教育研究業績の一覧

松浦 典弘
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 講義授業での小テスト 2010-04-00 ~ 講義形式の授業において、授業終了前にその日の授業内容に関する小テストを行う。これによって学生の理解状況を把握するとともに、授業への集中を促す。
2 2~4年時学生への長期休暇課題 2011-04-00 ~ 長期休暇に本を読んだ上でレポートをまとめ、問題意識を持たせ、最終的には卒業論文へとつなげていく。夏休みに加え、第2・第3学年は春休みにも実施。
3 初年次授業での課題添削 2013-04-00 ~ 第一学年の演習授業で、概説書の内容の要約を作成させ添削、翌週に返却し、問題点について考えさせる。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 佛教史学会編『仏教史研究ハンドブック』(法藏館) 2017-02-25 本書は大学で佛教史を学ぼうとする人向けの入門書である。編集委員として作成に携わるとともに、第2部第1章「中国」の総説と第6節「大蔵経」を執筆した。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 真宗総合研究所研究員 2010-04-01
~2015-03-31
指定研究「国際仏教研究」東アジア班の研究員として活動するとともに、庶務を務める。
2 人権センター員 2014-04-01
~2015-03-31
人権相談並びに人権学習会の開催に当たる。
3 真宗総合研究所主事 2015-04-01
~2018-03-31
研究所長を補佐し、研究所の運営に当たる。
4 真宗総合研究所研究員 2019-04-01
~2023-03-31
指定研究「国際仏教研究」東アジア班の研究員として活動するとともに、庶務を務める。
5 人権センター員 2021-04-01
~2023-03-31
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 1989-04-00~0000-00-00 東洋史研究会
2 1991-04-00~0000-00-00 史学研究会
3 1995-11-00~0000-00-00 唐代史研究会
4 1996-04-00~1997-03-00 古代学協会『古代文化』編集委員
5 1997-07-00~2017-08-00 中国中世研究者フォーラム
6 1997-07-00~2017-08-00 中国中世研究者フォーラム幹事
7 2000-09-00~0000-00-00 東方学会
8 2000-10-00~0000-00-00 佛教史学会
9 2000-10-00~2022-11-06 佛教史学会委員
10 2003-08-00~2007-08-00 唐代史研究会幹事
11 2010-04-01~2012-03-31 大学入試センター出題第一委員
12 2011-08-00~2015-08-00 唐代史研究会幹事
13 2014-01-00~0000-00-00 法史学研究会
14 2017-08-00~0000-00-00 中国中世史研究会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
以上0点
Ⅱ学術論文
1 唐宋時代における僧侶の旅と交通-過所・公験・公憑単著 0000-00-00辻正博編『中国前近代の関津と交通路』 唐宋時代の僧侶の旅行について、朝廷による制約に注目し、特に通行証にあたる文書について考察を加えた。唐代においては過所・公験、宋代においては公憑と称されるものがそれにあたるが、その変遷を追い、宋代になって制約が厳しくなることを指摘した。(105頁~124頁)
2 唐代における官人処罰
-罰俸制度を中心に-
