教育研究業績の一覧

渡辺 拓也
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 インタビュー調査とグループワーク(和歌山市医師会看護専門学校) 2009-04-00
~2023-09-30
講義での社会学的な知識の習得に加え、社会調査の実習としてインタビュー調査を課題とし、収集した生活誌データをグループ内で共有、ディスカッションとグループレポート作成を目的としたグループワークを行なった。インタビューテーマごとにいくつかのグループに分かれ、模造紙とポストイットを用いて、KJ法で質問項目の作成に取り組ませた。
2 雑誌を用いたグループ作業(和歌山市医師会看護専門学校) 2009-04-00
~2023-09-30
マスメディアに現れるジェンダー表現について考えるために、持ち寄ってもらった雑誌の中に掲載された男女の図像を切り抜き、模造紙にそれぞれ張り付けて比較するワークショップを行なった。
3 フィールド日記の作成(和歌山市医師会看護専門学校) 2010-05-00
~2023-09-30
ゴールデンウィーク中の1日を取り上げ、その日について網羅的な日記をつけることで、フィールド日記をつける模擬的な体験をしてもらった。後に二人一組に分かれ、お互いのフィールド日記を元にしたインタビューの練習を行なった。特に面白いフィールド日記については書き起こしてコピーしたものを配布し、優れた箇所を指摘した。
4 クロスロード課題(四天王寺大学) 2014-04-00 「震災クロスロード」にヒントを得て、具体的な事例についてYes/Noの立場選択とその選択理由をEメールにて提出させ、全ての回答を転載した配布資料を元に、授業中にライブで傾向を分析し、学生一人一人の立場に根ざして考えを掘り下げる工夫を行なった。Yes/Noの全対比によって各回ごとに配点し、総合点を競うゲームの要素を取り入れ、主体的な参加をうながすようにした。
5 クロスロードを元にしたレポート課題(四天王寺大学) 2014-07-00 クロスロードの全員分の回答を掲載した資料を元に、全体の回答から見えてくるものを整理させ、最初に提示した自分の立場と照らし合わせたうえで、そのクロスロードのテーマについて最終的な自分の考えをまとめるレポート課題を課した。Yes/Noのばらけ具合や、そもそもYes/Noで切ってしまうことへの疑問も含めて、クロスロード課題に取り組む過程全体を振り返る仕掛けとして有効である。
6 ヒット曲の歌詞の語彙から見る現代社会(和歌山市医師会看護専門学校) 2016-04-00 2015年の上位ヒット曲の歌詞を受講生の人数分用意し、50音の表に歌詞を単語単位に分解して、整理してもらった。翌週では「あ」の項目を例に全員分の出現語彙を集計したものを例示しながら、その他出現数が多いと思われる単語をあげ、学生それぞれが担当した楽曲で当てはまる単語がある場合挙手してもらい、出現数を集計するという実験を行った。その後、戦前の民謡ブームにおける「故郷」の社会的位置付けと歌詞の世界の関連について講義した。
7 グループでの研究報告(四天王寺大学) 2016-04-00 4〜5人のグループに分かれ、現在までに刊行された岩波ブックレットの中から一冊を選び、レジュメをまとめさせ、完成させたグループからクラスの中で発表させている。発表の後は簡単な質疑と、教員による補足説明を行う。これまで1回生向けの大人数の教室で教員による講義では集中できない学生に、能動的にテーマを選び授業に参加させることの試行として実施した。学生の関心の向きや基本的な学習能力を把握する目的も兼ねた。
8 大阪の同心円構造(神戸学院大学) 2023-04-25 地域社会学の授業にて、バージェスの同心円地帯論を念頭に大阪市を中心とした土地利用のあり方を地図化するグループワークを行なった。大阪市を中心とした地図を用意し、各自スマートフォンで国土地理院の地理院地図で宅地利用調査の地図を見ながら、土地利用の特徴を地図に書き込みつつ、気づきを整理する。宅地利用調査は断続的に行われているので、比較検討も可能である。
9 女の気持ち/男の気持ち(和歌山市医師会看護専門学校) 2023-05-08 毎日新聞の読者投稿「女の気持ち」「男の気持ち」から10例ずつ選び、その登場人物と著者の関係を図表に整理していく。厳密な比較にはならないが、ジェンダーを前提としたエッセイで、自分の生活のどういった部分をどのように切り取ろうとするのかという違いを見ていく課題として行なった。
10 宗教2世について考える(和歌山市医師会看護専門学校) 2023-06-19 統一教会の問題がマスコミで取り上げられる中で、宗教2世である有識者へのインタビュー記事3点を元に「なぜ信仰するのか(なぜ信仰が伝えられるのか)」「なぜ宗教が苦しいものとなるのか」の2点について、整理していく。インタビューレポート課題をする準備段階として、インタビューデータからどのようなことが読み取れるのかを学ぶことも念頭に行なった。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 レポートの書き方・テンプレート(神戸学院大学) 2020-09-29 調査実習の授業にて、レポートのテンプレートを兼ねたレポートの書き方についての Wordファイルを作成して配布している。文字数と行数、見出しや本文のフォント指定などを提出するレポートの書式指定と同じように設定し、また、レポートを書く際に、どこにどんなことを書くのか、図表やデータを提示する際には、どのようなことに注意しなければいけないかを文章化している。
