教育研究業績の一覧 陸 穎瑤
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A 教育業績 | ||||||
教育実践上の主な業績 | 年月日 | 概要 | ||||
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む) | ||||||
1 | eラーニングで履修生との議論、質疑応答を行う。 | 2015-09-00
~2016-01-00 |
復旦大学の中国語言文学系専修科目「中国古代文学史(下)」のティーチングアシスタント(TA)を務めた。大学のeラーニングサイトにおいて、ネット掲示板を利用して履修生に対応し、質疑応答を行った。 | |||
2 | 履修生の多い授業では組分けによる少人数のゼミナールを行う。 | 2016-02-00
~2016-07-00 |
復旦大学の学部全学共通科目「唐詩名作と中国の伝統文化」のTAを務めた。授業とは別に、52名ほどいる履修生を組分けして、一学期を通して5回、毎回10名前後が参加する少人数のゼミナールを行った。毎回履修生によるプレゼンテーションに意見を出して評価を与えた。 | |||
3 | リレー講義科目の担当者の先生方にサポートする。 | 2018-08-00 | 復旦大学の大学院夏期集中講義「唐宋変革論と文学の変容」のTAを務めた。2018年8月に復旦大学で開催される中国唐代文学学会第19回大会に合わせて、中国・日本・アメリカの有名研究者15人を招聘して行われるリレー講義である。事前に出講される学外の先生方に連絡し、日程を調整して伝えるほか、当日教室までの案内や質疑応答の翻訳に務めた。 | |||
2 作成した教科書、教材、参考書 | ||||||
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等 | ||||||
4 その他教育活動上特記すべき事項 | ||||||
1 | 「優秀ティーチングアシスタント」表彰 | 2016-01-00 | 専修科目「中国古代文学史(下)」の担当教員および履修生による事後評価で高得点を得たため、復旦大学教育研修センターに表彰された。 | |||
2 | 「優秀ティーチングアシスタント」表彰 | 2016-07-00 | 全学共通科目「唐詩名作と中国の伝統文化」の担当教員および履修生による事後評価で高得点を得たため、復旦大学教育研修センターに表彰された。 | |||
B 職務実績 | ||||||
1 | 京都大学文学部・文学研究科図書館オフィスアシスタント(OA) | 2019-04-00
~2023-03-00 |
図書館利用者への対応、返却される書物の配架、特殊文庫の点検および研究ノート、カード目録のデジタル化などの図書館業務に従事した。 | |||
C 学会等及び社会における主な活動 | ||||||
所属期間及び主な活動の期間 | 学会等及び社会における主な活動 | |||||
1 | 2017-04-00~0000-00-00 | 國學院中国学会 会員 | ||||
2 | 2017-10-00~0000-00-00 | 日本中国学会 会員 | ||||
3 | 2017-10-00~0000-00-00 | 和漢比較文学会 会員 | ||||
4 | 2019-04-00~0000-00-00 | 京都大学中国文学会 会員 | ||||
5 | 2022-04-00~0000-00-00 | 京都大学人文科学研究所共同研究班「「語りえぬもの」を語る行為とその思想表現に関する学際的研究―禅の言葉と翻訳を中心課題として」(班長:何燕生)に参加。 | ||||
D 研究活動 | ||||||
著書、学術論文等の名称 | 単著、 共著の別 | 発行又は 発表の年月 | 発行所、発表雑誌等 又は 発表学会の名称 | 概要 | ||
Ⅰ著書 | ||||||
1 | 李商隠詩選 | 単訳 | 2021-00-00 | 鳳凰出版社 | 川合康三選注『李商隠詩選』(岩波文庫、2008年)を中国語に翻訳したものである。
354頁(1~354頁) |
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以上1点 | ||||||
Ⅱ学術論文 | ||||||
1 | 『幽閒鼓吹』「李藩侍郎嘗綴李賀歌詩」考 | 単著 | 2017-05-00 | 『古典文学知識』2017年第3期(通算第192期) | 晩唐期に成立した筆記小説『幽閒鼓吹』に記される、李賀の詩の熱心な読者、編者である「李藩」という人物について、その名は「李潘」に作るべきこと、またその経歴において青年期の李商隠との接点があり、二人は崔戎という節度使の幕府で務めた同僚であることを考証を通して判明する。青年期の李商隠はよく李賀詩の詩語、表現を襲用あるいは模倣するのは、李潘を通して李賀の詩を入手して読んだためであろうと推測する。
