教育研究業績の一覧

高井 康弘
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 京都高大連携研究協議会高大連携教育プログラム実践研究共同教育プログラム京都府立東舞鶴高校「新聞記事を作ろう!」 2006-09-27
~2006-12-04
高校2年Ⅱ類文系クラスにて、現代文の授業枠を用い、社会学的調査手法とメディア情報の特性について、生徒自らが実践する中で理解することを目的に授業を行なった。担当者は宮下繁教諭(東舞鶴高校)、高原暁海教諭(同左)、中村博幸教授(京都文教大学)、高井康弘(大谷大学、本林靖久(同左)、堀井愛(同左)。第1回9月27日、第2回10月2日、第3回10月25日、第4回11月13日、第5回11月20日、第6回12月4日の授業を行なった。本人は、そのうち第2、3、4、6回を担当。舞鶴の高校生ならではのオリジナルな題材選びを勧奨し、第一次資料を得るための調査の重要性と面白さを説き、自ら主体的に関わることができるよう心がけた。グループワークの組み込みや、遠隔テレビシステムを使った成果発表会などを実験的な試みも行なった。
2 京都高大連携研究協議会・実践研究共同プログラム:京都府立東舞鶴高校「新聞記事を作ろう!パートⅡ」 2007-09-13
~2008-02-01
高校2年の「情報C」の授業枠を用い、社会学的調査とメディア情報の概要について、生徒自らが実践する中で、理解するための授業を行なった。担当者は、岡田光生(東舞鶴高校教諭)、櫻井弘一(同左)、中村博幸(京都文教大学教授)、高井康弘(大谷大学)、本林靖久(同左)、堀井愛(同左)。期間は2007年9月13日から2008年2月1日。本人担当は社会学的フィールド調査指導。第2回(9月20日)、第3回(10月1日)、第4回(11月9日)、第6回(12月18日)、第7回(2月1日)に参加。昨年度は新聞地方版的な壁新聞形式の発表を課したが、今年度はホームページによる発信を発表形式とした。班別編成、レジュメや調査計画作りのためのサンプルやシート、メイルを用いて高校教諭、生徒との相談、遠隔講義システムを用いての中間発表などさまざまな工夫を行なった。
3 授業「フィールドワーク1」における多人数教室でのグループワークによる体験型授業の工夫 2009-04-00 ~ 2009~2016年度の各前期。左記授業は受講生が50~70名になる。前後期を通じて模擬的フィールドワーク、社会調査を経験し、その面白さと難しさを知り、自ら調査をおこなうのに必要な姿勢とスキルを体得することを目的としている。テーマの選定、調査計画の立案までが前期の作業だが、班組み、2度の発表、レポートなどの課題と日程を早めに明示し、作業シートを渡し、授業外に相談日を設定するなどして、班および班員個々が主体的に調査に必要な作業過程を経験し、反省しつつ、実践的な能力を身につけ、一定の達成感を得られるよう工夫している。
4 卒業論文指導 2009-04-00 ~ 演習は20数名の履修生だが、学期中に全員2回の発表ができるようにしている。1回の発表は短時間になるが、発表用のシートを用意し、簡潔に要点が伝わる発表のスキルを体験できるようにもしている。授業外に個別面談の機会を設定し、学生の問題関心を的確に言い当てる表現を、ともに探っている。自身の問題関心の対象化と主体的追究のためには、この作業が有効と考えている。やりとりのなかで、社会学的ないし人類学的な問題設定や考察の応用例を紹介しもする。社会科学的な問題と自身の関心がリンクするような方向に考察が進むようにしている。
5 京都高大連携研究協議会高大連携教育プログラム(京都府立東宇治高等学校第1学年文理探求セミナー) 2009-10-09
~2009-11-20
東宇治高校では2年生に対してタイ研修をおこなっている。1年生の文理探求セミナーはその事前学習の一部である。10月9日に「海外を見る視点」「異文化を学ぶ意義」、11月20日に「タイの文化」「調査研究(調べ学習)の重要性と楽しさ」という授業をそれぞれ古谷伸子とともに担当した。視聴覚教材の使用、グループ別の調査課題探求実践などを取り入れ、高校1年生が興味を持って取り組めるよう工夫した。
6 大学院外国人留学研究生の個人指導 2010-04-00
~2014-03-00
2010~2013年度、中国人留学研究生の指導教員となり、毎週1回の個別指導をおこなった。以前に社会学にかんする専門的教育を受けておらず、日本語能力においても充分でなく、また個々で、学習能力、知識、関心のあり方にかなり差があるので、それらを把握しつつ、テキストを選定し、コミュニケーションを密にとることを心がけた。
7 京都高大連携協議会高大連携教育プログラム(京都府立東宇治高校文理探求セミナー) 2010-11-20 東宇治高校タイ研修旅行の1年生事前学習授業(異文化理解:発見と喜び)を9月、11月20日「タイについて調べよう!」と題しておこなった。大谷大学学生で東宇治高校卒業生の清原麻友美の協力を得、グループ別の調査実践発表、グループの課題に即した資料提示などをおこない、1年生が主体的に取り組めるよう工夫した。
8 タイでのフィールドワークに関する大学院生指導 2011-08-10
~2011-09-10
本学大学院生(修士課程)がタイ北部で葬送儀礼に関する現地調査をおこなうに際して、調査対象農村の選定、村長との交渉、チエンマイ大学人文学部日本語学科への調査アシスタントの依頼、移動手段の手配など、現地調査初心者が安全かつ円滑に調査するための工夫をおこなった。
9 京都府立東宇治高等学校1年文理探求セミナー 2011-10-08 海外研修旅行の事前学習「異文化を学ぶ意義、調査研究(調べ学習)の重要性と楽しさ」の授業を、岡部真由美、中村槙也(大谷大学大学院修士課程)とともにおこなった。前回、前々回の経験を踏まえ、視聴覚資料の提示、作業シートを用いたグループワークの組み入れなどに工夫をした。
10 大学院基礎科目「専攻交流演習Ⅰ」の構想・実践 2015-04-01
~2018-03-31
大学院カリキュラム再構築の一環として必修の基礎科目「専攻交流演習Ⅰ」を設置し、担当教員として授業を実践している。専攻学問が異なる修士課程学生だが、人間を対象とする人文社会系学問を専攻する者同士として接点を見出し、知的交流の経験を積むことで、広い視野やと学問的コミュニケーション力を身に付けることが目的。十数名のクラスで自由の議論できるよう、相互の話題提供とグループワークを組み込んで授業を運営。
11 社会事業参加型フィールドワーク授業「社会調査実習Ⅰ・Ⅱ」の企画と実践 2016-10-01 ~ 「フィールドワークⅠ・Ⅱ」の応用編として、学外でのフィールドワーク経験の機会を学生に提供する授業「社会調査実習」を、京都市左京東西いきいき市民センターの「聞き取りによる多世代交流を通じた地域活性化」事業に参加するかたちで企画。地域連携室(コミュ・ラボ)のサポートを得て、同事業への参加とグループワーク型授業を組み合わせて、2017年4月より実施中。
2 作成した教科書、教材、参考書
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
1 大谷大学における初年次教育「学びの発見」~学生・TA/SA・教育職員・事務職員の取り組み~ 2010-12-04 第9回京都FDer塾ポスターセッション(於メルパルク京都)にて上記タイトルのポスター掲示、プレゼンテーション、来場者との質疑応答をおこなった。
2 大谷大学における初年次教育「学びの発見」~学生・TA/SA・教育職員・事務職員の取り組み~ 2013-02-24 第18回FDフォーラム(於立命館大学)におけるポスター発表(鈴木寿志、藤枝真との共同発表)。学生の主体的作業による学習意欲喚起、スキル習得を狙いとする授業を、1年必修科目で多人数が履修するという条件のもと、TA等との連携、グル―プワークの活用などの工夫をしつつ、いかに実践してきたか、課題はどこにあるのか、などをポスター展示に拠りつつ、来場者に説明した。
