教育研究業績の一覧

鄭 祐宗
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 授業アンケートの実施(初回時と学期半ば)を通じた受講学生とのコミュニケーションの充実 2012-04-00 ~ 授業アンケートについては、学期末の全学アンケートのほかに、「初回時アンケート」と「学期半ばアンケート」を実施している。「初回時アンケート」の目的は、受講学生の「韓国・朝鮮語」に対する関心の背景を知るために、また、「学期半ばアンケート」の目的は、受講学生の理解度、満足度を知るために行なっている。
2 ペアワークを通じ受講学生の自主的な学びを実現 2012-04-00
~2018-03-31
授業運営における工夫は、「発話中心の授業運営」である。授業の中では、「話す・聞く」を重視し、これを土台に、「ハングル文字の書き取り」を組み立て、最終的には「正書法の習得」を目指した。授業で行なう発音練習、会話練習の雰囲気はとてもよい。その鍵になっているのが、ペアワークである。教授法に関しては、「教員の説明」→「発話の練習」→「コミュニケーションの練習」→「教員の説明」という反復を基礎とした。
3 情報処理教室を利用した韓国・朝鮮語のパソコン入力の指導 2012-04-00 ~ 情報処理教室を使って、パソコンを利用した韓国・朝鮮語の文字入力を指導している。
4 民俗遊び(ユンノリ、コンギノリ等)を通じた文化体験実践 2012-04-00 ~ 韓国・朝鮮文化に身近に紹介するため、授業の中に民俗遊びを取り入れている。
5 ハングル能力検定5級の問題を使った学習の実践 2012-04-00 ~ 授業の運営は、教科書の内容を中心に行なっているが、学年末には発展的な内容として、ハングル能力検定5級の問題を使った学習の実践を行なっている。
6 オフィスアワー等を設定し、受講学生の学習相談の機会を保障 2012-04-00
~2018-03-31
受講学生の学習を助けるため、適宜オフィスアワー等を設定し、質問・学習相談の機会を保障した。非常勤講師としての勤務期間においては総合研究室で行った。こうした学習相談に学生自身が積極的に応じた結果、日常的な授業運営への肯定的な影響のみならず、学生自身の自主的な学びを促進する相乗的な効果があった。
7 毎授業ごとに理解定着度を図るシートの記述作成を義務づけ、それを学生に還元して、内容理解の定着を図る 2014-04-01 ~ 文学部第2学年以上の国際文化学科学生を対象に、第二次大戦後の朝鮮現代史について講義している。講義はレジュメ配布と板書による講義形式で行い、適宜映像資料を用いながら、授業毎に理解定着度を確認するシート提出を求めている。学生たちの記述内容をまとめ、翌週授業にて印刷、配布し学生に還元している。板書中心のスタイルでノート作成を学生に義務付け、筆記定期試験により成績評価している。
8 コミュニケーションペーパーの配付 2014-09-00 ~ 授業ごとにコミュニケーションペーパーを配付し、学習内容のまとめ/感想の記述/質問用紙として、活用している。このコミュニケーションペーパーは、最終的には受講学生に返却し、自主的な学びのために役立てている。そのほか、レポート課題の作成に当たって、情報処理教室を使用し、レポート作成のためのガイダンスを行なっている。
9 受講学生の学外学習を指導 2015-01-22 受講学生を引率して、人権週間ギャラリー展「誠信交隣を願って―日朝・日韓関係の歴史と現在」(真宗大谷派解放運動推進本部主催)を訪問し、展示内容の解説を行った。学生が古代から現代までの日本と朝鮮との交流史を実践的に学ぶ機会を提供した。
10 講義科目受講生に書評作成を指導 2015-01-22 学科学生に読書を促すための工夫として、授業内で書評作成を指導した。あらかじめ関連する著作一覧を提示し、受講生約30名がそれぞれ取り組もうとする本を選択したのち、教員は書評作成を指導し、12月中に提出を求めて、1月中に校正を指示したのち、完成稿を1月下旬書評集として作成し、冊子体で印刷配布した。なお学生同士の選択した書評本が互いに重複しないよう調整した。同じ授業を受ける学生が身近に読書を同時進行で行ない、さらに重複しない本を選ぶことによって、受講生同士の知的関心を刺激するのに役立った。またもともと読書が苦手だった教員自身の経験から読書の面白さを知るに至った経験を等身大で伝えられるように工夫した。
11 小テストを効果的に行ない授業内容理解の定着強化を図る 2015-04-01
~2018-03-31
授業内容理解の定着を図るべく、小テストを定期的に組み込みつつ、不合格者には再テストを課した。こうした地道な取り組みは、学生の日常的な学習習慣を身につけさせるのに役立ち、また再テストの機会を利用して、授業内容の理解につまずきがちな学生の個別フォローの機会を保障することができた。
12 留学生指導 2015-04-01 2015年度に中国からの留学生3名、2016年度に韓国からの留学生1名を指導した。指導教員として国際交流合宿、カフェイベントやフィールドワーク企画を開催し、在学生と留学生との交流をサポートした。特にナショナリズムに寄りかからない対面関係に基づく国際交流を心掛け、学生を指導した。日常的に留学生と在学生との分け隔てのない交流を実現し、学生各人にとって満足度の高い国際交流の環境を作り出した。

13 1930年代朝鮮の食文化史に関するワークショップ企画 2015-04-21 1930年代朝鮮の食文化史について、ゼミ学生(第2学年~第4学年)を対象に、1930年代朝鮮人家庭の日常食に関する試食(事前調理した再現食)と文化史の講義を通じて、体験的な学習イベントを企画・運営した。
14 韓国・朝鮮の食文化体験学習の企画・実施 2015-07-03 韓国・朝鮮の食文化研究として、大学内の栄養実習室を使用し、食文化の調理実習を通じた文化理解企画を実施した。2016年度には2016年7月8日に同様の企画を開催した。ごま油、味噌、醤油などの韓国・朝鮮の調味料文化のレクチャーを行ない、調理実習を通じて文化理解を深めた。
15 合宿形式の卒論中間報告会の開催 2015-07-11
~2015-07-12
2015年度~2017年度の毎年7月~8月に学科教員と連携して第2学年~第4学年の学生30人規模のゼミ合宿を実施し、卒論中間報告会を開催した。2015年度と2017年度は大谷大学湖西キャンパスセミナーハウスにおいて1泊2日の日程で実施し、2016年度は兵庫県立いえしま自然体験センターにて9月に2泊3日の日程で実施した。合宿を通じて学術研究を深めるとともに、寝食を共にゼミ学生同士の親睦を深めた。
16 フィールドワークの企画・引率 2015-07-30 2015年7月30日に大阪人権博物館、関西沖縄文庫へのフィールドワークを企画・運営しゼミ学生を中心に大谷大学学生が8名参加し引率した。また同年8月23日に滋賀朝鮮初級学校、同年8月30日に国立民族学博物館へのフィールドワークを企画運営し大谷大学学生が6名参加し引率した。
17 オープンキャンパスでの模擬授業 2015-09-20 大谷大学でのオープンキャンパスにおいて韓国・朝鮮の音楽文化を主題に異文化理解に関する模擬授業を行ない、見学来場者16名が参加した。

