教育研究業績の一覧

大艸 啓
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 各種勉強会・輪読会の実施 2013-04-00
~2016-08-00
大谷大学総合研究室において、「古代史料輪読会」(隔週)、「仏教文化研究会(大学院自主勉強会)」(毎週)、「日中文化往来研究会」(毎月)などの勉強会・輪読会を主催あるいは共催した。
2 個別発表とワークシートの実施 2013-09-00 ~ 1回生向けの演習授業において、次年度以降のゼミ演習の肩慣らしのために、受講生全員に個別発表を課すとともに、他者の発表に対する意見をワークシートに記入させた。ワークシートは毎回採点したうえで全員に返却し、独創的思考や文章表現の向上化、視野の多角化を図った。
3 2018年度フィールドワークの実施 2018-00-00
~2019-03-00
京都探究コースの開設にともなう関連授業において、学外へのフィールドワークを適宜実施した。
2018年度前期は鞍馬口方面(出雲路橋・上御霊神社など)、二条城方面(神泉苑・二条城・堀川など)、後期は御池方面(長州藩邸跡・本能寺・親鸞遷化地・御所八幡宮など)、京都御所へ赴き、その史跡の歴史や建造物の構造、周辺の景観などを実見しながら解説した。
4 京都の史跡紹介と事前調査 2018-00-00 ~ 京都探究コースの開設にともない、関連授業で活用するため、京都の史跡などを事前に調査した。授業時には、撮影画像を投影しながら、実見しなければ分からない点などを解説し、フィールドワークの重要性を可視的かつ体感的に学習できるよう工夫した。また、Googleのマップ・アース・ストリートビューなども適宜交え、土地勘のない学生にも理解しやすく講義するようにつとめた。
5 大谷大学内の散策 2018-00-00 尋源橋石柱や「知進守退」石碑など、学内に残された大学史の痕跡に関するクイズを出題し、グループに分かれた受講生に、ウォークラリー形式で学内を散策させた。これにより、本学の歩みや建学理念などを学ぶとともに、フィールドワークで見どころを発見する力を養う機会を提供した。
6 グループによるガイドブック作成 2018-00-00 ~ 京都探究コース関連授業において、グループワーク形式でガイドブックを作成させた。受講生が5~6人のグループに分かれ、テーマ・調査対象や方針を決め、フィールドワークをグループもしくは各自で実施したうえで、ガイドブックを編集・作成し、最終的にプレゼンするという流れである。アクティブラーニングの実践として、主体性・積極性を促す効果的な方法であると考える。
7 文化財鑑賞の方法 2018-00-00 ~ 建築物、絵画、文書、彫刻などのスライドを使用して、1人が目隠しをし、他の人がその文化財の特徴を伝えるというグループワークを実施した。それぞれの文化財について、単に見るだけではなく、ことこまかく特徴を捉える目を養うこと、また、言語だけで立体的にイメージする能力を養うことを目的としたものである。
8 2019年度フィールドワークの実施 2019-04-00
~2020-03-00
京都探究コースの関連科目(ゼミを含む)において、史跡へのフィールドワークを適宜実施した。当年度は、①六波羅方面(六波羅蜜寺、珍皇寺、法観寺)、②京菓子司 末富(下京区)、③南区方面(東寺、西寺跡、羅城門跡)、④岡崎方面(平安神宮、南禅寺水路閣、蹴上インクライン)などを訪問した。とくに②では、前社長の山口富蔵氏より菓子作りの実演や詳しい解説などをしていただき、学生にとって極めて貴重な機会を得ることができた。④は、平安神宮の大儺の儀(節分行事)を見学し、古式の再現を実感できる貴重な機会を提供できた。
その他にも、授業時間内などを活用した小規模な散策も数回程度実施した。
9 2020年度フィールドワークの実施 2020-04-00
~2021-03-00
京都探究コースの関連科目(ゼミを含む)において、史跡へのフィールドワークを適宜実施した。当年度は、①長岡京方面(向日市文化資料館、向日神社、長岡宮跡、長岡天満宮、恵解山古墳)、②京都国立博物館(皇室の名宝展)、③今熊野方面(蓮華王院、新日吉神宮、阿弥陀ヶ峰、今熊野神社、今熊野観音寺)、④壬生寺、島原方面(壬生寺、八木邸、清宗根付館、島原、西本願寺)などを訪問した。
