教育研究業績の一覧 新田 智通
| ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
A 教育業績 | ||||||
教育実践上の主な業績 | 年月日 | 概要 | ||||
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む) | ||||||
1 | リアクション・ペーパーの活用 | 2013-04-01 ~ | ほぼすべての授業で受講者に毎回リアクションペーパーを提出させ、次回の授業の冒頭に教員がいくつかの質問等に応答することで、可能な限り双方向の授業ができるよう、また学生たちが互いの意見に触れられるよう心がけている。 | |||
2 | 初年次教育の実施 | 2013-04-01
~2014-07-20 |
本学の初年次教育「学びの発見」を担当し、「ブレーンストーミング」や図書館での資料の探し方、文章の要約方法、レポートの執筆方法といった、大学での学びの基礎的なテクニックについて指導した。 | |||
3 | ゼミにおける授業外学習の促進 | 2014-04-01 ~ | ゼミでは学生主体の運営となるよう、学生自身が選んだ課題について当番制で発表させているが、発表に際しては事前にレジュメを提出させ教員がそれを予めチェックすることで、一定のレベル以上の事前学習と発表ができるよう心がけている。また事前に送られてきたレジュメについては、ネットをとおして他のゼミ生とも予め共有しておくことで、発表者以外のゼミ生も事前学習を行うことができ、またディスカッションをするときの質問も予め考えておくことができるよう工夫している。 | |||
4 | 学生のインド研修旅行の引率 | 2015-09-03
~2015-09-16 |
本学の海外研修プログラム、「インドの宗教と文化」に引率者として参加した。 | |||
2 作成した教科書、教材、参考書 | ||||||
1 | パーリ語初等文法ハンドブックの作成 | 2010-04-00
~2013-03-31 |
パーリ語の初等文法を学習できるハンドブックを作成し、各回の授業の際に必要に応じて配布した。 | |||
2 | 卒論のガイドブックの作成 | 2020-04-01 ~ | ゼミ生が卒論を書くためのガイドブックを作成し、4回生のゼミを担当する年度には毎回改訂を続けている。 | |||
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等 | ||||||
1 | 大谷保育協会の勉強会 | 2010-10-06 | 幼児教育における『ジャータカ』の有用性について考える大谷保育協会の勉強会に講師として招かれ、参加者に対する講義とディスカッションを行った。 | |||
4 その他教育活動上特記すべき事項 | ||||||
1 | 大学入試センター教科科目第一委員会委員 | 2012-04-01
~2015-03-31 |
大学入試センター試験の倫理部会の作題を担当した。 | |||
B 職務実績 | ||||||
1 | The Eastern Buddhist, vol. 36, nos. 1&2の編集・刊行 | 2004-12-01
~2005-06-15 |
英文学術誌The Eastern Buddhistの編集・刊行に携わった。当該号は、「仏教とハンセン病」に関する小特集を含む13本の論文、書評、訃報記事からなる。 | |||
2 | 武蔵野大学通信教育部での学生指導 | 2005-04-01
~2012-03-31 |
武蔵野大学通信教育部のオンラインシステムWBTを利用して、学生のレポートの添削・指導を行った。担当科目は「死生学」、「仏教思想入門」。 | |||
3 | The Eastern Buddhist, vol. 37, nos. 1&2の編集・刊行 | 2005-09-15
~2006-03-15 |
The Eastern Buddhistの編集・刊行に携わった。当該号は、明治期の日本仏教思想に関する小特集を含む16本の論文、書評、訃報記事からなる。 | |||
4 | The Eastern Buddhist, vol. 39, no. 1の編集・刊行 | 2008-06-01
~2008-12-15 |
