教育研究業績の一覧 廣川 智貴
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A 教育業績 | ||||||
教育実践上の主な業績 | 年月日 | 概要 | ||||
1 教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む) | ||||||
1 | 授業評価アンケート | 2005-00-00 ~ | 年に2度実施される授業評価アンケートでは、平均点以上の評価を得ている。また、アンケートの結果を授業に反映するように努めている。 | |||
2 | パワーポイント資料の積極的な利用 | 2014-04-00 ~ | パワー・ポイントの資料を使用することで、視覚や聴覚からもドイツ文化・文学を効果的に学ぶことができるよう工夫している。 | |||
2 作成した教科書、教材、参考書 | ||||||
1 | レポート・卒論作成の手引き | 2009-00-00 ~ | ドイツ文学・文化を専攻するゼミ生のために、「レポート・卒論作成の手引き」を作成している。なお、このテキストは毎年改訂している。 | |||
2 | 「学びの発見」(ハンドブック)(改訂第1版・第2版) | 2012-00-00
~2014-00-00 |
「読み・書き」の基礎を徹底するという観点から、全学共通科目「学びの発見」のハンドブックを大幅に改訂した。 | |||
3 | ドイツ文学必読リスト | 2015-04-00 ~ | ドイツ語圏で刊行されているドイツ文学必読リストに、日本語で翻訳されている作品の情報を書き加えた。 | |||
4 | ドイツ文化研究ハンドブック | 2022-04-00 ~ | ドイツ文化に関するテーマ、およびそれに関連する基本文献リストを作成した。[総頁数:22頁] | |||
5 | ドイツ文学講義(参考資料リスト) | 2023-04-00 ~ | ドイツ文学に関心のある学生のために、ドイツ文学に関する二次文献のリストを作成した。[総頁数:9頁] | |||
6 | ドイツ文学講義(引用集) | 2024-04-00 ~ | 18世紀から20世紀に至るドイツ文学の名場面を集めた引用集である。[総頁数:36頁] | |||
3 教育方法・教育実践に関する発表、講演等 | ||||||
1 | SAと初年次教育科目-大谷大学「学びの発見」を例にして | 2012-01-20 | 本学の初年次教育の取り組みを、『大学時報』誌上で紹介した。詳細は「III.口頭発表・その他」を参照。 | |||
2 | 大谷大学 FD Week 2024 | 2024-11-27 | 大谷大学 FD WeekにおけるFD研修会で、ドイツ語の授業実践について報告した。 | |||
4 その他教育活動上特記すべき事項 | ||||||
1 | TA・SA講習会 | 2011-03-00
~2014-03-00 |
全学共通科目「学びの発見」を担当する教員、TA・SAのための講習会をおこなった。 | |||
2 | 優秀授業賞 | 2019-00-00 ~ | 「ドイツ語のしくみと表現(初級)」(2019年度後期)、「ドイツ語 I」(2021年度後期、2024年度前期)、「グローカル・キャリア演習」(2024年度後期) | |||
B 職務実績 | ||||||
1 | 模擬授業(高等学校) | 2008-10-18 ~ | 京都精華女子高校:「ドイツ・ロックとドイツ現代史」(2008-10-18)、大阪府立刀根山高校:「ヴェルテルはなぜ自殺したのか-ゲーテ『若きヴェルテルの悩み』(1774)について-」(2009-11-26)、滋賀県立甲西高等学校:「学部・学科紹介とミニ講義」(2010-02-17)、滋賀県立八日市高等学校:(2010-09-30)、追手門学院高等学校:「文学は役に立たない?-ドイツ文学を例にして-」(2012-07-10)、京都府立桂高等学校:「自然と文学」(2012-10-11)、滋賀県立大津高等学校:ゲーテ『魔王』を読む」(2012-12-18)、滋賀県立長浜北星高等学校:「《魔王》を読む」(2013-03-12)、滋賀県立八幡商業高校:「文学入門――登場人物の顔を読む」(2015-12-14)光泉高等学校「文学入門-「魔王」を読んでみよう」(2016-07-11) | |||
