教育研究業績の一覧

CONWAY MICHAEL J.
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 大学院生を対象に勉強会・研究会を開催 2009-10-00 ~ 仏教漢文の読解力向上を目指し、定期的に輪読会を主催するとともに、英語読解力向上のため、仏教典籍の英訳を輪読する会も開催する。
2 授業用プリントを復習に活用 2011-04-00 ~ 学生に配るプリントに前回の授業の要点を文章としてまとめ、それに基づいて前回の授業内容の復習を行う。
3 学術支援を必要としている学生に対して授業時間外で指導 2011-04-00 ~ 提出課題を解くことのできなかった学生に対して、授業時間外に解くための基礎知識を伝授し、追加課題を提出させる。
4 映画を英語教材として活用 2011-04-00 ~ 授業で映画の重要なシーンを学生に見せて、その内容の和訳を作ってもらう。
5 英訳を活用して、古文の典籍に対する理解度を高める 2011-04-00 ~ 日本語の古文で書かれている書物(『歎異抄』)の解読に際して、英訳の和訳作成を通して、古文の意味と文法を確かめ、原文に対する理解を養っている。
6 作文提出によって学生の理解度を把握 2012-05-00 ~ 講義内容について設問し、授業の最後にそれに応答する作文を提出させ、次回の授業でそれに基づいて復習を行う。
7 英文エッセイの和訳を宿題として課して、授業時においてその内容の確認と解説を行う 2013-04-00 ~ 真宗の基礎知識と英語能力を養うために、学生に真宗関連の英文エッセイ集の一部の和訳を宿題として課して、授業時にその和訳を発表してもらい、英文の理解を確かめる機会を設けている。それに加えて、エッセイの内容について解説し、その中で言及されている概念について学生の理解度を高めようとしている。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 授業時に授業の概要または講義のアウトラインを記したプリントを配付 2011-04-00 ~ 授業の度に学生が講義内容を把握しやすくするために、プリントを配付してそのアウトラインに沿って講義を行う。
2 授業内容に関連する論文を配付し、授業時間外に読ませる 2011-10-00 ~ 講義内容と関連のある論文を学生に配付し読むように指示した上、理解度を試すために次の授業で設問し作文を出させる。
3 「An Outline of the Teachings of Four Major Schools of Japanese Buddhism: READINGS」を作成 2014-03-00 英語で日本仏教を紹介する授業のために、初期仏教、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗の歴史と教義に関連する英文の論文と一次資料の英訳を集めた冊子を作成し、学生に配布した。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 海外研修の企画と実施 2019-02-13
~2019-02-27
「アメリカにおける真宗開教活動の現状と可能性」というテーマでカリフォルニア州バークレー市および近辺の開教寺院と宗教施設の視察と開教活動に関わっている人の講義を聞く研修プログラムを計画し、9名の学生を引率し、実施した。
B 職務実績
1 東方仏教徒協会設立90周年記念講演会 2011-05-00 講師・応答者への依頼等、講演会開催の実務を担当。
2 東方仏教徒協会公開セミナー 2011-05-00 月一回の開催で鈴木大拙訳『英訳教行信証』「信巻」に関する講義を行う。
3 The Eastern Buddhist, 42巻1号 2011-12-00 編集責任者として掲載論文の査読・編集等の発刊実務を担当。
4 The Eastern Buddhist, 42巻2号 2012-07-00 刊行の実務を担当。
5 東方仏教徒公開講演会 2012-10-00 開催実務を担当。
6 The Eastern Buddhist, 43巻1/2号 2013-04-00 刊行の実務を担当。
7 東方仏教徒公開講演会 2013-10-00 開催実務を担当。
8 The Eastern Buddhist, 44巻1号 2014-04-00 刊行の実務を担当。
9 真宗総合研究所研究所 国際仏教研究 英米班 庶務担当 2015-04-00
~2019-03-00
国際仏教研究の英米班の庶務担当として、国際シンポジウムやワークショップの開催、研究者を招聘した公開講演会、成果出版に向けた校正作業等の実務を担当した。
10 学術交流協定による授業実施 2016-03-10
~2016-03-18
ハンガリーのエトヴェシ・ロラーンド大学(ELTE)において「Teaching, Practice, and Realization in Four Major Schools of Japanese Buddhism(日本仏教の四つの主要宗派における教行証)」という題目のもと、集中講義を行った。
11 外部資金の獲得(科学研究費助成事業;研究分担者) 2018-04-00 ~ 科学研究費助成事業(基盤研究C)「西洋哲学の初期受容とその展開―井上円了と清沢満之の東大時代未公開ノートの公開―」(研究課題番号:18K00024 2018.4.1~2021.3.31 研究代表者:村山保史)において、英文ノートの解読および翻刻確認作業を担当した。
12 学術交流協定による授業実施 2019-03-18
~2019-03-26
ハンガリーのエトヴェシ・ロラーンド大学(ELTE)において「The Role of Words in Liberation in the Major Schools of Japanese Buddhism(日本仏教の主要な宗派の証果論における言葉の役割)」という題のもと、集中講義を行った。
13 外部資金の獲得(科学研究費助成事業;研究代表者) 2019-04-00 ~ 科学研究費助成事業 基盤研究C「中国唐代・道綽浄土思想の基礎的研究」(19K00069 2019.4.1~2022.3.31)の研究代表者として、研究分担者5名、補助者1名体制で研究を推進している。
14 真宗総合研究所研究所 国際仏教研究 研究代表者および東方仏教徒協会 事務局長 2019-04-00
~2020-03-00
二班体制で研究活動を進めていた国際仏教研究の研究活動を統括し、主に英米班の翻訳研究ワークショップや公開講演会の開催を監督した。また国際仏教研究の活動として位置付けられている東方仏教徒協会(EBS)の運営や予算編成について編集実務を担当している人と事務組織との間の調整役を勤めた。
15 学術交流協定による授業実施 2020-02-10
~2020-02-18
ハンガリーのエトヴェシ・ロラーンド大学(ELTE)において「The Role of Language in the Soteriology of Four Schools of Japanese Buddhism(日本仏教の4つの宗派の救済論における言語の役割)」という題目のもと、集中講義を行った。
16 外部資金の獲得(科学研究費助成事業;研究分担者) 2020-04-00 ~ 科学研究費助成事業(基盤研究B)「dharmadhatu(法界)概念の研究―初期大乗経典・古訳の分析を中心として―」(研究課題番号:20H01185 2020.4.1~2023.3.31 研究代表者:藤井淳)において、中国浄土教における法界概念の受容と展開に関する研究を担当している。
17 外部資金の獲得(科学研究費助成事業;研究分担者) 2020-04-00 ~ 科学研究費助成事業(基盤研究B)「禅からZenへ―世界宗教会議を通じた禅のグローバル化の宗教史・文化史的研究」(研究課題番号:20H01192 研究代表者:守屋友江)において、鈴木大拙が参加した1936年世界宗教会議の研究を進めている研究班の統括を担当している。
18 真宗総合研究所 国際仏教研究 欧米班 庶務担当 2020-04-00 ~ 国際仏教研究の欧米班が推進している研究プロジェクトの実務を担当した。新型コロナウィルスの影響により、例年、行っているワークショップと公開講演会の開催や学会参加は見送られたが、成果出版に向けて、校正および翻訳作業に取り組んだ。
19 外部資金の獲得(科学研究費助成事業;研究分担者) 2022-04-00
~2025-03-00
科学研究費助成事業(基盤研究B)「大正・昭和戦前期を中心とする教育と近代仏教に関する学説史的・実践史的考察」(課題番号:22H00970 研究代表者:真壁宏幹)において、暁烏敏と毎田周一の人間形成論および教育論について研究を進めている。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2005-03-00~0000-00-00 The European Association for Japanese Studies
