教育研究業績の一覧

服部 徹也
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 大妻女子大学「日本語A(表現)」における講義・授業支援サイト活用・個別カウンセリングの併用による個人研究の指導
(大妻女子大学・文学部以外の主に初年次生を対象とする)
2017-04-14
~2017-07-28
学生が楽しみながら調査能力を付け、文章力の基礎的トレーニングを詰むことができるよう、自由テーマによる個人研究を期末レポート課題とした。ただし、自由テーマといっても、必ず既存の学問体系との接点を作るよう指導した(学生が選んだテーマ例:「テレビCMのなかの女性差別」「スターバックスのもつ社会思想」「ジャニーズ雑誌のメディア論」等)。個人研究を推進するため、テーマ設定と問いの立て方の工夫から文献調査方法、レポート構成方法などを『アカデミック・スキルズ: 大学生のための知的技法入門(第2版)』(慶應義塾大学出版会,2012)を教科書として講義した。円滑なレポート作成と文章力の基礎指導のため、三回にわたり全学生のレポート草稿を授業支援サイトmanaba portfolioにアップロードさせ、添削を行ったほか、学生間の相互批評を行わせた。授業時間内外で個別カウンセリングを行い、進捗状況の管理や踏まえるべき参考文献の提案を行った。
2 大妻女子大学による「2017年度前期 授業に関するアンケート」における受講学生による授業評価 2017-09-01 ●「日本語A(表現)」について(五段階評価)
「教員の授業の進め方について」の平均値が4.86
「授業の内容について」の平均値が4.76
「学生自身の授業への取り組みについて」が3.73
「総合的な印象(授業を受けてよかった)」が4.92
総合平均値4.53 (学部全体平均値4.06)
●「現代文学演習Ⅰ」について(五段階評価)
「教員の授業の進め方について」の平均値が4.50
「授業の内容について」の平均値が4.26
「学生自身の授業への取り組みについて」が3.89
「総合的な印象(授業を受けてよかった)」が4.00
総合平均値4.24 (学部全体平均値4.06)
2 作成した教科書、教材、参考書
1 西田谷洋(編)『文学研究から現代日本の批評を考える――批評・小説・ポップカルチャーをめぐって』 2017-05-00 大妻女子大学「現代文学演習Ⅰ」「現代文学演習Ⅱ」において、現代の文学やサブカルチャーを論じるための参考書として利用した。執筆箇所:「ジャパニーズ・セオリーの「発明」――亀井秀雄『増補 感性の変革』を起点に」(pp.268-288)
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
1 「博士論文についてオープンに話し合う場を――公開研究会「研究の〈展き〉かた―日本近現代文学で博士論文を書く」開催記」『リポート笠間』63号,笠間書院,pp.62-64 2017-11-00 大学・大学院における若手文学研究育成について、これまで行ってきた一連の取り組み、主に2017年1月に主催(6070研究会との共同)した公開研究会「研究の〈展き〉かた―日本近現代文学で博士論文を書く」の趣旨と開催後の感想を中心に報告した。あわせて、これまで3回に亘り主催してきた「近代文学合同研究会 若手研究者集会」等の取り組みや昨今の研究状況を視座に展望を述べた。(原稿依頼による)
62-64頁(総3頁)
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 「近代文学合同研究会 若手研究者集会」の主催・企画運営 2016-07-18 有志による研究団体「近代文学合同研究会」において、「若手研究者集会」と題し、大学・大学院に所属する若手文学研究者の相互研鑽、所属機関や世代の垣根を越えた研究交流の促進のため、三度にわたり研究発表会を行った。それぞれ、研究会の内外からコメンテーターとして中堅研究者を招き、発表に対するコメントを頂くとともに、学会発表よりも大幅に長く質疑応答の時間を設けるなどの工夫を行った。
