教育研究業績の一覧

藤田 義孝
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 メトッド・イメディアット(フランス語会話直接教授法)の実践 2004-04-00
~2017-03-00
2000年にLouis BENOIT, Jean-Luc AZRA, Bruno VANNIEUWENHUYSEらが中心となって研究、提唱したフランス語会話直接教授法を、大阪薬科大学(2004)、関西大学(2006)、大谷大学(2012~)で実践。口頭表現能力の向上に効果があり、授業アンケートでも学生の評価が高かった。
2 コミュニカティブ・アプローチの授業実践 2007-04-00
~2016-03-00
コミュニカティブ・アプローチを応用した授業を工夫。普通の文法教材であっても、短い会話練習などコミュニカティブなタスクを随時盛り込むことで授業を活性化する試みを続ける。
3 講義における疑問点フィードバック 2008-04-00
~2010-03-00
講義「フランスの歴史と文化」において、積極的に問いを発することを促すため、出席カード代わりの用紙に疑問点を書かせて次回の授業時に回答するインタラクティブな講義形式を試みた。
4 講義におけるミニレポート講評 2008-04-00
~2012-03-00
講義「フランスの歴史と文化」においてミニレポートを提出させた際には、優れたもの、興味深い内容のもの、惜しかったものなどを選んで縮小コピーし、次週に配布して講評を加え、ミニレポート作成の参考になるようにしている。
5 コンピューター教室を使ったフランス語作文授業 2009-09-00
~2012-03-00
コンピューター教室を使い、フランス語でレポートを作成する中級作文の授業を担当。フランス語の関連記事を検索して語彙を探すやり方や、下書きの日本語の段階でフランス語にしやすい表現を用いることなどを指導した。
6 出席・成績管理カードの利用 2011-04-00
~2012-03-00
フランス語のクラスにおいて、学生自身がコメントと共に出席を記入する出席カードを、教員とのコミュニケーションツールとして活用している。口頭課題の得点と出欠も記入するため、学生が自分で現在の出席状況や平常点の一部を確認できる成績管理票としても機能している。
7 講義における視聴覚資料とグループワークの導入 2012-04-00 ~ 「国際文化概論」において、文化の多様な側面を学生に印象づけるため、パワーポイントや映像などの視聴覚資料を用いるとともに、グループワークで自分たちの考えを述べさせる機会を設けた。
8 演習における発表と相互コメント方式の導入 2012-04-00 ~ 演習において学生が発表を行う際、他の学生はその発表に対する質問、コメントなどを所定の用紙に書き留め、そこに教員のコメントを加えたものを次週にまとめて発表者に渡す方式の導入により、学生が発表を改善するためのフィードバックを行った。
9 学科導入教育の授業デザインと運営 2013-09-00
~2014-03-00
国際文化学科の学科導入科目「専門の技法(国際文化学)」を担当。担当者4名による15回の授業で、テーマに沿った文献を調べてレポートを書き上げ、レジュメを作成して5分間の発表を行う演習型授業のデザインと実施にあたった。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 フランス語教科書:『オ・パ・カマラッド!―足並みそろえて、フランス語!』(共著) 2008-07-00
~2013-03-00
共著者:柏木隆雄・柏木加代子・井上直子・藤本武司・上江洲律子、駿河台出版社(2013年改訂版発行)
2 授業用パワーポイント教材の作成 2012-04-00 ~ 「国際文化概論」「国際文化演習I」「フランスの歴史と文化」において、学生に対して文化や歴史を視覚的に印象づけるため、パワーポイントによる授業用資料を作成した。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
