教育研究業績の一覧

喜多 恵美子
A 教育業績
教育実践上の主な業績 年月日概要
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)
1 リアクションペーパーの活用 2005-04-01 ~ 授業の中でリアクション・ペーパーを書かせ、指導に活かしている。
リアクション・ペーパーの内容は、単なる感想を書かせることもあれば、課題を与えて考えさせるということもした。教員とのコミュニケーションという意味合いだけでなく、授業の内容を自分なりに考えるきっかけとしてほしいというのがリアクション・ペーパー実施の意図である。

リアクション・ペーパーを毎回課している授業としては
「朝鮮半島の美術」「現代朝鮮半島事情」などがある。

また各種演習などでも適宜使用している。
語学の授業を担当する場合、一番最初の授業のときに、なぜこの言語を選択したのか、学習歴は、自分としての達成目標は、などのアンケートを兼ねたものを描かせている。

ユニパ導入以後は、学生コメント欄を活用している。
【継続中】
2 卒業論文の中間報告会 2007-10-00 ~ 第4学年のゼミ生を対象に湖西キャンパス・セミナーハウスにて合宿形式による卒業論文の中間報告会を開催している。発表者の人数により、宿泊数は異なる。大抵は一泊二日から二泊三日である。2年生から4年生までが参加し、後輩たちにとっては、卒業論文にとりくむ姿勢を学ぶことができ、先輩後輩間の交流や情報交換の場ともなっている。

【2020年と2021年は実施ができていないが継続中】
3 ゼミ合宿 2008-11-00 「国際文化演習Ⅱ」を登録している第二学年の学生を対象にゼミ合宿を開催した。(於:湖西キャンパスセミナーハウス、1泊2日)
発表に当たっている者は各人が決めたテーマにしたがって50分の発表。それに対して15分から20分の質疑時間を設け、討論させた。出席者には「発表に対する疑問・感想・意見」をA4の要旨に記載して教員に提出させ、点検の後、発表者にまとめて渡すようにした。発表にあたっていない学生は、これまで授業内で自分が行った発表を教員のアドバイスや他の学生からの質問や意見を反映させた形での、修正発表を行った(各人10分から15分)。
基本的に普段の授業とやっていることは同じであるが、朝から晩まで発表が続くため、集中力養成とゼミ内の親睦の面で大いに効果があった。
4 韓国語点字指導 2009-04-01
~2010-03-31
視覚障害学生のために水曜日5限と金曜日6限をつかって、韓国語点字を別枠で指導した。当該学生は水金4限目の「韓国・朝鮮語」を受講しているが、墨字がまったく読めないため、晴眼者学生と足並みをそろえた授業をするためには、正規の授業とは別枠で韓国語点字を習得させる必要があった。
使用教材は韓国点字図書館発行の教材を韓国からとりよせた。文字自体は短期間で習得したが、略字も多いため、勘を鈍らせないために、点字本をつづけて読ませている。

使用教材例
『점자 낱말카드(点字単語カード)』ハングル編
『깜찍이와 땅속의 나라(カムチギと地中の国)』
『울룩불룩 세계지도(でこぼこ世界地図)』
『야생동물도감(野生動物図鑑)』
以上の教材をほぼ通読
2 作成した教科書、教材、参考書
1 「現代朝鮮半島事情」 2005-04-00 ~ 自作の資料を配布し、学生の理解に役立てた。
【継続中】
2 「韓国・朝鮮語」教材 2005-04-01 ~ 教科書の補足説明や練習問題、確認のための小テストなどの印刷物を自作して配布している。
・子音と母音のカードをそれぞれ作り、発音の練習にいかした。
・画用紙でお札と硬貨をつくって、数の数え方と金銭のうけわたしの練習に役立てた。
・韓国の漫画をコピーしセリフになにが書いてあるのかを読ませる教材を作成した。
・韓国のレストランのウェブサイトの一部をコピーし、韓国語における外来語の読み取り練習のための教材を作成した。
【継続中】
3 「朝鮮半島の美術」教材 2005-04-01 ~ 必要に応じて自作の資料プリントを配布し、学生の理解に役立ている。
【継続中】
4 『パランセ韓国語』朝日出版社 発行 2009-01-15 本学非常勤講師の金京子先生との共著で韓国語の初級テキストを発行した。
ハングル能力検定試験5級に完全準拠したという点で、従来の韓国・朝鮮語テキストとは一線を画すものとなっている。ハングル能力検定や韓国語能力試験を念頭においたテキストは模擬問題集やガイドをのぞいてはこれまでほとんど存在していない。テキストでの学習を終えた段階でハングル能力検定試験5級に合格できるだけの力がつくという目標をはっきり提示した点で、学習者のモチベーションの維持と向上に効果が期待できる。
初学者が韓国語の基礎を確実に身に着けることができるように精選した単語と文法事項によって構成されている。
総頁数144頁。
朝日出版社、B5判
ISBN: 9784255556093

5 韓国語点字教材の作成 2009-04-01
~2013-03-31
第二外国語である韓国・朝鮮語を受講している視覚障害学生のために、韓国語点字を自ら習得し、授業で使用する教材のなかの韓国語の部分をすべて自分で点訳した(手打ち)。小テストやプリントも必要に応じて点訳して配布。2009年度と2012年度に実施。
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等
4 その他教育活動上特記すべき事項
1 卒業論文作成にむけてのアドバイス 2005-01-06
~2007-01-05
韓国映画をテーマに卒業論文を書きたいという学生(社会学科当時第3学年)の依頼により、韓国関連の資料収集の方法やテキストの読み込み方、分析の方法、学術的記述の方法などを指導した。
学生が熱心で第3学年の後期から卒業するまでほぼ毎週1回のペースでアポイントを取って指導を受けにきた。
指導時間:一回につき60分から90分。於:個人研究室

2 初級韓国・朝鮮語勉強会 2005-04-01
~2006-03-31
韓国・朝鮮語が第二外国語になる前に入学したゼミ生(当時第2学年)を対象に、簡単な文法事項を指導した。ほぼ週1回90分。於:個人研究室。
3 韓国留学前の語学指導 2005-11-01
~2006-01-31
次年度、韓国東國大學校に交換留学が決定している学生(国際文化学科第3学年)の希望により、週1回90分韓国・朝鮮語の指導を行った。(留学決定期から渡韓直前まで)慶熙大學校国際語学教育院発行『韓国語中級』のテキストをハイペースにこなし、語学力のレベルアップをはかった。ついで日常会話についても指導。語学学習だけでなく留学中の生活で役立ちそうなアドバイスも行った。この学生については渡韓後もソウルでしばしば面談し、そのつどアドバイスを与えたりした。 於:個人研究室
4 韓国留学前の語学指導 2006-11-01
~2007-01-31
次年度、韓国東國大學校に留学が決まっている学生(社会学科第2学年)の希望により、韓国語の指導を週1回程度、1回につき2時間弱行った。教科書は野間秀樹『VIVA!中級韓国語』(朝日出版社、2004年)。毎回スキットを丸暗記させてチェックしたほか、新しい文法事項を解説し、それにあわせた練習問題を出して、解かせた。熱心な学生だったので、何もいわれないのに習った文法事項を使って大量の作文をほぼ毎回出してきたので、添削指導も行った。 於:個人研究室
5 韓国語原著購読指導 2007-04-01
~2008-03-31
韓国・朝鮮文化を選択している国際文化学科当時第3学年の学生3名の希望により、韓国語の原著購読指導をした。テキストは조왕호『청소년을 위한 한국근현대사』 두리미디어,2006.(チャン・ワンホ『青少年のための韓国近代史』ドゥリメディア、2006年)。
1日一文を訳すというノルマを課し、一週間で最低7つ分の文章を読みぬいていく。かならず訳はワードで打ってくるように指導。
読んでいくうえで必要な文法事項や歴史的事実などの解説にも力を注いだ。
週1回90分。(水曜3限)
於:個人研究室
6 中級韓国・朝鮮語勉強会 2008-04-01
~2009-03-31
韓国・朝鮮語初級修了者中、有志3名の依頼により、中級の勉強会を開催。
教科書はとくに定めず、毎回、テーマに沿った手製の教材を配っていた。中級に必要な文法事項とあわせて、日常会話に使われるフレーズの修得につとめた。
週1回90分(主に水曜2限)
於:個人研究室
7 韓国語原著購読指導 2008-06-01
~2008-07-31
研究上、韓国語の文献を読む必要があるという国際文化学科博士課程の学生に対し、購読指導を行った。当該学生は韓国語の初学者であり、当初は文法はおろか文字を読むことすらできなかったが、指導の結果、夏休み前にはまがりなりにも自分の力で論文を読み終えることができるようになった。
テキストは최길성「배송굿 과 소놀이굿」『한국문화인류학』Vol.1,No.1,1968,35-43頁(崔吉城「拝送グッとソノリグッ」『韓国文化人類学』Vol.1,No.1,1968年)。
必要な文法事項などは適宜、プリントにまとめたものを作って渡した。
週一回(主に火曜日4限目)。7月末まで。於:個人研究室
8 ミニ展示会『韓国の布と刺繍』企画 2009-01-00 ~ 韓国のテキスタイルや刺繍、伝統衣装などのミニ展示会を企画し、展示と作品キャプションの作成を国際文化学科第2学年の学生に担当させた。
展示会場は響流館3階のグローバル・スクエア。
B 職務実績
1 グローバル・スクエアにおける韓国・朝鮮語勉強会 2006-07-10
~2007-01-31
韓国語勉強会(前期)
 開催日:2006年7月10日~2006年7月21日
 時間:水曜・金曜昼休み(12:10~12:50)
 指導補助:李鍾秀(東国大學校からの留学生)
韓国語勉強会(後期)
 開催日2006年10月18日~2007年1月19日
 時間:水曜・金曜昼休み(12:10~12:50)
 指導補助:李鍾秀
韓国・朝鮮語会話(前期)
 開催日:2007年5月14日~7月20日
 時間:週一回90分
韓国・朝鮮語で歌おう!(後期)
 開催日:2007年10月~1月
 時間:週一回90分

