教育研究業績の一覧

久留島 元
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 つながりプロジェクト最終報告会
(課題探究型講義)
2018-01-20 プロジェクト科目「つながりプロジェクト」において図書館をテーマに地域の課題を探究、6~8月に図書館や本屋めぐりを行い、11月12日に尼崎市中央図書館で小学生向けクイズラリーを実施。学生による最終報告を1月に行った。
2 つながりプロジェクト最終報告会
(課題探究型講義)
2019-01-22 前年同様、図書館をテーマに地域の課題を探究。伊丹市立図書館での市民企画会議などに参加し、伊丹市立図書館「ことば蔵」で11月24日に○×クイズ大会を実施した。
3 日本文学講読中世B
(オンライン講義)
2020-10-00 感染症対策により、すべての講義を動画で録画・録音し、資料とともにオンラインでアーカイブ化した。自宅からリモートで受講できるほか、あとから見返せる、ゆっくり考えてコメントを書けるなどのメリットもあった。
4 フィールドプログラム
(現地フィールドワーク)
2022-04-00 プロジェクト型科目「フィールドプログラム」において京都の伝説・伝承をもとに学生が自分で課題を探究し、フィールドワークを行う。例示として鞍馬山を歩き、文献調査を実地で裏付けていく手法について講義した。
5 長期フィールドワーク
(創作講義と課題探求型講義の組み合わせ)
2023-04-00 プロジェクト型科目「長期フィールドワーク」において俳句をテーマとした課題を探究、創作実践とともに京都市内を散策するフィールドワークや俳句をテーマに学生自身が課題を発見、探究する調査活動を行った。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 文学を読む 2016-04-00 文学部ではない学生の一般教養として、現代・古典の文学を読む楽しみを探究した。古典では「竹取物語」のアニメや、現代作家による現代語訳を比較し、古典への導入を行った。
2 古典文法 2020-04-00 「文法嫌いの古典好き」と題して、文法の理解が古典本文の理解にどう役立つのかを考えていく講義をこころがけた。基本的
な仮名遣いや単語の活用、敬語などを解説したうえで具体的に『更級日記』の読解を学生とともに読み進めた。
3 『日本大衆文化史』 2020-09-00 大衆文化を、読者・受容者が作者として参加していく文化芸術活動としてひろくとらえた文化史の入門書。第一章「物語と座の時代」を伊藤慎吾氏と共同で執筆。国際日本文化研究センターが主宰する海外講義でテキストとして使用され、韓国語版も刊行された(2024年)。
4 『昔物語治聞集』 2020-10-00 『宇治拾遺物語』と『古今著聞集』から説話を抽出して再編し貞享元年(1684)に出版された説話集を翻刻。
2021年からの京都精華大学でのゼミ演習では学生に現代語訳、原話との比較を分担、発表してもらい、説話研究の基礎的作業を体験してもらった。
5 『NHK俳句』 2021-08-00 「特集 異界を詠む」を監修、寄稿。
6 日本文学史 2021-10-00
~2022-01-00
古代から現代までの日本文学の流れを、各回A4一枚程度の資料にまとめて提示した。その際、参考文献として現代語訳や漫画、入門書などを紹介し、アニメや映画などの動画資料も参照して導入に努めた。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 「創作・鑑賞をふまえた俳句の授業―扉としての俳句」『同志社国文学』87 2017-12-00 大学における創作講義での経験をふまえ、季語と取り合わせによる俳句創作の実践から鑑賞へ連結させていく授業案について、実践方法と意義を論じた。本稿は『俳句年鑑』二〇一九年度版(2018年12月発行)に評論の成果としてとりあげられた。
B 職務実績
1 園田学園女子大学地域連携推進機構共同研究員 2013-09-00
~2014-03-00
「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」(COC+)<地域>と<大学>をつなぐ経験値教育プログラムにおける「地域資源を活用したまちづくりモデル構築のための基礎的研究」(代表:大江篤)の共同研究員。
