教育研究業績の一覧

松田 祥平
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 2022-04-00
~2022-07-00
コロナによって登校できなくなった学生のために、対面・同期型オンライン併用の授業を展開した。
2 2022-07-12 立教大学での「人文学からの学び(文学)」に対する「学生による授業評価アンケート」において、いずれの評価項目についても、5段階のうち4以上の評価が7割以上を占めた。
3 2023-04-00
~2023-07-00
聴覚しょうがいをもつ受講者のために、事前に投影資料・配布資料のデータを学内ポータルサイト上にアップロードした。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 2022-04-00
~2024-03-00
毎授業ごとにプロジェクターに投影する資料と、そこで扱った文献資料をまとめた配布用の資料を作成している。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2011-04-00~2015-03-00 立教大学日本文学会編集委員
2 2014-04-00~2015-03-00 立教大学日本文学会編集チーフ
3 2014-04-00~0000-00-00 日本文学協会
4 2016-04-00~0000-00-00 日本近代文学会
5 2016-07-00~0000-00-00 『新青年』研究会
6 2018-05-00~0000-00-00 怪異怪談研究会
7 2019-10-00~0000-00-00 昭和文学会
8 2021-04-00~2023-03-00 日本近代文学会運営委員
9 2022-08-00~2023-08-00 岩田準一、江戸川乱歩の書簡、原稿類の内容確認とリスト化(科学研究費(基礎研究B)「近代日本探偵小説研究の基盤整備:資料の調査・保存・公開とその活用」(代表:浜田雄介、2019~2021)への協力)
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 『新青年』名作コレクション共著 2021-04-00筑摩書房 本書は、年代別に5つの章で構成され、探偵小説の定番に限らず、現代的な視座から見出される魅力も踏まえて、評論や編集後記、戦中戦後の諸作品も多数収録し、各章、各作品には解説を付した。
総頁数608頁
本人担当:「誌面ギャラリー 1920~1926」「第1章『新青年』の誕生と探偵小説の再編」「第1章久山秀子「代表作家選集?」」「第1章久山秀子「代表作家選集?」解説」
24頁(12~15頁、83~102頁)
編著:『新青年』研究会、分担執筆:芦辺拓、阿部真也、天瀬裕康、井川理、大鷹涼子、大森恭子、柿原和宏、小松史生子、沢田安史、末國善己、末永昭二、鈴木優作、谷口基、樽本真応、中島敬治、浜田雄介、平山雄一、穆彦姣、松田祥平、森永香代、湯浅篤志、横井司
2 〈怪異〉とミステリ 近代日本文学は何を「謎」としてきたか共著 2022-12-00青弓社 本書は、本質的に相容れない間柄であると長らく考えられてきた謎の合理的解明を主眼とするミステリと非合理な存在である怪異やかかる存在を容認する怪談、ホラーと呼ばれるジャンルについて、両者の関係性を再検討すべく、19世紀末から21世紀初頭に至る日本のフィクション世界で、怪異なる非合理がどのように受容され、解釈されてきたのかという問題について、ミステリを視座にして多角的に論じた。
総頁数330頁
本人担当:「第2章怪異と謎解き、そして郷愁――岡本綺堂の探偵小説作法」
20頁(55~74頁)
監修:怪異怪談研究会、編著:乾英治郎・小松史生子、鈴木優作、谷口基、分担執筆:光原百合、横山泰子、松田祥平、鈴木暁世、大道晴香、脇坂健介、原辰吉、中川千帆、伊藤慈晃、諸岡卓真
以上2点
Ⅱ学術論文
1 諧謔と風刺の館――小栗虫太郎『黒死館殺人事件』論単著 2014-01-00『立教大学日本文学』第111号
(立教大学日本文学会)
