教育研究業績の一覧

箕浦 暁雄
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 サンスクリット初級文法の学習会 2003-04-01
~2011-03-31
 インド仏教研究においては必須の言語であるサンスクリットの初級文法を比較的短期間のうちに習得することを目指した学習会を,2003年より毎年開いている。
2 インド学仏教学の共同研究会 2003-04-01 ~  2003年より文学部ならびに大学院の学生とともにメーリングリストを立ち上げた。日々情報交換を行いながら,ときに研究会を開き,研究発表・書評紹介なども行った。
3 サンスクリット仏教文献の輪読会 2003-04-01
~2011-03-31
 文学部・大学院の学生ならびに助教の教員等とともに,定期的に仏教文献の輪読会を開いてきた。そのときどきの参加者の関心に応じて,これまで『八千頌般若経』や『倶舎論』のサンスクリットテクストの一部を講読してきた。(2012年度は在外研究につき行っていない)
4 インド学仏教学研究用WEBページの作成 2004-00-00 ~  インド学仏教学に関する情報を提供するためのWEBページを作成した。それ以前に作成したWEBページを整理し,あらたにWikiを利用することにより、単に一方的に情報を提供するだけでなく,他の研究者や学生と相互に様々な情報を交換し合えるように工夫している。インド学仏教学に役立つ研究用ツールの提供,コンピュータ利用に関する情報提供,学会・研究会の案内など,実際に日々の研究活動に役立つサイトとして機能している。
5 仏教をテーマとするプレゼンテーション 2004-04-01
~2008-03-31
 人文情報学科第2学年必須科目授業の一環として,ひろく仏教をテーマとしたプレゼンテーションを行った。少人数のグループごとに具体的なテーマを決めた上で,調査・取材した結果を各クラスで発表し,選出された二組は学年全体の会で発表する。パワーポイントでスライドを作成し,音声・動画・QTVRなども利用して工夫したプレゼンテーションを目指すものである。(2004年度から2007年度まで担当)
6 人間学における対話重視の工夫 2005-04-01 ~  大谷大学初年時教育の核となる授業のひとつである人間学において学生との対話を重視した工夫を行った。学生が興味を持てるようマルチメディア機器を活用するとともに,頻繁に授業内容についての意見・疑問などを書いてもらい,それに対する担当者からの返答を学生の意見・疑問などと共にプリントして配布した。それにより,授業のテーマ・意図を繰り返し確認しながらその課題を共有し,受講者の意に沿うよう工夫しながらも,受講者の理解が不十分な点について再確認できるよう工夫した。(2012年度は在外研究につき担当せず。学生部長在任中の2017年度も担当せず。)
7 公開授業の実施: アフガニスタンの仏教遺跡調査報告 2006-12-12  学外からアフガニスタンの仏教遺跡調査に携わっている研究者・井上陽氏を招いて,公開授業(大乗経典)を行った。文学部の学生たちに仏教の文化世界に興味を抱いてもらえるよう,現地で撮影された写真を用いた最新の調査報告を聞くことができた。
8 人文情報学科におけるiPadを用いた教育プログラム 2011-04-01
~2012-03-31
 iPadを用いた新たな教育プログラムの推進である。iPad導入後の活用状況、現時点における問題点等については第12回モバイル研究会等で本プログラムの担当者が代表して報告を行っている。
9 現代と仏教コースに関わる学科教育の工夫・公開促進: 学科主催イベント〈シリーズ 仏教×現代〉の実施 2015-07-17
~2016-10-21
 仏教学科は2013年度から〈現代と仏教〉コースを設置した。それに伴い,仏教学という学問のあり方を問い直し,学生たちには様々なことに興味を持ってもらい,広い視野で仏教学に取り組んでもらうべく,学科の継続的な企画を開始した。現代社会の問題を見つめ,生き方を考えるための映画上映会や公開講演会として行った企画は次の通りである。
 2015年度は,インドの貧困問題・都市の問題を扱う映画「ビラルの世界」,東北の震災・原発の問題を扱う「日本と原発」を上映した。 2016年度は,沖縄基地問題を扱う「標的の村」,水俣病公式確認60年にあたり水俣の現在を撮り続ける映画監督・原一男氏を招き講演会を実施した。
10 オンライン研究会の実施(諸訳対照『道行般若経』解読/安田理深「縁起法の考察」「唯識哲学に於ける認識と解脱の問題」「自証の論理」の論考) 2020-04-01 ~ 新型コロナウイルス感染症の影響により,キャンパスでの研究会開催が不可能になったことから,zoomアプリケーションを用いたオンライン開催を継続的に行った。① 最初期の大乗仏典である『道行般若経』をガンダーラ語・サンスクリット・チベット・諸漢訳と対照して読み解くことで,初期大乗の課題がどこにあるのかを探る研究会を実施してきた。② 安田理深による唯識関係論考を精読し,安田理深が瑜伽行唯識学派の課題をどのように見据えていたのかを探る研究会を実施してきた。論考のなかで言及されている原典については,サンスクリット・チベット・漢訳に至るまで綿密に調べ,原典の文脈を追うことをも視野において精読した。
11 オンライン公開授業の実施「臨床フィールドワーク」 2021-05-28 文学部仏教学科「臨床フィールドワーク」の授業に,講師として岸上仁(大谷大学非常勤講師・仏教学/脳神経内科医)を招き,Zoomを利用したオンライン公開授業を実施した。この授業は「苦悩の現場から紡ぎ出されてきた課題をもって仏教の思索を展開すること」をテーマとしたものである。そこで,医師として神経難病の現場に立つ岸上氏による「病の傍らで—医療現場の問いを抱えて仏教に学ぶ—」という講演を受講者と共に聞き,苦悩しながらも病いを生きようとする人たちの姿に接し,そこで立ち上がってきた問いを,仏教を通して確かめるという学ぶ姿勢を確認した。
2 作成した教科書、教材、参考書
1 テキスト「大谷大学で学ぶ―建学の精神―」の作成 2014-03-31  大谷大学の建学の精神を学習するテキスト。大谷大学の「建学の精神」をもっとも具体的に表現したのが、初代学長清沢満之の「真宗大学開校の辞」と第三第学長佐々木月樵の「大谷大学樹立の精神」である。前者は真宗大谷派が東京に「大学」を開校した際に語られた言葉であり,後者は1918年に発令された「大学令」に基づく大学として京都への移転を遂げた大谷大学が新しい学制のもとでいかに存立するのかを確認したものである。テキストは学生・教職員全体に対する自校教育資料として新たに作成したものである。全体の編集およびpp. 14-15、pp. 24-27 を担当した。(総頁数31頁)
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
1 大学院FD研修会・報告「zoomを用いたゼミ授業(文献読解)の事例―「仏教学特殊研究(演習)a-1」より―」 2020-06-17 大学院FD研修会において,オンライン授業とりわけ同時双方向な遠隔授業の実際例を報告した。zoomアプリケーションを用いて,専門の文献講読や研究指導にどれほどのことができるかを提示したうえで,さらなる課題について言及した。発表に際して,梶哲也(大谷大学任期制助教・仏教学),向田泰真(大学院博士後期課程・仏教学専攻)の協力を得た。