2 | レポート・論文講座(高等学校) | 2012-02-18 ~ | 「大学におけるレポート・論文の作法」に関する講義を以下の高等学校でおこなった。京都府立山城高等学校(2012年2月18日・25日、2013年2月23日)、明徳高等学校(2015年2月18日・25日、2016年2月17日・18日)、京都翔英高等学校(2015年7月21日) | |||
3 | 高大連携プログラム | 2013-04-17 ~ | 高大連携プログラムの一環として、伊那西高等学校で講義を担当した。(2013年4月17日、24日、5月1日;2018年6月7日) | |||
4 | 外部資金の獲得 | 2015-04-01 ~ | 科学研究費助成による共同研究(課題番号15K12438、研究課題名:「文化地質学:人と地質学の接点を求めて」、研究代表者:鈴木寿志教授、課題番号17H02008、研究課題名:「変動帯の文化地質学」、研究代表者:鈴木寿志教授)の分担研究をおこなった。 | |||
5 | 大学総合企画委員会 | 2016-12-12
~2018-07-26 |
2016年度(12月12日~3月27日)、2018年度(4月26日~7月26日)の「大学総合企画委員会」でチーフを務め、諸々の事項を検討した。 | |||
6 | 学長補佐 | 2017-10-00
~2020-03-00 |
学長補佐として諸々の業務をおこなった。 | |||
7 | 総合研究室主任 | 2018-04-00
~2021-03-00 |
総合研究室主任として、総合研究室の運営に携わった。 | |||
8 | 国際文化学科主任 | 2020-04-00
~2021-03-00 |
国際文化学科主任として諸々の業務をおこなった。 | |||
9 | 研究・国際交流担当副学長 | 2023-04-01
~2025-03-31 |
研究・国際交流担当副学長 として諸々の業務をおこなった。 | |||
C 学会等及び社会における主な活動 | ||||||
所属期間及び主な活動の期間 | 学会等及び社会における主な活動 | |||||
1 | 1997-00-00~0000-00-00 | 日本独文学会京都支部 | ||||
2 | 2006-09-00~2017-03-31 | 日本ゲーテ協会 | ||||
3 | 2006-11-00~0000-00-00 | 日本独文学会 | ||||
4 | 2010-09-00~0000-00-00 | 日本18世紀学会 | ||||
D 研究活動 | ||||||
著書、学術論文等の名称 | 単著、 共著の別 | 発行又は 発表の年月 | 発行所、発表雑誌等 又は 発表学会の名称 | 概要 | ||
Ⅰ著書 | ||||||
1 | 変動帯の文化地質学 | 共著 | 2024-02-29 | 京都大学学術出版会 | 地震や火山などの災害と隣り合わせで生きる日本人にとって、地質は自然環境の基盤としてのみならず精神文化の基盤としても相即不離な存在である。本書は、環状列石や城郭石垣の材料として、仏教や自然崇拝の信仰の対象として、文学の題材として、観光・教育のテーマとして、様々な形で日本人の精神文化を築いてきた石の文化を、地質学の視点で描き出した論文集である。[総頁数557頁]
[本人担当:340~355頁、第三部第五章「醜い山から崇高な山へ―B・H・ブロッケスの詩「山々」をめぐって」、編集代表:鈴木寿志、編集:伊藤孝、高橋直樹、川村教一、田口公則、分担執筆者:先山徹、大友幸子、筬島聖二、乾睦子、赤司卓也、藤本幸雄、吉川宗明、清水洋平、後誠介、中井淳史、張平星、蟹澤聰史、加藤碵一、西山昭仁、廣川智貴、松原典孝、﨑山正人、佐野恭平、石島恵美子、森野義広、赤崎広志、八木令子、久田健一郎、石橋弘明] |
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以上1点 | ||||||
Ⅱ学術論文 | ||||||