2 質的調査入門(神戸学院大学) 2021-04-13 調査実習を始めるにあたり、参与観察、インタビュー、路上観察、非参与観察など、過去のレポートの取り組み例を紹介しつつ、それぞれの方法にどのような面白さがあり、どのようなやり方で取り組まなければならないかを、写真も入れながらA4サイズ7ページで文章化したもの。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 外部資金の獲得(科学研究費助成事業:研究代表者) 2015-04-00
~2018-03-00
科学研究費助成事業(若手研究(B))「大阪都市圏における下層労働力析出・編成メカニズムの解明」(研究課題番号:15K17211 2016.4.1〜2018.3.31)の研究代表者として研究を行なった。
2 外部資金の獲得(科学研究費助成事業:研究分担者) 2019-04-00
~2022-03-00
科学研究費助成事業(挑戦的研究研究(萌芽))「仕事・住まい・福祉が連携するサービスハブによるハウジングセーフティネットの構想」(研究課題番号: 19K21668 2019.4.1〜2022.3.31 研究代表者:水内俊雄)において、社員寮に関わる調査を担当した。
3 外部資金の獲得(科学研究費助成事業:研究分担者) 2021-04-00
~2025-03-00
科学研究費助成事業(基盤研究(B))「山谷と釜ヶ崎——都市底辺層の構造と変容」(研究課題番号: 21H00789 2021.4.1〜2025.3.31 研究代表者:青木秀男)において、大阪の寄せ場・釜ヶ崎を担当して調査・研究を進めている。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2005-04-00~0000-00-00 日本社会学会会員
2 2005-06-00~0000-00-00 社会学研究会(ソシオロジ)同人
3 2005-08-00~0000-00-00 関西社会学会会員
4 2005-09-00~2006-10-00 大阪市立大学社会学研究会『市大社会学』組版担当
5 2005-11-00~0000-00-00 日本労働社会学会会員
6 2006-03-00~2007-03-00 国際人権規約「ホームレス」カウンターレポート作成準備会
7 2006-04-00~0000-00-00 大阪城公園よろず相談
8 2006-11-00~2007-10-00 大阪市立大学社会学研究会『市大社会学』編集委員長
9 2007-02-00~2008-01-00 『長居公園テント村行政代執行の記録』記録集編集委員会
10 2008-11-00~2009-10-00 大阪市立大学社会学研究会『市大社会学』編集委員長
11 2016-05-00~0000-00-00 日本寄せ場学会会員
12 2016-06-00~0000-00-00 日本都市社会学会会員
13 2019-04-00~2022-03-00 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所『理論と動態』編集委員
14 2023-09-00~0000-00-00 特定非営利活動法人関西仕事づくりセンター監事
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 それでもつながりはつづく──長居公園テント村 行政代執行の記録 共編著 2007-10-00ビレッジプレス 長居公園(大阪市)にあったホームレス(野宿者)のテント村と関わりを持った人たち、強制撤去当日を体験した人たち、合計47人分の証言を収録した書籍を共同編集した。自分自身の体験記も収録されている。
総頁数:231頁
本人担当:外から記録した行政代執行
7頁(200〜206頁)。
編者:記録集編集委員会編(川人理恵・佐藤零郎・鍋谷美子・山西麻依・ヨンテ・渡辺拓也)
寄稿者:渡辺拓也、他47名
2 ホームレス・スタディーズ————排除と包摂のリアリティ 共著 2010-11-00ミネルヴァ書房 ホームレス問題を排除論の視点から分析した著書。担当章では、飯場労働者間で実践されている排除の効果とそのメカニズムを明らかにした。飯場労働者には固定層と流動層の2つのタイプがある。固定層は相互行為によって流動層の中に「怠け者」を作り出すことで権力関係を作用させていたが、排除の実践は固定層をも縛るものとして機能していた。
総頁数:336頁
本人担当:第4章 飯場労働者における『勤勉』と『怠け』――労働者の選別と排除のメカニズム
