教育研究業績の一覧

本明 義樹
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 大谷高校「数学」の授業に関する実践
①自らの課題を見出すための実践
2012-09-00 高校の授業では、課題を与えられ、その課題を解決することに重点が置かれ、自ら課題を見つけることができないことが多い。そのため、生徒が自ら課題を見つけ、その課題を解決する力を身につけることを念頭においた授業を行った。具体的には、生徒自らが問題を作成し解答を行い、正解だけでなく、誤答例も検討させた。それをふまえて、問題を作成した意図、間違いやすいポイントがどこにあるのかを発表させた。これらの取り組みを通して、自分がどのような問題が苦手なのか、問題を出題する側の意図がどこにあるのか等、それまであまり考えることのなかった視点をもつことができたという感想があった。
2 ②授業の確認テストの実施と、テストの難易度を生徒自らが判定する実践 2013-04-00 進捗に合わせた確認テストにおいて、生徒に問題の難易度をA~Cの三段階で評価させるようにした。これによって問題を客観的に見ることができ、文章題などで基本的な事柄が問われているのか、また複雑な内容のものであるかを、生徒自身が注意深く考えるという効果があった。難易度の基準は、生徒によって様々であるが、複数の問題の中で難易度を検討することで、一人ひとりの生徒が問われている事柄を客観的に見る力を養うことができた。
3 ③グループ学習の実践 2014-01-00 生徒自身が自主的に課題に向き合うことを目的として3~4人の生徒同士が共に考え、教え合いながら問題を解くというグループ学習を行った。グループ全員が問題に解答し、理解できることをゴールとした。お互いに協力して、教え、話し合う中で、教えている生徒自身もよりよい解答方法に気づく等の成果があった。
4 人間学Ⅰにおけるリアクションペーパーの活用 2021-04-00 ~ 受講生自身が問い、考える機会を持つため、授業の最後に感想・疑問を中心とした課題を提出してもらい、次回の授業時に、コメントをしている。前回授業を振り返り、学生同士でお互いの考えなどを共有することで、学びを深める一助としている。
5 フィールドワークの実施 2022-04-00 ~ 親鸞の生涯とその足跡についての学びを深めるため、事前事業を行い、比叡山延暦寺並びに京都市内の史跡のフィールドワークを担当した。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 『教行信証』論 2021-04-00 親鸞自筆『坂東本・教行信証』の内容・特徴を紹介するために、古写本「高田本」や「西本願寺本」、さらには刊本「明暦版」などと対照比較した資料を作成し授業に用いている。
2 ①『浄土論註』を読む 2021-04-00 ~ 曇鸞の生涯と思想を学ぶ上で必要な年表・地図などを作成し授業に用いている。
3 ②『浄土論註』を読む 2021-04-00 ~ 親鸞加点版本『浄土論註』や「坂東本教行信証」における引用されている箇所の原本を読み解くための影印本をもとにした資料を作成し活用している。
4 『聖典入門―真宗学演習サブテキスト―』の作成を担当 2023-04-00
~2024-03-31
2023年度の学長裁量経費による教育改革事業において、真宗学科で従来使用してきたテキストを検証し、1~4年次に学科開講全科目で利用するサブテキストを作成した。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 『宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌記念顕浄土真実教行証文類及び選択本願念仏集翻刻』の刊行のための翻刻・編集作業 2006-03-00
~2012-04-00
宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌記念事業として、大谷大学聖教編纂室で行われた親鸞自筆『顕浄土真実教行証文類』および大谷大学蔵禿庵文庫本『選択本願念仏集』の翻刻編集作業に嘱託研究員として従事した。(大谷大学編集、2012年12月真宗大谷派より刊行)
2 真宗聖典検索サイト開設のための作業 2018-07-00
~2019-12-00
2019年12月に宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃事業の一環として真宗大谷派ホームページ内に開設された「真宗聖典検索サイト」の企画・準備作業に真宗大谷派聖教編纂室主任編纂研究員として従事した。
3 『聞法テキスト① 一念多念文意・一念多念分別事』刊行のための翻刻・編集作業 2018-07-00
~2020-09-00
2020年9月に真宗大谷派から刊行された同テキスト本文の確定・註記など、翻刻・編集作業に真宗大谷派聖教編纂室主任編纂研究員として従事した。
4 大谷専修学院の講師 2022-04-00 ~ 大谷専修学院において「宗祖伝」を講義する。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2001-06-00~0000-00-00 真宗連合学会
2 2003-07-00~0000-00-00 真宗教学学会
3 2021-09-00~0000-00-00 日本印度学仏教学会
4 2023-03-00~0000-00-00 日本仏教学会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
以上0点
Ⅱ学術論文
1 願成就の一心―「信巻」における『論註』讃嘆門釈の問答を通して単著 2002-12-00『大谷大学大学院研究紀要』第19号(大谷大学大学院) 『歎異抄』九章における唯円の問いや『大経』発起序の阿難の発問を尋ねることを通して、「信巻」所引の『論註』讃嘆門釈の問答そのものが、個人的苦悩や不満という意識を超えた、如来の光明に照らされ、本願に呼応した自覚であることを論じた。 [25頁(75~99頁)]
2 「顕浄土真実信文類」開顕の意義―至心釈の考察を中心として単著 2005-01-00『真宗研究』第49輯(真宗連合学会)