2 2005-06-00~0000-00-00 The International Association for Shin Buddhist Studies(2017年より理事)
3 2007-03-00~0000-00-00 真宗大谷派教学学会
4 2008-03-00~0000-00-00 真宗連合学会
5 2009-05-00~0000-00-00 日本仏教学会
6 2009-06-00~0000-00-00 日本印度学仏教学会
7 2011-06-00~0000-00-00 American Academy of Religion
8 2013-11-00~0000-00-00 International Association of Buddhist Studies
9 2016-04-00~0000-00-00 東西宗教交流学会
10 2016-11-00~0000-00-00 American Philosophical Association
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 『Adding Flesh to Bones: Kiyozawa Manshi's Seishinshugi in Modern Japanese Buddhist Thought』共編著 2022-04-00University of Hawai'i Press 清沢満之の思想の背景、内容およびその影響について論じた17編からなる英文論文集をMark L. Blumと共に編集し、1編を執筆し、5編の翻訳に関わった。執筆した章では、曽我量深の思想における阿頼耶識の役割と位置付けについて論じた。また杉本耕一と長谷正當が担当した章を一人で翻訳し、三浦節夫と末木文美士が担当した章をWayne S. Yokoyamaと共に翻訳し、加来雄之が担当した章をDylan Luers Todaと共に訳した。執筆者:Robert F. Rhodes, Mark L. Blum, 岩田真美, 三浦節夫, 末木文美士, 西本祐攝, 山本伸裕, 福島栄寿, Michihiro Ama, 杉本耕一, Micah Auerback, Michael Conway, 長谷正當, James C. Dobbins, Melissa Anne-Marie Curley, Paul B. Watt, 加来雄之[総頁数488頁][本人担当:執筆:29頁[248頁~276頁]単訳:41頁[211頁~230頁、296頁~316頁]共訳:83頁[53頁~88頁、89頁~111頁、390頁~413頁]
以上1点
Ⅱ学術論文
1 Seeking the Pure Land in the Modern World: Yasuda Rijin’s Search for a Shin Buddhist Sangha単著 2006-12-00The Pure Land, volume 22 安田理深の生涯と思想を簡単に紹介し、氏の展開した僧伽論が真宗大谷派の同朋会運動の思想的背景にあったと論じた。そして、その僧伽論の教学的根拠を示すために、『歎異抄』と『教行信証』「真仏土巻」に尋ね、安田が明らかにした浄土の現代的意義は、特に『論註』における「眷属功徳」に示されている、宗教的求道者の共同体を成り立たしめる原理として用くことにあると論じた。14頁[79頁~92頁]
2 『安楽集』における曇鸞教学の受用と展開―行と信の展開を中心に―単著 2008-06-00『真宗教学研究』第29号 安楽集』における行信論を曇鸞教学との比較において考察した。道綽が『安楽集』において五念門の行に言及しない理由について考察し、道綽教学における常念の称名念仏の強調を紹介した上で、親鸞が道綽の釈功を「三不三信誨慇懃」として讃えた理由について考察した。また、『安楽集』における曇鸞教学の受用を究明するための基礎資料として、『安楽集』における曇鸞の著作を依用した文と曇鸞の著作における原文との対校表を作成した。27頁[82頁~108頁]
3 道綽教学における本願の思想単著 2008-12-00『大谷大学大学院研究紀要』第25号 『安楽集』における四十八願からの引用を整理し、それぞれの文脈において考察することによって、道綽が『観経』を解釈する姿勢を明確にし、浄土真宗の教義形成過程における道綽の意義を明らかにした。先ず、第十八願以外の取意引用文の特徴を考察することによって、道綽が四十八願を捉える基本的態度を明らかにした。そして、第十八願の三つの取意引用を考察することによって、道綽が念仏者の往生を成り立たしめる原理として第十八願の意義を明確にしたことを論じた。32頁[31頁~62頁]
4 Throwing Open the Gates of the Pure Land: Daochuo’s Recognition of the Latter Days of the Dharma as the Foundation for “neither Monastic nor Secular”単著 2008-12-00The Pure Land, volume 24 道綽の時機観を紹介し、「化身土巻」所引『安楽集』の文を考察した。末法の到来が僧と俗という生活形態を超えた仏道を要請したと論じて、道綽が明かした時機相応の教としての本願念仏が一切衆生に開かれている仏道であるということを論証した。そして、親鸞が「化身土巻」において、道綽の思想を受け止め、この時機相応の仏道を「非僧非俗」という表現で言い表したということを明確にした。17頁[133頁~149頁]
5 道綽の回心に関する一考察―同朋の発見によって開かれた仏道―単著 2009-01-00『真宗研究』第53輯 道綽に関する伝記資料を考察することによって、道綽の回心について従来伝えられてきた説を問い直し、道綽の回心の動機を明らかにすることによって浄土真宗における獲信の経験の内実を明確にしようとした。先ず、伝記資料における矛盾点を指摘し、従来の碑文説が史実とは言い難い点があると論じた上で、『安楽集』の記述において道綽の回心を促した曇鸞の言葉を指摘し、『安楽集』の論述によって、道綽の回心の内実を明確にした。18頁[22頁~39頁]
6 善導教学の源泉としての『安楽集』―本願論と行業論を中心に―単著 2011-03-00『親鸞教学』第97号 道綽の『安楽集』において示されている本願論と行業論が善導によって継承されたということを論じることを通して、浄土教の形成過程における道綽の貢献を明確にした。善導が本願の教説を中心に『観経』を解釈していることが道綽の『観経』を捉える基本姿勢と類似していることを指摘し、両者の本願取意文を考察することによって観念念仏に択んで称名念仏を掲げる善導が『安楽集』に示唆されている称名の位置を明確にしたと論じた。18頁[58頁~75頁]
7 『教行信証』における親鸞の歴史観単著 2011-03-00『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第28号 『教行信証』の「総序」と「化身土巻」の論述を対比させることによって、親鸞の思想における二重の歴史観の意義について考察した。一方では、親鸞が本願実現の歴史を強調するが、同時に、仏教の衰退を説く書物から引用している。この歴史の捉え方を、「悲喜の歴史観」と特徴付け、親鸞が末法を悲歎すべき事実として捉えたのみならず、本願による念仏の必要性を明確にする契機とも捉えたと論じた。7頁[201頁~207頁]
8 本願念仏の宣揚―浄土教形成過程における道綽の意義―
(博士論文)
単著 2011-03-00大谷大学 道綽が浄土教の形成過程においてどのような役割を果たしたかという問題を主題に6章の構成で論じた。即ち、(一)道綽伝の考察と道綽の回心・(二)『安楽集』における曇鸞教学の継承・(三)道綽教学における末法教説の位置・(四)道綽教学における本願論・(五)道綽教学における行信論・(六)善導教学への影響と題する章からなり、曇鸞からの継承と善導への影響を確かめながら、道綽の貢献がその本願論と行信論にあると論じた。また、『安楽集』上巻の英訳を副論文として提出した。[本論:135頁・副論:48頁]
9 道綽の『安楽集』における末法教説の役割単著 2014-03-00『華厳思想と浄土教―中村薫博士退任記念論集―』中村薫編(文理閣) 従来の研究において道綽の教学的貢献が主に、末法時の仏教として浄土教を取り上げたことにあるとされてきたが、本稿において、道綽が伝統的な仏教に対して痛烈な批判を展開していることを指摘することによって、その定説を問い直した。道綽がいかなる時代においても浄土教に帰依すべきということを基本姿勢にしながらも、浄土教に対する批判が多く行われた当時の仏教界を浄土門へと誘導するために広く認知されていた末法の教説に言及していると論じた。25頁[204頁~228頁]
