教育研究業績の一覧

田中 久美子
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 「ピアヘルパー」受験に向けての支援 2007-00-00
~2009-03-00
羽衣国際大学人間生活学部生活マネジメント専攻では、心理学科目を1回生から多様に受講できるシステムとなっている。こうした学びを生かせる資格試験として、日本教育カウンセラー協会認定の「ピアヘルパー」を導入した。この受験に向けて、3カ月余り、毎週1回ずつ「試験対策講座」を授業時間外に開き、小テストを随時実施するなどして、学生の学習を支援した。2007年度は、1~3回生の計15名が合格した。
2 「学校インターンシップ」の活用 2007-00-00
~2009-03-00
羽衣国際大学のインターンシップで、堺市教育委員会の協力を受け、堺市内の小・中学校へ、教員志望の学生たちを2週間派遣した。その事前指導として、生徒対応や集団指導に関する講義を行った。また、キャリア委員として、インターンシップ後のフォーラム (学内・外に発信するための、インターンシップ参加学生による報告会等) の企画・運営にも携わった。
3 学習過程に即した、授業を構成するさまざまな教授法についての解説 2007-04-00 ~ 学習者にどのような学習内容を与え、教えるかといった教授法のあり方は、学習者の学習成果だけでなく学習観や学習意欲にも影響を及ぼす。そこで、学習過程に応じた、学習者の情報処理や認知的特徴を段階的に示しながら、各場面における適切な教授法を学生自身に考えさせた。近年、初等・中等教育においても学習者の自発性や自律性を重んじる学習の機会が増え、一方的に知識を与えるだけではなくなっている。このため、学習者の個人的特性や意欲、教育目標などに合った教授法の使い分けがより一層重要となることを説いた。
4 現役教師のゲストスピーカー招聘 2007-04-00
~2009-03-00
教職志望の学生たちが受講する「教育心理学」では、教育現場で生徒たちと触れ合う先生方の生の声を学生に聞かせるため、中学・高校の先生や塾講師を招き、講演後、学生との対話の場を設けた。特に、生徒対応・学力低下など現場ならではの体験談に対し、聴講した学生たちは積極的に質問し、教員を目指す上での有益なヒントを講師から貪欲に得ようとしていた。
5 クラスアドバイザーとしての学生支援 2008-04-00
~2009-03-00
羽衣国際大学人間生活学部生活マネジメント専攻1回生のクラスアドバイザーとして、学生に対するさまざまなサポートを行っている。新入生は、大学生活への適応が大きな課題であるので、担当する授業で学生の様子を観察するほか、5月連休明けから実施した1回生全員の個別面談を通じて、各学生の現状を把握し、必要に応じて助言を与えている。自宅外生や留学生も在籍しているので、授業への出席状況などの情報を教員間で共有しながら、彼らの生活面にも配慮するよう努めている。
6 講義内容のテーマを明確にする導入の工夫 2009-04-00 ~ 各講義において、学生が講義内容との接点を見出せるよう、講義の最初に「○○についてはどう思うのか?」と問題を投げかけ、学生何名かに答えさせたり、自己理解のための簡単な心理テスト等を実施したりしている。このことで、学生自身が、今の自分の状態と講義内容のテーマとを明確に関連づけることができ、内容について積極的に考えるようになっている。
7 コミュニケーション・ペーパー 2009-04-00 ~ 講義の終わりには、出席確認も兼ねてコミュニケーション・ペーパーを配り、毎回簡単なコメントを書かせている。それを通じて、学生の理解度を知ることが出来るだけでなく、次回の講義開始時に、印象に残ったコメントを紹介し、フィードバックすることで、学生も「先生がきちんと目を通してくれている」ことを知り、自然とコメントもより丁寧に書くようになってきている。大人数になると、学生とのコミュニケーションを図ることが難しくなるが、学生との距離をうまく取れるようさらに努力を重ねたい。
8 心理学関連の授業での視聴覚資料 2009-04-00 ~ 子どもの発達の諸相を視覚的にとらえ、理解を深めることができるように、配布するプリント資料には図・表や写真を多用し、関連するDVD 等の映像資料やweb上の動画サイトを視聴させている。子どもの実際の動きや反応を見ることで理論と実践とが結びつき、子どもに直接触れるための態度や心構えが形成される機会となる。
9 大学による授業アンケート 2009-04-00 ~ 学生による授業アンケートでは、授業内容に応じたプリントの配布、心理テストの実施、視聴覚教材の使用などが、内容を理解する上で役立っていると評価を受けている。また、人間の心理や行動を扱う科目の特性上、学生がイメージしやすい身近な具体例を挙げて説明することを心がけている。これにより、授業内容が日常の諸事象と結びつくといった新たな視点に気付いた学生たちは、授業後にも積極的に質問に来るなど、学習意欲の高さを示している。
・2018年度前期 優秀授業賞
・2021年度後期 優秀授業賞 (社会心理学)
10 ゼミクラスの学生指導 2009-04-00 ~ 担当するゼミクラスでの欠席の多い学生に対して段階的に指導をしている。まずメールにてやり取りを行い、学生の近況を把握し、授業に参加するよう促す。このやり取りに応じない場合は、しばらく様子を見て、自宅に連絡して保護者とも対応について話し合いをしている。何名かの長期欠席学生については面談も実施して、休学措置をとるなど長期的な取り組みを図っている。
11 授業での心理学実験の実施 2009-04-00 ~ 心理学関連の授業では、先行研究の紹介にとどまらず、実際にその実験を受講者全体を被験者として可能な限り体験させている。学生からのデータを翌週までに分析し、次回の授業で結果を報告している。先行研究通りの結果にならない場合もあるが、それについても考察を加えながら解説する。学生自らがデータの一部になることは授業への参加意欲を高めるのに効果的なようである。
12 「学び」フォーラム模擬講義 「好きな人との出会いは運命的なもの」 2011-10-15 大学コンソーシアム京都と京都高大連携研究協議会との共催イベントにて、高校生を対象に、どのような条件や状況で、人は他者に好意を抱くのかという対人魅力について、社会心理学の立場から解説した。心理学に初めて触れる高校生たちにもわかりやすく、また大学の講義にも親しみを感じてもらえるよう、日常の友人関係・異性関係における振り返りや簡単な心理テストから始め、高校生が興味を惹きそうな話題を盛り込んだパワーポイントやその配布資料を用意した。200名を超える受講希望者があり、講義後のコメントでも高評価を得た。
13 卒業論文指導 2012-04-00 ~ 卒業論文では、学内外をフィールドとする調査の立案・実施、統計ソフトを用いたデータ処理、分析結果をゼミで発表、論文執筆に至るまでの実証的研究のプロセス全般を学生自身が計画的に遂行できるよう、各自の研究テーマや研究手法に応じて個別に指導・支援している。
14 ビデオ会議システムを用いた同時双方向型授業 2020-04-01 ~ 新型コロナ対応として,TeamsやZoomのビデオ会議機能を用いた遠隔講義を実施している。板書の代わりにチャットを使い,レジュメ以外にも,Web資料を教材として多様に提示し,オンライン授業への学生の疲れや飽きのないよう,工夫している。また,授業の最後に理解度確認のため,Formsによる小テストを実施している。
15 Teamsによる授業資料の共有 2020-04-01 ~ 授業ごとのチームを作成し,学生がTeamsの各機能を使い慣れていくよう活用を促している。講義で使う補足資料は紙で配布せず,Teamsのファイルに掲載し,学生がいつでも資料を参照できるようにしている。また,ゼミ発表する学生のレジュメも,学生自身が専用のチャネルにアップし,ゼミ内で情報を共有・蓄積している。
16 ゼミ生への指導・コミュニケーションツールとしてのTeamsチャット 2020-04-01 ~ LMSと異なり,Teamsチャットはスマホでプッシュ通知が受け取れるため,学生にとっても使い勝手が良く,メールよりも効率的に連絡処理ができる。卒論指導においてもチャットでファイルを共有し,円滑に実施できている。
17 オンライン同時配信の対面型授業 2020-04-01 ~ 教育実習への参加により,ゼミを一定期間欠席する学生が複数出てくるため,対面とビデオ会議とのハイブリッド型でゼミ発表を行わせ,それをレコーディングしている。発表学生のビデオ会議の操作スキル向上のほか,説明時の口調等を自身が後で確認できるなど,学生がICTに馴染んでいく上でも有効である。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 教育心理学的視点から、子どもたちの外見への関心の高さを考える講義

2006-00-00
~2009-03-00
教職志望の学生を対象に、教育心理学や演習科目の中で、自分の研究テーマを生かし、現代の子ども理解についての講義を行い、学生の討論につなげた。いまや小学生もおしゃれにこだわり、サプリメントや化粧品を購入していること、関東に比べ、関西の若者の方が、油とり紙や洗顔料を購入している割合の高いことなどの身近な消費実態に関する資料を作成し、消費行動から子どもを取り巻く社会や文化を考える手がかりを示した。そこから、現代の消費社会が抱える諸問題や、子ども間におけるいじめなど、新たな教育心理学的視座を学生に与えることができた。
2 授業内容に即した教材の作成 2006-04-00 ~ 各講義とも各回の授業内容に合わせて必要事項の空欄穴埋め型プリントをオリジナル教材として作成・配布し、必要に応じてパワーポイントやOHCによる資料の呈示を併用している。
また、授業テーマに関連のある、身近な教育・社会問題や時事テーマにも目を向け、子どもを取り巻く生活・対人環境の変化とそれに伴う心理・社会的要因との関係を分析する多様な視点を得ることを目指して、新聞・雑誌記事を随時配布して読ませるほか、最新情報が掲載されたwebページへのハイパーリンクをパワーポイントに設定し、これらも参考資料の一部として活用している。
3 発達心理学および教育心理学の講義資料 2006-04-00 ~ 講義では、各回のテーマに沿ったプリントや資料を独自に作成・配布し、子どもへの理解や関心を深めるよう促した (1セメスターにつき、A4判30ページ程度)。子どもと触れる機会のない学生が多いので、学生たち自身の幼少期を想起させることで、現在の子どもを取り巻く環境との類似点・相違点を明らかにしながら、子どもをめぐる心理学上の諸問題を考えさせた。特に、教員志望の学生に対しては、子どもの自律的学習を目指した学習方略について解説したほか、発達障害の存在を正しく知り、その適切な対応を学ぶ契機となるよう、関連資料の作成・配布、映像資料なども紹介した。
4 保育士試験のための学習支援 (発達心理学など)

