教育研究業績の一覧

藤元 雅文
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 高校における小論文指導 2009-00-00
~2011-00-00
高校生が大学に進学した際に、書く機会が多くなる小論文についての授業を行った。小論文についての講義だけではなく、読解力・思考力・表現力について、練習問題に取り組んでもらう実践を通しての学習を重視した。また提出してもらった小論文を一人ひとり添削し、個人の力にあわせた指導を行った。
2 真宗学演習Ⅱにおける学生参加型授業への取り組み 2017-04-01 ~ 授業のテキストである『歎異抄』の内容について、受講生自身が考える機会を持つことを重視して、作業プリントを作成し、『歎異抄』について考えるべきポイントを受講生自身がまとめ、それをグループで発表共有できるように授業をすすめた。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 資料の作成 2008-04-01 ~ 担当している全ての授業において、教科書や参考書とは別に、参考になる資料をプリントにし、授業の進行にあわせて配布して教材として使用している。
2 漢文を学ぶための副教材の作成 2009-04-01
~2012-03-31
文学部真宗学科の学科導入の授業において、「漢文を学ぶⅠ、Ⅱ」という漢文初学者用の副教材を作成し、大学の一年生が漢文の基礎的な文法を体系的に学ぶための教材として使用した。
3 『選択集』読解のための作業プリント作成 2013-04-01
~2017-03-31
文学部真宗学科第二学年の演習におけるテキスト『選択集』を読解するために必要な「書き下し文」「語句調べ」「現代語訳」などを書き込むことができる作業プリントを作成した。授業の発表箇所に対応させて、自習復習の補助教材としての内容も持たせた。
4 仏教文献基礎演習Ⅰbの作業プリント作成 2018-09-00
~2021-03-31
2018年度から始まった「仏教文献基礎演習Ⅰb」という授業は、仏教文献の基本的な読解の方法や学習方法を学ぶことをテーマとしている。そのため、受講生が、みずから漢文を書き下し、辞書をひいて現代語訳をするという作業が学びの中心の一つとなる。このことを受講生に実践してもらうための作業プリントを『仏説無量寿経』の経文を題材にして作成した。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 オープンキャンパスでの模擬授業 2008-00-00 ~ 2008年度から、大学で開催するオープンキャンパスでの模擬授業を行っている。2015年度からは特に参加者が書き込めるプリントを作成し、模擬授業を受講している参加者とやりとりできる時間を意識して作り、模擬授業における学習効果を高める工夫をしている。
2 大谷大学・大谷大学同窓会 夏季八十講・公開講演会 講師 2008-00-00 ~ 大谷大学同窓会が開催する大谷大学公開講演会(旧夏季八十講)の講師を下記の通り担当した。
郡上支部 2008年8月18日・飛騨支部 2008年8月19日
北九州支部 2009年8月31日・岡山支部 2009年9月 1日
長浜支部 2010年8月 1日
旭川支部・砂川支部・深川支部 2011年7月1,2,3日
広島支部 2012年9月 7日・播磨支部 2012年9月 8日
三重支部 2013年8月21日・郡上支部 2013年8月22日
青森支部 2014年9月12日・岩手支部 2014年9月10日・宮城支部 2014年9月11日
岡崎支部 2015年8月26日・長崎支部 2015年8月31日
長浜支部 2017年8月 7日・奈良支部 2017年8月23日
広島支部 2018年8月30日・鳥取支部 2018年9月12日
大聖寺支部 2019年8月20日・大垣支部 2019年8月21日
北九州支部 2022年8月25日・佐賀支部 2022年8月26日
3 人権センター員 2009-04-01
~2011-03-31
人権センター員として、日常的な人権相談業務および全学学習会や教職員のための人権学習会などを開催するなどの業務にあたった。
4 参事 2012-04-01
~2013-03-31
自己点検・評価担当の参事として、大学の内部質保証の体制を構築するための取り組みを進めるとともに、第三者認証評価報告書作成の準備を行った。
5 学長補佐 2013-04-01
~2019-03-31
2012年度の参事の職務内容を、学長補佐(名称変更)として引き続き取り組んだ。2013年度から2014年度大学基準協会に提出する自己点検・評価報告書のプロトタイプ作成などを中心に進め、2014年度、自己点検・評価報告書を完成させ、大学基準協会に提出した。2015年度には、大学基準協会の実地調査等への対応に取り組み、大谷大学および大谷大学短期大学部に対して、適合との評価を受けた。