1 | 文体論の理論と実践-クライストの『ロカルノの女乞食』を例にして | 単著 | 2000-12-00 | 『研究報告』第14号(京都大学大学院独文研究室) | 本論文では、まず現代文体論の成立について論じた。そして、ドイツ語圏の文体論においては、理論的考察が先行する傾向にあり、テクストを分析するという実践面が欠如していることを指摘し、それを補うべくクライストの『ロカルノの女乞食』を分析した。具体的には機能文法における他動性のカテゴリーを分析の枠組みとし、語り手の選択する他動性のネットワークが主人公の無力感を表現していると結論づけた。[総頁数17頁、1-17頁] | |
2 | 主語の文体論-クライストの『決闘』を中心にして- | 単著 | 2004-12-00 | 『研究報告』第18号(京都大学大学院独文研究室) | 本論文はクライストの短編『決闘』の冒頭にみられる主語の用法を論じたものである。具体的には、一般に主語とよばれるものには三つの機能があることを指摘し、その分類にもとづいてテクストを分析した。一般にこの作品は分析的手法で構成されているといわれるが、主語の用法を詳細に分析すると、語り手はすでに作品の冒頭でクライマックスを示唆していることを指摘した。[総頁数22頁、1-22頁] | |
3 | ハインリヒ・フォン・クライストの文体-文体論からのアプローチ- | 単著 | 2005-03-23 | 京都大学(課程博士論文) | 本論文は、現代言語学を分析の枠組みとして、クライストの散文(新聞記事、短編小説)にみられる文体とその効果を分析したものである。第1部で文体論および文体について検討し、現代文体論が文学と言語学との間の求心力として成立したことを指摘し、個々の文体事象を言語理論で裏付けた。第2部では、クライストの文体を具体的に考察した。ここでは、クライストが執筆した短編小説、新聞記事を考察の対象とした。拙論では、分析のカテゴリーが重複しないように配慮し、テクストを単に記述するのみならず、その解釈にまで言及するよう努めた。[総頁数119頁] | |
4 | ジャーナリストとしてのクライスト-名詞文体を中心に- | 単著 | 2006-06-25 | 『西洋文学研究』第26号(大谷大学西洋文学研究会) | 本論文では、一般的に「動詞文体」の書き手として知られるクライストが、「名詞文体」のすぐれた書き手でもあったことを、とりわけ彼の執筆した新聞記事をもとにあきらかにした。また、この作家の名詞文体と現代ドイツ語のそれとの類似点や相違点にも言及した。[総頁数23頁、1-23頁] | |
5 | 「無気味なもの」としての自然-ゲーテの『魔王』について- | 単著 | 2007-03-01 | 『大谷学報』第86巻第2号(大谷学会)(査読付) | 本論文では、アニミズム的な自然観と合理的な自然観というふたつの異なった自然観が、ゲーテのバラード『魔王』に見られることを指摘した。そして、フロイトの理論を援用し、これらの自然観を語り手が提示したのは、自然を「無気味なもの」として捉えているからだと結論した。なお、本論文は口頭発表2を加筆修正したものである。[総頁数21頁、30-50頁] | |
6 | ドイツ語文体論における教育文体論の可能性について | 単著 | 2007-06-25 | 『西洋文学研究』第27号(大谷大学西洋文学研究会) | ドイツ語圏の文体論は理論的考察に偏向しがちである。拙論では、ドイツ語文体論のこうした閉塞状況を改善するのに、具体的な分析を重視するイギリスの教育文体論が示唆を与えることを指摘した。[総頁数16頁、20-35頁] | |
7 | 詩人は病人か?-ゲーテ『トルクヴァート・タッソー』におけるメランコリーについて- | 単著 | 2007-06-30 | "Germanistik Kyoto" 第8号(日本独文学会京都支部)(査読付) | 本論文では、ゲーテの戯曲『トルクヴァート・タッソー』におけるメランコリーについて論じた。詩人タッソーには明らかにメランコリーの症状が見られるが、それは彼の詩的才能と密接に関係してもいる。宮廷の人々は旧来の医学的治療を試みるが失敗する。だが、詩人と対立する政治家アントニオは、タッソーに同情することで詩人のアイデンティティを保つことに成功する。これは、当時のドイツで流布しつつあった新療法、すなわち、モラル・マネージメントを応用したものであると結論した。[総頁数18頁、53-70頁] | |