2007-00-00
~2009-03-00
羽衣国際大学人間生活学部生活マネジメント専攻では、就職支援プログラムの1つとして、長期休暇を利用し、学生のニーズの高い保育士試験対策の講座を設けた。このうち、発達心理学と精神保健を担当し、講義のほか、独自に作成した予想問題による演習なども集中的に行った。特に、近年、保育・教育現場でも関心の高い発達障害については、具体的事例を集めた資料を教材として作成し、学生の理解を促すように努めた。
5 カウンセリングに関する基礎能力の育成 2007-00-00
~2009-03-00
日本全国大学実務教育協会の認定資格である「カウンセリング実務士」を目指す学生を対象に、カウンセリングの代表的な理論と心理療法に関する講義 (カウンセリング論Ⅰ) を担当し、各テーマに沿った資料を作成・配布した。同資格は、カウンセリング実習を必須としているため、堺市・岸和田市の教育委員会と協議し、不登校児を対象とする適応教室での実習実現に向けて調整した。実習の事前指導では、不登校児の現状や子どもへの心理的援助についての講義を行い (資料作成)、実習期間中には臨床心理士の非常勤講師とともに実習先を巡回し、学生指導にも当たった。
6 小学生の学習過程に関する講義 2007-00-00
~2009-03-00
人間生活学部食物栄養専攻の栄養教諭を志望する学生に対し、小学校での教育実習の事前指導の一環として、教育心理学的観点から、学習者のやる気についての講義を行った。ここで、学習過程に応じた学習方略 (主に情緒的方略) の使用に関する資料を作成し、子どもたちの学習意欲を引き出し、持続させるといった動機づけの理論と応用例について説明した。また、健康心理学の観点から健康教育の有効性についても解説した。
7 小テストの作成 2007-04-00
~2009-03-00
「カウンセリング論Ⅰ」は、カウンセリングに関するさまざまな基礎理論を体系的に学び、その後のカウンセリング演習・実習につなげる導入科目である。このため、精神分析、認知・行動療法、芸術療法、子どもへの心理療法、家族療法などテーマごとに小テストを実施し、各療法の特徴を押さえながら、進めていくことに配慮した。
8 放課後や休暇中の小学生を対象とした、学習支援活動への参加に向けての学生指導 2008-00-00
~2009-03-00
財団法人堺市教育スポーツ振興事業団が主管する「のびのびルーム」の指導員として、小学生の学習支援を希望する学生たちに、子どもへの関わり方についての講義を行った。その中で、児童の学習過程や認知傾向、遊びにおける仲間関係など、小学生の発達過程に関わる複数のテーマを取り上げ、関連の資料も独自に作成・配布した。特に、教職希望の学生たちには、子どもと直接関わる絶好の機会であることを個別面談でも伝え、積極的な参加を促した。
9 心理統計に関する問題演習 2009-10-00 ~ 「心理学研究法」では心理学の主な研究手法とデータ処理について解説する。受講生の多くは数学に対する苦手意識があり、データ処理に関する簡単な計算問題や統計に苦戦している。そのため、用いるデータも学生が共感できるような身近な多ジャンルの話題(学生のアルバイト日数、モバイル使用料、芸能など)から構成し、繰り返し演習問題を行わせることで苦手意識の払拭に努め、自信を高めさせた。
10 教育・心理学演習ⅠおよびⅡでの学生コメントのフィードバック 2010-04-00 ~ 前期の学期末レポート課題の一部として,前期中の自身の取り組みへの振り返りと後期に向けての課題を400字程度で書かせる。その内容をクラス全員分まとめたもの (無記名)を後期第1回目の授業でフィードバックする。夏休みを挟むので,忘れかけていた自身の後期の課題を思い出すとともに,他の受講生の動向を窺い知ることができ,演習へのモチベーションを上げる一因となっている。
11 スクーリング・ケアサポーター研修   2011-02-18 滋賀県甲良町立甲良西小学校にて、ケアサポーター(小学生への学習・生活支援者)10名に対して、「カウンセリングマインドを活かした児童理解と児童支援」をテーマに講義した。主に社会的スキルの理論および実践例について紹介した。A4判10ページからなる講義資料を作成し、日常のサポーター業務の振り返りとして実施した心理テストの結果に基づき、受講者間で意見交換も行わせた。
(実施時間 120分)
(2011年2月18日)。
12 『教育の根源』 -人間形成の原理を問う- 2011-04-00 ~ 発達心理学(幼)および発達心理学(小)の授業にて、執筆を担当した本書第2章の「教育と発達―心理学の視点から―」の内容に基づき、乳児期・幼児期・児童期・青年期前期の各発達段階における子どもの変化や諸問題を解説し、発達的特徴を踏まえた教育や支援の可能性について学生にも考えさせた。
13 総合演習での学生コメントのフィードバック集 2011-04-00
~2013-03-00
総合演習(幼)および総合演習(小)では、前半は教員による全人類的課題に繋がる時事的テーマのレクチャー、後半は学生たちによる班ごとの研究発表としている。当該科目のねらいのひとつに教育評価活動を設け、各班の発表を聴いて、「全人類的課題としてふさわしいテーマか」「プレゼンテーションに工夫がみられたか」など数項目について4段階評価とその根拠をまとめさせた。全受講者のコメント内容を無記名・原文のまま文字入力し、翌週にフィードバックして、評価内容を全体で共有できるようにした(各週A4判6ページ)。このとき、学生の表記ミスなども指摘した。このフィードバックにより、発表者・聞き手双方のモチベーションが上がっただけでなく、評価者としてのスキルアップにもつながっていったようである。
14 Formsによるアンケートや小テストの実施 2020-04-01 ~ 対面型,オンライン型いずれの授業においても,受講学生間の互いの理解度や考え方を共有することを目的にFormsでの回答を求めている。回収後は内容をチェックし,翌週の授業でフィードバックしている。学生の理解状況の分析もスムーズに実施できるため,結果を授業に反映しやすくなっている。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 教育上の能力に関する大学等の評価 2008-00-00
~2009-03-00
羽衣国際大学の教職員の中では若手であり、心理学科目の担当教員でもあるので、学生からのさまざまな相談に応じやすい立場にあり、クラブの顧問なども任されている。そうした特性を生かし、学生と他の年配教員との橋渡し的な役割を果たしている点は、大学内で高い評価を受けている。また、教職部門の担当教員であるので、教育実習を来年度に控える教職希望の3回生に対して、堺市立小・中学校へのボランティア及び学校インターンシップ参加を促すプログラムを具体的に提案し、その実現に向けて学生支援をしている点は評価されている。
2 教育上の能力に関する大学等の評価 2009-04-00 ~ 学生からは、授業内容に応じたプリントの配布、心理テストの実施、視聴覚教材の使用などが、内容の理解において役立っていると概ね高い評価を受けている。また、2013年度より本学大学院で「発達心理学」の特論および演習を担当している。受講の大学院生からは、修士論文作成を念頭においた実践的指導は、研究テーマの絞り込み、研究手法の検討など調査研究のデザインに有益であったとの評価を受けている。
B 職務実績
1 高校生を対象とした心理学講義 2007-04-00
~2013-03-00
高校での総合学習や進路指導の一環として、直接高校に出向き、心理学や教職に興味を持つ生徒たちを対象に、人間関係、自己理解、および発達心理学に関する講義を行った。テーマに沿った心理テストを実施し、その結果について相互に意見交換させるなど参加型の形式をとりながら、心理学の魅力や面白さを体験させた (2007年度:尼崎高校、西の京高校、羽衣学園高校、2008年度:貴志川高校、南部高校龍神分校、2010年度:大谷高校、2012年度:東宇治高校、2014年度:水口東高校、2015年度:京都明徳高校)。
2 羽衣国際大学 第23回公開講座
「心理的な時間と健康」担当
2007-11-17 基調テーマ「Time is…」
時間の流れを人はどのように感じ、どのように表現してきたのか?捉えがたい「時間」を多様な観点から探求するリレー講座の1回分を担当した。具体的には、自分の内外で起こる事象を心理的にどう受け止めるかという「心理的時間」について、前半ではそのしくみ、後半では心理的時間と精神的健康との関係を講義した。講義の中では、「時間」と密接に結びついた、健康に関わる諸行動について、講義担当者自身が実際に行った調査なども含めて、さまざまな実証研究を紹介した。
(実施時間 120分)
(2007年11月17日)。
3 「教員免許状更新講習」 2009-07-00 ~ 小学・中学・高等学校教諭を対象として、「子どもの発達に関する課題」および「子どもの適切な指導のあり方」について講義した。具体的には,①「人とのかかわり方」として、社会的スキル教育の必要性とその現状、②学習活動におけるメタ認知の有効性と実践研究例を紹介した。また、③「発達障害」では、障害の特性を再確認した後、生活面・学習面における障害を生かした子どもへの対応のほか、クラス運営で問題となる通常の子どもたちへの対応についても配慮することなどを解説した。
(2009年7月24日:大阪音楽大学、8月4日:大谷大学)
(2010年8月1日、2日:大谷大学、8月10日:大阪音楽大学)
(2011年8月1日、2日:大谷大学)
(2012年8月2日、3日:大谷大学)
(2013年8月6日、7日:大谷大学)
(2014年6月7日:長浜市民交流センター)
(2014年8月6日、7日:大谷大学)
(2015年6月20日:岐阜県高山市市民会館)
(2015年8月4日、5日:大谷大学)
(2016年5月22日:大分県昭和学園高校)
(2016年8月3日、4日、12月10日:大谷大学)
(2016年8月12日:長野県飯田女子高校)
(2017年5月21日:宮崎県日向市大王谷公民館)
(2017年8月2日、3日、12月9日:大谷大学)
(2017年8月8日、9日:長野県飯田女子高校)
(2018年5月12日:高知県四万十市中央公民館)
(2018年8月2日、3日:大谷大学)
(2018年8月9日、10日:長野県飯田女子短期大学)
(2018年12月2日:大谷大学)
(2019年6月30日:石川県小松大谷高校)
(2019年8月6日、7日:長野県飯田女子高校)
(2019年12月14日:大谷大学)
(2021年8月3日:大谷大学)
4 大谷大学オープンキャンパスでの模擬授業 2009-09-00 ~ 教育・心理学科の模擬授業として、パワーポイント25枚程度のスライドおよび配布資料を用いて説明した。
・2009年9月「私の中の5つの心――心理テストでチェック」
・2010年9月「どのような「育ちの道」をたどってきたのか ―― 心の発達支援の「適材適所」を考える」
・2012年3月「好きな人との出会いは運命的なもの?」
・2013年8月「見守り、そっとしておくこと ―― 子どもとかかわる心理」
5 大谷大学 生涯学習講座
「健やかなこころと身体で、しなやかに生きる」担当
2010-05-25
~2010-06-08
日々の暮らしで、欠くことのできない仕事や人とのつながりは、生きがいや充実感をもたらす一方で、時に心と身体へ大きな負荷を与える。それだけに、柔軟な対応力も求められる。本講座では、日常的に経験する出来事の心理学的な意義について考えながら、受講者が心豊かに生きるヒントを見つけることを目的として講義した。
第1回: 賢く楽しく、人とかかわる
第2回: 生活習慣を支える、心と身体のしくみ
第3回: ストレスは人生のスパイス
(実施時間 各90分)
(2010年5月25日、6月1日、6月8日)。
6 J-WAVE (81.3 FM)「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」の番組出演 2010-06-30
~2010-07-01
「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」の番組内コーナー「FIT NATION フィット・ネイション」にて「食べ過ぎてしまう心理」についてコメントした。ダイエットをするとき、食べ過ぎないようにしようとするほど、皮肉なことに食べ物のことが頭から離れなくなる。こうした外発反応性のしくみについて説明し、ダイエットの際でも緩やかな制限にとどめること、全く食べないのではなく、食べ方に工夫し、食べる楽しみを大切にすることを説明した。