10 Dharmākara as the Subject, Not Object of Faith: The Reinterpretation of Amida's Causal Phase in Modern Shin Thought単著 2015-05-00『Faith in Buddhism』(Budapest: Institute for East Asian Studies, Eötvös Loránd University) 曽我量深の法蔵菩薩論を紹介し、それまでの真宗の伝統的な捉え方との差について考察することによって、その独自性を示し、曽我がいかに近代日本に真宗の意義を開示しようとしていたかについて論じた。蓮如の法蔵菩薩の捉え方を紹介した上で、曽我が法蔵菩薩が信仰の対象ではなく、信仰の主体そのものであるとしたということを述べた。11頁[177頁~187頁]
11 Demarcation from Daoism in Shinran's Kyōgyōshinshō単著 2015-05-10『Daoism in Japan: Chinese Traditions and Their Influence on Japanese Religious Culture』(Abingdon, Oxon: Routledge) 日本における道教の影響についての論文が11篇、集められている本書において、親鸞の『教行信証』「化身土巻」末巻で仏教と道教の区別についての論述を紹介し考察した。親鸞が当時の仏教界における道教的様子を種々に批判しているだけではなく、『弁正論』を引くことによって、道教の老子と釈尊の相違を明示し、そして道教の昇天思想と真宗における浄土往生の差を指し示していると論じた。22頁[126頁~147頁]
12 Medicinal Metaphors in a Soteriology of Transformation: Shinran's View of the Power of the Nenbutsu単著 2016-03-31『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第33号 親鸞の『教行信証』において、医療や薬剤に因んだ比喩の用例を整理し、紹介することによって、親鸞の念仏の功能についてどのように考えていたかということを明らかにしようとした。その比喩は、親鸞が念仏に現実の病気回復を見たのではなく、人間の精神生活における意味の領域で大きな転換をもたらすことを示している。よって、親鸞が「転悪成善」という利益を念仏の功能として特に重視したと論じた。13頁[13頁~25頁]
13 The Creation of Tradition as an Exercise in Doctrinal Classification: Shinran's Forging of the Seven Patriarchs単著 2016-06-00『The Eastern Buddhist』第45巻第1・2号 浄土教の歴史における祖師の選定について考察した上で、「正信偈」の論述を考察することによって、親鸞がいかに七高僧の思想を創造的に受け止め直して、提示しているかの一端を示した。道綽の『安楽集』における「六大徳」、そして法然の『選択集』「教相章」において示されている祖師を紹介した。そして、「正信偈」における七高僧の讃嘆には、たぶんに親鸞の独創的な思想が含まれているということを指摘し、七高僧の選定が単なる選びではなく、彼らの思想を捉え直す営みであったと論じた。38頁[113頁~150頁]
14 Introduction単著 2017-08-00『A Soga Ryōjin Reader』(Nagoya: Chisokudō Publications) ヤン・バン・ブラフト氏が作成した『曾我量深選集』からの英訳を収録した本の序文を執筆した。曽我量深師の思想の基調が精神主義に対する師の批判に現れていると論じた上で、そのキャリアの中で重要な位置を占めた概念を紹介した。最後に曽我師の論文に度々言及される親鸞思想の概念について解説を加え、英文読者が曽我師の文章を理解するために必要な情報を添えた。32頁[7頁~38頁]
15 Ethics in Pure Land Schools単著 2018-03-00『Oxford Handbook of Buddhist Ethics』オクスフォード大学出版 仏教の倫理思想を紹介する分担著書において、浄土教における倫理思想の章を担当した。浄土教の伝統の中で、他力思想と倫理的規定について古くから緊張関係があると論じ、その緊張が、初期無量寿経、善導の思想、そして親鸞の思想にどのように現れ、解消されているかということを紹介することによって、浄土教の倫理思想と他の仏教の倫理思想が同じ地平で考えられる土台を示した。21頁[184頁~204頁]
16 「『安楽集』第十二大門における『十往生経』の引用の意図について単著 2018-10-31『大谷学報』第98巻第1号(大谷大学大谷学会) 『安楽集』の最終章において、道綽が様々な行業を説く『十往生経』を引用した理由について考察した。一見して、この引用は、称名念仏の重要性を説いた道綽の立場に相応しくないように見えるが、道綽がその引用に元久されている種々の行業よりも、「無縁を観ず」という表現を重要視し、行者自身の能力への省察を促していると論じた。23頁[43頁~65頁]
17 「『安楽集』における「往生」の多義性」単著 2019-01-30『真宗研究』第63輯(真宗連合学会) 『安楽集』において道綽が経典における輪廻と往生の描写を素朴的に信じたのではなく、それらの教説に方便の語りがたぶんに含まれていると捉えたということを指摘し、『安楽集』において往生という言葉を多様な意味合いで使われていることを確かめた。これらの考察を通して、道綽が経典に説かれている往生に、方便の往生と真実の往生を区別して理解していたことを論じた。22頁[256頁~277頁]
18 浄土門仏教の確立と道綽の信心論―「三不三信誨慇懃」の理由を尋ねて―単著 2019-03-15『親鸞教学』第111号(大谷大学真宗学会) 親鸞が「正信偈」において道綽の教学的貢献を讃える中で、その信心論に注目し、特に懇ろに「三不三信」の教えを展開したと述べているが、曇鸞も同様な論述でほぼ同じことを提示しているから、古くから道綽の提示の仕方がいかに「慇懃」であったかについて議論はある。本論において『安楽集』の全体の文脈を考慮し、親鸞が従来指摘されているように道綽と曇鸞の書き方の差を評価したのではなく、『安楽集』の信心論全体を丁寧な説示として受け止めたと論じた。25頁[26頁~50頁]
19 英語圏における浄土真宗―「日本的特性」によって閉ざされている普遍救済の道―単著 2019-08-00『日本佛教學會年報』第84号  浄土真宗が日本国外に伝播する際に、いくつもの日本的特性が海外においてその教えが広く受け入れられることを妨げているとする先行研究を紹介した上で、親鸞の言説そのものが真宗の中心となるメッセージを分かりにくくさせているとする説の妥当性を問うた。『教行信証』の諸英訳のみによって親鸞の言説を理解しようとすると、確かにそのメッセージを読み取ることが困難であるが、英文で『教行信証』について丁寧な解説を加えれば、その言説は決して困惑させるものではなく、親鸞の根本主張をより明確にするものとして提示できると論じた。31頁[307頁~337頁]
20 Daochuo's Creative Quotation Practices単著 2021-03-00『The Buddha's Words and Their Interpretations』(真宗総合研究所) 『安楽集』において、道綽は経典を引用するに際して、多くの場合、原文に忠実に引くのではなく、独自な解釈を加え、言葉を変更して仏の言葉を引いている。本発表において、『安楽集』第一大門第四における『観仏三昧海経』の引用文を事例に、その独創的な引用法を紹介し、道綽が『無量寿経』と『観無量寿経』の意図に基づいて、『観仏三昧海経』の文章を練り直し、新たな意味を付与していると論じた。これを受けて、道綽が、『涅槃経』に釈尊の遺言として伝えられている「四依」の中に、「義に依りて語に依らざれ」という戒めと共に、「了義経に依りて、不了義経に依らざれ」という戒めを背景に、経典の文句を自由に書き変えたと論じた。15頁[155頁~169頁]
21 『教行信証』の英訳の限界と英文注釈書作成の必要性について単著 2021-03-31『真宗総合研究所研究紀要』第38号 『教行信証』の英訳のみによって親鸞が伝えようとしている意味を十分に読み取ることができないということを立証するために、「教巻」において憬興の『無量寿経連義述文賛』の引用を事例に取り上げ、『教行信証』の英文注釈書作成の必要性について論じた。親鸞は憬興の文章を引用する際に、原意を大きく変更する大胆な省略をされているが、現在の英文文献のみから、憬興の原意を読み取ることすらできず、親鸞の独自な工夫の意義は全く不明瞭であるということを論証した上で、その問題は解説書の作成のみによって解消されると論じた。大谷大学学術情報リポジトリ公開。28頁[1頁~27頁]