3 アクティブ・ラーニング授業報告第1回 2012年度「フィールドワーク1・2」成果集 2013-03-20 大谷大学文学部社会学科科目実践研究の1授業「フィールドワーク」について第1部授業概要にて、目的、条件、工夫、教員側スタッフの役割分担、日程などを記し、授業において配付した資料等を添付した。第2部は学生のフィールドワーク・レポート成果集。全17班のレポートを掲載。写真などの載せ、履修記念アルバム的な性格ももたせた。編集委員として参加する学生も現れ、形として成果を出すという目標が主体的に取り組む意欲を高める効果をもつことを再認識した。あとがきや表紙色選定、レイアウトなどにおいて学生編集委員が活躍した。教員側スタップは宋基燦、赤枝香奈子、岡部真由美、高井康弘。全166頁。
4 アクティブラーニング授業報告第2回 2013年度「フィールドワーク1・2」成果集 2014-03-30 同上。ただし、今回は学生フィールドワークレポート成果集のみの構成。教員側スタッフは宋基燦、赤枝香奈子、本林靖久、高井康弘。全200頁。
5 アクティブ・ラーニング授業報告第3回2014年度「フィールドワーク1・2」成果集 2015-03-20 2014年度社会学科学科科目実践研究「フィールドワーク1(前期)」「フィールドワーク2(後期)」は、履修学生が1年を通したグループワークのなかで、自らテーマを立て、調査計画を起案し、データ収集、分析、考察、発表、報告書編集の一連の作業をおこなう授業。全11班の成果報告を記載。担当教員:高井康弘、赤枝香奈子、赤澤清孝、宋基燦、中井信介、小辻寿規。全149頁。
6 アクティブ・ラーニング授業報告第4回2015年度「フィールドワーク1・2」成果集 2016-03-31 2015年度授業「フィールドワーク1」「フィールドワーク2」を履修した学生11グループの成果報告集。担当教員:高井康弘・赤澤清孝・渡邊拓也・宋基燦・中井信介。全129頁。
7 アクティブ・ラーニング授業報告第5回2016年度「フィールドワーク」成果集 2017-03-31 2016年度「フィールドワークⅠ,Ⅱ」の履修学生全13グループの調査企画の成果報告集。担当教員:高井康弘・渡邊拓也・翁和美・志賀信夫。159頁。
8 アクティブ・ラーニング授業報告第6回2017年度「フィールドワーク」成果集 2018-03-31 2017年度「フィールドワークⅠ,Ⅱ」の履修学生全12グループの調査企画の成果報告集。担当教員:高井康弘・渡邊拓也・翁和美・志賀信夫。
9 2017年度社会調査実習報告書 昭和初期世代の戦争・暮らし・家 2018-03-31 2017年度文学部社会学科学科科目実践研究「社会調査実習Ⅰ・Ⅱ」でおこなった社会学的調査の成果報告集。担当教員は高井康弘、野村明宏、渡邊拓也、徳田剛、翁和美。全45頁。
10 アクティブラーニング授業報告第7回2018年度 「フィールドワーク」成果集 2019-03-31 ~ 2018年度文学部社会学科学科科目実践研究「フィールドワークⅠ,Ⅱ」の履修学生13班の企画調査の成果報告集。担当教員は高井康弘、渡邊拓也、古谷伸子、阿部友香。全125頁。
11 2018年度社会調査実習報告書 盆踊りと人のつながり 2019-03-31 2018年度文学部社会学科学科科目実践研究「社会調査実習Ⅰ・Ⅱ」でおこなった社会調査の成果報告書。担当教員は知高井康弘、野村明宏、渡邊拓也、徳田剛、古谷伸子、阿部友香。全32頁。
4 その他教育活動上特記すべき事項
B 職務実績
1 大谷大学参事の職務を遂行 2002-04-01
~2004-03-31
2 入学センター長および大学執行部メンバーとして職務遂行 2004-04-01
~2006-03-31
3 社会学科学科主任の職務を遂行 2011-04-01
~2012-03-31
4 大谷大学大学院文学研究科長(2012~14年度)期間におけるグランドデザイン(大学院版)実現に向けての諸整備 2012-04-01
~2015-03-31
大谷大学のグランドデザインを実現すべく、学監副学長の下、2013年度に院グランドデザイン推進会議を立ち上げ、2年をかけて、委員の方々とともに2015年度入学者向けの院の教育構想を練り、カリキュラム改革案を作成し、大学院委員会での承認を得た。大学院の教育のありようを可視化すべく、各種方針を整備した。入学センター、大学院運営委員会の方々とともに、上記方針に沿う形で大学院入学制度を整備した。
5 社会学科主任業務の遂行 2015-04-01
~2016-03-31
社会学科主任としての諸校務を遂行した。
6 新設社会学部現代社会学科の構想、設置認可、立ち上げの準備 2015-05-01
~2017-03-31
新学部設置準備室のメンバーとともに、新設社会学部現代社会学科のカリキュラム等の構想作り、文部科学省向け届け出書類の作成、立ち上げに向けての諸準備を担当した。
7 大谷大学地域連携室長業務の遂行 2017-04-01
~2018-03-31
大谷大学地域連携室長として地域連携室の運営、関連イベントの企画・実施・情報発信に従事した。
8 文学部社会学科主任、社会学部現代社会学科主任業務の遂行 2018-04-00 ~ 社会学科と現代社会学科の学科主任を兼任し、学科運営が円滑におこなわれるよう努めた。
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 1980-00-00~0000-00-00 関西社会学会 会員
2 1980-04-00~0000-00-00 日本社会学会 会員
3 1983-00-00~0000-00-00 日本文化人類学会 会員
4 1988-00-00~0000-00-00 東南アジア学会 会員
5 1989-00-00~0000-00-00 比較家族史学会会員
6 1990-00-00~0000-00-00 アジア政経学会 会員
7 1991-00-00~0000-00-00 日本タイ学会 会員
8 2003-00-00~0000-00-00 生き物文化誌学会 会員
9 2004-00-00~0000-00-00 パーリ学仏教学会 会員
10 2005-10-02~0000-00-00 京都府国際センター「東南アジア理解講座、タイ文化理解講座」
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 タイ:工業化と地域社会の変動共著 1995-04-15法律文化社 昭和61~63年度科研(海外学術研究)「タイ国における都市・農村間関係の新展開」と平成3~4年度科研(国際学術研究)「東南アジアの都市における移住者の労働と生活」の成果出版。第1部東部タイを担当。第4章「チョンブリ-市居住地区の労働と生活」では、当地の農村地区が賃金労働者の流入により急速に膨張変化する過程と新旧住民の関係を検討。第5章「チョンブリ-県の一農村社会の変容」は、パーントーン郡工業地域近郊農村調査(1991~92年)の成果。80年代中頃以降の急激な稲作離れの進行を諸統計資料で浮き彫りにし、かつて雨季稲作一期作の寒村であった調査村住民の職業が急速に多様化し、かつ多種兼業化しつつあることを、悉皆調査資料の集計分析でもって示し、養魚・養鶏・農外就労など職種別にその実態を検討した。また、就業構造の変化が、住民と外部との繋がりを緊密にし、農村内の各集落間の力関係を変え、政治的リーダーシップの在り方も変えつつあることを、開発事業を請け負い、農村での雇用を創出することで勢力を築く区長などを例に強調した。90年代前半の工業地帯近郊農村の就業構造の変化を多角的に明らかにした。第4章10頁(P157~P166)。第5章88頁(P211~P298)中、執筆46頁(P213~P258)。共著者は、北原淳、赤木攻、松薗祐子、高井康弘、竹内隆夫、関泰子、田坂敏雄、橋本卓、清水由文。
2 続タイ農村の構造と変動-15年の軌跡-共著 2000-02-25勁草書房 平成7~9年度科研[国際学術研究]「東南アジアにおける経済発展と農村の変容-10年の経験-」の成果出版。1980年にタイ中部、東北部の2事例村を調査した同一チームでの15年振りの再調査結果。高井は東北農村を担当。第2章では換金作物栽培が進まず、依然雨季稲作主体の農業で、飯米は確保するも、現金収入は農外就労で確保していること、第4章では15年間の現金支出の急増、所得格差の拡大、所得と食費の相関、家財収納の場としての閉じた家屋への変化と依然開放的な居住様式との矛盾などを記述。第6章では、農村仏教寺院の施設拡充と出稼ぎ者布施献上団との関係を記述。功徳行の金銭布施への特化。故郷と出稼ぎ者を結びつける農村仏教の役割に着目。他方、村の伝統的権威と政治的リーダーシップをめぐる動態について、霊をめぐる儀礼慣行、呪医モータムの活動、新旧区長の比較などから接近。第2章22頁(P29~P50)中、執筆19頁(P29~P30、P34~P50)、第4章19頁(P84~P102)中、執筆11頁(P88~P95、P99~P100)。第6章執筆全46頁(P133~P178)。共著者は、赤木攻、高井康弘、竹内隆夫、田野優子、北原淳、松薗祐子、藤井勝、谷口裕久。