すべて場所は響流館3階のグローバル・スクエア
2 大谷大学での韓国語学研修旅行の引率 2006-08-01
~2006-08-31
授業としての海外研修(韓国)が定員不足で成立しなかった年であるが、有志学生の強い希望に応じるかたちで単位とは無関係に韓国東西大學校語学堂における語学研修を実施した。
現地との事前折衝、日本から韓国への引率、受け入れ学校での事務手続き、学生寮における学生への生活指導と語学学習にたいするアドバイスもおこなった。
海外研修実施にあたっては教育研究支援課のサポートを受けた。
3 韓国東國大學校短期研修団アテンド 2007-06-26
~2007-06-29
6月26日-29日まで本学を訪問した韓国東國大學校慶州キャンパス短期研修団のアテンドをした(授業時間を除く)。
本学学生も交流行事に参加したので学生の引率指導もおこなった。
来訪中は各種交流会が実施され、金閣寺や比叡山延暦寺などの名刹を訪問した。(湖西キャンパス泊)
4 シネマ上映会解説 2008-04-00 ~ グローバル・スクエア主催のシネマ上映会における解説。韓国映画『王の男』を上映し、映画の理解に役立つ歴史的文化的背景に対する解説を行った。
5 韓国海外研修の引率 2008-08-01
~2008-08-31
大谷大学による海外研修(於:韓国東西大學校語学堂)の引率を担当した。(引率担当2名)
現地の教員と協力しながら、授業も担当した。
生活面では学生が一人立ちできるように、交通機関の利用のしかたや生活必需品の確保の仕方などを実践的に学ばせた。学習面では、毎日復習プリントや予習プリントを作成して配布し、課題とした。またその日の報告書を毎日提出させて学習進度の確認をおこない、各人に朱を入れて返した。
各学生にあわせたアドバイスは適宜口頭でもおこなった。
6 韓国海外研修の引率 2010-08-01 ~ 大谷大学により隔年実施されている海外研修の引率を2012年以降は1人で担当している。引率学生の指導、健康ケア、メンタルケア、余暇時間における郊外見学などを行っている。2014年度までは釜山の東西大学校、2016年度からはソウルの慶煕大学校を研修地としている。
【継続中】
C 学会等及び社会における主な活動
所属期間及び主な活動の期間 学会等及び社会における主な活動
1 1996-04-00~0000-00-00 日本 美学会
2 1997-11-00~0000-00-00 大韓民国 美術史研究会
3 2002-03-00~0000-00-00 日本 美術史学会
4 2003-06-00~0000-00-00 大韓民国 韓国近現代美術史学会(旧:韓国近代美術史学会)
5 2003-09-00~0000-00-00 日本 民族芸術学会
6 2004-03-00~2004-03-31 「大阪04アートカレイドスコープ」展キュレーター大阪府主催の展覧会における企画・進行。「春・花・生」をテーマにし、日本、韓国、アメリカなどの作品を大阪府立現代美術センターと大阪港海岸通ギャラリーの2会場で展示。(至3月31日)参考サイト:http://www.art-osaka.com/
D 研究活動
著書、学術論文等の名称単著、
共著の別
発行又は
発表の年月
発行所、発表雑誌等
又は
発表学会の名称
概要
Ⅰ著書
1 『한국근대미술 과 시각문화』韓国近代美術と視覚文化共著 2002-12-00造形教育(韓国、ソウル) 編者の依頼により学術論文を1加筆修正して単行本掲載したもの。
英那編 分担執筆者〈ユン・セジン、ソ・ユリ、パク・チョンア、喜多恵美子、金炫淑、奇恵卿、ユ・ジヒョン、モク・スヒョン、金周英、金英那、権幸佳、イ・ギリ〉

総頁数370頁
掲載頁数26頁(本人担当139~164頁)(朝鮮語)
2 北朝鮮を知るための51章共著 2006-02-15明石書店 拉致問題、核問題など、社会的に北朝鮮へ注目が集まっている今、北朝鮮をより客観的に認識することが必要である。北朝鮮について、歴史、政治、経済、文化、人々のくらしなど、あらゆる角度から、一般向けにわかりやすく解説したのが本書である。
おおまかに8つのセクションに分かれた構成となっており(Ⅰ北朝鮮を理解するために、Ⅱ北朝鮮国家の成立、Ⅲ北朝鮮の政治のしくみ、Ⅳ北朝鮮の経済、Ⅴ北朝鮮の社会と人々の暮らし、Ⅵ北朝鮮の文化、Ⅶ北朝鮮をめぐる課題、Ⅷ日朝関係と日本の選択)、本人はⅥ朝鮮の文化における「第34章 朝鮮画-伝統の創造」を担当した。

石坂浩一編 分担執筆者<石坂浩一、大島裕史、太田修、喜多恵美子、布袋敏博、文浩一、山根俊郎>

総頁数281頁
掲載頁数5頁(本人担当181~185頁)
3 パランセ韓国語初級共著 2009-01-15朝日出版社 ハングル検定5級合格をめざす韓国語入門のための教科書。
金京子氏の構想をもとに教材研究、課題研究を経て作成。

共著者<金京子、喜多恵美子>

総頁数144頁(全ページ共同作業につき、本人担当抽出不可)
4 帝国と美術 1930年代日本の対外美術戦略共著 2010-11-00国書刊行会 編者の依頼により学術論文6を修正して単行本掲載したもの。
戦前期において帝国日本が対外戦略上いかに美術を利用し、また美術はいかに利用されたかを多数の資料と年表・図版で実証的に明らかにする論集。
本人担当部分は
「朝鮮美術展覧会と朝鮮における「美術」受容」
五十殿利治編 分担執筆者<五十殿利治、草薙奈津子、 安松みゆき、長嶋圭哉、桑原規子、 顔娟英、飯野正仁、山本佐恵、喜多恵美子>
総頁数1026頁
掲載頁数34頁(本人担当306~339頁)
5 Korean Art Book 韓国絵画(日本語版)共訳 2011-09-00芸耕(韓国、ソウル) 韓国の芸耕出版社から刊行されているKorean Art Bookシリーズのうち伝統絵画を扱った『회화Ⅰ(絵画Ⅰ)』(2001)と『회화Ⅱ(絵画Ⅱ)』(2001)を抄訳し、一冊の本にまとめたもの。山水画のセクションと用語解説の部分の翻訳を担当した。