22 教育活動としての真宗開教の可能性―アメリカ仏教の現状と課題を踏まえて単著 2021-10-00『コミュニティの創造と国際教育〈日本国際教育学会創立30周年記念論文集〉』(明石書店) アメリカの仏教教団の現状と課題について紹介した上で、真宗教団にはその課題を解決し得る要素があるということを指摘した。アメリカにおける仏教教団は、移民中心の寺院と改宗者中心のメディテーションセンターに大別されるが、いずれも近年の宗教参画の変容によって同様な課題に直面している。ピュー研究所が近年実施しているアンケート調査は、アメリカ人の仏教徒の多くは、真面目に瞑想に取り組む一方、定期的に宗教施設に通い、聖典読解を行うことがほとんどないということを示している。また仏教徒の数は、1990年代までは増える傾向にあったが、2000年以降は横ばいになっており、停滞している。このように仏教に関心があっても、その関心が教団所属へと発展せずに、仏教教団はメンバー数の確保と施設の維持に重大な課題を抱えているが、「非僧非俗」の理念に基づいた「同朋会」創設と運営によって、真宗教団は効果的にこの現状に応答し、開教活動を展開することができると論じた。[14頁][135頁~148頁]
23 毎田周一の教育論とその背景についての考察―親鸞思想の影響を中心に―単著 2022-08-00『教育思想・教授法研究年報』第6号  毎田周一の教育論および人間形成論の一端を明らかにするために、その背景にある思想との関係について考察した。毎田を紹介する学術論文はほとんどないため、先ず簡単にその生涯を紹介した上で、その教育論の原点と考えられる暁烏敏との出会いについて論じた。そして毎田が晩年に書かれた遺稿(「宗教的人間学」)と、教育に関して発表した論考の記述を分析し、その人間形成論の背後に親鸞の思想が多分にあるということを指摘した。(1頁~18頁)[19頁]
以上23点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 Seeking the Pure Land in post-war Japan: Yasuda Rijin's search for a Pure Land sangha and Dōbōkai Undō's quest for a Pure Land口頭発表 2005-09-0011th International Conference of the European Association for Japanese Studies 安田理深の生涯と思想を簡単に紹介し、氏の展開した僧伽論が真宗大谷派の同朋会運動の思想的背景にあったと論じた。安田が同朋会運動の先駆者と戦前より親しい関係を持ったということを指摘し、安田の思想、特にその僧伽論が戦後における真宗大谷派の活動と組織に影響を及ぼし、同朋会運動の基本理念の形成に不可欠な役割を果たしたと論じた。[20分]
2 Seeking the Pure Land in the Contemporary World: Yasuda Rijin’s Search for a Pure Land Sangha口頭発表 2005-09-0012th Conference of the International Association of Shin Buddhist Studies Ⅱの①と同様の内容を発表した。[20分]
3 Introduction to Kiyozawa Manshi’s “Address for the Opening of Shinshū University翻訳 2006-12-00『真宗総合研究所研究紀要』第24号 田村晃徳が清沢満之の「開校の辞」を解説した和文を英訳した。真宗総合研究所国際仏教研究班が共同で製作した「開校の辞」の英訳とともに、研究所の紀要に掲載した。6頁[90頁~95頁]
4 『安楽集』における曇鸞教学の受用と展開―行と信の展開を中心に―口頭発表 2007-07-00第14回真宗大谷派教学大会 Ⅱの②と同様の内容を発表した。[20分]
5 Throwing Open the Gates of the Pure Land: Daochuo’s Recognition of the Latter Days of the Dharma as the Foundation for “neither Monastic nor Secular”口頭発表 2007-08-0013th Conference of the International Association of Shin Buddhist Studies Ⅱの⑤と同様の内容を発表した。[20分]
6 Discourse and Ideology in Medieval Japanese Buddhismの書評書評 2007-12-00The Eastern Buddhist, volume 38, numbers 1 & 2 Richard K. PayneとTaigen Dan Leighton共編の論文集(Routledge出版)の内容を紹介し、評価した。編集者共著の序文と11人の著者が担当した各章の内容を要約し、批評した。6頁[237頁~242頁]
7 道綽の回心に関する一考察―同朋の発見によって開かれた仏道―口頭発表 2008-06-00真宗連合学会第55回大会 Ⅱの④と同様の内容を発表した。[20分]
8 Doctrinal Authority and Innovation: Kaneko Daiei’s Transformation from Heretic to Hero口頭発表 2008-09-0012th International Conference of the European Association for Japanese Studies 昭和初期において、金子大栄の思想が問題視される発端となった著作の内容を紹介することを通して、教学的権威と進展の関係について考察した。金子が大谷大学での教授職と大谷派の僧籍を辞する経緯をたどり、『浄土の観念』の内容とその著について『中外日報』において展開された議論とを考察することによって、金子が後に教学的権威者となり得た要因の一つは、金子が聖教の言葉の絶対的権威を認めたことであったと論じた。[20分]
9 Innovation in the face of Doctrinal Authority: Kaneko Daiei’s Transformation from Heretic to Hero口頭発表 2009-04-00The Eastern Buddhist Society Public Symposium 金子大栄の生涯と思想を考察することによって、教学的権威に対する教学的進展を可能にする要素について考察した。昭和初期において、金子と当時の大谷派の教学的権威との衝突、そして、戦後における金子の復帰を、野々村直太郎の完全追放と比較することを通して、教学的進展の前提に、聖教の言葉の権威を認める態度が必要であると論じた。[25分]
10 A Double Take on History: The Degeneration of Buddhism and the Historicity of Salvation in the Kyōgyōshinshō口頭発表 2009-06-0014th Conference of the International Association of Shin Buddhist Studies 『教行信証』における親鸞の歴史観を紹介することによって、その二重性を指摘し、親鸞がどのように仏教の衰退を説く末法の教説を受け止めたかということを明らかにした。「総序」「教巻」「行巻」を考察することによって、親鸞が釈尊の出世に出発する本願実現の歴史を描いていることを示した上で、親鸞が、阿弥陀如来を釈尊の背景に据えることによって、末法の教説を本願開顕の契機として、その歴史の中に位置付けたことを論じた。[20分]
11 『教行信証』における親鸞の歴史観口頭発表 2009-09-00日本印度学仏教学会第60回学術大会 『教行信証』の「総序」と「化身土巻」の論述を対比させることによって、親鸞の思想における二重の歴史観の意義について考察した。一方では、親鸞が本願実現の歴史を強調するが、同時に、仏教の衰退を説く書物から引用している。この歴史の捉え方を、「悲喜の歴史観」と特徴付け、親鸞が末法を悲歎すべき事実として捉えたのみならず、本願による念仏の必要性を明確にする契機とも捉えたと論じた。[20分]
12 Shin Buddhism: Historical, Textual, and Interpretive Studiesの書評書評 2010-06-00H-Net Reviews Richard K. Payneの編集による論文集の内容を紹介し、批評した。浄土真宗について様々な角度から論考を展開している17編の論文の内容を要約し、考察した。[3000語]