2 「近代文学合同研究会 第二回若手研究者集会」の主催・企画運営 2016-11-03 有志による研究団体「近代文学合同研究会」において、「若手研究者集会」と題し、大学・大学院に所属する若手文学研究者の相互研鑽、所属機関や世代の垣根を越えた研究交流の促進のため、三度にわたり研究発表会を行った。それぞれ、研究会の内外からコメンテーターとして中堅研究者を招き、発表に対するコメントを頂くとともに、学会発表よりも大幅に長く質疑応答の時間を設けるなどの工夫を行った。
3 「近代文学合同研究会 第三回若手研究者集会」の主催・企画運営 2017-05-21 有志による研究団体「近代文学合同研究会」において、「若手研究者集会」と題し、大学・大学院に所属する若手文学研究者の相互研鑽、所属機関や世代の垣根を越えた研究交流の促進のため、三度にわたり研究発表会を行った。それぞれ、研究会の内外からコメンテーターとして中堅研究者を招き、発表に対するコメントを頂くとともに、学会発表よりも大幅に長く質疑応答の時間を設けるなどの工夫を行った。
4 社会人向け講座への出講 2018-12-01 早稲田大学エクステンションセンター早稲田校 オムニバス講座「漱石文学の世界:漱石作品に親しむ」(中島国彦[企画]・藤尾健剛・石原千秋・服部徹也)という社会人向けオムニバス講座の一環として、以下の通りの趣旨で90分間の講義を行った。
『文学論』は「文学とは何か?」という大きな問題に取り組んだ理論書である。『文学論』の成立過程は初期の創作活動と時期的に重なっており、実は相互に関係しあっている。初期作品の背景に、どのような漱石の学問的知見が活かされているのか。創作活動に伴って、漱石の学問はどのように変化していったのか。『文学論』の成立過程と創作との相互作用を検討することで、「漱石」という希有な文学者が誕生した背景に迫りたい。
B 職務実績
1 学内資金の獲得による研究遂行(研究代表者) 2016-04-00
~2017-03-00
「慶應義塾大学大学院: 博士課程学生研究支援プログラム」における文学研究科推薦による採択課題「夏目漱石『文学論』の成立過程と本文の研究」に基づく研究遂行(研究期間:2016年4月 ~2017年3月、研究代表者: 服部徹也)を個人研究として行った。
2 「日本語各論」におけるメディアリテラシーと多文化共生についての、ゲスト講師招聘を含む総合的教育(慶應義塾志木高等学校・高校3年生) 2017-04-01
~2017-11-20
「「日本人」と「日本語」の輪郭線(の曖昧さ)」をテーマに文化社会学の評論(吉野耕作『文化ナショナリズムの社会学: 現代日本のアイデンティティの行方』名古屋大学出版会、1982)や、日系アメリカ人文学を扱った文芸評論などを講読する連続講義を行ったうえで、食文化の多様性をテーマとするテレビ・アニメーション《SUSHI POLICE》を鑑賞した。その上で、同作の題材となった現実の事件、2006-7年の農林水産省による外国の日本食レストランを国家が評価し認証を行うという計画に対する日米マスメディアからの批判について、当時の新聞記事(朝日、日経、産経各社およびアメリカの新聞)、雑誌、農林水産省のHP、インターネットニュースサイトの記事などを比較させ、同じ事件が全く異なった形で報じられていることを体験させた。締めくくりとして、昨今の在日コリアンをめぐる「ヘイトスピーチ」や行政の問題を「多文化共生」という観点から取り上げた。以上の事前学習を経たうえで、ゲストスピーカーとして在日朝鮮人文学の研究者康潤伊氏を招き、大阪朝鮮高級学校ラグビー部を追った映画『60万回のトライ』の特別上映を行ったうえで、同作への批評を通して在日朝鮮人の歴史と現在について講義をして頂き、生徒と質疑応答を行った。生徒に感想やさらなる質問を書かせ回収したものについて、康潤伊氏と服部とが分析した論考を共同執筆し、校内雑誌『慶應義塾志木高等学校紀要』に掲載予定である。