(各回5分程度の出演)
(2010年6月30日、7月1日)。
7 京都新聞の特集記事(ダイエット)への掲載 2011-01-05 新年の目標として掲げられやすいダイエットはなかなか長続きしない。その成功への秘訣について、ダイエット研究および心理学の立場からのコメントを求められた。「小さな成功を重ねよう」という見出しで、痩せることよりも続けることに意義があり、ダイエットを通じて自分の身体をデザインしている楽しみを見出してほしいという趣旨の記事が掲載された。
(記事内容 400字程度)
(2011年1月5日)
8 「長岡天満宮奉賛会女性部研修会」での講演 2011-06-20 「健やかなこころと身体で、しなやかに生きる ~ 人とかかわり、緊張感を楽しむ ~」をテーマに、よいストレスによる適度な緊張感をもって日々生きる意義について講演した。受講者の平均年齢が70歳台ということもあり、自分の生き方に自信を持ち、これからの人生をひとりの女性として、人間として生きることを大切にしながら、自分がどう生きるべきかを考えてもらえるような話題や話し方に心がけた。
(実施時間 60分)
(2011年6月20日)。
9 人権センター員 2013-04-00
~2015-03-00
10 大谷大学 生涯学習講座 「食の誘惑とダイエット -食べたいとやせたいの心理-」担当 2013-05-21
~2013-06-04
現代人の多くが抱える,「食べたい」と「やせたい」の間で揺れ動く心理について講義した。ダイエットを成功させるためには,どのような食事や運動をするかという以前に,自分の中にある「食べたい」気持ちとどう付き合うかが大切であることを講義した。なお,本講義について,リビング京都2013年3月2日号で特集・紹介された。
第1回:食べ過ぎの心理
第2回:やせたい気持ち
第3回:食べるとやせるの間で
(実施時間 各90分)
(2013年5月21日、5月28日、6月4日)。
11 伊那西高校との高大連携プログラム 2013-08-21
~2013-09-18
真宗大谷派関係学校である伊那西高校において,高大連携プログラムの一環として,大谷大学教員5名による連続講義を本年4月より実施した。高校2年生に「大学で学ぶとはどういうことか」「身近にあることを学問的に見るとこうなる」といったことを学んでもらい,高校・大学間での教育の接続を目的としている。このうち,本人は,「人とのかかわりを楽しもう」をテーマに,SNS上でのつながりの楽しさや難しさを例示しながら,身近な友人関係について社会心理学的視点から講義し,グループディスカッションやレポート作成を行わせた。
(実施時間 各100分)
(2013年8月21日、9月4日、9月18日)。
12 一般財団法人日本心理研修センター・読売新聞大阪本社共催
はじめての心理学~心が不調になるとき~ 「対人関係の難しさ」担当
2013-09-01 心理師の国家資格に関連して設立された一般財団法人日本心理研修センターと,読売新聞大阪本社とが連携して,一般向けの公開講座を進めることになった。その第1回目の講座である。よみうり京都文化センターにて実施した。「対人関係の難しさ」をテーマに,携帯電話やメールなどが普及した現代社会で,対人関係を円滑にするヒントを紹介した。なお,本講座について,読売新聞2013年7月30日付くらし面および同新聞7月31日付夕刊にて特集記事が組まれ,講座が紹介された。
(実施時間 90分)
(2013年9月1日)。
13 大谷大学・同窓会 全国縦断夏季八十講 2013-09-06
~2013-09-07
大谷大学と全国80カ所ある同窓会支部が協働して講演会が実施された。統一テーマの「生きる力」に基づき,本人は「穏やかに,しなやかに生きる」をテーマに,心理学の知見も織り交ぜながら,心の柔軟さを失うことなく,より豊かに生きるヒントについて講話した。
(実施時間 90分)
(2013年9月6日:新潟県三条市、9月7日:東京都練馬区)。
14 学長補佐 2014-04-00
~2016-03-00
15 Sports Graphic 『Number Do Early Summer 2014』への掲載 2014-05-26 『Number Do Early Summer 2014 (文藝春秋 2014年5月26日発行)』では「太らない生活」を特集としており、その中の「Number Do 白熱教室 意志力とダイエットの科学」(pp.96-97)にて、近年話題となっている「意志力」をダイエット行動にも適用し、効果的なダイエットの方法や考え方について心理学的に解説した。
16 大谷大学見学会高校生向けの模擬授業 2014-10-00 ~ 教育・心理学科の模擬授業としてパワーポイント20枚程度のスライドおよび配布資料を作成した。
・2014年10月8日「私たちはどのように育ってきたのだろうか? 子どもの発達を支える教育」(京都精華女子高校)
・2015年5月22日「私たちはどのように育ってきたのだろうか? 子どもの発達とその心理」(北大津高校)
・2015年11月27日「私たちはどのように育ってきたのだろうか?」(クラーク記念国際高校)
・2016年4月26日「私たちの「育ちの道」をふり返る」(彦根西高校)
17 「不登校生・高校中退者のための学校相談会」での教育講演 2015-10-00
~2017-10-00
京都リビング新聞社主催の「不登校生・高校中退者のための学校相談会」において講演した。同イベントの告知は、京都リビング新聞、朝日新聞、読売新聞、京都新聞等でも掲載された。
2015年10月10日:「子どもに安心感を与えていますか?~やさしくて、つよい大人であるために~」 (実施時間 40分)京都産業会館 「きらっ都プラザ」
2016年10月15日:「思春期のこころ~よい子の傷つきやすさ~」(実施時間 40分)メルパルク京都
2017年10月7日:「思春期のこころの育ちと多様性 ~みんなと一緒は安心?~」(実施時間 40分)メルパルク京都
2018年10月14日:「認められたい思春期のこころ」(実施時間 40分)メルパルク京都
2019年6月1日:「思春期のこころの敏感さ」(実施時間 40分)メルパルク京都
2019年10月5日:「思春期のこころの揺らぎと向き合う」(実施時間 40分)メルパルク京都
18 「シティリビング」にコメント掲載 2016-03-00 京都リビング新聞社発行のフリーペーパー「シティリビング」(2016年3月4日号)の特集「比べる女のHappyマインド術」で、比べる女性の心理や比較することへの対処法などについて心理学的な観点からコメントした。
webでも閲覧可能 http://city.living.jp/kyoto/l-kyoto/632965
19 大学総合企画委員会委員 2016-04-00
~2017-03-00
20 「リビング京都」にコメント掲載 2017-11-00 京都リビング新聞社発行の「リビング京都」(2017年11月11日号)の特集「断るも断らないも、気持ちが大切」にて、断りにくい誘いや依頼を受けた際の対処について、心理学的な観点からコメントした。
webでも閲覧可能http://www.kyotoliving.co.jp/article/171111/front/index.html
同記事は、播磨リビング新聞社の「リビング姫路」(2018年2月24日、620号) にも転載された。https://harimaliving.co.jp/backnumber/h-0224/
同記事は、「リビング北九州」(2018年3月31日号) にも転載された。
同記事は、「リビング滋賀」(2019年2月16日号) にも転載された。https://www.shigaliving.co.jp/article/person/5698.html
同記事は、「リビング金沢」(2019年3月2日号) にも転載された。https://www.hokkokuliving.co.jp/living/pdf/183.pdf
21 京都市環境保全活動センター(京エコロジーセンター)での講演およびグループワーク 2017-11-18 京エコロジーセンターの一般ボランティアを対象に,幼児および低学年児童への関わり方,伝え方についての講演を行った (50分程度)。その後,グループに分かれて,ボランティア同士が「初めて訪れた子ども」「反応の弱い子ども」などへの対応を具体的に考えるワークを実施した。参加要請をした本学教育・心理学科3年生4名もワークに加わり,ボランティアと共にディスカッションし,最後にワーク内容の成果を学生が発表した。また,それに対する講評を行った。
22 RKB毎日放送ラジオ「仲谷一志・下田文代のよなおし堂」番組電話出演 2018-04-24 番組内の毎週火曜日のコーナー「よなおしプロジェクト」にて「上手に断わる方法,断わる勇気」についてコメントした。どうして断わりづらいと感じるのか,断わり方のコツ,町内会や学校の役職を受けるべきか,YESと言ってしまった後の心の持ち方などについて説明した。
(出演:6分半程度)
(2018年4月24日)。
23 RKB毎日放送ラジオ「仲谷一志・下田文代のよなおし堂」番組電話出演 2018-09-18 番組内の毎週火曜日のコーナー「よなおしプロジェクト」にて論文「ダイエットプライミングと摂食抑制が仮想的スイーツ選択に及ぼす影響」についてコメントした。心理学におけるプライミング効果,ライセンシング効果を紹介した上で,ダイエットを行う際の効果的な考え方や行動について説明した。
(出演:8分程度)
(2018年9月18日)。
24 入学センター長 2020-04-01
~2022-03-31
25 大谷大学公開講演会 2023-09-03 山梨支部にて「目標に向けて「学び,続ける」ために」をテーマに講演した。目標設定の仕方,達成までのプロセスにおける誘惑への対処など,心理学的な観点から解説した。
(実施時間 90分)
(2023年9月3日)
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 1995-04-00~0000-00-00 日本心理学会会員(現在に至る)
2 1995-04-00~0000-00-00 日本教育心理学会会員(現在に至る)
3 1995-04-00~0000-00-00 日本社会心理学会会員(現在に至る)
4 2000-11-00~0000-00-00 日本健康心理学会会員(現在に至る)
5 2002-10-00~2004-09-00 京都大学-㈱三洋ヒューマンネットワーク 共同研究メンバー(2004年9月まで)
6 2005-05-00~2005-11-00 テレビ朝日系「テスト・ザ・ネイション2005(2005年11月27日放映)」 IQテスト問題作成メンバー(2005年11月まで)
7 2011-11-00~2015-10-00 日本心理学会・認定心理士資格認定委員会委員(2015年10月まで)
8 2018-08-19~0000-00-00 心理学検定 京都地区会場責任者担当 (於:大谷大学)
第11回心理学検定(2018年8月19日)
第12回心理学検定(2019年8月18日)
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 『心理学の発見』共著 2009-04-15あいり出版
本書は「社会福祉講座」のシリーズの一巻である。主に社会福祉士を志望する学生を対象とするが、少子高齢社会における子どもの心身発達や教育、あるいは高齢者に対する精神的支援といった諸問題を解決するための、人間福祉学の視点に立った心理学教科書を基本構想としている。執筆に際しては、社会福祉や教育に携わる学生を想定し、心の問題に起因する学校や社会への不適応、障害のある子どもへの理解や学習支援など、最近の話題についても取り上げている (総頁数 208頁)。
本人担当:第7章の社会 (pp.115-128 計14頁)
編者 芝原直樹、共著者 芝原直樹、遠藤正雄、羽野ゆつ子、谷村清己、石井恒夫、田中久美子、川下維信、仲淳、今西徹、山路博文
2 『絶対役立つ教養の心理学 -人生を有意義にすごすために-』共著 2009-04-20ミネルヴァ書房