18 韓国・朝鮮の音楽文化に関する指導、ゼミ学生の舞台出演 2015-11-15 韓国・朝鮮の民族打楽器を使ったサムルノリの実技を指導し、ゼミ学生を中心に学科学生11名が大谷大学学園祭に舞台出演した。また、2017年4月8日には東本願寺岡崎別院での地域音楽のブースに出展参加した。
19 書評の作成指導、冊子印刷 2016-01-08 ゼミ学生(第2学年)の日常的な読書を促すために、韓国・朝鮮文化研究に関わる著作の一覧を提示し、学生がそれらより1冊を選択して読書し、読後に書評を作成した。教員がそれらの書評をとりまとめたものを「書評集」として冊子印刷し、ゼミ生に配布した。この取り組みの中で最優秀と優秀作品を教員が選定し、学生の研究意欲を高めるために工夫した。竹国友康『韓国温泉物語―日朝沐浴文化の交流をたどって』(岩波書店、2004年)を取り上げた学生の書評を最優秀として表彰した。
20 第2学年と第3学年のゼミ科目における文献講読とレポート作成の指導 2016-04-01 第2学年・第3学年を対象とする「国際文化演習Ⅱ~Ⅲ」では、ゼミ学生(現代アジアコース)の学科専門教育を担当し、日朝文化交流史について演習形式で授業を進行するとともに、各学年の到達目標に応じた文献講読とディスカッション、レポート作成と添削を通じて、卒業論文作成に向けた学生の問題意識の深化を図った。
21 第1学年クラスにおける文献講読とレポート作成の指導

2016-04-01 第1学年を対象とする「国際文化演習Ⅰ」を担当し、他者理解について演習形式で授業進行し、資料検索の方法、アカデミック・ライティングを指導した。レポートに対しては、添削・コメントを返却し、学生を指導した。主たる文献講読のテキストに、タハール・ベン・ジェルーン『娘に語る人種差別』(青土社、1998年)を使用し、その他に平野健一郎『国際文化論』(東京大学出版会、2000年)、藤川隆男『人種差別の世界史―白人性とは何か?』(刀水書房、2011年)を用いた。
22 ゼミ指導学生の留学送り出し 2016-04-01 ゼミ学生のうち2016年度に4名(うち交換留学4名)、2017年度に5名(うち交換留学3名)の計9名の学生を韓国留学へ送り出した。送り出し先の大学は、東国大学校、慶熙大学校、東西大学校であった。指導教員として推薦書を作成し学生の留学実現を後押しした。留学中には学生の状況をメール等を通じて把握し、学生指導を図った。学生は留学を通じて、文化理解を深め、語学力と問題発見力を大きく伸ばした。
23 ハングル能力検定試験対策講座の指導 2016-05-12 ~ 2016年度~2017年度に正規授業とは別に「ハングル能力検定対策講座」(グローバルスクエア主催)を担当し、前期は5・6月期、後期は10・11月期に学生を指導した。「5級」「4級」「3級~準2級」の3つのレベルの講座を学期毎の入れ替わりで運営した。少人数制の授業で受講学生の個別リクエストを聞きながら聞き取り問題を中心に学習をきめ細やかにサポートした。受講学生の多くがハングル能力試験4級に合格した。
24 高等学校等での模擬授業 2016-06-04 京都翔英高等学校において2016年6月4日に韓国・朝鮮文化に関する模擬授業を行った。そのほか、2016年10月26日に大谷中学校で人権学習の講演を行ったほか、2017年3月13日に堅田高校、同年7月1日に比叡山高校で模擬授業を行なった。
25 ロジャー・シェパード写真展「JUST KOREA-朝鮮半島の山々は連なる」 2016-09-20
~2016-10-31
ゼミに関わる教育研究の社会的発信として、「JUST KOREA-朝鮮半島の山々は連なる」(写真家ロジャー・シェパード氏の写真展・招聘講演会・関連セミナー)を大谷大学(9月20日~9月30日)としんらん交流館(10月4日~10月31日)で開催し、企画・運営・連絡調整業に従事した。同事業は、2007年から2012年にかけて白頭山から智異山までのDMZを除く朝鮮半島の脊梁山脈を踏破したニュージーランド出身の登山家ロジャー・シェパード氏の日本初公開写真展である。本事業に対して真宗大谷派から後援を受けるとともに、朝日新聞、毎日新聞、京都新聞、共同通信からの取材を受け、新聞記事として配信・紹介されたほか、NHK京都支局放送にて紹介された。
26 図書館選書ツアーの実施 2017-07-13 大谷大学図書館と連携し、学生による図書館選書ツアーを企画・引率した。ゼミ学生7名が参加し、卒業論文作成に必要な参考資料について、訪問先書店で選書活動を行ない、人文・社会科学関連書籍について知識を深めた。
27 「先生おすすめの本」のブックレビューを作成し展示 2017-10-16 大谷大学図書館と連携し「先生おすすめの本」コーナーにブックレビューとなる紹介文を5点作成し、パネル展示した。図書館や読書についての話題作りを盛り上げ、授業外における学習を促進する取り組みとなった。
28 大学祭における展示 2017-11-11
~2017-11-12
第4学年ゼミ学生が大学祭に展示企画を出展し、チョゴリ体験試着、パネル展示などを行ない、それらの展示企画をサポートした。展示には二日間で学内・学外から約100名の来場者があった。日頃の学生のゼミでの学びを公開的に周知する企画となった。
29 卒業論文の指導、口頭試問の主査 2018-01-25 第4学年「国際文化演習Ⅳ」では2017年度前期・後期を通じて、卒業論文作成を指導するとともに、2018年1月には卒論主査を担当した。卒論の経過報告について個別に対応し、オフィスアワーおよびその他の時間を利用して、個別に学生の進捗状況の確認を行い、質の高い卒論指導に結び付けた。
30 大谷大学における「学生による授業評価」
※10名以上の受講生のいる授業で実施された。

2018-01-25 結果は下記の通りであった。
2015年度 前期 (全学の平均点4.2)
韓国・朝鮮語2a    4.8 
韓国・朝鮮語(再)3  4.0
国際文化演習Ⅱ-7a 4.8

2015年度 後期 (全学の平均点4.3)
韓国・朝鮮語2b    4.5
韓国・朝鮮語(再)4  4.0
国際文化特殊講義4   4.2

2016年度 前期  (全学の平均点4.3)
韓国・朝鮮語2a    4.8 
韓国・朝鮮語(再)3  4.5
国際文化演習Ⅰ-2a 4.3
国際文化演習Ⅱ-7a 4.8