The Eastern Buddhistの編集・刊行に携わった。当該号は、南都仏教に関する小特集を含む7本の論文、書評、訃報記事からなる。 | |||
5 | The Eastern Buddhist, vol. 39, no. 2の編集・刊行 | 2009-03-01
~2009-09-15 |
The Eastern Buddhistの編集・刊行に携わった。当該号は、鈴木大拙に関する小特集を含む9本の論文、書評、訃報記事からなる。 | |||
6 | イースタンブディスト協会におけるシンポジウムの企画 | 2009-04-09 | ゲイレン・アムスタッツ博士を中心の講演者として招き、近現代における浄土真宗研究の課題に関するシンポジウムを企画し開催した。 | |||
7 | The Eastern Buddhist, vol. 40, nos. 1&2の編集・刊行 | 2009-04-15
~2009-12-15 |
The Eastern Buddhistの編集・刊行に携わった。当該号は、浄土真宗の海外開教に関する小特集を含む9本の論文、書評からなる。 | |||
8 | The Eastern Buddhist, vol. 41, no. 1の編集・刊行 | 2010-03-01
~2010-09-15 |
The Eastern Buddhistの編集・刊行に携わった。当該号は、初期大乗仏教に関するものを含む4本の論文、書評からなる。 | |||
9 | 真宗総合研究所(指定研究)国際仏教研究研究員 | 2012-04-01
~2014-03-31 |
英米班の研究員として、諸々の学術交流業務をおこなうと同時に、庶務を担当して研究活動の運営に携わった。 | |||
10 | 大谷大学人権センター委員 | 2016-04-01
~2018-03-31 |
大谷大学人権センターにおいて、相談業務、全学人権学習会の企画、人権センター叢書の編集作業等を行った。 | |||
11 | 真宗総合研究所(指定研究)国際仏教研究研究員 | 2017-04-01 ~ | 英米班の研究員として、諸々の学術交流業務やThe Eastern Buddhistの編集関連業務に従事している。 | |||
12 | 大谷大学学寮長 | 2022-04-01
~2024-03-31 |
貫練学寮、自灯学寮の学寮長を務めた。 | |||
13 | 仏教教育センター員 | 2024-04-01 ~ | 仏教教育センターに関わる様々な業務(「きょうのことば」のコーディネーター等)を担当している。 | |||
C 学会等及び社会における主な活動 | ||||||
所属期間及び主な活動の期間 | 学会等及び社会における主な活動 | |||||
1 | 1999-04-00~0000-00-00 | 日本印度学仏教学会 | ||||
2 | 2001-04-00~0000-00-00 | パーリ学仏教文化学会 | ||||
3 | 2005-04-00~0000-00-00 | 日本宗教学会 | ||||
4 | 2010-11-00~2017-03-31 | 日本生命倫理学会 | ||||
5 | 2013-04-01~0000-00-00 | 日本仏教学会 | ||||
6 | 2016-04-01~2022-03-31 | 大谷大学真宗総合研究所委員会委員 | ||||
7 | 2019-04-01~0000-00-00 | 真宗教団連合 出版広報委員会委員 おもに真宗教団連合の発行している「法語カレンダー」の作成に従事している。 | ||||
8 | 2019-04-01~0000-00-00 | 日本印度学仏教学会評議員 | ||||
9 | 2022-10-08~0000-00-00 | パーリ学仏教文化学会理事 | ||||
D 研究活動 | ||||||
著書、学術論文等の名称 | 単著、 共著の別 | 発行又は 発表の年月 | 発行所、発表雑誌等 又は 発表学会の名称 | 概要 | ||
Ⅰ著書 | ||||||
1 | 原始仏典II 相応部経典 第四巻 | 共訳 | 2013-06-28 | 春秋社 | 四ニカーヤの一つ『相応部経典』の第4巻(第4集「六処についての集」)の第1篇「六処についての集成」のうち、第3部「第三の五〇節」と第4部「第四の五〇節」の訳註を担当。当該箇所においては、六根(眼耳鼻舌身意)を制御すべきことについて主題的に説かれている。訳者:服部育郎、新田智通、入山淳子、山口努。本人担当231頁(257-487頁)、およびそこに対応する訳註。 | |
