教育研究業績の一覧

麻生 陽子
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 視聴覚資料を活用し、ゲーム等を取り入れた双方向的な授業 2014-00-00 ~ 学生が興味を持ちそうな、現地のテレビ放送や動画、音楽などの視聴覚資料を積極的に活用することで、ドイツ語やヨーロッパの文化などにかんする話題の提供に心がけている。クラスの雰囲気づくりのためにも、学生同士が自然と対話し、楽しみながら学習できるようなゲームも織り交ぜている。
2 レスポンスペーパーを取り入れた双方向的な授業 2014-00-00 ~ 人数の多いクラスでは、レスポンスペーパーを導入している。学生には授業ごとに各時間に学んだこと、できるようになったこと、その他要望などを自分の言葉で書いてもらうことで、振り返りの時間を設けている。これを数回ごとに回収し、コメントをつけて返却をしている。その他、学生全体の授業の理解具合や個々人の関心を把握するのにも役立っている。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 スマートフォンのためのドイツ語単語のアプリケーション の開発 2013-02-00 ほかの研究者(橋本雄太、寺澤大奈、西尾宇広)とともに、ドイツ語語彙習得のためのスマートフォンアプリケーション「独単800」を開発し、アップルストア上に公開した。初級者に最低限必要な約800語の単語の意味を例文と合わせて学習できる。学習の進捗状況のチェック機能も搭載されている。
2 国際文化学科「演習I」で使用する共通教科書 2019-10-00 国際文化学科「演習I」で使用する共通教科書における「ドイツ文化」の項目について執筆した。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 個人研究室の開放 2019-00-00 ~ オフィスアワー以外にも個人研究室を開放し、授業以外にも学生とコミュニケーションをとる機会を積極的に作っている。ふらっとお茶を飲みに、おしゃべりをしに立ち寄る学生もいるが、主に、授業に関する質問への応答をはじめ、進路相談、演習発表の相談、レジュメやレポート作成の個別指導、卒論の添削等を行っている。
2 ドイツ語の勉強会 2020-10-00
~2021-03-00
2020年度後期には、毎週1コマ程度、ゼミの中から希望者を募り、ドイツ語の勉強会を実施している。この勉強会は、ドイツ語に親しむ語学の場としてのみならず、学生同士、そして教員と学生とのコミュニケーションを育む場にもなっている。
B 職務実績
1 外部資金の獲得(科学研究費助成事業;研究代表者) 2019-00-00 ~ 科学研究費助成事業(研究活動スタート支援)「19世紀後半のドイツ語文学における「地方」と「ガリツィア」の表象の比較」(研課題番号:19K23090 2019〜2021)の代表者である。
2 オープンキャンパス模擬授業 2020-09-06 ~ 国際学部の模擬授業を「楽々にドイツ語」と題して実施した。ドイツ語の語学の授業の導入となるように、ヨーロッパの諸言語の中におけるドイツ語の特徴を紹介し、英語とドイツ語の比較をクイズ形式で実施した。
3 外部資金の獲得(科学研究費助成事業;研究代表者) 2021-04-00 ~ 科学研究費助成事業(若手研究)「19世紀後半ドイツ語文学における「ガリツィア神話」の生成にかんする研究」(研課題番号:21K12967 2021〜2023)の代表者である。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2011-06-00~0000-00-00 日本独文学会 京都支部 正会員(現在に至る)
2 2013-03-00~0000-00-00 オイフォーリオンの会(現在に至る)
3 2013-04-00~0000-00-00 日本独文学会 正会員(現在に至る)
4 2016-01-00~0000-00-00 クヴェレ会(現在に至る)
5 2019-12-00~0000-00-00 日本グリルパルツァー協会(現在に至る)
6 2021-04-00~0000-00-00 日本独文学会京都支部委員