2016年度 後期 (全学の平均点4.3)
韓国・朝鮮語2b    4.7
韓国・朝鮮語(再)4  4.3
国際文化演習Ⅱ-7a 3.9
国際文化特殊講義4   4.0 

2017年度 前期 (全学の平均点4.3)
韓国・朝鮮語2a    4.2
韓国・朝鮮語(再)3  4.1
国際文化演習Ⅲ-10a  4.1
表現文化演習1    4.5 

31 関西学院大学国際学部「文化越境論」におけるオンデマンド授業の実施

2020-04-01 新型コロナウイルス感染状況の拡大により、授業の事前録画配信によるオンデマンド方式で授業を実施するとともに、毎回の授業において学生にコメント作成を課し、出席学生全員(平均して各回ごと約50名)に対して講師のコメントを毎回返却することで、学生の授業内容の理解をより深めるべく工夫を行なった。
32 関西学院大学国際学部「文化越境論」における「学修行動と授業に関する調査」 2020-07-28 履修登録者82名に対して、有効回答22名があった当該アンケートにおいて、「あなたは、全体としてこの授業に満足していますか」という設問で5点満点中3.7(全学平均3.9)であり、「この授業は、担当者からシラバスに示された課題(試験やレポート等)に対するフィードバック、もしくはフィードバックに関する説明が十分にあった」という設問で4.8(全学平均3.8)、「この授業は、担当者が学生の理解度を確認しながらこの授業を進める工夫をしていた」という設問において4.0(全学平均3.6)であった。
33 学外授業実施(ウトロ平和祈念館) 2022-02-10 「国際文化演習Ⅱ」の受講生を引率し、ウトロ平和祈念館見学(ガイド案内あり)とウトロ地区フィールドワークを実施した。 第二次大戦中、京都飛行場建設に動員された労働者の居住地区だった京都府宇治市のウトロは、京都における戦後在日朝鮮人集住地区の一つとして成立した一方、居住者たちは土地に関する権利関係が居住当事者に帰属しない不安定な状況を長らく生きることとなり、強制立ち退きの不安の中を生きた。最高裁における住民敗訴判決と対峙する形で、2001年国連社会権規約委員会(スイス・ジュネーブ)は日本政府報告書審査に対する総括所見において、ウトロ住民(約70世帯、230人)を強制立ち退きから救済するよう日本政府に勧告し、日本政府・京都府・宇治市は市民運動と当該国連勧告とを受け、2018年ウトロ市営住宅(40世帯入居)完成に動いた。植民地支配とアジア太平洋戦争遂行の現場であり、また在日朝鮮人の生活と運動の現場であり、さらには国際人権法を用いた権利実践の現場となったウトロを歩き、人権の実現について学んだ。
34 映画『ニジノキセキ』上映会の開催 2023-04-18 「国際文化演習Ⅲ」の授業の一環として、大谷大学響流館メディアホールにおいて、映画『ニジノキセキ』上映会(2019年/80分/日本/監督:朴英二、金功哲)を開催した。同作品は、学校法人兵庫朝鮮学園に通う在日コリアンの高校生、中学生、小学生を主人公に、JR神戸線での通学風景、学校での学び、家庭生活にフォーカスし、民族教育に関わる日常の風景を描いている。同作品を鑑賞することを通じて、在日コリアンの民族教育に関わる日常的実践に触れ、民族的背景が尊重され自己肯定感をはぐくむ場を保障することの意味について考える機会を提供した。学生たちにとっては、民族教育の始まりから、同化状況における母国語・継承語への権利、こうした自由を回復し獲得する運動の軌跡について学ぶ機会となった。
35 映画『ワタシタチハニンゲンダ』上映会の開催 2024-01-23 「国際文化演習Ⅲ」の授業の一環として、大谷大学K405おいて、映画『ワタシタチハニンゲンダ』上映会(2022年/114分/日本/監督:高賛侑)を開催した。
36 窪誠さんゲスト講義「「結ぶ幸せ」と「切る幸せ」」の開催 2024-01-23 「国際文化演習Ⅲ」の授業実践として、窪誠さん(国際人権論研究)のゲスト講義「「結ぶ幸せ」と「切る幸せ」」を開催し、判断決定する者(判断決定者)と判断され決定される者(被判断決定者)との分離に基づく問題設定権力に依存していること、こうした分離構造を見据えながら、私たちが歴史的かつ政治経済的な分析を伴った主体的な「知」を構築していく道筋について考えた。

2 作成した教科書、教材、参考書
1 配付プリントのファイリングの指導 2012-04-00 ~ 授業で参考になる資料をプリントにし、授業の進度に合わせて配付している。これらの配付プリントは、事前にパンチで2穴を開けた状態で配付し、受講学生にはファイルさせ、必ず授業に携帯させて活用している。
2 韓国・朝鮮語教育に関わる副教材の作成(大谷大学、龍谷大学) 2012-04-01 初級クラスにおいては、ハムニダ体、ヘヨ体、連用形、尊敬形、過去形などの活用に取り組むことになるが、それぞれの活用規則を図式化した活用表を独自に作成し、システマチックな指導を心掛けた。中級クラスの授業運営においては、連体形、変則用言の活用等の習得が目標となるが、初級レベルでの実践を引き継いで活用表を作成し、基礎的な反復練習に力を入れることによって、授業内容理解の定着をうながし、学生自身が自ら学べる力を育てることを意識して指導した。
3 韓国・朝鮮語「活用表」の作成 2014-00-00 ~ 韓国・朝鮮語の授業において、「発声プリント」というシリーズで「活用表」を作成し、動詞・形容詞等の活用について受講学生の学習定着度を高めるために、システマティックな指導にあたっている。
4 フィールドワーク資料の作成 2015-07-15 大阪市生野区、山口県下関市のコリアタウンなど地域の国際交流に関わる資料を作成し、学生・研究者向けのフィールドワーク教材として使用した。
5 語学学習手引書の作成(大谷大学) 2017-08-05 学科教員と連携し韓国・朝鮮語の学習手引書を独自に作成、学内で無料配布し、オープンキャンパスや語学講座の際に使用した。

3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
1 学科FD研究会における報告 2016-03-30 大谷大学文学部国際文化学科における学科FD研究会において「国際文化演習Ⅰ」の授業実践について学内発表を行なった。そのほか、2015年度~2017年度まで全学FD研修会に参加し、研修会を通じて授業実践について学び、学内教員と意見交換を行なった。