8 | 結束性と文体-クライストの『拾い子』について- | 単著 | 2010-06-25 | 『西洋文学研究』第30号(大谷大学西洋文学研究会) | 本論文では、結束性をテクストの統一性を保証するものとして定義し、クライストの『拾い子』の冒頭を分析した。そこから、1)指示代名詞による強固な結束、2)文接続辞"und"による劇的な休止と継続の効果、3)アナグラムを効果的にする「指示」や「語彙的結束」による結束、4)近接の指示代名詞"dieser"による転回点の示唆があきらかとなった。[総頁数25頁、27-51頁] | |
9 | 『ミヒャエル・コールハース』とプロイセン改革
-「営業の自由」を中心に- | 単著 | 2010-10-01 | 『ゲーテ年鑑』第52号(日本ゲーテ協会)(査読付) | 本論文では、クライストの『ミヒャエル・コールハース』をプロイセン改革期の具体的な法案に即して解釈した。クライストは改革派の人びとと交流があった。そして、その改革派が重きを置いたのは経済政策、とりわけ「営業の自由」であった。クライストもこの政策に関心をもっており、『ミヒャエル・コールハース』にもその影響がみられると論じた。なお、本論文は口頭発表5を加筆修正したものである。[総頁数15頁、237-251頁] | |
10 | 演技術と心理学-J. J. エンゲル『演技のための理念』(1785-86)について | 単著 | 2012-03-25 | 『ドイツ文学』第144号(日本独文学会)(査読付) | 本論文は日本独文学会の機関誌『ドイツ文学』の特集「身体文化」に寄稿したものである。ベルリン啓蒙主義を代表するJ・J・エンゲルの演技論『演技のための理念』が、経験心理学をはじめとする当時の心理学を受容していることを指摘した。[総頁数15頁、19-33頁] | |
11 | 市民の教育―ヨハン・カール・ヴェーツェル『ヘルマンとウルリーケ』 | 単著 | 2014-08-01 | 『希土』第39号(希土同人社) | ヴェーツェルは「作家」として知られるが、その仕事の幅は広い。とりわけ、彼が汎愛学舎に接近し、その機関誌のなかで教育論を展開していることは興味深い。本論文は、彼の代表作『ヘルマンとウルリーケ』に、こうした教育論の影響がみられることを、「名誉心」という観点から明らかにしたものである。[総頁数25頁、86-110頁] | |
12 | ドイツ語の弁護―ヨハン・カール・ヴェツェル『ドイツ人の言語、学問、趣味について』 | 単著 | 2015-08-01 | 『希土』第40号(希土同人社) | ヴェツェルの『ドイツ人の言語』は、フランス趣味で知られるフリードリヒ二世(大王)の『ドイツ文学論』を受けて書かれたものである。本論文では、ヴェツェルが国王の指摘するドイツ語の欠点を詳細に検討し、この言語を肯定的に捉え直し、(文学にとっての)ドイツ語の可能性を啓蒙的に提示していることをあきらかにした。[総頁数24頁、80-104頁] | |
13 | 人はなぜ狂うのか-クリスティアン・ハインリヒ・シュピース『狂人列伝』の社会批判 | 単著 | 2016-08-01 | 『希土』第41号(希土同人社) | 本論文では、クリスティアン・ハインリヒ・シュピースの『狂人列伝』が、道徳的な堕落によってだけでなく、法や教会といった制度・機関によっても狂気に陥る人々を描いた作品であることを示した。[総頁数23頁、84-106頁] | |
14 | 徳の教育-Ch・F・ゲラート『スウェーデンのG伯爵夫人の生涯』-
| 単著 | 2017-05-31 | 『ドイツ啓蒙主義研究』14(大阪大学大学院言語文化研究科) | 18世紀半ばのドイツにおいて、ゲラートは「ドイツの道徳的文化の基礎」(ゲーテ)を形成していた。とりわけ彼の「道徳講義」は、多くの聴講生を集めた。本論文は、彼の小説『スウェーデンのG伯爵夫人の生涯』が、そうした道徳理論の実践例であることを指摘したものである。[総頁数20頁、21-40頁] | |