7 2021-04-00~0000-00-00 オーストリア文学会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 「現代ドイツ文学 境界の揺らぎ」:「「故郷」を再現する物語―メリンダ・ナジ・アボニィの『鳩は飛んでいく』」共著 2015-10-00日本独文学会研究叢書 111号(日本独文学会) 故郷喪失やアイデンティティをめぐる問題は、作者アボニィの自伝的要素の濃い2010年の長編小説で扱われている。幼年期を過ごしたヴォイヴォディナからスイスへ移住した若いヒロインは、異郷での精神的支柱となる「失われた故郷」を、母語のハンガリー語、ドイツ語、スイスドイツ語、英語といった複数言語からなるテクストとして再構築する。本作は、現代の世界情勢を背景に、伝統的な文学のトポスである「故郷」を扱った物語である。
総頁数96頁
本人担当:21頁(49〜69頁)
編者 川島隆、共著者 川島隆、眞鍋正紀、麻生陽子、徳永恭子
以上1点
Ⅱ学術論文
1 「「鏡像」の詩学 ― アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフの『ユダヤ人のブナの木』」単著 2011-12-00研究報告 第25号(京都大学大学院独文研究室) 本作は、偏見がまかり通る無慈悲な農村共同体で、犯罪者というレッテルを貼られたひとりの男が自殺か他殺か判別しがたい
最期を遂げるまでの様子を描いたノヴェレである。読者の一義的な解釈を拒むように構想された本作の創作技法について、作中の様々な次元にみられる「鏡像」関係、ジャンルや語りの問題、そして作者の「裁き」という倫理的な認識の問題という観点から論じた。
36頁(65~90頁)
2 「もうひとつの農村ユートピア ― ペーター・ローゼッガー『最後の人ヤーコプ』におけるアメリカ」単著 2012-12-00研究報告 第26号(京都大学大学院独文研究室) 工業化や都市化が進んだ19世紀半ば以降、農業の衰退が加速する山岳地方において、貧しい農民たちは生まれ故郷を手放して国内外へと移住せざるを得なくなった。中でも移住先として選ばれた「アメリカ」という場所での故郷の再生にたいして郷土作家ローゼッガーが抱いた期待と懐疑とが描き込まれている。
26頁(71~96頁)
3 「閾の存在としての女吸血鬼とジェンダー―ドロステ=ヒュルスホフの『ローデンシルト嬢』」単著 2014-07-00Germanistik Kyoto 第15号(日本独文学会京都支部) 19世紀の女吸血鬼には、男性の願望や不安が投影されて描かれてきた。本作では、理想的な市民女性の体現者としてゲーテが描いた女吸血鬼のイメージが、とくにセクシュアリティーやものを書くという行為の点で大胆に書き換えられている。ドロステの女吸血鬼は、「天才」を揶揄するだけでなく、女性の完全なる生存のあり方にたいする願望をあらわす分身として造形されている。
20頁(21~40頁)
(査読有り)
4 「ドイツ語語彙習得を目的としたスマートフォンアプリケーションの開発」共著 2014-09-00ドイツ語情報処理研究 第24号(日本ドイツ語情報処理学会) ドイツ語の語彙習得のために、代表者の橋本雄太、寺澤大奈、西尾宇広らとともに開発したスマートフォンアプリ、「独単800」の効果を検証するべく、和歌山大学の学生に日々の学習や小テスト対策のために活用してもらい、その使用感などにかんするアンケート調査を行った。場所を問わずに気軽に勉強ができるというメリットがあったほか、学習の成果は、紙媒体とアプリを問わず学習時間に比例して高くなる結果となった。
14頁(1~14頁)
共著者:橋本雄太、麻生陽子、寺澤大奈、西尾宇広
(査読有り)
5 「女の芸術創造―ドロステ=ヒュルスホフの未完の悲劇『ベルタあるいはアルプス』における両性具有のモチーフについて」単著 2014-12-00研究報告 第28号(京都大学大学院独文研究室) 若きドロステによる最初の本格的な創作となった本作では、あらたな芸術家存在の主体が構想されている。非対称に価値づけられた、両性具有的な男女の姿を通して、芸術家存在の主体のあり方が孕む問題が浮き彫りにされている。女性にとって到達しがたい芸術への憧れは、二項対立的なジェンダーを克服する存在として、伝統的に「天才」芸術家の特徴とされた両性具有の男性の芸術家が造形されている。
18頁(23~40頁)
(査読有り)
6 「三月前期の書く女たち――ドロステの文学的パノラマとしての『ペルデュー! あるいは出版人、詩人、そして文学かぶれの女たち』――」単著 2016-07-00Germanistik Kyoto 第17号(日本独文学会京都支部) 読者に迎合する19世紀前半の商業的な文学事情や、「文学かぶれの女」と侮蔑される書く女性の苦境などを風刺した本作では、20世紀初頭の芸術至上主義的な見方のほか、「自身の脳髄にいる神」に従いながら「100年後」を見据えて創作を行う詩人の理想的なあり方も提示されている。それはまた、女性が書き手として「はかない」同時代を生き抜くための処世術でもあり、作品の永続性を重視する彼女の詩学をあらわすものでもある。