その他にも、授業時間内などを活用した小規模な散策も数回程度実施した。
10 2020年度課外授業体験記の執筆依頼 2021-03-00 所属ゼミ生2名に、フィールドワークの重要性などを学生目線で発信することを目的として、課外授業体験記の執筆を依頼した。この体験記は「京都随想紀」として、歴史学科発行の年会誌『大谷大学史学論究』第26号の「学科通信」に掲載した。
11 2021年度フィールドワークの実施 2021-04-00
~2022-03-00
京都探究コースの関連科目(ゼミを含む)において、史跡へのフィールドワークを適宜実施した。当年度は、①太秦方面(広隆寺、蚕の社、蛇塚古墳、天塚古墳)、②新京極方面(新京極の寺社、三条大橋、六角堂、京都文化博物館)、③宇治方面(宇治橋、平等院、宇治神社、宇治上神社、大吉山展望台)、④伏見方面(城南宮、鳥羽離宮跡公園、御香宮神社、伏見桃山陵、乃木神社)、⑤奈良方面(東大寺、奈良国立博物館)、⑥嵐山方面(渡月橋、法輪寺、清涼寺、天龍寺)などへ訪問した。
その他にも、授業時間内などを活用した小規模な散策も数回程度実施した。
12 グループワークによる歴史史料・絵画・古地図等の読み解き方の実践 2021-04-00 ~ 京都探究コース関連科目において、グループワーク形式で多様な歴史資料の読み解き方やそれによる遺跡調査の方法を実践させた。『都名所図会』本文の解読、『洛中洛外図屏風』の見方、「京大絵図」など古地図の見方などについて、クイズ形式のワークシートを課し、グループで話し合いながら読み解くように取り組ませた。
13 webサイト「フィールドミュージアム京都」(京都市歴史資料館提供)の活用 2021-04-00 ~ 京都探究コース関連科目において、当サイトの「いしぶみデータベース」を使用し、京都の遺跡の所在地を示す石碑の分布や銘文などを紹介しつつ、京都の都市遺跡の特徴などを解説した。また、学生自身にも当サイトや他のサイトを併用して複数の遺跡を探し、その遺跡の概要を調べ、石碑や説明板を設置することを想定した調査および報告を課した。
14 webサイト「平安京都名所図会データベース」(国際日本文化研究センター提供)の活用 2021-04-00 ~ 京都探究コース関連科目において、当サイトを活用して『都名所図会』に掲載された京都の寺社の絵図や本文を紹介した。また、学生自身にも当サイトを活用して、現在の寺社の景観と『都名所図会』所載の絵図から窺える景観との違いを分析し、そこから窺える京都の歴史などについての調査および報告を課した。
15 2021年度課外授業の体験記執筆依頼 2022-03-00 所属ゼミ生3名に、フィールドワークの重要性などを学生目線で発信することを目的として、課外授業体験記の執筆を依頼した。この体験記は「京都ぐるぐる探訪録」として、歴史学科発行の年会誌『大谷大学史学論究』第27号の「学科通信」に掲載した。
16 2022年度フィールドワークの実施 2022-04-00
~2023-03-00
京都探究コースの関連科目(ゼミを含む)において、史跡へのフィールドワークを適宜実施した。当年度は、①東山方面(六道珍皇寺、法観寺、清水寺)、②下鴨方面(下鴨神社、蘆山寺、下御霊神社、行願寺)、③祇園祭(宵山、屏風祭り)、④八坂方面(鍵善良房、知恩院、八坂神社)、⑤北野方面(北野天満宮、千本釈迦堂、京都市考古資料館、晴明神社)、⑥南区方面(若一神社、西寺跡、羅城門跡、東寺)、⑦岡崎方面(平安神宮節分祭、琵琶湖疎水、南禅寺、日向太神宮)などへ訪問した。
その他にも、授業時間内などを活用した小規模な散策も数回程度実施した。
17 2022年度課外授業の体験記執筆依頼 2023-03-00 所属ゼミ生3名に、フィールドワークの重要性などを学生目線で発信することを目的として、課外授業体験記の執筆を依頼した。この体験記は「京つれづれ漫遊記」として、歴史学科発行の年会誌『大谷大学史学論究』第28号の「学科通信」に掲載した。
18 2023年度フィールドワークの実施 2023-04-00