4 その他教育活動上特記すべき事項
1 同志社大学日朝関係史講座 2010-00-00 ~ 本講座は、古代から現代までの日朝関係史をテーマに、毎週金曜日に複数講師のリレー方式(オムニバス)により運営されており、近現代史を担当する講師として講座に参加している。
2 韓国/朝鮮の映画をみよう 2016-01-00 2016年1月14日~16日までの三日間連続企画として、「韓国/朝鮮の映画をみよう」(本学グローバルスクエア主催)を本学響流館3階メディアホールで開催し、企画運営に携わった。企画二日目「ある女学生の日記」上映会では口頭での作品解説を行なった。
3 映画上映会の開催 2016-01-14
~2016-01-16
大谷大学語学学習支援室グローバルスクエア主催の映画上映会「韓国/朝鮮の映画をみよう」を2016年1月14日~16日まで開催し、企画・運営・連絡調整を担当したほか、上映会二日目に舞台において作品解説を行った。作品として、삼포 가는 길(森浦へ行く道)、한 녀학생의 일기(ある女学生の日記)、우리들의 일그러진 영웅(我らの歪んだ英雄)を上映し、学内学外からの参加者を得て地域に開かれた文化理解企画となった。
4 入学予定者スクーリングの指導 2016-03-21 入学前事前スクーリングを担当し、課題図書のレポート添削、ワークショップの開催に従事した。
5 オープンキャンパスでの学科イベント「国際文化の学び」 2016-08-06
~2016-08-07
2016年度オープンキャンパスでの学科イベント「国際文化の学び」の企画・運営に従事し、ミニ語学教室、韓国・朝鮮伝統打楽器の体験イベントを担当し、来場者に学科の学びを紹介した。
6 高大連携による出張講義(大谷中学校) 2016-10-00 大谷中学校の人権学習の出張講義として「丸く生きよう」という題で講義し、プロジェクターを用いた韓国・朝鮮文化の紹介と打楽器チャングの実演を通じて、異なる文化を持つ人々に対して関心を持つことの重要性についてともに考える時間を共有した。(50分×1コマ)
B 職務実績
1 ドキュメンタリー番組制作への資料提供

2010-07-25 NHKスペシャル・シリーズ「日本と朝鮮半島」第4回「解放と分断 在日コリアンの戦後」において資料提供を行った。(資料提供者として放送に役割掲載)
2 博物館展示における資料提供 2011-03-01
~2011-03-20
朝鮮近代史をテーマにした「韓国併合」100年特別展<巨大な監獄、植民地朝鮮に生きる>(立命館大学国際平和ミュージアム) に資料提供者として協力した。(図録に役割掲載)
3 ドキュメンタリー番組制作への資料提供 2013-07-27 NHK戦後史証言プロジェクト「日本人は何をめざしてきたのか」第4回「猪飼野 在日コリアンの軌跡」の番組制作において資料提供を行った。(資料提供者として放送に役割掲載)
4 展覧会における企画・運営・連絡調整 2016-09-20
~2019-10-31
「JUST KOREA-朝鮮半島の山々は連なる」(写真家ロジャー・シェパード氏の写真展・招聘講演会・関連セミナー)を大谷大学(9月20日~9月30日)としんらん交流館(10月4日~10月31日)で開催し、企画・運営・連絡調整業に従事した。
5 附属研究所等における研究活動 2018-04-01
~2019-03-30
学習院大学東洋文化研究所2018年度「東アジア学」共創研究プロジェクトに採択され、研究課題「入江啓四郎の国際法・外交史研究と朝鮮問題」の課題のもと国際法・外交史に関わる研究活動に従事した。(受入研究者:村主道美教授)
6 附属研究所等における研究活動 2018-04-01
~2019-03-31
 同志社大学人文科学研究所部門研究「衣食住文化からみた解放前後の日韓関係」の共同研究に参加し、韓国・朝鮮文化史に関する研究活動に従事した。(研究代表者:板垣竜太教授)
7 ドキュメンタリー映画制作への資料提供 2018-04-14  映画「アイたちの学校」(高賛侑監督)の制作において資料提供を行った。(資料提供者として映画に役割掲載)
8 附属研究所等における研究活動 2019-04-01 ~ 同志社大学人文科学研究所部門研究「体制形成期北朝鮮の文化史の学際的研究」の共同研究に参加し、韓国・朝鮮文化史に関する研究活動に従事している。(研究代表者:板垣竜太教授)
9 外部資金の獲得(三菱財団人文科学研究助成:研究代表者)

2019-10-01
~2020-12-31
 2019年度三菱財団人文科学研究助成「裁判資料を活用した占領期民衆社会史研究-阪神地域と関門地域を中心に-」の研究代表者として、研究活動に従事した。
10 外部資金の獲得(李熙健韓日交流財団:フェローシップ)