1 第22回FDフォーラム分科会コーディネーター 2017-03-05 第22回FDフォーラムにて分科会「授業とフィールドワーク~教室の中と外をどうつなぐか~」を企画担当しコーディネーターを務めた。
2 第23回FDフォーラム分科会コーディネーター 2018-03-04 第23回FDフォーラムにて分科会「大学の「出口」とは何だろうか―教養・シチズンシップ・キャリア・人間教育」を企画担当しコーディネーターを務めた。
3 FD研修会での発題「シラバス作成について」 2018-11-21 学内のFD研修会にて、シラバス作成について発題し、ここ数年のシラバスの変化やシラバス作成の考え方、入力時の注意点などを述べた。
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 フランス語ネイティブとの会話イベント « Café Français »を企画・実施 2012-10-00 学生にフランス語ネイティブと会話する機会を提供するため、オープンカフェで気軽にフランス語会話を楽しむイベント« Café Français »を企画・実施した。なお、この企画は2013年度にGLOBAL SQUAREによる各国語会話イベント「世界の街かど」として受け継がれ、英語・ドイツ語・フランス語・中国語・朝鮮語で1~2回ずつ開催されている。
2 国際文化学科で体験講座「世界の食文化」を企画・実施 2012-12-00 試食会つきの講座「世界の食文化」を企画・実施した。学内食堂とも協力し、期間限定で特別メニューが提供される連動企画を実現した。
3 国際文化学科で体験型ミニ・シンポジウム「世界の食文化と宗教」を企画・実施 2013-07-00 試食つきのミニ・シンポジウム「世界の食文化と宗教」を企画・実施した。学内食堂とも協力し、期間限定で特別メニューが提供される連動企画を実現した。
4 国際文化学科で体験型ミニ・シンポジウム「世界のお茶(東洋編) 日本・インド・チベット」を企画・実施 2014-01-00 試飲つきのミニ・シンポジウム「世界のお茶(東洋編) 日本・インド・チベット」を企画・実施した。京都府茶協同組合の戸塚氏を招き、宇治茶の解説と試飲を実現することができた。
B 職務実績
1 日仏合同シンポジウム閉会パーティーでの挨拶通訳 2006-11-00 大谷大学真宗総合研究所とフランス国立高等研究院の合同シンポジウムの閉会パーティーにて、挨拶の日仏・仏日通訳を務めた。
2 フランス国立高等研究院訪問時の通訳 2009-05-00 大谷大学学長がフランス国立高等研究院を訪問した際、打ち合わせにおいて日仏・仏日・英日通訳を務めた。
3 大谷大学真宗総合研究所主事 2013-04-00
~2015-03-31
大谷大学真宗総合研究所において主事を務め、大学における研究活動を推進するとともに、『研究所報』『研究紀要』の編集・発行に携わる。
4 人間教育プログラムでの授業担当 2013-08-00 大谷高校3年生十数名に「『星の王子さま』―「見えないもの」を描く絵本―」との題目で講義をし、グループワークを経てレポートを書かせた。レポートには一人一人に添削・講評をつけて返却した。
5 大谷高校EDU講座での授業担当 2014-02-00 大谷高校2年生40名に「サン=テグジュペリ『星の王子さま』―童話の謎を解いてみよう」との題目で講義をし、自分で見つけた謎を解くレポートを書かせた。レポートには一人一人に添削・講評をつけて返却した。
6 大谷大学真宗総合研究所指定研究「西蔵文献研究」班研究員 2015-04-00
~2016-03-31
真宗総合研究所の指定研究である西蔵文献研究班の研究員として、資料の整理やデジタル化、データベース化の作業に従事した。
7 大谷大学真宗総合研究所指定研究「国際仏教研究」ドイツ・フランス班研究員 2016-04-00
~2017-03-31
真宗総合研究所の指定研究である「国際仏教研究」のドイツ・フランス班研究員として、国際的仏教研究の提携先について調査・検討した。
8 国際文化学科学科主任 2016-04-00
~2017-03-00
三学部化へ向けての学科再編期に学科主任を務め、諸々の案件を調整し処理した。