~2024-03-00
京都探究コースの関連科目(ゼミを含む)において、史跡へのフィールドワークを適宜実施した。当年度は、①東福寺方面(泉涌寺、東福寺、伏見稲荷大社)、②松尾方面(梅宮大社、松尾大社、月読神社)、③祇園祭(宵山、屏風祭り、長江家住宅)、④梅小路方面(梅小路公園、島原、京の食文化ミュージアムあじわい館)、⑤天使突抜町方面(長覚寺、五条天神)などへ訪問した。
その他にも、授業時間内などを活用した小規模な散策も数回程度実施した。
19 2023年度課外授業の体験記執筆依頼 2024-03-00 所属ゼミ生3名に、フィールドワークの重要性などを学生目線で発信することを目的として、課外授業体験記の執筆を依頼した。この体験記は「古都はんなり紀行文」として、歴史学科発行の年会誌『大谷大学史学論究』第29号の「学科通信」に掲載した。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 「個別報告の手引」及び工具書等の一覧 2013-09-00 ~ 1回生向けの演習授業での個別発表のために、発表レジュメの見本と調べ方の手順を詳細に示した教材を作成した。また。日本史を研究する上で不可欠となる工具書(国語辞典・漢和辞典・日本史辞典・各種年表・便覧など)や史料の探し方・集め方に便利な索引・史料集などの一覧を作成し、学生の研究の便に資した。
2 ガイドブック見本『大谷大学周辺の歴史案内』の作成 2018-00-00 京都探究コースの開設にともなう関連授業において、受講生に京都に関するガイドブックの作成を課す授業を担当した。その見本として、『大谷大学周辺の歴史案内』というガイドブックを独自に作成し、受講生に配布した。
見本の内容は、古代~近世の出雲郷と近代の小山地域を取り上げ、今残されている過去の痕跡にも触れながら、京都の歴史の一端を紹介した。
3 各種ワークシート 2018-04-00 ~ グループごとに課したクイズ形式のワークシートを複数作成した。例えば、上記A-1-⑤で作成した「足を使って大学史を学ぶ」は、学内に残る大学史の痕跡について出題したもの。また、上記A-1-⑫で作成した「京都の古地図を見る」「描かれた京都を見る」などは、古地図や絵画に描かれた史跡について出題したものである。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
1 大谷大学日本史の会大会での発表
「大谷大学歴史学科の京都探究コースと関連科目について」
2019-07-00 ~ 2018年度より本学歴史学科のコース改編にともない、京都探究コースが新設された。これに関連する科目の担当者として、学科カリキュラムやコースの特徴、各科目での取り組み内容、受講生の多様性や問題意識などを報告し、現段階での問題と今後の方向性について示した。
発表時間 40分
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 第4回「学生のためのガクモン講座」での講演 2013-12-00 ~ 大谷大学総合研究室任期制助教主催の第4回ガクモン講座「学問は「面白い」か?!」において、歴史学分野の代表として「自分だけのプラモデル」という題目で講演を行った。歴史学の基礎である史料の収集・読解・整理という作業を、プラモデル作りに喩えて、学問することの面白味を学生に分かりやすく教示した。
2 教育研究報告書『響流』Vol.1~2の発行 2014-03-00
~2015-03-00
大谷大学任期制助教の総合研究室での教育研究の成果を『響流』としてまとめ、各種勉強会やガクモン講座などの活動内容を報告した(Vol.1は共編・共著、Vol.2は共編)。
3 東山高校での模擬授業 2018-00-00 産経新聞高校内進学相談会の高校2年生向けの模擬授業。史学担当として出講し、「京都の歴史と岡崎周辺地域」という題目で、パワーポイントに整理した画像を多用し、講義を行った。
B 職務実績
1 大谷大学生涯学習講座(紫明講座、於大谷大学) 0000-00-00 正倉院の知られざる至宝―正倉院文書に見る都の暮らし―(公開講座)