5頁(146~150頁) 中国語。査読あり。 |
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2 | 「秋興八首」的英訳策略——以柳無忌・葛瑞漢・宇文所安為例」 | 単著 | 2017-07-00 | 『杜甫研究学刊』2017年第3期(通算第133期) | 二十世紀後半以降、杜甫の詩に多くの英訳が出された。本論文はWu-chi Liu(柳無忌)、A.C.Graham(葛瑞漢)、Stephen Owen(宇文所安)の三人の中国文学者による「秋興八首」の英訳をそれぞれ考察する。詩語と典故、ないしその背後にある詩人の感情をいかに翻訳を通して反映するかという課題に対して、Wu-chi Liu、A.C.Grahamは英語圏の読者にうまく伝わるように語順の調整などの工夫をする一方、Stephen Owenは詩句のイメージ、リズムを原文に近似する形で訳出している。
6頁(48~53頁) 中国語。査読あり。 |
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3 | 『源氏物語』漢籍典拠小考―「まことの聖にはしけれ」と「白虹日を貫けり」― | 単著 | 2019-08-00 | 『國學院雜誌』第120巻第8号 | 『源氏物語』澪標巻冒頭部にある、致仕した左大臣を「まことの聖」と称える一文は、白居易「答四晧廟」などの詩に反映される、出処進退の機を見抜いた四人を称賛する意見につながり、左大臣の再度の出仕を四晧の出仕になぞらえるとする。また、賢木巻にある、頭弁による「白虹日を貫けり」の朗詠は鄒陽「獄中上書自明」を出典とするが、その引用は『史記』もしくは『漢書』ではなく『文選』によるものであろうと推測する。
13頁(17~29頁) 査読あり。 |
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4 | 『和漢朗詠集』『新撰朗詠集』所収「暁賦」佚句考―東アジアに流伝した晩唐律賦― | 単著 | 2021-10-00 | 『日本中国学会報』第73集
(日本中国学会) |
『和漢朗詠集』『新撰朗詠集』に収められる、出処を「暁賦」とする六つの佳句が新羅の文人・崔致遠の作とされる「詠暁賦」に見られ、「詠暁賦」を出典とすることを判明する。また、諸文献に提示される「詠暁賦」(またの題は「暁賦」)作者の諸説について考察し、晩唐の文人・謝観が作者である可能性はもっとも高いと推論する。「暁賦」の流伝は古代東アジアのおける漢文学交流の一端を示している。
14頁(186~199頁) 査読あり。 |
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5 | 書屏風の盛行と流伝―唐人詩文の媒体として― | 単著 | 2022-10-00 | 『中国文学報』第96冊
(京都大学中国文学会) |
屏風に詩文を書きつけ、「書屏風」を制作することは六朝時代に芽生え、唐代に至って盛んに行われる。中晩唐期では、文人たちの作品が屏風に書きつけられ、さらに多くの人々に書き写されることになり、屏風は詩文流伝の媒体となっている。書屏風は唐の周辺諸国に伝わり、日本では唐人の詩文のほか、平安朝文人
による詩作を書屏風の材料とすることもしばしばある。『和漢朗詠集』の原型とされる「和漢抄屏風」はこの流れの中にある。 32頁(1~32頁) 査読あり。 |
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6 | 平安朝における中晩唐詩賦の舶来と享受(博士論文) | 単著 | 2022-12-00 | 京都大学 | 平安朝に成立した『千載佳句』『和漢朗詠集』『新撰朗詠集』における中晩唐期の詩および律賦佳句の収録状況に基づき、唐人の詩集あるいは律賦の選集、科挙指南書にあたる佳句集など書物の舶来について推測する。また、平安時代の正史、古記録、『枕草子』など日記文学を総合的に利用して、貴族社会における中晩唐詩賦の鑑賞、享受の実態を解明する。 | |
以上6点 | ||||||
Ⅲ 口頭発表・その他 | ||||||
1 | 「中晩唐期における李賀詩の読者と編纂者」 | 口頭発表 (一般発表) | 2017-06-00 | 國學院大學中國學會第60回大会
(於國學院大學、東京都渋谷区) |
『幽閒鼓吹』記事に見える「李藩」という李賀詩の愛好者に注目して、その名は「李潘」に作るべきこと、またその経歴において青年期の李商隠との接点があることを判明する。李商隠は崔戎幕府の同僚である李潘を通して李賀の詩を読み、その詩語、典故を襲用し、表現を模倣することは青年期の詩作に多く見られることについて指摘する。
発表時間 15分 |
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2 | 『源氏物語』の漢籍引用について―「白髪を恥ぢず」と「白虹日を貫けり」― | 口頭発表 (一般発表) | 2018-01-00 | 第76回東洋文化談話会研究例会