2 園田学園女子大学地域連携推進機構学術研究員 2016-07-00
~2018-03-00
「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」(COC+)<地域>と<大学>をつなぐ経験値教育プログラムにおける「地域資源を活用したまちづくりモデル構築のための基礎的研究」(代表:大江篤)の学術研究員。
3 縁起・地誌・俳書をめぐる天狗説話の享受と展開 2018-04-00
~2020-10-00
日本学術振興会科学研究費助成事業特別研究員奨励費(PD)、課題番号18J01514。寺社縁起、地誌、俳書を中心に、「天狗説話」という観点から調査、研究を行った。2020年10月から就職にともない特別研究員の職位を辞退。
4 16・17世紀説話資料における「怪異説話」の継承と展開 2020-04-00
~2025-03-00
日本学術振興会科学研究費助成事業若手研究、課題番号20K12934。本研究の目的は16・17世紀における説話関連資料を対象とした「怪異説話」の整理と分析、体系化である。絵巻、古浄瑠璃正本、戦国期説話集、笑話集などを対象として研究を進める。2024年度まで延長。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2009-04-00~0000-00-00 説話文学会、説話・伝承学会、仏教文学会、中世文学会
2 2011-04-00~0000-00-00 東アジア恠異学会 事務局委員
3 2011-04-00~2013-03-00 説話・伝承学会 事務局幹事
4 2015-04-00~2021-03-00 現代俳句協会青年部 委員
5 2016-04-00~0000-00-00 関西現代俳句協会青年部 部長
6 2019-04-00~0000-00-00 説話・伝承学会 委員
7 2024-04-00~0000-00-00 仏教文学会 委員
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 日本古典文学の方法共著 2015-01-00新典社 拙稿では、鎌倉期の教訓書『五常内義抄』における瘤取爺説話を『宇治拾遺物語』、昔話との比較から論じ、天狗が中世芸能や政道教訓と密接に語られたことで仏教説話集とは異なる造型をもったことを論じた。廣田收編。加美甲多、北上真生、櫛井亜依、久留島元、小林純子、下川新、滝澤優子、趙智英、生井真里子、廣田收共著。
総頁:430頁。
執筆担当:「『五常内義抄』の「天狗説話」」19頁(244頁~262頁)
2 近世寺社伝資料『和州寺社記』・『伽藍開基記』共著 2017-02-00和泉書院 近世における寺社伝資料2本を翻刻、紹介。神戸説話研究会編。池上洵一、田中宗博、池上保之、内田澪子、大坪亮介、加美甲多、木下華子、久留島元、柴田芳成、旅田孟、原田寛子、本井牧子、森田貴之、山崎淳、サン エメテリオ カバネス ゴンサロ共著。
総頁:562頁。(共同研究につき個人担当分の抽出不可能)
3 大阪の俳人たち7共著 2017-05-00和泉書院 大阪を中心に関西の俳人の評伝をまとめた論集シリーズの第七巻。拙稿はホトトギス所属の俳人で、村上鬼城、山口誓子のパトロンだった浅井啼魚についてまとめた。大阪俳句史研究会編。宇多喜代子、小林祐代、わたなべじゅんこ、久留島元、小山貴子、倉橋みどり、小寺昌平、中村純代、岩井英雅、黒川悦子、伊丹啓子共著。
総頁:264頁
執筆担当:「浅井啼魚」22頁(47~68頁)
4 怪異学の地平共著 2018-12-00臨川書店 拙稿では妖怪・怪異・異怪研究についてあらましをまとめ、中世説話にみえる異界を分析した。東アジア恠異学会編。化野燐、榎村寛之、大江篤、大野裕司、木場貴俊、京極夏彦、久留島元、久禮旦雄、近藤久美子、笹方政紀、佐々木聡、佐野誠子、南郷晃子、西山克、村上紀夫、山田雄司共著。同会の第六論集。
総頁:343頁。
執筆担当:「妖怪・怪異・異界―中世説話集を事例に―」23頁(123~145頁)
5 昔物語治聞集共著 2020-10-00三弥井書店 『宇治拾遺物語』と『古今著聞集』から説話を抽出して再編し貞享元年(一六八四)に出版された説話集を翻刻。解説を付して刊行した。中根千絵、加美甲多、久留島元共著。