29頁(107〜135頁)
編著者:青木秀男
共著者:青木秀男、堤圭史郎、原口剛、渡辺拓也、大倉祐二、妻木進吾、丸山里美、白波瀬達也、山北輝裕
3 釜ヶ崎のススメ 共著 2011-10-00洛北出版 大阪の寄せ場・釜ヶ崎の入門書の中の1章として執筆した。担当章は釜ヶ崎の労働者の仕事や生活を体験談とレクチャー風に紹介したもの。
総頁数:400頁
本人担当:第1章 建設日雇い労働者になる
23頁(pp.51〜73頁)
編著者:原口剛・稲田七海・平川隆啓・白波瀬達也
共著者:ありむら潜、原口剛、渡辺拓也、荘保共子、能川泰治、SHINGO★西成、平川隆啓、水内俊雄、加藤政洋、海老一郎、他8名
4 占領期生活世相誌1──敗戦と暮らし共著 2014-08-00新曜社 占領期の雑誌資料のコレクションとして名高いメリーランド大学所蔵のプランゲ文庫のマイクロ資料を活用した資料大系の第1巻。担当部分では、日雇労働、闇市、焼跡、浮浪者、浮浪児、戦災孤児、労働文化運動などについての資料の紹介、解題を行なった。
本人担当:第二章 焼け跡暮らし
59頁(78〜136頁)
A5判 全368頁
監修:山本武利
編著者:永井良和
共著者:永井良和、渡辺拓也、中嶋晋平、大橋庸子、加藤敬子
5 飯場へ──暮らしと仕事を記録する単著 2017-07-00洛北出版 本研究では「飯場」を下層労働者を囲い込む歴史的な労務管理のシステムとしてとらえ、①現在の飯場の実態の解明と合わせて、②飯場を通して現代日本における下層労働者の排除の構造とメカニズムを明らかにした。1990年代後半以降の建設市場縮小傾向の下で起こった下請間の競争の激化によるコストカットの帳尻合わせは現場の労働者たちに押しつけられ、労働者のあいだで排除が実践されることで現場労働が成り立っている。
四六版 全506頁
6 公園は誰のもの?──大阪城公園編 共編著 2019-02-00大阪を知り考える市民の会 2015年に始まった大阪城パークマネジメント事業の実態について、写真によるレポート、都市公園法と関連した講座の文字起こし、公園利用者の声、大阪市の社会事業の歴史な度を扱っている。担当章では、2015年に始まった大阪城公園パークマネジメント事業の概要と近況を概説した。
総頁数:68頁
本人担当:第1章 大阪城公園とパークマネジメント
9頁(4〜12頁)
共著者:渡辺拓也、あおむらさき、中山徹、蓮田恵、入江友浩
7 アーバンカルチャーズ──誘惑する都市文化、記憶する都市文化 共著 2019-07-00晃洋書房 大阪の寄せ場・釜ヶ崎の労働者の文化を「あいりん総合センター」の歴史的な形成、2019年3月現在の機能を中心に概説した。ジェントリフィケーションさらされる釜ヶ崎の街において「都市のコモンズ」という視点から対抗文化が形成される意義を論じている。本著作は「現代社会実習」で教科書として使用した。
総頁数:244頁
担当章:第4章 釜ヶ崎の社会空間──寄せ場の文化を語ること
12頁(51〜62頁)
共著者:ケイン樹里安、工藤雅人、堀野正人、渡辺拓也、木本玲一、窪田暁、山田創平、熊田陽子、岡井崇之、堀口剛、他5名
8 グローバル化のなかの都市貧困──大都市におけるホームレスの国際比較 共著 2020-03-00ミネルヴァ書房 グローバル化の中で、貧困層の居住と労働に構造的な変容が進行しているという理論的な観点のもと、アメリカのマイアミ、日本の東京と大阪、フィリピンのマニラの4都市のホームレスの生活と労働の実態を各都市25人の聞き取り調査のデータをもとに比較調査を行った。担当章では、大阪でホームレスとなった人たちの析出過程を5つに類型化した。
総頁数:418頁
本人担当:第5章 2013年大阪、誰が、なぜホームレスとなったのか
18頁(146〜163頁)
編著者:山口恵子、青木秀男
共著者:山口恵子、北川由紀彦、村上英吾、松本一郎、後藤広史、Johannes Kiener、白波瀬達也、渡辺拓也、Matthew D. Marr、吉田舞、他1名
9 社会再構築の挑戦──地域・多様性・未来 共著 2020-10-00ミネルヴァ書房 谷富夫教授の退官を機に、その弟子や共同研究者によって、「社会再構築の挑戦」をテーマに企画され、編集された一冊。担当章では、釜ヶ崎で進行するジェントリフィケーションの分析を通して、寄せ場の排除の構図を地域や研究が克服していくためには、現象を社会的排除として把握し、空間に依拠したアプローチが必要となることを指摘した。
総頁数:440頁
本人担当:第7章 釜ヶ崎とジェントリフィケーション──下層労働のゆくえ
15頁(101〜115頁)
編者:谷富夫、稲月正、高畑幸
共著者:稲月正、西田芳正、内田龍史、堤圭史郎、文貞實、妻木進吾、渡辺拓也、八木寛之、西村雄郎、野入直美、他13名
10 ルポ 日本異界地図——行ってはいけない!? タブー地帯32選 共著 2024-00-00清談社Publico 「異界」という視点から、日本各地の32地域を紹介した書籍。編集プロダクション風来堂の依頼のもと、大阪の寄せ場(ドヤ街)・釜ヶ崎の歴史と現在について、フィールドワークの知見をふまえて紹介する原稿を執筆した。
