教育研究業績の一覧

磯島 浩貴
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 地域包括ケアシステムの中で歯科衛生士が担う役割に関するカリキュラム開発 2021-04-00
~2024-08-00
医療従事者として社会で活躍する人材育成を目的とする医療系専門学校歯科衛生科の一般教養科目「人間関係論Ⅰ・Ⅱ」のカリキュラム開発及び試行授業を行った。今日の高齢化社会の進展により、多職種連携医療を前提とする在宅医療の中で歯科衛生士の役割が注目を集めている。そこで、医療における質的研究の文献講読を通じて、「患者及び患者の家族を含めたケア」という医療における他職種連携に関する学習を軸に「医療における人間関係」を学生に学ばせた。特に勤務校の学生は実習経験も豊富であるため、実習での経験と講義で学ぶ理論的内容との関連を自覚的に言語化させる機会を毎回設計した。
2 オンライン授業に対応した授業実践 2021-04-00
~2022-08-00
コロナ禍によって対面授業の実施が見送られる二年間、パワーポイントの録画機能を用いたビデオ教材の作成や、Google Meetを用いたオンライン授業の実施を行った。この時、対面授業であれば確保しやすい学生-教員間の双方向的な情報交換を、オンライン授業で担保できるよう努力した。ビデオ教材の時には、講義内容と学生自身の実習の経験とを紐づける課題の提出を課し、提出された学生の意見を次回講義時の資料に組み込んだ。また、オンライン授業では、学生自身が能動的に声を出して活動する時間の割合を増やし、学生が主体的に学び、教員と双方向的に議論できる「読書会形式」へと講義形態を転換した。以上により、オンラインでも学生との双方向的なコミュニケーションが担保された講義を行うことが可能となった。
3 アクティブ・ラーニング及びPBL型授業の実践 2024-04-00
~2024-12-00
京都産業大学付属高校の高校2年生を対象とした「公共」の授業で、日本政策公庫主催の「ビジネスプラングランプリ」のプラン作成を通じてAL及びPBL型授業の実践を行った。生徒たち自身の問題関心と興味からプラン作成の第一歩を進めてもらうため、「デザイン思考」を参考に、生徒がグループで能動的にブレインストーミングに取り組むAL型の授業を実践した。また、生徒自身が自ら社会の中に問題を発見した後、他者と協力しながらその問題の解決を示すビジネスプランの作成を目指すPBL型学習(問題解決型学習)を通じて、他者との協力を含む汎用力の育成も行ってきた。生徒自身が身近な問題を社会の構造的問題へとつなげ、その問題に対する解決案を「プラン」として形にするまでの「思考力」を育むよう授業の設計を行った。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 授業後のコメントシートの作成 2021-04-00 ~ 講義の後に学生への提出課題として提出してもらっていた「コメントペーパー」を、「講義の内容が学生にとって実践的にどのような効果をもたらしたのか数値化して把握する」という観点から次のように設計し直した。①学生自身に講義の理解度を「授業内容に関する心の距離」として点数化させ、次いで②講義内容の要約を100字程度で行ってもらい、最後に③学生自身が①でつけた点数の理由を②の内容と学生自身の経験とを関係させながら説明してもらう、という形式に変更した。①から③に至るまでの取り組みは、「学生自身に建設的な意見を書く練習」と共に、「講義内容を学生なりに腹落ちする経験」を狙ったものである。他方でこれは副産物であるが、このコメントペーパーの改良により、講義を通じて学生が自らの経験に裏打ちされた「自分の考え」をコメントとして提出できるようになった。その結果、応募者は学生の個性を把握でき、個々人に向けたオーダーメイドの学習機会の提供が可能となった。
2 生徒が発表した後のフィードバックシステムの作成 2024-04-00
~2024-12-00
高等学校のPBL系授業において、生徒が発表した発表内容に対する他生徒からのコメントを有効に活用するためのフィードバックシステムを作成した。生徒には、聞いた発表に対するコメントを記入するGoogleフォームを配布し、そのフォームの回答がGoogleスプレッドシートに保存されるよう設定し、生徒のコメントを一括管理できるようにした。発表後の生徒にこのスプレッドシートを共有し、複数人からなるグループでも寄せられたコメントを同時に閲覧できるよう工夫した。また、発表内容の改善につながりにくいコメントが大半を占めないように、質問項目自体も上述の「授業後のコメントシートの作成」で記述した内容を採用した。その結果、発表者、発表にコメントをする生徒の双方に有益なフィードバックシステムとなった。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 学内ジャーナルの編集及び事務を担当 2024-07-00