本書は「教養の心理学」の教科書である。「心理学」とは教養の授業でしか出合わない学生たちでも、心理学の全体像を誤って認識することなく、各心理学領域の有意義な側面を理解できるよう、「心理学の実用的な価値」を伝えることを目的とした。各章の前半で、当該分野の主たる研究を概観し、後半では、執筆者自身の専門を活かし、実生活や教育現場を想定した応用事例を紹介した。このうち、「好意の獲得―損失効果」や「認知的不協和理論」などの社会心理学的理論に基づく対人行動が、児童生徒の学習への動機づけを高め、実際の学習過程における情緒的方略として有効となる事例について詳述した (総頁数 218頁)。
本人担当:第3章 人とのかかわりを楽しもう―対人関係の心理学― (pp.57-80 計24頁)
編者 藤田哲也、共著者 永井淳一、藤田哲也、田中久美子、羽野ゆつ子、小塩真司、石野陽子、串崎真志
3 『教育の根源』 -人間形成の原理を問う-共著 2010-10-10晃洋書房 本書は子どもと大人の教育的関係を、教育学および心理学の理論を前提として、現代の教育が直面している根本問題を取り上げ、教育が成立する根源について考察したものである。全体は、教育の原理、教育の臨床、教育の機能、教育の未来の4部14章から構成されている。このうち、発達心理学的観点から、人の成長過程で起こり得る変化やその特徴を紹介し、これらの発達の姿を、実際の教育活動とどのように結びつけるか、発達を支える教育の役割について論じた (総頁数 256頁)。
本人担当:第2章 教育と発達―心理学の視点から― (pp.19-34 計16頁) 
編者 川村覚昭、共著者 川村覚昭、田中久美子、矢野のり子、山内清郎、谷口奈青理、大野僚、脇中洋、髙山芳治、望月謙二、井上摩紀、関口敏美、細谷僚一
4 『教育認知心理学の展望』共著 2016-03-00ナカニシヤ出版 主として認知心理学の観点から教育の諸問題を考える「教育認知心理学」講座が京都大学教育学部に開設された (1998年)。本書は講座名でもある教育認知心理学研究の過去・現在・未来を展望するものであり,講座関係者により執筆された。このうち,第9章「問題解決と意思決定」の関連コラムとしてダイエット行動の記述を担当した。ダイエットは自己調整を伴う問題解決行動であり,目標の設定および目標の進展のモニタリングが不可欠とされるが,ダイエット目標を立てても遂行が難しい。その原因として,やせたいに相反する食べたい心理を取り上げ,目標間関係,思考抑制,情動的摂食の点から各々解説した(総頁数 218頁)。
本人担当:「第12章 学習と動機づけ」のコラム「ダイエット行動」(p.186 計1頁)
編者 子安増生、楠見孝、齊藤智、野村理朗、共著者 子安増生、楠見孝、田中久美子ほか計36名
以上4点
Ⅱ学術論文
1 「青年期女子における被服行動と自己の諸側面との関係」単著 1998-03-00『京都大学教育学部紀要』第44号 ファッションや装いに対して強い関心を示す青年期女子のうち高校生・大学生を対象に、被服行動と自己の諸側面との関連性について年齢差及び個人差の観点から検討した。調査方法は質問紙法による。その結果、被服行動は気分依存性、流行嗜好性、注目性、及び同調性といった表層的な部分での変化といった対他者的なものと、機能・経済性といった実用的で本質的な部分に関わる対自己的なものとに分けることができた。このうち、高校生・大学生ともに被服の機能・経済性よりは他者の目に触れる表層的な側面を重視していることが示された。特に、制服着用のない大学生の場合、高校生に比べて気分依存性の高さが顕著であり、被服を一種の「気分調整手段」として活用し、着用する服によってもたらされる様々な気分を効果的に楽しんでいることが自己意識や自尊心との関連性からも明らかとなった。
総13頁(pp.179-191)
2 「なぜ、女性は容姿にこだわるのか? ~相互依存性と自己対象化理論から~」単著 1999-03-00『京都大学大学院教育学研究科紀要』第45号 被服は身体像や自己像の構築に影響を及ぼす「第2の肌」としての機能を持ち、著しい身体変化を迎える青年期では、自己の身体への関心の高さに伴い、被服の重要性は一層大きくなる。この現象について、被服が身体を含めて自己そのものを映し出すノンバーバル・コミュニケーションの1つであることに注目し、他者との関係性のとらえ方についてその個人差要因として相互依存性を取り上げ、被服行動との関連を調べた。女性が他者の視線をどのようにとらえ、内在化していくのか,その過程を詳細にした自己対象化理論 (Fredrickson & Roberts, 1997) を詳細にレビューするとともに、さまざまな被服行動を通じて、女性が他者からの視線を意識することをいかに重要視し、またそれによっていかに心理的な負担を強いられているのかについても明らかにした。その上で、女性が自己の身体を他者の目に触れる受動的な対象としてではなく、主体的かつ能動的なものとしてとらえ直す必要性についても検討した。
総10頁(pp.162-171)
3 「身体像に関わる自己構造と心理的適応について」単著 2000-03-00『京都大学大学院教育学研究科紀要』 第46号 身体像の歪みや摂食障害などの問題は、思春期以前から発症するケースも見られ、発達および教育心理学的観点に基づく介入が急務とされている。そこで、「身体」を自己の構成要素の1つとしてとらえ、身体が他の構成概念や自己全般に与える影響を明らかにするための自己認知モデルを概観した。この中で、摂食異常傾向者の自己構造を特に学習過程の観点からとらえることにより、目標設定・自己監視・評価・強化の各段階における、自己の身体への認知的歪みについて論じた。
総11頁(pp.96-106)
4 「身体像理解のためのボディ・スキーマモデル」単著 2001-03-00『京都大学大学院教育学研究科紀要』 第47号 ボディ・スキーマは、自己の容姿の内的表象である身体像に関する、動機・感情・認知の諸機構を構成する包括的概念である。本論文では、自己の身体に対する情報の処理及び統合に関連する諸研究をレビューした。特にダイエット行動につながる身体像理解は、個人が自分の身体状態を認知的に把握し、目標遂行に向けて適切な方略を選択し、実践することが重要となる。そこで、新たな身体像理解のモデルとして、「自己制御」の学習過程を援用した、身体像の形成および内在化のプロセスを提言した。
総9頁(pp.291-299)
5 「被服が身体意識に及ぼす影響 ~自己対象化に基づいて~」単著 2002-03-00『京都大学大学院教育学研究科紀要』 第48号 Fredricksonら (1997) の提唱した「自己対象化理論」に基づき、服の着用時に友人が居合わせるという場面の想定により、自己対象化を活性化させた。その後、自己の身体への感情の変化や後続の食行動への影響について社会心理学的な検討を試みた。その結果、身体露出の高い被服着用を想起した群ほど、身体羞恥が高まり、友人からの否定的な評価を恐れる傾向が見られたほか、その後の食行動で抑制が効かなかった。これは、身体羞恥に伴うネガティブ感情からの逃避行動の一つと考えられた。
総11頁(pp.418-428)
6 「写真撮影モデル依頼による認知的負荷とダイエット経験が食行動に及ぼす影響について」単著 2002-06-00『健康心理学研究』 第15巻 第1号 (日本健康心理学会) 女子大学生を対象に、写真撮影モデルの依頼という自我脅威的場面に対する認知的負荷の主観的程度が、負荷後の食行動 (チョコレートの消費量) に及ぼす影響について、ダイエット経験に基づき検討した。その結果、モデル依頼を負荷の大きいものと感じたダイエッターほど、負荷後にチョコレートの消費量が増えた。これは、自我脅威的な事象が、心的資源を大きく減じた結果、食の抑制機能が解除されたためと考えられ、特に過食のメカニズムをとらえる上での有益な結果といえる。
総8頁(pp.41-48)
7 「青年期女子におけるダイエット食品に対する認知とその背景的要因について」単著 2003-03-00『京都大学大学院教育学研究科紀要』 第49号 女子大学生を対象に、ダイエット食品の評価に関する諸要因の影響関係を検討した。被験者には、米製ダイエット食品のTV通販CMを視聴させた。その結果、ダイエットレベルの高い群ほど、CMに登場するモニターへの人物評価や当該食品の効能に対する信憑性が高くなり、批判的態度が弱くなることが示された。特に近年、低年齢層がこうしたメディアに触れる機会が増え、ダイエット経験が小学生の間でも広がる中、ダイエットの問題は、メディアリテラシーなどと併せて検討すべき、教育心理学的なテーマといえる。
総11頁(pp.259-269)
8 「青年期女子のダイエット行動に及ぼす友人関係のあり方と容姿に関する身体意識の影響」単著 2004-06-00『健康心理学研究』 第17巻 第1号 (日本健康心理学会) 女子大学生を対象に、身近な友人関係の中で築かれた感情が自己の身体意識に与える影響について、ダイエット経験に基づき検討した。その結果、ダイエットレベルが高いほど、自己の容姿が原因で友人から嫌われることを恐れ、自己防衛的な理由から、外見を管理する手段としてダイエットを選択しやすいことが明らかとなった。学校というコミュニティの中で、容姿の美醜の程度が友人関係における力関係を規定する可能性は、生徒集団の構造を理解する上での教育心理学的な示唆を与えるものといえる。
総9頁(pp.29-37)
9 『青年期女子の身体像と健康意識に関する心理学的研究』
(博士論文)
単著 2005-07-00京都大学大学院教育学研究科 青年期女子を対象として、日常のさまざまな社会的場面における、自己の身体に対する認識のあり方、またこれに付随する諸行動への影響について、行動尺度による評価や行動観察などに基づく、計6つの調査及び実験をまとめた。これらを通じて、身体をめぐる問題が自己の精神的成長とも密接に関係することを示し、特に児童期から思春期・青年期への発達段階的な変化に伴う、「身体」の発達心理学的意味や、その価値の移行について論じた。
総153頁(pp.1-153)
10 「朝食摂取の発達的特徴と精神的健康との関連」