共同訳者<太田周、喜多恵美子、李須恵>

総頁数400頁
掲載頁数167頁(本人担当202~288頁;360~379頁)
6 北朝鮮を知るための55章 第2版共著 2019-04-25明石書店 2006年に発行された『北朝鮮を知るための51章』の第2版。第1版発行から13年たち、2018年に3回もの南北首脳会談が開催されるなど、朝鮮半島情勢が急激に変化していくことをうけて発行された。
本人は「新しい「朝鮮画」ー主体美論の実践ー」を担当した。解放後、金日成の指導下で展開した「朝鮮画」の解説とともに、「北朝鮮」の美術が近年、国際的美術市場でも注目を集めつつあることにも言及した。

石坂浩一編 分担執筆者<石坂浩一、大島裕史、太田修、喜多恵美子、布袋敏博、文浩一、門間貴志、山根俊郎>
総頁数311頁
掲載頁数5頁(本人担当237〜241頁)
7 북한 미술작품에 표현된 조선소년단의 위상共著 2022-05-31『미술로 하는 남북대화 2』
학연문화사
韓国徳成女子大学校人文科学研究所でのシンポジウム内容をもとに、一般の読者にわかりやすく書き直したもの。
美術作品に描かれた朝鮮少年団の図像と20世紀初めに世界的に広がった少年団運動との関係性を示し、今日どのような形で展開しているのかについて論じた
以上7点
Ⅱ学術論文
1 한일 프롤레타리아 미술운동의 교류에 관하여(韓日プロレタリア美術運動の交流について)単著 2001-12-00『美術史論壇』第12号2001年上半期(韓国美術研究所) 植民地期の韓国と日本のプロレタリア美術運動がどのように交流したのか、その過程を追い、運動の意義と限界について考察した。本論文は類例をみない研究として、評価されることが多かった。韓国では単行本収録され、この論文を契機としてシカゴ大学からシンポジウム参加を依頼されることになった。最終的にはアメリカの学術誌にも翻訳が掲載された。
23頁(59~81頁)(朝鮮語)
2 수원 프롤레타리아 미술 전람회를 통해 본 미술개념(水原プロレタリア美術展覧会にみえる美術概念)単著 2003-01-00『韓国近代美術史学』第11号( 韓国近代美術史学会) 韓国の水原で開かれたプロレタリア美術展覧会を通じて、当時の人々が近代的な美術概念をいかに受容していったのかについて検討した。高麗大學校亜細亜研究所に所蔵されていた資料の中から官憲による水原のプロレタリア美術展の出品作の押収目録と調書を発掘し、それをもとに、当時の展覧会の様子を再構築し、当時の朝鮮において「展覧会」がどのように用いられたのかを分析した。

31頁(77~107頁)(朝鮮語)
3 プロレタリア美術運動における日韓交流について単著 2003-04-00『現代芸術研究』第5号(筑波大学芸術系五十殿研究室) 編者の依頼により学術論文1を加筆修正して日本語になおしたもの。

11頁(3~13頁)
4 韓国におけるアンフォルメル旋風単著 2004-09-00『美学』218号(美学会) 1950年代末におこった抽象絵画運動を世界的な視野から眺め直し、それが当時の韓国画壇においていかに機能したかについて分析した。
日本において韓国現代美術研究がほとんど行われていない状況の中で発表した論文。

14頁(41~54頁)
5 Japanese-Korean Exchange within the Proletarian Visual Arts Movement単著 2006-07-00Positions: east asia cultures critique, Volume 14, Number 2, Fall 2006, (Duke University Press)
Positions編集部からの依頼により学術論文1の英訳を掲載。
この号での特集Special issue: Proletarian arts in east asia (東アジアにおけるプロレタリア芸術)2002年11月に開催されたシカゴ大学におけるシンポジウムの総括的な意味合いを持ち、他のシンポジストたちの原稿も掲載されている。

31頁(495~525頁)(和文英訳:Brian Bergstrom)
6 朝鮮美術展覧会と朝鮮における「美術」受容単著 2008-12-00『大谷學報』第88巻第1号(大谷学会) そもそも「美術」とは西欧で用いられていた「art」という概念が近代期の日本で翻案されたものであり、「美術」という言葉自体も当時の造語である。現在では自明の理とされている感のある「美術」概念であるが、近代期の社会的文化的背景の異なる朝鮮(当時)においては独自の需要のされかたれたをした。日本と韓国の間にみられる美術観のずれが何に起因するのかを明らかにしようとした論文。

25頁(30~54頁)
7 근대기 미술제도 도입과 문인의식(近代期の美術制度導入と文人意識)単著 2008-12-01『美術史学報』第31集 (美術史学研究会) 学会の依頼により、学術論文6を韓国向けに加筆修正したものが朝鮮語に翻訳された。

26頁(173~198頁)(朝鮮語訳:鄭賢娥)
8 일본 근대미술 연구의 흐름과 현황(日本の近代美術研究の流れと現況)単著 2012-12-00『한국근현대미술사학(韓国近現代美術史)』제24집(韓国近現代美術史学会) 日本における日本近代美術研究の学説史と主要論考について概説しつつ、理論的な側面の強い学界と、作品と作家に密に接してきた美術館との間に存在したある種の断絶についてフォーカスした分析を行った。韓国をはじめとする東アジアにおける近代美術研究の今後を視座にいれた展望を示した。

29頁(157~185頁)(朝鮮語)
9 아방가르드와 한일 프롤레타리아 예술운동(アバンギャルドと日韓プロレタリア芸術運動)単著 2013-06-00『미학예술학연구(美学芸術学研究)』 제38집(美学芸術学学会) 日本におけるアバンギャルドたろうとした大正期新興美術運動の収束点のひとつがプロレタリア美術であるとすると、新たな美学を模索しようとするプロレタリア美術は東アジアにおいて特殊な意味をもちうる。日本と朝鮮におけるプロレタリア美術における美術家たちがなにを目指そうとしていたのかについて考察した。

14頁(199~212頁)(朝鮮語)
10 프롤레타리아 미술운동에 있어서 예술대중화 논쟁(プロレタリア美術運動における芸術大衆化論争)単著 2013-12-00『동양미술사학(東洋美術史学)』VOL.2 (東洋美術史学会) 中野重治と蔵原惟人の間で戦われた「芸術大衆化論争」は当時の朝鮮にも影響を及ぼした。おもに文学論としての論争が美術分野でどのように扱われてきたのかについて中野重治と岡本唐貴の論争を中心に考察した。

30頁(208~237頁)(朝鮮語)
11 전향미술가와 조선・만주(転向美術家と朝鮮・満洲)単著 2015-12-00『한국근현대미술사학(韓国近現代美術史学)』 Vol.30(韓国近現代美術史学会) プロレタリア文化運動に関わった芸術家たちは転向した後に、当局のすすめにより大陸にわたって活動をすることがすくなくなかった。村山知義と寄本司麟の事例をもとに、当時の左翼美術家たちと大陸との関係がどのようなものであったのかについて考察した。

46頁(65~110頁)(朝鮮語)
12 일본 아방가르드 미술의 전개와 역사적 관점들(日本におけるアヴァンギャルド美術の展開と歴史的観点)単著 2017-12-00『美術史学報』49集(韓国美術史学研究会) 2017年10月28日の学会発表の内容を論文化したもの。
日本の大正期新興美術運動と昭和初期の前衛美術運動の間に見られる連続性と断絶から、日本の近代美術に見られる政治と美術との関係性について分析した。