3 東アジア「地方的世界」の社会学共編 2013-06-30晃洋書房 藤井勝、小林和美との共編。第Ⅲ部「はじめに」(PP.204~205)、第Ⅲ部第2章「盆地世界に現れた地方都市-ラオス北部サイの変貌-」(pp.219~240)後掲学術論文26番の修加筆再録版、第Ⅳ部「はじめに」(pp。346~347)、「あとがき」(P。413)、を執筆。全418頁。
以上3点
Ⅱ学術論文
1 生活様式と家族の変化単著 1982-03-00長谷川善計代表『産業化と地域社会の変化-赤穂市の30年-』科研成果報告書、赤穂市総務部 中規模都市赤穂が、地域構成において一様ではなく、旧商業地区・農漁村地区など多様な諸地区を内包しており、産業化に伴う住民構成・家族・近隣関係・消費生活などの変化の時期や内容は、地区毎に異なることを実証的に明らかにした。昭和55年、56年度に「産業化の進展にともなう地域社会構造の変化一兵庫県播磨工業地帯の実証研究一」という研究課題で、文部省総合科学研究費を得て行なった調査票調査に基づく。左記成果報告書の第4章。41頁(P153~P193)。
2 タイ村落社会と信仰形態-ピィー・パーン儀礼と仏教-単著 1984-03-00『社会学雑誌』第1号神戸大学社会学研究会 タイ平地農村の脈絡では、外来的要素たる上座部仏教が自然霊・悪霊への対抗力として再解釈されていることを述べたうえで、自然霊・悪霊への対抗力として祀られている守護霊と仏教的要素とが、村びとの儀礼生活のなかで、それぞれどのような位置を占め、どのような補完、対立等の関係をとるのかを、内外の先行研究文献に基づき、検討した。24頁(P56~P79)
3 北タイの祖霊と女性血族単著 1985-03-00『社会学雑誌』第2号神戸大学社会学研究会 ルースな構造の社会という従来のタイ社会観の反証として知られる北タイの祖霊儀礼に関する諸文献を整理・検討し、祖霊儀礼の社会的機能を浮き彫りにせんとしている。まず祖霊が女性血族という範疇のシンポルであることを確認する。つぎに当地の農民家族が、女性を構造的中核として編成されることを述べる。そして、この家族編成を促す秩序規範の象徴的表現としての祖霊儀礼の機能的側面を強調している。23頁(P87~Pl09)
4 北タイ農村における親子共同の形態と性格-チェンマイ県ハーンドン郡ノーントーン行政村第7区の事例から-単著 1988-03-00『社会学雑誌』第5号神戸大学社会学研究会 文部省アジア諸国等派遣留学生奨学金によるチェンマイ大学留学期(1985~87年)の長期調査の最初の成果。水野浩一の東北タイ農村研究から生み出された屋敷地共住集団論とそれを批判的に継承する諸研究を、親子共同と近親互助を峻別する立場から整理。このテーマでの検討例が当時少なかった北タイ・チェンマイ盆地中央部農村に事例を求め、同一世帯内および世帯間にみられる農業経営委託・宅地共住・無償の支援や老親扶養等の形をとる共同関係と他の貸借・互助関係の性格の違いを明らかにしたうえで、前者の大半が親子結合を基軸としていることを検証。家族周期段階毎の親子共同の緊密化や希薄化を、親子間の土地所有権の漸次的委譲に対応するものとして分析した。36頁(P153~P188)
5 総説共著 1989-07-15北原淳編『東南アジアの社会学-家族・農村・都市-』世界思想社 左記書の第1章。第1節は「東南アジア」という地域区分成立の経緯の記述に始まり、東南アジア社会の連続面と非連続面、東南アジア研究の代表的な2つのパラダイムについて概述。第2節は東南アジアの家族・親族に関する諸議論を紹介。第3節は東南アジアの農村社会とその変化、第4節は東南アジアの都市化と都市社会について、内外の研究成果を紹介しつつ、論述。編者北原淳との共著。29頁(P2~P30)。
6 北タイの守護霊観念と農民家族-ピー・プーヤー儀礼の事例研究-単著 1991-03-00『アジア研究』第37巻第2号アジア政経学会 アジア諸国等派遣留学生奨学金を得て行ったチエンマイ盆地農村調査(1985~87年)の中心的成果。先行諸研究が北タイ農村社会の秩序規範と関わる母系出自集団シンボルの祖霊として注目した北タイ固有の守護霊ピー・プーヤー儀礼を、村びとの観念に沿って再検討。当地の民俗観念上の祖霊概念の構造を解明する試み。彼らの観念における守護霊と他の諸精霊との連続性に注目。たんに人的集団のシンボルとしてみる先行研究を補完すべく、祖先による外的環境の開拓・馴化に関わるシンボルであることを強調。従来混同されてきた一般村びとの守護霊帰属と祠守りの役割の継承を区別。後者に女性血族内継承の規則をみる一方で、前者の背後には明白な母系規則を見いだせないとみる。役割や帰属の母方傾斜に女性の優越性をみる見方に対して、むしろそこに祖先以来の慣行(伝統的価値)に拘束される存在としての女性をみる。社会変化のなかでの守護霊儀礼の衰退と再活性化の双方の動きを検討。その社会的機能を固定的に捉える見方を避け、社会的脈絡に応じてさまざまに利用されうる重宝な多義的シンボルとしてのピー・プーヤーの本来的性格を強調。37頁(P33~P69)
7 北タイ農村の守護霊観念の変化-巫役(マー・キー)の事例から単著 1992-03-00『哲學論集』第38号大谷大学哲学会 前稿で記述できなかった巫役の検討。守護霊帰属者は守護霊を祀り禁忌を遵守し加護される関係に縛られ、潜在的には誰もが守護霊に憑依されえる。ただし、帰属者のなかには頻繁に憑依され、巫役(守護霊が憑依・託宣する際の依代となる役)として選ばれたと主張し、霊媒機能を担う者がしばしば現れる。左稿では、こうした巫役の属性・憑依する守護霊の種類・入巫過程・遵守する禁忌・巫役間の師弟関係などのネットワーク・治療等の活動などについて記述。守護霊の加護範囲である親族・地縁集団内で活動し、その内部規範の維持更新に機能する側面と、その範囲を超えて、個的に師や弟子やクライアントを拡大し、活動する側面があることを強調。後者への比重傾斜を社会変化との関係で考察した。この考察の枠組みに手直しの余地があるが、当時、こうした事象に関するタイ農村部の事例報告は少なく、意味はあったと思われる。23頁(P23~P45)
8 Notes on Socio-Economical Changes in a Rural Vi11age,Chonburi Province単著 1993-03-00竹内隆夫代表“Labor and Life of Migrants in Southeast Asian Communities”,Ritsumeikan University 科研成果報告書 平成3年のチョンブリ県農村での調査票調査と翌年の補足調査の見聞をもとに調査区の形成過程・1960年代後半からの開発・最近の稲作から養魚・養鶏への転換状況を概述し、これらの過程のなかで異なる対応を取ってきた区内の3集落を比較し、集落内の社会関係や集落間関係の変化に言及した。平成3・4年度科学研究費補助金(国際学術研究)による研究(課題番号03041053:東南アジアの都市における移住者の労働と生活)の成果報告書のうちの10頁(P60~P69)。
9 病と死をめぐる儀礼-北タイ平地農村の場合-単著 1993-12-00『大谷學報』第73巻第1号大谷学会 1985年以降の北タイ・チェンマイ盆地農村調査の見聞に基づく。①病に際しては、身体そのもののトラブルの可能性に関わって、伝統的・近代的医療措置が講じられるのと並行して、身体内のクワン(霊質)と外部のピー(精霊)の均衡に関わる様々な儀礼が講じられること、死を境に、関心の中心はクワンの繋ぎ留めから、故人のウィンヤーン(霊魂)の異界への旅の促進に移り、それに関わる様々な仏教儀礼・精霊儀礼が行われることを記述。この領域の調査研究は少なくないが、いくつか他に記述の無い事例を報告した。②ムルダーや田辺繁治の論稿に着想を得て、こうした儀礼は農村社会の内的秩序の虚構性・限界性を隠蔽するだけでなく、儀礼的知識をめぐるこの内的秩序を現出、確認させる機会になってきたと、儀礼の伝統的機能についての考え方を整理した。16頁(P19~P34)