総頁数368頁
本人担当:釜ヶ崎——追いやられた人々が集う街
16頁(267〜282頁)
編者:風来堂
共著者:風来堂、宮台真司、生駒明、橋本明、深笛義也
以上10点
Ⅱ学術論文
1 人夫出し飯場のエスノグラフィー──飯場の労働と生活の過程をもとに単著 2006-03-00『市大社会学』7号(大阪市立大学社会学会) 人夫出し飯場の研究の基礎資料として、初めて飯場での就労と生活を通した参与観察調査を行なった際の14日間の日記を収録した。調査中にとったメモを元に、調査後に編集したものであり、出来事とともにその時の調査者の気づきや感情の揺れ動きを書き込むことで、飯場の基礎的な情報が得られるとともに、フィールドの経験が追体験できるようになっている。
46頁(51〜96頁)
査読あり。
2 絡めとられる労働意識──飯場労働者の労働への意味づけについての考察単著 2006-05-30『寄せ場』19号(日本寄せ場学会) 飯場の機能と飯場労働者の構成、飯場労働の特徴、飯場労働者の労働への意味づけを明らかにした。飯場労働については、「熟練」の①意識的側面、②経験的側面、③技術的側面の3つの側面から検討し、現場で求められる要素を明らかにした。意味づけについては、勤勉さ、初心者へのフォロー、「プロ」意識について指摘し、彼らの労働への意味づけが結果として下層労働の労務管理の構造に絡めとられていることを示した。
12頁(136〜147頁)
3 飯場生活における相互作用──飯場で暮らすとはどういうことか単著 2007-07-00『寄せ場』20号(日本寄せ場学会) 人夫出し飯場での労働者の生活面を明らかにした。①労働に規定される人間関係、②人間関係の流動性、③生活環境の劣悪性といった飯場の生活の3つの特徴を手がかりに、施設・設備の共用、仕事の不確実性と飯場の時間割、仕事の厳しさのギャップによる飯場労働者間の相互作用といった飯場生活のいくつかの場面を検討することを通して、飯場で暮らすということがどのような経験なのかを論じた。
13頁(188〜200頁)
4 フィールドと日常の間──長居公園テント村行政代執行の記録の作成を通して単著 2008-06-00『寄せ場』21号(日本寄せ場学会) 2007年2月5日に大阪市・長居公園のテント村に対して行政代執行法にもとづく強制撤去が行なわれた。後日、テント村に縁のある人びと、強制撤去反対のために当日テント村を訪れた人びとの体験談を集めた「記録集」が編集、公刊された。テント村とのかかわりや、「記録集」編集にかかわった経験を事例として、フィールド研究における研究者(調査者)と対象者(当事者)の関係性、現場の課題と研究の課題とを架橋する可能性を議論した。
19頁(35〜53頁)
5 飯場の労働文化──労働者の行動様式の維持と再生産単著 2009-03-00『労働社会学研究』10号(日本労働社会学会) 労働市場としての寄せ場が弱体化する一方で、その背後で拡大し、巨大化する飯場に関心があつまるようになった。寄せ場から飯場へと研究視角を移していかなければならないと同時に、寄せ場研究(下層労働研究)の蓄積を継承する必要がある。本研究では、寄せ場研究における文化的側面へのアプローチを発展させた。飯場労働者の行動様式の維持と再生産のメカニズムを明らかにし、労働者の行為と意味づけの実践的な意義を論じた。
31頁(136〜166頁)
査読あり。
6 生活保護受給者の就労実態──元野宿生活者の生活誌をもとに単著 2009-03-00『市大社会学』10号(大阪市立大学社会学会) ホームレス生活経験を経て生活保護を受給するようになった人々の生活誌データを元に、彼らの求職活動ならびに就労実態を明らかにした。求職活動において選べる職種の少なさ、意外な出費、実際に働いた場合の労働条件と労働実態、職場の人間関係、働き続けることにまつわる困難や労働への意味づけなどを描き、生活保護から脱するための潜在的資源の欠如が彼らの求職・就労における困難を招いていることを論じた。
17頁(17〜33頁)
査読あり。
7 労働の中の「怠け」の役割──飯場労働における労使間の相互行為と意味づけをもとに単著 2010-10-00『理論と動態』3号(社会理論・動態研究所) 「勤勉」と「怠け」という視点から労使間の相互行為に見られる排除の過程を明らかにするとともに、労働概念の再考にまつわる議論を批判的に検討した。労働現場で起こる問題は、使用者による「一般論」によって労働者に負わせられがちである。それを労働者は「便宜的な勤勉=実質的な怠け」によって調整しなければならない。「勤勉」と「怠け」は同じ行為の両面であり、関係性の問題がイデオロギー的に隠蔽されている。
16頁(55〜70頁)
査読あり。
8 .求人広告市場を利用する飯場の労働実態──X建設での参与観察をもとに単著 2012-09-00『市大社会学』13号(大阪市立大学社会学会) 建設業における下層労働力市場の変容の背景には労働力需要・求人ルートの変化、飯場の巨大化・飯場網の拡大などが指摘されていた。これまでの研究では寄せ場を求人ルートとして利用する飯場の実態を明らかにしてきたが、本稿では、求人広告市場を利用する飯場の労働実態を、参与観察データをもとに明らかにした。その結果、一部の飯場の下請層次の上昇移動と飯場の階層化などが明らかになった。