本講座では、仕事に勤しみつつしぶとく生きる下級役人たちの姿や、仏教が庶民へ普及していく様子など、正倉院文書から窺える奈良時代を生きた人々の泥臭い側面について講演した。
第1回:正倉院宝物と正倉院文書
第2回:下級役人たちの日々―仕事と生活―
第3回:正倉院文書から見た仏教の普及
2 花園大学歴史博物館非常勤研究員 2008-04-00
~2009-04-00
花園大学歴史博物館における企画展「春日局ゆかりの寺 麟祥院展」の研究・企画展示と図録編集・図版解説執筆(D研究活動Ⅰ-1に同じ)、及び常設展での研究・企画展示。
3 大谷大学真宗総合研究所研究補助員 2009-04-00
~2012-03-00
親鸞聖人七百五十回御遠忌記念特別指定研究班、及び親鸞関係文献目録資料室において、「親鸞像の再構築」に関する研究会の開催、御遠忌記念論集の企画・編集、過去50年間の親鸞関係文献目録の作成などの業務に従事。
4 同朋大学仏教文化研究所での史料展示 2017-07-00 同朋大学仏教文化研究所における2017年度前期史料展示「お経のかたち―来て見てさわって仏教文化―」において、展示に関わる企画・研究・運営と図録編集・図版解説の執筆(D研究活動Ⅲ―16に同じ)などを行った。
5 大谷大学真宗総合研究所研究員 2018-04-00
~2021-03-00
当研究所の指定研究「清沢満之研究」班にて、研究員として、『清沢満之全集』(岩波書店)の別巻2冊の発刊に関わる編集業務などに従事。
6 京カレッジでの講師 2021-06-19 ~ 大学コンソーシアム京都が開催する公開講座の大学リレー講義にて、「平安京成立前史―都市史から見た山背遷都―」というテーマで講義を行った。京都は、794年の平安遷都以来、一千年の歴史をほこるが、それ以前(山背国の時代)の歴史は、あまり知られていない。本講義では、古代の都市史について学びつつ、北山背の地に長岡京や平安京が成立した経緯を考える。
7 京都アスニー公開講演会の講師 2024-02-00 京都アスニーが開催する公開講演会にて、「五条大橋が語る京都の歴史」というテーマで講演を行った。五条大橋に残る様々な歴史の痕跡を、多くの写真で紹介し、古代~近世における五条大橋の概要や、戦前戦後の実態などを講演した。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2006-12-00~0000-00-00 続日本紀研究会
2 2008-09-00~0000-00-00 大阪歴史学会
3 2008-12-00~0000-00-00 古代学協会
4 2010-11-00~0000-00-00 正倉院文書研究会
5 2011-12-00~0000-00-00 仏教史学会
6 2012-02-00~0000-00-00 真宗連合学会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 『春日局ゆかりの寺 麟祥院展』共編著 2009-03-00花園大学歴史博物館 花園大学歴史博物館における2008年度春期企画展「春日局ゆかりの寺 麟祥院展」の展示図録及びその解説。妙心寺の塔頭である麟祥院は、徳川幕府第三代将軍家光の乳母である春日局の菩提寺でもあり、彼女にゆかりのある品々やその他多くの貴重な文化財を所蔵する。本図録では、近世絵画を中心に、悉皆調査によって確認された新出資料を含めて多数紹介した。
本人担当:作品番号19・28~32・34~37の解説
6頁(61頁~66頁)
共編者:福島恒徳、青江智洋、志水一行、共著者:青江智洋、志水一行
2 『奈良県祭り・行事調査報告書 奈良県の祭り・行事』共著 2009-03-00奈良県教育委員会 奈良県教育委員会が、奈良県内における民俗文化財の現況を把握するため、専門知識を有する学識経験者からなる調査委員会を組織した。この組織の調査員として、各祭り・行事の実施期日・組織・由来伝承・行事内容等を実地調査し、その成果を報告した。
本人担当:第三章の祭り・行事調査報告の(二)①の宇陀市菟田野区宇太・宇太水分神社の秋祭り、及び同章の(二十九)③の橿原市今井町・称念寺の報恩講
9頁(43頁~48頁、309頁~311頁)
編者:奈良県教育委員会