3 日韓における翻訳大衆文学のディスクール研究 2018-04-01 ~ 日本学術振興会・韓国研究財団(NRF): 二国間交流事業共同研究
研究期間: 2018年4月 - 2020年3月 代表者: 日本側研究代表者:吉田司雄、韓国側研究代表者:兪在眞
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2011-04-00~0000-00-00 近代文学合同研究会
2 2011-04-00~0000-00-00 慶應義塾大学国文学研究室 三田國文の会
3 2013-04-00~0000-00-00 日本近代文学会
4 2013-04-00~0000-00-00 昭和文学会
5 2013-04-00~2019-03-31 日本文学協会
6 2014-04-00~0000-00-00 近代文学合同研究会 運営委員・広報担当者
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 『文学研究から現代日本の批評を考える—批評・小説・ポップカルチャーをめぐって』共著 2017-05-00ひつじ書房 現代批評について文学研究の知見をもとにさまざまな観点から論究する論文集である。分担箇所では亀井秀雄『感性の変革』について、読者と語り手や書き手とが相互作用的なコミュニケーションを行うという本来不可能なはずのことを論じる理論として読解した。また英訳者が柄谷行人や、亀井を新左翼崩壊後の言論として読んでいることを示し、亀井の「日本で自生した理論」という自己評価が世界の文学理論からみた問題点を指摘した。
編者:西田谷洋
共著者:中村三春、山田夏樹、西田谷洋、河野真太郎、岩川ありさ、広瀬正浩、水川敬章、近藤周吾、倉田容子、小谷瑛輔、矢口貢大、服部徹也、大橋崇行、千田洋幸、柳瀬善治。
分担執筆:「ジャパニーズ・セオリーの「発明」――亀井秀雄『増補 感性の変革』を起点に」268-288頁(総21頁)
以上1点
Ⅱ学術論文
1 「漱石における「間隔的幻惑」の論理――『文学論』を精読し『野分』に及ぶ――」単著 2013-12-00『三田國文』58号,慶應義塾大学国文学研究室三田國文の会 漱石は『文学論』で、読者が物語世界に引き込まれ、作中人物に接近・同一化する錯覚を「間隔的幻惑」と名づけた。それが読者の識域下の共犯的な振る舞いにより実現する際、読者は作者の存在は忘れる。この理論を執筆していた同時期に、「作者」を自称する語り手が存在感を放つ小説『野分』を漱石は書いていた。この理論と創作の矛盾について、『文学論』の推敲過程を調査して再解釈した。
33-48頁(総16頁)
2 「漱石『草枕』における語りの「平面」と語られない「立体」――〈那美〉イメージの形成を視座に――」単著 2015-06-00『藝文研究』,
慶應義塾大学藝文学会
漱石『草枕』を古伝承や村の言説などの多層構造として解釈した。語り手「余」によって描かれるかぎりでの〈那美〉イメージの向こう側にあって至り得ない〈消失点〉としての「現実の那美」へ読者が惹きつけられる構造が『草枕』の読書体験を成り立たせている。いわば「人情/非人情」の両極端の間を、「余」の立場を導きとしつつも同化しきらず、定位置なしに漂いながら読み進むほかない構造を論じた。
1-16頁(総16頁)
3 「漱石『文学論』成立の一側面――中川芳太郎筆草稿「第五編 集合Fの差異」を視座として――」単著 2015-12-00『三田國文』60号,慶應義塾大学国文学研究室三田國文の会 本稿は、漱石による書き下ろし原稿に差し替えられ、不用となった草稿である中川筆草稿「第五編 集合Fの差異」に注目した。これを別の受講生金子健二のノート、および刊本『文学論』と比較すると、中川稿第五編が読み上げ原稿に基づいているとは考えがたいことが判明した。漱石が『文学論』講義の際、読み上げ原稿を作っていたとしても、出版には耐えない簡素なものであったと示唆した。
86-102頁(総17頁)