18頁(1〜18頁)
(査読有り)
7 「アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフの詩学――ジェンダーと作家性を中心に――」
(博士論文)
単著 2017-03-00京都大学 本学位論文は、5本の個別の論文を大幅に加筆修正し、再構成したものである。そのさい、これまでのドロステ研究で十分に検討されてこなかった戯曲や叙事詩を取りあげた。ものを書く行為が性別化され、「女性の詩人」というあり方も許容されていなかった時代に、ドロステは自らをどう位置づけ、いかに当時の性規範をかいくぐって創作したのか、この点を考察するべく、書き手のジェンダーに注目し、文学ジャンルやモティーフの分析を行った。
総頁数140頁
8 19世紀後半の忠実なチェコ人「女中」ーー
エーブナー=エッシェンバッハの長編小説『ボジェナ』
単著 2020-11-00西洋文学研究 第40号(大谷大学西洋文学研究会) エーブナー=エッシェンバッハの『ボジェナ』は、「女中」への関心が高まった19世紀後半に、ドイツ語圏で最初に書かれた「女中小説」である。チェコ語圏モラヴィア地方を舞台に、内部崩壊の危機にあるドイツ系市民家族をめぐる問題が、女中の視点から批判的に描かれている。本稿では、社会的・民族的・ジェンダー的に従属的な立場にあったチェコ人にして女性の奉公人として造形されたヒロインの分析を中心に、モティーフとしての「女中」が本作で果たす象徴的な役割等について考察した。
24頁(25-48頁)
9 詩作をする女性の作曲家ドロステ=
ヒュルスホフのポーランド讃歌《白鷲》
単著 2021-10-05西洋文学研究 第41号(大谷大学西洋文学研究会) 本稿は、これまでの口頭発表をもとに執筆したものである。
詩人としては名高いが、作曲家としてはほとんど知られていないアネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフのリート《白鷲》が、三月前期に生きた女性が手がけた創作として政治的、社会的、文化的、ジェンダー的な観点から論じたものである。
1830年代前半のドイツ語圏で流行した「ポーランド讃歌」における位置付けをはじめ、鷲という文学モティーフの書き換えについてゲーテの詩と比較して考察されている。同時に、テクストおよび譜面の楽曲分析を通して、女性の〈詩人にして作曲家〉というドロステの二重のアイデンティティに考察した。
24頁(1-24頁)
以上9点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 「ドイツ語語彙習得を目的としたスマートフォンアプリケーションの開発」共同ポスター発表 2013-09-00日本独文学会秋季研究発表会(北海道大学) 本研究の代表者である橋本雄太、寺澤大奈、西尾宇広とともに、時間や場所を問わず利用可能なドイツ語の語彙習得のためのスマートフォンアプリを開発した。2013年2月に一般公開したのち、2013年の前期の間、和歌山大学の学生にこのアプリを実際に利用して小テストなどの対策をしてもらい、その使用感や達成度などにかんするアンケート調査を行った。その結果をポスターとしてまとめて発表した。
共同発表者:橋本雄太、麻生陽子、寺澤大奈
2 「芸術創造において相容れぬ〈女らしさ〉と〈女であること〉―ドロステ=ヒュルスホフの未完の悲劇『ベルタ、あるいはアルプス』における両性具有のイメージについて」口頭発表(一般発表) 2013-09-00日本独文学会秋季研究発表会(北海道大学) 悲劇は、古典古代から最上位に置かれた「非女性的な」文芸ジャンルである。若きドロステは、最初の本格的な創作にさいして悲劇を選択し、芸術家としての野心をあらわす一方で、身分違いの恋という体裁で、芸術創造にたいする憧れや、非対称に価値づけされた男女の両性具有的のモティーフを用いて、芸術領域における男女の緊張関係を表現している。
発表時間40分
3 「『故郷』を再現する物語―メリンダ・ナジ・アボニィ『鳩は飛んでいく』」口頭発表(シンポジウムのパネル) 2014-10-00日本独文学会秋季研究発表会(京都府立大学) 「現代ドイツ文学 境界の揺らぎ」と題したシンポジウムのなかで、本発表は、言語や国籍、アイデンティティの越境という現象を、ヴォイヴォディナ出身でスイス在住のハンガリー語を母語とするドイツ語作家メリンダ・ナジ・アボニィの2010年の話題作にそくして論じた。本作では「故郷」は、国や既存の概念に還元されずに、複数言語からなるテクストとして構築されるものとして表現されている。