6 学寮長 2013-04-01
~2015-03-31
大谷大学の二学寮(貫練学寮、自灯学寮)の寮長をつとめた。
7 高校における模擬授業 2015-04-00
~2016-08-00
2015年度「親鸞エッセイコンテスト」のための模擬授業を伊那西高校と名古屋大谷高校にて行った。親鸞についてのエッセイを書くための親鸞についての基礎的な内容を講義した。高校生の理解を促すために、授業のための資料も作成した。また、引き続き2016年度の「親鸞エッセイコンテスト」のための模擬授業を、札幌大谷中学校、高等学校それぞれにおいて行った。
8 人権センター員 2015-04-01
~2017-03-31
人権センター員として、日常的な人権相談業務および全学学習会や教職員のための人権学習会などを開催するなどの業務にあたった。
9 大谷大学生涯学習講座  2016-02-00
~2016-03-00
大谷大学生涯学習講座「シリーズ「教行信証」の思想④「信巻」を読む」において講師を勤めた。この講座では、『教行信証』「信巻」を読むことを通して、親鸞の信理解の視座と概要とを学ぶことを目標とした。「信巻」の重要な箇所や引用部分を取り上げながら、親鸞が明らかにする「真実信」について考える基礎的内容を伝えるよう心がけた。
10 教員免許更新講習 2016-08-00
~2019-08-00
2016年度から、幼稚園、小、中、高校の教員が参加する教員免許更新講習である「「親鸞」学-真宗的人間観」という講習(午前、午後)において、午後の部分を担当している。この講習はタイトルのとおり、親鸞の仏教観、人間観から、「人間」を見つめ、その視座から人間教育を考察することを柱としている。この講習では受講者自らの教育観や人間観を振り返る機会をもつような内容の講義を意図して、講習を行っている。
11 真宗総合研究所・特定研究班庶務 2017-04-01
~2020-03-31
2017年度から開始された特定研究「新しい時代における寺院のあり方研究」における研究員および庶務として、研究班全体の諸連絡や書類作成および研究調査対象の寺院や門徒との連絡やコーディネートおよび2018年度日本宗教学会のパネル発表における報告者および実務的な調整などを行った。
12 大谷大学文藝コンテスト 親鸞部門エッセイ書き方講座担当 2021-00-00 ~ 2021年度から、文藝コンテスト親鸞部門に応募する中学生、高校生のために、エッセイの書き方を講義形式で伝えた。過去の受賞作品を取り上げながら、はじめてエッセイを書くときの注意点やヒントを分かりやすく伝えるように心がけた。
13 仏教教育センター員 2021-04-01 ~ 仏教教育センター員として、仏教教育センターに関わる様々な業務(仏教教育センター室の運営等)を担当している。
14 真宗総合研究所主事 2022-04-01 ~ 真宗総合研究所主事として、真宗総合研究所長を補佐し、研究所の業務を行っている。
15 大谷大学生涯学習講座 講師担当 2022-05-23
~2022-07-11
大谷大学生涯学習講座「シリーズ 親鸞の和讃に学ぶ⑧」高僧和讃―源信讃・源空讃―の講師を担当した。講座は、すべてオンラインによる動画視聴のため、オンディマンド式の講義をおこなった。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 2002-09-00~0000-00-00 日本印度学仏教学会
2 2002-09-00~0000-00-00 日本宗教学会
3 2003-07-00~0000-00-00 真宗連合学会
4 2004-07-00~0000-00-00 真宗教学学会
5 2007-04-00~0000-00-00 日本仏教学会
6 2009-04-00~0000-00-00 国際真宗学会
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 親鸞における「信」と「疑」―信楽と疑蓋共著 2011-08-25『親鸞聖人七百五十回御遠忌記念論集 『教行信証』の研究』(筑摩書房) 本論は、親鸞における信の究明が、疑という人間の課題性の深さをどのように明らかにするのかについて論じたものである。親鸞は一切衆生における「涅槃の真因」を、「真実信」として明確に語り明かす。その信の内実と、その対概念となる「疑」の内実を『教行信証』「信巻」における親鸞の思想的な営みを通して考察した。特に生死の迷いを超えるという課題において、信と疑とがどのような内実をもって明らかにされなければならないかについての親鸞の思想を明示しようと試みた。[115頁~132頁][本書総頁360頁]他の執筆者:延塚知道、一楽真、ロバート・F・ローズ、木越康、織田顕祐、木村宣彰、安冨信哉、宮下晴輝、山田恵文、加来雄之、三木彰円、平雅行、谷真理、本多弘之。