9 大谷大学「紫明講座」担当 2016-06-00 サン=テグジュペリ『星の王子さま』に関する全3回の生涯学習講座を担当した。
10 真宗総合研究所の一般研究における研究活動 2017-04-00
~2018-03-00
真宗総合研究所の一般研究(予備研究)として、「「世界文学研究」の方法論構築―サン=テグジュペリ『星の王子さま』研究を通じて」というテーマで資料収集ならびに研究を行った。
11 オープンキャンパスでの模擬授業担当 2017-09-18 オープンキャンパスにて「『星の王子さま』が問いかけること」と題する模擬授業を行った。
12 近鉄文化サロン講座担当 2017-11-00
~2017-12-00
近鉄文化サロンにて、前年の紫明講座と同じ内容で全3回の生涯学習講座を担当した。
13 国際文化学科学科主任 2018-04-00
~2019-03-30
三学部化された新体制初年度の国際文化学科主任を務める。
14 国際学部学部設置準備室室長 2019-04-01
~2020-03-31
国際学部の設置に関わる議論の取りまとめや申請書類の準備等を行った。
15 国際学部長 2021-04-01 ~ 2021年度より新たに設置された国際学部の学部長を務める。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 1990-04-00~0000-00-00 大阪大学フランス語フランス文学会会員
2 1995-04-00~0000-00-00 日本フランス語フランス文学会会員
3 1995-04-00~0000-00-00 日本フランス語フランス文学会関西支部会員
4 1998-03-00~2000-09-00 関西フランス語教育セミナー運営委員
5 1998-03-00~2019-03-00 関西フランス語教育研究会運営委員
6 2000-04-00~2020-03-00 日本フランス語教育学会会員
7 2005-08-00~2006-07-00 関西フランス語教育研究会事務局長
8 2006-07-00~0000-00-00 大谷大学西洋文学研究会会員
9 2019-07-01~2020-06-30 日本フランス語フランス文学会関西支部実行委員長
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 サン=テグジュペリにおける「語り」の探求―『南方郵便機』から『星の王子さま』へ―単著 2015-12-00朝日出版社 2010年提出の博士論文に引用文の日本語訳を加えて加筆修正したもの。サン=テグジュペリが晩年に一人称物語形式を選んだ意味を明らかにするため、主に物語論の方法論で五つの文学作品(『南方郵便機』、『夜間飛行』、『人間の大地』、『戦う操縦士』、『星の王子さま』)における語り手の機能を分析し、作家による表現形式探求の過程を跡付けた。253頁
2 空とアメリカ文学共著 2019-09-20彩流社 航空大国アメリカの19世紀から20世紀の文学作品に見られる飛行のテーマの諸相を明らかにした著作。総頁数297頁。本人担当:第6章「空と大地から、砂漠と宇宙へ―サン=テグジュペリ作品における飛行のテーマ」、26頁(157-182頁)、編著:石原剛、共著者:西山けい子、下河辺美知子、細野香里、有馬容子、巽孝之、藤田義孝、山根亮一、橋本安央、藤井光
以上2点
Ⅱ学術論文
1 「サン=テグジュペリ『南方郵便機』における語りの技法 ―人称をめぐって―」単著 1996-03-00『関西フランス語フランス文学』, No.2(日本フランス語フランス文学会関西支部) 『南方郵便機』において語り手「私」の存在を示す指標(1人称と2人称)の分布を調べると、登場頻度が高い部分は思い出語りの部分に対応する。そこでは« tu »がベルニスを、« nous » が彼と「私」を指し、彼を親密な存在として提示するが、ジュヌヴィエーヴは常に2人称で呼ばれ、« nous » に含まれることはない。このように語り手は、人称の使い分けにより、登場人物を造形しつつ人物関係を構造化する機能を持つ。10頁[34~43頁]