総頁:192頁。(共同研究につき個人担当分の抽出不可能)
6 『扶桑略記』の研究共著 2021-08-00新典社 仏教の立場から歴史を記述したとされる『扶桑略記』を、仏教と文学の視点から分析する。拙稿では『扶桑略記』における怪異記事を扱い、その背景を考察した。扶桑略記を読む会編。廣田收、田中徳定、佐藤愛弓、三好俊徳、加美甲多、久留島元、城阪早紀、嶋中佳輝共著。
総頁:294頁。
執筆担当:「扶桑略記の怪異」23頁(133~155頁)
7 日本古典文学の研究共著 2021-10-00新典社 拙稿では『今昔』説話の死後世界を分析。日本古典文学研究会編。廣田收、生井真里子、小林佳代子、雨野弥生、櫛井亜依、関河眞克、加美甲多、久留島元、城阪早紀、風岡まゆみ、嶋中佳輝共著。
総頁:319頁。
執筆担当:「『今昔物語集』にみる霊魂の行方―「悪霊」「蛇道」」18頁(120~137頁)
8 天狗説話考単著 2023-11-00白澤社 久留島元著。現代に伝わる鼻高天狗や烏天狗のイメージはどのように形成されたのか。天狗について語られたさまざまな説話の分析から日本における天狗像の原型を探り出し、古代の「空を飛ぶ悪霊」から、中世の仏教的な魔物としての理解を経て修験と結びつき、江戸時代には娯楽的キャラクターとしても定着した天狗像の変遷をたどり直した。東京新聞、日刊ゲンダイ、月刊ムーほかで書評が発表された。
総頁:254頁。
9 怪異から妖怪へ 共著 2024-12-31文学通信 東アジア恠異学会編。大江篤、久禮旦雄、化野燐、榎村寛之、佐々木聡、木場貴、村上紀夫、佐野誠子、南郷晃子、笹方政紀、陳宣聿、京極夏彦共著。拙稿「天狗―天変から信仰へ」は、本来中国で兵乱を予兆する天変として語られた天狗が、日本で修験道に結びつき信仰の対象に変化する様相をまとめた。[総頁数240頁][担当121頁~133頁]
以上9点
Ⅱ学術論文
1 三善清行『善家秘記』注解(その一)共著 2007-04-00『続日本紀研究』367、続日本紀研究会 九世紀の文人官僚三善清行が中国の志怪書を意識して編纂したとされる散佚『善家秘記』逸文を集成し、中国文学、古代史学、国文学などの学際的観点から注釈を施した。怪異史料研究会(佐野誠子、久禮旦雄、松倉明子、久留島元)著。
15頁(29頁~43頁)
査読あり。
2 三善清行『善家秘記』注解(その二)共著 2007-06-00『続日本紀研究』 368、続日本紀研究会 九世紀の文人官僚三善清行が中国の志怪書を意識して編纂したとされる散佚『善家秘記』逸文を集成し、中国文学、古代史学、国文学などの学際的観点から注釈を施した。怪異史料研究会(佐野誠子、久禮旦雄、松倉明子、久留島元)著。
13頁(27~39頁)
査読あり。
3 三善清行『善家秘記』注解(その三)共著 2007-08-00『続日本紀研究』369、続日本紀研究会 九世紀の文人官僚三善清行が中国の志怪書を意識して編纂したとされる散佚『善家秘記』逸文を集成し、中国文学、古代史学、国文学などの学際的観点から注釈を施した。怪異史料研究会(佐野誠子、久禮旦雄、松倉明子、久留島元)著。
19頁(14~32頁)
査読あり。
4 三善清行『善家秘記』注解(その四)共著 2007-10-00『続日本紀研究』370、続日本紀研究会 九世紀の文人官僚三善清行が中国の志怪書を意識して編纂したとされる散佚『善家秘記』逸文を集成し、中国文学、古代史学、国文学などの学際的観点から注釈を施した。怪異史料研究会(佐野誠子、久禮旦雄、松倉明子、久留島元)著。
13頁(31~43頁)
査読あり。
5 三善清行『善家秘記』注解(その五)共著 2007-12-00『続日本紀研究』371、続日本紀研究会 九世紀の文人官僚三善清行が中国の志怪書を意識して編纂したとされる散佚『善家秘記』逸文を集成し、中国文学、古代史学、国文学などの学際的観点から注釈を施した。怪異史料研究会(佐野誠子、久禮旦雄、松倉明子、久留島元)著。
14頁(14~27頁)
査読あり。
6 三善清行『善家秘記』注解(その六)共著 2008-04-00『続日本紀研究』373、続日本紀研究会 九世紀の文人官僚三善清行が中国の志怪書を意識して編纂したとされる散佚『善家秘記』逸文を集成し、中国文学、古代史学、国文学などの学際的観点から注釈を施した。怪異史料研究会(佐野誠子、久禮旦雄、松倉明子、久留島元)著。