(於玉川学園、東京都町田市) |
『源氏物語』澪標巻の冒頭部にある、致仕した左大臣を「まことの聖」と称える一文は、白居易「答四晧廟」などの詩に反映される、出処進退の機を見抜いた四人を称賛する意見につながり、左大臣の再度の出仕を四晧の出仕になぞらえるとする。また、賢木巻にある、頭弁の「白虹日を貫けり」朗詠は鄒陽「獄中上書自明」を出典とするが、その引用は『史記』もしくは『漢書』ではなく『文選』によるものであろうと推測する。
発表時間 50分 |
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3 | 意隨事変——韓愈詩試論 | 単訳 | 2019-11-00 | 復旦大学中国古代文学研究センター編『中国文学研究』第32輯 | 川合康三氏による中国唐代文学学会第19回大会(於復旦大学、2018年8月)における主旨発言の原稿「読みは世につれ―韓愈詩試論」を中国語に翻訳したものである。
7頁(156~162頁) |
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4 | 最近十年日本的唐代小説研究状況 | 単訳 | 2019-11-00 | 復旦大学中国古代文学研究センター編『中国文学研究』第32輯 | 赤井益久氏による「最近十年の日本における唐代小説研究の状況について」(『中唐文学会報』第24号、2017年)を中国語に翻訳したものである。
8頁(163~170頁) |
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5 | 『和漢朗詠集』『新撰朗詠集』所収「暁賦」佚句考―東アジアに流伝した晩唐律賦― | 口頭発表 (一般発表) | 2020-10-00 | 第72回日本中国学会大会
(於慶応義塾大学、東京都港区、オンライン開催) |
『和漢朗詠集』『新撰朗詠集』に収められる、出処を「暁賦」とする六つの佳句が新羅の文人・崔致遠の作とされる「詠暁賦」に見られ、「詠暁賦」を出典とすることを判明する。また、諸文献に提示される「詠暁賦」(またの題は「暁賦」)作者の諸説について考察し、晩唐の文人・謝観が作者である可能性はもっとも高いと推論する。
発表時間 15分 |
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6 | 「誰知白兔迷離眼、却窃蟾宮霊薬来」——梁川星巌対李商隠、杜牧詩的接受 | 口頭発表 (パネルディスカッション) | 2022-11-00 | 東亜漢詩史国際学術研討会
(於上海師範大学、中国・上海市、オンライン開催) |
幕末の漢詩人・梁川星巌の詩作には、晩唐の詩人李商隠、杜牧の詩句を模倣し、典故および表現を襲用するところが見られる。自身の不遇を哀れむ作または友情の詠嘆によく李商隠詩を素材にする一方、胡蝶を詠ずるに李商隠詩に見る韓憑の妻の典故を用い、妻の紅蘭にも影響を与える。対して、時局への憂慮を示す詩作では、星巌はよく杜牧のことを言及する。軍事的才能を持ち、政界に出世を果たした杜牧への羨望が読み取られる。
発表時間 15分 |
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7 | 平安朝漢詩中的王昭君——唐代文学的接受与創新 | 口頭発表 (パネルディスカッション) | 2023-11-00 | 第二回東亜漢詩史国際学術研討会
(於上海師範大學、中国・上海市) |
六朝・唐代そして平安時代の文人たちが盛んに作った、中国の前漢時代に匈奴に嫁いだ美人・王昭君の事跡を題材とする詩作に注目し、橘在列、大江朝綱、大江匡衡による王昭君詩がいかに唐詩、特に白居易詩の詩語および自身の不遇を王昭君の事跡に重ね合わせる感情表現を襲用し、唐代の思想文化を受け入れて新境地を創り出したのかを考察するものである。
発表時間 15分 |
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8 | 作為「詩話」的『江談抄』―唐詩東伝与平安朝貴族社会的唐詩鑑賞諸相 | 口頭発表 (パネルディスカッション) | 2023-12-00 | 国際東方詩話学会2023年学術大会(於華南師範大学、中国・広州市) | 大江匡房の発言を筆録する形で成した『江談抄』には、唐詩の写本および北宋に制作された唐詩刊本が日本に伝わり、平安朝貴族社会の人々に読まれることに関する記録が多く見られる。そういった記録を通して、平安朝数百年をわたっての唐詩舶来の実態、そして朗詠、改作、校勘、訓読など文人貴族による唐詩享受の様相を解明することができる。
発表時間 15分 |
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以上8点 |