15 | 古代に映る近代-クライスト『ペンテジレーア』とエウリピデス『バッコスの信女』-
| 単著 | 2017-07-25 | 『西洋文学研究』第37号(大谷大学西洋文学研究会)
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本論文では、クライストの古代受容のあり方を『ペンテジレーア』を中心に論じた。ペンテジレーアの狂気は、エウリピデスの『バッコスの信女』にみられるディオニュソスを想起させるが、これはアマゾン国の抱える矛盾を暴露してもいる。当時理想とされた国家理論を体現するアマゾン国の女王ペンテジレーアの狂気を、古代のモティーフをとおして効果的に描写することで、クライストはこの理想的国家を批判したのだと結論した。なお、本論文は口頭発表3を加筆修正したものである。[総頁数14頁、19-32頁] | |
16 | 汎愛派の知られざる教育者J・K・ヴェツェル | 単著 | 2018-05-31 | 『ドイツ啓蒙主義研究』15(大阪大学大学院言語文化研究科) | ドイツ啓蒙主義期に活躍した作家ヨハン・カール・ヴェツェルは、この時代の教育改革を象徴する汎愛派の動きに関与していた。本稿では、彼が汎愛派の批判的継承者であるという観点から、ヴェツェルの教育論に一貫しているのが、個人の「相対的完成」、「多様な世界観」、「〈行為〉と〈名誉〉」であることを指摘した。[総頁数16頁、1-16頁] | |
17 | アルプスを見る詩人―ヘルダリーンとエーベル―
| 単著 | 2019-05-31 | 『ドイツ啓蒙主義研究』16(大阪大学大学院言語文化研究科) | ヘルダリーンの詩的世界の形成に大きな影響を及ぼした人物にズゼッテ夫人(ディオティーマ)がいる。この女性との出会いのきっかけは、ヨハン・ゴットフリート・エーベルであった。興味深いのは、エーベルが地質学者であり、ヘルダリーンがその影響を受けたということである。本発表では、エーベルのアルプス研究を概観し、そこからヘルダリーンの詩を捉え直した。なお、本論文は口頭発表11を加筆修正したものである。[総頁数12頁、35-46頁] | |
18 | ヴェツェルとウィーン―『喜劇役者たち』を中心に― | 単著 | 2020-07-31 | 『ドイツ啓蒙主義研究』17(大阪大学大学院言語文化研究科) | ドイツ啓蒙主義時代の作家ヴェツェルは、ドイツ文学には珍しく、すぐれた喜劇を残した。『喜劇役者たち』では、当時のウィーンの演劇界を代表するシュテファニー兄弟が風刺されているのだが、本論文ではそうした風刺が後進国ドイツにおける文化の振興を視野に入れたものであることを指摘した。[総頁数15頁、11-25頁] | |
19 | ヴェツェルの教育論と『ロビンソン・クルーソー』 | 単著 | 2021-05-31 | 『ドイツ啓蒙主義研究』18(大阪大学大学院言語文化研究科) | 本論文は、ヴェツェルの小説『ロビンソン・クルーソー』を、彼の教育論のキーワード、すなわち「労働」「精神のバランス」「経験と反省」という観点から解釈したものである。[総頁数14頁、37-50頁] | |
20 | 対話小説への道―J・J・エンゲルの理論と実践 | 単著 | 2022-03-31 | 『ドイツ啓蒙主義研究』19(大阪大学大学院言語文化研究科) | 今日、小説において作中人物の心理が記されるということは常識となっている。ドイツ文学においてそうした傾向がとくにみられるようになるのは、18世紀後半のことであった。そうした小説の詩学において、J・J・エンゲルは重要な役割を果たしているように思われる。本論文では、エンゲルの小論『行為、対話、語りについて』を手がかりにして、小説における心理描写の問題を検討した。[総頁数14頁、17-30頁] | |
以上20点 | ||||||
Ⅲ 口頭発表・その他 | ||||||
1 | 語り手が語るもの-クライストの『チリの地震』- | 口頭発表 | 2003-06-28 | 日本独文学会京都支部春季研究発表会 | 本発表では、クライストの『チリの地震』にあらわれる特徴的な文体を二つとりあげた。一つは従属接続詞alsで、一般には時をあらわすこの接続詞がクライストにあっては時間的な意味をこえて用いられることがあることを指摘した。他方では、この作品には特徴的な他動性の構造がみられることを指摘した。[発表時間:30分]、[要旨掲載雑誌:Germanistik Kyoto 5、2004年、104-108頁] | |