単著 1994-12-00『東洋史研究』第53巻第3号(東洋史研究会) 唐代、過失を犯した官人への処罰は律に規定されるが、それ以外の形の処分が行われることもあり、特に後半期には増加している。そうした律外の処分の中でも、俸給の没収である罰俸は、軽微な過失に対して頻繁に科せられていた。その際、過失や処罰の内容に関して規定がなされている場合と、その都度時宜に応じる形で科せられている場合とがあり、柔軟性を持った形での運用がなされていた。
36頁(1~36頁)
3 唐代の文官人事
-吏部における選授権限の変遷を中心に-
単著 1997-03-00『史林』第80巻第2号(史学研究会) 唐代の文官人事は尚書省吏部が担当することになっていたが、八世紀半ば以降の官制変革の中で尚書省の機能は低下し、吏部が任用を行う範囲は狭まっていく。吏部の機能は大幅に低下したが、人事に全く関わらなくなったわけではない。吏部は書類の取り扱いや審査を主たる職掌とする官司へと変質を遂げ、唐末に至るまで人事に関わり、唐末五代の混乱を経て、宋代初期に見られるような形式的な書類手続きのみを行う官司となる。
31頁(83~113頁)
4 揚州華林寺大悲禅師
碑銘并序
単著 1998-03-00滋賀高義編『唐代釈教文選訳注』(朋友書店) 大谷大学真宗総合研究所の研究成果として禅僧の碑銘である標題文の訳注を執筆。北宋初に撰された『宋高僧伝』は材料として多くの碑文が用いられているが標題文もそうした碑の一つであり、『唐文粋』に収録されている。大悲禅師、法名は霊坦、大悲は朝廷よりの賜号で、江南における禅の発展に貢献する。標題文は『宋高僧伝』霊坦伝の厳密な読解には欠かせない史料である。
25頁(247~271頁)
5 唐代後半期の人事における幕職官の位置単著 1998-11-00『古代文化』第50巻第11号(古代学協会) 唐代後半期の地方行政において藩鎮の属僚であった幕職官の任用を通して、藩鎮と中央との人事の面における関係について考察する。幕職官は官品を有さないため令規定下の職事官を名目的に授与されることによって官制上に位置付けられる。その授与に関して、中央政府はさまざまな規定を設け、幕職官人事に対して一定の関与を行い、中央と地方を行き来する官人の昇進を秩序立てたのである。
12頁(32~43頁)
6 唐代後半期の官僚制度
-人事の問題を中心に-
(博士論文)
単著 1999-03-00京都大学 唐宋変革期をめぐる問題について官僚制度の面から考察、1.2.4.論文を改稿したものに、唐から五代にかけての地方官の人事に関わる問題を扱った章を附し、4章だてとしたもの。唐代後半期には藩鎮体制のもと、地方分権が進んだことが強調される傾向にあるが、中央が地方に一定の影響力を及ぼしていたことを、官僚の人事の問題を通して検討し、宋代の制度へと継承されていくものが唐代後半期には既に見られたことを論証した。
212頁(1~212頁)

7 唐後半期~五代の州県官考課規定単著 2000-03-00鈴木亨・松村昌家編
『人文科学の諸相』
(大手前大学)
唐後半期から五代にかけての地方行政研究の一環として、州県官の人事について考察する。この時代は地方行政においては藩鎮が大きな力を持っており、本来中央の尚書省吏部から任命される州県官の人事にも影響を及ぼしていた。一方で中央の側も対抗する形で勤務評定である考課などを通して州県官の人事への管理を試みたことは、詔勅により出される規定などに表れているのである。
11頁(109~120頁)
8 唐代仏教石刻文の研究その他 (分担執筆) 2000-03-00『真宗総合研究所研究紀要』第17号
(大谷大学)
大谷大学真宗総合研究所研究班の研究成果としての「比丘尼法琬法師碑」の訳注を執筆。法琬は唐朝宗室の血を引く尼僧で、高祖父が初代皇帝高祖の祖父に当たる李虎、祖父神符は高祖の従弟で襄邑王に封じられていた。父の徳懋は神符の逝去を機に供養のため法琬を出家させた。宗室と仏教の関わりや尼僧の位置づけについて考察を進める上で貴重な史料である。