4 「帝大生と『文学論』――漱石講義の受講ノート群をめぐって――」単著 2016-01-00『近代文学合同研究会論集』12号,近代文学合同研究会 漱石が東京帝国大学で行った講義について若月紫蘭、岸重次、森巻吉、金子健二、中川芳太郎のノート、「十八世紀英文学」講義(のち『文学評論』として刊行)について木下利玄のノートを紹介した。とくに刊本『文学論』の草稿作成を担った中川のノートは現在まで未整理のままに措かれていた。混乱したページ順を整理し、綴じられていないノートが二系統のノートの混在したものであったことを証明した。
28-50頁(総23頁)
5 「《描写論》の臨界点――漱石『文学論』生成における視覚性の問題と『草枕』――」単著 2016-05-00『日本近代文学』94集,日本近代文学会  本稿は『文学論』出版に際しての描写論の理論的変更点と『草枕』創作との関係を論じ、漱石が困難を冒して描写による「幻惑」とその理論化に挑んでいたことを示した。漱石の描写論は視覚性の問題を探究してはいるが、『草枕』のような作品を読む際に生じる視覚性とイメージ連鎖を説明できない。読者の認知過程に多くを委ねる『文学論』は、「自己催眠的」な読者の一回的な読みによって暫定的に傍証を得るしかない理論的限界をもつ。
1-16頁(総16頁)
6 「「不都合なる活版屋」騒動からみる漱石『文学論』――単行本の本文異同調査を中心に――」単著 2016-12-00『三田國文』61号,慶應義塾大学国文学研究室三田國文の会 著者漱石に初版千部を庭で焼きたいとまで言わしめた『文学論』単行本の初版から第四版までの誤植の実態を明らかにした。「不都合なる活版屋」とは『東京朝日新聞』紙上で誤植の責任を問うた無署名記事の題であり、同書の印刷所秀英舎を指す。単行本異同の問題を漱石没後に同社から発刊された縮刷版『文学論』、やがて同社との係争の火種となる『漱石全集』刊行の問題に接続し諸版本の異同について整理を行った。
31-49頁(総19頁)
7 「文学の科学への欲望――成仿吾の漱石『文学論』受容における〈微分〉――」単著 2017-06-00『跨境 日本語文学研究』第4号,東アジアと同時代『跨境 日本語文学研究』第4号,東アジアと同時代日本語文学フォーラム・高麗大学校GLOBAL日本研究院  1920年代前半の上海、成仿吾は旧文壇を痛烈に批判する時、夏目漱石『文学論』の概念と数学の〈微分〉とを組み合わせて中国語の評論を書いた。成が留学した1914-21年の日本は漱石称揚の時期であり、田邊元が日本にヘルマン・コーエンの、〈微分〉を援用した議論を紹介していた頃でもあった。成仿吾の〈微分〉の用い方を題材に、「文学理論」に言語や学問や国の境界を越えて生成する「文学の科学」を求める欲望の現れが関わることを論じた。
125-142頁(総18頁)
8 「『英文学形式論』講義にみる漱石の文学理論構想――「未成市街の廃墟」から消された一区画――」単著 2017-09-00『國語と國文學』第94巻10号,東京大学国語国文学会  漱石帰国後初の講義「形式論」について受講生のノートを検証し、講義計画の変更により論じられずに終わったテーマに手稿を用いて迫った。また受講ノート比較と旧蔵書調査を通して、未刊行の「序論」が講義には存在していたことを明らかにした。また、漱石の文学理論について、言語間の音韻の差や表記する文字の形状による効果に着目して日本文学を基礎付けようとする構想があったことを論じた。
56-71頁(総16頁)
9 「張我軍訳・漱石『文学論』とその時代――原著本文異同調査を通した翻訳底本推定を視座に――」単著 2017-12-00『日本文学』第66巻12号, 日本文学協会  本稿は張我軍による中国語全訳・夏目漱石『文学論』(上海:神州国光社、1931)の翻訳底本推定を行った。原著の本文成立過程を整理し、諸版本の異同を系統立てた。その上で、翻訳底本が漱石没後の本文変更を伴う縮刷本と『漱石全集』本との併用であることを明らかにした。併せて、訳者張我軍と版元神州国光社が置かれた刊行年1931年中国の時代状況(国共内戦と第三勢力の争い)について、その一端を述べ、『文学論』を位置付けた。
1-14頁(総14頁)