発表時間25分(全2時間)
4 「「女の子」という運動:ワイマール共和国末期のモダンガール」著者:田丸理砂書評 2016-05-00Flaschenpost No.37(ゲルマニスティネンの会) 1920年代から30年代にかけて、世界各地の大都市で「モダンガール」現象が起き、ワイマール共和国時代のドイツでは、旧来のジェンダー的価値観からは自由な自立心のつよい「新しい女」があらわれた。田丸氏の著書は、同時代の「新しい女」を表象する「女の子Mädchen」というドイツ語に着目して、当時の文学作品をたんねんに読みとき、「女の子」たちのリアリティーに迫ったものである。
1頁(13頁)
5 Literatur als Prozess. Drostes „Geistliches Jahr“ als Schreibzyklus
著者:Thomas Wortmann
新刊紹介 2017-03-00ドイツ文学 No.154(日本独文学会) 近年のドロステ研究を牽引するヴォルトマンによれば、ドロステの宗教連作詩は、伝統をつよく意識した創作であるが、同時に大きな書き換えも認められる。創作全般が未完に終わる傾向や、加筆修正が繰り返された草稿の様子からも、彼女において重要だったのは、創作を完成させることではなく、ものを書き続けるというプロセスじたいにあり、そこには彼女が作家でありつづけるための生存的な意味合いもあったと主張されている。
3頁(298〜300頁)
6 「ドロステ=ヒュルスホフの叙事詩『医者の遺言』における「作者性」の表現について」口頭発表(一般発表) 2017-06-00日本独文学会京都支部春季研究発表会(立命館大学) ものを書く行為が性別化されていた時代、「女性の詩人」は文化的な表象体系のなかでは位置づけがたい存在だった。隠蔽された書く女性の姿の可視化を試みたのが、「半匿名」で発表された『詩集』のなかの叙事詩である。書く主体となる女性は、男性詩人を表象する「医者」とその内面世界が擬人化された男女の姿を通して暗示的に描かれ、女性と書く行為のあいだの緊張関係もまた、女性の犠牲死として表現されている。
発表時間40分
発表要旨 Germanistik Kyoto 第19号(日本独文学会京都支部)
4頁(49〜52頁)
7 「19世紀後半の「女中」から再読するエーブナー=エッシェンバッハの小説『ボジェナ』」口頭発表(一般発表) 2018-03-00第77回オイフォーリオンの会(大阪市立大学) 「女中」への関心が高まった19世紀後半に、ドイツ語圏初の「女中小説」となった本作では、チェコ語圏モラヴィア地方を舞台に、内部崩壊の危機にあるドイツ系市民家族のモラルをめぐる問題が、チェコ人女中との関係性の中で批判的に描かれている。同時代の社会的・民族的・ジェンダー的に従属的な立場にある忠実なチェコ人女中が作品舞台で果たす象徴的な役割、およびその社会的上昇が閉ざされていることの意味を考察した。
【発表時間 40分】
8 エーブナー=エッシェンバッハ『村と館の物語』における「ガリツィア」口頭発表 2019-05-26第82回オイフォーリオンの会例会発表(大阪市立大学) 国民国家の成立やナショナリズムの高揚にともない、西欧の文学市場ではガリツィアを舞台とする物語が相次いで発表された。本発表は、こうした同時代状況において、チェコ語圏モラヴィア地方出身のエーブナー=エッシェンバッハ(1830-1918)がガリツィアを舞台とした二作品を創作したことの意味を問うものである。ガリツィアは、伝統が形成されつつあった新しい文学トポスであったという意味で、史実を題材に想像力を交えて書かれた彼女の「ガリツィア」物語は、自らの創作をオーストリアの文学史のなかに位置づけようとする試みだったと思われる。
【発表時間:60分】
9 ガリツィアと農民問題ーエーブナー=エッシェンバッハ『村と館の物語』口頭発表 2019-06-09日本独文学会春季研究発表会(学習院大学目白キャンパス) 本発表は、シンポジウム(「国民国家と「村物語」ー19世紀後半のドイツ語圏文学およびイタリア文学をめぐる地理的想像力」)をなすものである。