以上1点
Ⅱ学術論文
1 真実信― 一切衆生に成就する涅槃の真因 ―単著 2004-12-01『大谷大学大学院研究紀要』第21号 本論文の第一の課題は「信巻」三一問答における仏意釈の意義を究明することによって、真実信の内実を明らかにすることである。特に信心を一切衆生における涅槃の真因であると明確に確かめる親鸞の信心理解を、三一問答における至心釈、信楽釈、欲生釈の論述展開を丁寧に見ていくことで、考察した。信楽釈の御自釈の論述展開は至心釈、欲生釈と明確に異なっており、その異なりに信楽釈の課題を従来とは違った視点で提示できたのではないかと思う。[85頁~112頁]
2 本願における欲生心と唯除の意義 単著 2005-01-30『真宗研究』第49輯(真宗連合学会) 『教行信証』「信巻」において親鸞は、本願成就文を「本願信心の願成就の文」及び「本願の欲生心成就の文」に二分することによって、本願成就の内実を明らかにする。その中で特に「欲生心成就文」の中に、「唯除五逆誹謗正法」の文まで確かめられる意義について考察した。具体的には欲生心が本願三心を推究する親鸞にあって、最も根源的な願心であると確かめ、更にその欲生心のうちに、「唯除」を如来の根源的な大悲心のはたらきとして確かめる親鸞の視点を指摘した。[1頁~11頁]
3 『観経疏』における「学解」・「学行」の意義について単著 2005-06-30『真宗教学研究』第26号(真宗教学学会) 真宗学における「学」の内実を、「信巻」に引文される『観経疏』回向発願心釈における「学解」・「学行」という表現に確かめることが、本論の目的である。具体的には、江戸期の宗学において捉えられた意義をおさえ、真宗学の学の在り方をこの言葉において確かめられた金子大栄の理解を踏まえて、『教行信証』に親鸞が引文する意義を明確化することで、「学解」・「学行」という学に対する二つの確かめが、『教行信証』を生み出す親鸞自身の学びの具体相を照らしだすことを示した。[42頁~52頁]
4 親鸞における「誓願一仏乗」の研究(課程博士論文)単著 2007-03-16大谷大学 本論文の目的は、「誓願一仏乗」という言葉のもとに親鸞が確かめようとしていた仏道の究明である。論文は三章から成っており、各章のタイトルは「第一章 誓願一仏乗究明の視座」「第二章 名号の成就と弘誓一乗海」「第三章 信心の成就と一乗海の機」である。一仏乗への親鸞の視座の明確化と、その内実とを『教行信証』「行巻」「信巻」を精読することで論究することができたと考える。[総頁数120頁]
5 親鸞における一仏乗開顕の視座 ―法然と、貞慶・良遍を通して―単著 2007-03-20『親鸞教学』89号(大谷大学真宗学会) 本論文の目的は、親鸞が誓願一仏乗を開顕する視座を明確にすることであった。内容は、親鸞の師であり浄土宗を立宗した法然と、その法然の教えを弾圧した側の代表者貞慶やその法孫の良遍が、一仏乗への姿勢において根本的に異なっていることを示し、そこに親鸞の一仏乗開顕の思想的な視座が明示されていることを論究した。
[36頁~50頁]
6 「信心の智慧—親鸞における「智慧」への視座—」単著 2008-07-10『日本仏教学会年報』
第73号(日本仏教学会)
本論は、親鸞における「信心の智慧」を明らかにする際の根本的な視座を考察したものである。親鸞は、仏の教えを学び、また自身のあり方を凝視する中で、人間存在を「煩悩具足の凡夫」つまり、煩悩を決して断ち切ることのできない、「智慧なき者」と見極めていく。と同時に、その智慧なき者に、「智慧の念仏」「信心の智慧」が発起することを言明する。このように語り明かす親鸞が、どのような智慧への視座を有しているのかを考察したものが本論である。[225頁~236頁]
7 「誓願一仏乗の機」単著 2009-02-10『親鸞教学』第92号
(大谷大学真宗学会)
本論は、親鸞が明らかにする「誓願一仏乗の機」つまり、誓願一仏乗という教えがどのような存在者(機)において成り立ち、またどのような存在者(機)を生み出すのかを考察したものである。具体的には、本願の教えは、機の相を「えらばずきらわず」と言われるが、その意義を明かにしつつ、海に喩えられる本願のはたらきを考察し、最後に誓願一仏乗の機を真実信心に見定める親鸞の教言の意義を尋ねた。そのことによって親鸞が明かにする真実信心の人とは、時代社会を超えて「一乗」と言いうる教えに生きるひととなるという明確な確かめがあることを述べた。[15頁~27頁]