13頁(32~44頁)
査読あり。
7 三善清行『善家秘記』注解(その七)共著 2008-06-00『続日本紀研究』374、続日本紀研究会 九世紀の文人官僚三善清行が中国の志怪書を意識して編纂したとされる散佚『善家秘記』逸文を集成し、中国文学、古代史学、国文学などの学際的観点から注釈を施した。怪異史料研究会(佐野誠子、久禮旦雄、松倉明子、久留島元)著。
19頁(27~45頁)
査読あり。
8 『今昔物語集』における「鬼」と「天狗」―巻二十第七話を中心に―単著 2009-03-00『同志社国文学』70、同志社国文学会 『今昔物語集』にけおる「鬼」「天狗」のあらわれる説話を調査し、十種に分類。そのうえで巻二十第七話が原話で「鬼」とされるものを「天狗」と読み替えて仏法と王権との対立構図を説話にとりこんだことを明らかにした。
13頁(23~35頁)
9 『今昔物語集』巻二十第四話考―天狗と天皇に関して―単著 2010-03-00『説話・伝承学』18、説話・伝承学会 『今昔物語集』巻二十第四話を分析し、円融天皇の時代に天狗を祭る法師を排撃したと語る説話が、異端の法師を正統な仏法によって排除し王権と仏法との親和的な関係を守った聖代と位置づけられていることを論じた。
14頁(89~102頁)
査読あり。
10 『是害房絵』の基本的構成単著 2011-03-00『文化学年報』60、
同志社大学文化学会
十四世紀初頭成立の絵巻『是害房絵』と同話関係にある『今昔物語集』、『真言伝』所収説話との比較から、絵巻が良源信仰を軸とする魔仏一如の論理を強調し、蒙古襲来後の異国意識を反映していることを明らかにした。
19頁(101~119頁)
11 『是害房絵』の成立単著 2012-03-00『同志社国文学』76、同志社国文学会 絵巻『是害房絵』成立圏に比定された磯長寺の歴史学的成果を検討し、絵巻は磯長寺をふくむ各地の説話を取り込んで成立したが、魔仏一如信仰を重視し、特定の寺院、信仰圏に回収されないと結論した。
12頁(25~36頁)
12 『是害房絵』の展開単著 2013-06-00『国語国文』82-6、京都大学国文学会 絵巻『是害房絵』の諸本について先行研究で未報告の伝本をふくめ検討し、新たな諸本分類を提案。中世から近世にかけて魔仏一如への認識が変わり、祝言的、娯楽的要素が高まると論じた。
16頁(30~45頁)
査読あり。
13 「天狗説話」の研究(博士論文)単著 2014-03-00同志社大学 博士学位請求論文。平安中期から室町期の「天狗説話」をとりあげ、作品、時代、環境など、各々の文脈をふまえて考察し、媒体を超えてひろく展開する様相を明らかにした。そして仏教的言説を介しながらも天狗そのものへの関心が深まり、謡曲、絵巻など娯楽性の高い作品群へつながることを個々の表現にもとづき明らかにした。
査読あり。
総頁:226頁。
14 「魔道」の成立―『扶桑略記』「大鬼道」考―単著 2014-03-00『文化学年報』63、同志社大学文化学会 『扶桑略記』において蘇我蝦夷が「大鬼道」に堕したと記述されることについて、日本における六道の解釈をふまえ、中世軍記に見られる「魔道」の先蹤として怨霊の在所である「鬼道」が設定された可能性を述べた。
21頁(361~381頁)
15 尼崎伝説データベース(稿)共著 2014-03-00『地域連携推進機構年報』1、園田学園女子大学地域連携推進機構 園田学園女子大学COC事業の一環で地域資源を利用したまちづくりモデル構築における基礎的研究のため、兵庫県尼崎市における伝説、昔話、俗信をまとめたデータを作成、公開した。大江篤、久禮旦雄、久留島元共著。
14頁(4~17頁)
16 早稲田大学所蔵『銀の笄』翻刻・解題共著 2014-03-00『地域連携推進機構年報』1、園田学園女子大学地域連携推進機構 兵庫県尼崎市に伝わるお菊虫伝承を記録する近世実録『銀の笄』について、地元郷土史研究会による翻刻に、考察解題を加えて掲載した。久留島元、尼崎郷土史研究会共著。
10頁(77~86頁)
17 地域の伝説・伝承データベース作成と活用の可能性~尼崎を事例に~共著 2014-07-00『情報処理学会研究報告:人文科学とコンピュータ研究会報告』、情報処理学会 兵庫県尼崎市における怪異・妖怪等フシギなコトやモノにまつわる伝説、伝承を集積したデータベースの構築について、作成者のバイアスにより原資料の表現、認識が変わってしまう危険性などを指摘する。大江篤、久禮旦雄、久留島元共著。