親鸞における「信巻」開顕の意義を明かにするため、本願の名号の功徳を考察し、さらに至心と誓われたその仏意を三心一心問答を中心に尋ね、名号が如来の回施であることと真実信の関係を至心釈を通して考察した。[15頁(50~64頁)]
3 法然における「不廻向」について―親鸞の廻向思想形成に関する一考察単著 2005-03-00『親鸞教学』第85号(大谷大学真宗学会) 『教行信証』「行巻」には念仏が「不廻向の行」という一語によって確認されている。親鸞の廻向思想の形成を考える上で、法然の廻向理解、特に『選択集』二行章で語られる「不廻向」に注目し、その了解や課題について考察した。[12頁(73~84頁)]
4 日本浄土教における曇鸞著述の受容と展開―親鸞思想形成に関する一考察単著 2005-06-00『真宗教学研究』第26号(真宗教学学会) 親鸞における曇鸞の思想的影響は法然・親鸞を一貫する課題の中で見ていく視点が必要である。その基礎的研究として日本における曇鸞の著述の受容過程を調査し、法然さらには親鸞がどのような課題の中で曇鸞教学を受容し展開したのかを考察した。[17頁(64~80頁)]
5 親鸞における「信」の研究―その思想的背景と特質(博士論文)単著 2006-03-00大谷大学 親鸞思想の背景をなす法然・曇鸞の浄土思想を手がかりに、親鸞の「信」の思想の特質について究明した。親鸞が開顕する「如来の本願力廻向」について、親鸞が当時対峙していた仏教界や時代思潮の影響の確認を踏まえた上で、「信巻」三一問答を中心に廻向の信の特質について考察した。[総頁数127頁]
6 親鸞における本願力廻向の開顕―坂東本『教行信証』所引の『浄土論註』の文を精読して単著 2010-03-00『印度学仏教学研究』第58巻第2号(日本印度学仏教学会)

坂東本『教行信証』所引の曇鸞『浄土論註』の文を手がかりに、「坂東本」の訓点や文字の書き改め箇所に注目し、親鸞が本願力廻向を開顕せんとする意義、さらにはその最晩年に至る思想形成の一端を考察した。[4頁(772~775頁)]