共著者:浦西勉、青江智洋、池田淳、今木義法、岩坂七雄、上田喜江、江藤弥生、往西美沙、荻野祐子、柿本雅美、勝部月子、鎌田久美子、岸田智史、岸田葉子、桑原英文、郡才三、迫田繁樹、角南聡一郎、樽井由紀、中上武二、長家理行、日浦義文、福井正浩、藤本愛、松田智弘、吉村旭輝
3 奈良時代の官人社会と仏教単著 2014-10-00法蔵館 2012年9月に大谷大学へ提出した学位請求論文を修正・加筆し、法蔵館の日本仏教史研究叢書として出版した。正倉院文書の活用により、古代仏教の国家から社会への影響過程を具体化することを試みた。奈良時代の写経所を中心とした官人社会に焦点を当て、僧尼との交流や仏教儀礼への奉仕など、写経所官人の仏教との関わり方を検討し、彼らが私的仏事を行い得る経緯として、官人社会が有意義な環境であったことを明確にした。
243頁
以上3点
Ⅱ学術論文
1 『日本後紀』大同元年三月辛巳条の「璽并剣樻」に関する一考察 単著 2010-09-00『歴史の広場』13号 平安時代初期に成立したレガリア渡御儀の本義について、初見史料である『日本後紀』大同元年三月辛巳条の「璽并剣樻」という記載が何を示すものかという問題を切り口に検討した。そして、行政的皇権の象徴たる大刀契がこれに当たり、この宝器の掌握を表象する意味が付与された儀礼であると結論付けた。
17頁(32頁~48頁)
2 写経生と仏教 単著 2010-12-00『大谷大学大学院研究紀要』27号 東大寺に所在した写経所に出仕する官人(写経生)たちに焦点を当て、彼らが営んだ私的な仏事や信仰が国家仏教の影響によるものであることを指摘した。さらに写経生たちの社会的存在形態にも留意し、彼らによる仏教的営為が在地社会へ強い影響を与えたであろうことを明らかにし、仏教の浸透過程における彼らの重要性を呈示した。
29頁(75頁~103頁)
3 天平宝字四年の随求壇供 単著 2012-03-00『佛敎史學研究』54巻2号 Ⅲ口頭発表・その他の3の内容を成文化した。
30頁(1頁~30頁)
4 奈良時代浄土信仰論の再検討 単著 2015-01-30『真宗研究』59輯 Ⅲ口頭発表・その他の11の内容を成文化した。
26頁(229~254頁)
5 平城京社会における寺院と住民 単著 2015-03-18『大谷大学史学論究』20号 Ⅲ口頭発表・その他の5の内容を成文化した。
22頁(1~22頁)
6 三経義疏の書写記録と撰述伝承 単著 2017-08-00『ヒストリア』第263号 Ⅲ口頭発表・その他の14の内容を成文化した。
25頁(26~50頁)
7 天平勝宝元年の王権と行信 単著 2020-03-00『古代文化』71巻4号 天平勝宝元年は、王権と仏教が近接する絶頂ともいえる年であり、その象徴が聖武天皇の出家である。正倉院文書には、当時の大僧都行信が、内裏が仏典を借用する際に介入している痕跡をとどめる史料がある。これを分析することで、行信が聖武の出家に主体的に関わったことを明らかにし、当該期における王権と密接な関係をもち、王権と仏教が近接するうえで重要な役割を果たしたことを指摘した。
20頁(37~56)
8 奈良時代の聖徳太子信仰―元興寺僧としての行信の活動― 単著 2020-07-00『教化研究』166号 奈良時代の聖徳太子信仰が興隆する背景について、後宮女性の信仰的営為に行信が主体的に関わっていたことが明らかにされている。このことについてさらに検討を深め、行信が元興寺を基盤に種々の支援を行っていたこと、その延長上に法隆寺東院の創建や聖霊会の創始などがあることを指摘した。
14頁(101~114)
9 山背国の出雲臣氏について 単著 2021-10-27『大谷学報』第101巻第1号 平安遷都以前の京都の地域(山背国)に関する問題を扱った。正倉院文書に残る「山背国愛宕郡出雲郷雲上里計帳」という史料に多くみえる出雲臣氏という氏族が、出雲地方から山背へ移住したという説について具体的に検討した。その結果、移住したのは大宝2年(702)が重要な契機になると指摘した。
25頁(55~79頁)