2 « Le jeu temporel dans Courrier Sud de Saint-Exupéry »単著 1996-03-00GALLIA, 35号(大阪大学フランス語フランス文学会) 『南方郵便機』の時間は、飛行と遭難・探索の時間(A)、休暇の時間(B)、思い出の時間(C)という3層構造から成り、「A-C-A-B-C-B-A-C-A」と互いが互いを分断するような形で配列されている。だが作家は、ジュネットのいう先説法や後説法、あるいは語り手「私」による思い出語りなど、様々な語りの技巧を駆使して各切片をつなぎ合わせ、物語の断片化を巧みに防いでいるのである。7頁[78~84頁]
3 「アレゴリーとしての『夜間飛行』―「船」のイメージを中心として―」単著 1999-10-00『フランス語フランス文学研究』, No.75(日本フランス語フランス文学会) サン=テグジュペリの『夜間飛行』において「海」のイメージ群は重要な位置を占めるが、なかでも飛行士ファビアン、支配人リヴィエール、ヨーロッパ便操縦士という3名の主要登場人物との関連で指示内容が変わる「船」のイメージは、物語全体を読み解く鍵となりうる。「船」のイメージを分析することによって、我々は『夜間飛行』を、死と戦いつつ未来へ向かう不断の運動である「生命」の寓話として読むことが可能になる。11頁[38~48頁]
4 「『戦う操縦士』における語りの問題― « figural » と« narratorial »の間で―」単著 2001-03-00『関西フランス語フランス文学』, No.7(日本フランス語フランス文学会関西支部) サン=テグジュペリの『戦う操縦士』冒頭では偵察飛行任務の無意味さが強調され、フランスの戦意を証言しアメリカの参戦を促すという執筆目的と矛盾した構成に思える。だが物語論的に読み解くなら、登場人物(figural)と語り手(narratorial)の間を往復する「私」の語りで任務の意味の発見という物語シークエンスを構成しつつ、最後に語りの否定を通じて読み手を行動へ誘う周到な語りの戦略が明らかとなる。11頁[54~64頁]
5 「『人間の大地』における物語情報―1人称体物語の制約を越えて」単著 2004-03-00『関西フランス語フランス文学』, No.10(日本フランス語フランス文学会関西支部) 『人間の大地』は1人称体物語であり、語り手「私」は原則として他人の心理や内面を直接的には物語れない。だが実際には、少なからぬエピソードにおいて語りは1人称体物語の制約を越えてフィクションのモードに近づき、「我々」「彼ら」という形での一般化と、希求の対象としての「海」のイメージが提示されている。つまり『人間の大地』は、事実を出発点として「人間の普遍的な希求」というフィクションを目指す物語なのである。12頁[72~83頁]
6 「『星の王子さま』における1人称的語り手の機能―物語情報の正当化という観点から―」単著 2005-03-00GALLIA, 44号(大阪大学フランス語フランス文学会) 『星の王子さま』の語り手「私」は全知ではないため、他の登場人物について物語るには情報の正当性を証し立てる必要がある。そうした物語情報の獲得および正当化という観点から、「私」と王子さまの関係、挿絵の問題、語り手「私」のエートスについて分析し、登場人物=語り手=(架空の)挿絵の描き手=(架空の)著者である1人称的語り手「私」が、巧みな語りのダイナミズムの源となっていることを明らかにする。8頁[33~40頁]
7 「『夜間飛行』における複数視点」単著 2005-03-00『フランス語フランス文学研究』, No.85・86(日本フランス語フランス文学会) 『夜間飛行』の語りを特徴づける複数視点を、記号学者フォンタニユの枠組みを用いて分析すると、「夜」との戦いという作品のテーマが語り形式決定のカギだと分かる。情報の制約を受けない3人称的語り手が必要とされたのは共同の営為たる夜間飛行の遂行を描くためであり、またリヴィエールの視点が複数視点の中で支配的な位置を占めているのは、彼が象徴的に「未知=夜」との戦いを担う存在だからである。13頁[292~305頁]