7 親鸞における曇鸞浄土教の受容と課題単著 2011-03-00『親鸞教学』第97号(大谷大学真宗学会) 曇鸞の浄土教は、親鸞が法然の選択本願念仏を本願力廻向の行信として開顕する上で、その思想的基盤となるものであった。本論は、その思想形成や特質を論じる上での基礎的研究として、親鸞の晩年に至る求道の歴程を踏まえ、如何なる課題の中で曇鸞浄土教と向き合い、受容したのか、その動向を考察した。[20頁(38~57頁)]
8 親鸞における本願力廻向開顕の意義―坂東本『教行信証』を精読して単著 2011-11-00『真宗教学研究』第33号(真宗教学学会) 親鸞における本願力廻向の思想形成について、「坂東本」を精読することを通してその課題と特質について論じた。特に、親鸞の訓読の特殊性に注目し、「坂東本」に見られる註記箇所や後期筆跡箇所における書改部分を中心に、その思想開顕の意義について考察した。[16頁(94~109頁)]
9 『浄土論註』における「無生之生」について―往生思想形成の背景と課題単著 2016-12-00『教化研究』第159号(真宗大谷派教学研究所) 曇鸞の主著である『浄土論註』に説示される「無生之生」は、親鸞やそれに連なる真宗教学における往生理解にとって重要な指標となっている。本論では、「無生之生」を「往生」のこととする通説的見解を改めて研究史の上で確認し、親鸞加点本『浄土論註』に依りながら、曇鸞が説く「無生之生」の意義を確かめるとともに、往生思想が形成される背景とその課題について検討した。[20頁(174~193頁)]
10 親鸞における他力回向開顕の意義―真筆聖教の訓点を手かがりとして―単著 2023-01-30『真宗研究』第67輯(真宗連合学会) 親鸞における他力回向の意義を、親鸞の特徴的な訓点である「シム」について、その読み添えの意図するところ、さらには思想的な背景を、「令」や「使」を含む漢文訓読文を中心に考察することを通して、その一端を明らかにした。総頁数20頁(134頁~153頁)
11 専修寺本『顕浄土真実教行証文類』の書誌学的再検証―真仏書写『西方指南抄』との比較を通して― 単著 2023-12-15『親鸞教学』119号(大谷大学真宗学会) 坂東本『教行信証』等、これまでの親鸞の筆跡変化を中心とした書誌研究、さらには現在の通説的見解を批判的に総括するとともに、専修寺本『教行信証』の特徴と位置づけについて、真仏書写『西方指南抄』における書写姿勢や筆跡との比較を通して再検証した。総頁数25頁(1~25頁)
以上11点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 証大涅槃の真因口頭発表要旨 2001-07-00第8回真宗大谷派教学大会(於大谷大学) 親鸞は「大信心」を「証大涅槃の真因」と見定める。衆生における行業は、因も果も顛倒した虚偽なるものである。その衆生の無明を破る本願の行信こそが「涅槃の真因」であることを考察した。[発表時間15分、発表要旨:『真宗教学研究』第23号(真宗教学学会、2002年11月)2頁(178~179頁)]

2 信心の智慧口頭発表要旨 2002-07-00第9回真宗大谷派教学大会(於大谷大学) 「信巻」別序に注目し、真実信心とは、自性唯心に沈み、定散の自心に迷う衆生が、阿弥陀の招喚と釈尊の発遣によって呼び覚まされた自覚であることを考察した。[発表時間15分、発表要旨:『真宗教学研究』第24号(真宗教学学会、2003年6月)2頁(161~162頁)]
3 信心の智慧―「信巻」所引の『論註』の文を中心として口頭発表要旨 2002-09-00日本宗教学会第61回学術大会(於大正大学) 「信巻」所引の『論註』讃嘆門釈の問いを、真蹟坂東本の行改めに注目し考察した。信心が真実たりえるのは、自らの信心を批判する智慧のはたらきによる。問いはその真実信心の自覚の内実を示すものであることを指摘した。[発表時間15分、発表要旨:『宗教研究』第76巻第4輯(日本宗教学会、2003年7月)2頁(255~256頁)]
4 曇鸞教学における「信」の考察口頭発表要旨 2003-07-00第10回真宗大谷派教学大会(於大谷大学) 親鸞は、四論の学者であった曇鸞が回心し本願他力の教えに帰した行実を随所で述べる。この曇鸞教学の背景にある求道の歩みを視野に入れて、『論註』における「信」を考察した。[発表時間15分、発表要旨:『真宗教学研究』第25号(真宗教学学会、2004年6月)2頁(172~173頁)]
5 曇鸞教学における「信」の考察