2019-10-01
~2020-03-31
李熙健韓日交流財団韓国研究次世代学者支援事業フェローに採用され、「初代国連事務総長トリグブ・リーと朝鮮問題―北ヨーロッパと東アジアの連鎖的視点から」の調査研究の一環として、2019年12月17日~2020年1月8日まで渡欧し、オランダ(ハーグ)の平和宮図書館、オランダ国立図書館、ライデン大学ハーグカレッジ、ノルウェー(オスロ)のノルウェー国立図書館、オスロ大学での調査研究に従事した。
11 外部資金の獲得(科学研究費助成事業:研究代表者) 2020-04-01
~2023-03-31
科学研究費助成事業(若手研究)「戦後日本の国際法学者による朝鮮問題の法理論争」(研究課題番号:20K13334 2020.4.1~2024.3.31)の研究代表者として、研究活動に従事した。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2006-04-00~0000-00-00 在日本朝鮮人人権協会
2 2011-10-00~0000-00-00 朝鮮史研究会 ※2020年6月~現在 朝鮮史研究会関西部会幹事
3 2018-12-00~0000-00-00 アジア国際法学会日本協会
4 2021-08-00~0000-00-00 国際高麗学会
5 2023-05-21~0000-00-00 世界法学会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 玄海灘を渡った女性信徒たちの物語―岸和田紡績・朝鮮人女工・春木樽井教会共著 2015-02-00かんよう出版 本書は戦前の日本における朝鮮キリスト教会と信徒たちの渡航・生活・労働について証言編と歴史編によって構成される。本人担当部分は、歴史編であり、1930年代大阪府泉南郡樽井村在住朝鮮人の食文化の実践を論じた。同化政策という帝国による垂直的な異文化支配の中で、在日朝鮮人の生活文化は如何なる変容を受け、また日本と朝鮮の民衆の交流が如何に展開されたかを述べたものである。
[総頁数]176頁
[本人担当]第二部・歴史編の「一九三六年、樽井村の食卓から―チョソンパンチャン!アンニョン!」
[掲載頁数]27頁(pp.114~140)
[執筆者]金成元、金英淑、朱明雄、辛基一、辛信子、朴順済、安有恒、金必順、樋口洋一、鄭祐宗、鄭富京
2 「外国人学校」への寄付金と税控除に関する覚書単著 2016-03-00生活書院 書名:『生存学 VOL.9』
本稿は、「外国人学校」に対する寄付金と税控除に関する現状を批判的に検討した論考である。「統合の境界線/排除の境界線」という用語を用いて、「外国人学校」の分類と定義をめぐるポリティクスを検討した。
全体のページ数:322頁
本人担当:特集1「Hate and War:Japanese Question」の分担執筆 8頁(44頁~51頁)
編者:立命館大学生存学研究センター
分担執筆:堀田義太郎、橋口昌治、鄭祐宗、原佑介、梁説、永田貴聖、笠木丈、中倉智徳、竹中悠美
以上2点
Ⅱ学術論文
1 「外国人登録法制における登録制と身分証制の性格に関する基礎的考察」単著 2010-03-00『大阪大学日本学報』
第29号(大阪大学大学院文学研究科日本学研究室)
在日外国人管理をめぐる1940年代・50年代の法制度史を主題とし、外国人登録法における「登録制」と「身分証制」の二つの制度の展開を分析した論文である。法令、行政通達、判例を検討し、外国人登録証明書の常時携帯提示義務、指紋押捺義務に見る人身の自由の否定に関わる論理構造を検討した。
21頁(pp.45~65)
2 「解放後在日朝鮮人教育史研究の方法と実践」 単著 2010-06-00『教育史・比較教育論考』第20号(北海道大学教育学部教育史・比較教育研究室) 当該論文では、在日朝鮮人教育運動史を考察する視角として、民族教育権の独立性と教育費支給の社会経済的権利との連動に切り込み、1940年代と1950年代の論点を取り上げた。
9頁(pp.48~56)
3 「在日朝鮮人教育闘争における二重の課題について―政治闘争と経済闘争の結合問題に関する考察(1947年―1948年)」単著 2010-07-00『立命館大学コリア研究センター次世代研究者フォーラム論文集』第3号(立命館大学コリア研究センター) 在日朝鮮人史における「生活」と「運動」の結節点に「教育」という論点を位置づけ、1947年~48年の阪神教育闘争に至る教育運動の展開を実証的に明らかにした。教育自主権と社会経済的権利とを「二重の課題」として位置づけ、二つの権利の連動という問題展開に着目した。当該論文について、朝鮮史研究会編『朝鮮史研究入門』(名古屋大学出版会、2011年)「第8章 現代史」において新しい研究動向として取り上げた。
19頁(pp.55~73)
4 「植民地支配体制と分断体制の矛盾の展開―敗戦後山口県の対在日朝鮮人統治を中心に」単著 2011-03-00『立命館法学』通巻第333・334号(立命館大学法学会)

当該論文は、山口県文書館が所蔵する行政文書を検討し、朝鮮総督府をはじめ植民地統治機構出身官吏らの戦後山口県における県内任用の実態を明らかにするとともに、こうした県内任用と戦後在日朝鮮人政策との関連性を検討した。同論文については、『山口県史 史料編 現代5』(山口県、2017年)が取り上げた。
48頁(pp.2328~2375)
5 「公職追放と朝鮮研究―特別高等警察から外国人登録担当官への任用例の検討」単著 2012-04-00『玄海灘』第7号(立命館大学우리同窓会)

当該論文は、占領期公職追放を主題とし、国立公文書館が所蔵する公職適否中央審査委員会等文書を用いて、戦時期特高経歴者(京都府警察部の内鮮係)の戦後の再任用を検討した事例研究である。
16頁(pp.311~326)
6 「「朝鮮人の、朝鮮人による、朝鮮人のための教育」の道―中大阪朝鮮初級学校土地問題の解決を展望する」

単著 2013-12-00『人権と生活』第37号(在日本朝鮮人人権協会) 当該論文は、戦後大阪における唯一の公立朝鮮人学校であった大阪市立西今里中学校の成立過程を、外務省外交史料館、大阪市公文書館所蔵資料を通じて明らかにし、学園設立の歴史的背景、日本・朝鮮の民衆の連帯の意義を論じた。
7頁(pp.46~52)
7 「解放後在日朝鮮人の政治社会史」(博士学位論文)単著 2014-03-00大阪大学 当該博士論文は、戦後日本の在日朝鮮人政策が、植民地支配の歴史的継続なのか、朝鮮戦争との同時代的連関の中で捉えるべき新たな性質を持つものなのかという大きな問題設定のもとに、朝鮮人の主体的あり方が、植民地支配、分断・戦争という状況のなかで、いかなる統治の論法によって規制され、またいかに突破する論理と行動を模索したかを同時代的かつ総合的に検討した研究である。
[総頁数]232頁
8 私が『山口県史』から引き継いで考えてきたこと単著 2015-05-00『第8回強制動員真相究明全国研究集会「強制連行問題をどう終わらせるか」<報告集>』、強制動員真相究明ネットワーク編 朝鮮問題と山口県との関わりについて実証的に研究してきた立場から、自治体史として編纂された『山口県史』(特に、『山口県史 史料編 現代二』2000年)における朝鮮関係の記述について具体的に検討し、同書の史料批判を行なうとともに、より普遍的な視座から、史料に対する注釈を書き加えていくことの重要性を個別事例に即して述べたものである。
8頁(17頁-24頁)
9 「日本の戦後体制の形成と解放後在日朝鮮人の地位問題の行方-一九四九年「田中意見書」の位置付け」

単著 2015-12-00『人権と生活』第41号(在日本朝鮮人人権協会) 当該論文は、1949年山口県知事田中龍夫が米第八軍に提出した意見書「朝鮮人問題とその対策」(田中意見書)を検討し、戦後日本の対朝鮮半島政策に関する思想と実践を主題とする。①1945年10月~11月の「清瀬意見書」と相並んで、②1949年2月~3月「田中意見書」が戦後日本の対在日朝鮮人政策の針路選択における第二の転換点であったと位置づけた。5頁(pp.24~28)
10 「朝鮮人強制連行研究における「労働力不足説」「労働力充足説」の検討―1939年-1942年の炭鉱労働者としての配置を中心に」単著 2016-01-00『大原社会問題研究所雑誌』第687号(法政大学大原社会問題研究所) 朝鮮人強制連行に関わる先行研究において検討されることがなかったと二つのステレオタイプである「労働力不足説」と「労働力充足説」に対する批判的実証研究であり、1939年から1942年の炭鉱労働者を中心に分析した。
18頁(pp.48~65)

11 「「外国人学校」への寄付金と税控除に関する覚書」

単著 2016-03-00『生存学:生きて存るを学ぶ』第9号(立命館大学生存学研究センター)