エーブナー=エッシェンバッハの散文『郡医官』および『ヤーコプ・シェーラ』(1883)では、ハプスブルクの帝都ウィーンといった中央ではなく、ハプスブルクの北東に辺境に位置する属領ガリツィアの田舎が作品舞台として設定されている。本作は、1846年のクラクフ蜂起という史実を題材として扱っていながら、あらたにナショナリズムが勃興する19世紀後半の多民族国家の同時代を逆照射している。ガリツィアにおけるポーランドのナショナリズムをまえにあらわれる、オーストリア・ハプスブルクという超民族的な帰属意識、つまりその核をなす皇帝への忠誠心の描写を手がかりに、複合国家としてのオーストリア的アイデンティティ、ひいては、チェコ語圏生まれのドイツ語作家というエーブナー=エッシェンバッハ自身の重層的なアイデンティティの一端について考察した。
【発表時間:25分、質疑応答:1時間】
10 劇から離れたふたりの〈散文〉とその時代ーーエーブナー=エッシェンバッハとグリルパルツァーの関係を探るーー口頭発表 2019-11-23日本グリルパルツァー協会研究発表会(金沢大学) 本発表では、オーストリアの作家マリー・フォン・エーブナー=エッシェンバッハ(1830-1916)の1870年代半ば以降における〈散文〉の創作という行為がもちえた意味について、回想録『グリルパルツァーの思い出』と散文『遅生まれの人』の作品分析を通して考察した。彼女は劇作家フランツ・グリルパルツァー(1791-1872)とは異なる時代に生きながら、自らの劇の断念という経験を先達の苦悩の経験と重ね合わせて捉えることで、否定的に見なされていた〈散文〉の創作にたいして肯定的な意味づけを試みているのである。回想録では、従来軽視されてきたグリルパルツァーと周囲の女性たちとの関係性が女性というジェンダーの観点から見直されているという点で、「偉大な詩人」というグリルパルツァー像の再構築もなされている。
【発表時間:40分】
11 エーブナー=エッシェンバッハと<グリルパルツァー>口頭発表 2019-12-08第774回クヴェレ会例会発表(淀川区民センター) 本発表では、マリー・フォン・エーブナー=エッシェンバッハ(1830-1916)の散文の創作に、劇作家グリルパルツァー(1791-1872)およびかれの作品が与えた影響について、彼女の回想録『グリルパルツァーの思い出』と散文『遅生まれの人』の分析をとおして考察した。かれらが異なる時代状況で創作をしていたとはいえ、各々が生きる同時代および散文にかんする否定的な見解は共通している。かれの作品およびかれの存在としての〈グリルパルツァー〉を意識したエッシェンバッハの創作は、自身が亜流であることを意味するものではない。自らの劇の断念を先達の苦悩の経験と重ねて捉えることで、彼女は否定的な評価がなされていた〈散文〉の創作を、同時代に抗うための再起をかけた戦いとして、肯定的に捉え直したのである。
【発表時間:60分】
12 詩作をする女性の作曲家
ドロステ=ヒュルスホフのポーランド賛歌《白鷲》
口頭発表 2020-09-26大谷大学西洋文学研究会 ロシア領ワルシャワで始まったポーランドの十一月蜂起(1830/31)を機に、1830年代前半のドイツ語圏では膨大な数の「ポーランド賛歌 (Polenlieder)」が書かれた。本発表では、その一つとして知られる19世紀前半のドイツの女性詩人アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ(1797-1848)によって作詞作曲され た歌曲『白鷲』(1838)を対象とし、文学的テーマとしてのポーランドの表象について考察した。鷲を文学モティーフとして扱ったゲーテのテクストとの比較を通して、三月前期におけるドロステの「ポーランド賛歌」の位置づけをジェンダー的な観点から分析した。さらに譜面の分析を通して、詩人にして作曲家でもあろうとしたドロステのアイデンティティについても言及している。
【発表時間:60分】
13 ドロステ=ヒュルスホフにおける詩作と音楽の関係性について
––ポーランド賛歌《白鷲》––
口頭発表 2021-03-21「オイフォーリオンの会」第86回例会 詩人ドロステが作詞作曲を手がけたリート《白鷲》は、十一月蜂起と関連するポーランド賛歌として知られている。しかしながら同時代の政治的歴史的出来事を題材にすることが少ない彼女にあって、表向き三月前期的な《白鷲》がどのような位置にあるのかについて、ドロステの他作品やゲーテの詩も参照しながら、本作をテクストおよび譜面の分析をし、彼女と同時代(三月前期)の関係性の一端をあきらかにした。なお、本例会発表はオンラインで開催された。
【発表時間:60分】
以上13点

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