45頁(30~74頁)(朝鮮語訳:キム・チンジュ)
13 在朝鮮日本人画家加藤松林人の活動ー自筆履歴書をめぐってー単著 2018-03-16『大谷学報』第97巻第2号(大谷学会) 植民地期朝鮮に在住した日本人画家である加藤松林人は、朝鮮美術展覧会の無鑑査を経て参与(審査員)を歴任するなど、当時の朝鮮画壇において重要な位置を占める人物であるが、帰国後は「忘れられた画家」として扱われることが少なくなかった。実際には帰国後もさまざまな活動を展開しており、作品も多数残している。本稿では自筆の「履歴書」をもとに、戦前戦後の日本と朝鮮半島画壇との関連について考察していく。この「履歴書」は加藤個人の足跡のみならず、植民地期朝鮮画壇の様子を克明に記録した貴重な資料であると同時に、朝鮮からの日本人引揚者の生活史ともなっている。

34頁(47〜81頁)
14 在朝鮮日本人画家とツーリズム−加藤松林人を中心にー単著 2020-11-17『大谷学報』第100巻第1号(大谷学会) 植民地期の朝鮮で活動した日本画家加藤松林人の活動を通じて、当時の在朝鮮日本人ネットワークの一端に光を当て、彼らの活動とコマーシャリズムやツーリズムとの関係性や植民地ツーリズムに在朝鮮人美術家が動員される過程について検討した。

20頁(39〜59頁)
15 千里馬運動期DPRKの美術作品にあらわれた製鉄所労働者イメージ 単著 2021-06-01『コリアン・スタディーズ』9号(国際高麗学会)
朝鮮民主主義人民共和国(Democratic People's Republic of Korea、DPRK)における千里馬運動は単なる増産運動の枠をこえた、文学や美術を巻き込んだ社会主義的実践であったといえるが、その中心産業であった製鉄製鋼業にまつわるイメージ、とりわけ労働者像は絵画や彫刻として何度も作品化されてきた。製鉄製鋼業は社会主義国であれ資本主義国であれ、歴史を問わず国粋的な使命を担わされてきた。DPRKにおける製鉄製鋼業は日本の残していった製鉄所をもとに始まっていることから、千里馬運動には植民地主義の克服という意味合いも担わされているため、より複合的な側面をもつ。
美術においては、日本で学んできた画家が多いなか、画家たちがいかに社会主義的な美術を確立していくのか模索していく過程がまさにこの千里馬運動期であり、千里馬運動期に繰り返し描かれる製鋼所のようすや製鋼所労働者のイメージはソ連美術との影響関係においても考察することが可能である。以上のような諸側面からDPRKにおける製鋼所労働者のイメージについて考察分析した。

14頁(89〜103頁)
16 朝鮮民主主義人民共和国美術における女性表象 単著 2021-10-31『朝鮮史研究会論文集』59号(朝鮮史研究会)(2021年12月発行予定) 美術とは当該社会の価値体系の反映であり、同時に価値の構築そのものでもある。近代期に「art」を翻案した「藝術(美術)」という概念が東アジアに登場して以来、なにが「芸術性」を担保するのかという問題については、各時代や各地域、各文化において相応の葛藤と超克を経て規定されてきた。美術には権威や権力、国家の問題がかならずついてまわる。本稿では、朝鮮民主主義人民共和国の絵画において女性がどのように描かれてきたのか分析を加える中で、東アジアの社会主義国家における美術がどのような位相を持つのかについて考察していく。1966年の金日成首席の教示によって彩色画を基調とした独自の「朝鮮画」が推奨されるようになったことで、共和国においては独自の美学が追求されてきたが、それは西洋の価値観や学術体系に依存しないという自主独立の意志の現れであり、描かれた作品はそうした精神を可視化するものであった。絵画の中で、女性たちは抗日武装闘争の記憶と現代とを繋げ、人民をひとつにまとめあげる重要な役割を果たす。ソ連絵画の中の女性が家庭的なものや母性的なものへと次第に回帰させられたこととは対照的に、共和国絵画の中の女性たちは闘争の只中にいるというメッセージを発信しつづけている。

32頁(5〜36頁)
17 북한 조선소년단의 표상 연구 単著 2022-00-00『인문과학연구』No.34 朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の朝鮮少年団は、指導者によりそう団員の姿が映像や写真で繰り返し報道され、西側陣営からすると指導者一家の独裁体制に奉仕すべく教育された洗脳集団であるとされることが少なくないソ連崩壊後においても、DPRKだけでなく中国、ベトナム、キューバといった社会主義国家において、少年団運動はいまだ盛んであり、絵画や視覚媒体にも少年団員の姿はしばしば登場する。指導者をとりかこむ幸せそうな少年団員たちの姿だけを見ると、家父長的な価値観を通じて、指導者を父とあおいで国家を疑似家族として把握させることで団結力を高めようとしていることが見て取れるが、DPRKの場合はそれだけにとどまらず、社会構成員としての少年の「顕彰」と植民地期の抗日遊撃隊とともにあった少年団の記憶を喚起する、いわゆる「記憶の継承」が少年団員のイメージに託されている。

26頁(217〜242頁)
18 화가들이 본 지진과 조선인학살単著 2023-05-00韓国独立運動史研究、82
以上18点
Ⅲ 口頭発表・その他
1 コンサイス20世紀思想事典(第二版)辞書項目執筆 1997-10-00三省堂 木田元、栗原彬、野家啓一、丸山圭三郎編の辞書執筆協力。「具体」(287~289頁)と「もの派」(873頁)の項を担当。

総頁数1045頁
2 自己と他者の間-韓国現代美術におけるふたつの断層(金英順著)単訳 1998-10-00『日韓現代美術展』図録(目黒区美術館他) 展覧会図録のために書かれた論文김영순「우리 과 타자사이」の翻訳。

5頁(12~16頁)
3 韓国近代美術におけるアイデンティティ問題(金炫淑著)単訳 1999-04-00『東アジア/絵画の近代』図録(静岡県立美術館他)
近代期の東アジア(中国、台湾、韓国、日本)における油彩画の導入と展開を見つめなおす展覧会。展覧会図録のために書かれた김현숙「한국근대미술의 정체성문제」を翻訳したもの。著者の金炫淑は韓国チームキュレーターの一人。

5頁(116~120頁)
4 韓国における油絵の展開(李仁範著)単訳 1999-04-00『東アジア/絵画の近代』図録(静岡県立美術館他) 展覧会図録のためにかかれた論文이인범「한국에 있어서의 유화 전개과정」を翻訳。著者の李仁範は韓国側キュレーターの一人。

3頁(113~115頁)
5 20세기 미술이론에서 본 일본미술(20世紀の美術理論からみた日本美術)単著 1999-09-00『가나아트』1999년 가을호(『ガナアート』1999年秋号)(가나아트,韓国) 日本の美学・美術史を考える上で必要な理論書を紹介するための記事を執筆。

4頁(47~50頁)(朝鮮語)
6 近代油彩画の流れ-その現代性(李仁範著)単訳 1999-11-00韓国文化院監修『韓国文化』1999年 이인범「근대유화의 흐름-그 현대성」の翻訳。巡回展『東アジア/絵画の近代』開催をうけて書かれたもの。

6頁(12~17頁)
7 김용철 명치시대고미술보호정책에 대한 질의(金容徹「明治時代の古美術保護政策」についての質疑)口頭発表 2001-05-00美術史学研究会(韓国) 金容徹氏が発表した「明治期の古美術保護政策」にたいする質疑。発表者と質疑者はあらかじめ原稿を提出し、主催者側は論文集の形にして来場者に販売配布した。

発表時間:20分(朝鮮語)
8 한일 프롤레타리아 미술운동의 교류에 관하여(日韓プロレタリア美術運動の交流について)口頭発表 2001-05-19韓国近代美術史学会 春季学術発表会 学術論文1のもとになった口頭発表。