8 「法然門下における「弘願一乗」の究明と親鸞の「一乗海釈」」単著 2010-07-15『大谷学報』第89巻 第2号(大谷大学大谷学会) 本論では、まず法然の門弟として親鸞と共に学び、法然から『選択集』の付属を受けた隆寛、證空、幸西たちの「弘願一乗」に対する究明を行った。その上で、親鸞が「誓願一仏乗」を展開する『教行信証』「行巻」の「一乗海釈」の意義を考察したものである。従来、法然の門弟における弘願一乗の究明という視点から、親鸞の一乗海釈が考察されることはあまりなかったが、本考察によって『教行信証』が有する「論義の書」という側面を具体的に展開する視座についても述べた。[46頁~66頁]
9 On the Significance of Shinran’s Holographic Version of the Kyogyoshinsho in English Translation
単著 2011-00-00The Eastern Buddhist.New series.Vol.42 No.2 本論は、国際真宗学会におけるパネル発表“Possibilities and Problems in Kyogyoshinsho Research”にて行われた発表を論文としてまとめたものである。内容は、代表的な『教行信証』の4つの英訳について、その底本となった『教行信証』を整理し、現在唯一の親鸞自筆の『教行信証』として明らかにされている『坂東本・教行信証』を英訳の底本として用いることの重要性と、そのことによる『教行信証』研究の可能性について論究した。 [47頁~60頁]
10 『坂東本・教行信証』「一乗釈」における御自釈の訓(よ)みと意義について 単著 2011-01-30『真宗研究』第55輯(真宗連合学会) 本論は、現存する唯一の親鸞自筆の『教行信証』である『坂東本・教行信証』における「行巻」「一乗釈」についての考察である。この「一乗釈」の箇所は、「誓願一仏乗」という非常に重要な語句が記される箇所であるにもかかわらず、親鸞の自筆本である『坂東本・教行信証』におけるこの部分の訓み方が全く統一されていないということを指摘して、これまで明らかにされていなかった『坂東本』における「一乗釈」の訓み方を提起し、またそのことによって明らかになる意義を考察したものである。[55頁~69頁]
11 一乗釈と『教行信証』の課題単著 2012-02-29『親鸞教学』第98号(大谷大学真宗学会) 『教行信証』「行巻」に親鸞が記す「一乗釈」の意義について考察した論文である。「一乗釈」御自釈の典拠と指摘される『勝鬘経』や『一乗要決』との厳密な対比を通し、或いは法然門下であった證空の「一乗」理解を吟味確認することによって、「一乗釈」の御自釈は、親鸞が開顕する「誓願一仏乗」の独自の思想表現であることに論及した。更にそのことによって明らかになる『涅槃経』や『華厳経』の引文の意義についても言明した。[30頁~48頁]
12 『愚禿鈔』における「二種深信」についての一考察単著 2016-03-20『親鸞教学』第106号(大谷大学真宗学会) 本論文の目的は、、『愚禿鈔』における「二種深信」についての親鸞の解釈の意義を考察する所にある。この問題については、従来から先達によって様々に議論され、究明されてきたが、その議論の内容を踏まえつつ、本論では、特に『愚禿鈔』という書物の有する課題やその内容を視座として見るとき、親鸞の「二種深信」に対する言及が、浄土真宗の教相と信心を明らかにする重要な意義を有するものであることを考察した。[19頁~34頁]
13 『愚禿鈔』における浄土観単著 2017-06-30『真宗教学研究』第38号(真宗教学学会) 『愚禿鈔』において親鸞が言明する浄土観は、その表現があまりに簡明であるために、表現のみから十全にその意義内容を理解することは難しい。そこで法然および隆寛における浄土の究明に立ち返り、そこでの視座と課題を踏まえた上で、『愚禿鈔』における浄土究明の内容を考察した。そのことにより、『愚禿鈔』における浄土究明の意義は、『教行信証』における仏土究明の思索へと直結していることを提示した。[51頁~67頁]
14 地域社会と寺院の抱える問題点の研究-課題と分析視角-共著 2018-03-31『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第35号 本論は、真宗総合研究所・特定研究として2017年度新たに立ち上げられた「新しい時代における寺院のあり方研究」がどのような問題意識にたち、どのようなアプローチによって、地域社会と寺院の抱える問題に向き合い、調査研究をすすめていくかについて、論述したものである。その内、担当した箇所は、論文の総論にあたる「序」である。そこでは「少子高齢化」を迎えた日本の地域社会の諸問題とその地域に存在する寺院の課題と可能性とについて概論的に論述し、特定研究が目指す方向性を明確にしている。[総頁数21頁][本人担当 1頁~4頁]