10 「『若草』から林芙美子『放浪記』へ――初期作品雑誌初出形からの変容」単著 2018-01-00小平麻衣子(編)『文芸雑誌『若草』』,翰林書房 大正期から昭和の戦後まで続いた文芸雑誌『若草』をめぐる研究論文集である。担当箇所では、林芙美子が同誌に掲載した作品が代表作『放浪記』に形を変えて取り込まれることに注目し、芙美子が拘った大正末期の女性同士の同居と「書くこと」いうモチーフがもつ意味を、社会主義や女権思想との微妙な差異から読み解いた。
編者:小平麻衣子
共著者:小平麻衣子、服部徹也、サンドラ・シャール、村山龍、滝口明祥、徳永夏子、太田知美、ジェラルド・プルー、吉田司雄、竹内瑞穂、小長井涼、井原あや、松本和也、尾崎名津子、大川内夏樹、島村輝
分担執筆:第一部 作家とメディア、「『若草』から林芙美子『放浪記』へ――初期作品雑誌初出形からの変容」を単独で執筆した。
26-47頁(総22頁)
11 「帝大講師小泉八雲――講義「読書論」「創作論」「文学と輿論」を中心に――」単著 2018-03-00『ヘルン研究』第3号,富山大学ヘルン研究会 東京帝国大学英文学科で講師を務めた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)について、没後の講義録出版で中心的に扱われる「読書論」「創作論」「文学と輿論」を取り上げ、それらに共通する撞着語法的なレトリックや、「大衆」と「文学者」との関係に注目し、ハーバート・スペンサーの進化論哲学を美学化したものとして解釈した。またその講義を賞賛した受講生達の発言や、後任となった夏目漱石による評価などにも説き及んだ。
32-46頁(総15頁)
12 「夏目金之助の「文学論」講義――漱石出発期の背景――」単著 2018-05-15『日本近代文学』98集,日本近代文学会 本稿は学生の受講ノートと日記、『文学論』原稿を用いて夏目漱石の講義とその書籍化『文学論』との間の変容を明らかにした。騙されることと虚構を楽しむことを類似した表現で論じ、『ドン・キホーテ』やシェイクスピア戯曲を用いて悲劇と喜劇は同型であり異なるのは観客の心理的態度であると論じる刊本未収録箇所は、情緒によって読者・観客が催眠的に物語世界にのめり込むという漱石の虚構論の根幹に関わる。同時期の創作『倫敦塔』では虚偽をしかけに用いつ、虚構ならではの真偽の宙づりが効果的に用いられていることを併せて指摘した。
100-115頁(総16頁)
13 夏目漱石『文学論』をめぐる総合的研究――東京帝国大学講義と初期創作を視座に――単著 2018-12-20慶應義塾大学大学院文学研究科 慶應義塾大学大学院文学研究科への博士学位請求論文。本論文は、小説家として知られる夏目漱石(本名金之助、1867-1916)が、東京帝国大学文科大学英文学科講師として行った講義をもとに出版した書物『文学論』(大倉書店、1907)について、英国留学期における初発の構想から講義を経て出版へ至るまでの成立過程を明らかにし、その成立過程と初期創作との相互作用的な生成の問題、諸版本の異同、翻訳、他作家による概念の借用といった受容の問題に亘り、総合的な検討を加えるものである。
以上13点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 「二〇一七年日本近代文学会春季大会「《特集》 一〇一年目の漱石──なぜ読まれてきたのか」リポート」学会展望(共著) 0000-00-00笠間書院オンライン(ウェブ先行公開)、『リポート笠間』63号(冊子掲載予定),笠間書院 笠間書院PR誌、『リポート笠間』の「学会リポート」コーナーへの寄稿として、ウェブサイト「笠間書院オンライン」に先行掲載。2017年日本近代文学会春季大会「《特集》 101年目の漱石──なぜ読まれてきたのか」のうち、服部は第2企画(パネル)「漱石研究の現在――未成の出発期と「小説」への問い」、シンポジウム「漱石という媒体」について報告を行った。
共著者:服部徹也、栗原悠(服部は全体の2/3を担当)。
85-89頁(総5頁)