4頁(1~4頁)
18 『是害房絵』の近世―愛知教育大学チェンバレン・杉浦文庫『和漢天狗会話』について―単著 2014-10-00『説話文学研究』49、説話文学会 これまで紹介されていなかった愛知教育大学図書館チェンバレン・杉浦文庫『和漢天狗会話』が『是害房絵』諸本の一本であると位置づけ、謡曲「善界」や「鞍馬天狗」の影響下に作られたと明らかにした。
12頁(114~125頁)
査読あり。
19 天狗説話の展開―「愛宕」と「是害房」―単著 2015-03-00国際日本文化研究センター国際研究集会報告書45『怪異・妖怪文化の伝統と創造―内と外の視点から』、国際日本文化研究センター 国際研究集会の報告書。天狗説話の最も盛んであった中世期を概観しつつ、「愛宕」と「是害房」をキーワードとして、天狗像の変遷をみた。仏教説話、偽経、絵巻、寺社縁起、能など院政期から中世を通じてメディアを超えて多く語られる天狗説話をとりあげ、天狗像の変遷と形成を論じた。
18頁(91~108頁)
20 早稲田大学所蔵『銀の笄』翻刻その二共著 2015-03-00『地域連携推進機構年報』2、園田学園女子大学地域連携推進機構 兵庫県尼崎市につたわるお菊虫伝承を記録する近世実録『銀の笄』について、翻刻に考察解題を加えて掲載した。久留島元、尼崎郷土史研究会。
36頁(69~104頁)
21 メディアとしての能と怪異単著 2015-08-00『アジア遊学187怪異を媒介するもの』勉誠出版 「媒介者」をキーワードとして怪異に対する認識や知識のあり方が歴史的に変化したことを明らかにする論集。拙稿では能をメディアとしてとらえ、夢幻能の形式において神仏や亡霊などの異類に関わる能が多く演じられたことを指摘し、修験道にまつわる知識などをふまえて「天狗」の新たな造型が能を通じて広まったことを論じた。東アジア恠異学会編。
総頁296頁、執筆担当7頁(75~81頁)
22 野村美術館蔵『是害房絵』について単著 2016-03-00『野村美術館紀要』25、野村美術館 調査報告。これまで報告されていなかった野村美術館『是害房絵』について初めて調査を行い、諸本のなかに位置づけた。また『是害房絵』が能『善界』関連の絵巻として重視され、書写所蔵された可能性を指摘した。
9頁(110~118頁)
23 怪談伝承の定着と変奏―尼崎の事例を中心に―単著 2017-03-00『説話・伝承学』25、説話・伝承学会 兵庫県尼崎市に伝わるお菊虫の伝承について、出典とされる実録『銀の笄』の内容をふまえ、伝承の発生した歴史的背景を考察した。さらにほかの地域(京都府宮津市)伝承との比較を行い、伝承の変遷を論じた。本稿は園田学園女子大学による地域志向教育研究の成果である。
13頁(111~123頁)。
査読あり。
24 創作・鑑賞をふまえた俳句の授業―扉としての俳句単著 2017-12-00『同志社国文学』87、同志社国文学会 大学における創作講義での経験をふまえ、季語と取り合わせによる俳句創作の実践から鑑賞へ連結させていく授業案について、実践方法と意義を論じた。資料として中学校高校教科書に掲載された俳句を一覧し、俳句にかかわる授業全体の展開を模索した。
26頁(54~79頁)
25 狐火伝承と俳諧単著 2019-03-00『朱』62、伏見稲荷大社社務所 現代の民俗事例としてもあげられる狐火伝承について、先行研究にもとづき古代中世の用例を精査した。正体不明の光に関する怪異伝承は古代からあるが、狐火は漢籍の知識をふまえて俳諧で好まれ、定着した可能性を指摘した。また近世から近代にかけて狐火が冬季の季語として定着することを述べた。科研費「縁起・地誌・俳書をめぐる天狗説話の享受と展開」(2018年4月~2019年9月)による研究。
9頁(72~80頁)
26 古浄瑠璃「あたごの本地」を読む単著 2020-02-00『京都精華大学紀要』54、京都精華大学 横山重校訂『古浄瑠璃正本集成』五(角川書店、1966)所収の「あたごの本地」本文精読を目指し、本文に漢字を宛て、注釈を施した。科研費「縁起・地誌・俳書をめぐる天狗説話の享受と展開」(2018年4月~2019年9月)による研究。
11頁(200~210頁)