~2025-03-00
所属部局で、学内ジャーナルの編集及び事務を担当している。特にJ-stageへの論文登録、投稿された論文原稿の査読者の選定業務、特集記事のディレクションなどの業務を行っている。
2 大阪大学人間科学研究科付属未来共創センターの年次報告書の作成を担当 2024-07-00
~2025-03-00
所属部局で、年度内に行った学術イベントや種々の実践活動に関する年次報告書の作成を、事務職員の方と協力しながら行っている。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2017-09-00~0000-00-00 ベルクソン哲学研究会会員
2 2017-09-00~0000-00-00 日仏哲学会会員
3 2017-09-00~2019-08-00 日仏哲学会事務局員
4 2019-09-00~0000-00-00 関西哲学会会員
5 2024-07-00~0000-00-00 ジャーナル『未来共創』編集委員会事務局長
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
以上0点
Ⅱ学術論文
1 真理探求の方法論としての「直観」―ラッセルのベルクソン批判を巡って―単著 2018-01-00『龍谷哲学論集』
(龍谷大学文学研究科哲学研究室紀要)Vol.32
ベルクソンとラッセルの自伝や書簡から英語圏におけるベルクソン受容史を内在的に描き出し、その上で両者の哲学上の関係を「直観概念をめぐる方法論」の観点から比較した。また、ラッセルの『ベルクソンの哲学』や『神秘主義と論理』で展開された批判を踏まえてベルクソンの『思想と動くもの』を検討することで、仮説探究とその検証を基礎にする方法論という観点から両者の隠れた類似性とその差異を明らかにした。
27頁(27〜53頁) 査読あり。
2 20世紀における英仏哲学の交錯に関する一試論 ―L. S. Stebbing 『プラグマティズムとフランス自発的行動主義』を読む―単著 2018-03-00『共生学ジャーナル』
(大阪大学大学院人間科学研究科)Vol.2
イギリスの女性哲学者L. S. Stebbingの『プラグマティズムとフランス自発的行動主義』を検討し、当時のイギリスで「新しい哲学」として受容されたベルクソン哲学の新しさの内実と、ラッセルのベルクソン批判の背景を扱った。知性主義と反知性主義の対立として展開したラッセルとベルクソンの関係を、当時のフランス唯心論とイギリス観念論の関係から跡付けるStebbingの主張を明確にした。
18頁(93〜110頁) 査読なし。
3 ラッセルの空間論単著 2020-07-00『アルケー』
(関西哲学会)Vol.28
最初期ラッセルの幾何学思想と、1910年以降展開される認識論・存在論との関連を空間論及び感覚論の観点から検討した。先行研究では最初期の空間論と1910年以降のセンスデータ論に基づく空間論の間には解釈上の裂け目が存するとされていた。そこで彼の感覚論に基づく「構成」の観点から両時期の主張を統一的に捉える解釈を提示し、ラッセル哲学における空間概念の変遷過程とその意義を明らかにした。
12頁(52〜63頁) 査読あり。
4 19世紀における幾何学革命と初期ベルクソンの空間論の関係について単著 2023-09-00『フランス哲学・思想研究』
(日仏哲学会)Vol.28
19世紀の幾何学革命と空間論の関係から、初期ベルクソンの空間論に対する再検討を行なった。19世紀の幾何学革命と空間論の関係の議論を「カントの空間論に代わる新たな哲学的な基礎づけの問題」として概観した。その上で、『意識に直接与えられたものに関する試論』(ベルクソン)に対するG. Lechalasの書評の検討から、当時の幾何学基礎論の中にベルクソンの空間論を位置付ける解釈を提示した。
12頁(153〜164頁) 査読あり。
5 アンリ・ベルクソンの空間論に関する哲学史研究:ラッセルを中心とした同時代人の受容と批判に着目して(博士論文)単著 2024-03-00大阪大学 20世紀初頭の英語圏におけるベルクソン受容と、19世紀の幾何学革命を機に盛んに議論された幾何学に基づく空間論との関連から、ベルクソンの空間論を19世紀末から20世紀初頭の英仏哲学史の中に位置付けた。ベルクソンの空間論は、空間表象の起源を扱う人間知性の問題に対する当時最先端の哲学的分析である。このことを踏まえた上で、本論は、空間論を軸にベルクソンが提起する形而上学の姿を明らかにした。