2 | シリーズ大乗仏教, 第五巻, 『仏と浄土—大乗仏典II』 | 共著 | 2013-10-10 | 春秋社 | 第2章「大乗の仏の淵源」を担当。歴史上存在した釈尊という仏と、のちの大乗文献において説かれるような神話的諸仏の間には一見大きな隔たりがあるように思われる。従来その隔たりは「釈尊の神格化」という仮説によって説明されてきた。本稿はその仮説の問題点を批判するとともに、どうすれば一貫した仏理解が可能となるかについて論じている。 編集者:桂紹隆ほか。26頁(78-103頁)。 | |
3 | 『暴力をめぐる哲学』 | 共著 | 2019-02-10 | 晃洋書房 | 第2章「文化と暴力―伝統的アート理論に基づく現代的暴力への洞察」の執筆を担当。A.K.クーマラスワーミーのアート理論を手がかりに、伝統的文化におけるアート(物作り)が、プラトン的に言えばイデアの模倣として行われることでその暴力性を乗り越える営みであるのに対し、近代になって初めて現れた審美主義的「文化」は「新奇性」を追求するという点において根源的に暴力的であることについて論じた。編集者:飯野勝己、樋口浩造。45頁(45-89頁)。 | |
以上3点 | ||||||
Ⅱ学術論文 | ||||||
1 | パーリ注釈書における過去仏 | 単著 | 2000-12-00 | 『印度学仏教学研究』49, no. 1 日本印度学佛教学会 | 本稿においては『ディーガニカーヤ』のMahāpadānasuttantaに対するブッダゴーサの註釈書を取り上げ、そこにおける過去諸仏の差異性と同一性をめぐる問題についての考察をおこなった。
3頁(440–442頁)。 |
|
2 | The Meaning of the Former Buddhas in the Mahāpadānasuttanta | 単著 | 2001-03-00 | 『インド哲学仏教学研究』8 東京大学インド哲学仏教学研究室 | 本稿は前年に発表した「パーリ注釈書における過去仏」に対し、考察対象の文献を増やして大きく加筆し、英文による二次出版として発表したものである。
13頁(pp. 73–85)。 |
|
3 | Some Reflections on Oriental Studies | 単著 | 2002-03-00 | Towards Metanoia: Essays Presented to A. K. Saran on his Eightieth Birthday , Lucknow, India: Coomaraswamy Center | 本稿は,伝統的宗教において核心的に重要なものとされてきた知的直観が,近代的な知の枠組みにおいては無視されるに至ったがために,客観的科学を標榜するこんにちの東洋学が直面することとなった諸問題,とりわけそこに認められる歴史還元主義的アプローチについて,A. K. クーマラスワーミーをはじめとする「伝統学派」と呼ばれる一連の思想家の視点から論じたものである。著者:Seyyed Hossein Nasr, Rama P. Coomaraswamy, Tomomichi Nittaほか。
28頁(pp. 126-153)。 |
|
4 | The Meaning of “Dhammakāya” in Pāli Buddhism | 単著 | 2002-12-00 | 『印度学仏教学研究』51, no. 1 日本印度学佛教学会 | 本稿は初期・部派仏教文献における仏身論(二身説)について考察するために、パーリ文献に見られるdhammakāyaという語の用例について精査し、その語義について論じたものである。
3頁(pp. 478–480) |
|
5 | 知の自立と業績主義:「知識人の使命」をめぐる伝統的理解からの考察(その一) | 単著 | 2003-12-00 | 『現代と親鸞』4 親鸞仏教センター | 本稿は知識人の役割についてのこんにち的議論に見られる問題点に端を発する形で、伝統的世界における知識人・聖職者のありようについて論じたものである。
33頁(18–50頁)。 |
|