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 天親の生涯と著作(大乗仏教のあゆみ—親鸞の眼を通して—)〈2008年5月28日,6月4日の2回〉 2008-05-28
~2008-06-04
 ヴァスバンドゥという思想家の生涯を,眞諦譯として伝わる『婆藪槃豆法師傳』に基づき解説し,『倶舎論』を初めとする著作を紹介した「大谷大学開放セミナー」の講演である。ヴァスバンドゥが辿った学問の道筋が,伝承のなかでマイトレーヤや兄アサンガとの関係上どのように描かれているか確かめ,いわゆる小乗を打ち捨て大乗へ転向したとの一般的見方が必ずしもインド仏教思想史における正当な評価ではないことを提示した。
2 在外研究員(Visiting Research Fellow, Ho Center for Buddhist Studies at Stanford, Stanford University) 2012-04-01
~2013-03-31
 大谷大学在外研究員に採用され,スタンフォード大学 Ho Center for Buddhist Studies の研究員として仏教研究に従事した。仏教文献とくに近年新たに見出されたサンスクリットで書かれたアビダルマ文献の写本解読と,仏教研究の方法論に関していくつか異なった視点で再提言することを目的とする研究を行った。研究テーマ: 仏典解釈の方法論的反省に基づくインド仏教思想史の再構築
3 京都・宗教系大学院連合(K-GURS)評議委員 2014-04-01
~2016-03-31
 2014年度と2015年度に,京都・宗教系大学院連合の評議員を務めた。
4 学生部長 2016-04-01
~2018-03-31
 学生部長を務めた。学生部長就任に伴い,学校法人真宗大谷学園評議員を務めた。
5 平成29年度日本学術振興会論文博士号取得希望者に対する支援事業・採用 2017-00-00 ~  日本学術振興会論文博士号取得希望者に対する支援事業に採用された。論博研究者はモンゴル・ウランバートルのNOROVTSEDEN Amgalan氏(ガンダンテクチェンリン寺教育文化研究所・歴史部門・秘書長)で、学位取得予定年度は2019年である。研究テーマは「モンゴル僧が著作したチベット語文献の研究: ロブサンミンジュールドルジを例として」である。日本側研究指導協力者は松川節教授と三宅伸一郎教授が務める。また,武田和哉准教授の協力を得ている。
6 京都・宗教系大学院連合(K-GURS)2017年度チェーンレクチャーの担当 2017-05-10  花園大学で開講された京都・宗教系大学院連合(K-GURS)の2017年度チェーンレクチャー「今年度のテーマ: 現代社会における宗教の意義」(全8回)のうちの第3回(2017年5月10日)を担当した。講義は「共に生きるということ」と題して行った。初期経典などを手掛かりに,「共に」と言えることの可能性を検討した。(概要掲載『京都・宗教論叢』第12号,2018年3月,pp. 46-49)
7 2017年度大谷大学暁天講座の講話「共生と孤独」 2017-07-19  いま世界で起こっている戦争や差別や孤独死など,軋轢や分断を超えて共に生きることはできるのか。このことを考えるために,仏教において「共に」とはいかなることを意味するのか。初期仏教経典スッタニパータのなかのダニヤスッタを手がかりに講じた。同じひとつの問い,すなわちいかに生きれば豊かに生きたといえるのかと問う心を持つことによって,他人によって決して置きかえることのできないという意味での孤独からくる寂しさを超えて,単独者として確固たる歩みを開始することができる。そうして,もはや敵対する必要がないというかたちで他者と出会い直す可能性について言及した。(約60分)
8 大谷学会研究発表会「勇気から起こる風—アビダルマにおける信仰についての整理と解釈—」 2018-10-26  初期経典『スッタニパータ』に描かれる釈尊観を確認することから出発して,その精神がアビダルマ文献に受け継がれているとの見通しを立てて,信仰の規定を検討した。発表では,とくに5世紀のヴァスバンドゥとサンガバドラ,6世紀のスティラマティのアビダルマ文献に見られる信仰の規定を紹介し,自己の歩みを支えるものとしての信仰概念について考察した結果を発表した。(発表時間質疑応答含め40分)
9 『倶舎論』を著した世親の肖像(大谷大学生涯学習講座/シリーズ 人物からみた仏教④)〈2019年6月7日,14日,21日の3回〉 2019-06-07
~2019-06-21
第1回は「世親の生涯」,第2回は「『倶舎論』の衝撃」,第3回は「世親との対話」というサブタイトルを付して講座を行った。初学者にも理解して貰えるよう,釈尊の課題が何であったかを確認しながら,世親が思想史の上でいかなる役割を果たしたのかについて講じた。『倶舎論』という書物がいかなる点で重要な書物であるのか,受講者に資料を提供して,できるだけ具体的に掴み取って貰えるようにした。
10 学寮長 2020-04-01
~2022-03-31
学寮長を務めた。
11 『倶舎論』を表した世親の肖像(近鉄文化サロン阿倍野・大谷大学共催講座「11月30日,12月7日の2回) 2020-11-30
~2020-12-07
大谷大学生涯学習講座(2019年6月実施・職務実績9)と同内容の講座を行った。前回の講座以上に,仏教思想史におけるアビダルマの意味や『倶舎論』について,より明解な理解を得られるような工夫をして,世親に焦点をあてた仏教入門講座を行った。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 1993-05-00~0000-00-00 日本印度学仏教学会
2 2001-11-10~0000-00-00 日本チベット学会(旧 日本西蔵学会: 2008年11月1日 学会の名称変更)
3 2003-07-11~0000-00-00 真宗教学学会
4 2003-09-00~0000-00-00 日本仏教学会
5 2007-06-09~0000-00-00 印度学宗教学会
6 2008-06-00~0000-00-00 International Association of Buddhist Studies(国際仏教学会)2013年-2018年の期間は非会員
7 2009-04-02~0000-00-00 東方学会
8 2009-04-18~0000-00-00 日本宗教学会
9 2012-07-24~2013-00-00 American Academy of Religion(アメリカ宗教学会)
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
以上0点
Ⅱ学術論文
1 北京版チベット大蔵経の高デジタル画像化: 写真撮影過程共著 1998-10-00『じんもんこん』(文部省科学研究費補助金 特定領域「人文科学とコンピュータ」研究情報誌)第6号

『第62回研究セミナー報告』京都大学大型計算機センター研究開発部(1999年3月23日)[総頁数8頁 pp. 16-23]に再録

情報処理学会,情報処理学会研究報告 Vol.98 No.97(1998年10月)[総頁数8頁 pp. 73-80]に再録
 大谷大学が所蔵するチベット大蔵経をデジタル画像化し画像データーベースとして提供するための方法を検討した。高精度デジタルデータを作成するには,まずもって極めて良い条件で当該資料の撮影を行う必要がある。本研究では,画像化する作業過程のうち当該資料の撮影条件を詳細に検討し,写真撮影の方法試論を提示した。共著者: 柴田みゆき,箕浦暁雄,片岡裕,宮下晴輝[総頁数7頁 pp. 72-79]