単著 2008-03-00『大谷大学教職支援センター研究紀要』第2号 発達心理学的観点から食のあり方を考え、精神的健康との関係について検討した。小・中学生の食生活環境には、子ども自身の意思よりも保護者の食事に対する意識や態度が反映されやすい。一方、大学生の食習慣は、本人の自律の程度も影響するが、幼少期の食事経験によっても規定されることが示された。家族との共食は、子どもの社会性の育成に寄与する経験となることから、親への介入も含めた、家庭における食育実践の推奨も今後の課題と言える。
総26頁(pp.73-98)
11 「児童の対人関係を促す社会的スキルについて」単著 2008-06-00『大谷大学教職支援センター研究紀要』第3号 子どもたちの遊びや生活様式の変化、人と関わる経験の希薄さなどにより、社会的スキルを自然に育む日常の機会が少なくなってきた。そして、このスキルの欠如や不適切さが、子どもの学校不適応や問題行動の原因としても指摘されるようになってきている。本論文では、こうした対人関係の現状を受けて、主に小学生を対象とした、社会的スキルに関する心理学的研究を概観しながら、意図的・計画的に学校教育の中で、人との関わりについて学習指導する「社会的スキル教育」の有効性について論じた。
総20頁(pp.303-322)
12 「青年期女子におけるダイエッターの食行動と生活習慣との関係」単著 2008-12-00『健康心理学研究』第21巻 第2号 (日本健康心理学会)
大学生女子を対象に、ダイエット経験による、食習慣と生活習慣関連要因との関係を検討した。その結果、ストレス反応や帰宅時間が食習慣に及ぼす影響は、ダイエット水準によって異なり、ダイエット依存度が高いほど、食習慣の乱れに伴い、さらにダイエットへの依存を強めやすくなることが示された。食育の観点に立てば、食習慣の自律といった適応上の問題は、生活面での自由度の高い大学生だけでなく、通塾などによる夜型化が進む小・中学生にも広げることで、教育心理学的介入の可能なテーマといえる。
総11頁(pp.1-11)
13 「テスト対処に及ぼす愛着スタイルの影響について」単著 2009-03-00『羽衣国際大学人間生活学部研究紀要』第4巻 大学生を対象に、乳幼児期からの愛着関係によって形成される愛着スタイルが、テスト直前のストレス下でのサポート探索行動に及ぼす影響について検討した。その結果、安定群では意欲的なテスト勉強のほか、対人関係を介した情報収集や情動安定を行い、包括的方略が見られるのに対し、回避群および両価群では、テストに伴う情動の不安定さへの処理・解決が優先されていた。これらは、対人関係における各愛着スタイルの特性を反映し、愛着スタイルに応じた教育的介入の可能性を示唆する結果といえる。
総7頁(pp.27-33)
14 ダイエット行動の「三日坊主」に対する予防・教育的プログラムの実証的研究
単著 2012-03-00『真宗総合研究所研究紀要』 第29号 実施を意図しながらも、その行動開始が停滞する「先延ばし」と、開始したが維持できなかった「挫折」とに失敗状態を分けて、遂行上支障となる内的・外的要因を特定した。このうちダイエットを含む健康行動では「意識と行動との乖離」が認められ、健康的な心と身体を維持・管理する習慣を早い発達段階から育むためにも、健康知識を普及させるだけではない、実効性のある健康教育プログラム策定の必要性が示唆された。
総15頁(pp.73-87)
15 朝食摂取における意思決定バランス単著 2012-03-00『人間形成論研究』 第2号 (大谷大学 教育・心理学会) 大学生を対象に朝食摂取の負担およびその認知が摂取行動の意思決定に及ぼす影響を検討した。週に半分程度欠食する群ほど、朝食摂取に対する意識と行動との乖離が認められ、食の満足度が低かった。健康リスク意識の低い若い世代への健康教育では、朝食摂取の重要性を説くよりは負担と認知しない生活環境の整備が有効であると示唆された。
総13頁(pp.22-34)
16 過食を引き起こす否定的感情に関する実証的研究単著 2014-10-30『大谷学報』第94巻 第1号  体重への影響という点で食への関心が高い女子学生を対象に,試験直前期におけるテスト不安と情動的摂食との関連性について検討した。試験前は通常時と生活リズムも異なり,食事以外に間食する機会も増えることが予想されるため,食事タイプの食品ではなく菓子類を取り上げた。テスト不安が低い場合,通常時と同様に,摂食抑制者は摂取を控えていたが,テスト不安が高い場合,摂食抑制者であっても情動調整として甘味の菓子類の摂取を許容していた。
総12頁(pp.56-67)
17 摂食抑制及び食べ過ぎに関する認知的研究
単著 2015-03-00『真宗総合研究所研究紀要』第32号 食品に関する思考制御後,食刺激に対する大きさの評定を求め,思考の逆説的効果への影響,さらには抑制対象となる食刺激への認知の違いを比較検討した。その結果,食品についての思考抑制を行うと,思考頻度が上昇する抑制の逆説的効果が認められたが,これについては摂食抑制の程度による差はなかった。一方,摂食抑制群のみで,思考抑制後に体重増加に影響しやすい食刺激のサイズを大きく見積もることがわかった。以上から,摂食抑制群は意識的に (顕在レベルで) 食品について考えないようにしていたものの,意識的な意図や自覚が伴わない潜在レベルでは,食品へのアクセスが高まっていたものと示唆された。
総12頁(pp.87-98)
18 食品のカロリー量推定におけるテスト不安と摂食抑制との関係単著 2015-07-00『健康心理学研究』第28巻 第1号 (日本健康心理学会) 女子学生を対象に,食品のカロリー量推定におけるテスト不安と摂食抑制との関連性を検討した。健康的食品 (果物) については,テスト不安の程度に関係なく,摂食抑制者は摂食非抑制者よりもカロリー量を低く評価しており,健康的食品は体重増加に影響しないというヘルスハロー効果を支持するものと考えられた。一方,不健康的食品のうち甘味菓子 (チョコレートなど) の各カロリー量については,摂食抑制者は不安が低い場合,甘味菓子を太りやすい食品として高カロリーと評価していたのに対し,不安が高い場合は逆に低カロリーと評価していた。不健康的食品における低カロリー評価は,摂食抑制者が情動調整方略としての摂食に伴う認知的葛藤を減らすのに有効なことと示唆された。
総7頁(pp.15-21)
19 学習場面における目標と誘惑への自己統制
単著 2016-03-00『大谷大学教職支援センター研究紀要』第4号 幼児を対象とした満足遅延研究のレビューから始まり,実際の学習時に娯楽等の誘惑に直面した場合の自己統制葛藤状況で,誘惑への対処可能性について論じた。誘惑は目標追求の阻害要因としてだけでなく,誘惑の解釈を変えるなどの認知的変換によりむしろ有用な役割を果たす場合もあり,衝動性や自己制御などの個人差特性や課題遂行の状況に応じて有効な自己統制方略を複数見出し,組み合わせることが重要といえる。
総8頁(pp.19-26)
20 児童の学校ストレス軽減のための心理的介入単著 2017-02-00『大谷大学教職支援センター研究紀要』第5号 ストレッサーによるストレス反応への影響において緩和要因となる認知的評価とコーピングに着目し,児童を対象とした介入研究のレビューを行った。ストレス状況に対するコントロール可能性の認知が,有効なコーピングの採用への適応に関連することが示された。介入授業では認知的評価の概念やその重要性について児童に伝えていくほか,レジリエンスの観点からもソーシャルサポートの充実によって,望ましい認知的評価を増加させていくことが必要とされる。
総9頁(pp.60-68)
21 小学校における給食の食べ残しを減らすための教育的取り組み単著 2017-03-00『人間形成論研究』 第7号 (大谷大学 教育・心理学会)
児童の給食の食べ残しの要因とされる給食の献立・量,食への感謝の気持ちに関するレビューを行い,食べ残しを減らすため,農業体験や食品ロスに関する環境教育などのアクティブ・ラーニングが有効であることを示した。一方,社会的規範の捉え方が他律的から自律的へと移行する高学年では,心身の個人差や道徳性の発達の観点から,食べ残しをしないという規範に対しても,集団指導とのバランスを考慮した上で,児童の自由選択や自己判断に基づく柔軟な対応が求められる。
総9頁(pp.66-74)
22 思春期の友人関係に関する心理的特徴単著 2018-02-00『大谷大学教職支援センター研究紀要』第7号 小学校高学年以降の友人関係の発達的変化を概観し,主に思春期の友人関係に見られる特徴とその心理的要因について整理・検討した。アイデンティティ探求の始まる時期での親密な友人関係は,不安を共有し,不安定な自己感を補完する役割があり,同質性が重視されるが,一方で,友人への過度な同調や執着による不適応の可能性も懸念される。昨今のSNSなど多様なコミュニケーション・ツールの普及により,内面的な深まりを避けた表面的な関係維持に拍車がかかることにも言及した。
総8頁(pp.34-41)
23 ダイエットプライミングと摂食抑制が仮想的スイーツ選択に及ぼす影響:質問紙による調査的研究単著 2018-02-00『Journal of Health Psychology Research』第30巻 第2号
(日本健康心理学会)