発表時間:50分(朝鮮語)
9 国立中央博物館所蔵日本近代美術-日本画篇資料集資料作成他 2001-12-00韓国国立中央博物館 資料集の年表を作成した。この展覧会は韓国国立中央博物館で開催の後、2003年に東京芸術大学大学美術館と京都国立近代美術館へ巡回した。

8頁(164~171頁)(朝鮮語)
10 展評「いま話そう(国際美術館)、アジアの世紀のはじまりに(海岸通ギャラリーCASO)」単著 2002-06-00『韓国朝鮮の文化と社会』創刊号(風響社) 2002年度に大阪で開かれたふたつの日韓現代美術展『いま、話そう』と『アジアの世紀のはじまりに』についての展評。

11頁(217~227頁)
11 持続する対話(カン・スンワン著)単訳 2002-08-00『いま話そう-日韓現代美術展』図録(国立国際美術館) 展覧会図録のための論文강승완「지속되는 대화」(カン・スンワン「持続する対話」)を翻訳したもの。カン・スンワンは韓国国立現代美術館の学芸研究官。

6頁(18~23頁)
12 狐を飼いならす(パク・ミファ著)単訳 2002-08-00『いま、話そう-日韓現代美術展』図録(国立国際美術館) 展覧会図録のために書かれた論文박미화「여우를 길들이다」を翻訳したもの。著者のパク・ミファは韓国国立現代美術館学芸研究員。
『いま、話そう-日韓現代美術展』は日本の国立国際美館と韓国の国立現代美術館の共同主宰による交流展。大阪と果川(韓国)をそれぞれ巡回した。

4頁(60~63頁)
13 水原におけるプロレタリア美術展覧会口頭発表 2002-11-00朝鮮近現代史研究会 韓国の水原で一回だけ開催されたプロレタリア美術展覧会についての概要と日本におけるプロレタリア美術展覧会との比較分析についての報告。

発表時間:50分
14 美術交流の過去と展望単著 2002-11-00韓国文化院監修『韓国文化』2002年11月号 日韓国交正常化以降の日韓間における美術交流を日韓双方の側から検討し、将来的な展望を論じた。

掲載頁数5頁(本人担当2~6頁)
15 Korean-Japan relations in the Proletarian Visual Arts Movement ( International Symposium "Proletarian literature in East Asia" )シンポジスト 2002-11-01International Symposium "Proletarian Literature in East Asia", University of Chicago(シンポジウム「東アジアにおけるプロレタリア文学」於:シカゴ大学) シカゴ大学東アジア研究所の招請によりシンポジウム参加。プロレタリア美術運動における日韓関係について発表。討論参加。

シンポジストは以下のとおり。
Samuel Perry, Brian Bergstrom, Ruth Barraclough, Heather Bowen-Struok, Bert Scruggs, Ping Liu, Xiaobing Tang, 川村湊、金允植, 喜多恵美子

発表時間:40分(通訳付)
16 東アジアにおける「現代美術」の意味-アンフォルメルをめぐる日韓の比較を中心に」口頭発表 2003-06-00美学会 西部会 1960年代末に日本と韓国とでほぼ同時期にみられたアンフォルメル運動について、その差異と類似点について検討した。

発表時間:60分
17 수원 프롤레타리아 미술 전람회(水原プロレタリア美術展覧会)口頭発表 2003-09-00韓国近代美術史学会(韓国) 韓国の水原で開かれたプロレタリア美術展覧会を通じて、当時の人々が近代的な美術概念をいかに受容していったのかについて検討した。
発表時間:50分(朝鮮語)
18 「韓国画」の来し方行く末口頭発表 2003-09-00民族芸術学会 韓国画の概念がどのように成立したのかをあとづけ、近代期における美術制度の導入という問題について検討した。

発表時間:50分
19 大阪・アート・カレイド・スコープOSAKA04関連シンポジウム「交通するアート」パネラー 2004-03-00大阪・アート・カレイド・スコープ 大阪府立現代美術センターで2004年3月13日に開催されたシンポジウム「交通するアート」のパネラーとして出席

パネリスト:
大谷 燠(NPO法人 Dance Box エグゼクティブ・プロデューサー)
豊嶋秀樹([graf]代表)
松本雄吉(劇団「維新派」代表)
加藤義夫(加藤義夫芸術計画室)OSAKA 04 プロデューサー 
原 久子(ハラ・アートオフィス)OSAKA 04 展覧会マガジン編集 
中塚宏行(大阪府立現代美術センター主任研究員)
松本 薫(大阪府立現代美術センター研究員)
喜多恵美子
司会進行:木ノ下智恵子(神戸アートビレッジセンター)

発表時間:20分
20 李美那報告へのコメント単著 2004-05-00『朝鮮史研究会会報』(朝鮮史研究会) 2003年10月18日、19日の両日千葉商科大学で開催された朝鮮史研究会第40回大会においておこなわれた神奈川県立近代美術館学芸員李美那の発表「近代洋画の日韓関係-作品の評価と作家のつながりから」にたいするコメント。

2頁(7~8頁)
21 展評「彼らの視線で見た近代」「ドキュメント」単著 2004-10-00『韓国朝鮮の文化と社会』第3号(風響社) 韓国における展覧会「그들의 시선으로 본 근대(彼らの視線で見た近代)」(於:ソウル大学博物館)と「다큐먼트(ドキュメント)」(於:ソウル市立美術館)で開催された展覧会についての展評。前者は京城帝国大学からソウル大学へと引き継がれた大量のガラス乾板を印画して展示したもの。後者は写真をひとつの「ドキュメント」として捉えることで新旧の写真を同時に展示するという試み。その中でも近代部門の展示に注目した。

8頁(221~228頁)
22 村山知義にとっての朝鮮単著 2006-01-01『水声通信』3号(水声社) 特集「村山知義とマヴォイストたち」への寄稿。
美術家、文学者、劇作家、演出家などの多彩な面貌をもつ村山知義は左翼運動家でもあったが、検挙・拘束のはてに転向をよぎなくされた。転向後、村山は朝鮮にわたるが、終戦してもなお朝鮮の地にとどまった。村山知義にとっての朝鮮とは一体なんであったのかについて考察した。

7頁(103~109頁)
23 金英那「李仁星の郷土色」
単訳 2006-02-00『美術研究』388号(東京文化財研究所) 김영나「이인성 의 향토색:민족주의 와 식민주의」『한국근대미술 과 시각문화』조형교육、2002、291-318년)の翻訳。
本論文の初出は『美術史論壇』第9号(1999年下半期)であり、その後、加筆修正されたものが『한국근대미술 과 시각문화』(조형교육, 2002년)に掲載された。ここでは後者を底本としている。

本翻訳論文は東京文化財研究所平成17年度海外編集委員による推薦論文である。

16頁(335~350頁)
24 書評『韓国近代美術研究』口頭発表 2006-03-25朝鮮史研究会関西部会月例会 金惠信『韓国近代美術研究-植民地期「朝鮮美術展覧会」にみる異文化支配と文化表象 』(ブリュッケ、2005年)をとりあげ、口頭で書評を行った。

発表時間:60分
25 北朝鮮のアートにふれる講演 2006-05-00『北朝鮮を知るための51章』学習会
(日朝市民連絡会)
『北朝鮮を知るための51章』連続学習会に招待され、今日の北朝鮮における美術について講演を行った。

講演時間:60分
26 金炫淑「모더니즘 미술 과 동양주의(モダニズム美術と東洋主義)」に対する質疑シンポジスト 2006-09-00「韓国美術100年」(韓国国立現代美術館オンライン・シンポジウム) 韓国国立現代美術館の「韓国美術100年展」を記念して開催された、ウェブサイトでの開かれたシンポジウムの試み。発表者と質疑者はそれぞれ、ウェブサイトで論文を公開し、ウェブサイト閲覧者はそれにコメントをつけることができるようになっていた。本人は主催者側の要請により金炫淑の発表にたいする質疑者として立った。(朝鮮語)