2 チベット大蔵経のデジタル画像化: 必要情報保存の保証共著 1998-10-05『57回(平成10年後期)全国大会 講演論文集(4)』情報処理学会  大谷大学が所蔵するチベット大蔵経をデジタル画像化し提供するための方法を検討した共同研究の成果である。文献学の資料として,博物館資料として提供するには可読性の保証だけでなく,原資料としての情報が欠落していないことを保証する必要がある。デジタル画像として提供する資料作成の過程で,保持すべき情報を明示し保証するという精度保証の発想がこれまでなかったため,その具体的方法を検討し提唱した。共著者: 柴田みゆき,箕浦暁雄,片岡裕,宮下晴輝[総頁数2頁 pp. 224-225]
3 説一切有部の因縁論- 同類因・遍行因の成立 -単著 1999-03-20『印度学仏教学研究』第47巻 第2号  説一切有部の教義学史の中で,後に四縁六因五果説として纏められる因果論の体系が,当初どのような問題意識に基いて発想されたのか検討することを目的とした。とくにここでは,六因説のうち,同類因・遍行因に着目した。『識身足論』「因縁蘊」における識の生起の議論の中で,どのような論題が提起され,後期の体系化された学説と比べてどの程度の問題意識があったかに注目しながら,同類因・遍行因に関する主要な論点を整理した。[総頁数3頁 pp. 898-900]
4 Research Project of Making Multimedia Data Base with Proven Quality as Primary Samples High Fidelity Digital Image Data of Tibetan Tripitaka Beijing Edition: Photo Taking Process共著 1999-04-00Proceedings of 1999 EBTI, ECAI, SEER & PNC Joint Meeting, Taipei.  北京版チベット大蔵経の画像データーベース作成を目指す基礎研究の成果である。デジタル画像化する過程で,とくに仏教研究の現場で必要な事柄を再確認した上で,写真撮影の方法について詳細に検証した。共著者: Seiki MIYASHITA, Miyuki SHIBATA, Akio MINOURA, Yutaka KATAOKA[総頁数9頁 pp. 425-433]
5 北京版チベット大蔵経の高再現性デジタル画像化: 高精度スキャニング過程共著 1999-07-16「人文科学とコンピュータ研究会研究報告」情報処理学会,情報処理学会研究報告 Vol.99 No.59  大谷大学が所蔵するチベット大蔵経をデジタル画像化し画像データーベースとして提供するための方法を検討した。本研究では,デジタル画像化の過程で,いかに高精度なスキャニングを行うことができるかその方法を検討した。共著者: 柴田みゆき,箕浦暁雄,片岡裕,宮下晴輝[総頁数8頁 pp. 43-50]
6 チベット大蔵経のデジタル画像化共著 1999-09-28『59回(平成11年後期)全国大会 講演論文集(4)』情報処理学会  北京版チベット大蔵経の画像データーベース作成のための方法試論を提示した。これまでの研究の不十分な点を再検討し,高精細画像を作成するための方法をあらためて提示した。共著者: 柴田みゆき,箕浦暁雄,片岡裕,宮下晴輝[総頁数2頁 pp. 315-316]
7 アビダルマにおけるnimittaについて - Nikāyaの用例に関連して -単著 1999-12-01『大谷大学大学院研究紀要』第16号  「想(saṃjñā)とは“nimitta”の把握である」というアビダルマにおける規定を検討するために、初期経典にまで遡って“nimitta”の意味を調査した。その上で,瑜伽行派の論書に見られる「言葉の所依」や「言語表現によって表示される把握対象を形態化し定立する原因」という“nimitta”の規定は分別の問題に起因し,分別の諸相が名称や言葉という概念に細分化され、それらと“nimitta”との相互の概念規定がなされた結果与えられたものであろうことをも提示した。[総頁数20頁 pp. 67-86]
8 択滅について単著 2002-03-20『印度学仏教学研究』第50巻 第2号  『倶舎論』や『順正理論』の中で学説の対立点が詳細に描き出される択滅(離繋果)の議論を検討した。ヴァスバンドゥが『倶舎論』において展開する説一切有部批判の論点、そして,サンガバドラが『順正理論』の中で提示するヴァスバンドゥ批判の論点を精査した。さらに『倶舎論実義疏』当該箇所の解読を通して,スティラマティが『順正理論』の記述をどのように用いながら『倶舎論』の注釈を行っているかについても若干指摘した。[総頁数4頁 pp. 894-897]
9 『アビダルマ文献における心所論の研究 - 諸法の共存関係論証 -』(博士論文)単著 2003-03-18博士論文  説一切有部は,同一瞬間に常に心と共存し因果関係を結ぶ心所法(十大地法)が設定されなければならないと主張し,それを論証すべく議論を展開する。そこで、初期から後期インドアビダルマ論書全体に渡って心所論を整理しながら,主としてヴァスバンドゥ著『倶舎論』,サンガバドラ著『順正理論』,そしてスティラマティの注釈書『倶舎論実義疏』を手掛かりに,説一切有部教義学における心所法の共存論証の全体像を明らかにした。[総頁数208頁]
10 『順正理論』における心心所法の共存論証単著 2003-05-30『仏教学セミナー』第77号  サンガバドラ著『順正理論』のなかで展開される心心所法の共存論証を詳細に検討し,全体像を提示した。サンガバドラは『倶舎論』第3章「世間品」の議論を受けて,縁起の定型句を再解釈すると共に,『倶舎論』第2章「根品」に対応する心所論箇所では,上座批判という形を取りながら,ダルマの共存・同時因果が容認されるべきことを論証する。本稿は,サンガバドラが説一切有部学説を再確定するその教義学の一側面を明らかにした。[総頁数25頁 pp. 88-112]
11 スティラマティとヤショーミトラの大地法理解単著 2003-12-20『印度学仏教学研究』第52巻 第1号  ヴァスバンドゥは,説一切有部説に対抗し大地法の定立を暗に批判していると,従来の研究では考えられてきた。そこで,『倶舎論』注釈書を著したスティラマティとヤショーミトラが,その点についてどのように理解していたか再検討した。その結果,両注釈者は『倶舎論』の説明を異なった仕方で理解していることが明らかとなった。本研究はその詳細を明確に提示した。[総頁数4頁 pp. 354-357]
12 説一切有部における倶有因の定義単著 2004-03-10『大谷大学研究年報』第56集  説一切有部の教義学では,ダルマが生起し消滅するという事態は,四縁六因五果説として整理される。そのうち,複数のダルマの同時因果関係を倶有因-士用果と呼ぶ。本稿は,この倶有因に注目し,その定義と倶有因に関連する同時因果学説をめぐる議論を再検討した。そこでは,今日までの研究の問題点を指摘しながら,諸論書のなかでいかに規定されてきたか,そして同時因果をめぐって何が議論されてきたのか,その論点を明らかにした。[総頁数39頁 pp. 55-93]