6 | パーリおよび有部文献における「法身」の語義について | 単著 | 2004-03-00 | 『仏教研究』32 国際仏教徒協会 | 2002年に発表した “The Meaning of ‘Dhammakāya’ in Pāli Buddhism” はパーリ文献のみを考察対象としていたが、本稿は有部文献も含めるなどして大幅な加筆を施したものである。
21頁(211–231頁)。 |
|
7 | 仏教とSOL: 仏教の生命観を問い直す | 単著 | 2005-03-00 | 『死生学研究』2005年春号 東京大学大学院人文社会系研究科
|
本稿は「いのち」という語が非常に曖昧な意味合いのまま、一部の仏教者の間で偶像崇拝的に用いられていることに疑問を唱えたうえで、初期仏教文献に説かれる生命観について再検証したものである。
21頁(331(60)–311(80))。 |
|
8 | 過去仏思想の意味:『大譬喩経注』を手がかりとして | 単著 | 2008-03-00 | 博士論文(東京大学) | 本論文は「仏とは何か」という問いに対して、過去仏思想の意味をひもとくことで応えようと試みたものである。主文献としてはブッダゴーサの『大譬喩経注』を取り上げた。
全261頁。 |
|
9 | The Significance of the Thirty-two Lakkhaṇas of a Buddha | 単著 | 2008-03-00 | 『印度学仏教学研究』56, no. 3 日本印度学佛教学会
|
本稿はパーリ注釈書を手がかりとして、仏の三十二相の持つ象徴的な意味について論じたものである。
7頁(pp. 1095-1101)。 |
|
10 | On the “Deification” of the Historical Buddha in the Studies of the Buddha’s Life Story | 単著 | 2008-12-00 | Hōrin: Vergleichende Studien zur japanischen Kultur 15 (Düsseldorf: Ekō-Haus der Japanischen Kultur E.V.) | 本稿は仏伝の研究史を整理するとともに、仏伝研究において長年にわたり主流を形成してきた還元主義的な研究手法の問題点について論じたものである。
11頁(pp. 43–53)。 |
|
11 | 日本的霊性と真宗 | 単著 | 2011-03-31 | 『北陸宗教文化』第24号 北陸宗教文化学会 | 本稿は、鈴木大拙著『日本的霊性』を中心として、大拙の言う「霊性」の意味と、彼の真宗理解の特徴について論じたものである。19頁(37-55頁)。 | |
12 | 仏身の無漏性・有漏性について | 単著 | 2012-05-00 | 『佛敎學セミナー』第95号 大谷大学仏教学会 | 本稿は、仏の身体を有漏とみなす上座部や有部の主張と、それを無漏とみなす大衆部の主張のあいだにみられる観点の違いについて整理したうえで、そうした一連の議論が、仏教における仏理解の展開のなかでもつ意味について論じたものである。26頁(pp. 17-42)。 | |
13 | 初期・部派仏教における信の再考―ブッダゴーサにおける信の位置づけを中心として | 単著 | 2014-08-30 | 『日本佛教学会年報』通号79 日本佛教学会 | パーリ文献のうち、ブッダゴーサが実際にまとめたとされているものをおもな資料とし、そこから読み取ることのできる、上座部仏教における「信」概念の重層性について論じた。
23頁(25-47頁)。 |
|
14 | 仏教の「スピリチュアル化」について―現代世界における仏教の変容 | 単著 | 2014-12-30 | 『佛教學セミナー』第100号 大谷大学佛教学会 | 19世紀後半以降、近代西洋世界との邂逅を通して「新たな仏教」が生じるようになった。それは「スピリチュアリティ」という概念を軸としつつ、心理学とも協同しながら、瞑想実践を通して心の「癒し」を目指すと同時に、様々な社会的・政治的諸問題に積極的に参与しようとする傾向をもつ。本稿は、そうした新しい仏教の特徴やその背景に見られる諸問題について論じたものである。
23頁(27-49頁)。 |
|
15 | 心理学と擬似スピリチュアリティ-伝統学派による批判的考察を手がかりとして(前編) | 単著 | 2017-03-24 | 『グリーフケア』第5号 上智大学グリーフケア研究所 | 近年、世俗化の進行に呼応する形で、「宗教の心理学化」とも言うべき事態が広まりつつあるが、果たして宗教は経験的科学を目指す近代心理学と等値なものと見なされ得るのかという問題について、ルネ・ゲノンを始めとする伝統学派の主張を手がかりとして論じた。