仮想的質問法を用い,ダイエットプライミングと摂食抑制がスイーツ選択に及ぼす影響を検討した。207 名の調査対象者には,自己耽溺的な快楽的消費を助成する手法として過去の利他行動について記述を求めた後,プライミング操作のための乱文再構成課題 (ダイエットプライミング vs. 統制) に回答し,快楽的消費と実用的消費からなるスイーツのペアから好きな方を1 つ選ばせた。その結果,快楽的消費を選びやすい誘惑的状況であっても,ダイエット目標のプライミングは,当該目標を有する摂食抑制者において,目標達成を促す可能性のあることが示唆された。
総9頁(pp.55-63)
24 再確認傾向と賞賛獲得欲求・拒否回避欲求との関連
単著 2018-03-00『人間形成論研究』第8号 大学生を対象に,重要他者への再確認傾向と賞賛獲得・拒否回避の各欲求との関連を相対的に検討することを目的とした。まず男女ともに,重要他者として選択されたのは同性友人が最も多く,親,恋人の順であった。このうち,恋人への再確認傾向が男女ともに最も高く,特に女子は,自己価値を高めるための,一方で拒否されないための再確認行動が,恋人だけでなく,親,同性友人に対しても見られた。度重なる再確認行動は関係悪化につながるため,重要他者からフィードバックが得られないなど不安を喚起される事態においても,再確認傾向への衝動性をいかに抑えていくかが課題といえる。
総10頁(pp.35-44)
25 教職志望学生の児童・生徒を叱らない理由についての検討単著 2019-03-00『大谷大学初等教育学会研究紀要』第1号 本学では即戦力を持った教員の養成を目的に,学生たちに早期から教育現場での実践的経験を積ませている。本研究では,教職志望学生を対象に,児童・生徒と関わる上で叱らない理由について測定し,児童・生徒との関わり経験によって,叱らない理由の評価に違いが見られるかを検討した。その結果,叱ることによる子どもとの直接的な関係性の変化や自身に及ぶ影響についての捉え方には,関わり経験や学年による差が認められたが,叱りにより副次的に生じる他の教員や保護者からの評価や反応に対する捉え方には,その差がないことが示唆された。早い段階で子どもと触れ合う機会を持ち,時には叱る場面にも遭遇し,試行錯誤や葛藤を重ねていくことは,将来的に自信をもって教育実習に臨み,教育現場に立つためにも有用なことと思われる。
総9頁(pp.28-36)
26 学校ボランティア活動におけるメタ認知の活用について単著 2019-03-00『大谷大学教職支援センター研究紀要』第10号 学校ボランティア活動での能動的な学修によって,実践的指導力育成という教育効果が期待される一方で,単に教育現場の経験に終わる学生も少なくない。そのため,学校ボランティアという学習形態の設定だけでなく,学生自身が,教育現場で遭遇する諸事象に対し,どのように状況判断し,情報処理し,自己の思考や行動をより妥当なものへと統制しているかといった「メタ認知」の観点から,活動による教育効果の検討が必要となることを論じた。
総8頁(pp.1-8)
27 学校ボランティア活動の経験についての振り返りの分析 共著 2020-03-00『大谷大学初等教育学会研究紀要』第2号 「実践体験活動演習 (小)」の授業では,本学1年生を対象に教育現場へのボランティア派遣を実施している。本研究では,学生自身による活動の振り返りデータに基づく質的研究を採用して,学生自身の変化・成長,困難さの様相を明らかにした。ほぼ全員が授業補助を経験し,その中で子ども及び教師への理解を深め,実践的指導力に関する知識や技術の習得が認められたが,学校現場との連携という点での課題も示された。筆者の分担は,調査後のデータ分析・論文の執筆であった。
共著者:田中久美子・関口敏美・林正幸
28 エリクソン理論の「劣等感」と失敗に対するマインドセット単著 2021-03-00『大谷大学初等教育学会研究紀要』第3号 まず,エリクソン理論の児童期における発達課題について概説した。勤勉性の獲得に失敗すると,対立概念としての劣等感が増大するが,劣等感を克服し,自信を取り戻していくためには,学習者および評価者である教師の失敗や劣等感に対する捉え方が重要になる。そこで,Dweck のマインドセット理論による多様な原因帰属の有効性について論じた。
総11頁(pp.46-56)
29 コロナ禍での大学生の昼食行動の変化 単著 2023-03-00『大谷大学初等教育学会研究紀要』第5号 本研究では,コロナ禍において,感染症対策から個食を推奨する食環境の変化に伴う,大学生の昼食行動と,そこで生じている新たな問題について論じた。具体的には,ランチメイト症候群に対する認識について,量的分析と自由記述による質的分析とを組み合わせ検討した。さらに,個食と共食の各場面における食事中のデジタルデバイス利用の問題性について論じた。  
総12頁(pp.14-25)
30 学業的自己概念の形成における社会的比較の影響 単著 2024-03-00『大谷大学初等教育学会研究紀要』第6号 児童生徒の学業的自己概念が,個人の学業成績だけでなく,所属するクラスや学校の他者の成績との比較によっても影響を受けることから,井の中の蛙効果と栄光浴効果について概説した。習熟度別・少人数指導では,クラスメートとの社会的比較が促進されやすいため,教師の適正な評価や期待により,学習者の心理面へのケアが必要となる。教師は,少人数指導の中で,生徒の能力や学習ニーズに合わせた目標,教材,およびサポートを提供し,特に成績の低い生徒の羞恥心や不安などの軽減に努めることが求められる。
総11頁(pp.10-20)
31 過食行動のメカニズム理解における食物手がかり反応性の学習モデルの役割 単著 2024-03-00『京都産業大学教職研究紀要』第19号 おいしくて高カロリーの食物が豊富にある現在の食環境には、食物摂取と結び付く多くの手がかりが存在する。本論文では、食物手がかりへの反応性が古典的条件づけによる学習と仮定し、食物手がかりと肥満につながる過食行動との関連を概説した。そして,特に肥満者の場合、衝動性などのパーソナリティ要因の背景にある行動賦活システム (Behavioral Activation System: BAS) の発動が,食物報酬を伴う新しい食欲学習に大きく関わっていることを示した。食物手がかり反応性の学習モデルの詳細な知識は、食物摂取の衝動を自己制御することが難しい人々を支援するのに役立つ可能性がある。
総9頁(pp.21-29)
以上31点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 「高校生女子における自己意識および自尊心と被服行動との相互関係」ポスター発表 1996-11-00日本教育心理学会第38回総会 女子高校生を対象に,自己の容姿への満足度が被服行動や自己関連尺度に及ぼす影響について検討した。その結果,自己の容姿に対する否定的な感情が公的自己意識の高まりにつながること,外見を装う動機にはこうした感情も複雑に絡み合っていることが窺われた。また,自己の容姿に対する評価は自尊心にも影響していたことから,青年期の自己理解において身体が重要な要因となることも示唆された。
発表要旨:『日本教育心理学会第38回総会発表論文』
総1頁(p.302)
2 「大学生の被服行動に関する研究 ~自己関連尺度を用いて~」ポスター発表 1997-09-00日本社会心理学会第38回大会 大学生男女を対象に,日常の被服行動を調査し,自己関連尺度との関連性について検討した。その結果,女子は被服の表層的側面を,男子は機能・経済性の実用的側面をそれぞれ重視していることが示された。また,被服行動と自己の諸側面との関連性からも,女子が男子に比べて他者依存的であるために他者への表出行動に対する意識が高いという従来のステレオタイプ的な性役割観を支持するような性差が認められた。
発表要旨:『日本社会心理学会第38回大会発表論文集』
総2頁(pp.230-231)
3 「相互依存的自己理解の心理的背景 」口頭発表 1997-09-00日本心理学会第61回大会 相互依存的自己理解は,他者との密接な関係の中で自己を見出す特性であり,日本人に特徴的である。しかし,そこには他者との関係なしで自己を見出すことができないという消極的な一面も含んでいると考えられる。そこで,大学生男女を対象に,相互依存性の持つ自我の不確実性について検討した。その結果,男女ともに主体性の欠如が他者との依存関係を強める要因となることが示された。
発表時間:15分
発表要旨:『日本心理学会第61回大会発表論文集』
総1頁(p.114)
4 「不満喚起に伴う自己呈示行動について」口頭発表 1998-10-00日本心理学会第62回大会 Kowalski(1996)の提唱した不満表出過程のモデルに基づき,不満を喚起させるような相手から自己への誤った評価が,その後どのような自己呈示行動を引き起こすかについて検討した。その結果,設定した場面に応じて不満感の表出が促進あるいは緩和・抑制されることが示された。これは,場に応じた自己像を表出するといった,社会的スキルの一つであり,自己に対する印象の再形成を相手に促すといった戦略的な自己呈示行動ととらえられた。
発表時間:15分
発表要旨:『日本心理学会第62回大会発表論文集』
総1頁(p.70)
5 「被服が身体意識に及ぼす影響 ~自己対象化に基づいて~ 」ポスター発表 1999-10-00日本社会心理学会第40回大会