10 北タイ農村の精霊儀礼-ピー・メン踊り考-単著 1994-04-01大野道邦・北原淳編著『社会学-理論・比較・文化-』晃洋書房 タイ北部農村に根強い小農民的秩序観の特徴を内外の区別と二面的態度に求め、とくに長幼・ジェンダーに関わる対内的道徳秩序と共同アイデンティティと外部諸力との関係の表現の場として、精霊儀礼を分析した。その際、当時、他にあまり調査報告の無かった守護霊ピー・メンへの儀礼を検討事例とした。まず、村びとの帰属状況を記述。つぎに、先住民の守護霊の取り込み・自然霊の馴化・精霊の仏教への帰依・精霊の女性への憑依・祖先の慣行の遵守・個人のトラブルの共同の場での処理など様々なテーマを表現する祭祀「ピー・メン踊り」の詳細な描写を行ない、上記の視点から考察した。左記論文集の第12章。全18頁(P243~P260)。
11 北タイ農民の灌漑組織  -1980年代中頃の事例-単著 1996-10-00『社会学雑誌』第14号神戸大学社会学研究会 1985年以降の実地調査の見聞に基づく。1980年代中頃のチエンマイ盆地中央部の農民灌漑組織の実態と問題の検討。一方で、1980年代中頃の時点でも、政府の広域濯漑計画と関連をもちつつ、農民灌漑組織が重要な機能を担っていたことを指摘。他方で、市場経済への巻き込みが進むなか、農民間の協働が困難になり、賃金労働者による作業の代行によって、経費が肥大するなか地域住民の水利環境への関心の低下もあり、資金調達が困難になりつつあることを指摘。また89年のコンクリート堰化の数年後からの洪水被害の増加の一因を、手入れを怠った水路体系の機能不全にみる。80年代末までに北タイの伝統的竹杭柵堰はほぼ姿を消し、コンクリート堰に代わるが、その前後の伝統堰をめぐる社会関係を詳細に記述した報告は少ないので、状況を記述した。14頁(P169~P182)
12 北部タイ,チエンコーンにおけるプラー・ブック(Pangasianodon gigas)の民族魚類学的考察共著 1997-01-00『国立民族学博物館研究報告』21巻2号国立民族学博物館 タイ国政府の協力を得て、メコン河のみに棲息する大ナマズの生態・漁撈技法・漁にまつわる社会慣行・組織・神話・儀礼に関する合同調査を、1996年に沿岸集落にて行なったが、左記はその成果報告。大ナマズという対象を生物学、人類学など複数の分野から多角的に検討した試み。赤木攻・秋道智彌・秋篠宮文仁との共著。高井は「プラー・ブックに関する儀礼」の部分を分担。漁季の初めになされる河・舟着き場・舟等の霊への供応儀礼の現状、および変化の過程を、主に観察・聞き取りで得た資料により記述した。大ナマズに関する儀礼の人類学的記述は希少。とくに当地方の観光振興との関連で、行政が大ナマズに注目し、儀礼に関してもイベント化への指導を行なっていること、村びと側は従来の儀礼を密やかに行ないつつ、翌日に見世物としての公開儀礼を派手に演じるようになったことを、現代の村びとの儀礼慣行にまつわる選択の興味深い事例として強調した。52頁(P293~P344)のうち11頁(P313~P323)
13 農業経営の問題と農外就労の様相-1980年代中頃の北タイ農業村単著 1998-03-15『大谷大學研究年報』第50集(大谷学会) 1980年代中頃のチエンマイ盆地中央部の1農村の経済生活の特徴と問題を、調査票調査等の現地調査資料に基づき浮き彫りにした。当時は水害に悩む低湿地寒村であった事例村が、政府潅漑と農民潅漑の複合的機能により、農業村に変身して間も無い頃であった。都市的生活様式が急速に浸透し、現金需要が高まりつつあった。タイ経済急成長直前の低迷期でもあり、通勤・出稼ぎの農外就労先に恵まれていなかった。在村農外就労と市場農業化を現金獲得の手段として多くの農民が志向していた。「緑の革命」がある程度奏功し、高収量の農業生産が実現したが、経費高騰と農産物価格の低迷・不安定のため農業への不満が募りつつあった。80年代の当盆地の農業調査の報告は少なくないが、当地の農業の変遷過程は地形や歴史を反映して多様であり、本報告はその1タイプを明らかにした。51頁(P1~P51)
14 家族農業の放棄と農村的慣行の行方-タイの事例から-単著 2001-03-00『社会学雑誌』(神戸大学社会学研究会)第18号神戸大学学会誌 チエンマイの1農村を事例にした、1980年代中頃から90年代後半の資本主義的市場経済受容をめぐる農村住民の対応と戦略をめぐる考察。まず、この時期の当村住民の経済生活戦略の変化を、市場経済を受容しつつ、家族農業を基本とする小農民的経済生活スタイルを維持しようとする折衷的模索とその放棄へのプロセスと捉えた。つぎに、この転換に葛藤や躊躇がみられない点を指摘。この転換が彼らにおける小農民的対応の延長線上の帰結であること、小農民的経済生活の放棄が、それと親和的であった彼らの世界観や社会慣行の放棄と、即つながるわけではないこととの関連で考察した。そして、経済的に脱小農民化した農村住民が、依然、農村的社会慣行を維持している点に注目し、経済行為と内道徳と功徳積みに代表される農村的仏教が密接に連関するありようの根強さとその変容の契機について検討した。13頁
15 肉食・とさつ・定期市-タイ・ラオスにおける牛・水牛と人との関わりの変容-単著 2002-03-00赤木攻代表『メコン河集水域における自然と文化の相互作用にかんする生態史的総合研究』、平成11年度~13年度文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(A)(2))研究成果報告書、大阪外国語大学 2000年、2001年のタイ、ラオス調査に基づく。牛・水牛肉食の日常化、牛・水牛肉食嗜好に注目し、その社会的意味を考察しつつ、当地の人々の牛・水牛擬人視と殺傷忌避の態度に注目し、不殺生戒等との関係を検討し、屠殺業が非仏教徒少数派エスニシティによって担われる傾向を指摘した。さらに、定期市での見聞から牛・水牛(肉)の流通が広域化し、一般の人々にとって、牛・水牛がもはや身近な生命ではなく、遠方から来る食材になりつつあることを指摘した。当地の人々において、牛・水牛をめぐる殺傷忌避と肉食嗜好という一見矛盾する態度が心的葛藤を伴わず両立している理由として、不殺生戒の性格、エスニシティ分業、流通の広域化といった要因を強調した。23頁(P5~P27)。
16 牛・水牛と儀礼慣行-タイ北部・東北部およびラオスの肉食文化に関するノート-単著 2002-03-00『大谷大学真宗総合研究所研究紀要』第19号大谷大学真宗総合研究所 大谷大学2000年度一般研究(個人研究)の成果報告。2000年、2001年のタイ北部、東北部、ラオス調査で得た資料に主に基づく。当地の一般農家にとって、牛・水牛は役畜・動産として貴重な財であるが、擬人視の対象にもなり、この点、他の家畜と異なることを、牛・水牛の呼称、魂をめぐる観念や儀礼、殺傷忌避の態度等の検討から強調した。他方、生肉料理ラープに代表される牛・水牛肉食の現状を、宴の脈絡との関係に注目し具体的諸事例を交えて記述し、牛・水牛肉嗜好の社会的意味を考察した。さらに、当地の人々にみられる牛・水牛殺傷忌避の態度と牛・水牛肉食嗜好との関係を、農村仏教における禁欲と欲開放の時間的使い分けや不殺生戒の性格、および屠殺業をめぐるエスニシティ分業の傾向などに注目しつつ検討した。25頁(P77~P101)
17 精霊の世界と社会変化-「迷信」では説明できない根強さ-単著 2003-05-30綾部恒雄、林行夫編著『タイを知るための60章』明石書店 タイの人々はさまざまな精霊を祀るが、その背景には、アニミズム、つまり森羅万象に人知を超えた様々な意志が働いている可能性を認める世界観があり、それは人間中心的な見方を相対化する、自己や世界の見方であることを強調した。また、精霊との交渉・取引としての精霊儀礼の側面、憑依とジェンダー観との関係、仏教と精霊儀礼との関係にふれ、社会変化のなかでの精霊儀礼のありようを、変化する側面と根強く継続する側面の両方に目配りして、概説した。左記書総頁数343頁のうちの第31章。全4頁(P177~P180)。
18 ルアンパバーンの牛・水牛流通と黒タイ来住民-ラオス北部の社会経済変化の一側面-単著 2005-01-30北原淳編著『東アジアの家族・地域・エスニシティ:基層と動態』東信堂 ラオスの古都ルアンパバーン西南端にフランス植民地期1920年代建築の屠場がある。1950年代第1次インドシナ戦争末期に同屠場付近に移住させられた黒タイの人々が、1975年の社会主義体制への移行、その後の市場化のなかで、同地の牛・水牛(肉)流通を担っていく過程、および変容する居住集落における黒タイ卸業者の位置、彼らと地方仲買業者の関係を記述した。エスニシティと分業関係の事例研究。左記書の第3部第2章。全頁数17頁(288-304頁)。