16頁(59-74頁)。 |
|
16 | 心理学と擬似スピリチュアリティ-伝統学派による批判的考察を手がかりとして(中編) | 単著 | 2018-03-28 | 『グリーフケア』第6号 上智大学グリーフケア研究所 | 本稿は同名論文「前編」の続編である。伝統的宗教における真のスピリチュアリティの実現のためには、求道過程における「止悪修善」の努力、つまりは道徳的実践が不可欠であるのに対し、近年心理学とともに唱道されている「スピリチュアリティ」はそうした道徳を欠いており、したがってそれは伝統宗教の「代替物」とはなり得ないことについて論じた。
19頁(17-35頁) |
|
17 | 心理学と擬似スピリチュアリティ-伝統学派による批判的考察を手がかりとして(後編) | 単著 | 2019-02-28 | 『グリーフケア』第7号 上智大学グリーフケア研究所 | 伝統的心理学における「スピリチュアリティ」は(近代心理学において含意されているような)心理的・受動的な「体験」とは異なり、「真の自己」の実現に向け、エゴに縛られた自分の心と戦いながら絶えず前進し続ける「活動的」なものである。本論文ではそのことを確認したうえで、こんにち近代心理学とともに流布されている「擬似スピリチュアリティ」と呼ぶ他ないものの流行が、世界の終末論的状況の特徴として理解されていることについて論じている。
13頁(33-45頁) |
|
18 | 仏教における輪廻説の再検討-パーリ文献によりながら(前編) | 単著 | 2019-06-30 | 『佛教学セミナー』第109号 大谷大学仏教学会 | 本論文では、仏教と輪廻説は相容れないという立場を取る多くの先行研究の内容を整理したうえで、そのなかで言われる「仏教の無我説と輪廻説とは矛盾する」という主張について、比較的後代のパーリ文献によりながら検討した。その結果、仏教における輪廻とは絶えず生成変化してやまない生存と同義であって、むしろ無我だからこそ輪廻すると説かれていることが明らかとなった。
26頁(184[1]-159[26]頁)。 |
|
19 | 仏教における輪廻説の再検討-パーリ文献によりながら(中編) | 単著 | 2019-12-30 | 『佛教学セミナー』第110号 大谷大学仏教学会 | 本稿では、上記業績(論文19)において比較的後代のパーリ文献から導かれた「輪廻=生老病死の連鎖からなる生存」という理解が、初期仏典においても確認できることを明らかにした。つまり現存する仏典によるならば、仏教は当初から苦に他ならない輪廻生存からの解脱を目的として説かれていたと考えられるのであり、輪廻という現実理解を抜きにして仏教は理解し得ないのである。
28頁(146[1]-119[28]頁)。 |
|
20 | 十九世紀ヨーロッパにおける「人間ブッダ」の誕生と啓蒙主義的先入見―オズレーとビュルヌフを中心に | 単著 | 2021-10-27 | 『大谷学報』第101巻 第1号(第355号) 大谷大学大谷学会 | 仏教の開祖であるブッダを、超越性とは無縁の「一人の偉大な人間」と見なす理解は、こんにちほとんど疑われることのない通念となっている。しかし本論文では欧州における、おもに18世紀後葉から19世紀中葉までの仏教やブッダに関する議論を整理することで、こんにちの常識的なブッダ理解が、実は仏教文献から客観的に導出されたものではなく、ヨーロッパ人の啓蒙主義的先入見から生まれたものであることを明らかにした。
29頁(25-53頁)。 |
|
21 | ブッダの歴史性への懐疑と仏伝への神話学的アプローチについての一考察―仏教伝統に内在的なブッダ理解への一助として | 単著 | 2023-06-30 | 『佛教学セミナー』第117号 大谷大学仏教学会 | 近代仏教学におけるブッダについての研究を紐解いて行くと、「ブッダは歴史的に実在しなかった」と主張する研究者や、またブッダが歴史的人物であったことを認めつつも、彼についての奇跡に満ちた物語を切り捨てるのではなくその神話としての意味を評価しようとする研究者がいることがわかる。本稿ではそれらの諸研究をまとめ問題点を整理することで、未だに残されている仏伝研究の課題を明らかにした。