当該論文は、日本における「外国人学校」への寄付金と税控除に関する日本政府の取り扱いの現状を主題に、「統合の境界線/排除の境界線」という視角から当該分類の政治を検討した。
8頁(pp.44~51)
12 「一九四八年朝鮮人学校閉鎖令の史料批判」単著 2018-12-00『人権と生活』第47号(在日本朝鮮人人権協会) 当該論文では、文部科学省所蔵文書『国内処理(朝鮮人問題)』に含まれる1948年1月24日付「朝鮮人設立学校の取扱いについて」(文部省学校教育局長通達)草案作成過程を検討した。当該通達の原型が1947年10月3日東京都教育局長通牒にあること、この東京都フレームを文部省がのちに採用し全国化したことを明らかにした。この東京都フレームが根拠とした上位規範はSCAPの指令や覚書ではなく、米太平洋陸軍の発表であったが、1948年1月以後日本政府はこれをSCAPのものと歪めて説明し、朝鮮人学校の取扱いに臨んだ。
5頁(pp.24~28)
13 「入江啓四郎の国際法・国際政治研究と朝鮮問題」単著 2020-03-00『東洋文化研究』第22号(学習院大学東洋文化研究所)

当該論文は、国際法学者入江啓四郎による朝鮮問題を論じる視角について、1945年から1950年代末までの論説を検討し、入江が提起した朝鮮分断状況の一国二政府論、朝鮮動乱の内乱論、米ソ両軍撤退による北緯三八度線の自動消滅論に関わる学説の成立過程を明らかにした。またあわせて入江の国際政治研究における冷戦認識の過剰論、戦争不可避論、朝鮮半島の火薬庫性論のそれぞれに対する批判と、それらを総合した国連安保理万能論批判に至る論理の構築過程を明らかにした。
36頁(pp.33~68)
14 「戦後日本の国際法学者における朝鮮問題認識」 単著 2021-10-00『韓国朝鮮の文化と社会』第20号(韓国・朝鮮文化研究会)  当該論文は、1950年代~1960年代の日本の国際法学者による朝鮮戦争認識に関わる系譜として、1)入江啓四郎による南北朝鮮の内乱と米統合軍による干渉としての系譜、2)横田喜三郎による南北朝鮮の国家間戦争とそれに対する国際警察行為の発動としての系譜、3)山手治之による派兵諸国の国連憲章違反と違法性阻却不可の系譜の三者を把握し、1950年代における山手による横田批判を中心に論じた。
26頁(pp.19~44)
以上14点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 「朝鮮解放直後期における朝鮮人と出入国管理との対抗―大阪府における「計画輸送」実施から外国人登録令実施過程を中心に(1946-1947年)口頭発表(一般発表) 2008-03-00朝鮮史研究会関西部会2008年3月例会(於:河合塾大阪校) 1946年3月から同年12月にかけて実施された朝鮮人、台湾人、沖縄人等の計画輸送について、大阪府の事例を報告した。報告では、大阪府公文書館所蔵の史料を用いて、朝鮮人計画輸送の実態を検討するとともに、人々の生活との接点についてプランゲ文庫所蔵の朝鮮語新聞資料を素材と突き合せた。
[発表時間]60分
[要旨掲載]『朝鮮史研究会会報』第172号、5頁(pp.13~17)
2 「「外国人登録法」への思考―制裁の論理とその矛盾」口頭発表 2009-07-00日本学方法論の会シンポジウム「いま、指紋押捺を再考する」 (於:大阪大学豊中キャンパス) 当該発表は、外国人登録法の常時携帯提示義務と供述拒否権との対立、外国人登録法の公訴時効という法学的論点と、奴隷制・植民地主義という歴史学の概念とを接合させて議論し、人身の自由をキーワードに論じた。
[発表時間]20分
3 「朝鮮現代史と山口県―解放後在日朝鮮人運動抑圧の性格分析」口頭発表(一般発表) 2011-10-002011年度朝鮮史研究会大会(於:立命館大学衣笠キャンパス) 当該発表では、1949年田中龍夫山口県知事による「朝鮮人問題とその対策」という文書の史料発掘の成果、歴史的意義を明らかにした。1948年~1952年にかけての山口県知事部局を検討し、県と政府両者の相互関係のあり様について報告した。
[発表時間]50分
[要旨掲載]『朝鮮史研究会会報』第185号、1頁(p.3)
4 「文献紹介:金廣烈ほか(朴東誠監訳)『帝国日本の再編と二つの「在日」―戦前、戦後における在日朝鮮人と沖縄人』(明石書店、2010年)」書評 2011-12-00『同時代史研究』第4号(同時代史学会) 「日本敗戦」、「マイノリティー」、「冷戦体制」をキーワードに『帝国日本の再編と二つの「在日」―戦前、戦後における在日朝鮮人と沖縄人』に対する書評を行なった。
1頁(p.109)
5 「書評報告: 鄭栄桓『朝鮮独立への隘路-在日朝鮮人の解放五年史』(法政大学出版局、2013年)」口頭発表(書評発表) 2013-11-00朝鮮史研究会関西部会2013年11月例会(於:河合塾大阪校)

1945年~1950年の在日朝鮮人の解放五年史を主題とする同書の書評報告を行った。書評報告では、従来の通史的叙述であった①尹健次「「帝国臣民」から「日本国民」へ―国民概念の変遷」(『戦後日本 占領と改革』第5巻、岩波書店、1995年)、②文京洙「戦後60年と在日朝鮮人―“国民”の呪縛を超えて―」(『思想』通巻980号、岩波書店、2005年)との比較分析を行った。
[発表時間]50分
6 解放後在日朝鮮人の歴史―マッカーサーの「三つの帽子」を手がかりに考える―講演 2014-06-002014年文化センター・アリラン連続講座 日本占領にあたったダグラス・マッカーサーが、三つの組織の司令官であったことはあまり知られていない。マッカーサーは、「連合国軍最高司令官」、「米太平洋陸軍最高司令官」(1947年より米極東軍に改称)として日本を占領し、1950年7月にはさらに「国連軍最高司令官」に任命され、最終的に三つの職責を兼任する。講演では、こうしたマッカーサーの「三つの帽子」を手がかりに、連合国/米軍/国連軍の三者を区別しながら、戦後の在日朝鮮人の取扱いの歴史について考えた。
発表時間=90分
7 「朝連大阪本部発行の連盟員証」資料解説 2015-01-00『在日コリアン家庭に眠る歴史資料集』(在日コリアン青年連合)

在日本朝鮮人連盟の連盟員証に関わる資料解説として、1945年の時代背景、特にGHQ/SCAP占領期の在日朝鮮人の法的地位を論じた。
3頁(pp. 20~22)