15 Shinran’s Viewpoint on the Buddha’s Teachings: The True and the Provisional単著 2021-00-00The Buddha's Words and Their Interpretations
Published by The Shin Buddhist Comprehensive Research Institute
「仏陀の言葉とその解釈 」(The Buddha’s Words and Their Interpretations)をテーマとした国際シンポジウムにおいて、親鸞がどのような視座に立って、仏陀の言葉を理解しているのかを発表した内容を中心に論文としてまとめたものである。特に本論では親鸞が仏教を真実と方便とに区別する意義について、「機教相応」という点と、阿弥陀仏がその本願において「真実と方便」の内容を誓ったことの意義を重視する親鸞の視点とを中心に考察した。[201頁~212頁]
16 「宿業」の思想的意義についての一考察単著 2021-03-31『親鸞教学』第113号(大谷大学真宗学会) 本論は、『歎異抄』における「宿業」の思想的意義について、善導、源空、聖覚、隆寛における「宿業」理解を踏まえた上で、考察したものである。特に『歎異抄』における「宿業」理解が、それ以前の宿業理解の文脈の上でどのように位置付けられ、その思想的特徴がどのようなものかについて論じ明らかにした。[25頁~41頁]
17 Shinran’s ‘Practice’. The Shin Buddhist Turn in the Buddhist Understanding of Practice 単著 2023-02-03Journal of East Asian Cultures 本論は、エトヴェシ・ロラーンド大学(ELTE)において行われた、ELTE仏教研究センター・東アジア研究所と大谷大学真宗総合研究所共催の国際シンポジム“Buddhism in Practice”にての研究発表に基づいた論文である。当該シンポジウムのテーマである“Buddhism in Practice”をふまえ、他力・本願力に基づく親鸞の「行」理解が、従来の行理解をいかに転回し、さらに本願力に基づく行の意義とはどのようなものかについて考察した。[本人担当 31頁~39頁]
18 親鸞における学仏道と病への視座 単著 2024-00-00日本佛教学会  親鸞が、仏道の歩みにおいて病に対しどのような視座を有し、またその意義や理由をどのように理解することができるのかについて考察した。具体的には、まず『仏説無量寿経』や親鸞の主著『顕浄土真実教行証文類』等を中心に親鸞における病への基本的視座を確かめた。その上で、特に『教行信証』「顕浄土方便化身土文類六末」(以下「化身土巻末」)における「鬼」や「病悪」への言及を取り上げ、さらに親鸞自身の生涯において病の当事者として生きた経験や病となった同朋に対する親鸞の態度から、現に病の身を生きる自・他に対し、親鸞が仏弟子としていかに立ち向かい、関わり、共に歩んでいこうとしているのかを明らかにすることをこころみた。
以上18点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 本願成就における唯除の意義口頭発表 2002-05-272002年度真宗学会第1回例会(大谷大学真宗学会) 本願および本願成就文において「唯除」の文を引かずに引文する善導、法然の確かめに対して、親鸞は非常に注意深く本願成就と「唯除」との関係を確かめていく。その理由を「唯除」がわれら衆生において本願がどの一点に成就するのかを指し示す大悲のことばとして親鸞が受け止めているからではないかということを考察した。[発表時間 15分]発表要旨 『2002年度真宗学会例会活動報告』(大谷大学真宗学会)[1頁~11頁]
2 本願成就における唯除の文についての考察口頭発表 2002-07-07真宗教学学会2002年度教学大会 『教行信証』「信巻」における、第十八・至心信楽の願成就の文の引かれ方に注目して、本願成就における「唯除」の文の意義を考察した。具体的には「信巻」冒頭と、仏意釈において引かれる際には、本願成就文は「唯除」の文まで引かれるのに対して、「信一念釈」直後に引かれる本願成就文は「唯除」の文は引かれず、それに対応する形で「信巻」の最後にもう一度「唯除」の文が具体的に取り上げられるというのが、「信巻」の本願成就における「唯除」の文の引文のされ方である。このように本願成就に「唯除」の意味を確かめる親鸞の視点は「大悲の唯除」として明確化できると本論では指摘した。[発表時間 15分]発表要旨『真宗教学研究』第24号(真宗教学学会)[160頁~161頁]