金炫淑は「韓国美術100年展」のチーフ・キュレイター。

参考サイト:
http://www.moca.go.kr:9001/Modern/moca_forum_kor100_2006/index.htm
27 근대기 ‘미술’ 개념의 수용과 그 문제점
(近代期“美術”概念の受容とその問題点)
口頭発表 2006-10-00韓国美術史学研究会創立20周年学術シンポジウム
「미술사와 “지금 여기」(美術史と“いまここ”)(韓国、ソウル)
韓国美術史学研究会の招待により発表。
韓国と日本における美術受容の問題点と両国間での認識の相違に焦点をあてた。総合討論会にも参加。

発表時間:60分(朝鮮語)
28 言説としての「朝鮮芸術」ー柳宗悦の場合単訳 2009-01-00『カリスタ』15号(東京藝術大学美学・藝術論研究会) 東京藝術大学美学・藝術論研究会が李仁範氏に依頼した論考「‘조선예술’ 담론 - 야나기 무네요시의 경우」の翻訳。

25頁(76~100頁)
29 昌慶苑「夜の花見(밤 벚꽃놀이) 」と「ヨザクラ(夜桜)」
単訳 2009-01-00『都市と視覚空間-1930年代の東京とソウル』
(明治美術学会)
明治美術学会と韓国近現代美術史学会との合同主催による「日韓近代美術史シンポジウム 都市と視覚空間-1930年代の東京とソウル」(2008年10月4日、東京大学法文2号館-大教室)における発表原稿をもとに書き下ろされた金炫淑の論文「창경원 밤 벚꽃놀이와 요자쿠라(夜櫻)」の翻訳。

総頁数89頁、本人担当11頁(21〜31頁)
30 植民地朝鮮における文化表象シンポジスト 2009-05-00立命館コリアセンター シンポジウム「友禅図案(絵摺り)に描かれた『韓国併合」における発表。植民地期朝鮮で発行された絵葉書やチラシ、ポスター、地図、路線図などの印刷物の分析を通じて、「視覚」を通じた支配の構造について考察した。

登壇者:木立雅朗、乾淑子、喜多恵美子

会場:立命館平和ミュージアム
31 展評「民衆の鼓動-韓国のリアリズム1945-2005」単著 2009-10-00『韓国朝鮮の文化と社会』8号(風響社)  2007年10月から2008年8月にわたって日本全国を巡回した展覧会「民衆の鼓動」にたいする展評。韓国の民衆美術運動をリアリズム運動の流れの中に位置づけようとした展覧会。美術と政治との関係性について言及した。

5頁(236~240頁)
32 재조선일본인 화가에 대한 정치적 편견을 지우자(在朝鮮日本人画家に対する政治的偏見をなくそう)単著 2010-01-00『프랫폼』1,2월호(仁川文化財団) 植民地期朝鮮において活動した徳島出身の日本画家加藤松林人に関する記事。2009年11月に大阪韓国文化院で開催された加藤松林人の遺作展の展評とともに、加藤の生涯について論述した。

4頁(50~53頁)(朝鮮語)

(ちなみにタイトルは編集者がつけたものであって、著者がつけたものではない。)
33 朝鮮絵画の魅力講演 2010-10-09朝日カルチャーセンター 映画『美人図』の主人公である画家申潤福と同時代の画家の生涯と作品について歴史的背景から解説をした。図画署の画院は中人階級であったが、英祖正祖の代に階級制の見直しと価値観の変動がおこるにつれ、その作画表現にも変化が見られるようになる。申潤福等の作品を通じて、朝鮮時代の価値観について考察した。

発表時間:90分
34 프롤레타리아 미술운동에 있어서 예술대중화 논쟁(プロレタリア美術運動における芸術大衆化論争)シンポジスト 2011-11-04国際シンポジウム「동아시아의 미술과 문학(東アジアの美術と文学)」(東洋美術史学会) 中野重治と蔵原惟人の間で戦われた「芸術大衆化論争」は当時の朝鮮にも影響を及ぼした。おもに文学論としての論争が美術分野でどのように扱われてきたのかについて中野重治と岡本唐貴の論争を中心に考察した。

発表時間:50分(朝鮮語)
35 石濤、近代における「個性」という評価の視線 単訳 2012-01-00『美術研究』405号(東京文化財研究所) 韓国美術研究所研究員である文貞姫による論文の日本語訳。

21頁(362~382頁)
36 新刊紹介単著 2012-03-00『コリア研究』3号(立命館大学コリア研究センター) 韓国における美術関連書籍の新刊紹介。

5頁(148~152頁)
37 일본근대미술사 연구의 현황(日本の近代美術史研究の現況)口頭発表 2012-10-13国際学術大会:『한국근현대미술사학회 20주년기념학술대회
(韓国近現代美術史学会20周年記念学術大会)』
(韓国近現代美術史学会)
日本近代美術の学説史の概観を紹介する発表。日本における近代美術史研究は、ながらく美術館の学芸員を中心に進められてきた。そこには、近代期に制作された作品を美術史のどこに位置づけるべきなのかという根本的な悩みも関連していたが、1990年代から北澤憲昭や佐藤道信らの制度論研究などが登場し、かつての学芸員たちが大学に研究の場を移し始めたことによって、大学における研究が本格化するようになってきた。

発表時間:50分
38 朝鮮半島の食文化―儒教思想を中心にー口頭発表 2013-11-00「学術交流講演会」(大阪大谷大学) 朝鮮半島の伝統的な食文化は陰陽五行説や儒教思想にねざすものが少なくない。バランスのよい色(青、朱、白、黒、黄)や味(酸、苦、辛、鹹、甘)を身体に取り込むことが健康につながるという発想と、儒教思想がもとになっている先祖崇拝とそこに備えられる食事について、その背景を読み解いた。

発表時間:90分
39 「朝鮮人留学生と美術」講演 2014-06-06『同志社大学日朝関係史講座』同志社大学KOREA文化研究会 植民地期朝鮮において、高等教育や特殊技術を学ぶ機会は極めて限られていたため、朝鮮人学生の多くは「内地」である日本に留学した。朝鮮総督府は、韓国併合初期の武断政治の失敗をうけて、1920年代には文化政治をしくが、この頃から徐々に「内地」留学生の数が増加していった。その中でも、美術留学生は特殊な存在であった。朝鮮は、絵を描くということ自体に対する儒教的な偏見が強固だったが、その文化的背景について解説し、「美術」制度がどのように朝鮮に浸透していったのかについて述べた。

発表時間:90分
40 植民地空間における知識人と美術講演 2014-10-11国際フォーラム:『二重空間の韓国に生きた日韓の美術家たち』(「朝鮮」を描く(仮称)」展研究会) 植民地朝鮮において、朝鮮人知識人のほとんどが日本を経由して西洋思想や西洋文化に接することになったことから、朝鮮は日本によって文化的啓蒙をうけたというようにとらえられがちであるが、この考え方に隠された陥穽について指摘した。日本の文明開花自体、西洋文化と日本文化のハイブリッドとして捻出されたものであり、後世にいたってその矛盾があちこちで見られるようになってきた。とりわけ美術分野においては、それが顕著にあらわれている。朝鮮独自の価値観や哲学の存在は、宗主国である日本からは無視されてきたが、植民地期の朝鮮人知識人たちの葛藤の系譜と、彼らにとっての「美術」とはなんだったのかについて考察した。

発表時間:50分
41 전향미술가와 조선, 만주(転向美術家と朝鮮・満洲) 口頭発表 2015-09-19韓国近現代美術史学会秋季大会「동아시아 1945(東アジア1945)」(韓国近現代美術史学会) 戦前、朝鮮の労働者との連帯を謳った日本のプロレタリア美術家たちは厳しい弾圧に屈して次々と転向していったが、当局は転向者の再教育と彼らを宣伝活動に動員する目的で大陸に送ることが少なくなかった。朝鮮と関連のある代表的な画家として、村山知義と寄本司麟の足跡と作品をとりあげて論じた。