19 国境の街・生鮮市場・ベトナム系タイ人-ノーンカーイでの出会いから-単著 2007-03-28佐々木衛編著『越境する移動とコミュニティの再構築』東方書店 第2次世界大戦直後タイに流入したベトナム難民も、その後60年が経ち、第2、第3世代の時代になりつつある。ノーンカーイを事例に、特に第2世代が戦後たどった状況、現在の職業、国籍取得、通婚関係等を記述。弾圧期の一枚岩のベトナム人社会が多様化し、現地の中国系の住民との関係も変化しつつあることを記述した。佐々木衛代表「国境を越える移動・エスニシティ・地域社会の再構築に関する比較社会学的研究」(平成15年度~18年度科研(基盤研究(A)(1))の研究成果出版である左記書の第11章。全15頁(P173~P187)。
20 消えゆく水牛単著 2008-03-00横山智、落合雪野編著『ラオス農山村地域研究』めこん ラオス北部を事例に、水牛が役畜・贄・動産・宴のご馳走として多面的に利用されてきたこと、用焼畑耕作後の休閑地である若い林野が水牛の放し飼い適地であることに注目。放し飼いのあり方を多面的に記述。焼畑の禁止や換金作物栽培の拡充など近年の土地利用の変化により放し飼い適地が縮小する中、農作物食害をめぐる係争が頻発し、放し飼い禁止に至り、それが水牛の大量売却につながる流れ、および水牛(肉)流通と消費を移民が担っていることに着目し、記述。これらを人びとの生き方の変化と捉え、その意味を考察した。総合地球環境学研究所:秋道智彌代表「熱帯モンスーン・アジア地域における地域生態史の統合的研究」の成果出版である左記書の第2章(36頁)。
21 家畜利用の生態史共著 2008-03-00河野泰之編著『モンスーン・アジアの生態史 第1巻:生業の生態史』弘文堂 東南アジア大陸部メコン中流域で特に人と関わりの深い水牛、豚、鶏を取り上げ、飼育、利用、近年の変化について分析。飼育については「放し飼い」「農業との相互連関」をキーワードに論じ、利用についてはその多面性に注目。変化については、放牧の困難化による水牛の減少、アグリビジネスによるハイブリッド種の豚、鶏のファーム飼育の普及と根強く続く「在来」種飼育の並存。その状況と人畜共通感染症の拡大の関係に注目。従来の飼育とその変化の長短を生態的観点から考察した。高井康弘、増野高司、中井信介、秋道智彌の共著。高井は「はじめに」「水牛」「おわりに」を担当した。総合地球環境学研究所:秋道智彌代表「アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究」の成果出版である左記書の第9章(全18頁)。
22 水牛の民族誌単著 2009-02-26秋篠宮文仁、林良博編著『ヒトと動物の関係学 第2巻 家畜の文化』岩波書店 左記書第2章家畜文化の諸相の1事例として、ラオス北部における水牛と農耕との関わり、供儀家畜・ご馳走・財としての水牛利用、市場経済浸透下での人と水牛の関わりの変容について、現地調査の見聞に基づき、記述した。左記書総頁数280頁のうち、12頁(P105~P116)。
23 水牛の利用と互酬性-ラオス北部タイ系農村の事例を中心に-単著 2009-09-30新谷忠彦、クリスチャン・ダニエルス、園江満編『タイ文化圏の中のラオス:物質文化・言語・民族』東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 ラオス北部での調査見聞に基づき、水牛飼養・水田稲作・焼畑耕作の相互連関を強調した後、水牛利用の諸側面、とくに精霊への贄や宴のご馳走としての水牛肉利用について記述し、水牛・牛肉食をめぐる嗜好と禁忌にふれ、利用に伴う水牛への魂振り儀礼や追善供養を、農民間の互酬規範を援用した負い目感情と均衡回復の定型表現として記述検討した。左記書(総頁数401頁)の第8章(26頁:P357~P382)。
24 The Diversity and Dynamics of Chichken Categories and Distribution Routes in Chiang Rai, Northern Thailand単著 2010-03-00Maha Chakri Sirindhorn、Akishinonomiya Fumihito eds. Chickens and Humans in Thailand: Their Multiple Relationships and Domestication, The Siam Society,Bangkok
タイ北部の県庁所在地チエンラーイの生鮮市場で食肉として売られる鶏の範疇と流通ルート、チエンライの市場から地方市場への鶏肉流通ルートを現地調査にて確かめたうえで、同県北西端フアメーカム地域の農村で飼養・消費され、流通している鶏の範疇と対比し、一方で、改良ハイブリッド品種の普及が進みつつも、他方で、根強く「在来系」鶏の飼養・消費・流通が存在することを、現地調査資料に基づき、示した。日本・タイ共同研究Human-Chichen Multi-Relationships Research(HCMR)Projectの最終成果報告書として出版された左記書(総頁数450頁)の第3部第4章。14頁(P313~P326)。
25 Conflict between Water Buffalo and Market-Oriented Agriculture: A Case Study from Northern Laos共著 2010-03-00『東南アジア研究』第47巻4号 ラオス北部ウドムサイ県での現地調査に基づき、当地農山村における市場経済浸透と水牛飼養や利用との関係、最近の頭数の急減の背景を検討した。とくに焼畑休閑地での放し飼いにおける飼養者と農民の潜在的葛藤と折り合いの工夫、換金作物作への土地利用の変換と食害係争の頻発化、ゴム栽培の普及と放し飼いの禁止/特定放牧地の指定といった行政の対応、生活様式の変化と食肉流通の活発化に焦点を当てて記述した。現地調査カウンターパートThanongsone Sibounheuang との共著。27頁(P451~P477)。本人全頁担当。
26 盆地世界に現れた地方都市-ラオス北部サイの変貌-単著 2011-03-00藤井勝代表「東アジアにおける「地方的世界」の基層・動態・持続可能な発展に関する研究」平成19~22年度、科研(基盤研究A)海外学術調査、最終成果報告書、神戸大学 タイ系の人々は山間盆地に村々の政治的・儀礼的連合体としてのムアン(くに)を形成してきた。一定の歴史文化をもつ、その空間的まとまりを強調する表現が「盆地世界」である。1960年代~70年代前半頃のラオス北部サイにおけるムアンの守護霊への供犠儀礼に焦点を当てて、当時の「盆地世界」としてのサイのありようを探ったうえで、1975年の社会主義政権誕生以降、県庁所在地となったサイの急変を、社会移動による人口増、住民のエスニシティ別構成の変化に注目して記述した。左記報告書(総頁数506頁)に所収。21頁(P203~P223)。
27 東北タイでベトナム系タイ人になること―困難への向き合い方を模索する場の構築―単著 2012-03-23大谷大学哲学会『哲學論集』第58号 東北タイの地方都市ノーンカーイにおいて第2次大戦後移住したベトナム人の第2世代が、1990年代以降のいわばポスト戦後期に、タイ国籍を取得して以降、自らのアイデンティティをめぐって、どのような困難を抱えているか、同じく困難を抱える住民同士の模索が、さまざま組織化の動きのなかで、どのように続いているかを、2005年から2009年の現地調査に基づき、記述。20頁(P4~P23)。
28 ヤダケガヤ→箒 国境を越えて村から村へ単著 2014-05-16落合雪野・白川千尋編『ものとくらしの植物誌:東南アジア大陸部から』臨川書店、所収 左記書(全334頁)の第2部を構成する9論稿の1つ(20頁:P187-P206)。国立民族学博物館共同研究「プラント・マテリアルをめぐる価値づけと関係性」(2009年10月~2013年3月)の成果出版。焼畑休閑地のイネ科多年草ヤダケガヤが寒季に出す穂は、室内箒素材として利用されている。ラオスとタイにまたがる箒素材の流通と箒生産の現状、東南アジア大陸部の政治経済変化と連動するその変容の見取り図と特徴について、主に現地調査で得た知見に基づき記述した。農村と農村をつなぐ仲買業者の役割、村人同士である工場経営者と下請け人の関係にとくに注目した。