3 本願成就における唯除の意義(2)口頭発表 2003-05-272003年度真宗学会第1回例会(大谷大学真宗学会) これまでの二つの口頭発表にひきつづき、その課題をまとめる形で、本願成就における「唯除」の意義について考察した。特に、「信巻」全体の構成とその論述展開によって、「信巻」における「唯除」の文を位置づけ、その上で本願成就と「唯除」とが必然的な関わりのある事柄としてどのように理解できるのかを考察した。この発表によって「唯除」を大悲の言葉として確かめる親鸞の確かめを更に明確化できたのではないかと考える。[発表時間 15分]発表要旨 『2003年度真宗学会例会活動報告』(大谷大学真宗学会)[10頁~18頁]
4 親鸞における行信究明の視点口頭発表 2003-09-05日本宗教学会第62回学術大会 親鸞の主著『教行信証』における「行信究明」の視点を、「行巻」と「信巻」との連関のうちに明らかにするという課題への一つの試みが本発表であった。具体的には、「行巻」一乗海嘆釈に言及される「至徳の成就」と、「信巻」至心釈に確かめられる「至徳の成就」について考察した。そのことによって、「行巻」と「信巻」における「至徳の成就」を確かめる視座の差異と連関とを指摘し、親鸞における行信究明の視点を考察した。[発表時間 15分]発表要旨 『宗教研究』第339号(日本宗教学会)[353頁~354頁]
5 本願における欲生心と唯除の意義 口頭発表 2004-06-04真宗連合学会第51回大会 「Ⅱ.学術論文」の2に記した内容について口頭発表したものである。[発表時間 15分]
6 『観経疏』における「学解」・「学行」の意義について口頭発表 2004-07-11真宗教学学会2004年度教学大会 「Ⅱ.学術論文」の3に記した内容について口頭発表したものである。[発表時間 15分]
7 「自信教人信」試考口頭発表 2005-07-10真宗教学学会2005年度教学大会 『教行信証』において、「自信教人信」の語は、「信巻」と「化身土巻」との二カ所に引文される。しかしながら、このような異なった文脈において「自信教人信」の語がなぜ引かれるのかという視点で、この言葉の意義を考察することは今までほとんどなかったといってよい。この発表では、真宗における教化の意義を明確にする上で非常に重要な役割を担ってきた「自信教人信」の語を、『教行信証』「信巻」「化身土巻」の二つの文脈に注意しながら考察し、その重畳的な意義を明らかにしようと努めた。[発表時間 15分]発表要旨 『真宗教学研究』第27号(真宗教学学会)[143頁~145頁]
8 誓願一仏乗開顕の意義について口頭発表 2005-09-11日本宗教学会第64回学術大会 親鸞は師・法然の選択本願念仏の教えを「誓願一仏乗」と押さえきる。それに関して、注目されるのが『教行信証』「板東本」では「一乗」或は「仏乗」についての言及箇所の多くに、「書改め」や「改訂」が見出されるということである。そのことは親鸞の思想形成を考える際には、「一乗」或は「仏乗」の意義を明確化することが不可欠であるということを示しているのではないか。この発表では、そのことを考察する基点として、親鸞の師である法然が「一乗」或は「仏乗」についてどのように語っているかを中心に取り上げて考察し、法然の浄土宗独立の意義を「誓願一仏乗」の開顕として明らかにした親鸞の課題を推究した。[発表時間 15分]発表要旨 『宗教研究』第347号(日本宗教学会)[305頁~306頁]
9 信心の智慧 ―親鸞における「智慧」への視座―口頭発表 2007-09-11日本仏教学会 「Ⅱ.学術論文」の6に記した内容について口頭発表したものである。[発表時間 20分]
10 On the Significance of Shinran’s Holographic Version of the Kyogyoshinsho in English Translation
口頭発表 2009-06-14第14回国際真宗学会 「Ⅱ.学術論文」の9に記した内容について、国際真宗学会におけるパネル発表“Possibilities and Problems in Kyogyoshinsho Research”にて、口頭発表したものである。[発表時間 15分]
11 『坂東本・教行信証』「一乗釈」における御自釈の訓(よ)みと意義について口頭発表 2010-06-04第57回真宗連合学会 「Ⅱ.学術論文」の10に記した内容について口頭発表したものである。[発表時間 15分]