口頭発表 2003-09-00日本宗教学会第62回学術大会(於天理大学) 『論註』劈頭において、「信仏の因縁」こそが得証の因であるとし、巻末には「他力の乗ずべきことを聞きて当に信心を生ずべし」と結ばれることから、他力の「信」が仏道成就の重要な意義をもつものとして、『論註』を貫くことを検証した。[発表時間15分]
6 親鸞における真実心について口頭発表 2004-07-00日本印度学仏教学会第55回学術大会(於駒澤大学) 親鸞における真実心を明らかにする上で、特に「至徳の尊号」である名号の功徳について考察し、その名号の功徳によって、衆生に信知される真実心の意義について確かめた。[発表時間15分]
7 第12回親鸞フォーラム「社会×共育×仏教」

シンポジウムのコーディネーター 2017-03-00真宗大谷派真宗会館(於東京、丸ビルホール&コンファレンススクエア) パネリストに斉藤孝氏(明治大学教授)、小島慶子氏(エッセイスト)、一楽真氏(大谷大学教授)を迎え、仏教の精神を基軸に、現代社会において共に育ち共に育まれていくとは如何なることかを尋ねるシンポジウムでコーディネーターを務めた。[パネリストからの提言60分、ディスカッション100分]
8 『教行信証』と現代―現代思想としての「他力」

シンポジウムのパネリスト 2019-01-00真宗教団連合(宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年・真宗教団連合50周年記念事業、於西本願寺聞法会館) 中島岳志氏(東京工業大学教授)、藤丸智雄氏(本願寺派総合研究所副所長)、清水谷正尊氏(高田短期大学仏教教育研究センター研究員)らのパネリストとともに、日常語となっている「他力」の深意を『教行信証』にたずね、現代における意義と可能性について討論した。[シンポジウムにおけるディスカッション90分]
9 伊東恵深『親鸞と清沢満之』を読む:著者を交えての合評会報告「第Ⅰ部 親鸞論」について書評 2019-03-00『同朋大学佛教文化研究所紀要』第38号(同朋大学佛教文化研究所)

2018年10月8日大谷大学において開催された伊東恵深著『親鸞と清沢満之』の「第Ⅰ部」「親鸞論」の書評について口頭発表したものを要約し文章化した。[発表時間20分、発表要旨:4頁(117~120頁)]

10 第1回親鸞フォーラムin OSAKA「仏教×勇気」シンポジウムのコーディネーター 2019-11-00真宗大谷派大阪教区教化委員会(於大阪、難波別院) パネリストに名越康文氏(精神科医)、和田竜氏(小説家)、木越康氏(大谷大学学長)を迎え、仏教の思想を基軸に、現代社会における「生きる勇気」について考えることを目的としたシンポジウムのコーディネーターを務めた。[パネリストからの提言60分、ディスカッション100分]
11 『教行信証』の「現代的解釈」に向けての課題―聖教編纂を通して 講演録 2022-03-00『近現代『教行信証』研究検証プロジェクト研究紀要』第4・5号合併号(東京 親鸞仏教センター) 現代において『教行信証』が広く公開され、その思想の核心が伝えられることは喫緊の課題である。そのために、「現代的解釈」は不可欠であるが、多くの課題がある。2020年9月30日に開催されたリモート研究会において聖教編纂業務、さらには『坂東本・教行信証』翻刻事業を通して見えてきた課題と展望について発表を行った。 2-50頁(全49頁)

以上11点

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