10 正倉院文書所載の浄土教典籍―その伝来状況をめぐって― 単著 2023-03-17『大谷大学史学論究』28号 正倉院文書所載の浄土教典籍について、経録に見られる仏典や現行の仏典との対比を行い、奈良時代の伝来状況をできるかぎり正確に把握することを目指した。後世とは異なる書名・巻数のものや、同一でも異なる書誌形態のものが伝来していたことなどを明らかにした。
28頁(32~59頁)
11 正倉院文書から見た浄土信仰 単著 2023-11-10『正倉院文書研究』18号 正倉院文書に見える浄土教典籍の個別写経の事例を分析し、奈良時代の阿弥陀浄土信仰の実相について検討した。それによれば、追善を主とした雑駁な信仰と、光明子や孝謙を中心とした女性による浄土信仰が存在した。後者は『法華経』に依拠したものと考えられるが、平安時代以降の女人往生信仰や欣求往生信仰とは一線を画する、この時代特有の信仰であったと思われる。
22頁(23~44頁)
12 平安京と寺院建立―京外建立の背景をめぐって―単著 2024-02-00『日本史研究』738号 Ⅲ口頭発表・その他の21の内容を成文化した。
26頁(4~29頁、討論要旨は30~33頁)
以上12点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 平安期における「践祚」と「即位」について口頭発表 2008-11-00第28回花園大学史学会大会(於:花園大学) 古代天皇の皇位継承儀礼として、レガリア渡御を中心とした儀礼と、大極殿で行われる儀礼がある。それぞれが「践祚」・「即位」と区別して呼ばれるようになるには、儀礼自体が持つ意義の変化があり、その背景には天皇の権威化などの政治史的な展開過程が読み取れることを検討・報告した。質疑応答では、譲位儀礼との関係を重視すべきとの意見や、古墳上での儀礼との関係に関する質問などを受けた。
発表時間 40分
2 平安期における「践祚」と「即位」について口頭発表 2008-11-00大谷大学日本史の会11月例会(於:大谷大学) レガリア渡御を中心とする「践祚」と呼ばれる儀礼と、大極殿で行われる「即位」と呼ばれる儀礼について、それぞれが「践祚」「即位」と区別して呼ばれるようになる展開過程と、その歴史的背景を検証・報告した。質疑応答では、天皇の権威化に関する質問や、平安貴族の日記を丁寧に活用・分析する必要性、さらに、行論上での「践祚」「即位」の煩雑な概念操作は避けるべきなどの指摘を受けた。
発表時間 100分
3 天平宝字四年の随求壇供 口頭発表 2010-09-00佛敎史學會9月例会(於:佛教大学) 随求壇供とは、天平宝字4年(760)10月に行われたことが正倉院文書から判明する仏事供養であるが、これまでほとんど注目されてこなかった事業である。しかし、「随求壇所」という組織の性格や事業内容を詳しく検討すると、この事業は、王権・国家にとって極めて重要な施策であることが分かり、律令国家による仏教行政の諸相や当該期の政治・社会の情勢を知る上で、重要な研究素材になるであろうと指摘した。
発表時間 120分
4 最近読んだ本 草野顕之著『親鸞の伝記―『御伝鈔』の世界―紹介 2011-11-00『歴史の広場』14号 親鸞の750回御遠忌を記念して刊行された本書は、『御伝鈔』によって親鸞の生涯を辿りながらも、『御伝鈔』に傾倒した従来の研究の問題点を指摘し、これまで疎外されてきた伝記・伝承の重要性を浮き彫りにしている。このような新しい研究方法の可能性が呈示されている点に、今後の親鸞伝研究に資するところが大きいであろうことを評論した。
5頁(63頁~67頁)
5 平城京社会における寺院と住民口頭発表 2013-07-00大谷大学日本史の会大会(於:大谷大学) 平城京内の多くの寺院の役割は、国家仏教的な側面だけでは説明できない。官営寺院をはじめとする多くの大小寺院には、周辺住民が参詣したり写経生としての出仕を依頼したりすることもあった。また、奈良時代後期には国家が都の寺々での実情を問題視していた。これらのことから、平城京寺院の多くは、王権・国家や貴族層のためだけのものではなく、一般住民たちにとっても身近な存在であったことを指摘した。
発表時間 40分