12 『愚禿鈔』における法然教学の受容と展開―「弘願一乗」の開顕を視座として―口頭発表 2013-10-25大谷学会 研究発表会 本発表の目的は、聖道門の一乗仏教に対する厳しい批判吟味を行う法然の教学を踏まえ、その上で法然こそ「弘願の一乗」を説き弘めた方であると親鸞が讃嘆する、その内実の一端を『愚禿鈔』に聞き学んでいく所にある。特に『愚禿鈔』冒頭の二十四字から、法然教学の受容と展開における『愚禿鈔』の根本的な視座を考察した。[発表時間 40分]発表要旨『大谷学報』第93巻第2号[43頁~47頁]
13 Shinran’s Viewpoint on the Buddha’s Teachings: The True and the Provisional口頭発表 2016-05-27国際シンポジウム「仏陀の言葉とその解釈」
(大谷大学、エトヴェシ・ロラーンド大学共催)
「Ⅱ.学術論文」の15としてまとめた内容について、「仏陀の言葉とその解釈 」(The Buddha’s Words and Their Interpretations)をテーマとした国際シンポジウムにて発表した。[発表時間 30分]
14 『愚禿鈔』における浄土観口頭発表 2016-07-03真宗教学学会2016年度教学大会 本発表では、親鸞の著作の中でも未だに位置づけについて議論のある『愚禿鈔』におかる浄土観をテーマとして考察した。『愚禿鈔』の浄土への言及は非常に簡潔な表現となっていて、そこにどのような意義が込められているのかを明らかにすることは容易ではない。ここでは、親鸞の師法然の仏身仏土観および親鸞が深く尊敬する隆寛の浄土観を踏まえた上で、『愚禿鈔』に記される浄土への言及の意義内容を考察した。 [発表時間 25分]
15 月刊『同朋』差別を悲しむ「仏教の視点から」単著 2016-12-01東本願寺出版 月刊『同朋』(東本願部出版)の特集「差別を悲しむ」の号に「仏教の視点から」という箇所を担当した。「差別をみつめ、一人ひとりの尊厳に目覚めていく道」を、『歎異抄』の教えや真宗に生きる者として差別問題に取り組まれた武内了温の言葉を通して、尋ねた。[20頁~21頁]
16 浄土宗・浄土真宗(法然・親鸞)と浄土経典単著 2017-09-08月刊『大法輪』2017年10月号 『大法輪』「特集:《浄土経典》入門」という号において、「浄土宗・浄土真宗(法然・親鸞)と浄土経典」というテーマのもと、法然および親鸞が浄土経典、特に浄土三部経をどのように受容し、その意義をいかに明らかにしているのかについて述べた。また、法然から親鸞への受容と展開についても言及した。[120頁~123頁]
17 『観経』三心と『大経』三信についての一考察 ―『愚禿鈔』を中心に―口頭発表 2017-12-06真宗学会例会(大谷大学真宗学会) 本発表では、親鸞が『唯信鈔文意』において「『観経』の三心をえてのちに、『大経』の三信心をうる」と述べるその意を、『愚禿鈔』を中心にして考察した。親鸞は、『観経』における信と『大経』における信を、方便の信と真実の信とに区別していくが、「『観経』の三心をえてのちに、『大経』の三信心をうる」と明らかにする親鸞の言葉は、『観経』と『大経』にそれぞれ説かれた釈尊の教意を明らかにする視座の中で述べられていることを論述した。[発表時間 60分]
18 「新しい時代における寺院のあり方研究」における調査報告単著 2018-08-01大谷大学真宗総合研究所『研究所報』No.72 本報告は、2017年度から開始した大谷大学真宗総合研究所・特定研究「新しい時代における寺院のあり方研究」における2017年度下半期の研究調査の概要である。本研究は2017年度に立ち上げられたので、本格的な調査活動は下半期からのスタートとなった。初年度は、調査対象地である岐阜県揖斐郡揖斐川町春日地区の5ヶ寺の真宗大谷派寺院の聞き取り調査を行った。この報告では、寺院の概要、門信徒および集落の現場、他出した門徒と寺院の関わりの3点にしぼっての調査概要を報告した。[32頁~34頁]
19 過疎地域と寺院のあり方に関する報告―揖斐川町春日を中心に―口頭発表 2018-09-09日本宗教学会 「Ⅲ口頭発表、その他」の23に記した内容について口頭発表を行ったものである。[発表時間 20分]
20 “Shinran’s “Practice”: The Shin Buddhist Shift in the Buddhist Understanding of Practice ” 口頭発表 2018-09-18国際シンポジウム“Buddhism in Practice”
(大谷大学、エトヴェシ・ロラーンド大学共催)
「Ⅱ.学術論文」の17に記した内容について口頭発表したものである。[発表時間 25分]