8 « La fonction du narrateur hétérodiégétique dans Vol de nuit »単著 2007-03-00GALLIA, 46号(大阪大学フランス語フランス文学会) 『夜間飛行』の三人称的語り手には2つの役割がある。共同事業としての夜間飛行を描くことと、物語終盤においてベルクソン的な生命の力を称えることである。共同事業を物語る「全知」の語り手が、物語終盤で物語世界内的語り手に変貌し、出来事の時間と語りの時間が混同された「今」に立って物語る理由は、語られる生命力と語る意識の両方を、創造力を備えたベルクソン的「持続」として提示し称揚するためなのである。8頁[33~40頁]
9 「『南方郵便機』における一人称語り―物語情報の観点から」単著 2007-07-00『西洋文学研究』, 第27号(大谷大学西洋文学研究会) 『南方郵便機』の語り手「私」は、言語伝達と共通体験に基づいてベルニスとジュヌヴィエーヴのことを物語る。だが、物語情報を正当化する手段は不完全であり、実のところ「私」を二人の運命の立会人とする方便にすぎない。傍観者である無力な「私」は、最後に電文に取って代わられ、語り手としても物語から姿を消す。一人称的語り手「私」は、運命の前に消え去る人間存在の儚さを、無力で儚い人間の視点から提示する機能を持つのである。19頁[1~19頁]
10 「ヒツジは実在するか?―『星の王子さま』という儚い虚構」単著 2008-02-00柏木隆雄教授退職記念論文集刊行会編, 『テクストの生理学』, 朝日出版社 『星の王子さま』の語り手「僕」は、王子さまの存在を絵の中のヒツジと同列に扱うことで、敢えて読者にその虚構性を垣間見せ、虚構をその壊れやすさゆえに愛おしむ視点の共有を求める。そして読者は、自身の読書体験を最後に単なる無に帰したくないという動機からmake-believeゲームを更新し、「僕」の儚い虚構物語を共有する視点を選んでしまうことになる。12頁[343~354頁]
11 「『人間の大地』における証言報告―ギヨメとスペイン人伍長のエピソード分析」単著 2008-03-00GALLIA, 47号(大阪大学フランス語フランス文学会) 『人間の大地』における証言伝達の2つの例(スペイン人伍長とギヨメの挿話)を分析すると、証言者の身体観察における視点戦略とイメージの活用、二人称の間接話法による「注意深い聞き手」という語り手像の形成、親しい相手への問いかけを基点とする考察の展開など、様々な語りの技巧が明らかになる。作品を優れたヒューマニズムのテクストと成しているのは、親密な対話を通じて思考を深めようとする「人間的」語りである。8頁[93~100頁]
12 「『戦う操縦士』における一人称語り―物語情報の観点から」単著 2010-06-00『西洋文学研究』, 第30号(大谷大学西洋文学研究会) 『戦う操縦士』の一人称語りにおける証言伝達と体験の共有、そして情報過剰を伴う三人称的語りは、いずれも連帯と犠牲的行動によって寓意的存在に至る「我々」という共同体を描き出し、物語の最後には語り手「私」が登場人物に回帰して、語りの否定と種子のイメージの暗示によって読み手に「我々」の行動への連帯を呼びかける。このように『戦う操縦士』は「行動主義的」な語りの戦略を持つ。25頁[52~76頁]
13 「サン=テグジュペリにおける物語形式の探求―5作品の「語り」分析を通じてー」単著 2010-07-00博士論文(大阪大学大学院文学研究科) サン=テグジュペリが晩年に一人称物語形式を選んだ意味を明らかにするため、主に物語論の方法論で五つの文学作品(『南方郵便機』、『夜間飛行』、『人間の大地』、『戦う操縦士』、『星の王子さま』)における語り手の機能を分析し、作家が19世紀的三人称物語形式から脱却して新しい表現形式を見出そうとした探求の過程を跡付けた。195頁
14 「サン=テグジュペリ作品における「時の経過」」単著 2011-03-00GALLIA, 50号(大阪大学フランス語フランス文学会) 『夜間飛行』の最終章から読み取れるのは、サン=テグジュペリにおける時間意識と語り形式が、ベルクソン哲学を契機として同時に変革されたことである。事実、それ以降の彼の作品に見られる「時の経過」は、三人称で語られる客観的時間、すなわち自分の外側を空しく流れ、貴重なものを奪い去る時間から、行動する一人称的語り手「私」によって生きられる創造的な主観的時間へと転換を遂げているのだ。8頁[201~208頁]