2 声なき声が告げるもの――漱石『道草』における自己欺瞞としての学問――口頭発表(一般発表) 2014-05-25日本近代文学会2014年度春季大会 漱石晩年の自伝的長編『道草』を学者健三の歪んだ認知世界とその外部との交通と捉えることで、彼の陥った〈自己欺瞞〉の構造を明らかにした。
発表時間:30分
3 女工とモダン・ガール――林芙美子を視座に読者欄を読む口頭発表(一般発表) 2015-09-19「若草」研究会 『若草』と林芙美子、両者の出発期を並べて見ることで、「女工」や「モダン・ガール」という表象を求める評価のモードと、読者達の投稿との関係について考察した。
発表時間:40分
4 漱石『英文学形式論』における「Style」と「文体」シンポジウムのパネル 2015-11-22日本近代文学会2015年度国際研究集会 パネル「「Style」と「文体」の交差」
発表者:服部徹也(代表)、クリス・ローウィ-、長瀬海、栗原悠
ディスカッサント:坪井秀人
日本語を非母語とする読者にとって、日本語書記体系による文学表現がどのように美学的効果を生むのか、日本語書記体系による「文体」とアルファベットによる「Style」とを対比して論じるパネル。担当箇所では、漱石『英文学形式論』の原構想が英文学と漢文学を繋ぐ比較文学的発想を持っていたことを示した。
発表時間:25分(パネル全体で討議を含め210分)
5 〈移動する理論〉としての漱石『文学論』――張我軍による翻訳とそのコンテクストをめぐって――口頭発表(一般発表) 2016-02-26國立中興大學台灣文學與跨國文化研究所「台日研究生工作坊:跨界與文學想像力」(台湾:国立中興大学と、慶應義塾大学との国際ワークショップ「越境と文学的想像力」) エドワード・サイードの〈移動する理論〉という概念を導きとして、漱石『文学論』が中国語圏で読み替えられていく事例を積極的に取りあげる必要を論じ、張我軍訳『文学論』(神州国光社1931)について、翻訳底本調査の経過報告を行った。
発表時間:25分
6 張我軍訳・漱石『文学論』の底本推定とその意義――原著の本文異同調査を通して――口頭発表(一般発表) 2016-06-26日本文学協会 第36回研究発表大会 夏目漱石『文学論』(大倉書店1907)の張我軍による中国語全訳(上海:神州国光社1931)について、翻訳底本推定のために、従来未調査であった版も含めて原著の本文異同調査を行い、訳文が縮刷版本文に基づいていることを示した。
発表時間:30分
要旨掲載:『日本文学』(第65巻6号、日本文学協会、2016年6月)76頁(総1頁)
7 『倫敦塔』の写実と〈超自然〉――漱石初期評論及び『文学論』を視座に――口頭発表(一般発表) 2016-08-30フィクションと日本文学の研究会 超自然を描く『倫敦塔』にとって、初出掲載の筆者名(夏目金之助)や目次での扱い、本文末尾の「後記」とも呼べる部分などのパラテクストが果たす役割、およびテクストが劇場空間的な隠喩に導かれていることの意味を論じた。また、それらと「エイルヰンの批評」、「マクベスの幽霊に就て」、『文学論』における「写実」と「超自然」をめぐる議論との関係を論じた。
発表時間:50分
8 漱石『文学論』の「超自然F」――「マクベスの幽霊に就て」を視座に口頭発表(一般発表) 2017-03-29怪異怪談研究会 「マクベスの幽霊に就て」で扱われる幽霊の「怪異/幻覚」という身分、「可視/不可視」性の問題を漱石旧蔵『マクベス』の注に遡り、注にない情報も補った上で同論考の論理を取り出した。また同論考と同時期の「文学論」講義との相互乗り入れ関係について「超自然F」を取り上げて論じた。
発表時間:50分
9 「漱石「マクベスの幽霊に就て」を読む――幽霊の可視性をめぐるコンヴェンション――」研究ノート(単著) 2017-05-00『日本文学』66巻5号,日本文学協会 「マクベスの幽霊に就て」で扱われる幽霊の「怪異/幻覚」という身分、「可視/不可視」性の問題を漱石旧蔵のFurness版、Deighton版『マクベス』の注に遡り、注にない情報も補った上で同論考の論理を取り出した。また同論考が東京帝国大学における漱石の『マクベス』講義期間中に執筆されたことを踏まえ、同時期の「文学論」講義との相互乗り入れ関係について「超自然F」を取り上げて論じた。