6頁(10~15頁)
9 唐代仏教石刻文の研究(二)その他 (分担執筆) 2001-03-00『真宗総合研究所研究紀要』第18号
(大谷大学)
大谷大学真宗総合研究所研究班の研究成果として「大唐京師道徳寺故大禅師大法師之碑」の訳注を執筆。道徳寺は唐代の長安に存在した尼寺であるが、本碑は1960年西安市西郊で出土したもので、現在は西安碑林に所蔵される。内容は道徳寺の創建に貢献した二人の尼僧の伝を中心とする。北周の廃仏や隋の仏教振興政策にかかわる内容を含んでおり、北朝後期から隋唐時代の政治と仏教の関係についての貴重な史料である。
12頁(23~34頁)
10 碑文より見た北朝末から唐初の仏教政策
-道徳寺碑を中心に-
単著 2001-07-00『唐代史研究』第4号(唐代史研究会) 「大唐京師道徳寺故大禅師大法師之碑」の内容に関して考察する。北周の武帝による廃仏、隋の仏教復興などの内容が含まれており、特に隋における仏教政策に関して詳しく記しており貴重である。道徳寺の名は『長安志』をはじめとする編纂文献史料にも散見するが、本碑によって、それらを補訂することができる。但し、年代に対する認識に誤りもあり、両者を照合して検討を進める必要がある。
13頁(48~60頁)
11 金石文献による中国華厳宗の研究(一)その他 (分担執筆) 2002-03-00『真宗総合研究所研究紀要』第19号
(大谷大学)
大谷大学真宗総合研究所研究班の研究成果として、「大唐西明寺故大徳円測法師仏舎利塔銘并序」の訳注を執筆。円測は玄奘門下の法相宗の僧であり、訳経にも従事したことで知られる。この塔銘は北宋の政和五年(1115)に、興教寺の玄奘の塔の横に改めて円測を葬り塔を建てた際のものである。『宋高僧伝』の円測伝は極めて簡略なものであり、それを補う史料である。
4頁(112~115頁)

12 「大唐鄴県修定寺伝記」訳注稿単著 2003-03-00『大手前大学論集』第3号(大手前大学)
北魏に創建された修定寺の来歴を記した唐・開元七年(719)の碑文を読解、訳注の作成に加え、関連事項について考察を行う。記述は創建の経緯に始まり、北周の廃仏の影響へと進むが、その影響は比較的小さかったと見られる。隋の仏教振興政策の中で再建されるが、唐初に教団整理により廃せられ、その後復興する。国家の仏教政策を反映している貴重な史料である。
10頁(13~22頁)
13 金元代石刻史料集-霊巖寺碑刻-その他 (分担執筆) 2006-03-00『真宗総合研究所研究紀要』第23号(大谷大学) 中国山東省に存在する霊巌寺に残される金元時代の僧侶の事績を記した碑刻の注釈である。「霊巌寺定光道詢禅師塔銘」など6点を担当。歴代の住持の伝記の基本史料であり、当時の禅僧の生涯をたどる上で貴重な史料である。また、まとまった数が存在するため、霊巌寺の歴史を研究する上でも活用しうるものである。
21頁(8~12頁、41~44頁、64~69頁、93~98頁)
14 敦煌尼僧関係文書管見単著 2007-03-00『敦煌写本研究年報』創刊号(京都大学人文科学研究所) 敦煌文献の中から尼僧に関係する戸籍や遺書などの内容を考察。尼の出家の過程や俗家との関係について検討を行う。当時の敦煌では僧尼の全人口に占める比率が高かったという特殊事情はあるが、尼僧と俗家との間で強いつながりが認められる。また、石刻史料に見られる例などと関連付けつつ、沙彌尼から具足戒をうけ比丘尼に至るまでの過程についても少し触れた。
8頁(137~144頁)