13 『倶舎論』における蘊(skandha)の意味規定 —『倶舎論実義疏』・『倶舎注疏随相』研究小史—単著 2004-06-30『真宗教学研究』第25号  経量部は,蘊・処を仮設存在とし,界を実有と見なし,ヴァスバンドゥは,蘊のみを仮設存在とし,処・界を実有と見なした。中国・日本の倶舎学の伝統ではこのように理解されてきたが,伝統的教義学理解で自明のことも,あらためて未解読のステイラマティやプールナヴァルダナ注によって再検討する必要がある。本稿では,本格的な両注釈書研究の前段階として研究史を整理した上で,両注釈書研究の現況を予備的考察として提示した。[総頁数14頁 pp. 92-105]
14 スティラマティ『五蘊論釈』和訳―行蘊(1)―単著 2005-11-26『長崎法潤博士古希記念論集 仏教とジャイナ教』平楽寺書店  その重要さに比して翻訳研究がなかったスティラマティ『五蘊論』注釈書の「行蘊」章の最初から心所法の勝解(adhimokṣa)の解説までの翻訳研究である。本稿を提示した時にはサンスクリット原典は散逸したと考えられていた。そこで,『倶舎論』を初め『倶舎論実義疏』『倶舎注疏随相』『倶舎論明瞭義』『唯識三十頌釈』『阿毘達磨集論』などを参照し,唯一現存するチベット文を綿密に校訂して日本語の訳文を提示した。[総頁数22頁 pp. 267-288]
15 分位縁起の正当性に関する『順正理論』の議論単著 2007-03-01『大谷学報』第86巻 第2号  分位縁起という説一切有部アビダルマの縁起解釈が釈尊の縁起説を正しく伝承するものであることを論証する『順正理論』に示される議論を分析した。サンガバドラによる,ヴァスバンドゥ批判および上座批判の論点を整理し,サンガバドラが教説を正しく伝承するとはどのようなことであるのかとの問題意識を背景に持って議論を展開していることを明らかにした。[総頁数12頁 pp. 18-29]
16 新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳共著 2009-03-31『真宗総合研究所 研究紀要』26(2008)

平成19年度〜22年度科学研究費補助金「ポタラ宮所蔵スティラマティの倶舎論注釈書『真実義』の新出梵文写本研究」
 ポタラ宮に現存することが近年確認された『倶舎論実義疏』サンスクリット写本解読研究の成果の一部である。小谷信千代博士を中心として写本解読のための共同研究を開始し,『倶舎論』第1章「界品」のうち「アビダルマを説く理由」について言及する注釈文の日本語訳を提示した。チベット語訳では読み解くことができなかった点がこの写本解読によって明らかとなった。共著者: 小谷信千代,秋本勝,福田琢,本庄良文,松田和信,箕浦暁雄[総頁数8頁 pp. 21-28]
17 ヴァスバンドゥは分別(vikalpa)を三種類と見なすか―スティラマティとヤショーミトラの解釈―単著 2010-12-20『仏教学セミナー』第92号

平成19年度〜22年度科学研究費補助金「ポタラ宮所蔵スティラマティの倶舎論注釈書『真実義』の新出梵文写本研究」
 仏教思想の基礎的概念である分別(vikalpa)を三つに分類する説一切有部学説に対するヴァスバンドゥの見解を,インドの注釈家であるスティラマティとヤショーミトラがどのように注釈するか考察した結果を提示した。ヤショーミトラの解釈に基づいて確定されてきた『倶舎論』著述時におけるヴァスバンドゥの思想的立場は,ときにはスティラマティの注釈書により再検証されなければならないことを具体的に指摘した。[総頁数14頁 pp. 21-34]
18 新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳(2)共著 2012-03-31『真宗総合研究所 研究紀要』29(2012)  ポタラ宮に現存することが近年確認された『倶舎論実義疏』サンスクリット写本解読を,小谷信千代博士を中心とする共同研究として開始した。本稿は先に公表した「新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳」『真宗総合研究所 研究紀要』26(2008)に次ぐ研究成果の一部である。チベット語訳では読み解くことができなかった点がこの写本解読によって明らかとなった。共著者: 小谷信千代,秋本勝,福田琢,本庄良文,松田和信,箕浦暁雄[総頁数32頁 pp. 1-32]
19 苦悩の物語に対面するということ—仏教学と社会的実践について語る視点—単著 2015-08-30『日本仏教学会年報』第80号(『仏教における実践を問う(一)—社会的実践の理念—』平楽寺書店,2016年 再録)  現代社会における仏教の果たすべき役割を問題にするとき,積極的に社会参画しようとする仏教教団の新たな動向や仏教者個々人の活動に注目が集まってきた。エンゲイジド・ブディズム(Engaged Buddhism)などの活動である。それらの活動がどのような発想に基づいて開始されてきたかまず確かめた。そのうえで,仏教思想史上、比較的初期の段階で形成された釈尊観を手がかりに,〈社会的実践〉について語り始めるときの重要な視点が何であるか検討した。結果として,仏教における社会的実践についての検討を通して,仏教学の学問的精神を,仏教の課題にふれる〈私〉のあり方を,再考した。[総頁数22頁 pp. 119-140]
20 増上縁から能作因へ単著 2016-03-08『智慧のともしび アビダルマ佛教の展開』(三友健容博士古稀記念論文集)  説一切有部アビダルマにおける法(dharma)の体系を基礎付ける因果論に関する研究成果である。本稿では,「増上」なる語が「増上縁」という因果関係をあらわす概念として整備され,さらに「能作因」という因果関係をあらわす概念との関係が論じられるようになる経緯を明らかにした。[総頁数14頁 pp. 19-32]
21 〈資料〉新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳(3)共著 2016-03-31『真宗総合研究所 研究紀要』33(2015)  ポタラ宮に現存することが確認された『倶舎論実義疏』サンスクリット写本解読を,小谷信千代博士を中心とする共同研究として開始した。本稿は先に公表した「新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳」『真宗総合研究所 研究紀要』29(2012)に次ぐ研究成果の一部である。チベット語訳では読み解くことができなかった点がこの写本解読によって明らかとなった。共著者: 小谷信千代,秋本勝,上野牧生,加納和雄,福田琢,本庄良文,松下俊英,松田和信,箕浦暁雄[総頁数29頁 pp. 115-143]
22 大谷大学図書館所蔵『大乗五蘊論聞書』(一)単著 2016-04-01『大谷学報』第95巻 第2号  世親『五蘊論』の講義録『大乗五蘊論聞書』(江戸期)が大谷大学図書館に所蔵されている。この講義録が残された背景を紹介し,資料的価値について言及したうえで,一部を翻刻して提示した。講義録に引用される多くの文献を確かめることで,この時代にどういった学問が行われていたかその様相を確認することができた。[総頁数18頁 pp. 1-18]
23 経と論—仏陀の言葉を受けとめるということ単著 2016-12-30『仏教学セミナー』第104号  仏陀の言葉が阿含からアビダルマへの展開のなかでどのように受けとめられてきたかについて,初期経典やその註釈書やNettipakaraṇa,そして『大毘婆沙論』などを手がかりに論じた。物語(Narrative)としての経(sūtra)のあり方を反方法主義的な態度と見なし,それに対するアビダルマ(abhidharma)という極めて方法主義的な態度があったと捉え,両者の枠組の相剋が阿含からアビダルマへの展開であったと考え得ることを提案した。[総頁数14頁 pp. 1-14]