総頁数160頁
以上5点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 ベルクソンの直観は真理探求の方法となりえるのか―ラッセルの直観批判に応える―口頭発表 (一般発表) 2017-09-00ベルクソン哲学研究会第41回大会
(於東京大学本郷キャンパス 東京都文京区)
ベルクソンの著作は、哲学と科学が協働することで「真の形而上学」が顕現しうるという、最初期から一貫した意図をもつことを示そうと試みた。「真の形而上学とは哲学と科学の協働である」というベルクソンのテーゼを、ラッセルのベルクソン批判から検討した。その検討から「真理探求の方法論」という論点を取り出し、この論点のもとで哲学と科学の協働の内実を描き出し、ベルクソン自身の「真の形而上学」の説明を行なった。
発表時間 60分
2 「感情」を「事実の糸」として辿るベルクソン―『意識に直接与えられたものに関する試論』第一章読解を中心に―口頭発表 (一般発表) 2018-09-00日仏哲学会2018年秋季大会
(於明治大学駿河台キャンパス 東京都千代田区)
ベルクソンの『意識に直接与えられたものに関する試論』第1章で展開される感情の議論から、二元論的対立として強調されがちなベルクソンの空間概念と時間概念の対応関係を検討した。ベルクソンによる「深い情動としての持続から空間的表象は発生し、その発生した空間的表象を事実の糸として辿ることで持続の存在を把握する」という論証を検討し、最初期ベルクソン哲学の二元論的対立だけに留まらない内実を考察した。
発表時間 40分
3 「T. E. ヒュームの政治思想―ベルクソン論とソレル論を手掛かりに」口頭発表 (パネルディスカッション) 2019-06-00The Association for Cultural Typhoon 2019年全国大会
(於慶應大学三田キャンパス 東京都港区)
本発表は安藤歴及び小泉空との共同発表である(パネル名「集合的暴力とその意味づけ−−革命、戦争、暴動」)。応募者の磯島は、ベルクソンの「形而上学入門」とG. Sorelの『暴力論』の英訳者として知られるイギリスの美学者、批評家T. E. ヒュームの政治思想を扱った。特にそのベルクソン論とソレル論を手がかりに、保守主義的暴力肯定論として提示されるヒュームの「反ヒューマニズム」概念を考察した。
発表時間 90分
4 ラッセルの空間論口頭発表 (一般発表) 2019-10-00関西哲学会第72回大会
(於同志社大学今出川キャンパス 京都市)
最初期ラッセルの幾何学思想と、中期以降展開される認識論・存在論との関連を感覚論の観点から検討した。最初期の幾何学思想に基づく空間論が展開される『幾何学の基礎に関する試論』と、中期のセンスデータ論に基づく形而上学的な空間論が展開される『哲学の諸問題』、『外界に関する私たちの知識』の間に存する解釈上の裂け目の解消を目指し、彼の感覚論を手がかりに検討した。
発表時間 45分
5 ‘Intuition’ or ‘Scientific Method’? ―A Comparative Study of Bergson and Russell on Methodology口頭発表 (一般発表) 2020-02-00Passages philosophieques Ⅳ Philosophie contemporaine au Japon et en France
(À Université Paris X(Université Paris Nanterre)Paris)
大陸哲学と分析哲学の対立という構図で論じられる傾向が強いベルクソンとラッセルの哲学上の関係について、その構図の発生起源を探る試みを行った。特に、1910年以降のラッセル自身の哲学的方法論として打ち出される「科学的哲学」概念は、ラッセルのベルクソン批判の中でも「直観とは神秘主義に他ならない」というテーゼの継続的な批判と共に練り上げられている点を検討した。
発表時間 30分
6 【翻訳】 画面が画像を作る時共訳 2020-07-00『社藝堂』
(社会芸術学会)Vol.7