15 墓誌から見た唐代の尼僧と家単著 2007-11-00『仏教史学研究』第50巻第1号(仏教史学会) 中国の尼僧に関する研究は史料的な制約もあり、未だ解明されていない部分が多い。本稿では、従来史料として十分に活用されてこなかった唐代の尼僧の墓誌を検討した。その結果、臨終の場が在俗時代の家である場合が多く見られること、墓誌の撰者や書者が親族であることが多いことなどから、多くの尼僧が出家後も在俗時代の家と強くつながっていたことを指摘した。
19頁(1~19頁)
16 長興四年中興殿応聖節講経文をめぐる問題について単著 2008-03-00『敦煌写本研究年報』第2号(京都大学人文科学研究所) 敦煌文献P3808「長興四年中興殿応聖節講経文」に関して、その背景にある五代後唐の政治情勢を絡めながら分析する。応聖節は五代随一の名君と称される明宗の生誕日である。本文書はその際に行われた講経用の資料であり、護国経典である仁王経を扱っている。この講経文の背景には、最終的に後唐の崩壊につながる明宗の後継者問題が存在し、極めて政治色の強いものである。
8頁(83~90頁)
17 唐代河北地域の藩鎮と仏教単著 2010-03-00『大手前大学論集』第10号(大手前大学) 唐代後半期、半独立の状況にあった河北地域の藩鎮の一つである幽州節度使について、仏教との関係を考察した。主な史料としては、法源寺所蔵の「憫忠寺重蔵舎利記」と房山石経の題記を用い、幽州節度使が仏寺への援助を行い、地域の仏教の発展に大きく寄与していたこと、仏教界に大打撃を与えた会昌の廃仏の影響も、この地域では小さかったことなどを論証した。20頁(57~76頁)
18 金元代石刻史料集―華北地区仏教関係碑刻(一)-その他 (分担執筆) 2011-03-00『真宗総合研究所研究紀要』第28号(大谷大学) 大谷大学真宗総合研究所「石刻史料からみた宋元時代華北地方における仏教の社会史的変遷に関する基礎研究」班における研究成果としての史料注釈。「中都竹林禅寺堂頭懐鑑禅師(善照)碑銘」「薊州盤山法興禅寺故栄公(浄栄)塔銘」を分担執筆。7頁(28~30頁、37~40頁)
19 新出の唐代尼僧墓誌について単著 2015-03-31『真宗総合研究所研究紀要』第32号 近年刊行された墓誌著録の中から、尼僧墓誌5点をあげて録文を作成し内容を紹介するとともに、それに対して考証を加え、その意義について言及する。貴族の家と仏教の関係や、聖と俗の中間的な位置を占めた女性の存在などを明らかにした。17頁(53~69頁)
20 晋城硤石山青蓮寺所蔵の唐碑単著 2015-09-30氣賀澤保規編『隋唐佛教社會の基層構造の研究』(汲古書院) 太原から洛陽への交通路の途上の要地である晋城を代表する寺院である青蓮寺は数多くの寺碑を所蔵している。その中の唐代のもの3点を取り上げ、そこに記される青蓮寺と地域社会との関係について考察したものである。12頁(124~135頁)
21 唐代の女性と仏教―墓誌の検討を中心に―単著 2016-08-30『唐代史研究』第19号(唐代史研究会) 唐代の女性と仏教の関係について、墓誌を素材に検討した。唐代は比較的まとまった数の墓誌が存在しているが、尼僧に関してはその伝記を知る上で貴重な史料であり、また在家女性に関しては男性とは違った彼女らの信仰の在り方が窺われるような史料となりうる。仏教と道教の関係などもまじえながら、俗的要素を持った尼僧や聖的要素を持った在家女性の存在から、聖と俗の中間的な位置にある女性の存在を論じた。23頁(98~120頁)
22 五臺山佛光寺の唐代の経幢単著 2017-11-20『大谷学報』第97巻1号 五臺山の古刹佛光寺に現存する唐代の経幢2点を取り上げ、そこに記される題記について検討した。佛光寺の歴史や経幢の歴史史料としての意義について述べた後、題記に記される人物の階層や藩鎮との関係など、會昌の廃仏後の佛光寺の復興の状況について考察する。18頁(1~18頁)