6 最近読んだ本 上場顕雄著『教如上人―その生涯と事績―』紹介 2013-07-00『歴史の広場』16号 東本願寺樹立の精神を語る必読の書として、教如四〇〇回忌に際して出版された本書を紹介した。教如の生涯・事績や本願寺の東西分派について、政治情勢だけでなく、彼の使命感や宗教的情熱、多くの門徒の存在とその願いにまで言及している点に、本書の特徴があると評した。
3頁(46~48頁)
7 正倉院文書に見える「供奉礼仏」について口頭発表 2013-10-00第32回正倉院文書研究会(於:大阪市立大学文化交流センター) 正倉院文書中の写経所帳簿に見える「供奉礼仏」という業務内容の実態について検討し、写経所官人の多くが仏教儀礼に関わった事実とその意義を論じた。多くの写経所官人は、国家的仏教信仰の影響をより受けやすい位置におり、在地社会における法会のあり方が中央の影響によるものである可能性を呈示した。
発表時間 50分
8 造東大寺司における官人社会―「阿弥陀悔過知識交名」に見る―口頭発表 2013-11-002013年度佛敎史學會学術大会(於:龍谷大学) 造東大寺司における官人社会の構造を総体的に把握し、その特質や意義を明らかにすることを目的として、正倉院文書中に現存する「阿弥陀悔過知識交名」の分析を行った。そして、造東大寺司を媒介とする官人社会は、仏教受容の問題をはじめ、国家と社会との相関関係における文化交流の促進という面で、極めて重要な意義を担っていたことを指摘した。
発表時間 40分
9 奈良時代の寺院と都市社会口頭発表 2013-11-00第33回花園大学史学会大会(於:花園大学) 現在の人々が奈良時代の平城京寺院に対して懐く印象は、王権や貴族のためのもので、豪華絢爛なイメージである場合が多い。しかし、一般の京住民たちがこれを敷居の高いものとして仰ぎ見ていたわけではなく、個人的な祈りを捧げに参詣する場として、人々に心の拠り所にもなっていたこと、その背景には様々な都市問題の噴出があり、これによる信仰的要求の高まりが想定できることなどを指摘した。
発表時間 40分
10 奈良時代浄土信仰論の再検討口頭発表 2014-06-00真宗連合学会第61回大会(於:仁愛大学) 奈良時代の浄土信仰に関する研究の問題点を指摘したうえで、正倉院文書の活用方法を提示し、新たな研究の方向性と可能性を指摘した。正倉院文書から窺える浄土教典籍の伝来・流布状況や個別写経の事例などは、当時の教学・信仰の内実を探るうえで極めて重要である。このため、これらを総括的に検討することが、日本浄土教史における奈良時代の位置づけを明確にする方法として有効であると主張した。
11 正倉院文書から見た浄土信仰口頭発表 2015-03-00大谷大学日本史の会3月例会(於:大谷大学) 正倉院文書に見える浄土教典籍のうち、一切経ではない個別写経の事例を抽出し、そこから窺える使用目的や発願者、そしてその背景を考察した。県犬養三千代・光明子・孝謙という三代にわたる女性によって継承された浄土信仰が存在し、それは血統意識が強く反映した信仰であり、後世の浄土信仰とは一線を画するべきものであることを論じた。
発表時間 120分

12 三経義疏の展開口頭発表 2016-03-00続日本紀研究会3月例会(於:アウィーナ大阪) 聖徳太子の事績伝承のうち、三経義疏撰述伝承がいつ頃まで遡りうるのか、また天平期における法隆寺や僧行信による太子顕彰の情勢と如何に関係するのかを追究した。手がかりとして、正倉院文書に見える三経義疏(主に法華義疏)の書写記録を丹念に検討した。結論として、撰述伝承は行信によって創作されたのではなく、7世紀末~8世紀初まで遡る可能性があることなどを指摘した。
発表時間 150分
13 書評 山本幸男『奈良朝仏教史攷』書評 2016-03-00『仏教史学研究』第58巻第2号 本書は、日本古代仏教の歴史的実像を多角的視野から明らかにしたものである。本評では、その内容を紹介するとともに、その特徴として、正倉院文書からしか分からない事実と仏教学的成果を合わせ、充実した仏教史像を描いていること、また、信仰史的側面の検討方法に課題があることなどを評論した。
10頁(26~35頁)