13 生きる力を求めて―中村久子の世界―(Give Me the Power to Live: The World of Nakamura Hisako)翻訳 2011-04-00東本願寺出版部 若くして障害を負った中村久子の生涯と言葉を紹介する本を英訳した。中村が様々な出遇いを通して念仏の教えを聞く不可欠な機縁として障害を受け止めるようになった経緯を英語と日本語の両国語で叙述している本の英文を担当した。207頁
14 The Right Track for Preaching and Listening to the Dharma: A Consider- ation of Shinran’s Quotation of the Anleji in His Comment on the “True Disciple of the Buddha”口頭発表 2011-08-0015th Conference of the International Association of Shin Buddhist Studies 『教行信証』「信巻」真仏弟子釈における『安楽集』の引用文に注目し、その引用に際して親鸞が様々な工夫を施していることの意図について考察した。親鸞はこの引用において『安楽集』に散在している文章を「乃至」という語で繋ぎ、一連の文章として述べているということに注意することによって、引文の最初の部分に全体の主題が述べられていることを指摘し、親鸞はこの引用を通して真宗における聞思の姿勢とその実践の結果を表していると論じた。[20分]
15 Medicinal Metaphors in a Soteriology of Transformation: Shinran’s View of the Power of the Nenbutsu口頭発表 2011-08-0012th International Conference of the European Association for Japanese Studies 「宗教と癒やし」という部会のテーマを受けて、親鸞の『教行信証』における医療関連の譬喩を整理し紹介することによって、親鸞が念仏に見据える「転悪成徳」の用きがそのような譬喩によって表されていると論じた。鎌倉期において多くの仏者が呪術的力によって身体の病を治そうとしていた一方、親鸞がその救済論を表現する際、医療の譬喩を用いて念仏によってもたらされる精神的変革を説明しているということを指摘した。[25分]
16 The Ultimate Consummation of Mahayana Buddhism: From Birth in the Pure Land to the Path to Complete Nirvana翻訳 2011-12-00The Eastern Buddhist, volume 42, number 2 延塚知道の「大乗の至極―往生浄土から大般涅槃道へ―」という論文を英訳した。20頁[83頁~102頁]
17 The Problem of Merit Transference and the Kyōgyōshinshō翻訳 2011-12-00The Eastern Buddhist, volume 42, number 2 長谷正當の「『教行信証』と回向の問題」という論文を英訳した。11頁[103頁~113頁]
18 「如実修行相応」としての大行―鈴木大拙訳『教行信証』「行巻」管見―講演 2011-12-00親鸞仏教センター「英訳『教行信証』研究会」 鈴木大拙が英訳『教行信証』において「行」という文字をどのような言葉で翻訳されているかということを整理し、「信巻」に引用される『浄土論註』の讃嘆門釈における「如実修行相応」の英訳と照らし合わせることによって鈴木の独自な行理解の特質を示した。鈴木が捉える行は、「living」という訳語に示されているように現実に深く根ざした生活であったと論じたが、その理解と親鸞が提示した大行の一致不一致について更に考察が必要であるということも指摘した。[75分]
19 鈴木大拙訳『教行信証』「行巻」管見―「如実修行相応」の英訳を手掛かりに―講演録 2012-06-00『現代と親鸞』第24号(親鸞仏教センター) 上記Ⅲ-⑱を収録。36頁[(48)頁~(83)頁]
20 安田理深の僧伽論と同朋会運動の願い単著 2012-06-00『教化研究』第151号(真宗大谷派教学研究所) 短いエッセイにおいて安田理深の僧伽論と同朋会運動の関わりについて論じた。安田が僧伽の形成において重視した三帰依ということが、同朋会運動の帰敬式実施促進を裏付けている一方、安田自身は教団内の改革運動を厳しく批判している。本エッセイにおいてその批判の理由を探り、安田が見た真の共同体は人為的組織改編ではなく、法の用きのみによって実現されるから、批判を加えたと論じた。4頁[178頁~181頁]
21 The Advent of a Savior on Earth: Soga Ryōjin’s Discovery of a New Beginning for Amida Buddha口頭発表 2012-08-0011th Annual Conference of the European Association for the Study of Religions 「始まりと終わり」という大会のテーマに応答し、『大無量寿経』において法蔵菩薩が永遠の「兆載永劫」をかけて修行を続けていると言われることに着目した曽我量深が、その独自な法蔵菩薩論によって近代の阿弥陀仏の実在に対する疑惑を克服しようとしたと論じた。曽我が法蔵菩薩の物語を解釈することによって、当時において実証主義を重んじた知識人層が疑問視していた阿弥陀如来の新たな始まりを見出し、近代の念仏者の信心の主体として生き返らせたと論じた。[25分]
22 Liberation through the NEMBUTSU翻訳 2012-10-00『念仏の救い』(真宗大谷派宗務所出版部) 池田勇諦著の『念仏の救い』の三ヶ国語(日本語・英語・ポルトガル語)版における英語の部分の翻訳を担当した。58頁[1頁~58頁]
23 A Window on the Kyōgyōshinshō: Recent Discussions of the Tathāgata’s Two Types of Merit Transference in the Ōtani-ha講演 2013-02-00Institute of Buddhist Studies 2013 Winter Symposium 「伝統と自覚」というシンポジウムのテーマを受けて、親鸞が『教行信証』の論述の中軸に据えている二種回向の思想が具体的に真宗の求道においていかなる意味を持っているのかということを明確に示そうとした。近年、大谷派において展開されている親鸞の還相回向の捉え方についての議論を紹介することを通して、往相回向が信仰的自覚を可能にする如来の用きであり、還相回向がその自覚を促す伝統の教説であるとみることができると論じた。[60分]
24 A Translation of "Ōtani University’s Founding Spirit” by Sasaki Gesshō共訳 2013-03-31『真宗総合研究所研究紀要』第30号 佐々木月樵の「大谷大学樹立の精神」を、ロバート・ローズと井上尚実と共に翻訳した。13頁[18頁~30頁]
25 A Transformative Expression: The Role of the Name of Amituo Buddha in Daochuo’s Soteriology口頭発表 2013-06-0016th Conference of the International Association of Shin Buddhist Studies 道綽が念仏を呪文として理解したということを主張する英文の論文に対して批判をした。『安楽集』において道綽が語る「呪」が身体的病気の回復など仏果と無関係な結果のみをもたらすということを指摘し、その書物における念仏が、称える者に智慧をもたらすことによって成仏という目的に資するものとして語られていると論じ、道綽が念仏において呪文と次元を異にする用きを見ていたということを立証した。[30分]
26 The Role of the Doctrine of Mofa in Daochuo’s Thought口頭発表 2013-08-0023rd World Congress of Philosophy 道綽の思想における末法の教説の役割が従来、考えられてきたほど重要ではないということを論じた。『安楽集』における末法への言及を紹介した上で、道綽が聖道門の修行が時代の制約と関係なく、存在の法則(「法爾」)によって成じ難いと論じていることを指摘することによって、道綽が、浄土教が軽視されている時代においてその教えへと誘引するために末法の教説を傍証として取り入れたと論じた。[20分]