29頁(107〜135頁)
査読あり。
9 飯場の社会学──下層労働者の排除の構造とメカニズム(博士論文)単著 2014-03-00大阪市立大学 本研究では「飯場」を下層労働者を囲い込む歴史的な労務管理のシステムとしてとらえ、①現在の飯場の実態を明らかにし、②飯場を通して現代日本における下層労働者の排除の構造とメカニズムを明らかにした。従来の日雇い労働市場である寄せ場と1980年代以降発展した求人広告市場──求人ルートの異なる2つのタイプの飯場について労働と生活を通した参与観察調査を行なっている。(A4版 全221頁)
10 建設産業における下層労働者のコミュニティ──生産性と共同性のせめぎ合い単著 2015-12-00『理論と動態』8号(社会理論・動態研究所) 本稿の目的は、現代日本の建設産業における下層労働の実態を、労働者のコミュニティにおける生産性と共同性のせめぎ合いを通して明らかにするところにある。1990年代後半以降の建設市場縮小傾向の下で、ゼネコンと下請業者との関係が再編され、下請間の競争の激化、低価格受注競争が起こった。コストカットに対応するために、下層労働の現場では共同性の領域が切り詰められ、労働者が使い捨てにされている実態が明らかになった。
17頁(74〜90頁)
査読あり。
11 下層労働市場の再編と飯場制度の現在──大阪都市圏の建設求人情報をもとに単著 2018-03-00『寄せ場』29号(日本寄せ場学会) 官庁統計や行政資料、インターネット求人サイト、ハローワーク、スポーツ新聞の求人情報の分析を通して、大阪都市圏の飯場網の広がりを明らかにした。その結果、下層労働の手配のシステムがアンダーグラウンド化している実態が明らかになった。飯場制度の根幹に関わる求人ルートの使い分けに注目し、さらなる実態解明が課題である。
20頁(5〜24頁)
査読あり。
12 まちづくりの落とし穴──反ジェントリフィケーションの釜ヶ崎単著 2019-10-00『現代思想』47巻13号(青土社) 西成特区構想で推進されるまちづくりについて、反ジェントリフィケーションの視点から検討を加え、まちづくりが抱えてしまっている問題性を明らかにした。まちづくり会議では、日雇労働者の街の背景にある下層労働の問題に注意が払われていないにもかかわらず、労働施設の建て替え問題を中心的な議題とするねじれが見られる。制度化されたまちづくりの場そのものが、貧困層の包摂をうたいながら排除を帰結する。
10頁(60〜69頁)
13 野宿者運動における主体と都市空間の場所性──反ジェントリフィケーションと「路上コミュニティ」単著 2019-11-00『理論と動態』12号(社会理論・動態研究所) 現代日本の都市空間において、ジェントリフィケーションに抗する主体と場所が形成される可能性を、大阪城公園よろず相談の野宿者運動の事例を通して明らかにした。野宿者運動における都市空間の場所性は可視性、継続性、場所の固有性の3つの条件によって構成される。都市の統治の論理が空間を通じて作用するものである以上、それに対抗可能な実践を生み出すためには場所性に依拠する必要がある。
19頁(95〜113頁)
査読あり。
14 大阪の公共空間の現在──都市下層をとりまく三つの出来事から単著 2021-03-00『寄せ場』30-31号(日本寄せ場学会) 学会発表(シンポジウム)「大阪の公共空間の現在──都市下層をとりまく三つの出来事から」の文字起こしに序文と解題を加えた。発表時から原稿作成時までの動向と合わせた現状の課題を整理した。
20頁(91〜110頁)
15 公共空間を生きる人々──長居公園テント村の事例をもとに単著 2022-12-00『部落解放研究』29号(広島部落解放研究所) 2007年2月5日に強制排除された長居公園テント村の事例をもとに、「排除に抗する運動」としての野宿者運動が成立した背景とその社会的意義を明らかにした。
21頁(97〜117頁)
査読あり。
16 大阪市立大学におけるアカデミック・ライティング教育の課題と成果──「文学部基礎演習」と「基礎文章力向上セミナー」の事例をとおして共著 2023-03-00『都市文化研究』25号(大阪公立大学大学院文学研究科都市文化研究センター) 大阪市立大学文学部で開講されたアカデミック・ライティング演習の実践例を検証した。担当箇所は実践事例を整理した「4. 基礎演習での実践と学生による評価」の「4.1. 実践事例」および考察・結論にあたる「5. 基礎演習の成果と課題および展望」。
14頁(52〜65頁)
査読あり。
分担執筆者:石川優,大山大樹,佐伯(片倉)綾那,渡辺拓也