美学、科学哲学、フランス現代思想の専門家として評価されているフランスの哲学者Elie Duringによる、画面(écran)と画像(image)を巡る美学理論の今日的な意義を探る論文の翻訳(仏語⇨日本語)を行なった。奥野文夫との共訳であり、応募者は全体の下訳と原注及び訳注の確認と作成を行った。その後、応募者の下訳をもとに訳文全体の調整を共訳者の奥野と共に行った。
訳者: 磯島浩貴、奥野文夫
25頁(25〜49頁)
7 『意識に直接与えられたものに関する試論』の空間論とその立ち位置口頭発表 (一般発表) 2021-03-00ベルクソン哲学研究会第47回大会
(於zoomオンライン 日本)
ベルクソンの『意識に直接与えられたものに関する試論』の空間論を、同時代の19世紀の幾何学思想との連関から検討した。この時代、幾何学革命を機に、「カントの空間論に代わる新たな空間論の哲学的基礎づけ」が要請されていた。カントが『純粋理性批判』「超越論的感性論」で展開する空間と幾何学の主張に対するベルクソンの批判から、ベルクソンの同時代の幾何学思想における立ち位置を考察した。
発表時間 60分
8 ラッセルにおける「物質の構成」の問題―1911年から1914年までの草稿群を中心に口頭発表 (一般発表) 2021-10-00関西哲学会第74回大会
(於zoomオンライン 日本)
ラッセルが1911年から1914年にかけて集中的に扱った「物質の構成の問題」の内実を、1911年から1913年末までに書かれた未完の草稿群を中心に検討した。物質の構成の問題とは、私たちの感覚的知覚の経験であるセンスデータと通常の物理的対象との間の関係を詳細に調査しようとするラッセルの研究プログラムのことである。この研究プログラムがその後のラッセル形而上学に与えた影響を考察した。
発表時間 45分
9 「近代科学の形而上学」と「空間における運動についての新しい考え方」:『創造的進化』を補足する『時間観念の歴史講義』の哲学史観口頭発表 (一般発表) 2023-03-00ベルクソン哲学研究会第51回大会
(於相模女子大学 相模原市)
ベルクソンが『創造的進化』第4章で提示する「近代科学の形而上学」の内実を、コレージュ・ド・フランス講義『時間観念の歴史講義』第8講義のアリストテレスの運動論及び第16講義のルネサンス期の自然哲学者たちの運動論から検討した。機械論や目的論の原理とも異なる形而上学的原理に支えられた運動論から、ベルクソン自身の科学論を「ありえた科学たる近代科学の形而上学」として考察した。
発表時間 60分
10 【翻訳】『新実在論:哲学における協働研究』(1912)「序文」翻訳共訳 2023-03-00『共生学ジャーナル』
(大阪大学人間科学研究科紀要)Vol.7
20世紀初頭アメリカの新実在論者E. ホルト、W. マーヴィンなど、古典的プラグマティズムの弟子筋によるアメリカにおける実在論的展開を宣言した著作(『新実在論:哲学における協働研究』(1912))の「序文」翻訳(英語⇨日本語)を行なった。豊泉俊大との共訳であり、応募者の担当箇所は3節〜5節の下訳、原注及び訳注の確認と作成である。訳文全体の調整は豊泉と共に行なった。
訳者:豊泉俊大、磯島浩貴
47頁(314〜360頁)
11 「知性」を巡るジェイムズとベルクソンの割れ目:W. B. ピトキンによる批判とベルクソンの応答口頭発表 (一般発表) 2024-03-00日仏哲学会2024年春季大会
(於東京大学駒場キャンパス 東京都目黒区)
20世紀初頭の英語圏におけるベルクソン受容の中でも、アメリカのW. B. ピトキンによるベルクソン読解を軸としたジェイムズ批判と、ピトキンに対するベルクソンの応答を検討した。ピトキンはジェイムズによるベルクソンの知性論理解に多くの疑義を寄せる。ピトキンの解釈に対するベルクソン自身の応答を検討し、ベルクソンが『創造的進化』で「知性による実在の把握」として展開する議論の強調点を考察した。
発表時間 40分
12 知られている人々から知られざる英米仏哲学史を掘り起こす:Jamesの真理論を中心に口頭発表 (合同公募ワークショップ) 2024-09-00日仏哲学会2024年秋季大会
(於東京都立大学南大沢キャンパス、八王子市)
本発表は米田翼、山根秀介、特定質問者小山虎との合同公募ワークショップのひとつである(パネル名「知られざる英米仏哲学史」)。応募者の磯島は、ほとんどの人が知っている哲学者から、ほとんどの人が「知らない」英米仏哲学史の姿を描き出すことを目的に、ジェイムズを中心に起きた真理論におけるベルクソンやラッセルの交錯、という観点から20世紀初頭の英米仏哲学史の一つの姿を考察した。
発表時間 120分
以上12点

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