27 妖怪名義小考単著 2020-03-00『同志社国文学』92、同志社国文学会 「妖怪」「怪異」にまつわる語彙として認識される「妖怪」「牛鬼」「付喪神」という三つの言葉(表現)に即して、古典資料の用例をふまえ、歴史的、社会的な背景による変化について分析を行った。従来の妖怪研究に足りない文学的研究手法を提示した。科研費「縁起・地誌・俳書をめぐる天狗説話の享受と展開」(2018年4月~2019年9月)による研究。
12頁(148~159頁)
28 古浄瑠璃「あたごの本地」を読む(完)単著 2021-03-00『京都精華大学紀要』55、京都精華大学 横山重校訂『古浄瑠璃正本集成』五(角川書店、1966)所収の「あたごの本地」本文精読を目指し、本文に漢字を宛て、注釈を施した。科研費「16・17世紀説話資料における「怪異説話」の継承と展開」(2020年4月~2024年3月)による研究。
8頁(199~206頁)
29 野村美術館本『是害房絵』に関する再調査共著 2023-03-00『野村美術館紀要』32、野村美術館 野村美術館蔵『是害房絵』の伝本を再調査し、翻刻を掲載した。久留島元、八木智生共著。科研費「16・17世紀説話資料における「怪異説話」の継承と展開」(2020年4月~2024年3月)による研究。
15頁(55~69頁)
30 『義残後覚』試論―戦国説話論― 単著 2024-12-00同志社国文学101 安土桃山時代成立といわれる説話集『義残後覚』について、同じ説話を収録する近世初期の武功話集と比較し、成立やその背景について論じた。科研費「16・17世紀説話資料における「怪異説話」の継承と展開」(2020年4月~2024年3月)
10頁(125~135頁)
以上30点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 実相院蔵『鷹三百首』単著 2009-03-00『実相院古典籍調査報告資料集』10、私家版 京都市左京区岩倉実相院に所蔵される「鷹三百首」の翻刻と解題、所収歌について群書類従本との異同をまとめた。
42頁(16~57頁)
2 『今昔物語集』巻二十第四話考―天狗と天皇をめぐって―一般発表 2009-04-00説話・伝承学会2009年度大会・天理大学
(奈良)
発表25分。『今昔物語集』巻二十第四話を分析し、円融天皇の時代に天狗を祭る法師を排撃したと語る説話が、異端の法師を正統な仏法によって排除し王権と仏法との親和的な関係を守った聖代と位置づけられたことを論じた。
3 実相院蔵『寺門高僧記一二三抜書』単著 2010-03-00『実相院古典籍調査報告資料集』11、私家版 京都市左京区岩倉実相院に所蔵される園城寺僧の伝記集「寺門高僧記一二三抜書」の翻刻と解題を公開した。
8頁(16~23頁)
4 『是害房絵』の基本的構成一般発表 2010-06-27説話文学会平成二十二年度大会・広島大学(広島) 発表30分。十四世紀初頭成立の絵巻『是害房絵』と同話関係にある『今昔物語集』、『真言伝』所収説話との比較を行った。
5 廣田收『『宇治拾遺物語』のなかの昔話』単著 2010-10-00『同志社時報』130、同志社 廣田收著『『宇治拾遺物語』のなかの昔話』(新典社新書)について、昔話と説話集の比較において話型という概念を明確に位置付け、明快な論旨で説話研究を学べる入門書として紹介した。
1頁(117頁)
6 『是害房絵』の構成と成立一般発表 2011-06-19同志社国文学会
(京都)
発表40分。14世紀の絵巻『是害房絵』成立圏に関する先行研究に対し、良源信仰など複数の説話を組み合わせていることを明らかにして特定の信仰圏に回収されない可能性を指摘した。
7 実相院蔵『新羅大神記』上(一)資料紹介 2012-03-00『実相院古典籍調査報告集』13、私家版 京都市左京区岩倉実相院に所蔵される『新羅大神記』上の冒頭部を翻刻、紹介した。本書はこれまで東京大学史料編纂所所蔵本が唯一の現存本とされていたが、本書は新見を加える新出本である。
6頁(19~24頁)
8 写生・写生文研究会 第二部第三部レポート 写生―俳句の場合―報告書 2012-03-00『平成21年度~23年度科学研究費補助金研究成果報告書「役割語」の視点を導入した写生文・「写生」の日本語学的新研究』 2012年2月4日に京都私学会館で開催された写生・写生文研究会「俳句にとって写生とは?」に関するレポート。俳句の実作者と評論家、研究者のそれぞれの立場から俳句における「写生」をめぐる議論が交わされた。