27 Dharmākara as the Subject, Not Object of Faith: The Reinterpretation of Amida’s Causal Phase in Modern Shin Thought口頭発表 2013-10-00International Symposium “Faith in Buddhism” 曽我量深の法蔵菩薩論において、通常の「信」の概念と異なって、法蔵菩薩が信の対象としてではなく、その主体として捉えられていることは、親鸞の信の捉え方への回帰と同時に、西洋の宗教と哲学の概念が近代日本の思想界へ流入したことへの応答でもあったということを論じた。曽我は法蔵菩薩を、西洋哲学用語の翻訳語である「主体」として捉えることによって、真宗の信を、疑問視されていた阿弥陀如来の客観的実在と別範疇に置くことができた。[25分]
28 The Incorporation and Development of Tanluan’s Thought on the Nianfo in Daochuo’s Anleji口頭発表 2014-08-0017th Congress of the International Association of Buddhist Studies 『安楽集』第二大門第三において道綽が曇鸞の論述に依拠して展開されている十一番の問答について考察することによって、道綽がどのように曇鸞の念仏思想を受容し展開したのかということを明らかにした。曇鸞の原文と『安楽集』の記述を比べることによって道綽が名号の上に救済の用きを見据え、その名号が智慧をもたらし、仏果へ進ませる能力を有していると論じた。それを通して当時、行われていた念仏批判へ応答しているということを論証した。[20分]
29 Shifting the Image of the Founder in the Ōtani-ha’s Doctrinal Studies: From the Shinran of the Tannishō to the Shinran of the Kyōgyōshinshō口頭発表 2014-08-0013th International Conference of the European Association for Japanese Studies 20世紀初頭から21世紀初頭までの間に、大谷派の教学において親鸞のイメージが、『歎異抄』に描かれている親鸞から、『教行信証』を著した親鸞へと移り変わったと論じた。明治末期・大正期に強い影響力をもった暁烏敏と近角常観の『歎異抄』解釈に見られる親鸞像を紹介した上で、20世紀を通して学界における親鸞像の変遷を経て、現代の教学において親鸞が主として坂東本『教行信証』の著者として捉えられるようになっているということを紹介した。[25分]
30 The Role of the Ālayavijñāna in Soga Ryōjin’s Reinterpretation of Dharmākara Bodhisattva口頭発表 2015-06-00Symposium: On Cultivating Spirituality: The Significance of Modern Shin Buddhist Thought in the History of Religions (大谷大学) 曽我量深の法蔵菩薩論について発表した。「如来表現の範疇としての三心観」における曽我の主張(「法蔵菩薩は阿頼耶識也」)について考察を加え、特にそのように論じた曽我の問題意識を明確にしようとした。[25分]
31 The Subject, Not Object, of Faith: Soga Ryōjin’s Reinterpretation of the Role of Dharmākara Bodhisattva in Shin Soteriology口頭発表 2015-08-0017th Conference of the International Association for Shin Buddhist Studies 曽我量深の初期から後期にかけての法蔵菩薩論を紹介し、それが近代日本に新しく構築された「主体」の概念とどのように関わったかを考察した。[25分]
32 阿修羅の琴と大行―親鸞と大拙の理解をめぐって―講演録 2016-03-00『現代と親鸞』第32号 英訳『教行信証』研究会において、鈴木大拙が親鸞の『教行信証』の英訳に際して、大行を独自に「Great Practice」として英訳したことについて考察した講演を収録した。鈴木の訳は、一面で親鸞が「行信」という語で指し示した念仏の信の内実を的確に言い表しているが、一面では、「Great Living」という語を使うことによって、親鸞が諸仏称名として大行を位置付けた意義が不明瞭になると論じた。38頁[338頁~301頁]
33 Daochuo’s Creative Quotation Practices口頭発表 2016-05-00Symposium: The Buddha's Words and Their Interpretations (大谷大学) Ⅱ-20の内容を発表した。[25分]
34 Faith and Inochi as Infinite Life翻訳 2016-06-00『The Eastern Buddhist』第45巻第1・2号 長谷正當の『浄土とは何か―親鸞の思索と土における超越―』から一章(「無量寿としてのいのちと信」)を英訳し、英文による訳者の序文をつけた。23頁[275頁~297頁]
35 本願の仏教の基礎構築―「正信偈」道綽讃に聞く―講演録 2016-12-00『信道』二〇一五年度(真宗大谷派名古屋別院) 親鸞の「正信偈」において道綽が讃えられている箇所について考察することによって、親鸞がいかに道綽の教学的貢献を捉えたかを明らかにした。18頁[214頁~231頁]
36 Past Karma and Radical Responsibility in the Thought of Soga Ryōjin口頭発表 2017-03-00American Philosophical Association, Central Division Meeting 『歎異抄聴聞』を中心に、曽我量深の宿業論について発表した。曽我が宿業を運命論と区別し、それに対する自覚において、全世界との感応を見るとともに、全世界に対する責任を負うということを論じているということを紹介した。曽我の宿業論は、浄土教における倫理の捉え方に大切な示唆をもつと同時に、欧米において展開されている仏教倫理学にも大きく貢献できると論じた。[30分]
37 国際真宗学会参加報告学会参加報告 2017-03-00『親鸞教学』第108号 国際真宗学会の第17回大会への参加について報告した。12頁[51頁~62頁]
38 Soga Ryōjin’s Understanding of the Returning Aspect of Merit Transference口頭発表 2017-07-0018th Conference of the International Association for Shin Buddhist Studies 曾我量深師の還相回向論について発表した。近年、寺川俊昭氏や長谷正當氏をはじめとして、親鸞の思想における還相回向の捉え方が議論の争点となっているが、両氏は曾我量深師の還相回向論に言及し、対立している見解の根拠にしている。それを受けて、本論において、両氏の立ち場を紹介し、曽我師の中期の論考における両氏の論拠を紹介した上で、曽我師自身は還相回向を両氏が提示しない、自他分別を超えた自然の用きとして捉えたと論じた。[25分]
39 Soga Ryōjin’s Tannishō chōki口頭発表 2017-08-002nd Workshop on Tannishō Commentarial Materials (Otani University, Kyoto) 大谷大学の真宗総合研究所、龍谷大学の仏教文化研究センター、カリフォルニア大学バークレー校の東アジア研究所の共同研究プロジェクトの一部として開催された『歎異抄』注釈の翻訳研究ワークショップで、曾我量深師の『歎異抄聴記』の内容を紹介し、その意義について考察した。[30分]
40 Inverting the Flow of Time: Soga Ryōjin’s Grasp of Historicity and Potentiality in the Single Thought Moment of Faith口頭発表 2017-09-0014th International Conference of the European Association for Japanese Studies 曾我量深師の時間論について発表した。曾我師は、唯識の教学に基づいて、常識的な時間の流れ(過去から現在、そして未来へと進む方向)を逆にする独自な時間論を展開している。本発表において、曽我師の初期の論考から中期の論考に見られる時間論を確かめ、それがいかに曽我師の救済論に組み込まれているのかについて考察することを通して、曽我師が現在の信の一念において過去と未来の意義を変革する目覚めを見据えたと論証した。[25分]