29 変わりゆくタイ中部農村の神霊と霊媒-ナコンパトム県L村再々調査の報告と考察-単著 2018-03-31橋本(関)泰子代表『東アジアにおける宗教的シンクレティズムの社会学的研究-日本・中国・東南アジアー』平成27~29年度科学研究費(基盤研究(B))研究成果報告書、四国学院大学、 所収 左記科研成果報告書(全125頁)を構成する8本の論考の一つ。北原淳等の調査団が1980年代初頭と1990年代中頃に集約的調査をおこなったタイ中部ナコンパトム県の農村について、その後の他の研究者の報告や自身が2016年~2017年におこなった再々調査の見聞を総合し、同村の地域社会の変化と神霊をめぐる儀礼の変化との関連について、分析検討した。55~70頁。
30 ラオス北部地方都市における食肉流通の展開と移住者単著 2019-03-15大谷大学大谷学会『大谷學報』第98巻第2号 1990年代以降、多様なエスニシティの移住者が暮らす地方都市に急変貌したサイ(ウドムサイ)を拠点にした食肉流通の変転を、2003年から2018年の15年間の現地調査データに依拠しながら、分析検討し、①水牛肉は供給地が遠隔化したが、供給消費は微増していること、②タイ系改良品種豚肉が大量流入し、求め易い食材になったこと、市場経済化の中、行政管理の模索は行われているが、その効果は限定的になっていること、食肉流通にはさまざまなエスニシティの人々がかかわりつつも、その下位単位では、エスニシティないし親族の紐帯が機能していることなどを明らかにした。1~23頁。
以上30点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 中小都市における産業化と地域社会の変化-赤穂市の場合-(4)地域特性と生活様式・家族構成の変化口頭発表要旨 1981-10-00第54回日本社会学会 昭和55年、56年に文部省総合科学研究費を得て、赤穂市で行った家族・生活様式に関する調査票調査に基づく。調査概要説明の後、ここ30年問の消費生活の変化傾向を端的に示す資料として、市内地区毎の耐久消費財の普及度の推移と住宅状況の変化に関する調査結果を紹介。近隣関係・家族関係についても同様の紹介を行った。市内諸地区の性格によって、家族・生活様式の変化傾向も多様であると述べ、その相関を分析した。
2 北タイ農家における子の分出過程の諸相とその背景口頭発表要旨 1987-10-00第60回日本社会学会 文部省アジア諸国等派遣留学生奨学金を得てチェンマイ大学に留学した昭和60年から62年にかけて、チェンマイ県の一平地農村で行った調査資料に基づく。当地農家での親子間の生産・消費生活両面における相互関係の諸形態を、事例を踏まえつつ紹介し、家族周期によって、親子間の財所有における共同的性格が変化することへの着目が、上記の諸形態の分析において重要であることを述べた。
3 北タイ農村における村落・権威・信仰の構造 -守護霊信奉の検討を中心に-口頭発表 1988-06-00むら研究会第28回研究会 文部省アジア諸国等派遣留学生奨学金を得て留学した期間に行った北タイ農村調査の資料をもとに、上座部仏教を受容した平地社会での守護霊信奉について検討。まず、守護霊の性格そのものを明確化する作業、つぎに、仏教も含めた儀礼的世界の全体的脈絡のなかに守護霊を位置づける作業、第3に、村人が社会的行為を行う際に準拠している法的規範秩序を解明する作業、第4にこの規範秩序と儀礼的世界の関連を分析する作業を行った。
4 タイ東部都市における移住者コミュニティーの形成(3)コミユニティーの形成と移住の特徴口頭発表要旨 1988-10-00第61回日本社会学会 文部省科学研究費の助成を受けて、昭和61、62年に実施された「タイ国における都市・農村関係の新展開」の研究成果の一部である。タイ東部の都市チョンブリー近くの雑業層居住地区での調査票調査の概要を紹介し、当地区形成の過程、新旧住民の違い、住民間の相互関係、当地区への移住の性格および移住を規定する諸要因について分析した。
5 北タイ農村における村落・権威・信仰の構造-守護霊信奉の検討を中心に-口頭発表要旨 1989-02-00『むら研究会会報4』 むら研究会 文部省アジア諸国等派遣留学生奨学金を得て留学した期間に行った北タイ農村調査の資料をもとに、上座部仏教を受容した平地社会での守護霊信奉について検討。まず、守護霊の性格そのものを明確化する作業、つぎに、仏教も含めた儀礼的世界の全体的脈絡のなかに守護霊を位置づける作業、第3に、村人が社会的行為を行う際に準拠している法的規範秩序を解明する作業、第4にこの規範秩序と儀礼的世界の関連を分析する作業を行った。
6 北タイ農村社会と守護霊儀礼口頭発表要旨 1989-06-00東南アジア史学会第41回大会 北タイの守護霊観念が人間対自然関係についての観念と人間対人間関係についての観念の双方にかかわることに着目する。守護霊の社会的機能は、人間一人間関係秩序を、人間一自然関係との関連で有意味化する形をとると考え、北タイ農村調査の資料に基づいて、そのありようを報告した。北タイ調査は文部省アジア諸国等派遣留学生としての留学中の昭和60年~62年の期間中に行ったものである。
7 北タイ農民の守護霊観念と秩序規範口頭発表要旨 1990-06-00アジア政経学会関西部会第30回大会 昭和60年から62年に文部省アジア諸国等派遣留学生奨学金を得、チェンマイ大学に留学したが、その期間中に行った北タイ平地農村調査の資料に基づく報告である。報告では、当地の守護霊儀礼のひとつ、ピー・プーヤー儀礼の諸事例の紹介と分析を行った。「障り」「供応」といった当地の民俗観念を手掛かりに、当地の守護霊を、本来外部の精霊が馴化され、守護霊化されたものとして位置づけ、つぎに守護霊の社会的機能を検討した。
8 口羽益生編著『ドンデーン村の伝統構造とその変容』書評 1991-02-00『アジア経済』第32巻第2号アジア経済研究所 ドンデーン村にて水野浩一が集約的調査を行った後、約15年を経た昭和56、58年にその再調査がなされた。本書はその成果である。書評では水野と本書の視点の違いに注目し、前者が当地の伝統社会を定着的、村内完結的モデルで捉えたのに対し、後者では流動性、移動性を基調にして伝統的生活世界像が描かれたことに着目する。ただ本書は社会構造性への視点が明示しておらず、この点と関わって動態把握に課題を残すと考える。3頁(Pl09~P111)
9 北原淳著『タイ農村社会論』口羽益生編著『ドンデーン村の伝統構造とその変容』書評 1992-06-00『東南アジア-歴史と文化-』21東南アジア史学会 まず北原淳著『タイ農村社会論』を、タイ農民の土地と労働カの確保・配分に関する小農民的あり方に焦点をあて、その形成・解体過程を検討するなかで、そのあり方じたいが外部の政治・経済的要因に規定されたものであることを、実証的に示した研究として紹介。つぎに口羽益生編著『ドンデーン村の伝統構造とその変容』を東北タイ農民の超歴史的文化的特質に関心を置く研究として紹介している。5頁(P184~P188)
10 生活用品,聖糸,聖水,チェンマイ,チエンマイ大学,チャ(茶),カティナ祭,プラ・クルアン,パヤオ,デック・ワット事典項目執筆 1993-03-00『タイの事典』同朋舎 左に記した10項目を担当執筆した。たとえぱ「チエンマイ」の項目では、まずチエンマイ建都以降の盛衰の略史を記し、つぎに中央併合以降のタイにおけるチエンマイの位置づけ、および現在の社会経済の概況について述べ、最後に当地における観光にふれた。「生活用品」の項目では、市街と農村で生活様式の差異にふれ、主に農村の衣食住と都市化に伴うその変化に言及した。執筆者:石井米雄,高井康弘,他99名
11 就業構造の変化と地域社会の再編-東部タイの一農村の事例から-口頭発表要旨 1994-10-00『大谷學報』第74巻第4号大谷学会 文部省科学研究費の助成を受けて、平成3・4年にタイ東部新興工業地域近郊農村にて行った調査結果の一部を発表。1960年代の道路整備、70年代中頃の電化が、都市的生活様式の浸透を促し、特に80年代後半急速に進行した稲作離れ、養魚養鶏業への転換など複合経営・多角化の動き、農外就労の比重増を、階層毎の差異に注目し分析。所得格差の拡大と新たなパトロンークライアント関係の形成などにも言及した。3頁(P50~P52)