発表時間:50分(朝鮮語)
42 プロレタリア文化運動と「大陸」口頭発表 2015-10-29大谷大学研究発表会(大谷学会) 韓国近現代美術史学会における口頭発表41を圧縮し、日本語に直したもの。

発表時間:40分
43 金復鎮美術理論賞受賞記念講演講演 2015-11-28金復鎮美術理論賞選考委員会 韓国のプロレタリア美術家金復鎮を記念した美術理論賞である金復鎮賞を受賞した際に「日朝プロレタリア美術運動」に関する記念講演を行った。プロレタリア美術は芸術性が低いとの理由で、日本では長らく等閑視されてきたが、それはそもそもの美術理論が西洋近代のそれとは異なるからである。本発表では新たな美術運動を展開しようとしていた日本のプロレタリア美術家と朝鮮のプロレタリア美術家たちとの交流様相について概説した。

発表時間:60分(朝鮮語)
44 「アジア太平洋戦争期植民地朝鮮の戦争画」に対するコメントコメンテーター 2016-07-23「戦争と美術:1940-1950年代、日本・朝鮮・台湾」(科研費基盤研究(C)「軍事主義から見る女性美術家と視覚表象」) 金容澈「アジア太平洋戦争期植民地朝鮮の戦争画」に対してコメントをした。

発表者:金容澈(高麗大)、白適銘(国立台湾師範大学)、白凛(東京大)、鈴木勝雄(東京国立近代美術館)
コメンテーター:喜多恵美子、ラワンチャイクン寿子(福岡アジア美術館)、平田由美(大阪大学)、北原恵(大阪大学)
45 문화 예술분야에서의 번역과 통역의 입장-전문성과 권력(文化芸術分野における翻訳と通訳の立場-専門性と権力)口頭発表 2016-10-08国際学術大会「예술의 번역 번역의 예술-이화여자대학교 통번역대학원 2016년 국제학술대회
(芸術の翻訳/翻訳の芸術-梨花女子大学校通訳翻訳大学院2016年国際学術大会)」(梨花女子大学校通訳翻訳大学院BK21+)
日韓間における通訳翻訳に関しての諸問題について論じた。根本的な問題として、外国語から母語への翻訳が圧倒的に楽であり完成品の精度も高いことは明らかであるにもかかわらず、韓日翻訳には韓国人翻訳者が起用されることが少なくなかった。その背景としては、日本人の中に韓国語に熟達した人材が希薄であることに加え、日本人が雇用側であり、韓国人は使役される側であるという固定観念に影響されているという点も見逃せない。いわば植民地主義的な力学がそこには働いているといえる。日本における日韓関連の学会を支えているのも韓国人留学生の存在である。ところが近年、韓国留学経験のある研究者の増加に伴い、日本においても韓国語だけで研究会を進行することが可能な状況になってきた。これは植民地主義的状況の脱却を意味しており、日本と韓国の学会の対等性を担保する上で重要なファクターとなっていくであろう。
発表時間:40分(朝鮮語)
46 新刊紹介 権幸佳著『イメージと権力-高宗の肖像とイメージの政治学』書評 2017-03-00『コリア研究』8号(立命館大学コリア研究センター) 2015年から2016年の間に韓国で刊行された学術書の紹介。政治・経済・歴史・文化・文学の各分野のうち「文化」部門担当。大韓帝国期の皇帝高宗をめぐる表象研究に関する権幸佳の著作を紹介した。

2頁(120~121頁)
47 植民地期から分断体制下までの韓国美術のながれ口頭発表 2017-10-22朝鮮史研究会第54回大会(朝鮮史研究会) 「分断体制下における韓国美術の諸問題」というパネルを組織し、その中でのキーノート的な発表を担当した。パネルの趣旨については次のとおり。

「植民地朝鮮において、美術制度はその大部分が日本を通じて導入されたものであったため、解放後の朝鮮画壇においても日帝残滓の清算は例外なく火急の課題であった。植民地期、画壇のシステム内で一定以上の評価を受けるためには、朝鮮人画家たちはもともと朝鮮にはなかった価値観をすすんで導入し、内面化していかねばならなかったが、それだけに清算の過程は葛藤と困難をきわめた。解放直後の時期にもさまざまな試みがなされたが、本パネルでは、分断体制以後の大韓民国に焦点を当て、「韓国美術」の独自性をいかに担保すべきかという画家たちの格闘とともに、分断体制や軍事政権が美術界にどのように影響をあたえたのかについて光をあてる。単に日本だけにとどまらず、朝鮮民主主義人民共和国やアメリカなどとの関係性のなかでみずからを再照射する必要のあった韓国において、美術がいかに多層性を有するにいたったのかを検討したい」

喜多恵美子「植民地期から分断体制下までの韓国美術のながれ」
松岡とも子「1950‐60年代、韓国現代美術の転換とアメリカ―金煥基(1913‐1974)の渡米前後の活動から」
日比野民蓉「モノクローム絵画と「韓国性」の創出」
古川美佳「軍事政権下、80年代韓国‘民衆美術’に現れた分断の矛盾と克服―〈白頭の山裾に昇る統一の新たな日よ〉(コルゲ・クリム/李相浩・全情浩共同制作)を例に」

発表時間:30分
48 일본 아방가르드미술의 전개와 역사적 관점들 (日本におけるアヴァンギャルドの展開と歴史的観点)シンポジスト 2017-10-28韓国美術史学研究会特別シンポジウム(韓国美術史学研究会) 日本におけるアヴァンギャルド美術とされる大正期の新興美術運動は1910年代にヨーロッパでおこったアヴァンギャルド運動との同時代性からみても、日本において重視されてきた運動であるが、活動当時は「アヴァンギャルド」という呼称は用いられていなかった。
もともと、「前衛」や「アヴァンギャルド」という概念は社会主義的な思想と結びついたものであり、大正期新興美術運動においても社会問題に関心をもち左傾化した画家はすくなくなかった。しかしながら1930年代中盤の当局の弾圧によって美術家の政治的な活動は沈静化することになり、政治性の代わりにヨーロッパの様式のいちはやい導入に焦点がおかれるようになった。西洋との同時代性を重視するようになったことと、日本の帝国主義が膨張していく過程と無関係ではなかったことも1930年代のアヴァンギャルド美術を語る上で重要である。

発表時間:50分
49 『朝鮮らしさ』の探究~解放後の南北朝鮮美術口頭発表 2017-11-24日朝関係史講座(同志社大学) 解放後の朝鮮においては、いわゆる日帝残滓の清算が急務であった。画壇もまたその例外ではなく、日本画の特徴とされた彩色人物画をめぐって批判的な立場をとる画家や評論家も少なくなかった。脱日本と同時に「朝鮮らしさ」の追求が行われたのであるが、分断体制下ではさらに、この「朝鮮らしさ」は南北で正反対の方向へと展開していった。

発表時間:90分
50 朝鮮における書画の位相と近代画壇講演 2018-09-08シンポジウム「近代東アジアの書壇」(科研費基盤(B)近代東アジア書壇研究プロジェクト) シンポジウムの基調講演。

朝鮮の士大夫的文脈において、書画はきわめて政治的なものでありかつ、相互に不可分の関係性にあったが、植民地期に「芸術」概念が導入される過程で「書」は芸術ジャンルからは排除されていく。その背景には日本の植民地支配と価値観の強要があったのだが、朝鮮の知識人の反応としては、こうした価値観を内面化するものもあったが、書画そして政治的思考が切り離せないものだという考えを維持する人々も少なくなかった。日本の欧化政策とは異なる朝鮮なりの近代知識人のあり方について考察した。