23 唐代的女性與佛教ー以墓誌的検討為中心単著 2018-08-00『佛教史研究』第2巻(中国語) 墓誌の記述から、尼僧と在家女性の仏教信仰の実態について検討を加えた。女性が聖と俗の中間的な位置を占めている例が多数みられることや、仏教と道教の双方に対して信仰心を持つような例があることを論じた。12頁(185~196頁)
24 從入唐日本僧人的記録和伝記看会昌滅佛単著 2018-10-00第五届世界佛教論壇8中韓日佛教分論壇 円仁に『入唐求法巡礼行記』に見られる廃仏に関する記事や、廃仏後に唐へ渡った円珍や真如親王の記録や伝記などから、廃仏の状況とその後への影響について論じた。特に廃仏後、従来考えられているよりは仏教が復興していることを指摘した。9頁(282~290頁)
25 唐宋時代における僧侶の旅と交通-過所・公験・公憑 単著 2022-00-00辻正博編『中国前近代の関津と交通路』 唐宋時代の僧侶の旅行について、朝廷による制約に注目し、通行証にあたる文書を中心に検討した。唐代においては過所・公験、宋代においては公憑という文書が通行証として用いられてきたが、その変遷を追い、宋代には旅行に対する制約がより厳しいものになっていたことを明らかにした。19頁(105頁~123頁)
26 唐代の尼と僧―僧に対する尼の位置― 単著 2023-03-31氣賀澤保規編『隋唐仏教社会と東アジア』 唐代の尼の位置付けについて、男性の僧との関係などから、宋代や日本古代の史料も用いながら考察する。僧と尼の間に割合に盛んに交流があったこと、唐代の尼の地位が比較的高かったことを論じた。(2020年度出版予定・未刊行)
以上26点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 三階教と宋拓の唐碑講演 0000-00-00大谷大学博物館特別展記念講演会 本学所蔵の重要文化財「化度寺故僧邕禅師舎利塔銘」「信行禅師興教碑」は、何れも現在は失われた唐代の碑の宋代にとられた拓本で、隋唐時代に流行した三階教という仏教の一派に関するものである。本講演では時代背景と三階教の盛衰について述べた上で、二点の碑のもつ歴史的意義について解説した。(講演時間60分)
2 佐竹昭著
『古代王権と恩赦』
新刊紹介 1999-01-00『古代文化』第51巻第1号(古代学協会) 日本古代の恩赦に関して、それに大きな影響を与えた中国唐代の制度と関連付けながら考察した論著の紹介。恩赦を類型分けし、その意味を考察、さらには適用の仕組みにより、王権の性格を分析する。また、中国においても恩赦の持つ政治的意味は大きく、中国史研究においても本書の内容は大いに参考にしうるものである。
1頁(57頁)
3 唐代仏教関係碑文の史料的価値口頭発表「一般発表」 2000-07-00唐代史研究会夏期シンポジウム 唐代前半期に刻された四点の碑文を紹介すると同時に、その史料的な意義を提示する。近年、中国史上の各分野において石刻史料の研究が盛んな傾向にあるが、仏教史に関しても利用しうる史料はきわめて多い。本発表では国家と仏教の関係や尼僧教団に関する内容を含むものを取り上げ、編纂文献史料との関連から重要性と利用に際して留意すべき点とを指摘する。
発表時間90分

4 藤善真澄著『道宣伝の研究』書評 2003-11-00『仏教史学研究』第46巻第2号(仏教史学会)
唐代初期に活躍した道宣の事績を解明した論著の書評。仏教史研究に資する多くの著述を残し、教学史上も大きな功績を残した道宣の伝記史料は、曖昧で誤りも多いままにされてきた。本書は精緻な文献研究により丹念に道宣の生涯をたどったものである。本書評では、本書が道宣の生涯を明らかにしたことの意義に加え、その文献学的手法が今後の仏教史研究において参考にすべきものであることを指摘する。
8頁(66~73頁)