33頁(39-71頁) |
|
22 | 仏教における輪廻説の再検討(後編)-輪廻説に否定的な二つの主張についての一考察 | 単著 | 2024-12-30 予定 | 『佛教学セミナー』第120号 大谷大学仏教学会 | 輪廻説は本来仏教において説かれなかったと主張される際に、しばしばその理由として、輪廻説は在家信徒向けの「方便」であるとか、仏教は来世のことではなく現世のことを問題とするといったものが挙げられるが、本稿ではそれら二つの主張の誤りについて論じた。30頁(ページ番号未定)。 | |
以上22点 | ||||||
Ⅲ 口頭発表・その他 | ||||||
1 | パーリ注釈書における過去仏 | 口頭発表 | 2000-09-00 | 日本印度学仏教学会第51回学術大会(東洋大学) | 本発表はII学術論文の「1. パーリ注釈書における過去仏」に先だっておこなったものである。
発表時間 15分。 |
|
2 | パーリ仏教におけるdhamma-kāyaの語義について | 口頭発表 | 2002-07-00 | 日本印度学仏教学会第53回学術大会(東国大学校, ソウル) | 本発表はII学術論文の4." The Meaning of “Dhammakāya” in Pāli Buddhism" に先立っておこなったものである。
発表時間 15分。 |
|
3 | James Ford著. 20世紀の死者の運命 | 単訳 | 2004-10-00 | 『死生学研究』2004年秋号 東京大学大学院人文社会系研究科 | 本論文は広島・長崎の原爆やナチスのホロコーストといった、20世紀における大量虐殺が世界に与えた影響について論じたものであり、英文から日本語への翻訳を手がけた。
15頁(pp. 212–226) |
|
4 | マハーヴァストゥの仏陀観再考 | 口頭発表 | 2005-09-00 | 日本宗教学会第64回学術大会(関西大学) | 本発表は大衆部の文献である『マハーヴァストゥ』の仏陀観について論じたものである。『マハーヴァストゥ』には大乗的要素が含まれていることが従来強調されてきたが、本発表ではその点について、特に二身説の観点から再検討をおこなった。
発表時間 15分。 発表要旨 『宗教研究』79, no. 4, 1137–1138頁。 |
|
5 | 生命至上主義について | 口頭発表 | 2005-11-04 | 次世代死生学研究会議(白浜. 東京大学21世紀COEプログラム「死生学の構築」の研究会議) | 本発表は、生命を至上の価値とみなす考え方が実は近代特有のものであるという認識のもと、その背景にある問題について、ハンナ・アレント、イヴァン・イリイチという二人の思想家の主張にもとづいて考察したものである。
発表時間 15分。 |
|
6 | 三十二相の意味:パーリ注釈書を中心として | 口頭発表 | 2007-09-05 | 日本印度学仏教学会第58回学術大会(四国大学) | 本発表はII学術論文の9. "The Significance of the Thirty-two Lakkhaṇas of a Buddha" に先だっておこなったものである。
発表時間 15分。 |
|
7 | On the Importance of the Internal Understanding of the Buddha’s Legend | 講演 | 2008-01-17 | Martin Luther University, Halle, Germany | 本講演はII学術論文の10. "On the “Deification” of the Historical Buddha in the Studies of the Buddha’s Life Story" に先立っておこなったものである。
講演時間 70分。 |
|
8 | Some Reflections on the Concept of Lokanuvartanā | 口頭発表 | 2008-08-03 | XXII World Congress of Philosophy, Seoul National University, Seoul | 本発表は、従来大衆部の『マハーヴァストゥ』に固有のものとされてきた仏の「世間随順」という理解が、パーリ文献の中にも認められることについて論じたものである。