24 〈資料〉新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳(4)共著 2017-03-31『真宗総合研究所 研究紀要』34(2016)  ポタラ宮に現存することが確認された『倶舎論実義疏』サンスクリット写本解読を,小谷信千代博士を中心とする共同研究として開始した。本稿は先に公表した「新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳」『真宗総合研究所 研究紀要』33(2015)に次ぐ研究成果の一部である。チベット語訳では読み解くことができなかった点がこの写本解読によって明らかとなった。共著者: 小谷信千代,秋本勝,上野牧生,加納和雄,福田琢,本庄良文,松下俊英,松田和信,箕浦暁雄[総頁数22頁 pp. 99-120]
25 大谷大学図書館所蔵『大乗五蘊論聞書』(二)単著 2018-03-16『大谷学報』第97巻 第2号  世親『五蘊論』の講義録『大乗五蘊論聞書』(江戸期)が大谷大学図書館に所蔵されている。「大谷大学図書館所蔵『大乗五蘊論聞書』(一)」の続篇として,『大乗五蘊論』という題目の解釈,蘊の意味,『大乗五蘊論』冒頭の「世親菩薩造」「唐三蔵法師」「如薄伽梵」の文言について講ずる箇所の翻刻を行った。講義のなかで引用される文献について詳細な註記をした。[総頁数13頁 pp. 1-13]
26 上座の顛倒説に対するサンガバドラの批判単著 2018-03-20『印度学仏教学研究』第66巻 第2号  サンガバドラの『順正理論』に見られる顚倒の解釈を取り上げて論じた。説一切有部は見顚倒の定立のみを認め,想顚倒と心顚倒は仮に顚倒と呼ばれるにすぎないと主張する。この見解と対立する上座に対して,経典の受けとめ方に問題があるとサンガバドラは厳しく批判する。この批判の論点を整理して,サンガバドラが上座説を取り上げる意図について説明した。[総頁数7頁 pp. 90-96]
27 〈資料〉新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳(5)共著 2018-03-31『真宗総合研究所 研究紀要』35(2018)  ポタラ宮に現存することが確認された『倶舎論実義疏』サンスクリット写本解読を,小谷信千代博士を中心とする共同研究として開始した。本稿は先に公表した「新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳」『真宗総合研究所 研究紀要』34(2016)に次ぐ研究成果の一部である。チベット語訳では読み解くことができなかった点がこの写本解読によって明らかとなった。共著者: 小谷信千代,秋本勝,上野牧生,加納和雄,福田琢,本庄良文,松下俊英,松田和信,箕浦暁雄[総頁数20頁 pp. 185-204]
28 アビダルマにおける受蘊の規定単著 2018-12-30『仏教学セミナー』第108号  アビダルマ文献に見られる五蘊のなかの受の概念について検討した。初期説一切有部論書『集異門足論』『法蘊足論』から『倶舎論』に至るまでの受蘊の規定を整理したうえで,受は触の感受なのか境の感受なのかを論ずるサンガバドラ著『順正理論』の議論について詳しく検討した。加えて,スティラマティ著『倶舎論実義疏』と『五蘊論註』が『順正理論』をよく受けとめて受蘊の註釈をしていることを報告した。[総頁数28頁 pp. 1-28]
29 〈資料〉新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳(6)共著 2019-03-29『真宗総合研究所 研究紀要』36(2018)  ポタラ宮に現存することが確認された『倶舎論実義疏』サンスクリット写本解読を,小谷信千代博士を中心とする共同研究として開始した。本稿は先に公表した「新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳」『真宗総合研究所 研究紀要』35(2018)に次ぐ研究成果の一部である。チベット語訳では読み解くことができなかった点がこの写本解読によって明らかとなった。共著者: 小谷信千代,秋本勝,上野牧生,加納和雄,福田琢,本庄良文,松下俊英,松田和信,箕浦暁雄[総頁数15頁 pp. 123-137]
30 スティラマティ『五蘊論註』にみられる信(śraddhā)単著 2019-11-08『大谷学報』第99巻 第1号  スティラマティの『五蘊論註』が信の概念について註釈する箇所を詳細な訳注を付して和訳した。この解読研究はポタラ宮でその存在が確認され,その後校訂出版されたサンスクリット写本を底本としたものである。スティラマティが信の概念についてどれほどの問題意識を持っていたかを明らかにした。本稿は,2018年10月26日開催の大谷学会研究発表会「勇気から起こる風—アビダルマにおける信仰についての整理と解釈—」のために準備したものの一部である。[総頁数16頁 pp. 1-16]
31 〈資料〉新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳(7)共著 2020-03-31『真宗総合研究所 研究紀要』37(2019)  ポタラ宮に現存することが確認された『倶舎論実義疏』サンスクリット写本解読を,小谷信千代博士を中心とする共同研究として開始した。本稿は先に公表した「新出梵本『倶舎論安慧疏』(界品)試訳」『真宗総合研究所 研究紀要』36(2019)に次ぐ研究成果の一部である。チベット語訳では読み解くことができなかった点がこの写本解読によって明らかとなった。共著者: 小谷信千代,秋本勝,上野牧生,加納和雄,福田琢,本庄良文,松下俊英,松田和信,箕浦暁雄[総頁数18頁 pp. 175-192]
32 スティラマティ『五蘊論註』翻訳研究(一) 単著 2020-12-30『仏教学セミナー』第112号(『中国関係論説資料』第62号、第1分冊、2021年12月31日 転載・再録) スティラマティ『五蘊論註』サンスクリット原典の冒頭箇所の翻訳を提示した。この翻訳研究では,他のアビダルマ文献を多く参照し,詳しく註記した。逐一註記することによって,スティラマティが『五蘊論註』においてどれほどアビダルマの伝統的な解釈を引き受けてきたのかを検証するための基礎資料を限定的とはいえ提示したことになる。[総頁数15頁 pp. 1-15]
33 スティラマティ『倶舎論』註釈書における色蘊の解釈 単著 2022-03-23『印度学仏教学研究』第70巻 第2号 『倶舎論』第1章「界品」の第9偈に見られる五蘊のなかの色蘊の解釈をめぐる議論を整理することで、『倶舎論』を思想史に位置付ける際の問題提起を行った。第9偈では、色というものを、五境を対象とする識の拠り所なのか、五根という識の拠り所と見なすのかについて記述される。サンガバドラの『順正理論』とスティラマティの『倶舎論』註釈書の記述を比べながらこの議論を整理した。[総頁数10頁 pp. 1-10]
34 契経は世親にとって有部を破する一本鎗である——蘊の実有・仮有をめぐる論争—— 単著 2022-12-30『仏教学セミナー』第116号 サンガバドラの『順正理論』における五蘊の「蘊」(skandha)とは実有なのか仮有であるのかをめぐる論争について論じた。ヴァスバンドゥ(世親)の『倶舎論』に比して、『順正理論』における蘊の実有・仮有をめぐる論争を注意深く辿ると、釈尊の課題意識に積極的に立ち返ろうとするサンガバドラの姿勢が見られることを論じた。本稿では、スティラマティの『倶舎論』註釈書であるTattvārthāの対応箇所をも参照して論じている。なお、本稿は、III-25に基づき、さらに考察内容を整理して論文として提示したものである。