5 松原朗著『中国離別詩の研究』書評 2005-08-00『唐代史研究』第8号(唐代史研究会) 文学の一ジャンルである離別詩を3世紀初頭の後漢末建安年間から中唐大暦年間に至るまで600年にも及ぶ長いスパンで検討した論著への書評。詩の作者の多くは貴族であり、単なる文学作品にとどまらず、離別という場面における社交の手段でもあった。本書評では、本書が歴史的背景に関する深い理解のもと、政治状況なども踏まえて考察されたものであることの意義を指摘する。
5頁(101~104頁)
6 2005年の歴史学界-回顧と展望- 東アジア・中国・隋唐学界展望 2006-05-00『史学雑誌』第115巻第5号(史学会) 2005年に発行された中国・隋唐時代の著書・論文を紹介、研究動向を検討すると共に、学界において今後問題にされるべき点を指摘。近年の傾向としての石刻史料をはじめとする文物史料の利用が盛んである状況は当該年も変わらず、今後も続くと考えられること、唐から宋への変革のみならず、北方の遼や金への流れを視野に入れた研究が今後求められることなどを述べる。
7頁(210~216頁)
7 墓誌から見た唐代の尼僧と家口頭発表「一般発表」 2006-10-00佛教史学会第57回学術大会 中国における尼僧の歴史の研究は、史料的な制約もあり進んでいるとは言い難い状況である。本発表では、まとまった数があるものの、従来史料として十分に活用されてこなかった唐代の尼僧の墓誌を分析し、臨終の地や墓誌の撰者など、そこに見られる特徴から、在俗時代の家との関係について考察、出家後も強いつながりを持ったことを指摘する。
発表時間40分
8 唐代女性の出家形態-寺院との関係を中心に口頭発表「一般発表」 2007-11-00国際シンポジウム「仏教学を越えて:日本仏教学の新しい方向」 アメリカ・ハーバード大学にて、日本の歴史及び仏教学・仏教美術と幅広いテーマから女性と仏教に関わる問題を取り上げた国際シンポジウムにおいて、唐が日本古代に影響が強かったことから、中国史の立場で報告。墓誌等の石刻史料から唐代女性の出家形態を、寺院との関係を中心に分析を行う。
発表時間20分
9 晋城硤石山青蓮寺所蔵の唐碑口頭発表「一般発表」 2008-08-00中国石刻合同研究会 山西省晋城市硤石山青蓮寺に現存する唐代の碑3点「硤石寺大随遠法師遺跡碑」「城隍信士碑」「青蓮寺碑碣之所記」に関して、紹介を行うと共に歴史史料としての意義を分析する。青蓮寺は太原から洛陽に通じるルート近くに位置し、僧侶の往来も頻繁であったと考えられる。これらの碑からは寺院と地域社会、あるいは地方官との関係などが窺われる点を指摘する。
発表時間60分
10 土肥義一編『敦煌・吐魯番出土漢文文書の研究』書評 2010-08-00『唐代史研究』第13号(唐代史研究会) (財)東洋文庫における「敦煌・トルファン出土漢文文書の文献学的研究」プロジェクトの成果である本書の21篇の論考を紹介。最新の研究状況とその意義について解説する。6頁(137~142頁)
11 胡元超著『昭陵墓誌通釈』新刊紹介 2012-03-00『東アジア石刻研究』第4号(明治大学石刻東アジア文物研究所) 唐太宗の陵墓である昭陵の陪葬墓から出土した墓誌を網羅し、注釈を加えた書籍の紹介。4頁(101~104頁)
12 山西省の唐代の寺碑-山西現地調査の報告を兼ねて口頭発表「一般発表」 2013-01-13シンポジウム「六朝隋唐時代をめぐる仏教社会基層構造」 2012年に2度にわたって行った山西省の調査に関する報告と、寺院関係の石刻の史料としての活用について発表。石刻に関しては、五台山仏光寺・晋城青蓮寺のものを中心に、寺院と地域社会や藩鎮との関係を考察した。発表時間40分
13 『中国文化史大事典』事典項目執筆 2013-05-00大修館書店 「郭威」「翰林学士」「旧唐書」「鴻臚寺」「柴栄」「新唐書」「知州」「知制誥」「唐会要」「劉知遠」を執筆。