41 『安楽集』第十二大門における『十往生経』の引用の意図について口頭発表 2017-10-27大谷学会 秋季研究発表会(大谷大学) Ⅱ-16として刊行された論文の内容を発表した。[30分]
42 Oneness and Separation in Japanese Buddhist Sensibility:
Suzuki Daisetsu’s Presentation of the Myōkōnin
口頭発表 2017-12-08Zen and Sufism in the Modern West(グラスゴー大学主催のシンポジウム) 禅とスフィズムが西洋に伝播されていった過程を考察するシンポジウムにて、鈴木大拙がいかに妙好人を紹介したかということについて発表した。鈴木の妙好人に関する和文著作と英文著作を比較することによって、西洋に発信する際に鈴木が西洋思想に合わせようと種々に語り方を工夫した一方、英文と和文の著作において、妙好人について一貫した中軸を曲げずに伝えたと論じた。[30分]
43 Personal Reflections on Nihonteki Reisei翻訳 2018-01-00『The Eastern Buddhist』第47巻第2号 安冨信哉が鈴木大拙の『日本的霊性』の内容と意義について考察した論文を翻訳した。14頁[27頁~40頁]
44 『安楽集』における「往生」の多義性口頭発表 2018-06-08真宗連合学会第63回学術大会 Ⅱの17と同様の内容の発表を行った。(25分)
45 英語圏における浄土真宗―日本的特性によって閉ざされている普遍救済の道―口頭発表 2018-09-05日本佛教學會 第88回学術大会 Ⅱの⑲と同様の内容の発表をした(25分)
46 『教行信証』の英訳の限界と英文注釈書作成の必要性について口頭発表 2019-05-26国際真宗学会第19回学術大会 Ⅱ-21の内容を発表した。[30分]
47 『安楽集』における二諦論と浄土観について口頭発表 2019-06-08大谷大学真宗総合研究所 一般研究コンウェイ班 公開研究会 道綽の往生観を明確にするために、それと密接に関係している二諦論を取り上げ、考察した。道綽が浄土教による必要性が、「二諦の大道理に違わ」ない菩薩の行を実施するために不可欠だと論じているということを指摘した。これらの考察を通して、道綽が単純に死語に浄土に生まれ変わることを目的とせず、浄土教が大乗の菩薩道を真に全うするための唯一の方便であると見做していたことを示した。
48 師に出遇い、本願に出遇い、本願に生きる講演 2019-07-21武蔵野大学日曜講演会 第612回 真宗の教えに出遇った経緯および背景について紹介した上で、その出遇いが個人の特殊な能力や経験によるものではなく、親鸞が『大無量寿経』下巻の冒頭に説かれている本願成就の教説において見出された救済の原理に基づくものであったと論じた。
49 アメリカにおける仏教の現状と課題について―真宗教団を中心に―口頭発表 2019-09-08日本国際教育学会 第30回記念研究大会 近年の世論調査や研究成果に基づいて、アメリカにおける仏教の伝播の現状を分析し、真宗教団には現在、開教現場の課題に応答し得る要素がいくつかあるということを指摘した。アメリカにある様々な仏教教団が、1970年代から1980年代にかけて設立された施設を中止に、1990年代に盛況を見せたが、2000年代に入ってから、その成長が停滞し、現在は20年後までの存続が危ぶまれる施設が多くある。本論においてその主要な原因は、現在ある諸施設が、現代社会における宗教参画の形態に相応していないことであると論じた。真宗の教団は、教義的にこの新しい状況に柔軟に対応し得るのみならず、1960年代に始まった真宗同朋会運動は、現代のニーズに見合った組織体を既に提示しているので、それらを起用すれば、成長を見込むことができると主張した。[30分]
50 毎田周一の思想における人間形成の観点口頭発表 2019-10-22広島大学仏教青年会110年の歩み― 仏教における人間形成を考える シンポジウム 前半生を教育者として暮らし、やがて仏教の説く真理をひたむきに追求するようになった毎田周一が人間形成についていかに語ったかを紹介した。毎田の人間形成の観点は、親鸞の本願成就の捉え方に起因し、師に出遇うことによって自覚することから始まる、自然の求道活動が、真の人間成就であるとした。この観点に基づいて、氏が『信濃教育』等の教員向け雑誌に論考を寄せ、学校教育がこのような人間成就の場となるべきと論じ、教師こそ「弟子一人ももた」ない求道者となるべきとたびたび述べている。これらの例を紹介することによって、近代日本の教育界における真宗の思想の影響の一端を明確にした。[45分]
51 アインシュタインの苦悩と逢着の意味について口頭発表 2019-10-22広島大学仏教青年会110年の歩み― 仏教における人間形成を考える シンポジウム 現代物理学の基礎を築いたアインシュタインは生涯を通して、自身の研究成果と、西洋の諸宗教が説く神の愛との撞着に苦悩し、納得の行く解答に至ることができなかった。本発表において、阿弥陀仏の慈悲に対して、親鸞がどこまでも「親鸞一人がためなりけり」と言うように、一個人の自覚的立場に立って受け止めた姿勢が、アインシュタインが感じていた矛盾の解決の糸口である可能性を示した。[20分]
52 真宗者と⼈間教育―毎田周⼀、住岡夜晃、細川巌の事例を通して―口頭発表 2019-11-18第1回 研究会「近代真宗と教育者」 浄土真宗が近代日本の教育界に及ぼした影響を多面的に究明しようとしている研究プロジェクトに資するように、教育者から真宗の求道者へと転じた毎田周⼀師と住岡夜晃師の生涯を紹介した上で、二人が展開していた教育論の共通点について論じ、その背景に親鸞の人間形成の視点があることを指摘した。住岡師は大正の末期に広島県に真宗の信仰を中心とした在家運動を始め、戦後になくなるまで推進した中で、教育界で活躍した多くの教師に真宗の教えを説いた。一方、毎田師は戦後間もない時に、石川県の師範学校の職を辞し、多くの学校教諭を対象に長野県で教化活動を開始した。二人は生涯、会うこともなければ、交流した痕跡はないが、教育者がどうあるべきか、または教育の目的と方法についての見解が驚くほどに共通している。本発表においてその共通性は二人が重要視した親鸞の思想に起因していることを論じた。なお、住岡師のもとで学んだ細川巌師も、広島師範学校および福岡学芸大学在任中に親鸞の思想に基づく教育論を提示し、多くの教育者を育てたことを指摘した。
53 Melissa Anne-Marie Curley著『Pure Land, Real World: Modern Buddhism, Japanese Leftists, and the Utopian Imagination』の書評書評 2019-12-00『Japanese Journal of Religious Studies』第46巻第2号 2017年にハワイ大学出版より刊行された単著の内容を紹介し、評価した。Curley氏は、河上肇、三木清、家永三郎という三名の著作における親鸞思想の影響について考察し、浄土教が近代日本の中で「国家」と「個人」に関する思索を豊かに展開するための題材として用いられていたと論じています。氏の研究が、近代日本の知識人層の幅広い範囲から親鸞の思想が重要視され、起用されていたことを立証するという点において評価すべきであるが、論の軸が「国家」と「個人」の関係性に据えられているため、親鸞と法然の思想を直接的に扱っている章においては、彼等の問題関心と大きく異なる考え方を投影していることを指摘した。4頁[329頁-332頁]
54 本願海に回入す―師と友に導かれて講演録 2020-05-00慈光学舎 真宗の救済論における師と仲間の役割について慈光学舎の花祭りにて講演した際の筆録である。シカゴで仏教を学び始めた頃に振り返りながら、親鸞が「本願海」と讃えたものの具体相を、共に仏道を歩む師と仲間に見据え、個人の歩みを不退転として維持するものと捉えたと論じた。55頁
55 真宗における出遇いの意義―絶望のどん底にさしこんだ智慧の光―講演 2020-05-29光華女子大学 2020年度第1回宗教講座 真宗に出遇うまでの経緯とその出遇いによって開かれた新しいものの見方について、全学の一年生を対象に語った。「南無阿弥陀仏」に表されている教えに触れることによって自己中心的な恐れに駆られて生きる人生から、自分と世界をありのままに認め、受け入れていく精神生活の豊かな人生が開かれたということを伝えた。[70分]