12 北原淳著『共同体の思想-村落開発理論の比較社会学-』書評 1997-07-00『アジア研究』第43アジア政経学会巻2号 著者は、歴史的にも現状においてもタイ農村における自立的「共同体」の存在を過度に強調し、理想視する言説・共同体復興運動をポピュリズムと捉え、一方では、農村の現実の乖離の大きさから、その社会運動としての有効性を懸念し、他方では、市民社会理念擁護の立場から、むしろ中間層の成長に期待する。著者の立場を評価しつつ、今後の課題として、社会運動として民衆自体の文化と「民衆の知恵」との相互関係の微細な実態分析、市民社会理念の可能性と限界の検討などを挙げた。8頁(P143~P150)
13 経済生活の変化と農業科研報告書 1998-03-00赤木攻代表『東南アジアにおける経済発展と農村の変容-15年の経験-』、平成7~9年度科学研究費補助金[国際学術研究]研究成果報告書、大阪外国語大学 同一チームで1980年に調査した農村の15年振りの再調査の中間報告集の一部。東北タイ・ローイエット県農村の農業経営状況を検討した。都市的生活様式の浸透下の消費支出の急増。現金収入源となるべき換金作物作が潅漑不備等から相変わらず困難であり、依然農業のほとんどは以前と同様雨季稲作であること。人件費・肥料代など経費急増と米価の低迷から稲作所得は大半の階層で低いこと。ただし、大半の階層で自給最低限のモチゴメは確保していること。必要な現金は農外就労で確保していること。農外就労上の都合で農業経営の形態が変更される傾向が生じ始めていること、などを主に調査票調査資料、集約的聞き取り調査資料、官庁資料などの検討をもとに述べている。従来の農業経営分析は、農業経営のみに焦点を当てる傾向があるが、本稿では農業経営の現状を、農外就労や消費生活様式の変化との関係から検討している。14頁(23頁~36頁)。共著者は、赤木攻、北原淳、竹内隆夫、高井康弘、松薗祐子、関泰子、田野優子、谷口裕久。
14 ジェームズ・スコット著(高橋彰訳)モーラル・エコノミー:東南アジアの農民叛乱と生存維持』書評 2000-00-00『社会経済史学』第66巻第2号(社会経済史学会) 植民地期東南アジア各地の農民叛乱とその背景などの検討から、個々の地域社会に通底する農民社会一般の特質に迫る左記著作の主な論点を要約。また、白石昌也の論稿等の先行諸書評による主な批判を紹介。日本の先行書評ではあまり取り上げらなかった道徳規範をめぐる問題に注目。一方で、農民の道徳規範の普遍的特質を、生存維持から演繹的に抽出しようとする著者の試みにおいては、文化要素の扱いが不透明であることを指摘し、社会正義は現実の農民の価値観に沿って議論すべきとするカイズの批判を紹介。他方で、しかし、異なる階層の力の均衡と打算の上に構成される道徳規範の疑似共有状態とその破綻を描くスコットの視点は、文化理解が静態的把握に陥らないためには重要と評価。3頁(P97~P99)
15 第4部 過疎化と中山間地農村-村岡町山田の事例-、序 研究の概要、第5章過疎高齢地域の高齢者科研報告書 2001-03-00藤井勝代表『兵庫県内農村の変動過程に関する研究』、平成10年度~12年度文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(A)(2))研究成果報告書、神戸大学 兵庫県内の「産業開発型近郊農村」「住宅地開発型近郊農村」「中山間地型農村」を分担して調査したうち、第4部「中山間地型農村」を担当。典型的な過疎高齢村である村岡町山田地区を調査した。序では、当地区の人口・世帯数の変遷の時期ごとの傾向とその背景を、統計資料等から整理、検討した。第5章では、高齢者のさまざまな活動が、健康維持のためのものと意識され、健康維持は「故郷で暮らし続けたい」「家族や隣人に迷惑をかけたくない」思いと関連していることを指摘。とくに、一人暮らしの高齢者について、故郷との関係、現状の暮らしの継続の願いとその困難、他出した子供との関係に焦点を当てて記述。また、高齢者支援の地域内組織活動の現状と方向性を検討した。17頁
16 ラオスにおける家畜をめぐる諸関係地球研プロジェクト調査報告 2004-06-30秋道智彌代表『アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究:1945-2005(研究プロジェクト4-2)2003年度報告書』総合地球環境学研究所 プロジェクト初年次の調査報告。「森林・農業班:東南アジア大陸部における土地資源の管理と多様性」の一員として、2003年8月~9月にラオス北部でおこなった牛・水牛(肉)の生産・流通・消費に関する調査成果の概要を記述した。とくにラオスの政治経済の変転のなかでルアンパバーンの牛・水牛(肉)卸業、在村仲買業に大きな変化がみられると指摘した。総頁数407頁。本人執筆頁数4頁(P86~P89)。
17 牛・水牛をめぐる文化と社会経済変化:ウドムサイ県・ルアンパバーン県・サワンナケート県に関する予備的調査報告地球研プロジェクト調査報告 2005-07-30秋道智彌代表『アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究:1945-2005(研究プロジェクト4-2)2004年度報告書』総合地球環境学研究所 プロジェクト2年次の調査報告。ウドムサイ県、サワンナケート県にて調査し、初年次のルアンパバーン調査結果と比較した。90年代以降の小売、卸、仲買業の顕著な活性化は共通すること、ウドムサイではカムの人々の参入が目立ち、マイノリティ移住者と同業との関係が注目しうること、土地利用変化による放牧適地の減少が農家の牛・水牛売却を促進していること等を明らかにした。総頁数592頁。本人執筆頁数11頁(P107~P117)。
18 Domestic Consumption and Local Markets of Chiang Rai科研報告書 2006-03-31原田昭代表『生き物の形態とヒトとの関わり』科学研究費基盤研究(A)2005年度中間研究報告書 チエンラーイ市の生鮮市場およびチエンラーイ県北西部フアメーカム地方での鶏・鶏肉の流通と消費の見取り図を示した。前者には他県からのブロイラー、採卵用鶏、および県中南部の農家で庭先飼いされている闘鶏間引きの家鶏が流通していること、後者はそれらとは異なる小型の在来鶏が主に贄や宴用として飼われていること、ただし、後者にもチエンラーイ市市場経由の鶏肉が普及しつつあることを述べた。総頁数283頁。本人担当5頁(P273~P277)。
19 ラオス北部における人・牛・水牛の多様な関係と1990年代以降の社会経済変化地球研プロジェクト調査報告 2006-09-30秋道智彌代表『アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究:1945-2005(研究プロジェクト4-2)2005年度報告書』総合地球環境学研究所 プロジェクト3年次の調査報告。1990年代以降の食肉流通活発化とその担い手、林野放牧区の困難化と水牛の売却、放牧区域指定の動き、水牛の去勢、売却後の追善供養などの儀礼、牛・水牛肉食の宴の慣行や食禁忌について述べた。総頁数517頁。本人執筆7頁(P115~P125)。
20 チエンラーイにおける鶏・鶏肉の流通と消費(聞き取り資料集)調査報告 2007-03-16"The 2007 HCMR Congress 16 March 2007"研究成果中間報告書 Human-Chicken Multi-Relationships Research Project(HCMR)の2007年度会議に日本側が提出した研究成果中間報告書。総頁数443頁。本人担当28頁(P416~P443)。チエンラーイ市の生鮮市場への鶏・鶏肉の流通、チエンラーイ県北西部フアメーカム地方の小街や農村での流通と消費のあり方を、両者を対照させる形で詳細に述べた。、闘鶏用ヒナの間引きされたもの、小型の在来家鶏(カイ・チェー)、ブロイラー、採卵用、地鶏系などのハイブリッド種といった多様な鶏が、仲買人などさまざまな業者を介して、流通していること、農村と市街では鶏肉の消費スタイルが異なることなどを述べ、それらがどのように相互関係しながら並存しているかを述べた。