80-84頁(総5頁)
10 小森陽一他編『漱石辞典』事典項目(分担執筆) 2017-05-00翰林書房 編者:小森陽一、飯田祐子、五味渕典嗣、佐藤泉、佐藤裕子、野網摩利子
共著者:夏目房之介、半藤末利子、服部徹也、ほか約300名
辞典項目「鷹揚」(分担執筆:服部徹也)では『野分』における中野君の「鷹揚」さや、『こころ』の「先生」の過去と現在を繋ぐ重要なキーワードとして「鷹揚」という言葉を読み解いた。
401頁(総1頁)

付録「漱石文学地図(東京市内)」,「漱石文学地図(日本列島・満鮮その他)」(分担執筆:服部徹也)では漱石作品に登場する地名を中心に、文筆活動に関わる限りで実際に漱石が生活したり旅行したりした地名も取り入れて、漱石テクストが立体的に読み込めるよう心がけて地図作成を行った。
774-777頁(総4頁)
11 夏目金之助の「文学論」講義――漱石出発期の背景シンポジウム 2017-05-28日本近代文学会2017年度春季大会 日本近代文学会設置による企画パネル「漱石研究の現在──未成の出発期と〈小説〉への問い」。
発表者:服部徹也、宮薗美佳、神田祥子
ディスカッサント:佐藤裕子
夏目金之助の「文学論」講義について、受講ノートの検討により、刊本『文学論』に収録されなかった講義箇所で『ドン・キホーテ』や『オセロー』等の比較を通して悲劇・喜劇の受容体験に共通する〈虚構〉に魅せられる読者の心理が論じられていたことを示した。
発表時間:25分(パネル全体で討議を含め210分)
12 ”Kin’nosuke the Theorist / Soseki the creator: Rereading Bungakuron After the 1990s”口頭発表(国際研究会の招待発表) 2017-08-05ワシントン大学,
“Summer 2017 Workshop on Contemporary Japanese Literature and Culture: Looking Back at the 1980s and 1990s”
(ワシントン大学アジア言語文化研究科の夏期特別ワークショップ「現代の日本文学と文化:1980-90年代をふりかえる」)
1990年代に『文学論』が小森陽一や柄谷行人らによってどのように読まれたかを示し、2000年代の『文学論』読解の停滞が文芸批評そのものの停滞と同時期であること、研究雑誌『漱石研究』もまた『批評空間』とほぼ同時期に廃刊したことなどを論じた。
発表時間:25分(英語)
13 受講生の日記からみる夏目漱石の帝大講義――受講ノート調査との接点を視座に口頭発表(招待発表) 2017-09-16「近代日本の日記文化と自己表象」研究会 漱石帝大講義の受講生、金子健二、木下利玄の日記やノートから、漱石の創作と講義が連動していたことを示した。
発表時間:50分
14 「博士論文についてオープンに話し合う場を―公開研究会「研究の〈展き〉かた―日本近現代文学で博士論文を書く」開催記」学会展望(単著) 2017-11-00『リポート笠間』63号,笠間書院 2017年1月に主催した公開研究会「研究の〈展き〉かた―日本近現代文学で博士論文を書く」の趣旨と開催後の感想について、これまで3回に亘り主催してきた「近代文学合同研究会若手研究者集会」等の取り組みや昨今の研究状況を視座に報告した。
62-64頁(総3頁)
15 対談「来たるべき文学のために:『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)刊行を機に」対談記事(共著) 2017-12-00『週刊読書人』3221号,株式会社読書人 漱石『文学論』の現代語訳、読解、理論的更新を行う山本貴光著『文学問題(F+f)+』(幻戯書房2017)をめぐって、著者との対談を行った。
執筆者:山本貴光、服部徹也。
1-2頁(総2頁)