本論文は、まずは日本の探偵小説界におけるヴァン・ダイン受容のありようを確認した。続いて、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』とヴァン・ダイン作品との関係について両者を比較検討した。最後に、探偵の推理の成否や心理分析の取り扱われ方から、探偵法水麟太郎をヴァン・ダイン作品における探偵ファイロ・ヴァンスの戯画として意味付け、『黒死館殺人事件』とヴァン・ダイン作品との間にある批評的距離の内実を明らかにした。
12頁(349~360頁)
査読あり。
2 〈名探偵〉からの逸脱――小栗虫太郎「聖アレキセイ寺院の惨劇」を中心に単著 2015-07-00『立教大学日本文学』第114号
(立教大学日本文学会)
本論文は、まずは小栗虫太郎の法水麟太郎シリーズを中心とする初期作品を追跡し、それらの多くが探偵の失敗を描いている点を確認した。続いて、特には「聖アレキセイ寺院の惨劇」に焦点を当て、同作と『黒死館殺人事件』との比較検討により両作の対照性を確認した。さらに、「聖アレキセイ寺院の惨劇」で描かれた法水の危うい探偵法が、『黒死館殺人事件』での探偵相対化への伏線になっているという解釈を提示した。
12頁(67~78頁)
査読あり。
3 形式性が生み出す〈批評性〉――小栗虫太郎「完全犯罪」における優生学的イデオロギーの相対化に関して単著 2017-10-00『『新青年』趣味』第18号
(『新青年』趣味編集委員会)
本論文は、まずは作品の異端性が強調されることの多かった小栗虫太郎の正統性、言い換えれば典型的な探偵小説的要素に着目し、彼の意外性を重視する手法について言及した。さらに、その具体的な様相とそれが生み出す副産物を解明する対象として「完全犯罪」に焦点を当て、優生学に対して批評的に作用するテクストの在り方から、直接的な思想性ではなく形式性という観点から小栗作品の批評性を検討する新たな可能性を指摘した。
18頁(62~79頁)
4 探偵小説をめぐる相克と夢野久作――本格/変格論争を軸として単著 2018-07-00『立教大学日本文学』第120号
(立教大学日本文学会)
本論文は、まずは本格/変格探偵小説をめぐる議論の流れについて確認した。続いて、夢野久作の探偵小説論に見られる本格探偵小説形式に対するコンプレックスと、ジャンルへの帰属意識を明らかにし、そうした意識が、本格探偵小説的な要素をあえて利用しようとする手法に反映されていると指摘した。最後に、そうした手法は、当時の本格/変格という二項対立構造を相対化する視座を提供するものでもあったと意味付けた。
12頁(42~53頁)
査読あり。
5 再編成される〈探偵小説〉――一九二三年以前の『新青年』における「高級探偵小説」イメージをめぐって単著 2019-11-00『日本近代文学』第101集
(日本近代文学会)
本論文は、まずは創刊当初の『新青年』が「高級探偵小説」を主張し、謎解き小説を中心的に掲載した事実を確認した。続いて、同誌が自身の主張とは裏腹に、「低級」だと規定したはずの犯罪小説の掲載数を増やしていく事態について指摘した。最後に、そうした犯罪小説は、犯罪をテーマとする文学作品を経由することで、芸術性があるという意味で「高級」扱いされるようになり、「高級探偵小説」は再編されたと結論付けた。
14頁(128~141頁)
査読あり。
6 「大衆」に読まれるために――一九二六年周辺における大衆文学言説の形成と探偵小説ジャンルをめぐって単著 2020-09-00『昭和文学研究』第81集
(昭和文学会)
本論文は、まずは通俗小説の隆盛を背景に大衆文学が勃興し、その類縁性ゆえ、大衆文学が通俗小説との差別化を迫られた事情について確認した。その際、民衆を善導する役割が期待された大衆文学には様々な価値や意味が付与されていったことを述べた。そして、このような同時代の文学的動向は、既成文学側の芸術観を更新するとともに、探偵小説界に芸術規範以外の有力な規範が抬頭する機運を醸成したことを明らかにした。
15頁(107~121頁)
査読あり。
7 撞着する思想と形式――夢野久作『ドグラ・マグラ』を中心として単著 2021-03-00『大衆文化』 第24号
(立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター)