56 毎田周一と信州の人間教育口頭発表 2020-09-00教育思想史学会30回大会 「近代仏教と教育をめぐる学説史的研究Ⅱ」と題するコロキウムにおいて、暁烏敏に師事し、戦後に長野県の教育界に影響を及ぼした毎田周一の教育思想の一部を紹介した上で、毎田が長野県の教育に対して寄せていた期待、そして及ぼした影響について考察した。最後に信濃教育会の重鎮であった太田美明が副碑を著した毎田の顕彰碑を紹介することによってその影響を立証した。[25分]
57 第13回世界同朋大会講演録―南無阿弥陀仏 人と生まれたことの意味をたずねていこう―講演録 2020-11-00真宗大谷派宗務所 組織部国際室 4月に予定され、新型コロナウィルスの流行を受けて中止された第13回世界同朋大会のために執筆した原稿が三ヵ国語の講演録として発行された。「南無阿弥陀仏」の意味について考察し、曽我量深が「いかに生きるべきか」という問いに対して提示した答えを紹介した。総頁数239頁 本人担当 英文執筆38頁[欧文7頁~44頁]、和文執筆29頁[和文54頁~83頁]、和文英訳32頁[欧文45頁~76頁]
58 西洋社会における真宗の可能性―私個人の観点と世界思想史の観点から―口頭発表 2020-11-09グローバル仏教研究会/国際真宗学会関西若手研究者 研究会 真宗の教えが西洋社会のニーズに応え得る可能性について考察した。自身の真宗との出遇いを事例にいかに念仏の教えがアメリカで教育を受けてきた者の課題関心と苦悩に応答できるかを示した上で、西洋における近代思想の問題性、そしてポストモダン思想の行き詰まりに対して親鸞の思想がどのような方向性を示しているかについて考察した。[80分]
59 隋・唐初期における仏身仏土論と法界概念について口頭発表 2020-11-13「dharmadhatu(法界)概念の研究―初期大乗経典・古訳の分析を中心として―」研究会 研究分担者として関わっている科学研究費助成事業の研究会において発表した。本研究プロジェクトはインドから中国に仏教が伝わっていった過程においていかに「法界」という概念の意味領域が変遷したかを明らかにすることを目的としている。本発表において隋・唐初期の主要な文献(慧遠・智顗・吉蔵・道綽等の書物)における仏身・仏土論を紹介し、その中で法界という語がいかに使われているかを提示し、その意義について考察することを通して、玄奘の訳まで法界は「法身」のあり方ではなく、主として「報身」の説明に際して言及されていることを指摘した。[60分]
60 綽空時代の学び―親鸞の思想形成における道綽の影響について―口頭発表 2020-12-16大谷大学真宗学会例会 親鸞が法然門下になった際に与えられた名が、道綽と源空から一字ずつ取った「綽空」であったことに鑑みて、29歳の頃から『安楽集』の研究に取り組んだことを想定し、『安楽集』の論述が親鸞の独自な思想の形成にどのような影響を与えたかについて考察した。親鸞が『教行信証』において展開している、他力回向の思想、信心論、往生観、そして仏土の捉え方の背景に『安楽集』の記述があるという可能性を指摘した。[60分]
61 現代の海外仏教事典項目 2021-01-31『仏教事典』(丸善出版) 日本仏教学会の編集による『仏教事典』のために現代の海外を説明する項目を書いた。アジア諸国からの移民向け寺院と改宗者向けメディテーションセンターに分けて、それぞれの歴史と現状について簡単に紹介した。2頁[210頁~211頁]
62 真宗における出遇いの意義―絶望のどん底に差し込んだ智慧の光講演録 2021-03-10『真実心』第42集 Ⅲ-55の講演録が刊行された。25頁[31頁~55頁]
63 師に出遇い、本願に出遇い、本願に生きる講演録 2021-04-01『心』第39集 Ⅲ-㊽の講演録が刊行された。13頁[48頁~60頁]
64 「近代仏教と教育をめぐる学説史的研究Ⅱ」 共著 2021-09-00『近代教育フォーラム』(教育思想史学会) 教育思想学史会30回大会にて開催されたコロキウムの発表内容を紹介した文章を分担執筆した。毎田周一を紹介し、その教育思想の特徴を端的に示した上で、長野県の教育界への影響の一端を明らかにした。執筆者:眞壁宏幹, マイケル・コンウェイ, 田中潤一, 深田愛乃, 山本正身。[総頁数8頁、130頁~137頁][本人担当2頁[131頁~132頁]]
65 Images and Ideas of Patriarchs Depicted on Early Shin Buddhist Devotional Scrolls口頭発表 2021-10-22インド独立75周年及び印日国交樹立70周年記念 オンライン仏教会議(大谷大学) 初期真宗教団の本尊として使われていたいわゆる「光明本尊」の内容を紹介し、それが教団において果たした役割について考察した。先ず親鸞在世中に作られた現存最古のものと、それに対する親鸞の直筆注釈を紹介した上で、室町期の典型的なものの図像と銘文について論じた。これらの掛軸は、インドの祖師に遡る真宗の教えの正当性を証明すると共に、親鸞の思想の最も独自な概念を伝達するための教材としても機能したということを指摘した。
66 Introduction to Feature: Modern Reinterpretations of Amida and the Pure Land単著 2021-12-00『The Eastern Buddhist』第三シリーズ第1巻第2号(The Eastern Buddhist Society) 近代日本における阿弥陀および浄土に対する再解釈を主題とした特集号の序文を書いた。特集には、その再解釈の大筋を描写した柏原祐善の論文の英訳に加えて、野々村直太朗、金子大栄、鈴木大拙の浄土観を詳細に紹介した論文が含まれている。再解釈の背景とそれぞれの思想家の立場の意義について論じた。[6頁][1頁~6頁]
67 「Heresy and Freedom of Inquiry in Interpreting the Pure Land: An Introduction to Kaneko Daiei's "My Shin Buddhist Studies" 」共訳 2021-12-00『The Eastern Buddhist』第三シリーズ第1巻第2号 Elizabeth Kenneyと共に村山保史著「金子大栄「私の真宗学」の翻刻と解説(一):解説編」(『真宗総合研究所研究紀要』第29巻所収)を英訳した。
68 The Role of the Two Truths in Daochuo's Understanding of the Pure Land口頭発表 2022-08-1720th Conference of the International Association of Buddhist Studies 道綽は末法の凡夫のために、称名念仏を中心とした浄土信仰を勧めた者として有名ではあるが、その『安楽集』を丁寧に読むと、浄土教が大乗の菩薩道を全うする唯一の道であると、度々、力説している。本発表において、道綽が、浄土往生によって二諦の大道理に適って初めて大乗の菩薩が完成すべき智慧と慈悲を得ることができると論じているということを指摘した。この考察を通して、道綽の浄土教の選びの中心的な理由を明確にした。
69 暁烏敏の教育論と「大日本文教研究院」設立の構想 2022-09-17教育思想史学会32回大会 「近代仏教と教育をめぐる学説史的研究Ⅲ」と題するコロキウムにおいて、暁烏敏の教育論を読み解くために、昭和初期に構想され始めた「大日本文教研究院」に関する言説を分析し、暁烏の独自な教育観について論じた。1930年代の半ばから終戦までの約10年間、暁烏は、明達寺境内に独自な教育施設を建設するために、諸方面から寄付を募り、「大日本文教院」という名の元で、教育活動を行っている。本発表においてその内容について報告し、それからみられる暁烏の教育思想の一端を明らかにした。[30分]
70 Power Dynamics and Legitimation in the Founding of the Eastern Buddhist Society口頭発表 2022-11-19Annual Conference of the American Academy of Religion 東方仏教徒協会設立100周年を記念するパネルにおいて、その設立の背景と願いについて考察した。20世紀初頭までに作られた、東アジアを主題とする仏教学の英文学術書のほとんどは、アジアで活躍していたキリスト教の宣教師によって著され、著者の偏見と誤解に満ち溢れている。本発表において、鈴木大拙と佐々木月樵がこの現状を是正し、アジアの仏教徒が自身の声で英文で仏教について情報発信をするために、東方仏教徒協会を学会として組織し、『The Eastern Buddhist』を学術誌として刊行することにしたと論じた。当時の英文の読者層に対して、その言説に権威をもたらすために、「学術」の規範に則らせる必要があったということを指摘した。[30分]
以上70点

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