発表時間 15分。 発表要旨 Abstract of XXII World Congress of Philosophy( p. 374) |
|
9 | 日本的霊性と真宗 | 口頭発表 | 2010-07-11 | 北陸宗教文化学会 第17回学術大会(しいのき迎賓館、金沢) | 本発表は、シンポジウム「日本的霊性と現代」においてなされたものである。鈴木大拙著『日本的霊性』を中心に据え、大拙の言う「日本的霊性」の意義について整理した上で、その「霊性的」視座に基づく彼の真宗理解の特色について論じた。
発表時間 20分。 |
|
10 | 真宗大谷派における「いのち」をめぐる言説と生命至上主義 | 口頭発表 | 2010-11-20 | 日本生命倫理学会第22回年次大会(藤田保健衛生大学) | 本発表は、生命に至上の価値を見出そうとする傾向が、大正時代の日本で見られるようになったという問題提起を受けたものである。そこでは、浄土真宗の一派、真宗大谷派に属する現代の数人の論者を取り上げつつ,彼らのなかにも生命至上主義的傾向が見られることを確認したうえで,その背景にある問題について考察を試みた。
発表時間 20分。 |
|
11 | 仏身の無漏性・有漏性について | 口頭発表 | 2012-07-05 | 大谷大学仏教学会研究発表例会 | 内容はII. 学術論文の12に同じ。
発表時間 30分。 |
|
12 | Donald Lopezのブッダ論 | 口頭発表 | 2012-12-08 | 国際日本文化研究センター・シンポジウム「近代仏教:トランスナショナルな視点から」 | Donald S. Lopez Jr.,“Buddha,”(in Critical Terms for the Study of Buddhism. Chicago: The University of Chicago Press, 2005, pp. 13-36)をテキストとし、そこにみられるLopezのブッダ論の特徴について論じた。 | |
13 | 初期・部派仏教における信の再考―ブッダゴーサによる信の位置づけを中心として | 口頭発表 | 2013-09-12 | 日本佛教学会2013年度学術大会(第83回大会、早稲田大学) | 本発表は、仏道の出発点における信と、それが深化し、不動堅固となった信という、仏教に説かれる信の二つの側面について、ブッダゴーサによる論書・註釈書を主要な手がかりとして論じた。
発表時間 20分。 |
|
14 | 「ブッダ」の誕生 | 翻訳 | 2014-03-31 | 法蔵館 | Donald S. Lopez Jr., "Buddha." In Critical Terms for the Study of Buddhism, ed. Donald S. Lopez Jr., The University of Chicago Press, 2005, pp. 13-36の抄訳。『ブッダの変貌―交錯する近代仏教』末木文美士、林淳、大谷栄一編、日文研叢書、法蔵館、2014年、39頁(29-67頁)。 | |
15 | 宗教と心理学―心をめぐる異なる立場 | 単著 | 2014-06-01 | 『在家仏教』2014年6月号(通号745号) | 仏教を含めた伝統的諸宗教に属する宗教者の一部が、心理学的なアプローチを通して人々の心の問題に取り組もうとする近年の傾向を受けて、宗教における心の捉えられ方と、心理学の心の扱い方の違いについて論じた。 6頁(40-45頁)。 | |
16 | 仏教と「スピリチュアリティ」に関する一考察 | 口頭発表 | 2014-10-27 | 大谷大学大谷学会研究発表会 | 内容はII. 学術論文の15に同じ。
発表時間 45分。 発表要旨 『大谷學報』94, no. 2, 55-58頁。 |
|
17 | The Incorporation of Methods of Contemporary Psychology into Shin Buddhist Ministry | 口頭発表 | 2015-08-26 | XXI World Congress of the International Association for the History of Religions (Erfurt, Germany) | "Attempts at Adaptation in Contemporary Japanese Buddhism: Organizational and Discursive Transformation in the Pure Land Tradition"と題されたパネル発表の一つ。浄土真宗において近年注目されつつある、人々の心のケアを目的とした「ビハーラ運動」の現状と問題点について論じた。