以上16点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 寄せ場の役割と利便性──人夫出し飯場の参与観察から口頭発表 (一般発表) 2005-10-00第78回日本社会学会大会、法政大学 1990年前後に全国の寄せ場の求人は激減し、地域の野宿者数は急増した。当初はバブル崩壊の影響と考えられていたが、次第に単なる景気低迷ではなく、下層労働への労働力需要の構造に変化が生じたのではないかと議論されるようになった。しかし、大阪の寄せ場・釜ヶ崎は2000年代に入っても、一定の求人数を保っていた。その原因を寄せ場で求人する人夫出し飯場の労働実態をもとに考察した。
発表時間 15分
2 大阪市民のコミュニティ意識──同心円理論から読み解く報告書 2006-03-00『エスニック・コミュニティの比較都市社会学』平成14年度〜平成17年度科学研究費補助金(基盤研究(A))研究成果報告書(研究代表者:西村雄郎) 本研究では、完全失業率を基準に大阪市を3つのエリアに分類し、市民意識調査で得られたデータを元に、大阪市民のコミュニティ意識を分析した。各エリアと学歴、就業形態、職種、生活環境評価の関連を明らかにしたのち、コミュニティ意識との影響を分析した。高失業エリアでは、低学歴、低階層、生活環境評価の低さが際立っていたが、それにもかかわらず地域への愛着が強いことがわかった。
15頁(588〜602頁)
3 飯場労働と労働への意味づけ──労働力需給構造の中の釜ヶ崎口頭発表 (一般発表) 2006-05-00第57回関西社会学会大会、金沢大学 学術論文「絡めとられる労働意識──飯場労働者の労働への意味づけについての考察」をベースに、労働力需給構造が変容する中での釜ヶ崎の位置づけとの関連を議論した。
発表時間 20分
4 飯場の労働文化について──労働のコントロールと有能さ口頭発表 (一般発表) 2007-10-00第19回日本労働社会学会大会、北海道情報大学 学術論文「飯場の労働文化──労働者の行動様式の維持と再生産」の前身となる内容を報告した。飯場労働者の仕事の多くは「手元」と呼ばれる不熟練労働である反面、毎度の仕事内容は様々なバリエーションがあり、適応するためのコツを心得てコントロールする必要がある。また、飯場労働者は仕事の中での「有能さ」に価値を置いており、これが初心者を助ける共同性を生み出す。
発表時間 30分
5 飯場の生活──生活環境と労働者間の関係をもとに口頭発表 (一般発表) 2007-11-00第80回日本社会学会大会、関東学院大学 学術論文「飯場生活における相互作用──飯場で暮らすとはどういうことか」をベースとした報告。人夫出し飯場での労働者の生活面を明らかにした。飯場の生活の3つの特徴に注目し、彼らの生活が不安定な生活の再生産に繋がっていることを論じた。
発表時間 15分
6 占領期の労務供給業について 口頭発表 (パネリスト) 2007-12-00日本文化研究センターシンポジウム・プランゲ文庫マイクロ資料の高度活用、日本文化研究センター 占領期の雑誌資料のコレクションとして名高いメリーランド大学所蔵のプランゲ文庫のマイクロ資料を活用し、占領期の労務供給業の実態について資料紹介を行なった。この調査は、これに先立つプランゲ文庫データベースの完成があり、プランゲ文庫資料体系の編纂のために行なわれたものである。発掘された資料を解題した原稿は著書『占領期生活世相誌1──暮敗戦と暮らし』として刊行された。
発表時間20分
7 生活保護受給者の就労面について報告書 2008-03-00大阪市立大学文学部社会学教室『生活保護受給者の生活と支援の現状』2008 年度「社会学実習b」報告書 学術論文「生活保護受給者の就労実態──元野宿生活者の生活誌をもとに」のもととなる原稿。大阪の寄せ場・釜ヶ崎で建設日雇労働者、ホームレスの人々の支援を行なうNPO釜ヶ崎支援機構の協力の下、生活保護受給者の生活と支援の現状を明らかにした報告書。担当した章では、生活保護受給者の就労面について扱った。
10頁(31〜40頁)
8 飯場の労働実態──釜ヶ崎で求人する飯場を対象に口頭発表 (一般発表) 2008-11-00第81回日本社会学会大会、東北大学 寄せ場の求人減少の背景には建設産業における労働力需要の変容があったと言われている。統計的に若年労働者の増加と常用労働者の増加が明らかになっており、その背景の1つとして土工の多能工化が考えられたが、推測の域を出ない。そこで寄せ場で求人する業者の労働実態から、寄せ場で求人する業者では、土工の多能工化に当てはまるものはきわめて少ないことを明らかにした。
発表時間 15分
9 生活保護受給者の就労実態──元野宿生活者の生活誌をもとに口頭発表 (一般発表) 2009-05-00第60回関西社会学会大会、京都大学 学術論文「生活保護受給者の就労実態──元野宿生活者の生活誌をもとに」をベースとした報告。生活保護受給者への質的調査は少なく、貴重な実態調査になっている。求職活動や働き続ける中で、普通に生活している場合にはあまり問題とならないだろう「潜在的なコスト」が存在することが明らかとなった。これは生活保護受給者一般の求職活動や労働環境にも当てはまる特徴だといえる。
発表時間 20分