17頁(33~49頁)
総頁49頁。
9 『是害房絵』諸本の展開―行列する異形をめぐって―一般発表 2012-05-27中世文学会平成二十四年度春季大会・中央大学(東京) 発表25分。ホノルル美術館本など『是害房絵』諸本を調査し、新たな諸本分類を提案した。
10 愛知教育大学本『和漢天狗会話』の紹介―『是害房絵』の近世的展開―一般発表 2013-06-30説話文学会平成二十五年度大会・南山大学(愛知) 発表30分。これまで紹介されていなかった愛知教育大学図書館チェンバレン・杉浦文庫『和漢天狗会話』が『是害房絵』諸本の一本であると位置づけ、謡曲「善界」や「鞍馬天狗」の影響下に作られたと明らかにした。
11 天狗説話の展開―「是害房」を中心に―一般発表 2013-11-26国際日本文化研究センター国際研究集会
(京都)
発表20分。国際日本文化研究センターの国際研究集会「怪異・妖怪文化の伝統と創造―ウチとの視点から」における招待発表。天狗説話の最も盛んであった中世期を概観しつつ、「愛宕」と「是害房」をキーワードとして、天狗像の変遷をみた。
12 天狗の絵巻を所蔵すること―『是害房絵』の伝本調査から―一般発表 2014-11-29擬人化された江戸の絵ものがたり・日仏会館(東京) 発表30分。絵ものがたり研究会主催、日仏会館セミナー。野村美術館での伝本調査をふまえ、『是害房絵』が能『善界』関連作品として重視された可能性などを指摘した。
13 怪談伝承の変奏と定着―尼崎の事例を中心に―一般発表 2015-11-08説話・伝承学会2015年度大会・京都女子大学(京都) 発表30分。兵庫県尼崎市に伝わる皿屋敷とお菊虫の伝承について、その出典とされる実録『銀の笄』の内容をふまえ、伝承の発生した歴史的背景を考察した。
14 天狗 分担執筆 2016-08-00『世界神話伝説大事典』勉誠出版 篠田知和基、丸山顕徳編の神話事典。「天狗」の項目を担当し、歴史的変遷などを解説した。
総頁:1039頁
執筆担当:1頁(289頁)
15 描かれる「魔」―天狗図像の変遷―一般発表 2016-09-04伝承文学研究会大会平成28年度大会・学習院女子大学(東京) 発表20分。天狗図像の変遷について、呪法にみられる憑霊としての天狗像が有翼の天狗像につながった可能性を論じた。
16 中世日本の「聖」像―一遍聖をめぐる聖視と忌避一般発表 2017-09-09現代アジアにおける聖者崇拝の諸相』第1回研究会・東洋大学(東京) 発表30分。アジアの聖人をテーマに論じた研究会で鎌倉期の一遍をとりあげ、信者の聖視と、天狗として忌避された面を考察した。
17 『扶桑略記』における怪異記事一般発表 2017-09-30研究集会『扶桑略記』を読む・同志社大学(京都) 発表30分。『扶桑略記』を文学、宗教学から再検討する研究会。『扶桑略記』怪異記事をとりあげ背景を考察した。
18 地域歴史遺産としての怪異伝承報告書 2017-11-00『地域史研究:
尼崎市立史研究紀要』117、尼崎市立地域研究史料館
2016年7月16日に行われたシンポジウム「地域歴史遺産としての怪異伝承~『尼崎百物語』を起点に~」掲載にあたり概要をまとめた。
2頁(44~45頁)
19 蓮体『観音冥応集』人名・地名・書名索引共著、資料紹介 2018-03-00『上方文化研究センター研究年報』18、大阪府立大学上方文化研究センター 近世初期に刊行された寺社縁起資料『観音冥応集』の人名・地名・所引書名索引を共同で作成した。池上保之、大坪亮介、久留島元、旅田孟、原田寛子、森田貴之共著。
39頁(1~39頁)、共同研究のため個人担当分の抽出は不可能。
20 天狗を描くこと―『是害房絵』調査の視点から―一般発表 2018-03-10頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラムによる国際会議(愛知) 発表30分。頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラムによる国際会議「文化創造の図像学~絵写本・奈良絵本、絵入り版本とその周辺」において、野村美術館や逸翁美術館の調査をふまえ、『是害房絵』が能『善界』関連作品として重視された可能性を論じた。