本論文は、まずは夢野久作『ドグラ・マグラ』の本格探偵小説的な構造を明らかにした。そして、夢野の反合理主義的な思想と本格探偵小説構造は相容れないものであるにも拘らず、それらが同居してしまっているところに彼の作品の特徴を見出した。最後に、『ドグラ・マグラ』の他多くの作品に見られる決定不可能性を、そうした矛盾を象徴する趣向として意味づけ、精神主義へと一元的には還元され得ない夢野文学の複雑性を示した。
15頁(37~51頁)
査読あり。
8 一九二〇~三〇年代における探偵小説概念に関する研究(博士論文)単著 2021-03-00立教大学 本論文は、探偵小説系のメディアを中心として、文学ジャーナリズムに流通した言説を媒介に、時々に応じて構成される探偵小説概念および規範の成立と変遷をめぐり、ジャンル再編の中心地である雑誌『新青年』が創刊された一九二〇年から、やがて戦時下での統制強化によって探偵小説文壇が事実上崩壊するに至る一九三〇年代までの文学場の流れを再検討することによって、探偵小説史を動的に再構築することを試みた。
総頁数103頁
9 通俗小説が架橋する探偵小説と〈文学〉――探偵小説文壇における芸術規範の最盛期単著 2021-12-00『日本文学』 第70巻第12号
(日本文学協会)
本論文は、まずは関東大震災以後の文学的動向と、その中で探偵小説が文学ジャーナリズムへと進出する状況を確認した。続いて、探偵小説文壇における芸術規範の形成について確認した。最後に、探偵小説の文学ジャーナリズムへの進出は、そのような探偵小説の芸術化に加えて、既成文壇において地位が向上しつつあった通俗小説を媒介として、既成文壇の成員へと具体的に接近することによって果たされたと結論付けた。
13頁(34~46頁) 
10 古き〈芸術〉へのエレジー――探偵小説史における江戸川乱歩「パノラマ島奇談」の位置単著 2022-03-00『昭和文学研究』第84集
(昭和文学会)
本論文は、まずは江戸川乱歩「パノラマ島奇談」で描かれる「芸術」の特徴として、娯楽志向の強さを指摘した。そこで芸術/通俗の二分法に着目し、探偵小説界の芸術観との関連を探った。続いて、斯界の芸術/通俗をめぐる規範が変化する中で、乱歩が旧時代の芸術的探偵小説の象徴に据えられる様子を確認した。最後に、芸術表象から自嘲的な批評性を読み取り、同作を旧時代の芸術的探偵小説を相対化した作として位置づけた。
15頁(149-163頁) 
査読あり。
11 変質する「変態小説家」――江戸川乱歩「陰獣」をめぐる言説空間の展開単著 2023-05-00『日本近代文学』第108集
(日本近代文学会)
本論文は、まずは江戸川乱歩「陰獣」が発表当初、本格探偵小説というパッケージングとは裏腹に芸術性ばかりが評価されたことを確認した。続いて、そのような芸術としての「陰獣」が、やがて猥褻なものへと読み替えられてしまう過程を、同作の広告表現を追うことによって検証した。最後に、「陰獣」の読み換えは当時の文学的規範の再編に伴うものであり、それは、乱歩自身の作家イメージの更新をも促したことを明らかにした。
14頁(17~30頁)
査読あり。
以上11点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 『黒死館殺人事件』論――法水はかく逸せり口頭発表 (一般発表) 2013-07-06立教大学日本文学会大会
(於立教大学、豊島区)
本発表は、小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』におけるアメリカの探偵小説作家ヴァン・ダインからの影響について、見立て殺人、被害者と思われた人物が犯人であるなどといった趣向の類似を確認した上で、心理分析というヴァン・ダイン作品に特徴的な趣向が『黒死館殺人事件』においてはむしろ探偵が推理を外す要因になっているというパロディ的な側面について指摘することによって、同作の批評性を明らかにした。
発表時間 30分
2 遊戯性から生まれる批評性――小栗虫太郎「完全犯罪」における優生学的イデオロギーの相対化口頭発表 (一般発表) 2016-06-26日本文学協会第36回研究発表大会
(於岩手県立大学、滝沢市)