以上34点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 説一切有部の因縁論- 同類因・遍行因の成立 -口頭発表(一般発表) 1998-09-05日本印度学仏教学会第49回学術大会 II-3と同内容[発表時間20分]
2 Devanagari Script on IS13194 -Structure of Devanagari Script and its Definition on IS13194 -口頭発表(招待) 1998-12-18International Conference on Multilingual Text Processing ICMTP '98 ― toward a proper coding of all written language of the world ―, Waseda University

『平成10年度 通商産業省工業技術院委託国際規格共同開発調査「多言語情報処理環境技術」成果報告書』財団法人 国際情報化協力センター(1999年)に報告書として採録
 計算機上にて多言語処理環境を構築するためには正しく個々の文字を理解する必要がある。しかし、実際には不正確な理解に基づきシステムが構築され問題も多い。ここでは,計算機上で文字処理するために最低限必要なデーヴァナーガリーの文字構造を説明し,さらにインド国家規格IS13194が実際どのように文字を規定しているか基本的事項を解説し報告した。[発表時間60分][総頁数8頁 pp.73-80]
3 アルフレッド・ブルーム 西洋社会における浄土真宗独自の可能性翻訳 1999-03-31『真宗総合研究所紀要』第16号  真宗総合研究所 国際仏教研究班が主催した講演会において,ブルーム博士より提出された発表資料を翻訳し報告書として提示したものである。その中で,博士は,現代のアメリカ社会において真宗の思想が担うべき独自の役割があると提言し,真宗が持つ独自の視点を説明しながら,それを「治癒の源泉」と表明している。[総頁数6頁 pp.69-74]
4 アビダルマにおけるnimittaについて - Nikāyaの用例に関連して -口頭発表(一般発表) 1999-10-12大谷大学仏教学会研究発表例会 II-7と同内容[発表時間30分]
5 離繋果について口頭発表(一般発表) 2001-07-01印度学仏教学会第52回学術大会 II-8と同内容[発表時間20分]
6 スティラマティとヤショーミトラの大地法理解口頭発表(一般発表) 2002-09-06印度学仏教学会第54回学術大会 II-11と同内容[発表時間20分]
7 『倶舎論』における蘊(skandha)の意味規定口頭発表(一般発表) 2003-07-12真宗教学学会十周年記念大会 II-13は本発表内容に基づくが,予備的考察として『倶舎論実義疏』『倶舎注疏随相』の詳細な研究史を加えている。[発表時間20分]
8 説一切有部の分位縁起説口頭発表(一般発表) 2003-12-18大谷大学仏教学会研究発表例会  インド仏教研究の分野における縁起説の研究史を眺めることで,今日何を検討し直さなければならないかまず整理した。そこで,『大毘婆沙論』における有情数縁起,有情数非有情数縁起について考察した上で,『倶舎論』『順正理論』に説かれる説一切有部の分位縁起説をめぐる議論を検討した。II-15は,本発表の『順正理論』の分位縁起説をめぐる議論についてのみ扱ったもの。[発表時間30分]
9 説一切有部の有情数縁起について口頭発表(一般発表) 2004-07-24日本印度学仏教学会第55回学術大会  説一切有部の大注解書『大毘婆沙論』は,経典のなかで繰り返し説かれてきた縁起の意味を二つの視点によって整理した。有情の輪廻の過程に関わる有情数縁起と,あらゆるダルマの生起と消滅とを表す有情数非有情数縁起とである。本稿では、有情数縁起という発想がどのような経典解釈から出発し教義学説として展開していったか,その論点を整理し報告した。[発表時間20分]
10 李鍾徹『世親思想の研究 ―『釈軌論』を中心として―』書評 2004-10-30『仏教学セミナー』第80号  ヴァスバンドゥ著『釈軌論』は,いまだ本格的な研究がなく,全容解明が待たれる難解な書物である。まず今日までの『釈軌論』の研究史をまとめた上で,サンスクリット文が現存しないためにチベット語訳に基づいて提示された博士の『釈軌論』研究が,現在のインド仏教研究の状況に鑑み,いかなる意味を持つのか明確にした。博士のヴァスバンドゥ研究を高く評価しつつも再検討すべき点について若干の指摘をしている。[総頁数8頁 pp.32-39]
11 Sthiramati and Yaśomitra: On the Possibility of Coexistence of Mental Dharmas Described in the Two Commentaries on the Abhidharmakośabhāṣya口頭発表(一般発表) 2008-06-24XVth Congress of the International Association of Buddhist Studies

平成19年度〜22年度科学研究費補助金「ポタラ宮所蔵スティラマティの倶舎論注釈書『真実義』の新出梵文写本研究」
 『倶舎論』における十大地法に包摂されるダルマが共存することを認めるか否かについての議論を,スティラマティとヤショーミトラの注釈書によって読み解き,その成果を報告した。ヤショーミトラの注釈書当該議論は,『倶舎論』著述時のヴァスバンドゥが紛れもなく経量部師であることの根拠と見なされてきた。しかし,これまで参照されてこなかったスティラマティの『倶舎論実義疏』の注釈文を検討すると,スティラマティの解釈は全く異なるものであり,ヤショーミトラの注釈は一つの解釈例にすぎないことを示した。よって,従来の経量部研究に再検討が必要であることを指摘している。[発表時間30分]
12 楠本信道著『『倶舎論』における世親の縁起観』書評 2008-12-20『仏教学セミナー』第88号  ヴァスバンドゥの『倶舎論』に見られる縁起説に関する楠本博士の本格的な研究を高く評価しながらも,本書で示される縁起説に対する全体的見通しに疑問を提示した。とくに,初期経典からアビダルマ論書に至る諸々のテクストにおいて「輪廻」が語られる際の問題関心がどこにあるか。また『倶舎論』におけるヴァスバンドゥの思想的立場をどのように見定めるか。著者の見解を整理すると同時に,問題点を指摘しながら論評を加えた。[総頁数13頁 pp.80-92]
13 Vasubandhu's Pañcaskandhaka, Critically Edited by Li Xuezhu and Ernst Steinkellner with a Contribution by Toru Tomabechi書評 2009-06-30『仏教学セミナー』第89号  シュタインケルナー博士等が,北京の中国蔵学研究中心の協力によりラサのポタラ宮に保管されてきた大量の仏教サンスクリット写本を確認し解読研究を開始した。本書によってはじめてヴァスバンドゥ著『五蘊論』サンスクリット文の校訂テクストが提供されたことになる。本書序文に従って新たに得られた知見を紹介し,散逸したと考えられてきた『五蘊論』の公開を受け,今後いかなる視点で研究を進める必要があるのか論評した。[総頁数12頁 pp.95-106]