16 新資料・漱石『文学論』講義の序論「外国語研究の困難について」――森巻吉受講ノートからの影印・翻刻・翻訳と解題資料紹介(共著) 2017-12-00『三田國文』第62号,三田國文の会 夏目漱石の東京帝国大学英文学科での講義の初日に述べられた「外国語研究の困難について(序論)」を、当時の受講生のノートから発見し、初めて翻刻・翻訳し、その意義について解題を付した。
共著者:服部徹也、樋口武志。(資料翻刻を服部が行い、樋口がチェックした。翻訳は樋口が行い、服部がチェックした。解題は服部による単独執筆)
24-44頁(総21頁)
17 日本エイズ文学論への補遺――『熊夫人の告白』を中心に――シンポジウムのパネル 2017-12-02共同研究会「戦後日本文化再考」第15回 パネル:「セクシュアリティの戦後――〈出来事〉をめぐる想像力と欲望」
発表者:光石亜由美(代表)、河原梓水、田村美由紀、服部徹也。
アメリカにおける「エイズ文学」というジャンル意識(とその現代における希薄化という問題意識)に比して、日本では既成作家の作品にエイズが扱われることがあっても、「エイズ文学」というジャンル意識は成立しておらず「エイズ文学論」が困難であることを述べ、HIV+当事者のネットワークを立ち上げたアクティヴィストでもある長谷川博史によるドラァグ・クイーンの一人語り「詩小説」『熊夫人の告白』を掲載された写真や自作解説と突き合わせながら読解した。
発表時間:50分(パネル全体で討議を含め270分)
18 帝大講師小泉八雲――講義「読書論」「創作論」「文学と輿論」を中心に口頭発表(招待発表) 2017-12-232017年度富山大学ラフカディオ・ハーン研究国際シンポジウム 日本におけるラフカディオ・ハーン 東京帝国大学英文学科で講師を務めた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)について、没後の講義録出版で中心的に扱われる「読書論」「創作論」「文学と輿論」を取り上げ、それらに共通する撞着語法的なレトリックや、「大衆」と「文学者」との関係に注目し、ハーバート・スペンサーの進化論哲学を美学化したものとして解釈した。またその講義を賞賛した受講生達の発言や、後任となった夏目漱石による評価などにも説き及んだ。
発表時間:25分
19 書評:田坂憲二著『日本文学全集の時代 ――戦後出版文化史を読む』(慶應義塾大学出版会)書評 2018-06-15週刊読書人 田坂憲二著『日本文学全集の時代 ――戦後出版文化史を読む』について、国内外の全集研究の文脈から書評した。総1頁。
20 認知物語論的テマティスム?:西田谷洋『村上春樹のフィクション』評口頭発表 2018-07-01公開読書会:西田谷洋『村上春樹のフィクション』を読む 公開読書会:西田谷洋『村上春樹のフィクション』を読む 2018年7月1日 日本学術振興会科学研究費助成事業(基盤研究C)「日本近現代文学におけるフィクションの機能に関する総合的研究」(研究代表者 高橋幸平/研究課題番号17K02473)
西田谷洋著『村上春樹のフィクション』(ひつじ書房、2017)についての公開合評会において、書評報告を行い、その後、著者を交えた討議に参加した。
発表時間:30分
21 逆輸入された生硬さ:張我軍訳・夏目漱石『文学論』/〈反向輸入的生硬翻譯――張我軍譯夏目漱石《文學論》〉口頭発表 2018-11-23國立政治大學台灣文學研究所主催「從帝國到冷戰的文化越境與生成」工作坊 張我軍訳『文学論』の訳文について、言文一致と漢文脈、植民地期台湾出身者の日本語リテラシーの観点から検討した。
発表時間:40分
22 書評:西田谷洋著『村上春樹のフィクション』(ひつじ書房)書評 2019-03-00昭和文学研究(78) 西田谷洋著『村上春樹のフィクション』(ひつじ書房)について、同著者のこれまでの研究、とりわけ認知物語論についてふまえて書評を行った。180-182頁(総3頁)
以上22点

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