8 「私が『山口県史』から引き継いで考えてきたこと」論説 2015-03-00『第8回強制動員真相究明全国研究集会報告集』(強制動員真相究明ネットワーク) 自治体史として編纂された『山口県史』(特に、『山口県史 史料編 現代二』、2000年)における戦後の朝鮮人問題と朝鮮戦争関係の記述について具体的に検討し、GHQ/SCAP文書などの占領期の英文文書を参照しながら、史料発掘の進展状況について述べた。
8頁(pp.17~24)
9 反犠牲と拒絶講演 2015-06-00「解放と分断70年・韓日関係50年」シンポジウム 本講演は、1932年4月29日尹奉吉による朝鮮独立運動(上海天長節爆弾事件)を素材に植民地問題を現代的に考える意義について、植民地支配下に生きた一人の朝鮮人である尹奉吉の内面的な心情について検討したものである。
講演時間=30分
10 張博珍報告「韓日併合条約無効問題の再考」に対する討論討論 2015-07-00学術シンポジウム「東アジアの記憶と未来 − 日韓条約50年、解放/敗戦70年」(高麗大亜細亜問題研究所台湾センター、同志社大コリア研究センター) シンポジウム第1セッション「日韓関係70年回顧と展望」の張博珍報告「韓日併合条約無効問題の再考」に対する討論者としてコメントを行った。
討論時間=5分
11 「大阪朝鮮学園の誕生」口頭発表(一般研究) 2015-11-00同時代史学会第39回研究会(於:大妻女子大学) 戦後直後から全国各地に展開された民族学校設立、日本政府による閉鎖措置、公教育への編入、1950年代後半から1960年代に各地で進められた自主学校への移管について、大阪府の事例を現在発掘されている資料に基づいて論じた。
[発表時間]50分
12 学術シンポジウム「東アジアの記憶と未来―日韓条約50 年、解放/敗戦70 年」における討論 討論 2016-07-00同志社コリア研究センター/高麗大学校亜細亜問題研究所台湾センター共催(於:同志社大学今出川キャンパス) 当学術シンポジウムにおいて、植民地支配責任における君主の位置づけを理論的に問う視座から、張博珍報告「韓日併合条約無効問題の再考」に対する指定討論を行った。
[発表時間]10分
13 韓・日学術会議「日本における韓国独立運動と日本人」における討論討論者 2016-09-00独立記念館/国家報勲処/在日韓人歴史資料館共催(於:在日本韓国YMCA)

当学術シンポジウムにおいて、1930年代朝鮮人運動における権利意識のあり様に着目して、尹素英報告「1930 年代の日本における韓国独立運動と日本人」に対する指定討論を行った。
[発表時間]10分
14 「1930年代中盤期の大阪府のある在日朝鮮人集住地における食の実践」口頭発表(一般発表) 2017-01-00同志社大学人文科学研究所部門研究・第7研究「衣食住文化からみた解放前後の日韓関係」第2回国内例会(同志社大学人文科学研究所) 1930年代の朝鮮民衆の衣食住研究の一環として、1930年代中盤期の在日朝鮮人集住地区の食文化史について、青木昌吉・伊阪春「半島人部落ニ於ケル衛生調査成績」(『金沢医科大学十全会雑誌』第42巻第10号、1937年)の批判的検討を通じた研究報告を行った。
[発表時間]50分
15 「初めからただ人間だけがいた」

総説 2017-04-00『月刊イオ』第250号(朝鮮新報社) ジュリアス・レスター(木島始ほか訳)『奴隷とは』 (岩波新書、1970年) を参照し、「奴隷制度があったということは奴隷がいたということだろうか」と問い、制度・状態と実体との区別の重要性を提案し、実体論に対する批判的な問題提起を試みた。
1頁(p.34)
16 “제2차세계대전후의 국제협정과 1948년 조선학교폐쇄령”(第二次大戦後の国際協定と1948年の朝鮮学校閉鎖令)口頭発表(一般発表) 2017-11-00東国大学校叙事文化研究所国際学術会議「在日朝鮮人は/を語る」(於:東国大学校/韓国) GHQ/SCAP占領期の極東委員会、米太平洋陸軍、日本政府による在日朝鮮人の法的地位の取り扱いを再検討し、外務省資料に対する新しい史料読解を通じて1946年11月20日米太平洋陸軍渉外局発表が在日朝鮮人の法的地位に与えた意味を論じた。
[発表時間]60分
17 「朝鮮現代史を知る意味」招待講演 2018-02-00日本・コリア協会大阪総会記念講演(於:国労大阪会館) 第二次大戦後1945年~1953年の朝鮮現代史について講演した。講演では対日戦後処理をめぐる国際協定と朝鮮問題、朝鮮国内の脱植民地化と民衆の動き、国際連合と朝鮮問題との関わり、内戦から国際戦争への拡大、朝鮮の法的地位について国際法学者による定義と解釈をテーマに講演した。
[発表時間]60分
18 「4.24教育闘争の構造的理解のために(上・中・下)」総説 2018-04-00『朝鮮新報』2018年4月23・25・27日付 1948年4月在日朝鮮人の民族教育擁護闘争について、SCAP、極東委員会、米第8軍、日本政府(外務省)の資料を使用しながら、新聞紙面において解説した。
全3頁
19 「2018韓日人文学フォーラム「朝鮮半島の平和と統一を展望する韓日人文学の視角」」討論 2018-07-00人文韓国(HK)研究所協議会・京都コリア学コンソーシアム共催(於:立命館大学衣笠キャンパス) 日韓人文学者による国際学術会議において総合討論に参加し、研究テーマとする「入江啓四郎の国際法・外交史研究と朝鮮問題」の意義について朝鮮半島統一プロセスとの関連を述べた。
[発表時間]5分

20 「板門店体制とはなにか―朝鮮戦争の克服と東アジアの平和のために」討論 2019-02-00PRIME主催研究会「板門店体制とはなにか:朝鮮戦争の克服と東アジアの平和のために」(明治学院大学国際平和研究所) 東アジアの平和及び朝鮮戦争の克服をテーマに開催された当該研究会において、金學載氏、武者小路公秀氏との討論に参加し、戦争状態の克服の背後にある分断状況の克服という課題の視点から議論に参加した。
[発表時間]20分
[要旨掲載]『PRIME』第43号、4頁(pp.16~19)
21 「1948年に閉じられた扉を開くために―フレームワークをときほぐす」映画パンフレットにおける解説 2019-03-00『アイたちの学校100年の差別―その闘いの記憶』 在日朝鮮人の民族教育に関するドキュメンタリー映画について、歴史的視点から解説を行った。
2頁(pp.8~9)
22 “Does Anybody Know Paek Chang-Un? :
A Certain Korean Boy Was Judged in the US Military Court in Osaka”
口頭発表(一般発表) 2019-05-00“Reconceptualizing the Cold War :
On-the-ground-Experiences in Asia”(於:シンガポール国立大学)
1948年阪神教育闘争に関わって大阪で米軍事裁判に問われたある朝鮮人少年について、当事者へのインタビューを通じたオーラルヒストリー研究の手法から報告した。
[発表時間]40分
23 「入江啓四郎の国際法・外交史研究と朝鮮問題」口頭発表(一般発表) 2019-05-002019年度学習院大学東洋文化研究所プロジェクト研究年次報告会(於:学習院大学) 入江啓四郎の著作のうち、1950年代に書かれた朝鮮問題についての叙述を取り上げ、北緯38度線、分断政府樹立、朝鮮戦争に関わる叙述について検討した。国際法学理論からみた朝鮮戦争について、入江啓四郎が提示した内戦論を検討した。
[発表時間]40分

