism 百科事典項目(単著) 2019-00-00Oxford Research Encyclopedia of Religion 戦前に浄土真宗のアメリカ化に貢献した今村恵猛と、戦後真宗のアメリカ化を模索した今村寛猛についてまとめた。恵猛は真宗の価値観がアメリカ民主主義に相応することに着眼した一方、日系労働者の迫害やハワイ準政府の日本語教育排除政策には、法律をもって対応した。寛猛は1950年代にサンフランシスコベイエリアで真宗門徒と白人仏教徒の交流を促進した。北米の真宗啓蒙活動の裏には恵猛の妻清子と寛猛の妻ジェーンの存在があった。
オンライン出版、18頁。

26 Literary Representations of Buddhist Funerals in Modern Japan口頭発表(招待) 2019-03-00ワークショップTannishō Commentarial Materials, sponsored by UC Berkeley Center for Japanese Studies and Center for Buddhist Studies, Otani University, Ryukoku University, BCA Center for Buddhist Education, and Institute of Buddhist Studies

夏目漱石の『坑夫』『彼岸過ぎまで』などに描写される葬儀のあり方をVictor TurnerのLiminalityの概念を使って分析。(口頭発表14とほぼ同じ)
発表時間60分
27 Review of Levi McLaughlin, Soka Gakkai’s Human Revolution: The Rise of Mimetic Nation in Modern Japan. Honolulu: University of Hawai‘i Press, 2019 書評 2020-00-00Journal of Asian Studies 79, no. 3

創価学会の成立から現在に至るまでを学際的に捉えたSoka Gakkai’s Human Revolution: The Rise of Mimetic Nation in Modern Japanの書評。英文による創価学会の動向を内部資料や学会メンバーのインタビューを通して分析した初の書籍ということで評価できる。その一方で創価学会と戦後日本のいわゆる「市民宗教」との関連が論じられていないことを指摘。
2頁(784-85頁)。

28 Japanese American Buddhism

百科事典項目(共著) 2021-00-00Oxford Research Encyclopedia of American History 日系仏教の歴史をタウンソン大学のマイク・マサツグ准教授とまとめた。日本からみたハワイ・北米移民史と、日系二世・三世を中心としたアメリカ史の両面を考慮し、仏教と日系社会の関係を考察。戦前・戦中・戦後を通して、仏教寺院は日系コミュニティーになくてはならない存在であり、その役目は精神的、儀礼的なものから情報交換の場、経済的支援、日系人の結束とアイデンティティーの確立など多岐にわたる。
オンライン出版。要約箇所を含めPrewar Period からPostwar Periodまで17頁中約8頁を担当。

29 欧米と日本の「日本学」研究方法の違いについて 口頭発表 2022-10-21大谷学会研究発表会 この発表ではアメリカでの学術出版経験をふまえて、近代日本文学と仏教についての日本と欧米の「日本研究」(「日本学」)の方法論と論述の違いについて述べた。
30 パーソナルフィクション(Personal Fiction)の仏教的読み方 口頭発表 2023-02-25「日本学研究会」第4回学術大会(東北大学) 仏教をテーマにしたパーソナルフィクション(Personal Fiction)の新しい読み方を拙著The Awakening of Modern Japanese Fictionから提示した。具体的には夏目漱石の『門』のなかにあらわれる言語を中心とした仏教的表象を解釈した。欧米では、「私小説」は近代日本の「言説」と捉えた見方が普及しているが、拙著の仏教的な読み方の視点とは異なるため、「私小説」ではなく「パーソナルフィクション」という表現を用いた。
31 Tannishō and Narrativity: Tannishō in light of Monogatari and Setsuwa 口頭発表 2023-03-11the 11th workshop on Tannishō Commentarial Materials, organized by the UC Berkeley Center for Japanese Studies and Center for Buddhist Studies, Otani University, and Ryukoku University 唯円はなぜ「親鸞聖人の御物語」という表現を使ったのか、「歎異抄」の意図する「物語」とはどういう意味があるのか、「歎異抄」の文学性とは何か、等を考察。従来使われてきた「物語」・「説話」・「語録」・「かな法語」などの文学的ジャンルの曖昧性を指摘し、「歎異抄」と「説話」の構造上の類似点と相違点を考究した。また「歎異抄」の文学性を「パラドックス」の使われ方に見出し、欧米の文学理論を援用して解釈した。
32 Unbreaking the Broken Commandment: Buddhism, Discrimination, and Self-Transformation in Hakai 口頭発表 2023-12-06大谷大学国際シンポジウム
Enlightenment, Wisdom, and Transformation in the World’s Religious Traditions
“Rengeji temple took in boarders”: this is how Hakai 破戒 (1904), written by Shimazaki Tōson (1872–1943), begins. Despite this opening line, popular assumptions about Hakai neglect the significance of Buddhism. While the English translation of the novel’s title as The Broken Command is correct in the sense that the protagonist Ushimatsu breaks a “patriarchal” rule, it lends the impression that the novel is linked with Judeo-Christianity. This paper reads Hakai through the lens of Buddhism and examines the Buddhist implications of Ushimatsu’s confession. It interprets Ushimatsu’s self-transformation according to the Buddhist concept of path, analyzes the significance of the word hakai from the viewpoint of Buddhist precepts, and explores ways in which the value of wisdom shifts from Ushimatsu being successful in society to his being true to himself.
以上32点

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