14 スティラマティ『倶舎論実義疏』梵文写本解読の現況口頭発表(パネル発表) 2009-08-092009年 第60回学術大会パネル発表・梵文写本研究の現状と課題(パネル発表報告『印度学仏教学研究』第58巻 第2号 2010年 所収)

平成19年度〜22年度科学研究費補助金「ポタラ宮所蔵スティラマティの倶舎論注釈書『真実義』の新出梵文写本研究」
 散逸したと考えられていたスティラマティの『倶舎論実義疏』サンスクリット写本の現存が近年ラサのポタラ宮において確認された。シュタインケルナー博士を中心とする各国の研究者による写本解読共同プロジェクトに加わり,小谷信千代博士等と開始した『倶舎論実義疏』写本解読の現況を報告した。当該写本によって明らかとなった点を具体的に示し,得られた新たな知見が『倶舎論』読解において極めて重要であることを示した。[発表時間 パネリスト5名で150分]
15 スティラマティとヤショーミトラ―三種類の分別を定立するか否か―口頭発表(一般発表) 2010-07-15大谷大学仏教学会研究発表例会 II-16と同内容[発表時間30分]
16 Opening a Dialogue with the Mahāvibhāṣā口頭発表(パネル発表) 2011-06-21XVIth Congress of the International Association of Buddhist Studies  『阿毘達磨大毘婆沙論』の成立過程は,各々の議論の順序,議論の形式,編纂上の不備と推測される箇所などの外面的特徴について,『阿毘曇毘婆沙論』『鞞婆沙論』と比較することによって解明される。こうした方法に異議を唱え,『大毘婆沙論』で取り上げられる議論が,仏教の課題に照らして当初いかなる関心から発せられたのか,テクスト内部であるいは他のテクストとの比較検討を通して描き出すことの重要性を指摘した。それにより浮かび上がってくる僅かなテクスト成立の背景を知ることしかできないことを,「十八界の諸門分別」のなかの「有對法・無對法」の議論を例に解説した。そして,仏教研究において,あるテクストの成立過程を明らかにするという学問的態度それ自体を再検討する必要があると指摘した。

On the Problem of the Compilation of the Vibhāṣā(『大毘婆沙論』の成立について検討するパネル)発表。[発表時間30分]
17 スタンフォード大学に滞在して口頭発表 2013-07-04大谷大学仏教学会研究発表例会  2012年4月から一年間スタンフォード大学研究員として行った研究のあらましを報告した。またアメリカ西海岸の仏教研究の現況について報告した。研究テーマは「仏典解釈の方法論的反省に基づくインド仏教思想史の再構築」であった。
18 スティラマティ『倶舎論実義疏』梵文写本から得られる知見口頭発表(パネル発表) 2014-08-31第65回学術大会パネル発表・新たな視点からのスティラマティ研究(パネル発表報告『印度学仏教学研究』第63巻 第2号,2015年 所収 )  『倶舎論』を著したヴァスバンドゥを,サンガバドラの『順正理論』が批判し,サンガバドラをスティラマティの『倶舎論実義疏』が批判する。アビダルマ研究の領域でこう了解されてきた三者の関係を再検討する必要があると指摘した。スティラマティは『順正理論』を批判対象として見るだけでなく,『倶舎論』註解のために積極的に参照する。また,スティラマティはヤショーミトラと異なった『倶舎論』理解を示す箇所がある。スティラマティの『倶舎論実義疏』の解読は,これまでの『倶舎論』理解に再検討を促すことを示した。他方,中国・日本の倶舎学の伝承と比較することで,我々が得てきた思想家スティラマティ像は,時代をへて,より類型的に捉えられてきたことに言及した。思想家像が,何によって方向付けられ,限定されてきたか,その要因を暴き出すことの重要性を指摘した。[発表時間 パネリスト5名で150分]
19 苦悩の物語に対面すること—仏教学と社会的実践について語る視点—口頭発表 2014-09-10日本佛教学会2014年度学術大会(第84回大会)  現代社会における仏教の果たすべき役割を問題にするとき,積極的に社会参画しようとする仏教教団の新たな動向や仏教者個々人の活動に注目が集まってきた。エンゲイジド・ブディズム(Engaged Buddhism)などの活動である。それらの活動がどのような発想に基づいて開始されてきたかまず確かめた。そのうえで,仏教思想史上、比較的初期の段階で形成された釈尊観を手がかりに、〈社会的実践〉について語り始めるときの重要な視点が何であるか検討した。結果として,仏教における社会的実践についての検討を通して,仏教学の学問的精神を,仏教の課題にふれる〈私〉のあり方を,再考した。II-19と同内容[発表時間20分]
20 ヴァスバンドゥとの対話を試みた註釈者スティラマティ口頭発表 2016-05-20第61回国際東方学者会議(東京会議)シンポジウム「スティラマティの虚像と実像」〈東方学会〉
(概要掲載: Transactions of the International Conference of Eastern Studies(國際東方學者會議紀要)No. LXI 2016. pp. 67-68)
 ヴァスバンドゥの論書に対する諸註釈書『倶舎論実義疏』『五蘊論註』『中辺分別論釈疏』などの冒頭で述べられる造論の意趣に注目して,スティラマティが論を著すという営みをどう了解していたかを検討した。スティラマティという註釈者は,毘婆沙師,瑜伽行唯識学派,経量部などいずれかの立場に自らの足場を置くという徹底した態度をとっていない。ひとりの註釈者として自らの立場が引き裂かれてしまっているということもない。このことを明らかにすべく証左の一端を示した。スティラマティはいずれかの学派の論師であったというよりもむしろ,どこまでもヴァスバンドゥを通して仏教の思想課題に向きあおうとした論師であったことを確認した。スティラマティはヴァスバンドゥをも凌ぐというチベットのプトゥンによる評価は,このことを前提とした言及であることを示した。[発表時間40分]
21 Sūtra and Abhidharma: Taking in the Buddha's Words口頭発表 2016-05-26International Symposium The Buddha’s Words and Their Interpretations  仏陀の言葉が阿含からアビダルマへの展開のなかでどのように受けとめられてきたかについて,初期経典やその註釈書やNettipakaraṇa,そして『大毘婆沙論』などを手がかりに論じた。物語(Narrative)としての経(sūtra)のあり方を反方法主義的な態度と見なし,それに対するアビダルマ(abhidharma)という極めて方法主義的な態度があったと捉え,両者の枠組の相剋が阿含からアビダルマへの展開であったと考え得ることを提案した。II-23と同内容[発表時間30分]
22 説一切有部における想顛倒 口頭発表(一般発表) 2017-09-03印度学仏教学会第68回学術大会 II-26と同内容[発表時間20分]