学術論文5の一部を発表したものである。
発表要旨:『日本社会心理学会第40回大会発表論文集』
総2頁(pp.178-179)
6 「他者に見られることによる自己の身体管理について」ポスター発表 2000-11-00日本心理学会第64回大会

学術論文6の一部を発表したものである。
写真撮影へのモデル参加を他者に見られることによる自我脅威的な場面と設定し,対象となる女子大学生がこれを認知的負荷と捉える影響要因を検討した。その結果,対象化身体意識尺度の下位尺度のうちコントロール信念は認知的負荷を低める一方,身体の差恥は認知的負荷を高めることが示された。
発表要旨:『日本心理学会第64回大会発表論文集』
総1頁(p.224)
7 「写真撮影モデル依頼による認知的負荷と食行動」ポスター発表 2000-11-00日本社会心理学会第41回大会 学術論文6の一部を発表したものである。
写真撮影モデル依頼に対する認知的負荷の主観的程度により,その後の食行動に違いが見られることを明らかにした。
発表要旨:『日本社会心理学会第41回大会発表論文集』
総2頁(pp.220-221)
8 「ダイエット行動に関する認知的諸要因の検討」

ポスター発表 2001-10-00日本社会心理学会第42回大会 ダイエッターは、思考、感情、行動の各側面で独特の認知機構に基づき、食行動を規制しているが、ストレスなどの高い心的負荷によって自己制御が効かなくなることも多い。そこで、ダイエッターのストレスや不快情動への対処法を調べた結果、短期的な気晴らしの多さが認められた。これは、ダイエッターが、即時的な状況に自己の注意を限定し、対処プロセスの評価や調節を行わなくなるためである。この結果から、ダイエット行動という自己制御の学習過程におけるメタ認知の有効性について論じた。
発表要旨:『日本社会心理学会第42回大会発表論文集』
総2頁(pp.430-431)
9 「知能の発達的研究とその応用  “企業人活動適性検査”の開発」共同開発 2002-00-00京都大学-株式会社三洋ヒューマンネットワーク 京都大学大学院教育学研究科の子安増生教授と同大学院生4名が、株式会社三洋ヒューマンネットワークと共同で、企業の採用および昇進試験を目的とした商品「企業人活動適性検査SM‐ART (Synthetic Multiple Aptitude Recruitment Test)」の開発を行った。本検査の基本コンセプトは、Gardner (1983) の提唱した多重知能理論 (theory of multiple intelligences) にある。その構成要素として、「言語的知能」、「論理-数学的知能」、「音楽的知能」、「身体-運動感覚的知能」、「空間的知能」、「対人的知能」、「個人内知能」の7つがあり、特に本人は「対人的知能」、「個人内知能」の分野における知能の発達的研究 (子どもの知能も含む) を実施し、研究結果をまとめたほか、結果を踏まえた問題作成を行うなど開発に積極的に携わった(2002年~2004年)。
10 「自己の構成要素としての容姿に対するとらえ方」

ポスター発表 2003-09-00日本心理学会第67回大会

多次元的な自己観において、Linville (1987) が自己知識には複数の部分的な認知構造が存在すると仮定したのをはじめ、自己関連情報の構造化が問題とされてきた。特に、発達心理学的な観点においても、児童期から青年期にある女子にとって、身体はアイデンティティ達成の直接的かつ中心的なテーマの一つであり、自己評価に与える影響も大きい。そこで、自己の構成要素としての身体に注目し、自己全体の中での役割や、他の構成概念への影響について、自己発達の点から検討した。
発表要旨:『日本心理学会第67回大会発表論文集』
総1頁(p.205)
11 「青年期女子の友人関係とダイエット経験が容姿に関する身体意識に及ぼす影響について」ポスター発表 2003-09-00日本社会心理学会第44回大会 学術論文8の一部を発表したものである。
発表要旨:『日本社会心理学会第44回大会発表論文集』
総2頁(pp.586-587)
12 「Influences of friendship and appearance-related body consciousness on dieting in adolescent women.」

ポスター発表 2003-12-00Self, Cognition, and Emotion
Kyoto University International Symposium Kyoto-Michigan Collaboration in Psychology
学術論文8の一部を発表したものである。
アメリカでの発表ということから,他者との関係性の中で自己を規定するという日本人に特有の相互依存的自己理解についても触れ,その上で,ダイエット依存度の高い女子が友人への拒否不安から自己の身体管理を強めることについて説明した。
発表要旨:Self, Cognition, and Emotion Kyoto University International Symposium Kyoto-Michigan Collaboration in Psychology
総1頁(p.68)
13 「青年期女子における生活習慣とダイエット行動との関連性について 」ポスター発表 2004-09-00日本健康心理学会第17回大会