21 水牛、ラープ単行本項目執筆 2007-03-31秋道智彌編『図録メコンの世界-歴史と生態-』弘文堂 左記書(総頁数147頁)の2項目3頁分(P52~P53、P92)。「水牛」では、ラオス北部で水牛が暮らしに欠かせぬ存在であったこと、焼畑耕作後の休閑地の「若い林」で放し飼いされてきたこと、近年の水牛による農作物食害頻発の背景に、焼畑禁止・森林保護政策やゴムの作付拡大など土地利用の変化による放牧適地の縮小があること、水牛肉流通が活発化していることと記述。「ラープ」では、「モチゴメ手食」文化圏であるラオス平地部、タイ北部、タイ東北部に共通する代表的肉料理ラープの地方的多様性、生ラープ食の根強さと男性性との関係について記述。
22 水牛の放し飼い一般雑誌 2008-02-01『月刊みんぱく』2008年2月号、国立民族学博物館 ラオス北部における焼畑作と水田稲作後の休閑地を利用しての水牛放し飼いの現状と特徴を述べ、さらに土地利用の変化の中で放し飼いが困難になりつつあることを、現地で撮影した写真数点を交え、平易な表現を心がけ述べた。執筆頁数2頁(P20~P21)。
23 ラオス北部における水牛と人の関わりの変容口頭発表 2008-06-07東南アジア学会春季研究大会(於大阪大学)
24 Raising Water Buffalo, Laap単行本(英文)項目執筆 2009-00-00An Illustrated Eco-History of the Mekong Basin; White Lotus, Bangkok 所収本はTomoya Akimichi編。『図録 メコンの世界』の英訳拡大版(総頁数179頁)。本人担当はPart1:Resources and People'sLivelihoods のRaising Water Buffalo (P55~P58)とPart2:Diet and HealthのLaap(P103~P106)。記述を詳細にし、掲載写真数も増やしている。
25 水牛を観る目一般雑誌 2009-01-01『月刊みんぱく』2009年1月号、国立民族学博物館 ラオスの人々が角の形状をどう分類し、水牛の性格や能力と関連づけて語るかを紹介し、役畜から食肉、動産用にその用途が変わるなかで、水牛を評価する目の付け所が大きく変わりつつあることを、現地撮影の写真数点を交え、平易な表現を心がけて述べた。執筆頁数1頁(P5)。
26 お守り、タイ・ユワン、年中行事事典項目執筆 2009-09-10日本タイ学会編『タイ事典』めこん 事典総頁数は556頁。本人担当はP80~P81、P232、P302~P303。
27 スイギュウ:ヒトの暮らしが変わるなかで-ラオス一般雑誌(家庭学術雑誌) 2011-04-25『季刊民族学』136号、国立民族学博物館 ラオス北部の従来の水牛飼養の主要な形態を「野放し」と名づけたうえで、「放すこと」と「飼うこと」の対照、「放す」場の選択とその困難化、パラゴムノキ栽培の普及と「野放し」の禁止、水牛頭数の急減、急減地域とそうでない地域の比較といった項目を立て、当地の人と水牛の関係の変化を、現地撮影の写真11点を交え、紹介した。すでに論文等で発表した内容だが、その後の補足調査を踏まえ、現在の自身の理解をより的確かつ平易に表す表現を心がけた。執筆頁数7頁(P39~P45)。
28 都市と農村の間:箒素材流通の事例から考える口頭発表 2014-07-06日本タイ学会第16回研究大会(京都大学) 2013年11月に亡くなった学会設立者北原淳追悼企画共通論題「現代タイの農村社会」の報告者5名のうちのひとりとして発表した。1980年代以降の都市―農村関係の緊密化、農村インフォーマルセクター村への変化、農村工業把握における外部企業連関についての北原の問題意識を紹介しつつ、自身が最近調査したヤダケガヤ箒素材流通と箒生産の事例を、地域間分業の国境を越えた広域化、大資本による生産・流通過程の垂直統合とは異なる零細な自営業者間の分業、農村における農外自営経営者層の分化の事例として紹介し、つながり形成における大小仲買業者の役割を強調。箒生産地における仲買業者、工場経営者、下請け人、零細自営業者の互助・競合関係について検討した。(発表時間30分)
29 福浦一男著『霊媒のいる街-北タイ、チェンマイの宗教復興-』(春風社)書評 2016-09-10『図書新聞』第3270号、2016年9月10日、4面 タイ・チエンマイとその近郊における霊媒の活動に焦点を当てた長期にわたる綿密な人類学的フィールドワークの成果である博士論文に加筆修正を施し刊行した書の書評。当地の霊媒がか関わる主要儀礼を網羅し、その全体像を示した点を評価し、当地の精霊儀礼を宗教復興の事例として位置付ける著者の意図を紹介しつつ、「民衆」の宗教実践の「自律性」を強調する著者に対して、「民衆」が生きる社会関係の具体的な検討、「自律性」が当地の権力形態との関係でどう生成しえているかと検討の必要性を指摘している。(2097字)
30 「モー」「ピー」事典項目執筆 2016-10-25『上座仏教事典』パーリ学仏教文化学会上座仏教事典編集委員会編、めこん 「ピー(ラオス)」「モー」の2項目を執筆した。前者は霊ないし精霊を意味する言葉であるが、クワンなど類似の概念と対照し説明し、儀礼にふれ、タイとラオスのピー信仰の共通性に言及した後、ラオスでは社会主義政権下、一時、精霊儀礼に中止圧力がかかったこと等を述べた。後者については、特殊知識・技能を用いる施術者を指すとし、伝統薬医モーヤー、憑霊治療行為をおこなうモーヤオ(モーモン)に特に言及した。
31 村の守護霊と霊媒-ナコンパトム県ラーンレーム村(1980~2016年)の事例-口頭発表 2016-11-12科研拡大研究会(於長崎県立大学) タイ・ナコンパトム県ラーンレーム村は北原淳を中心とする調査チームが1980年前後と1990年代中頃の2回、集約的な調査をおこなった地であり、その成果は『タイ農村の構造と変動』『続タイ農村の構造と変動』として刊行されている。これら過去の記述と2016年の現地調査の知見を踏まえ、特に同村の守護霊儀礼に焦点を絞り、住民構成、職業構成の変化、寺院建立や共有地の利用状況の変化などとの関連に注目して、ここ35年間の変化を概括的に整理検討した成果を、タイ側カウンター・パートのモンタカン教授等を招いて開催した科研(代表者:橋本泰子)の拡大研究会にて発表した。(発表2時間)
32 タイ・ラオスにおける牛・水牛流通の動向口頭発表 2017-07-09第18回熱帯家畜利用研究会(於国立民族学博物館) タイ国統計資料からここ数十年の牛・水牛飼育頭数の変化を示し、2010年代までは景気動向と連動していた肉牛頭数の変化が2010年代以降、景気回復のなかで低迷している要因を検討した。また、タイ中西部に急増しているウシ肥育ファームに注目し、経営者属性や肉牛流通ルートに関する調査知見を示した。さらに、ラオス北部の肉小売り市場の変化とアグリビジネスの進出に関する調査知見を示した。(発表時間30分)
33 タムブン-庶民の願いディスカッサント 2017-10-29日本タイクラブ第7回公開フォーラム(於大阪大学) 上記フォーラムにて、「タムブン―庶民の願い」をテーマに、タイ仏教教義と庶民の積徳行実践をめぐる観念・動機との関係について、コーディネータ:赤木攻、ディスカッサント:プラマハー・ソムポップ・サンパオー・リーンハラッタナラック、馬場雄司、村上忠良と議論した。全2時間。
34 Spirit Mediumship in a Changing Thai Local Community:Lanlaem Village, Nakhonpathom口頭発表 2017-11-11科研拡大研究会(於大谷大学) 2017年8月にタイ・バンコク首都圏周辺農村でおこなった調査で得た知見を報告した。1.調査地の村社会の変質について、職業構成、人口増、エスニシティ構成の多様化、所得格差・階層差の拡大、地縁の空洞化・モザイク化、公共地利用の変化の6点から検討した。2.6人の霊媒の聞き取り事例を紹介し、インド系の高級神格の憑依降臨、ヒエラルヒー的な神霊/人間に関する秩序観の受容、神霊との交流という霊媒の特殊能力を正当化する条件としての禁欲や仏教的修練、クライアントのアノミー的欲望と聖なるものの手段的利用等を注目点に挙げ、村社会の変化と絡めて考察した内容を報告した。発表時間:10時10分~11時10分の1時間。
以上34点

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