発表時間:60分
51 ヨーロッパで学んだ朝鮮人美術留学生口頭発表 2018-09-15「両大戦間パリを中心としたアジア系美術家」(日仏美術学会) 日本の支配により国外移動自体規制されていた朝鮮の人々が留学先としたのは大部分が日本であり、欧米で学ぶことができたのはごく限られた人々であった。朝鮮の既存の価値観に鑑みて、美術を留学の目的とした者はさらに希少だ。西洋での美術留学を経験したのは、ドイツに学んだ裴雲成、パリで学んだ李鐘禹、羅蕙錫、白南舜らであり、ここにアメリカで学んだ張勃、任用璉を加えても、十人に満たない。
なかでもベルリンとパリを中心にヨーロッパに18年滞在しながら、作家活動を展開した裴雲成について光をあてた。親日派の家庭に書生として入ることによって、留学への道をつかんだ裴雲成は、東洋的で繊細な筆線の版画作品によってヨーロッパの画壇で頭角を現した。植民地解放後は、共産主義に影響をうけて越北し、朝鮮民主主義人民共和国の功勲芸術家として活躍した数奇の人生を歩んだ。

発表時間:30分
52 南北分断と朝鮮民主主義人民共和国の美術口頭発表 2019-01-31東京大学コリア学コロキュアム(東京大学大学院人文社会系研究科韓国朝鮮文化研究室) 植民地期に日本を通じて朝鮮に導入された美術制度が、南北分断を経て、各体制の思想や価値観の影響を受けながら整備されていく過程について整理し、朝鮮民主主義人民共和国の美術の特性について論じた。

発表時間:90分
53 재조선 일본인화가와 식민지 투어리즘 - 카토 쇼린진(加藤松林人)을 중심으로 (在朝鮮日本人画家と植民地ツーリズムー加藤松林人を中心にー)口頭発表 2019-04-27韓国美術史学会春季学術大会「동아시아의 미술과 여행(東アジアの美術と旅行)」(韓国美術史学会) 春季大会のテーマ<東アジアの美術と旅行>のもと、ジャーナリズムと植民地ツーリズムとがいかに当時の朝鮮画壇に関係していたかという問題について、在朝鮮人画家加藤松林人を中心に論じた。加藤松林人が発行した『金剛山探勝案内』(1927)を手がかりに、京城のジャーナリストたちを媒介とした在朝鮮日本人がいかなる文化コミュニティをつくっていたのかかということに光をあて、『大阪毎日新聞』主催した『朝鮮八景』事業において選定画家となった加藤の姿を通じて、植民地ツーリズムとコマーシャリズムと画壇との関係についても言及した。

発表時間:50分(朝鮮語)
54 조선의 좌익미술계보와 도상학적분석-천리마시기의 미술을 중심으로-(朝鮮の左翼美術の系譜と図像学的分析-千里馬時期の美術を中心に)口頭発表 2019-08-19제14차 KOREA학 국제학술토론회−The 14th ISKS International Conference of Korean Studies(第14回コリア学国際学術討論会)(国際高麗学会) 朝鮮民主主義人民共和国において、「労働」がどのように描かれたのかについて考察した。とりわけ、1956年12月の全員会議で提唱された「千里馬運動」をめぐって製作された美術作品は、千里馬運動を象徴する降仙製鋼所の存在によって「製鋼」「製鉄」をテーマにした作品が数多く作られてきた。ソ連や東欧、大韓民国における「製鉄」をめぐる作品と比較、分析した。

発表時間:30分(朝鮮語)
55 労働現場における美術:1958-1959年の『朝鮮美術』の記事を中心に口頭発表 2020-06-10人文科学研究所部門研究会(第6研究)2020年度第2回研究会
兼 科研費「冷戦期北朝鮮の文化史:人・情報の流動性に注目して」研究会
1956年12月の朝鮮労働党全員会議で提唱され、5年計画とともに広まった「千里馬運動」の下で、美術にも新たな変化が訪れた。この時期の『朝鮮美術』には、当時の変化を示す数多くの記事が見られる。美術家たちが工場などの労働現場へと派遣されるようになっていっただけではなく、各地の労働現場で美術サークルが組織されてもいった。美術サークル活動について考察した。

発表時間:40分
56 朝鮮民主主義人民共和国美術における女性表象口頭発表 2020-10-18朝鮮史研究会第57回大会(朝鮮史研究会) 創建直後の朝鮮民主主義人民共和国の美術は、日本留学経験のある美術家が組織の中心となっていたこともあり、しばらくは日本画風の作品が制作されていたが、日本残滓の精算は韓国同様喫緊の問題であった。創建直後からソ連に画家を派遣し、ソ連式の美術教育への転換を図ったことはその一例であろう。平壌美術大学を頂点として末端は各労働現場のサークル活動に至るまで美術教育が行われていたことは注目に値する。1966年の金日成首席の教示によって彩色画を基調とした独自の「朝鮮画」が推奨されるようになったことで、共和国美術はさらなる展開を見せるのだが、こうした変遷の中で女性がどのように描かれてきたのかというと、男性と対等に任務を遂行する、社会主義国家の成員としての面貌を強調したものが中心となっているものの、一方で性的分業を感じさせる作品も少なくない。本発表では、共和国の美術を近代的美術制度導入期からの一連の流れのなかで眺望し、「女性表象」というキーワードを通じて共和国美術の現在地を探った。

発表時間:50分
57 조선소년단의 표상연구 (朝鮮少年団の表象研究)口頭発表 2021-05-28통일문화와 콘텐츠(統一文化とコンテンツ)(徳成女子大学人文科学研究所) 朝鮮民主主義人民共和国における朝鮮少年団の位相を、多様な図像から読み解いた。朝鮮少年団は指導者に対する絶対服従を教え込む組織にすぎないという従来の考え方に対し、近代期のボーイスカウト運動やそれを換骨奪胎したソ連のピオニール運動と関連付けて、少年に対する社会教育的側面について光をあてた。また現代の社会主義国家における少年団活動を描いた絵画作品とも比較することで、少年団のもつ象徴性についても分析を行った。
発表時間:30分(朝鮮語)
58 朝鮮美術展覧会研究によせて 口頭発表 2022-01-29文化庁現代アートワークショップ
「東アジアにおける官設展覧会と日本」
2014年に福岡アジア美術館で開催された『東京・ソウル・台北・長春 官展にみる近代美術』展以降、植民地官展研究の現在地を問う。朝鮮美術展覧会参与であった日本画家加藤松林人の遺稿をもとに、朝鮮美術展覧会が朝鮮画壇に与えた影響や東京美術学校の卒業生ならびに新聞の美術部記者の活動について論じた。

オンライン
発表時間20分
59 在朝鮮日本人画家の遺稿に見る朝鮮画壇
—加藤松林人を中心に—
単著 2022-03-00大谷大学真宗総合研究所研究紀要
39号
在朝鮮日本人画家加藤松林人の遺稿『回想の半島画壇』を中心に、当時の画壇の様子や、日本人画家の目を通してみた当時の朝鮮書画について論じた。

19頁(181〜199頁)
60 화가들이 본 진재와 조선인 학살 (画家達が見た震災と朝鮮人虐殺) 口頭発表 2022-09-02「관동대지진 조선인 중국인 학살에 관한 기억의 궤적(関東大震災 朝鮮人・中国人虐殺に関する記憶と軌跡)」
主催:국사편찬의원회(国史編纂委員会) 독립기념관(独立記念館) 동북아역사재단(東北アジア歴史財団)
関東大震災と震災の混乱の中引き起こされた朝鮮人の大量虐殺が当時の画家たちにどのような影響を及ぼしたのかについて、東京美術学校出身の日本人画家と朝鮮人画家を中心に論じた。大正新興美術運動の中核をになっていた日本人画家達の多くが朝鮮人と誤認され、暴力の矛先を向けられる経験をしているが、酸鼻をきわめる被災地の様子といわれなき暴力を目の当たりにした彼らはその後、プロレタリア文化運動に加担するようになっていく。東京在住の画学生たちについては、夏季休暇で帰省していた者と東京に残った者とに分かれるが、帰省したものが活発な活動を展開していくこととなった。
発表時間:20分
61 The Inheritance of Emotion
in the Art of the Democratic People’s Republic of Korea (DPRK)
口頭発表 2023-06-27AAS-in-Asia
以上61点

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