24 “법정립적 폭력에서
1949년 시모노세키
사건” (法措定的暴力から見た1949年下関事件)
口頭発表(一般発表) 2020-01-00東国大学校叙事文化研究所・東国大学校日本学研究所共同主催2020年第1回コロキウム/専門家招請講演(於:東国大学校/韓国)  法措定的暴力と法維持的暴力の両者の論理構造を捉えた1949年8月下関事件論を試みた。
[発表時間]60分
25 「書評報告:Masuda Hajimu, Cold War Crucible: The Korean Conflict and the Postwar World, Cambridge, MA: Harvard University Press, 2015, p.388」口頭発表(書評発表) 2020-09-00朝鮮史研究会関西部会9月例会(オンライン開催)  戦後世界の社会史について、冷戦実体論への批判とボトムアップ的な現実把握の両方にわたって学術的成果を挙げた益田肇(2015 年)の著書について、書評を行なった。構築主義的な冷戦研究の意義と展望について述べ、朝鮮現代史かへの応用可能性について検討した。
[要旨掲載]『朝鮮史研究会会報』第222号、4頁(pp.13~16)
[発表時間]50分
26 「戦後日本の国際法学者における朝鮮問題認識」口頭発表(一般発表) 2020-10-00韓国・朝鮮文化研究会第21回大会「朝鮮戦争と向き合う──分断状況の思想・文化・個人」(オンライン開催) 戦後日本の国際法学者はめぐっていかなる前提に立ち、いかなる角度から議論し、学術的・実践的にいかなる問いにチャレンジしたのか。この主題について、横田喜三郎、入江啓四郎、祖川武夫、石本泰雄、山手治之という国際法学者の朝鮮問題を論じる方法を検討し、朝鮮戦争に関する国際法学者の学説史を総合的に検討した。そのうちマックス・ヴェーバー『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』(1904年)の読解に関わる戦後法学研究の方法論争の次元から接近し、その帰結としての学説の分岐を明らかにした。
[発表時間]50分
27 「小林為太郎について―戦後京都において在日朝鮮人関連事件を引き受けた弁護士―」

口頭発表(一般発表) 2020-12-00世界人権問題研究センター「京都における在日コリアンの歴史」定例研究会(於:公益財団法人世界人権問題研究センター)

戦後京都、滋賀、福井において労働者、農民大衆の権利擁護のために、刑事裁判に関わって活動した小林為太郎について、1)小林の思想と行動、2)1950年代の大衆のありかと弁護士の関わり、3)没後の小林為太郎の語り手たちという三つの視点から報告した。
[発表時間]60分
28 “1949년 시모노세키 사건을 둘러싼
사람들의 정치―능동적 역사 파악의 방법론을 위해서―” (1949年下関事件をめぐる人々の政治―能動的歴史把握の方法論のために)
口頭発表(一般発表) 2021-02-00東国大学校叙事文化研究所第5次学術大会「재일조선인 사건의 계보와 한일 냉전 서사(在日
朝鮮人事件系譜と韓日冷戦叙事)」(オンライン開催)
1949 年8 月下関騒擾事件について、刑法学者(とりわけ佐伯千仭、秋山哲治)による期待可能性の議論を視野に入れ、「選択可能性の条件の歴史」として本事案研究を検討した。 「人は行為に対して責任を伴う」という命題と「自由があってこそ責任を負うことができ、自由がなければ責任を負うことはできない」とする民衆史の側からのもう一つの命題(対抗的命題)とを問題提起した。
[発表時間]50分
[要旨掲載]『在日朝鮮人事件系譜と韓日
冷戦叙事・資料集』、8頁(pp.19~26)
29 전후 일본의 국제법학자에 의한 조선문제인식의 계보(戦後日本の国際法学者による朝鮮問題認識の系譜) 口頭発表 2022-08-10第15次コリア学国際学術討論会(国際高麗学会) 1950年代日本の国際法学分野において展開された朝鮮問題に関わる法理論争に関わって、A) 法実証主義の系譜、B) 反法実証主義の系譜の二つの系譜が認められ、そのなかに、A)の系譜に関わる、1)内戦論、2) 国際警察行為発動論(制裁戦争論)の二つの学説が成立し、B) の系譜に関わって、3)国際警察行為不成立論(国家政策の手段としての戦争論)が成立するという三学説の成立についてその系譜論を基軸に論じた。
30 해방 후 일본에서의 조선 건국 통일운동과 몽양여운형(解放後日本における朝鮮建国統一運動と夢陽呂運亨) 口頭発表 2022-11-24第15回夢陽学術シンポジウム(京畿道楊平郡生涯学習センター) 呂運亨をめぐる在日朝鮮人社会における記憶に関する問い、具体的には呂運亨を記憶するという営為のあり様について、解放後の朝鮮新報社、国際タイムス社と建青統一派を基軸に議論し、同言論人たちは、呂運亨との対話を在日同胞たちが自分たち自身を再び呼びだす営為の媒介として捉えたことを論じた。それは、故人を故人として固定化しない動態的な記憶の営為であった。在日同胞たち自身が統一運動において、勇敢になり率直になることこそが要求されていると主張した彼らにとって、呂運亨はこのような意味で真に記憶する対象だった。
発表時間20分
31 書評 鄭栄桓『歴史のなかの朝鮮籍』書評 2023-03-00『PRIME』第46号 鄭栄桓『歴史のなかの朝鮮籍』(以文社、2022年)に対する書評を作成した。鄭栄桓氏の研究の特色である法形式論に解消されない支配関係への動態的把握と、本作において新たに検討されている1950年代~1960年代の在日朝鮮人運動史の主体的営為と日韓条約体制に関わる支配構造との相互規定的な関係史把握に関わる最新の成果に学びながら、評者から「朝鮮」=用語説(出身地説)を相対化し、「朝鮮」=民族説の議論を問題提起した。
5頁(132~136頁)
32 国連憲章から見た朝鮮問題に関する国連諸決議の検討口頭発表 2023-07-26朝鮮戦争停戦協定70周年記念シンポジウムin京都 朝鮮問題(Korea Question)に関わる主要な国連諸決議について概説し、国連安保理による適法な強制措置発動の先例として議論されることが少なくない米統合軍(いわゆる朝鮮国連軍)の朝鮮派兵に関わる法的根拠について、検討を加えた。
以上32点

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