2 | ゲーテの『魔王』について-「無気味なもの」としての自然- | 口頭発表 | 2006-07-29 | 大谷大学西洋文学研究会年次大会 | 本発表では、アニミズム的な自然観と合理的な自然観というふたつの異なった自然観が、ゲーテのバラード『魔王』に見られることを指摘した。そして、フロイトの理論を援用し、これらの自然観を語り手が提示したのは、自然を「無気味なもの」として捉えているからだと結論した。[発表時間:30分] | |
3 | 古代的なものと近代的なもの-クライストの『ペンテジレーア』について-
| 口頭発表 | 2007-07-21 | 大谷大学西洋文学研究会年次大会 | 本発表では、クライストの古代受容のあり方を『ペンテジレーア』を中心に論じた。ペンテジレーアの狂気は、エウリピデスの『バッコスの信女』にみられるディオニュソスを想起させるが、これはアマゾン国の抱える矛盾を暴露してもいる。当時理想とされた国家理論を体現するアマゾン国の女王ペンテジレーアの狂気を、古代のモティーフをとおして効果的に描写することで、クライストはこの理想的国家を批判したのだと結論した。[発表時間:40分] | |
4 | J.J.エンゲルの演劇論について-『身振りのための理念』を中心に- | 口頭発表 | 2008-11-22 | 日本独文学会京都支部秋季研究発表会 | 同時代においては大きな影響を与えたにもかかわらず、今日ではほとんど顧みられないJ.J.エンゲルの演劇論について報告した。具体的には、彼の理論的主著である『身振りのための理念』(以下『理念』と略記)を中心にして、『理念』が執筆された背景、そこで展開される演劇論と人間学との関係、『理念』の実践的側面、そして、この書物の今日的意義を示唆した。[発表時間:40分]、[要旨掲載雑誌:Germanistik Kyoto 10、2009年、68-72頁] | |
5 | クライストと法-『ミヒャエル・コールハース』を中心に | シンポジウム | 2009-05-29 | シンポジウム「ゲーテと法」(日本ゲーテ協会) | 本発表では、クライストの『ミヒャエル・コールハース』をプロイセン改革期の具体的な法案に即して解釈した。クライストは改革派の人びとと交流があった。そして、その改革派が重きを置いたのは経済政策、とりわけ「営業の自由」であった。クライストもこの政策に関心をもっており、『ミヒャエル・コールハース』にもその影響がみられると論じた。[発表時間:40分] | |
6 | 心理表現としての身振り-J.J.エンゲル『演技のための理念』(1785/1786)について | 口頭発表 | 2010-07-17 | 大谷大学西洋文学研究会年次大会 | 本発表では、J・J・エンゲルの『演技のための理念』(以下『理念』)について報告した。ここで、エンゲルは、表現の「真理」、すなわち身振りによる内面の表現を考察の対象としている。『理念』では、そのような身体表現がいかに体系化され、俳優がその表現をとおしていかにイリュージョンを実現するかが詳述されている、と論じた。[発表時間:40分] | |
7 | SAと初年次教育科目-大谷大学「学びの発見」を例にして | 報告 | 2012-01-20 | 『大学時報』第342号(日本私立大学連盟) | 本稿は、「TAの有効活用法」という小テーマにおいて、本学の大学導入科目「学びの発見」の現状を報告したものである。具体的には、「学びの発見」におけるSA導入の経緯、SAを対象としたアンケート結果を紹介し、SAの仕事とキャリアとを関連づけることがSAの動機の向上につながると指摘した。[総頁数2頁、82-83頁] | |
8 | 革命としての地震―クライスト『チリの地震』 | エッセイ | 2012-07-10 | 『世界文学』第115号(世界文学会) | 本稿は特集「災害と文学」に寄稿したものである。ドイツ語圏で地震を扱った作品は少ないが、『チリの地震』はそうした作品のひとつである。拙論はエッセイ形式で書かれているが、先行研究をふまえつつ、革命としての地震に焦点をあてて、この短編小説を紹介したものである。[総頁数4頁、20-23頁] | |