21 想像界の生物相 天狗の鼻エッセイ 2018-04-00『月刊みんぱく』487、国立民族学博物館 国立民族学博物館所蔵の護符、天狗面、絵馬をもとに、中国と日本の「天狗」文化についてまとめた。のち国立民族学博物館特別展公式図録『驚異と怪異:想像界の生きものたち』(山中由里子編、河出書房新社、2019)に再録。
1頁(15頁)
22 吉岡禅寺洞分担執筆 2018-12-00『新興俳句アンソロジー:何が新しかったのか』ふらんす堂 現代俳句協会青年部編。新興俳句とは何であったのかを広角的にアプローチし検証したアンソロジー。新興俳句をリードした北九州の作家「吉岡禅寺洞」を担当し、評伝をまとめた。
総頁:430頁。
執筆担当:8頁(417~424頁)
23 23.伊吹山系酒呑童子絵巻の展開とチェスター・ビーティ・ライブラリー蔵大江山絵巻一般発表 2019-03-07頭脳循環を加速する戦略的国際ネットワーク推進プログラム「チェスター・ビーティ・ライブラリー蔵絵巻絵本の最新研究」 発表15分。頭脳循環を加速する戦略的国際ネットワーク推進プログラム「西欧の日本学研究者とのネットワークを通じた日本若手研究者の国際化―絵写本・版本研究を中心として」の一環。チェスター・ビーティ。ライブラリーの調査をふまえ、伊吹山系酒呑童子絵巻にみられる絵画の特徴が武士文化のなかで生まれたものであることを論じた。
24 古典文学の中の建築(中近世) 分担執筆 2019-12-00『日本の建築文化事典』丸善出版 平井聖ほか編、日本の建築文化を構成する様々なキーワード340項目を図版とともに解説した事典。「古典文学の中の建築(中近世)」を執筆、お伽草子のなかで異界の建築が唐風に描かれること、四方四季の意味などを解説した。
総頁:734頁。
執筆担当:2頁(664~665頁)
25 伏見城落城の記憶と養源院の血天井一般発表 2021-01-10説話・伝承学会2020年度大会・オンライン 発表20分。京都に残る血天井を調査し、伏見城落城の床板を使ったため血が浮かび上がるという伝承が、戦国時代や近世初期ではなく幕末から近代に作られたことを論じた。科研費「縁起・地誌・俳書をめぐる天狗説話の享受と展開」(2018年4月~2019年9月)による研究。
26 戦国の記憶―『義残後覚』について―一般発表 2021-06-27説話文学会2021年度大会・オンライン 発表20分。戦国説話集といわれる『義残後覚』説話をとりあげ、御伽衆による話芸の痕跡や記録意識がある可能性を論じた。
科研費「縁起・地誌・俳書をめぐる天狗説話の享受と展開」(2018年4月~2019年9月)による研究。
27 古浄瑠璃『あたごの本地』と愛宕信仰講演 2022-11-26『京都愛宕研究会20周年記念講演会あたごさん~知れば識るほどおもしろい山~』京都愛宕研究会 60分。京都愛宕研究会20周年記念大会にて行った。寛文年間(1661~73)の版行とされる古浄瑠璃『あたごの本地』に展開される愛宕権現の前身物語を、中世の「愛宕白雲寺縁起」や近世の地誌類と比較し、愛宕信仰との関わりを探った。科研費「縁起・地誌・俳書をめぐる天狗説話の享受と展開」(2018年4月~2019年9月)による研究。
報告要旨『京都愛宕研究会20周年記念講演会あたごさん~知れば識るほどおもしろい山~』2022年11月26日
4頁(12~16頁)
28 水原秋桜子、山口誓子分担執筆 2022-12-00『教科書に出てくる歌人・俳人事典』丸善出版 高野ムツオ、西澤美仁、花部英雄編。執筆担当「水原秋桜子」、「山口誓子」で、略歴と代表句を紹介した。
総頁:332頁。
執筆担当:4頁(278~281頁)、4頁(294~297頁)
29 粂汐里著『中近世語り物文芸の研究―信仰・絵画・地域伝承』書評 2024-08-27『説話文学研究』59、説話文学会 粂汐里著『中近世語り物文芸の研究―信仰・絵画・地域伝承』(三弥井書店)の書評。説経・古浄瑠璃を中心に、作品の成立だけでなく、作品を伝え、継承した社会的・文化的な営みを視野に入れた意欲的な研究であると位置づけた。
3頁(176~178頁)
以上29点

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