10 飯場労働者における「勤勉」と「怠け」──労働者の選別と排除のメカニズム口頭発表 (一般発表) 2010-10-00第22回日本労働社会学会大会、一橋大学 著書『ホームレス・スタディーズ——排除と包摂のリアリティ』の論文をベースとした報告。「怠け者扱い」は実際に怠けたかどうかとは関係なく、集団的な相互行為の中で起こり、「怠け者」を作り出す。「怠け者」扱いをされたものはより一層まじめに働くか、飯場を去ることを迫られる。これは労働者の選別と排除として機能していた。排除にさらされることは通過儀礼的な意味合いもあり、排除される側から排除する側への分かれ道でもある。
発表時間 30分
11 「那覇都市圏市民の職業移動報告書 2011-03-00『那覇都市圏の過剰都市化に関する社会学的研究』平成19年度~平成21年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書(研究代表者:谷富夫) 「沖縄県本島中南部都市圏市民意識調査」の結果をもとに、那覇都市圏の職業移動の実態を明らかにした。父職・本人初職・現職の職業移動の傾向を性別・年齢階層別に比較し、それぞれの違いやUターン経験の影響を明らかにした。
9頁(101〜109頁)
12 本土Uターン経験と生活意識の変容──意識調査とライフヒストリーをもとに報告書 2011-03-00『那覇都市圏の過剰都市化に関する社会学的研究』平成19年度~平成21年度科学研究費補助金(基盤研究(B))研究成果報告書(研究代表者:谷富夫) 「沖縄県本島中南部都市圏市民意識調査」と本土Uターン経験を持つ沖縄出身者のライフヒストリーデータをもとに本土Uターン経験が沖縄出身者の意識に与える影響を明らかにした。「市民意識調査」からは、男性の場合、本土生活による生活目標への影響が見られ、その形成要因となるのは本土での良好な人間関係によるものだとわかった。その中身をライフヒストリーから探った。
20頁(153〜172頁)
13 建設産業の下層労働の比較研究──求人ルートの違いに注目して口頭発表 (一般発表) 2011-05-00第62回関西社会学会大会、甲南女子大学 学術論文「求人広告市場を利用する飯場の労働実態──X建設での参与観察をもとに」の前身となる報告。建設産業の下層労働市場の変化については、寄せ場の変容をきっかけに、統計データや聞き取り調査などによって議論が蓄積されていたが、労働実態の解明を欠くために議論の進展が滞っていた。本報告では求人ルートによって異なる建設日雇労働の労働実態を明らかにし、建設産業の下層労働市場の変容を明らかにするための分析枠組みを提示した。
発表時間 20分
14 ホームレスと共同性──行政代執行の記録をもとに口頭発表 (一般発表) 2013-05-00第64回関西社会学会大会若手企画部会、大谷大学 「マイノリティをめぐる共同性の再構築」をテーマとする若手企画部会の報告者の1人として報告した。2007年2月5日の長居公園の野宿者(ホームレス)のテント村への行政代執行の際、「当事者」と「支援者」がテント村や当日の取り組みをどのように評価していたかを明らかにし、野宿者運動における新たな共同性の可能性を検討した。
発表時間 20分
15 グローバリゼーションとホームレスの国際比較研究(2)──大阪における28人の聞き取り調査から口頭発表 (共同発表) 2014-11-00第87回日本社会学会大会、神戸大学 東京・大阪・マイアミ・マニラの4都市のホームレスの国際比較研究のうち、大阪班の調査結果にもとづいた中間報告。ホームレスになった時期と年齢に注目し、5つの時代区分から分析した。ホームレス状態への析出過程においては、社会全体の雇用の不安定化や経済的な余裕ができる一方での家族関係の不安定化、ホームレス状態からの退出過程においては世代による制度へのアクセスルートの違いなどが明らかとなった。
全体時間15分
担当時間10分
本人担当:序論、ホームレス状態への析出過程、および結論
共同報告者:白波瀬達也
16 「建設産業における下層労働者のコミュニティ──生産性と共同性のせめぎ合い」口頭発表 (一般発表) 2015-11-00第27回日本労働社会学会大会、大阪市立大学 学術論文「建設産業における下層労働者のコミュニティ──生産性と共同性のせめぎ合い」の内容を元に報告した。
発表時間25分
17 大阪のホームレスの現在──2013年調査から口頭発表 (一般発表) 2016-05-00第67回関西社会学会大会、大阪大学 本報告では2013年に行った大阪のホームレス27人へのインタビュー調査を元に、2013年現在のホームレスの類型化を行った。2000年代以降、旧来の中高年のホームレスが減少する一方で若年ホームレスの増加が指摘されていた。旧来のホームレスと若年ホームレス両方を対象とした分析を行った結果、〈高度成長期都市下層〉〈高度成長期中間層〉〈バブル期中間層〉〈ポストバブル期中〜下層〉〈雇用不安定期下層〉の5類型が索出された。
発表時間25分