15 「疑い深い大人のための『星の王子さま』」単著 2012-03-00GALLIA, 51号(大阪大学フランス語フランス文学会) 大人読者に対する『星の王子さま』の物語戦略は、彼らに大人であることを忘れさせるのではなく、子ども読者に向けた献辞からも明らかなように、逆に子どものための童話を尊重できる大人であることを要求するところにある。そして、童話の尊重を受け入れた大人読者は、物語の最後において、理屈では受け入れがたいヒツジの転説法をも受け入れることを余儀なくされ、見えない本質を信じる立場を選ぶに至るのである。10頁[51~60頁]
16 「子どものための『星の王子さま』」単著 2013-06-00『西洋文学研究』, 第33号(大谷大学西洋文学研究会) 大人に訴えかける作品として評価されることの多い『星の王子さま』が、児童文学としてはどのように優れているのかを明らかにした。子ども読者には物語の教訓も悲劇性も十分には伝わらないと思われるが、王子に帰還を決意させた「愛」の謎と、語り手「私」を慰める使命を託された上、地球そのものが将来の可能的な冒険の舞台となる点において、『星の王子さま』は優れた子ども向きのファンタジー作品であるといえよう。16頁[37~52頁]
17 「サン=テグジュペリ作品における子どもの喪失」単著 2016-07-00『西洋文学研究』, 36号(大谷大学西洋文学研究会) サン=テグジュペリ作品に見られる「失われる子ども」像を分析することによって、彼がなぜファシストにならなかったのかという理由の一つが、三人称で描かれる「犠牲になる子ども」から「自らの内なる子ども」という子どもの位置づけおよび子ども観の変化にあることを明らかにした。23頁[1~23頁]
18 「サン=テグジュペリ作品群における『風と砂と星と』の位置づけ」単著 2020-02-29『CORRESPONDANCES 北村卓教授・岩根久教授・和田章男教授退職記念論文集』朝日出版社 『人間の大地』の仏語版とアメリカ版『風と砂と星と』の違いを解説したF.ジェルボの論文の要点を押さえながら、サン=テグジュペリの作品群において『風と砂と星と』をどのように位置づけるべきかを考察し、その世界文学としての特徴を明らかにしようとした。13頁[547~559頁]
以上18点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 「『南方郵便機』における「語り」の遠近法」口頭発表 1995-03-00大阪大学フランス語フランス文学会(大阪大学) 『南方郵便機』という物語は、複雑な時間構造と、1人称体と3人称体の混合のような奇妙な語り形式のせいで一見雑然とした物語に見えるが、実は巧みで手の込んだ「語りの遠近法」によって織り成されている。とりわけ物語の終盤では、時間・空間・人称という3種類すべての「距離」が増大していき、物語を締めくくる電文の効果も加わって、主人公ベルニスが遠くへ去ってしまった存在として巧みに印象付けられる。[発表時間60分]
2 「『南方郵便機』における語りの問題 ―人称をめぐって―」口頭発表 1995-11-00日本フランス語フランス文学会関西支部大会(大阪市立大学) 『南方郵便機』において語り手「私」の存在を示す指標(1人称と2人称)の分布を調べると、登場頻度が高い部分は思い出語りの部分に対応する。そこでは« tu »がベルニスを、« nous » が彼と「私」を指し、彼を親密な存在として提示するが、ジュヌヴィエーヴは常に2人称で呼ばれ、« nous » に含まれることはない。このように本作の語り手は、人称の使い分けにより、登場人物を造形しつつ人物関係を構造化する機能を持つ。[発表時間25分]