21 エトヴェシ・ロラーンド大学(ブダペスト)における国際シンポジウム報告共著 2019-02-01大谷大学真宗総合研究所『研究所報』No.73 2018年9月17日から18日の2日間、ブダペストのエトヴェシ・ロラーンド大学において開催された国際シンポジウム"Buddhism in Practice"に関する報告を、研究代表者Robert F. Rhodes教授と共著で行った。
22 「新しい時代における寺院のあり方研究」における国内調査報告共著 2019-02-01大谷大学真宗総合研究所『研究所報』No.73 真宗総合研究所特定研究「新しい時代における寺院のあり方研究」班において2018年度に行った国内調査に関して、RAである松岡淳爾氏と共にその概要を報告した。藤元が、寺院調査に関する内容、松岡氏が門徒および地域住民調査に関する内容について、その概要をまとめ、報告した。
23 過疎地域と寺院のあり方に関する報告―揖斐川町春日を中心に―
共著 2019-03-30『宗教研究』92巻別冊
第77回日本宗教学会学術大会におけるパネル発表「人口減少時代における地域と寺院のあり方研究」において、左記の名称のもと、研究発表を行った。そこでは、大谷大学真宗総合研究所・特定研究「新しい時代における寺院のあり方研究」の調査について、①調査対象地および調査の視点、方法、②調査結果に基づく具体的事例、③課題の整理と今後の調査研究、という3点を中心に報告した。[本人担当49頁~50頁]
24 特定研究「新しい時代における寺院のあり方研究」公開研究会・開催報告単著 2019-07-01大谷大学真宗総合研究所『研究所報』No.74 特定研究における調査研究地域に直接関わる中山間地域に対する知見を得るため、山間地域および農村社会学の研究者である福田恵氏(広島大学准教授)を招き、公開研究会を開催し、その開催報告を『研究所報』第74号に掲載した。[40頁]
25 『愚禿鈔』における善導思想の受容について口頭発表 2019-12-01親鸞仏教センター『現代と親鸞』第41号 親鸞仏教センターにおいて開催されている「教行信証と善導の研究会」にて、善導の三心釈を、法然、親鸞がどのように受けとめ、その意義を究明しているかというテーマで研究発表を行った。特に法然から親鸞へと展開する三心理解とは異なる法然門下における三心理解についても言及しつつ、親鸞の三心理解の視座とその内容について考察した。当日(2018.2.27)の発表タイトルは「『愚禿鈔』における『観経疏』三心釈の推究」であった。[発表時間90分 質疑90分]『現代と親鸞』第41号[21~63頁]
26 「新しい時代における寺院のあり方研究」における国内調査報告共著 2020-02-01大谷大学真宗総合研究所『研究所報』No.75 真宗総合研究所特定研究「新しい時代における寺院のあり方研究」班において2019年度に行った国内調査に関して、RAである松岡淳爾氏、磯部美紀氏と共にその概要を報告した。藤元と松岡氏が、他出門徒聞き取り調査に関する内容、磯部氏が春日地区の葬送墓制に関する内容について、その概要をまとめ、報告した。[35~36頁]
27 『仏教事典』「自力と他力」 共著 2021-01-00日本佛教学会編、丸善出版  日本佛教学会編集による「読む」中項目事典である『仏教事典』における「自力と他力」の解説を担当した。仏教史における「自力と他力」の意義の展開を中国浄土教と日本浄土教に分けて簡潔に説明した。[306頁~307頁]

28 親鸞浄土教における人間存在への視座 ―「優生思想」への対峙を中心に―口頭発表 2021-09-05日本印度学仏教学会 2021年度(The Eastern Buddhist Society (EBS) 設立100周年記念パネル)における「浄土教は現代思想の諸課題にいかに応えるか 」という統一テーマのもとに、発表した。この発表においては現代においても課題的に言及される「優生思想」の意味・問題性を整理した上で、親鸞浄土教における人間存在への視座を手掛かりに、「優生思想」に対する浄土教からの応答可能性(responsibility)を考察した。
29 「誓願一仏乗」試考-現代臨床という視点に向き合って- 口頭発表 2022-12-10大谷大学真宗学会 本発表は、2021年度大谷大学真宗学会大会における研究発表として行ったものである。講演内容は『親鸞教学』第116号(47ー64頁)に掲載された。
30 親鸞における学仏道と病への視座 口頭発表 2023-09-30日本佛教学会 本発表は、2023年度日本佛教学会における共通テーマ「仏教と病」に応じて、日本佛教学会学術大会において行った研究発表である。
以上30点

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