本発表は、当時、優生学が世界的に受容され、共有された〈科学〉だったことに注目し、小栗虫太郎の「完全犯罪」の優生学を理由とした犯罪動機を、優生学的イデオロギーを相対化したものとして解釈することで、反現実性が強調されがちな小栗作品の社会性を評価するための常套句であった戦争批判以外の観点から、同作を現実と接続した。
発表時間 30分
3 昭和戦前期の探偵小説と〈優生学〉口頭発表 (ラウンドテーブル) 2016-11-06日本文学協会第71回秋季大会
(於二松學舍大学、千代田区)
本ラウンドテーブルでは、まずは優生学について概括し、昭和戦前期の日本における優生思想の展開を具体的な運動や政策によって確認したのち、犯罪人類学・優境学・血液学という三つの観点から、一九三〇年代の優生思想と探偵小説との関わりを浮かび上がらせていった。最後に優生学と探偵小説の関係性について、その時代の科学言説に非常に寄り添っていることが明らかになったと総括し、今後の展望について述べた。
発表時間 150分
本人担当:「優生学についての概括」「〈先天/後天〉という問題系――一九三〇年前後の大下宇陀児作品を中心に」
共同発表者:乾英治郎、鈴木優作、松田祥平
4 昭和戦前期の探偵小説と優生学単著 2017-04-00『日本文学』第66巻4号
(日本文学協会)
2016年11月6日に開催された日本文学協会第71回秋季大会ラウンドテーブル「昭和戦前期の探偵小説と〈優生学〉」の報告記。
2頁(59~60頁)
5 乱歩お得意の怪奇趣味の中に本格探偵小説の歴史が垣間見える『暗黒星』単著 2019-06-00春陽堂書店WEBサイト「乱歩を読む」
(https://www.shunyodo.co.jp/blog/2019/06/rampowoyomu_10/)
江戸川乱歩『暗黒星』の書評。同作から看取できる、ヴァン・ダインの『グリーン家殺人事件』などの英米探偵小説作品の影響について述べた。
6 「大衆」に読まれるために――一九二六年周辺における大衆文学言説の形成と探偵小説ジャンル口頭発表 (一般発表) 2019-11-24日本近代文学会・昭和文学会・日本社会文学会合同国際研究集会
(於二松學舍大学、千代田区)
本発表は関東大震災以降に立ち現れ、一九二六年前後に急速に周知されていくという大衆文学ジャンルの成立期に焦点を当てて、文学ジャーナリズムにおける大衆文学と探偵小説をめぐる言説に着目し、主流文学やプロレタリア文学とのかかわりの中で規定されていった大衆文学の理想像を探るとともに、その理念が探偵小説ジャンルに与えた影響について考察した。
発表時間 30分
7 江戸川乱歩大事典分担執筆 2021-03-00勉誠社 本書はプライオリティ・研究史の尊重や、初出・初刊等に基づいたアプローチなど、厳密な研究的態度を厳守のもとで、探偵小説の創始者、児童向け小説の作者、幻影の城主的作家イメージとさまざまに分裂した従来の江戸川乱歩把握と訣別すべく、大衆文化という大きな枠組みの中で乱歩と乱歩文学の統合的かつアカデミックな再評価を図った。
本人担当:「エドガー・アラン・ポー」「アーサー・コナン・ドイル」「モーリス・ルブラン」「ガストン・ルルー」「G・K・チェスタトン」「ヴァン・ダイン」「エラリー・クイーン」「ジョン・ディクスン・カー」「小栗虫太郎」
37頁(383~416頁、496~498頁)
8 怪異とミステリの怪しい関係性単著 2022-12-00『怪と幽』vol.012
(KADOKAWA)
2022年8月28日に開かれた第23回怪異怪談研究会の報告記。
2頁(144~145頁)
9 公開シンポジウム「雑誌『宝石』と戦後日本の探偵小説」報告単著 2023-03-00『センター通信』第17号
(立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター)
2022年9月4日に開催された公開シンポジウム「雑誌『宝石』と戦後日本の探偵小説」の報告記。
 1頁(12頁)
10 探偵小説と〈発禁〉講座 2023-09-28さいたま文学館 「令和5年度 近代文学講読講座」全3回のうち、3回目の講座。
発表時間 90分
以上10点

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