3 「アレゴリーとしての『夜間飛行』―「船」のイメージを中心として―」口頭発表 1999-05-00日本フランス語フランス文学会春季大会(神奈川大学) サン=テグジュペリの『夜間飛行』において「海」のイメージ群は重要な位置を占めるが、なかでも飛行士ファビアン、支配人リヴィエール、ヨーロッパ便操縦士という3名の主要登場人物との関連で指示内容が変わる「船」のイメージは、物語全体を読み解く鍵となりうる。「船」のイメージを分析することによって、我々は『夜間飛行』を、死と戦いつつ未来へ向かう不断の運動である「生命」の寓話として読むことが可能となる。[発表時間25分]
4 「『戦う操縦士』における物語の構造―三つのシークエンスと「私」の二重性―」口頭発表 2000-09-00大阪大学フランス語フランス文学会(大阪大学) サン=テグジュペリの『戦う操縦士』冒頭では偵察飛行任務の無意味さが強調され、フランスの戦意を証言するという執筆目的と矛盾した構成に思える。だが物語論的に読み解くなら、登場人物(figural)と語り手(narratorial)の間を往復する「私」の語りで任務の意味の発見という物語シークエンスを構成しつつ、最後に語りの否定を通じて読み手を行動へ誘う周到な語りの戦略が明らかとなる。[発表時間60分]
5 「『戦う操縦士』における語りの問題― « figural » と« narratorial »の狭間」口頭発表 2000-11-00日本フランス語フランス文学会関西支部大会(関西大学) サン=テグジュペリの『戦う操縦士』冒頭では偵察飛行任務の無意味さが強調され、フランスの戦意を証言しアメリカの参戦を促すという執筆目的と矛盾した構成に思える。だが物語論的に読み解くなら、登場人物(figural)と語り手(narratorial)の間を往復する「私」の語りで任務の意味の発見という物語シークエンスを構成しつつ、最後に語りの否定を通じて読み手を行動へ誘う周到な語りの戦略が明らかとなる。[発表時間25分]
6 「サン=テグジュペリ『人間の大地』における語り手と物語情報」口頭発表 2003-11-00日本フランス語フランス文学会関西支部大会(大阪教育大学) 『人間の大地』は1人称体物語であり、語り手「私」は原則として他人の心理や内面を直接的には物語れない。だが実際には、少なからぬエピソードにおいて語りは1人称体物語の制約を越えてフィクションのモードに近づき、「我々」「彼ら」という形での一般化と、希求の対象としての「海」のイメージが提示されている。つまり『人間の大地』は、事実を出発点として「人間の普遍的な希求」というフィクションを目指す物語なのである。[発表時間25分]
7 「『夜間飛行』における複数視点」口頭発表 2004-05-00日本フランス語フランス文学会春季大会(白百合女子大学) サン=テグジュペリ『夜間飛行』の語りを特徴づける複数視点を、記号学者フォンタニユの枠組みを用いて分析すると、「夜」との戦いという作品のテーマが語り形式を決めるカギだと分かる。情報の制約を受けない3人称的語り手が必要とされたのは共同の営為たる夜間飛行の遂行を描くためであり、またリヴィエールの視点が複数視点の中で支配的な位置を占めているのは、彼が象徴的に「未知=夜」との戦いを担う存在だからである。[発表時間25分]
8 「『人間の大地』における話法と視点戦略―スペイン人伍長とギヨメの挿話を中心に」口頭発表 2006-10-00日本フランス語フランス文学会秋季大会(岡山大学) 『人間の大地』における証言伝達の2つの例(スペイン人伍長とギヨメの挿話)を分析すると、証言者の身体観察における視点戦略とイメージの活用、二人称の間接話法による「注意深い聞き手」という語り手像の形成、親しい相手への問いかけを基点とする考察の展開など、様々な語りの技巧が明らかになる。作品を優れたヒューマニズムのテクストと成しているのは、親密な対話を通じて思考を深めようとする「人間的」な語りなのである。[発表時間25分]
9 「ヒツジは実在したか?―壊れやすい虚構物語『星の王子さま』」口頭発表 2007-07-00大谷大学西洋文学研究会年次大会(大谷大学) 『星の王子さま』の語り手「僕」は、王子さまの存在を絵の中のヒツジと同列に扱うことで、敢えて読者にその虚構性を垣間見せ、虚構をその壊れやすさゆえに愛おしむ視点の共有を求める。そして読者は、自身の読書体験を最後に単なる無に帰したくないという動機からmake-believeゲームを更新し、「僕」の儚い虚構物語を共有する視点を選んでしまう。作品の読後感を支配するのは、日本人には馴染みの深い、共同主観的な一種の無常観なのである。[発表時間30分]