大学生女子を対象に、食生活や睡眠などの生活習慣が、ダイエット行動に及ぼす影響について、健康心理学的観点から検討した。その結果、夜型は朝型に比べ、即席・高カロリー食品を好み、食生活が不規則にもなりやすいことが示された。特に、夜型が進み、生活が不規則になるにつれて、疲労感の蓄積などのために食べられなくなることを有効なダイエット方法と認識する者も出てくる。こうした食生活上の諸問題については、通塾等のために夜型傾向が進む小・中学生にも広げ、実態調査を行う必要があるだろう。
発表要旨:『日本健康心理学会第17回大会発表論文集』
総2頁(pp.366-367)
14 「“テスト・ザ・ネイション2005”(平成17年11月27日放映)IQテスト問題作成」問題作成 2005-00-00テレビ朝日 全国一斉に生放送でIQ(intelligence quotient)テストを行う視聴者参加型番組の問題作成に関わった。京都大学の坂野登名誉教授を中心に、5名の心理学研究者とテレビ朝日系番組制作会社との共同で行われた。番組コンセプトは、右脳・左脳による脳タイプ別に適職を探るというもので、左脳優位の分析力・論理力、右脳優位の空間認識力・想像力をそれぞれ測定するための問題を各個人が計100問程度作成した。問題のレベルは小学校高学年でも解けることを目指したため、小学生の国語・算数に関する知能を考慮した問題作成に心がけた。実際の番組の中では、本人作成の問題 (分析力・論理力) が4問採用された。また、この内容の一部については、立命館大学の心理学基礎実験実習 (知能領域) にて解説した。
15 「青年期女子の食行動と生活習慣との関係」ポスター発表 2005-09-00日本社会心理学会第46回大会 学術論文12の一部を発表したものである。
発表要旨:『日本社会心理学会第46回大会発表論文集』
総2頁(pp.704-705)
16 「青年期女子の身体意識に及ぼすダイエットの影響」

口頭発表 2007-09-00日本心理学会第71回大会ワークショップ「ダイエットへの心理学的アプローチ」

本ワークショップは、さまざまな心理学領域からのダイエットへのアプローチをねらいとして企画された。筆者は、青年期特有の身体発育に基づく個人の自覚的な身体的経験が、ダイエット行動に及ぼす影響について、発達心理学・青年心理学の立場から話題提供を行った。特に、他者との相互作用における自己の身体への認知、これに付随するダイエット行動への影響などに関して、行動尺度による評価や行動観察に基づいた実証研究を紹介した。
発表者:矢澤美香子、可知悠子、葦原摩耶子、鈴木公啓、田中久美子
指定討論者:島井哲志
全体発表時間:2時間 (各個人発表20分)
17 「ダイエットに及ぼす諸要因の影響」

口頭発表 2008-09-00日本心理学会第72回大会ワークショップ「ダイエットへの心理学的アプローチ その2」 幅広い年齢層で、ダイエットを行うことが一般的となっている。その背景には、肥満人口の増加や若年女子の痩せなどの問題があるが、これを心理的側面から注目すると、単に肥満や痩せといった健康上の問題解決への手がかりを提供できるだけでなく、現代人の美意識や心理的発達の有り様などの意味を見出すことができる。本人は、さまざまな心理学領域からの各発表者の報告に基づき、ダイエットに至る諸要因の影響関係について総括した。
発表者:可知悠子、葦原摩耶子、鈴木公啓、高木悠哉
指定討論者:田中久美子
全体発表時間:2時間 (各個人発表20分)
18 「テスト対処に及ぼす愛着スタイルの影響について」

ポスター発表 2008-09-00日本心理学会第72回大会 大学生を対象に、乳幼児期からの愛着関係によって形成される愛着スタイルが、テスト直前のストレス下でのサポート探索行動に及ぼす影響について検討した。その結果、安定群では意欲的なテスト勉強のほか、対人関係を介した情報収集や情動安定を行い、包括的方略が見られるのに対し、回避群および両価群では、テストに伴う情動の不安定さへの処理・解決が優先されていた。これらは、対人関係における各愛着スタイルの特性を反映し、愛着スタイルに応じた教育的介入の可能性を示唆する結果といえる。
発表要旨:『日本心理学会第72回大会発表論文集』
総1頁(p.262)
19 「課外活動が大学生活への適応に及ぼす影響」ポスター発表 2009-08-00日本心理学会第73回大会 大学生では、学内活動のほか、サークルなどの課外活動も盛んになり、両活動のバランスが大学適応に与える影響も大きい。自己複雑性研究によれば、独立性の高い多重な役割従事が大学生の心理的well-beingを高めるという。その一方で、アルバイトへの過剰な従事に疲弊し、生活習慣が乱れ、大学不適応につながるケースも指摘されている。本研究では、課外活動への関与の程度に基づき、課外活動経験が大学生活への適応性に及ぼす影響について検討した。このうち、課外活動の活発な群ほど、多様な取組みを適応的と考えていた。
発表要旨:『日本心理学会第73回大会発表論文集』
総1頁(p.1281)
20 「青年期女子のダイエット行動と生活習慣との関係」口頭発表 2009-08-00日本心理学会第73回大会ワークショップ「ダイエットへの心理学的アプローチ その3」 2008年4月より特定健診・特定保健指導が始まり、健康を維持するためのダイエットが一般の人々や企業の注目を集めている。これにより、心理学のみならず、肥満と関連する健康問題の解決を目的とする医学・栄養学からの研究も増加している。本人は、学術論文12のデータを基に、大学生の「生活の夜型化」と「日常のストレス反応」が、ダイエットへの依存度により、食習慣の乱れにどのような影響を及ぼしているかを健康心理学的な観点から話題提供した。
発表者:鈴木公啓、田中久美子、木村穣
指定討論者:菅原健介
全体発表時間:2時間 (各個人発表25分)
21 「賢いダイエッターになりましょう ――青年期女子のダイエット行動と食習慣との関係」単著 2010-02-00健康心理学会ニューズレター第51号 ニューリサーチ 学術論文12の内容に基づく,日本健康心理学会からの寄稿論文である。青年期女子のダイエット行動と食習慣との関係を一般読者にもわかりやすく解説した。
総2頁(pp.3-4)
22 「大学生の朝食摂取における意思決定バランス」ポスター発表 2010-09-00日本心理学会第74回大会 近年、実証的な研究によっても、朝食摂取の重要性が示唆され、若い世代での健康的な食習慣の形成が期待されているが、朝食の欠食率は依然20歳代で最も高い。本研究では、朝食摂取に対する意識と行動の乖離について、朝食摂取の負担およびその認知が,摂取行動の意思決定に及ぼす影響を検討した。
発表要旨:『日本心理学会第74回大会発表論文集』
総1頁(p.1175)
23 「先延ばし後の課題再試行への意思決定バランス」ポスター発表 2011-09-00日本心理学会第75回大会 大学生を対象に、実施を意図しながらも、その行動開始が停滞する「先延ばし」について、遂行上支障となる内的・外的要因を検討した。先延ばし課題としては、就職対策、学業、健康管理、家事の4種類が抽出され、先延ばし後の課題再試行への規定因は課題ごとに異なっていた。
発表要旨:『日本心理学会第75回大会発表論文集』
総1頁(p.1135)
24 「情動的摂食と食品のカロリー量推定バイアスについて」ポスター発表 2013-11-00日本社会心理学会第54回大会 食品のカロリー量推定には,ヘルスハローバイアス (health halo bias) が影響しやすい。これは,体重増加への可能性を基準に,食品を健康/不健康に二分するためで,太りそうな食品は不健康的と判断され,カロリー量は過大評価される。体重管理に敏感な摂食抑制者は,その傾向が強い。一方で,摂食抑制者は否定的感情へのコーピング方略として行う情動的摂食で,通常「不健康的」と忌避している禁断の甘味食品を選びやすい。本研究では,テスト不安時の情動的摂食において,健康的および不健康的食品を対象に,摂食抑制状態によるカロリー量推定の違いを比較検討した。
発表要旨:『日本社会心理学会第54回大会発表論文集』
総1頁(p.461)
25 「食べたい」と「痩せたい」のはざまで単著 2017-12-00日本健康心理学会メールマガジン No.65 学会会員向け配信のメールマガジンに掲載される,寄稿のコラム記事である。幅広い読者を対象とすることから,自身の最近の研究テーマの中から,ヘルスハロー効果やライセンシング効果に関する日常の具体的事例を引き合いにし,自身の研究におけるスタンスと,学会研究に期待することを記述した。
当該記事はwebでも閲覧可能 http://jahp.wdc-jp.com/health/MM65.pdf
26 「手洗い想起がダイエットプライミング後の製品選択に及ぼす影響」web発表 2020-09-08日本心理学会 第84回大会 手洗いによる白紙効果は,過去の不道徳な行為への罪悪感の除去だけでなく,幸運など望ましい経験による影響の除去でも確認されている。本研究では,手洗い想起により摂食抑制者の有するダイエット目標に反する快楽的消費が選好されるかを検討した。プライミング2 (ダイエット・統制) ×想起2 (手洗い・付箋) の調査者間 2 要因計画とし,対象者の大学生409名 (男子247名,女子162名) を各条件に無作為に分けた。プライミング操作のための乱文再構成課題,手洗い・付箋使用に伴う各行動の想起,食品選択課題 (チョコレート等2 製品,属性表記の違いにより実用的消費と快楽的消費とに分類),摂食抑制の測定を順に行った。各プライミング後の想起内容および摂食抑制の程度が食品選択に与える影響を検討した結果,摂食抑制の程度が高いほど,ダイエットプライミング後の付箋想起で男女とも実用的消費が,手洗い想起で男子のみ快楽的消費が選択されることが示され,手洗い想起が摂食抑制者にとって有効なダイエット目標のプライミング効果の影響を弱めることが確認された。
https://www.micenavi.jp/jpa84/search/detail_session/id:10114
以上26点

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