発表時間 30分。 |
|
18 | 「永遠の哲学」と「伝統学派」 | 口頭発表 | 2016-09-11 | 日本宗教学会第75回学術大会(早稲田大学) | 急速なグローバル化の進行や、その反動としての原理主義の台頭によって、我々は宗教の複数性・多様性の問題をいかに受け止めるべきかという喫緊の課題に直面させられている。その課題に関して非常に重要な視座を与えてくれている、ルネ・ゲノン,A. K. クーマラスワーミーらを嚆矢とする「伝統学派」と呼ばれる一連の思想家たちの宗教理解の特徴について概略した。
発表時間 20分。 発表要旨 『宗教研究』第90巻別冊(日本宗教学会)371-372頁。 |
|
19 | 「ブッダは輪廻を説いたのか」という再三議論されてきた問題について改めて考える | 口頭発表 | 2018-11-22 | 大谷大学仏教学会研究発表例会 | 仏教に説かれる「輪廻説」に関する先行研究を整理し、その問題点についてまとめたうえで、おもにパーリ文献によりながら「輪廻」の意味について再考を試みた。
発表時間 30分。 |
|
20 | 仏とは誰か-初期経典の伝える釈尊観をてがかりとして | 講演 | 2019-06-05 | 浄土宗 第470回教化高等講習会(高松国際ホテル) | 「仏とは誰か?」という仏教における根本的な問題について、おもに初期仏教経典によりながら、大乗仏教の仏身論とも比較対照しつつ論じた。
講義時間 90分。 |
|
21 | Buddhaghosa's Understanding of Samsara | 口頭発表 | 2019-11-16 | New Horizons in Buddhist Studies(国際仏教学大学院大学主催ワークショップ) | ブッダゴーサの『清浄道論』に説かれる輪廻理解について整理し発表した。
発表時間 30分。 |
|
22 | 「仏教的尊厳」と人権思想 | 口頭発表 | 2020-07-05 | 第71回日本印度学仏教学会学術大会(創価大学、オンライン開催) | 「『人間の尊厳』と仏教」(代表 前川健一)というパネルにおいて発表したものである。仏教思想のうちにも潜在的に近代的人権思想が見出され得るとする西洋の学者の主張を批判的に取り上げて、「義務」と「権利」は互換的ではないこと、そして仏教は人間の従うべき道について「義務」の概念を土台として教えていること、さらには近代の権利概念は自由主義的な市場経済を前提とするものであって仏教となじまないものであること、などについて、シモーヌ・ヴェイユ、ルイ・デュモン、カール・ポランニーらによりながら論じた。
発表時間、約25分。 発表要旨 『印度學佛教學研究』第69巻第2号, 2021年(日本印度学仏教学会)725-724頁。 |
|
23 | 仏典解題事典〔第三版〕 | 分担執筆・共著 | 2020-12-22 | 春秋社 | 『ジャータカ』『過去現在因果経』『マハーヴァストゥ』という三つの仏典の解題を担当した。総頁数491。本人担当90-92頁。 | |
24 | ブッダの尊称 | 単著 | 2021-01-00 | 丸善出版 | 『仏教事典』(日本仏教学会編)所収。初期経典に説かれるブッダの尊称やその意味についてまとめた。総頁数724。本人担当36-37頁。 | |
25 | The Emergence of the "Human Buddha" in the Nineteenth Century Europe and the Prejudice of the Enlightenment: Focusing on Ozeray and Burnouf. | 口頭発表 | 2023-12-16 | Enlightenment, Wisdom, and Transformation
in the World’s Religious Traditions.(京都,大谷大学真宗総合研究所主催シンポジウム) |
上記業績「II学術論文の21」の内容の一部について英語で行った二次発表である。 | |
以上25点 |