10 「物語情報の観点から読む『戦う操縦士』―「行動主義的」語りの戦略」口頭発表 2010-07-00大谷大学西洋文学研究会年次大会(大谷大学) 『戦う操縦士』の一人称語りにおける証言伝達と体験の共有、そして情報過剰を伴う三人称的語りは、いずれも連帯と犠牲的行動によって寓意的存在に至る「我々」という共同体を描き出し、物語の最後には語り手「私」が登場人物に回帰して、語りの否定と種子のイメージの暗示によって読み手に「我々」の行動への連帯を呼びかける。このように『戦う操縦士』は「行動主義的」な語りの戦略を持つ。[発表時間30分]
11 「疑い深い大人のための『星の王子さま』」口頭発表 2011-09-00大阪大学フランス語フランス文学会(大阪大学) 大人読者に対する『星の王子さま』の物語戦略は、彼らに大人であることを忘れさせるのではなく、子ども読者に向けた献辞からも明らかなように、逆に子どものための童話を尊重できる大人であることを要求するところにある。そして、童話の尊重を受け入れた大人読者は、物語の最後において、理屈では受け入れがたいヒツジの転説法をも受け入れることを余儀なくされ、見えない本質を信じる立場を選ぶに至るのである。[発表時間60分]
12 「子どものための『星の王子さま』」口頭発表 2013-07-00大谷大学西洋文学研究会2013年度年次大会(大谷大学) 大人に訴えかける作品として評価されることの多い『星の王子さま』が、児童文学としてはどのように優れているのかを明らかにした。子ども読者には物語の教訓も悲劇性も十分には伝わらないと思われるが、王子に帰還を決意させた「愛」の謎と、語り手「私」を慰める使命を託された上、地球そのものが将来の可能的な冒険の舞台となる点において、『星の王子さま』は優れた子ども向きのファンタジー作品であるといえよう。[発表時間30分]
13 「世界文学の条件 ―『ロミオとジュリエット』と『星の王子さま』」口頭発表 2016-09-00大谷大学西洋文学研究会2016年度年次大会 世界文学の条件を解明するため、『ロミオとジュリエット』と『星の王子さま』という二つの世界文学に共通する要素を取り上げて検討し、1)グローバル化された大衆向けの要素、2)多面的な可読性、3)人類普遍の物語要素・構造、4)文学の世界市場へのアクセスという4つの仮説を提示した。[発表時間30分]
14 FDフォーラム分科会報告「授業とフィールドワーク~教室の中と外をどうつなぐか~」その他(報告) 2017-06-00第22回FDフォーラム報告集(大学コンソーシアム京都) 第22回FDフォーラムで企画担当しコーディネーターを務めた第13分科会「授業とフィールドワーク~教室の中と外をどうつなぐか~」の総括報告。4頁[305-308頁]
15 「空と大地から、砂漠と宇宙へ サン=テグジュペリ作品に見る飛行のテーマ」口頭発表 2018-05-20第90回日本英文学会(東京女子大学) シンポジウム第九部門「イカロスを追いかけて 空をめぐる文学的想像力」における招待シンポジストとしての口頭発表。サン=テグジュペリの文学作品において飛行のテーマがどのように位置づけられ、作品ごとにそれがどのように変化しているかを概観した。[発表時間25分](日本英文学会第90回大会Proceedings、2018年9月、2頁[85-86頁])
16 FDフォーラム分科会報告「大学の「出口」とは何だろうか―教養・シチズンシップ・キャリア・人間教育」その他(報告) 2018-06-00第23回FDフォーラム報告集(大学コンソーシアム京都) 第23回FDフォーラムにて企画担当しコーディネーターを務めた第8分科会「大学の「出口」とは何だろうか―教養・シチズンシップ・キャリア・人間教育」の総括報告。6頁[207-209, 212-214頁]
以上16点

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