14 唐代仏教社会史と石刻史料講演 2013-11-01龍谷大学史学会 唐代仏教社会史を考察する上での石刻史料の有用性について講演。仏教社会史の意義について述べた上で、具体的に寺碑・僧尼の墓誌銘や塔銘・経幢などを取り上げ、現地調査も踏まえながら紹介した。(講演時間:90分)
15 墓誌から見た唐代の女性と仏教口頭発表 2014-08-00中国中世研究者フォーラム 墓誌を材料に女性と仏教の関係を考察。尼僧については新出のものを中心に、在俗時代の家との関係などについて述べた。また、在俗女性の信仰の在り方についても言及した。(発表時間90分)
16 唐代の女性と仏教口頭発表 2015-08-18唐代史研究会夏期シンポジウム 特集「宗教と社会」において、唐代の仏教と社会を考察する手がかりとして、女性と仏教の問題について、尼僧、在家女性それぞれについて取り上げ、墓誌を中心に具体的例をあげ考察した。尼僧に関しては、西安碑林に新たに蔵された2点について、貴族層と仏教の関係、宦官の婚姻、舎利信仰などについて言及した。一方、在俗女性に関しては、埋葬方法や受戒などを検討し、さらには仏教と道教の関係に関しても問題を提起した。(発表時間90分)
17 杏雨書屋所蔵の敦煌仏教関係文献―羽699を中心に-口頭発表 2015-12-19中国古代及び敦煌・トルファン文書研究国際シンポジウム 公益財団法人武田科学振興財団の文庫である杏雨書屋が所蔵する敦煌文献の中から羽699について検討した。本文書は僧の名が列挙されており、仏教関係文書ではあるが、どういう性質のものであるかはよくわからない。仏教行事である行像などと関連づけながら考察を行った(発表時間 30分)
18 五臺山佛光寺の唐代の経幢口頭発表 2016-10-24大谷学会研究発表会 五臺山の古刹である佛光寺が所蔵する2点の唐代末期の経幢について検討した。いずれも佛陀波利訳『佛頂尊勝陀羅尼經』を刻したものであるが、その題記に連ねられる人名から、当時の佛光寺を支えた勢力、藩鎮と仏教との関連などについて考察を行った。(発表時間 40分)
19 唐代婦女與佛教口頭発表 2017-03-11“唐代仏教社会的諸問題”国際学術研討会 浙江大学で行われた国際シンポジウムの一員として、唐代の女性と仏教の関係に関する報告を行った。中国史上、唐代は他の時代に比べ女性が確約した時代であり、また仏教が盛行した時代でもある。出家者である尼僧と、在家の信者それぞれについて考察を加え、俗的要素を持つ尼僧や性的要素を持つ在家女性がいることから、女性たちが聖と俗との中間的な位置づけにあることを論じた。(発表時間20分)
20 入唐日本僧の記録や伝記から見た会昌の廃仏口頭発表 2018-10-30第五届世界佛教論壇・中韓日佛教分論壇 円仁に『入唐求法巡礼行記』に見られる廃仏に関する記事や、廃仏後に唐へ渡った円珍や真如親王の記録や伝記などから、廃仏の状況とその後への影響について論じた。(発表時間8分)
21 唐代の尼と僧―僧に対する尼の位置をめぐって―口頭発表 2019-01-12科学研究費成果報告会「隋唐仏教社会と東アジア」 唐代の中国における僧に対する尼の位置づけを、前後の時代や日本古代の史料も視野に入れながら考察する。唐代においては僧に対して尼の地位が比較的高く後世に比べると僧尼間の差別がなかったことや、僧と尼の間で割合頻繁にに交流が行われていたことなどを論じる。(発表時間40分)
22 礪波護著『敦煌から奈良・京都へ』『鏡鑑としての中国史』書評 2019-11-00『書論』第45号
23 唐五代の仏教における尼の位置口頭発表 2020-06-27六朝史研究会 尼は如何なる存在であったか、男性の僧との関係や相異、在家信者との関係などを考察する。宋代の史料も検討しつつ、唐代においては尼は比較的高い地位にあったことを指摘した。(発表時間60分)
以上23点

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