14 お経のかたち―来て見てさわって仏教文化―図録 2017-07-00同朋大学仏教文化研究所 同朋大学仏教文化研究所2017年度前期史料展示「お経のかたち―来て見てさわって仏教文化―」の展示図録。お経が日本に伝来して以降、その書誌学的形態がどのような変遷をたどったのか、また、その伝統的側面が真宗仏事で拝読される経本や声明本などにどのように根付いて残されているのかを展観し、その展示品について解説した。
本人担当:作品番号1~18の解説、及び用語解説
6頁(1頁~6頁)
15 最近読んだ本 佛教史学会編『仏教史研究ハンドブック』紹介 2018-03-00『歴史の広場』20号 本書は、仏教史をこころざす初学者に向けて、インド・アジア諸国・中国・朝鮮・日本など幅広い地域の仏教の歩みを網羅的に概観し、かつ主要テーマごとの最新の研究状況と重要な論点・課題点をまとめた研究入門書である。歴史学だけでなく、仏教学をはじめ他の分野においても利便性のある書として紹介した。
16 明治初期の吉野川分水計画と東本願寺―関係史料の紹介―口頭発表 2019-03-00大谷大学日本史の会3月例会 京都市下京区に所在する長覚寺(真宗大谷派)が所蔵する史料のうち、吉野川分水計画に関する文書13点と絵図面4点がある。これらは、明治初期において上記の計画に東本願寺関係者が関与していたことが窺え、興味深い内容を含むものとして史料紹介を行った。近世の治水や河川普請の事例についてや商人の動向、また当該期の東本願寺の動向などについて、多くの教示を得た。とくに、動乱期の東本願寺内部の動きや各方面への対処のあり方について、これまで全く知られていないであろう様々な問題を浮き彫りにできる可能性があることも、本報告によって知ることができた。
発表時間:120分
17 書評 矢越葉子『日本古代の文書行政―正倉院文書の形成と復原―』書評 2021-11-10『正倉院文書研究』第17号 本書は、正倉院文書を中心に扱い、敦煌文書などと比較しつつ日本の文書行政の実態と特質を明らかにしたものである。本評においては、本書の第一部を中心に内容を紹介し、若干の所感を述べた。とくに、近年の正倉院文書研究の状況のなかに本書を位置づけつつ、さらに古代の文書保管体制などのあり方に対する捉え方について少しく私見を述べた。
6頁(95~100頁)
18 最近読んだ本 米田敏幸著『どんこう古代史講座』紹介 2022-03-00『歴史の広場』24号 本書は、大阪府八尾市立安中老人福祉センターでかいこうされている古代史講座の講義録をまとめたもので、古代史の魅力や現地調査などの成果が盛り込まれたことを紹介した。
19 【資料】清沢満之研究班の活動と成果―『清沢満之全集』別巻編纂に関する調査報告― 調査報告(共著) 2022-03-00『真宗総合研究所研究紀要』第39号 B職務実績の4での活動において、別巻編集の際に調査した内容を、清沢研究に資する可能性があるものとして報告した。具体的には、これまであまり知られていなかった、真宗大学寮時代である明治21~27年頃の清沢の担当した科目や彼の動向をたどり、当時のカリキュラムの復元などを行った。そしてそれが学制改革運動に繋がるものであることを指摘した。
本人担当:11頁(56~66頁)
共著者:西本祐攝
20 書評と紹介 黒田洋子『正倉院文書の一研究―奈良時代の公文と書状―』紹介 2023-03-01『日本歴史』898号 本書は、正倉院文書の公文としての性格と書状としての性格を明らかにしたものである。本紹介では、その内容の概略と、古代史研究における本書の意義や今後の指針になる可能性などについて述べた。
21 平安京と寺院建立―京外建立の背景をめぐって― 口頭発表 2023-10-082023年度日本史研究会大会_古代史部会共同研究報告 平安京で寺院が東寺西寺を除いて京内に建立されなかったことの意義について検討した。平城京後半期の都市成熟による仏教の社会浸透、および長岡京での人々の寺院への会集という実態を想定し、寺院や僧尼が世俗と接触する機会を極力抑制することが主眼であったと想定した。
なお、2023年5月8日、7月17日、9月11日に準備報告を行った。
発表時間 180分(報告90分+討論90分)
以上21点

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