9 | 人間学と小説-18世紀ドイツの場合 | 口頭発表 | 2012-10-26 | 大谷学会研究発表会 | 18世紀のドイツにおいて、「人間学」という新しい学問がおこった。ここで問題となったのは、「精神」と「肉体」という人間の二重性であった。「人間学」はこれらの相互作用を考察し、人間を「全的人間」として捉えた。本発表では、こうした「人間学」の影響を受けた18世紀ドイツの文学理論や作品を紹介した。[要旨掲載雑誌:『大谷学報』、第92巻第2号、34-37頁] | |
10 | ヨハン・ヤーコプ・エンゲルのための追悼文 | 翻訳・解説 | 2015-07-25 | 『西洋文学研究』第35号(大谷大学西洋文学研究会) | ヨハン・ヤーコプ・エンゲルはドイツ啓蒙主義を代表する人物であるが、今日では忘れられた存在である。しかし、彼のような通俗哲学者を知ることなしに、当時の思想状況を理解することはできない。盟友フリードリヒ・ニコライによる追悼演説は、そうしたエンゲルの姿を浮き彫りにする一級の資料である。本論はこの演説の翻訳に解説を付したものである。[総頁数41頁、25-65頁] | |
11 | 山を見る詩人-ヘルダリーンと地質学 | 口頭発表 | 2015-09-11 | 大谷大学西洋文学研究会年次大会 | ヘルダリーンの詩的世界の形成に大きな影響を及ぼした人物にズゼッテ夫人(ディオティーマ)がいる。この女性との出会いのきっかけは、ヨハン・ゴットフリート・エーベルであった。興味深いのは、エーベルが地質学者であり、ヘルダリーンがその影響を受けたということである。本発表では、エーベルのアルプス研究を概観し、そこからヘルダリーンの詩を捉え直した。なお、本発表は、科学研究費助成事業の課題番号15K12438「文化地質学」の研究成果の一部である。(発表時間:40分) | |
12 | 地質の詩学-ゲーテ、ヘルダーリン、ノヴァーリス | 招待講演 | 2016-09-12 | 日本地質学会第123年学術大会 | 18世紀は今日的な意味での地質学が誕生した時代だった。本講演では、ゲーテ、ヘルダーリン、ノヴァーリスと地質学との関わりを、具体的な文学作品をとおして紹介した。なお、本講演は、科学研究費助成事業の課題番号15K12438「文化地質学」の研究成果の一部である。(発表時間:30分) | |
13 | 大人になれない少年-E・T・A・ホフマン「ファールンの鉱山」 | 口頭発表 | 2017-03-11 | 「文化地質学:人と地質学の接点を求めて」平成28年度成果報告会 | ドイツ・ロマン派の作家たちにとって、地下へともぐることは、心の中へ入ってゆくことでもあった。ホフマンの「ファールンの鉱山」も、そうした傾向を示す作品である。ここでは主人公エーリスの自我が、意識の世界と無意識の世界をそれぞれ象徴する、地上と地下(鉱山)のあいだで引き裂かれてゆく。それはエディプス・コンプレックスをめぐる物語でもあることを報告した。なお本報告は、科学研究費助成事業の課題番号15K12438「文化地質学」の研究成果の一部である。(発表時間:20分) | |
14 | フランツ・ヘルツォーク―ゲッティンゲンの作曲家・合唱団の指導者 | 翻訳 | 2018-03-00 | "DONA NOBIS PACEM"(ゲッティンゲン少年合唱団日本コンサートツアーパンフレット) | ゲッティンゲン少年合唱団の創設者フランツ・ヘルツォークの伝記を翻訳したものである。[総頁数:2頁、18-19頁] | |
15 | 大地が崇高になるまで-18世紀ドイツの文芸理論を中心に- | シンポジウム | 2018-03-11 | 文化地質研究会第1回シンポジウム・研究発表会 | かつて「山」という素材は、文学において否定的な位置を占めていた。しかし、文学の目的を「敬虔な楽しみ」に認めたスイス派(18世紀)は、「山」を文学の素材に値すると考えた。なぜなら彼らは、そのような壮大で激しい自然(「崇高」なもの)こそが、読者に「驚異」の念でもって神の存在を知らしめるのに適切だと考えたからである。なお本報告は、科学研究費助成事業の課題番号17H02008「変動帯の文化地質学」の研究成果の一部である。[発表時間:20分]