18 大阪都市圏の飯場の現在──インターネット求人情報をもとに口頭発表 (パネリスト) 2016-07-002016年度日本寄せ場学会総会・シンポジウム、山谷労働者福祉会館 これまでの飯場でのフィールドワークから、1990年代から2000年代、2010年代初めまでの建設労働の実態を確認したうえで、新たな求人手段として発展し、定着した広告求人の中でもインターネット求人情報をもとに大阪都市圏の飯場の現在について報告した。
発表時間40分
19 大阪の公共空間の現在──都市下層をとりまく三つの出来事から口頭発表 (パネリスト) 2019-02-002018年度日本寄せ場学会総会・シンポジウム、山谷労働者福祉会館 報告者が大阪城公園よろず相談の野宿者支援の活動にかかわるなかで見てきた「三つの出来事」をもとに、大阪市の統治が行政領域の民間委託として展開し、商業化と地域活動の下請け化がプライバタイゼーションの裏表として一体化していることを示した。このような状況下において、公共空間(都市のコモンズ)をどのようにして守っていくか、どのように作っていくかが重要になることを指摘した。
発表時間40分
20 ジェントリフィケーションに飲まれる寄せ場で誰が労働者の言葉を語るのか口頭発表 (パネリスト) 2019-09-00日本都市社会学会第37回大会ラウンドテーブル1「都市/ポジショナリティ・質的調査」、専修大学 「都市・ポジショナリティ・質的調査」をテーマとしたラウンドテーブルの話題提供3名のうちの1人として報告した。大阪の日雇い労働者の街である釜ヶ崎では「西成特区構想(あいりんまちづくり検討会議)」によるジェントリフィケーションが進行している。地域の運動団体・支援団体が分断されているだけでなく、研究者たちもまちづくりに対するスタンスによって、その立場性を問われている。このような状況下に必要な調査のアプローチを論じた。
発表時間20分
21 ジェントリフィケーションに抗する──まちづくりに捕われた釜ヶ崎へ依頼原稿 2019-12-00『部落解放』782号(解放出版社) 大阪の日雇い労働者の街・釜ヶ崎で進展するまちづくりがジェントリフィケーションの文脈で展開していることを明らかにし、そこでの対抗的実践の可能性について報告した。
8頁 (44〜51頁)
22 建設業の不安就労者がおかれた状況──大阪における飯場の求人動向と事業者へのヒアリングをもとに報告書 2020-03-00『不安定な居住状態にある生活困窮者の把握手法に関する調査研究事業 報告書』(厚生労働省 令和元年度 生活困窮者就労準備支援事業費等補助金 社会福祉推進事業、特定非営利活動法人 ホームレス支援全国ネットワーク) 伝統的な下層労働市場である寄せ場が衰退した構造的な要因の一つである飯場の役割に着目して、統計データと求人情報、ヒアリング調査を通して、その動向を明らかにした。現在も求人手段として釜ヶ崎に依存する飯場が一定の規模で存在すること、管理強化、社会保険の加入について対応が進む一方で、相対的に条件の悪い仕事を請け負うような飯場の階層化が進んでいる可能性が見えてきた。
19頁(112〜130頁)
23 2018年度先端社会研究所シンポジウム(共催:社会調査協会)講演録 質的調査における〈現実の多義性〉と〈解釈の複数性〉─―矛盾と葛藤のなかの認識枠組み生成の現場から講演録 2020-03-00『先端社会研究所紀要』17号(関西学院大学先端社会研究所) 研究者がフィールドで〈現実の多義性〉と〈解釈の複数性〉に向き合いながら、どのように認識枠組みを生成し、エスノグラフィーを形にしていくのかをテーマとしたシンポジウムにて、荻野達史氏とともに報告した。司会三浦耕吉郎、コメンテーターとして阿部真大、伊藤康貴。『飯場へ』を書き上げるまでの経験、書籍化の際の意図などを報告し、コメンテーターのコメント、フロアとの質疑応答などの文字起こしである。
38頁(1〜38頁)
24 寄せ場はどこへ向かうのか─―2017年8月28日寄せ場学会合同書評会講演録 2021-03-00『寄せ場』30-31号(日本寄せ場学会) 大阪の寄せ場・釜ヶ崎に関わりがあり、近い時期に刊行された三つの著書(白波瀬達也『貧困と地域』、原口剛『叫びの都市』、拙著『飯場へ』)の合同書評会の文字起こし。コメンテーターとして西澤晃彦、北川由紀彦、結城翼、綱島洋之。それぞれの著書についての議論のほか、釜ヶ崎をめぐって進行している西成特区構想について、活発な議論が行われた。
66頁(5〜70頁)
25 釜ヶ崎史料アーカイブの可能性 フィールドワーカーとカメラマン──飯場の生活と労働の記録口頭発表 (一般発表) 2022-05-00関西社会学会第73回大会、関西国際大学(オンライン開催) 釜ヶ崎で働きながらカメラマンとして活躍した中島敏の写真と筆者の飯場調査の経験を対照し、労働調査における記録活用の可能性を探った。
発表時間25分
26 「大阪市におけるパークマネジメントと公園PFI——ジェントリフィケーション生活相談会の事例から」依頼原稿 2022-09-00『おおさかの住民と自治』526号(大阪自治体問題研究所) 大阪市における公園民営化の実態と市民に対する意識調査の結果をまとめ、商業化による公共空間の変容、ジェントリフィケーションについて問題提起した。
4頁(18〜21頁)
以上26点

前のページに戻る