23 仏陀と戦没者: 刻まれた名前の意味を尋ねて講演 2017-12-07東本願寺沖縄別院・成道会  戦場や強制収容所や墓標に亡くなっていった人の名前が刻まれている。名前のみが残ったという事実が私たちに問いかけているものは何か。国王の息子であったゴータマ・シッダールタという青年は,老病死の苦しみを超えて豊かに生きる道を求めた。やがて青年は「目覚めた者」(仏陀)と呼ばれることになった。仏陀の物語から大切なことを学ぶことができたなら,おのずと戦争で命を落とした人の名前の意味が照らし出され,私たちの人間性が問い直されることになるはずである。成道会を機に,人間であるとはいかなることかを考える講演を行った。
24 道を求めて歩み出すとき講演 2019-04-21真宗教化センター「しんらん交流館」日曜講演  「仏道を歩む」とはどういうことなのか。また,いかなるときに「仏道を歩みはじめる」ということがあるのか。仏教が問題にしてきたこうした問題は,私たちのどういったことに関わることなのかについて講演した。本講演では,小説や詩を資料として用い,仏教の専門用語をできるだけ用いないで行った。[発表時間80分]
25 契経は世親にとって有部を破する一本槍である——アビダルマにおける蘊の解釈——口頭発表(一般発表) 2019-12-12大谷大学仏教学会研究発表例会  説一切有部アビダルマにおける蘊(skandha)の規定をめぐる議論を整理する目的で発表したものである。『大毘婆沙論』『阿毘曇心論経』の説を確認したうえで,『倶舎論』の註釈書であるスティラマティの『倶舎論実義疏』とサンガバドラの『順正理論』とを丹念に見ると,最終的にはスティラマティとサンガバドラ両者のあいだで,論証の根拠提示の仕方すなわち経に向かう姿勢に異なりが生じてきていることを論じた。[発表時間40分]
26 「近代の仏教学・宗教学研究書3冊」記事掲載 2020-04-01『近現代日本仏教の歩み 明治から平成まで150年を追跡』仏教タイムス社 近代の仏教学・宗教学研究書3冊についてのコメント記事と今後の学問研究及び自由意見の掲載。
27 苦悩の現場から紡ぎ出された言葉講演 2020-08-062020年度仏教学会新入会員歓迎講演(2020年8月6日実施)/『仏教学セミナー』第112号に筆録掲載(2020年12月30日刊行) 仏教の教説は,苦悩する存在である人間の声を聞きとり,そこから紡ぎ出され,編み上げられて,伝承されてきたものであると言える。仏教学という学問には,苦悩の経験に耳を傾けることから出発して,釈尊の問いの意味を学んでいくという姿勢があることを確認した。そうしたことを確認するにあたり石原吉郎などを手がかりに〈名前〉の意味に注目している。(本講演は2017年12月7日 東本願寺沖縄別院主催成道会における記念講演「仏陀と戦没者—刻まれた名前の意味を尋ねて」に基づく。)
28 大学教育の在り方—オンライン授業からの示唆—口頭発表(シンポジウム・共同発表) 2020-12-19人文情報学研究の最前線2020 シンポジウム: ウイズ・コロナ時代の大学の学び—大谷大学の取り組みから—  大谷大学文学部人文情報学科主催のワークショップにおける髙橋真(社会学部)との共同発表である。まず最初に髙橋真が,2020年4月に三宅伸一郎(文学部)・髙橋真(社会学部)・梶哲也(任期制助教・仏教学)と共に立ち上げた授業支援チームの取り組みと,オンライン授業において〈対話〉という視点から報告を行った。次いで,箕浦が再び授業支援チーム立ち上げの意図について付言したうえで,対話こそ学問の命であることを述べた。[発表時間40分]
29 「仏教における時間論」「仏教における存在論」「修行の階梯」(『仏教事典』項目執筆)共著 2021-01-28日本佛教学会編『仏教事典 』丸善出版 『仏教事典』の「仏教における時間論」(pp. 280-281),「仏教における存在論」(pp. 286-287),「修行の階梯」(pp. 290-291)の各項目を執筆した。
30 スティラマティ『倶舎論』註釈書における色蘊の解釈 口頭発表(一般発表) 2021-09-04印度学仏教学会第72回学術大会 II-33と同内容[発表時間20分]
31 「非戦の声をあげ続ける 仏教の視点から」 記事 2022-08-01月刊『同朋』2022年8月号、東本願寺出版(『仏教のミカタ2——仏教から現代を考える31のテーマ』東本願寺出版、2023年4月 転載) モンゴルのオンギ僧院で活動し、スターリン時代の粛清によって銃殺されたロブサンミンジュールドルジという僧が書き残した貴重な書物をナンサルマーという女性が守ってきたという数奇な出来事を紹介しながら、「一人の死を置き去りにしない」ことと、「人間の暴力性」を越えて生きることができるのかという問題について述べた。なお、記事のなかでは、詩人・石原吉郎の言葉を大きくとりあげて紹介している。執筆依頼を受けての寄稿。[総頁数2頁 pp. 20-21]
32 「 出会うということ—歩みの始まり—」「 出会うということ—内面へ—」「 出会うということ—共に生きたいと願う—」記事(連載) 2022-12-01『おやまごぼう』2022年12月(第462号)・2023年1月号(第463号)・2023年2月号(第464号) 仏教の思索のなかで人と出会うということが重要な位置を持ってきた。出会うという経験を通して、仏教の信仰が語り出されている。仏教の文脈で出会うということについて考えるうえで、仏道の歩みが始まるとすればそれはいかなるときにどのようにしてなのかということについて言及した。[各号 総頁数1頁 p. 1]
33 情報技術に向けられた仏教学者の視線 口頭発表 2023-02-15人文情報学科開設20周年記念事業ワークショップ「人文情報学の道程」(於 大谷大学響流館メディアホール) 2000年に大谷大学文学部に設置された人文情報学科を閉じるにあたり記念事業として開催されたワークショップにおける発表。この発表では、仏教学という人文学の一学問領域からみた情報技術について扱い、情報技術に対して仏教学者が何を期待し何に戸惑ってきたのかについて言及した。それは同時に、2000年に大谷大学文学部のなかに開設された人文情報学科がいかなる役割を果たそうとしてきたのかを振り返ることにもなる。仏教学ひいては人文学の未来を語るための回想というかたちでの発表を行った。[発表時間30分]
34 Remaining in Suffering and Walking Ahead: The Shift in Meaning of Life in Buddhism 口頭発表(シンポジウム) 2023-12-16International Symposium in Commemoration of the One Hundred Twentieth Anniversary of the Founding of Otani University
Symposium: Enlightenment, Wisdom, and Transformation in the World’s Religious Traditions
古代インドの初期経典に見られる釈尊の教説からアビダルマ教学の展開において見られる業(karman/kamma)をめぐる記述をいくらか辿ることで、苦悩に踏みとどまることと、新たな生きる意味を見いだして歩み始めるという、一見矛盾するようなこの両者の姿勢がいかにして成り立ち得るのかを考えるための手がかりを提示した。人間における覚り(enlightenment)と智慧(wisdom)と変容(transformation)をキーワードに、仏教における生きる意味の転換について検討した。[発表時間30分]
以上34点

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