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16 | すぐれた教師による「精読」の集中講義 | 書評 | 2018-07-21 | 図書新聞 | ヴィンフリート・メニングハウス著(竹峰義和訳)『生のなかば-ヘルダーリン詩学にまつわる試論』の書評を執筆した。(2018年7月21日号 第8面) | |
17 | 『この世における神の享受』にみられる崇高なもの | シンポジウム | 2019-03-03 | 文化地質研究会第2回シンポジウム・研究発表会 | 18世紀において、それまで恐怖の対象であった険しい山は、「崇高」概念と結びつくことで肯定的に捉えられるようになる。「崇高」の特徴は「恐怖」と「喜び」という矛盾した感情の生起にあるが、自然神学の影響下に書かれたブロッケスの詩「山」にも、そうした「崇高」な山が描かれている。なお、本報告は、科学研究費助成事業の課題番号17H02008「変動帯の文化地質学」の研究成果の一部である。[発表時間:20分] | |
18 | 地質と文学の接点を求めて―『メッツラー文学シンボル事典』を手がかりに― | エッセイ | 2020-12-31 | 『地質と文化』第3巻第2号(文化地質研究会) | 本稿は、ドイツでも定評のあるシンボル事典を手がかりにして、文学研究者の地質へのアプローチを、地質学者に紹介したものである。なお本稿は、科学研究費助成事業の課題番号17H02008「変動帯の文化地質学」の研究成果の一部である。[総頁数3頁、38-40頁] | |
19 | 地震を解釈するということ クライストの『チリの地震』について | シンポジウム | 2022-03-12 | 文化地質研究会 第5回シンポジウム・研究発表会 | 身分違いの恋人ジェローニモとジョゼフェにとって、彼らをおそった地震は神による救済であり,それまでの社会システムを転覆させるものであった。他方で,旧来の権力を象徴する聖職者は、言葉巧みにこの地震と町の道徳的退廃を結びつけ、ジェローニモとジョゼフェの冒涜行為に言及し、それを「神へのそむき」と解する。地震はたしかに多くの人命を奪ったが、それまでの拘束から人々を解放し、人間らしい絆をもたらすかに思われた。だが、結局は旧来の権力構造をむしろ強化することになったのである。(発表時間:30分) | |
20 | 井上堯之著『ミュージシャンをめざすキミへ』 | エッセイ | 2023-02-01 | 『萌芽』第5号(大谷大学文藝塾) | 日本を代表するギタリスト・作曲家である井上堯之氏の著書およびその人との出会いについて述べた。[総頁数1頁、15頁] | |
21 | 井上堯之とゲーテの『ファウスト』 | エッセイ | 2023-03-03 | 『ラテルネ』第129号(同学社) | 日本を代表するギタリスト・作曲家である井上堯之氏の残された『ファウスト』メモをもとに、彼の『ファウスト』理解と人生観について述べた。[総頁数2頁、14-15頁] | |
22 | ゲーテの『魔王』を読む | 講話 | 2023-09-28 | 親鸞聖人御命日勤行・講話 | 本学のドイツ文学の伝統について紹介した後、ゲーテのバラード「魔王」を、自然の象徴という観点から紹介した。 | |
23 | マルジナリアのすすめ | エッセイ | 2024-03-15 | 『書香』第41号(大谷大学図書館・博物館) | 本学ドイツ文学教授でいらした大庭米治郎先生のマルジナリアを紹介し、学びの方法としてのマルジナリアについて述べた。[総頁数2頁、2-3頁] | |
24 | 私の自己点検 | エッセイ | 2024-09-01 | 『研究所報』第84号(大谷大学真宗総合研究所) | 昨今の大学は各種点検業務に追われているように思われる。大谷大学真宗総合研究所は、そのような要請に応じながらも、研究者の創造性を大切にする場所でありたいと記した。[総頁数1頁、1頁] | |
以上24点 |